明 細 書
ジペプチドの製造法
技術分野
[0001] 本発明は、 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生 産する能力を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸を生産 する能力を有する微生物を培地に培養し、培地中にジペプチドを生成、蓄積させ、 該培地力 ジペプチドを採取ることを特徴とするジペプチドの製造法に関する。 背景技術
[0002] 今日、アミノ酸の多くがいわゆる発酵法によって製造されている(非特許文献 1およ び 2参照)。ここでいう発酵法とは、グルコース、酢酸、メタノール、アンモニア、硫酸ァ ンモ-ァ、コーンスティープリカ一等の安価な物質力もなる培地に微生物を培養し、 該微生物の代謝活性を利用して目的のアミノ酸を得る方法を意味する。安価な原料 から環境負荷の少ない方法でアミノ酸を製造する方法として発酵法は優れた製法で ある。
[0003] ペプチドの大量合成法につ!ヽては、化学合成法 (液相法、固相法)、酵素的合成 法および DNA組換え法を用いた生物学的合成法が知られている。現在、 50残基以 上の長鎖のペプチドに関しては酵素的合成法あるいは生物学的合成法が用いられ 、ジペプチドに関しては化学合成法と酵素的合成法が主に用いられている。
化学合成法によるジペプチドの合成では、官能基の保護'脱保護などの操作が必 要であり、またラセミ体も合成されることから、化学合成法は経済的、効率的な方法と はいえない。また、化学合成法は大量の有機溶媒等を使うため環境衛生上も好まし い方法ではない。
[0004] 酵素法によるジペプチドの合成に関しては、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の 逆反応を利用した方法 (非特許文献 3参照)、耐熱性アミノアシル t-RNA合成酵素を 利用する方法 (特許文献 1〜4参照)、プロリンイミノぺプチダーゼの逆反応を利用す る方法 (特許文献 5参照)、非リボゾームペプチドシンセターゼ (以下、 NRPSと称す) を利用する方法 (非特許文献 4、 5および特許文献 6、 7参照)が知られている。
[0005] しかし、タンパク分解酵素の逆反応を利用した方法では、基質となるアミノ酸の官能 基の保護'脱保護が必要であり、ペプチド形成反応の効率化およびペプチド分解反 応の阻止が困難と ヽつた問題点がある。耐熱性アミノアシル t-RNA合成酵素を利用 する方法には、酵素の発現、 目的産物以外の副生反応の阻止が困難という問題点 がある。プロリンイミノぺプチダーゼを利用する方法では、基質となる片方のアミノ酸 のアミドィ匕が必要であるという欠点がある。 NRPSを利用する方法に関しては、補酵素 である 4' ホスフォパンテティン(4'-phosphopantetheine)の供給が必要であり、効率 的な製造法とはいえない。
[0006] こうした欠点に加え、これらの方法はいずれもアミノ酸もしくはその誘導体を基質とし て用いるため、製造コストがかさむと!、う欠点を持って 、る。
一方、酵素分子量力 SNRPSより小さぐ補酵素である 4'-phosphopantetheineを必要 としな ヽ γ—グノレタミノレシスティンシンセターゼ ( y -glutamylcysteine synthetase)、グ ルタチオンシンセターゼ(glutathione synthetase)、 D—ァラ -ル一 D ァラニン(D-A la— D-Ala)リガーゼ(D-Ala— D-Ala ligase)、ポリ一 γ—グルタミン酸シンセターゼ(ρ oly- y -glutamate synthetase)等の一群のペプチドシンセターゼも知られている。これ らの酵素の殆どは D—アミノ酸を基質に用いる、または γ位のカルボキシル基でのぺ プチド結合の形成を触媒する等の特徴を有するため、 L—アミノ酸のひ位カルボキシ ル基でペプチド結合するジペプチドの合成に用いることはできな 、。
[0007] また、抗生物質であるアルボノルシン(albonoursin)の生産株として知られて!/、るスト レプトマイセス ·ノウルセィ (Streptomvces noursei) ATCC11455株では NRPS酵素とは 全く類似性のな 、蛋白質 (albC遣伝子産物)がシクロ(L フエニルァラ-ル L一口 イシン) [cyclo(L- phenylalany卜 L- leucine)]構造の合成を担っていること、 albC遺伝子 を導入したェシエリヒア 'コリ (Escherichia coli)およびストレプトマイセス ·リビダンス (St reptomvces lividans)の培養液にシクロジペプチドォキシダーゼを作用させるとアルボ ノルシンが検出されたとの報告はある(非特許文献 6参照) iS ^kC遺伝子産物が直 鎖状のジペプチドを生成するとの報告はな 、。
[0008] L アミノ酸の α位カルボキシル基でのペプチド結合形成活性によるジペプチド生 成が知られているのはバチルス属に属する微生物由来のジペプチド抗生物質である
バシリシン合成酵素のみである。バシリシン合成酵素は、バシリシン (L—ァラ-ルー L—アンチカプシン、 L-Ala-L-anticapsin)および L—ァラ-ルー L—ァラニン(L- Ala -L-Ala)を合成する活性を有することは知られている力 その他のジペプチドの合成 活性にっ 、ては知られて 、な 、 (非特許文献 7および 8参照)。
[0009] 一方、全ゲノム情報の解明されたバチルス ·サチリス (Bacillus subtilis) 168株(非特 許文献 9参照)におけるバシリシン生合成酵素遺伝子群に関しては、 vwfA〜Fの ORF を含むバシリシンオペロンを増幅するとバシリシンの生産性が増加することが知られ て 、る(特許文献 8参照)。し力しこれらの ORFの中に 2種以上のアミノ酸をペプチド 結合で連結する活性を有する蛋白質をコードする ORFが含まれているか、含まれて V、るとすれば、どの ORFが該蛋白質をコードするかにつ!、ては知られて!/、な!/、。
[0010] すなわち、 1種以上のアミノ酸力 なるジペプチドを発酵生産によって製造する方法 はこれまで知られて ヽな 、。
非特許文献 1 :アミノ酸発酵、学会出版センター、相田 浩ら (1986)
非特許文献 2 : Biotechnology 2nd ed., Vol.6, Products of Primary Metabolism, VCH
Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim (1996)
非特許文献 3 : J. Biol. Chem., 119, 707-720 (1937)
非特許文献 4 : Chem. Biol, 7, 373-384 (2000)
非特許文献 5 : FEBS Lett., 498, 42-45 (2001)
非特許文献 6 : Chemistry & Biol., 9, 1355-1364 (2002)
非特許文献 7 : J. Ind. Microbiol, 2, 201-208 (1987)
非特許文献 8 : Enzyme. Microbial. TechnoL, 29, 400-406 (2001)
非特許文献 9 : Nature, 390, 249-256 (1997)
特許文献 1:特開昭 58-146539号公報
特許文献 2:特開昭 58-209991号公報
特許文献 3:特開昭 58-209992号公報
特許文献 4 :特開昭 59-106298号公報
特許文献 5:国際公開特許第 03-010307号パンフレット
特許文献 6:米国特許第 5795738号
特許文献 7:米国特許第 5652116号
特許文献 8:国際公開特許第 00-03009号パンフレット
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明の目的は、 1種以上のアミノ酸カもジペプチドを生成する活性を有する蛋白 質を生産する能力を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸 を生成、蓄積する能力を有する微生物を培地に培養し、該培地中にジペプチドを生 成、蓄積させ、該培地力 ジペプチドを採取することを特徴とするジペプチドの製造 法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明は、以下の(1)〜(15)に関する。
(1) 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産する能 力を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸を生産する能力 を有する微生物を培地に培養し、該培地中にジペプチドを生成、蓄積させ、該培地 カもジペプチドを採取することを特徴とするジペプチドの製造法。
(2) 1種以上のアミノ酸からジペプチドを生成する活性を有する蛋白質が以下の [1] 〜 [ 11 ]力 選ばれる蛋白質である、上記( 1)の製造法。
[ 1 ]配列番号 1〜8の 、ずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号 1〜8のいずれかで表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が 欠失、置換または付加したアミノ酸配列力 なり、かつ 1種以上のアミノ酸からジぺプ チドを生成する活性を有する蛋白質
[3]配列番号 1〜8のいずれかで表されるアミノ酸配列と 65%以上の相同性を有する アミノ酸配列からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有す る蛋白質
[4]配列番号 17で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列 を有し、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質
[5]配列番号 37または 38で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[6]配列番号 37または 38で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失
、置換または付加したアミノ酸配列力 なり、かつ 1種以上のアミノ酸からジペプチドを 生成する活性を有する蛋白質
[7]配列番号 37または 38で表されるアミノ酸配列と 65%以上の相同性を有するアミ ノ酸配列からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋 白質
[8]非リボゾームペプチドシンセターゼ (以下、 NRPSと称す)活性を有する蛋白質 [9]配列番号 43で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[10]配列番号 43で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、置換ま たは付加したアミノ酸配列からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成す る活性を有する蛋白質
[11]配列番号 43で表されるアミノ酸配列と 65%以上の相同性を有するアミノ酸配列 からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質 (3) 1種以上のアミノ酸からジペプチドを生成する活性を有する蛋白質が以下の [1] 〜 [8]から選ばれる DNAにコードされる蛋白質である、上記(1)または(2)の製造法
[1]配列番号 9〜16および 36のいずれかで表される塩基配列を有する DNA
[2]配列番号 9〜16および 36のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列 を有する DNAとストリンジヱントな条件下でハイブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸 力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質をコードする DNA
[3]配列番号 18で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有する DNAとストリンジ ェントな条件下でノ、イブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成す る活性を有する蛋白質をコードする DNA
[4]配列番号 39または 40で表される塩基配列を有する DNA
[5]配列番号 39または 40で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有する DNAと ストリンジェントな条件下でハイブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸からジペプチド を生成する活性を有する蛋白質をコードする DNA
[6]NRPS活性を有する蛋白質をコードする DNA
[7]配列番号 44で表される塩基配列を有する DNA
[8]配列番号 44で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有する DNAとストリンジ ェントな条件下でノ、イブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成す る活性を有する蛋白質をコードする DNA
(4) 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産する 能力を有する微生物が上記(3)の [1]〜 [8]力 選ばれる DNAを含有する組換え体 DNAを保有する微生物である、上記(1)の製造法。
(5) アミノ酸を生産する能力が以下の [1]〜[5]から選ばれる方法で得られる、上記 (1)〜(4)の!、ずれか 1つの製造法。
[1]該アミノ酸の生合成を制御する機構の少なくとも 1つを緩和または解除する方法 [2]該アミノ酸の生合成に関与する酵素の少なくとも 1つを発現強化する方法
[3]該アミノ酸の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも 1つのコピー数を増加さ せる方法
[4]該アミノ酸の生合成経路カも該アミノ酸以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の 少なくとも 1つを弱化または遮断する方法
[5]野生型株に比べ、該アミノ酸のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択す る方法
(6)微生物がェシエリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、シユード モナス属またはストレプトマイセス属に属する微生物である、上記(1)〜(5)のいずれ か 1つの製造法。
(7)ェシエリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、シユードモナス属 またはストレブトマイセス属に属する微生物がェシエリヒア'コリ、コリネバタテリゥム 'グ ルタミクム、コリネバクテリウム'アンモニアゲネス、コリネバタテリゥム 'ラタトフアーメンタ ム、コリネバクテイルム 'フラバム、コリネバタテリゥム 'エフイシエンス、バチルス'サチ ルス、バチルス 'メガテリゥム、セラチア'マルセッセンス、シユードモナス'プチダ、シュ ードモナス ·エルギノーサ、ストレプトマイセス ·セリカラーまたはストレプトミセス ·リビダ ンスである、上記(6)の製造法。
(8) 微生物が 1種以上のぺプチダーゼおよび 1種以上のペプチド取り込み活性を 有する蛋白質 (以下、ペプチド取込み蛋白質とも 、う)の活性が低下または喪失した
微生物である、上記(1)〜(5)の 、ずれか 1つの製造法。
(9) 微生物が、 3種以上のぺプチダーゼの活性が低下または喪失した微生物であ る上記(1)〜(5)の 、ずれか 1つの製造法。
(10) ぺプチダーゼが配列番号 45〜48の!ヽずれかで表されるアミノ酸配列を有す る蛋白質、または配列番号 45〜48のいずれかで表されるアミノ酸配列と 80%以上 の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつべプチダーゼ活性を有する蛋白質であ る、上記(8)または(9)の製造法。
(11) ペプチド取込み蛋白質が配列番号 49〜53のいずれかで表されるアミノ酸配 列を有する蛋白質、または配列番号 49〜53のいずれかで表されるアミノ酸配列と 80 %以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつペプチド取り込み 活性を有する蛋白質である、上記 (8)または(10)の製造法。
(12) 微生物がェシエリヒア属、バチルス属またはコリネバタテリゥム属に属する微生 物である、上記(8)〜(11)の 、ずれか 1つの製造法。
(13) ェシエリヒア属、バチルス属またはコリネバタテリゥム属に属する微生物がェシ エリヒア.コリ、コリネバタテリゥム 'グルタミクム、コリネバタテリゥム 'アンモニアゲネス、 コリネバタテリゥム 'ラタトフアーメンタム、コリネバクテイルム ·フラバム、コリネバクテリウ ム 'エフイシエンス、バチルス.サチルスまたはバチルス 'メガテリゥムである、上記(12 )の製造法。
(14) アミノ酸が L—ァラニン、 L—グルタミン、 L—グルタミン酸、グリシン、 L—パリン 、 L—ロイシン、 L—イソロイシン、 L—プロリン、 L—フエ二ルァラニン、 L—トリプトファ ン、 L—メチォニン、 L—セリン、 L—スレオニン、 L—システィン、 L—ァスパラギン、 L ーチロシン、 L—リジン、 L—アルギニン、 L—ヒスチジン、 Lーァスパラギン酸、 L- a —ァミノ酪酸、 L— 4—ヒドロキシプロリン、 L— 3—ヒドロキシプロリン、 L—オル-チン および L—シトルリンカも選ばれるアミノ酸である、上記(1)〜(13)のいずれか 1つの 製造法。
(15) ジペプチドが、式 (I)
R1 - R2 (I)
(式中、 R1および R2は同一または異なって、 L—ァラニン、 L—グルタミン、 L—グルタ
ミン酸、グリシン、 L—パリン、 L—ロイシン、 L—イソロイシン、 L—プロリン、 L—フエ- ルァラニン、 L—トリプトファン、 L—メチォニン、 L—セリン、 L—スレオニン、 L—シス ティン、 Lーァスパラギン、 Lーチロシン、 L—リジン、 L—アルギニン、 L—ヒスチジン、 L—ァスパラギン酸、 L- a—ァミノ酪酸、 L— 4—ヒドロキシプロリン、 L— 3—ヒドロキ シプロリン、 L—オル-チンおよび L—シトルリンカ 選ばれるアミノ酸を表す)で表さ れるジペプチドである上記(1)〜(14)のいずれ力 1つの製造法。
発明の効果
[0013] 本発明によれば、 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白 質を生産する能力を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸 を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、該培地中にジペプチドを生成、蓄 積させ、該培地力 ジペプチドを採取することを特徴とするジペプチドの製造法を提 供することができる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]図 1はプラスミド pPE43の構築過程を示す図である。
[図 2]図 2はプラスミド pQE60ywffiの構築過程を示す図である。
[図 3]図 3は、直鎖ジペプチドの合成活性を有する蛋白質の発現プラスミドベクターで ある pAL- nouおよび pAL- albの構築過程を示す図である。
[図 4]図 4は、: mffi遺伝子発現強化型ベクターである PPE56の構築過程を示す図であ る。
[図 5]図 5は、 γ Ε遺伝子および 遺伝子発現ベクターである PPE86の構築過程を示 す図である。
[図 6]図 6は、脱感作型 Ehg 遺伝子発現ベクターである PPHEA2、および脱感作型 §Δ遺伝子と脱感作型 amE遺伝子発現プラスミドベクターである PPHEAF2の構築過程 を示す図である。
符号の説明
[0015] vwffi :バチノレス 'サチリス 168株由来の ^遺伝子
Plm:トリプトファンプロモーター遺伝子
PT5 : T5プロモーター
Ampr:アンピシリン耐性遺伝子
kef:ラタトースリプレッサー遺伝子
albC: ^^遺伝子または^類似遺伝子
aid: aldjwfe子
pheAte:脱感作型 遺伝子
aroFte:脱感作型 2E遺伝子
発明を実施するための最良の形態
本発明の製造法で用いられる 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を 有する蛋白質は、 1種以上のアミノ酸から、同一または異なるアミノ酸がペプチド結合 したジペプチドを生成する活性を有する蛋白質であれば!/、ずれの蛋白質であっても よぐ該蛋白質としては例えば、
[ 1 ]配列番号 1〜8の 、ずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[2]配列番号 1〜8のいずれかで表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が 欠失、置換または付加したアミノ酸配列力 なり、かつ 1種以上のアミノ酸からジぺプ チドを生成する活性を有する蛋白質、
[3]配列番号 1〜8のいずれかで表されるアミノ酸配列と 65%以上の相同性を有する アミノ酸配列からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有す る蛋白質、
[4]配列番号 17で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列 を有し、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質、 [5]配列番号 37または 38で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[6]配列番号 37または 38で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失 、置換または付加したアミノ酸配列力 なり、かつ 1種以上のアミノ酸からジペプチドを 生成する活性を有する蛋白質、
[7]配列番号 37または 38で表されるアミノ酸配列と 65%以上の相同性を有するアミ ノ酸配列からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋 白質、
[8]NRPS活性を有する蛋白質、
[9]配列番号 43で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[10]配列番号 43で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、置換ま たは付加したアミノ酸配列からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成す る活性を有する蛋白質、および
[11]配列番号 43で表されるアミノ酸配列と 65%以上の相同性を有するアミノ酸配列 からなり、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質、 などをあげることができる。
[0017] 本発明においてアミノ酸とは、後述する本発明の製造法で用いられる微生物が生 産するアミノ酸であり、好ましくは L—アミノ酸およびグリシン、より好ましくは L—ァラ- ン、 L—グルタミン、 L—グルタミン酸、 L—パリン、 L—ロイシン、 L—イソロイシン、 L— プロリン、 L—フエ二ルァラニン、 L—トリプトファン、 L—メチォニン、 L—セリン、 L—ス レオニン、 L—システィン、 Lーァスパラギン、 Lーチロシン、 L—リジン、 Lーァノレギニ ン、 L—ヒスチジン、 L—ァスパラギン酸、 L— α—ァミノ酪酸、 L— 4—ヒドロキシプロリ ン、 L— 3—ヒドロキシプロリン、 L—オル-チン、 L—シトルリンおよびグリシン、さらに 好ましくは L—ァラニン、 L—グルタミン、 L—グルタミン酸、 L—パリン、 L—ロイシン、 L—イソロイシン、 L—プロリン、 L—フエ二ルァラニン、 L—トリプトファン、 L—メチォ二 ン、 L—セリン、 L—スレオニン、 L—システィン、 L—ァスパラギン、 L—チロシン、 L— リジン、 L—アルギニン、 L—ヒスチジン、 L—ァスパラギン酸、 L— α—ァミノ酪酸およ びグリシンをあげることができる。
[0018] 上記において、 1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からな り、かつ 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質は、 Molec ularし loning, A Laboratory Manual, Third Edition, し old Spring Harbor Laboratory P ress(2001) (以下、モレキュラ^ ~ ·クロー-ング第 3版と略す)、 Current Protocols in Mo lecular Biology, John Wiley & Sons (1987- 1997) (以下、カレント'プロトコールズ 'イン 'モレキュラ^ ~ ·バイオロジーと略す)、 Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、 Proc . Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、 Gene, 34, 315 (1985)、 Nucleic Acids Resear ch, 13, 4431 (1985)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特 異的変異導入法を用いて、例えば配列番号 1〜8、 37、 38または 43のいずれかで
表されるアミノ酸配列力 なる蛋白質をコードする DNAに部位特異的変異を導入す ること〖こより、取得することができる。
[0019] 欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されな 、が、上記の部位特異 的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、 1個か ら数十個、好ましくは 1〜20個、より好ましくは 1〜: LO個、さらに好ましくは 1〜5個で ある。
配列番号 1〜8、 37、 38または 43のいずれかで表されるアミノ酸配列において 1以 上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置におい て、 1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。
[0020] アミノ酸の置換が可能なアミノ酸としては、例えば配列番号 1〜8、配列番号 37およ び 38、または公知の NRPSと配列番号 43で表されるアミノ酸配列を、それぞれ公知の ァライメントソフトウェアを用いて比較したときに、比較したすべてのアミノ酸配列にお V、て保存されて ヽな 、アミノ酸をあげることができる。公知のァライメントソフトウェアと しては、例えば遺伝子解析ソフトウェア Genetyx (ソフトウェア開発株式会社)に含まれ るァライメント解析ソフトをあげることができる。該解析ソフトの解析パラメータとしては 、デフォルト値を用いることができる。
[0021] また、アミノ酸の欠失または付カ卩が可能なアミノ酸の位置としては、例えば配列番号 1〜8、 37、 38おおび 43のいずれかで表されるアミノ酸配列の N末端側および C末 端側をあげることができる。
欠失、置換または付カ卩は同時に生じてもよぐ置換または付加されるアミノ酸は天然 型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、 Lーァラニン、 Lーァスパラギン 、 L ァスパラギン酸、 L グルタミン、 L グルタミン酸、グリシン、 L アルギニン、 L ヒスチジン、 L—イソロイシン、 L一口イシン、 L—リジン、 L メチォニン、 L—フエ二 ルァラニン、 L—プロリン、 Lーセリン、 Lースレオニン、 L—トリプトファン、 Lーチロシン 、 L—パリン、 L システィンなどがあげられる。
[0022] 以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互 に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、ノ リン、ノルパリン、ァラニン、 2-アミノブ
タン酸、メチォニン、 0-メチルセリン、 t-ブチルグリシン、 t-ブチルァラニン、シクロへ キシノレァラニン
B群:ァスパラギン酸、グルタミン酸、イソァスパラギン酸、イソグルタミン酸、 2-ァミノ アジピン酸、 2-アミノスべリン酸
C群:ァスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オル二チン、 2,4-ジァミノブタン酸、 2,3-ジァミノプロピオ ン酸
E群:プロリン、 3-ヒドロキシプロリン、 4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フエ-ルァラニン、チロシン
また、本発明の蛋白質が 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有す るためには、配列番号 1〜8、 37、 38および 43のいずれかで表されるアミノ酸配列、 好ましくは配列番号 1で表されるアミノ酸配列との相同性が 65%以上、好ましくは 75 %以上、より好ましくは 85%以上、さらに好ましくは 90%以上、特に好ましくは 95% 以上、最も好ましくは 98%以上の相同性を有して ヽることが望ま ヽ。
[0023] アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、 Karlin and Altschulによるアルゴリズム BLAS T[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]や FASTA[Methods EnzymoL, 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズム BLASTに基づいて、 BLAST Nや BLASTXとよばれるプログラムが開発されている [J. Mol. Biol, 215, 403(1990)]。 BLASTに基づ 、て BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例 えば Score = 100、 wordlength= 12とする。また、 BLASTに基づいて BLASTXによって アミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えば score=50、 wordlength=3と する。 BLASTと Gapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフオル トパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http:〃 WW w. ncbi.nlm.nih.gov.)。
[0024] 配列番号 17で表されるアミノ酸配列は、配列番号 1〜7で表されるアミノ酸配列を 有する蛋白質の間で保存されている領域であり、かつ各種微生物の Ala-Alaリガーゼ 活性を有する蛋白質のコンセンサス配列に対応する領域である。
配列番号 17で表されるアミノ酸配列と 80%以上、好ましくは 90%以上、さらに好ま しくは 95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する蛋白質であり、かつ 1種以上 のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質もまた本発明の製造法で 用いられる微生物が生産する蛋白質である。
[0025] 配列番号 17で表されるアミノ酸配列と 80%以上、好ましくは 90%以上、さらに好ま しくは 95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する蛋白質力 1種以上のァミノ 酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質であるためには、該蛋白質のァミノ 酸配列と配列番号 1〜8のいずれかで表されるアミノ酸配列との相同性力 少なくとも 80%以上、通常は 90%以上、特に 95%以上の相同性を有していることが好ましい。
[0026] アミノ酸配列の相同性は、上記したように BLASTや FASTAを用いて決定することが できる。
上記 [1]〜 [ 11]の蛋白質力 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を 有する蛋白質であることを確認する手段としては、例えば DNA組換え法を用いて該 蛋白質を発現する形質転換体を作製し、該形質転換体を用いて本発明の蛋白質を 製造した後、本発明の蛋白質、 1種以上のアミノ酸、および ATPを水性媒体中に存 在せしめ、該水性媒体中にジペプチドが生成、蓄積する力否かを HPLC等により分 析する方法をあげることがでさる。
[0027] 本発明の製造法で用いられる DNAは、 1種以上のアミノ酸から、同一または異なる アミノ酸がペプチド結合したジペプチドを生成する活性を有する蛋白質をコードする DNAであればいずれでもよぐ例えば
[12]配列番号 9〜 16および 36の!、ずれかで表される塩基配列を有する DNA、
[ 13]配列番号 9〜 16および 36のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配 列を有する DNAとストリンジヱントな条件下でハイブリダィズし、かつ 1種以上のァミノ 酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質をコードする DNA、
[14]配列番号 18で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有する DNAとストリン ジェントな条件下でハイブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸からジペプチドを生成 する活性を有する蛋白質をコードする DNA、
[15]配列番号 39または 40で表される塩基配列を有する DNA、
[16]配列番号 39または 40で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有する DNA とストリンジェントな条件下でハイブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸からジペプチド を生成する活性を有する蛋白質をコードする DNA、
[17]NRPS活性を有する蛋白質をコードする DNA、
[18]配列番号 44で表される塩基配列を有する DNA、および
[19]配列番号 44で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有する DNAとストリン ジェントな条件下でハイブリダィズし、かつ 1種以上のアミノ酸からジペプチドを生成 する活性を有する蛋白質をコードする DNA、
をあげることができる。
[0028] 上記のストリンジェントな条件下でハイブリダィズ可能な DNAとは、配列番号 9〜16 、 18、 36、 39、 40または 44のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列を 有する DNAの一部、または全部をプローブとして、コ口-一'ハイブリダィゼーシヨン 法、プラーク 'ハイブリダィゼーシヨン法あるいはサザンブロットハイブリダィゼーシヨン 法等を用いることにより得られる DNAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラ ーク由来の DNAを固定化したフィルターを用いて、 0. 7〜1. Omol/L、好ましくは 0. 9mol/Lの塩化ナトリウム存在下、 65°Cでハイブリダィゼーシヨンを行った後、 0. 1〜2 倍、好ましくは 0. 1倍濃度の SSC溶液(1倍濃度の SSC溶液の組成は、 150mmol/l 塩化ナトリウム、 15mmol/lクェン酸ナトリウムよりなる)を用い、 65°C条件下でフィルタ 一を洗浄することにより同定できる DNAをあげることができる。ハイブリダィゼーシヨン は、モレキュラ^ ~ ·クロー-ング第 3版、カレント 'プロトコ一ルズ'イン'モレキュラ^ ~ ·バ ィォロン1 ~~、 DNA Cloning 1:し ore Techniques, A Practical Approach, Second Editio n, Oxford University (1995)等に記載されている方法に準じて行うことができる。ハイ ブリダィズ可能な DNAとしては、例えば上記した BLASTおよび FASTA等を用いて、 上記パラメータに基づいて計算したときに、配列番号 9〜16、 18、 36、 39、 40また は 44のいずれかで表される塩基配列と少なくとも 75%以上、好ましくは 85%以上、 さらに好ましくは 90%以上、特に好ましくは 95%以上の相同性を有する DNAをあげ ることがでさる。
[0029] また、ハイブリダィゼーシヨンに供する DNA試料としては、例えば配列番号 9〜16
、 18、 36、 39、 40または 44のいずれかで表される塩基配列をその染色体 DNA上 に有する微生物と同属、好ましくは同種に属する微生物の染色体 DNAをあげること ができる。
配列番号 9〜16、 18、 36、 39、 40または 44のいずれかで表される塩基配列を有 する DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダィズする DNAが、 1種以上のァミノ 酸カもジペプチドを生成する活性を有する蛋白質をコードする DNAであることは、例 えば上記したように、組換え DNA法を用いて該 DNAにコードされる蛋白質を製造し 、該蛋白質の活性を測定することにより確認することができる。
(i)本発明の製造法に用いられる DNAの調製
本発明の製造法に用いられる DNAは、
(a)配列番号 9〜 16および 36で表される塩基配列に基づき設計することができるプ ローブを用いた、微生物、好ましくはバチルス属に属する微生物の染色体 DNAライ ブラリーに対するサザンハイブリダィゼーシヨン、または配列番号 9〜16および 36で 表される塩基配列に基づき設計することができるプライマー DNAを用いた、微生物、 好ましくはバチルス属に属する微生物の染色体 DNAを铸型とした PCR[PCR Protoc ols, Academic Press (1990)]、
(b)配列番号 39または 40で表される塩基配列に基づき設計することができるプロ一 ブを用いた、微生物、好ましくはストレブトマイセス属に属する微生物の染色体 DNA ライブラリーに対するサザンハイブリダィゼーシヨン、または配列番号 3または 4で表さ れる塩基配列に基づき設計することができるプライマー DNAを用いた、微生物、好 ましくはストレブトマイセス属に属する微生物の染色体 DNAを铸型とした PCR、およ び
(c)公知の NRPSをコードする DNA、例えば Eur. J. Biochem., 270, 4555(2003)、特表 2003-512835、米国特許 5795738もしくは米国特許 5652116に記載されている NRPSを コードする DNA、または配列番号 44で表される塩基配列に基づき設計することがで きるプローブを用いた、微生物、好ましくはバチルス属、ストレプトマイセス属、シユー ドモナス属またはキサントモナス属等に属する微生物の染色体 DNAライブラリーに 対するサザンハイブリダィゼーシヨン、または上記した NPRSをコードする DNAの塩基
配列に基づき設計することができるプライマー DNAを用いた、微生物、好ましくはバ チルス属、ストレプトマイセス属、シユードモナス属またはキサントモナス属等に属する 微生物の染色体 DNAを铸型とした PCRにより取得することができる。
[0030] また、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号 1〜8、 17、 37、 38およ び 43のいずれかで表されるアミノ酸配列をコードする DNAの塩基配列と 75%以上、 好ましくは 85%以上、より好ましくは 90%以上、さらに好ましくは 95%以上、特に好 ましくは 98%以上の相同性を有する配列を検索し、該検索によって得られた塩基配 列に基づき、該塩基配列を有する生物の染色体 DNA、 cDNAライブラリ一等力も上 記した方法により本発明の製造法に用いられる DNAを取得することもできる。
[0031] 取得した DNAをそのまま、あるいは適当な制限酵素などで切断し、常法によりべク ターに組み込み、得られた組換え体 DNAを宿主細胞に導入した後、通常用いられ る塩基配列解析方法、例えばジデォキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 ( 1977)]あるいは 373Α· DNAシークェンサ一(パーキン ·エルマ一社製)等の塩基配列 分析装置を用いて分析することにより、該 DNAの塩基配列を決定することができる。
[0032] 塩基配列を決定した結果、取得された DNAが部分長であった場合は、該部分長 D NAをプローブに用いた、染色体 DNAライブラリーに対するサザンハイブリダィゼー シヨン法等により、全長 DNAを取得することができる。
更に、決定された DNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ'バイオシステムズ 社製 8905型 DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とする DNAを調 製することちでさる。
[0033] 上記のようにして取得される DNAとして、例えば、配列番号 9〜16、 36、 39、 40お よび 44で表される塩基配列を有する DNAをあげることができる。
上記した DNAを組み込むベクターとしては、 pBluescriptll KS (+) (ストラタジーン社 製)、 pDIRECT[Nucleic Acids Res., 18, 6069 (1990)]、 pCR- Script Amp SK(+) (ストラ タジーン社製)、 pT7Blue (ノバジェン社製)、 pCR II (インビトロジェン社製)および pCR -TRAP (ジーンノヽンター社製)などをあげることができる。
[0034] 上記宿主細胞としては、ェシエリヒア属に属する微生物などをあげることができる。
ェシエリヒア属に属する微生物としては、例えば、ェシエリヒア'コリ XL1-Blue、ェシェ
リヒア.コリ XL2— Blueゝェシエリヒア'コリ DH1、ェシエリヒア'コリ MC1000、ェシエリヒア 'コリ ATCC 12435、ェシエリヒア'コリ W1485、ェシエリヒア'コリ JM109、ェシエリヒア' コリ HB101、ェシエリヒア'コリ No.49、ェシエリヒア'コリ W3110、ェシエリヒア'コリ NY4 9、ェシエリヒア'コリ MP347、ェシエリヒア'コリ NM522、ェシエリヒア'コリ ME8415等を あげることができる。
[0035] 組換え体 DNAの導入方法としては、上記宿主細胞へ DNAを導入する方法であれ ばいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法 [Proc. Natl. Ac ad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭 63- 248394)、エレクトロボレ ーシヨン法 [Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
上記方法によって得られる本発明の製造法に用いられる DNAを保有する微生物と しては、例えば配列番号 1で表される配列を有する DNAを含有する組換え体 DNA を保有する微生物であるェシエリヒア'コリ NM522/pPE43をあげることができる。
(ii)アミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製
本発明のジペプチドの製造法で用いられるアミノ酸を生産する能力を有する微生 物は、 1種以上のアミノ酸を生産する能力を有する微生物であれば 、ずれの微生物 であってもよぐ該微生物としては自然界から分離された株自身が該能力を有する場 合は該株そのもの、公知の方法により所望のジペプチドを構成するアミノ酸のうちの 少なくとも 1種のアミノ酸を生産する能力を人為的に付与した微生物などをあげること ができる。
[0036] 当該公知の方法としては、
(a)アミノ酸の生合成を制御する機構の少なくとも 1つを緩和または解除する方法、
(b)アミノ酸の生合成に関与する酵素の少なくとも 1つを発現強化する方法、
(c)アミノ酸の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも 1つのコピー数を増カロさせ る方法、
(d)アミノ酸の生合成経路カも該アミノ酸以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少 なくとも 1つを弱化または遮断する方法、および
(e)野生型株に比べ、アミノ酸のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する 方法、
などをあげることができ、上記公知の方法は単独または組み合わせて用いることがで きる。
[0037] 上記(a)については、例えば Agric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)、 J. BacterioL, 110, 761- 763(1972)および Appl. Microbiol. BiotechnoL, 39, 318- 323(1993)などに、 上記(b)については、例えば Agric. Biol. Chem., 43, 105- 111(1979)および J. Bacteri ol., 110, 761- 763(1972)などに、上記(c)については、例えば Appl. Microbiol. Biotec hnol., 39, 318- 323(1993)および Agric. Biol. Chem., 39, 371- 377(1987)などに、上記 (d)については、例えば Appl. Environ. MicribioL, 38, 181- 190(1979)および Agric. Bi ol. Chem., 42, 1773- 1778(1978)などに、上記(e)については、例えば Agric. Biol. Ch em" 36, 1675—1684(1972)、 Agric. Biol. Chem., 41, 109—116(1977)、 Agric. Biol. Che m., 37, 2013- 2023(1973)および Agri Biol. Chem., 51, 2089- 2094(1987)などに記載 されている。上記文献等を参考に各種アミノ酸を生産する能力を有する微生物を調 製することができる。
[0038] さらに上記 (a)〜(e)のいずれか、または組み合わせた方法によるアミノ酸を生産す る能力を有する微生物の調製方法については、 Biotechnology 2nd ed., Vol.6, Produ cts of Primary Metabolism (Vし H Verlagsgesellschaft mbH, Weinneim, 1996) section 14a, 14bや Advances in Biochemical Engineering/ Biotechnology 79, 1-35 (2003)、 アミノ酸発酵、学会出版センター、相田 浩ら(1986)に多くの例が記載されており、ま た上記以外にも具体的なアミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製方法は、特 開 2003- 164297、 Agric. Biol. Chem., 39, 153-160 (1975)、 Agric. Biol. Chem., 39, 1 149-1153(1975)、特開昭 58- 13599、 J. Gen. Appl. Microbiol, 4, 272-283(1958)、特 開昭 63- 94985、 Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)、 W097/15673,特開昭 56 -18596、特開昭 56-144092および特表 2003-511086など数多くの報告があり、上記文 献等を参照することにより 1種以上のアミノ酸を生産する能力を有する微生物を調製 することができる。
[0039] 上記方法によって調製することができるアミノ酸を生産する能力を有する微生物とし ては、例えば L グルタミン生産菌として、 glnE遺伝子および Zまたは glnS遺伝子が 欠損した微生物、 Lーァラニン生産菌として、ァラニン脱水素酵素遺伝子 ( 遺伝子
)の発現が強化された微生物、 L プロリン生産微生物として、フエ二ルァラニンの脱 感作型 遺伝子および Zまたはチロシンの脱感作型^ mE遺伝子を発現する微生 物などをあげることができる。
上記したアミノ酸を生成、蓄積する微生物としては、上記 (a)〜(e)の方法が適用す ることができる微生物または上記遺伝的形質を有する微生物であればいずれの微生 物であってもよぐ好ましくは原核生物、より好ましくは細菌をあげることができる。 原核生物としては、ェシエリヒア(Escherichia)属、セラチア(Serratia)属、バチルス 属、ブレビパクテリゥム(Brevibacterium)属、コリネパクテリゥム(Corvnebacterium)鼠 、ミクロノくクテリウム属(Microbacterium)、シユードモナス(Pseudomonas)属、ァグロノく クテリゥム (Aerobacterium)属、アリシクロバチルス属 (Alicvclobacillus)、アナべナ(^Π abaena)属、アナシスティス (Anacvstis)属、ァスロバクタ一(Arthrobacter)属、ァゾトバ クタ一 (Azotobacter)属、クロマチゥム (Chromatium)属、エノレビ-ァ (Erwinia)属、メチ ロノ クテリウム(Methylobacterium)属、フォノレミディゥム(Phormidium)属、口ドノくクタ一 (Rhodobacter)属、ロドシユードモナス(RhodoDseudomonas)属、ロドスピリゥム(Rhodo spirillum)属、セネデスムス (Scenedesmus)属、ストレプトマイセス (Streptomvces)属、 シネコッカス (Svnechoccus)属、ザィモモナス(Zvmomonas)属等に属する微牛.物、例 えば、ェシエリヒア'コリ、バチルス ·サチリス(Bacillus subtilis)、バチルス 'メガテリゥム (Bacillus megaterium 、パテルス 'ァ ロリケファンエンス (Bacillus amvlonauefaciens ) 、バチルス ·コアギュランス (Bacilluscoagulans)、バチルス ·リケ-フオルミス (Bacillus H cheniformis)、バチノレス ·プミノレス (Bacillus pumilus)、ブレビバタテリゥム ·アンモニア ゲネス (Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビノ クテリゥム.イマリオフイノレム (Brevib actenum immariophilum)、ブレヒノヽクァリゥム 'サッカロレアィカム (Brevibacterium sac charolvticum)、ブレビノ クテリゥム 'フラノくム (Brevibacterium flavum)、ブレビノ クテリ ゥム .ラクトフアーメンタム (Brevibacterium lactofermentum)、コリネノ クテリゥム ·グノレタ ミカム (Corvnebacterium glutamicum)、コリネバタテリゥム ·ァセトァシドフイノレム (Cory nebactenum acetoacidophilum)、 クロノグ" 7"リウム · ,ンモ二" 7フイノレム (Microbacten urn ammoniaphilum)、セラチア ·フィカリア (Serratia ficaria)、セラチア ·フォンチコラ erratiafonticola)、セラチア'リケファシエンス (Serratia liauefaciens) ,セラチア'マノレセ
ッセンス (Serratia marcescens)、シュ ~~ドモナス ·エルギノ1 ~~サ (Pseudomonas aerugin osa)、シユードモナス ·プチダ (Pseudomonas putida)、ァグロバタテリゥム ·ラジオバタ タ' ~~ (Agrobactenum radiobacter)、 ,グロノヽクァリゥム ·リゾン ~~ンス (Agrobactenum r hizogenes)、ァグロパクテリゥム ·ルビ(Agrobacterium rubi)、アナべナ'シリンドリカ( nabaena cvnndrica)、 ,ナペナ · リオノレム (Anabaena doliolum)、 ,ナペナ ·フロスゾ クァ Anabaenaflos-aquae)、アースロノくクタ一 ·才ーレツセンス (Arthrobacter auresce ns)ゝアースロバクタ一 ·シトレウス (Arthrobacter citreus)、アースロバクタ一 ·グロブフ オノレミス (Arthrobacter globformis)、アースロバクタ一 ·ヒドロカーボグルタミカス (Arthr obacter hvdrocarboglutamicus)、 ~~スロノ、クタ1 ~~ ' ソレンス (Arthrobacter mvsorens アースロバクタ一 ·ニコチアナ (Arthrobacter nicotianae)、アースロバクタ一'パラフ イネウス (Arthrobacter paraffineus)、アースロノくクタ一 ·プロトフオノレミエ (Arthrobacter protophormiae)ゝ 7 ~~スロノくクタ1 ~~ ·ロセオノヽフノィナス (Arthrobacter roseoparaffinu s)、アースロバクタ一'スルフレウス (Arthrobacter sullureus)、アースロバクタ一 ·ウレ ァファシエンス (Arthrobacter ureafaciens)、クロマテゥム ·ブァリ (Chromatium buderi )、クロマチゥム ·テピダム (Chromatium tepidum)、クロマチゥム ·ビノサム (Chromatiu m vinosum ゝクロマチゥム 'ヮーミンキ (Chromatium warmingii)ゝクロマテゥム ·フノレビ ァタティレ (Chromatium fluviatile)、エノレビユア ·ウレドノくラ (Erwinia uredovora)、ェノレ ビ-ァ '力ロトノ ラ (Erwinia carotovora)、エノレビニァ ·ァナス (Erwinia ananas)、エノレビ 二了 .ヘリコラ (Erwinia herbicola)、エノレビユア ·ノ ンクタタ (Erwinia punctata)、エノレビ 二 Ύ 'テレウス (Erwinia terreus)、メチロノくクテリゥム .口デシァナム (Methvlobacterium rhodesianum)、メチロノ クテリゥム ·ェクソトノレクェンス (Methvlobacterium extorquens )、フオルミディウム ·エスピー(Phormidium sp.) ATCC29409、ロドパクタ^ ~ ·力プスラ タス (Rhodobacter capsulatus)、ロトノヽクタ1 ~~ 'スフエロづァス (Rhodobacter sphaeroide s)、ロドシユードモナス'ブラスチカ (Rhodopseudomonas blastica)、ロドシユードモナス •マリナ (Rhodopseudomonas marina;、口卜ンュ ~~ドモナス ·ノヽルストリス (Rhodopseudo monas palustris)、ロドスピリゥム .リブラム (Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリゥム .サ レキシゲンス (Rhodospirillum salexigens)、ロドスピリゥム 'サリナラム (Rhodospirillum s alinarumj)、ストレプトマイセス'アンボファシエンス(§treetomyces ambofaciens)、ストレ
プトマイセス ·才ーレ才ファシエンス (Streptomvces aureofaciens) 、ストレプトマイセス •ァゥレウス (Streptomvces aureus)、ストレプトマイセス ·フンジシディカス (Streptomvc es fungicidicus)、ス卜レプ卜マイセス ·グリセォクロモケナス (Streptomvces gnseocnrom ogenes)、ストレプトマイセス ·グリセウス (Streptomvces griseus)、ストレプトマイセス ·リ ビダンス (Streptomvces lividans)、ストレプトマイセス 'オリボグリセウス (Streptomvces olivogriseus)、ストレプトマイセス ·ラメウス (Streptomvces rameus)、ストレプトマイセス .タナシェンシス (Streptomvces tanashiensis)、ストレプトマイセス ·ビナセウス (Strepto mvces vinaceus 、ザィモモナス .モビリス (Zvmomonas mobnis)等をめけること; 0でさ、 好ましい原核生物としては、ェシエリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバタテリ ゥム属、コリネバクテリウム属、シユードモナス属またはストレブトマイセス属等に属す る細菌、例えば上記したェシエリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバタテリゥム 属、コリネバクテリウム属、シユードモナス属またはストレブトマイセス属等に属する種 をあげることができ、より好ましい細菌としてはェシエリヒア'コリ、コリネバクテリウム'グ ルタミクム、コリネバクテリウム'アンモニアゲネス、コリネバタテリゥム 'ラタトフアーメンタ ム、コリネバタテリゥム 'フラバム、コリネバタテリゥム 'エフイシエンス、バチルス'サチル ス、バチルス 'メガテリゥム、セラチア'マルセッセンス、シユードモナス'プチダ、シユー ドモナス ·エルギノーサ、ストレプトマイセス ·セリカラーまたはストレプトミセス ·リビダン スをあげることができ、特に好ましくはェシエリヒア'コリをあげることができる。
アミノ酸を生産する微生物の具体例としては、 L—グルタミン生産株としてェシエリヒ ァ 'コリ JGLE1およびェシエリヒア 'コリ JGLBE1など、 L ァラニン生産株として 遺 伝子発現プラスミドを保持するェシエリヒア'コリ JM101株など、 L フエ二ルァラニン 生産株として PPHEA2および Zまたは 2E遺伝子発現プラスミドを保有するェシエリ ヒア'コリ JM101株など、 L—グルタミンおよび Lーァラニン生産株として 遺伝子発 現プラスミドを保持するェシエリヒア 'コリ JGLE1およびェシエリヒア 'コリ JGLBE1など、 L ァラニンおよび L フエ-ルァラニン生産株として 遺伝子発現プラスミドおよび 脱感作型 遺伝子および,または脱感作型 ^遺伝子発現プラスミドを保持す るェシエリヒア'コリ JM101など、 L—スレオニンおよび L フエ-ルァラニン生産株とし て脱感作型 §Δ遺伝子および Zまたは脱感作型 ^遺伝子発現プラスミドを保持
する ATCC21277株などをあげることができる。
[0042] さらに、アミノ酸を生産する能力を有する微生物の具体的例としては、 L ダルタミ ン酸生産株として FERM BP-5807および ATCC13032など、 L—グルタミン生産株とし て FERM P- 4806および ATCC14751など、 L—スレオニン生産株として ATCC21148、 ATCC21277および ATCC21650など、 L リジン生産株として FERM P- 5084および A TCC13286など、 L—メチォニン生産株として FERM P- 5479、 VKPM B- 2175および A TCC21608など、 L—イソロイシン生産株として FERM BP- 3757および ATCC14310な ど、 L—パリン生産株として ATCC13005および ATCC19561など、 L一口イシン生産株 として FERM BP- 4704および ATCC21302など、 L ァラニン生産株として FERM BP- 4 121および ATCC15108など、 Lーセリン生産株として ATCC21523および FERM BP- 65 76など、 L—プロリン生産株として FERM BP- 2807および ATCC19224など、 L—アル ギニン生産株として FERM P-5616および ATCC21831など、 L—オル-チン生産株と して ATCC13232など、 L ヒスチジン生産株として FERM BP-6674および ATCC2160 7など、 L トリプトファン生産株として DSM10118、 DSM10121, DSM10123および FER M BP- 1777など、 L フエ-ルァラニン生産株として ATCC13281および ATCC21669 など、 L チロシン生産株として ATCC21652など、 L—システィン生産株として W3110 /pHC34(特表 2003-511086記載)など、 L—4ーヒドロキシプロリン生産株として W096/ 27669記載のェシエリヒア'コリ SOLR/pRH71など、 L— 3 ヒドロキシプロリン生産株と して FERM BP-5026および FERM BP-5409など、 L シトルリン生産株として FERM P -5643および FERM P-1645などをあげることができる。
[0043] なお、上記の FERM番号で表される菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特 許生物寄託センター(日本)、 ATCC番号で表される菌株は、 American Type Culture Collection (米国)、 VKPM番号で表される菌株は、 Russian National Collection of In dustnal iicroorganisms (ロシア)、 DSM番 で表される歯株は Deutsche Sammlung v on Mikroorganismen und Zellkulturen (ドイツ)力らそれぞれ入手することができる。 (iii) 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産する能 力を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸を生産する能力 を有する微生物の調製
1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産する能力 を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸を生産する能力を 有する微生物は、
(a)上記 GOの方法で調製することができる 1種以上のアミノ酸を生産する能力を有す る微生物に、上記 (0の方法で調製することができる 1種以上のアミノ酸力 ジペプチド を生成する活性を有する蛋白質をコードする DNAを導入する方法、
(b)上記 (0の方法で調製することができる 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成す る活性を有する蛋白質をコードする DNAを導入した微生物に、上記 GOの方法により 1種以上のアミノ酸を生産する能力を付与する方法、
(c)元来 1種以上のアミノ酸を生産する能力を有する微生物に、上記 (0の方法により 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質をコードする DNA を導入する方法、または
(d)元来 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産す る能力を有する微生物に、上記 GOの方法により 1種以上のアミノ酸を生産する能力を 付与する方法、
などにより調製することができる。
[0044] 上記 (i)の方法で調製することができる 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成す る活性を有する蛋白質をコードする DNAを微生物に導入することにより、該微生物 に 1種以上のアミノ酸カもジペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産する能力 を付与することができる。微生物に 1種以上のアミノ酸カもジペプチドを生成する活性 を有する蛋白質を生産する能力を付与する方法としては、モレキュラー 'クローユング 第 3版、カレント'プロトコールズ'イン'モレキュラー 'バイオロジー等に記載された方 法等を用い、例えば以下の方法により、上記 (i)の方法で調製した DNAを宿主細胞 中で発現させる方法をあげることができる。
[0045] 上記 (i)の方法で調製した DNAをもとにして、必要に応じて、蛋白質をコードする 部分を含む適当な長さの DNA断片を調製する。また、該蛋白質をコードする部分の 塩基配列を、宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換することにより、該 蛋白質の生産率を向上させることができる。
該 DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、 組換え体 DNAを作製する。
[0046] 該組換え体 DNAを、該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより、該 蛋白質を生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、目的とする遺伝子を発現できる微生物であればいずれも用いる ことができ、好ましくは原核生物、より好ましくは細菌をあげることができる。好ましい 原核生物としては上記 GOの原核生物をあげることができる。
[0047] 該微生物は、 1種以上のアミノ酸を生産する能力を有して 、てもよ 、し、該能力を有 して!/、なくてもよ!、。該能力を有して!/、な!/、微生物を宿主細胞として用いた場合は、 上記方法で得られる組換え体 DNAを下記の方法により該微生物に導入して形質転 換体を調製した後、上記 (ii)の方法により該形質転換体に 1以上のアミノ酸を生産す る能力を付与することにより、本発明の製造法で用いられる微生物を取得することが できる。
[0048] 発現ベクターとしては、微生物の細胞において自立複製可能ないしは染色体中へ の組込が可能で、本発明の製造法に用いられる DNAを転写できる位置にプロモー ターを含有して ヽるものが用いられる。
原核生物を宿主細胞として用いる場合は、本発明の製造法に用いられる DNAを 有する組換え体 DNAは、原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモータ 一、リボソーム結合配列、本発明の製造法に用いられる DNA、転写終結配列より構 成された組換え体 DNAであることが好ま U、。プロモーターを制御する遺伝子が含 まれていてもよい。
[0049] 発現ベクターとしては、 pBTrp2、 pBTacl、 pBTac2 (いずれもベーリンガーマンハイ ム社製)、 pHelixl (ロシュ'ダイァグノステイタス社製)、 pKK233-2 (アマシャム'ファノレ マシア'バイオテク社製)、 pSE280 (インビトロジェン社製)、 pGEMEX-Ι (プロメガ社製 )、 pQE-8 (キアゲン社製)、 pET-3 (ノバジェン社製)、 pKYPIO (特開昭 58- 110600)、 p KYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)]、 pLSAl[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1 989)]、 pGELl[Proc. Natl. Acad. Sci" USA, 82, 4306 (1985)]、 pBluescriptll SK(+)、 p Bluescript II KS (-) (ストラタジーン社製)、 pTrS30 [ェシエリヒア'コリ JM109/pTrS30(F
ERM BP- 5407)より調製]、 pTrS32 [ェシエリヒア'コリ JM109/pTrS32(FERM BP- 5408) より調製]、 pPAC31 (W098/12343), pUC19 [Gene, 33, 103 (1985)]、 pSTV28(タカラ バイオ社製)、 pUC118 (タカラバィォ社製)、 pPAl (特開昭 63- 233798)、 pWH1520 (M oBiTec社製)、 pCS299P (WO 00/63388)、 pVLT31 [Gene, 123, 17 (1993)]および plj 702 (uenetic Manipulation of Streptomyces: a Laboratory Manuahjohn Innes Founda tion)等を例示することができる。
[0050] ェシエリヒア属に属する微生物を宿主細胞として用いる場合、プロモーターとしては 、ェシエリヒア'コリ内で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、 プロ モーター(P )、 lac;プロモーター(P )、 Pプロモーター、 Pプロモーター、 P プロモ t lac L R SE 一ター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、 SPOlプロモーター、 S P02プロモーター、 penPプロモーター等をあげることができる。また P を 2つ直列さ
trp
せたプロモーター、 プロモーター、 lacT7プロモーター、 let Iプロモーターのように 人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
[0051] さらにバチルス属に属する微生物中で発現させるための !Δプロモーター [Appl.
Microbiol. BiotechnoL, 35, 594-599 (1991)]、コリネバタテリゥム属に属する微生物中 で発現させるための P54- 6プロモーター [Appl. Microbiol. BiotechnoL, 53, 674-679 ( 2000)]、シユードモナス属に属する微生物中で発現させるための ia£プロモーター [G ene, 123, 17-24 (1993)]、ストレプトマイセス属に属する微生物中で発現させるため の xylAブロモ ' ~~タ' ~~ (uenetic Manipulation of Streptomyces: a Laboratory Manuahjo hn Innes Foundation)なども用いることができる。
[0052] リボソーム結合配列であるシャインーダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンと の間を適当な距離 (例えば 6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ま 、。 本発明の製造法に用いられる DNAを発現ベクターに結合させた組換え体 DNAに おいては、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終 結配列を配置することが好まし 、。
[0053] このような組換え体 DNAとしては、例えば pPE43をあげることができる。
組換え体 DNAの微生物細胞への導入方法としては、該細胞へ DNAを導入する 方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法 [Pr
oc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭 63- 248394)、 エレクト口ポレーシヨン法 [Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができ る。
[0054] また、上記 (c)の方法で用いられる、元来 1種以上のアミノ酸を生産する能力を有す る微生物としては、上記 (ii)のアミノ酸を生産する能力を有する公知の菌株などをあ げることができる。
また、上記 (d)の方法で用いられる、元来 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成 する活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物としては、(A)バチルス属 に属する微生物、より好ましくはバシリシン合成活性を有するバチルス属に属する微 生物、さらに好ましくはバチルス'サチリス、バチルス 'アミロリケファシエンス、バチル ス.コアギュランス、バチルス'リケニフォルミス、バチルス 'メガテリゥムおよびバチルス •プミルスカ なる群より選ばれる種に属する微生物、最も好ましくは、バチルス'サチ リス ATCC15245、バチルス ·サチリス ATCC6633、バチルス ·サチリス IAM1213、バチ ルス ·サチリス IAM1107、バチルス ·サチリス IAM1214、バチルス ·サチリス ATCC9466 、バチルス ·サチリス IAM1033、バチルス ·サチリス ATCC21555、バチルス ·アミ口リケ ファシエンス IFO3022およびバチルス ·プミルス NRRL B-12025からなる群より選ば れる株である微生物、および (B)ストレブトマイセス属に属する微生物、好ましくはァ ルポノルシンを生産する能力を有するストレプトマイセス属に属する微生物、より好ま しくはストレプトマイセス ·ァノレボラス (Streptomvces albulus)またはストレプトマイセス · ノウルセィ (Streptomvces noursei)に属する微生物をあげることができる。
(iv)ぺプチダーゼおよびペプチド取り込み活性を有する蛋白質の活性が低下または 喪失した微生物
本発明の製造法に用いられる微生物としては、上記 (iii)の方法により調製される微 生物において、 1種以上のぺプチダーゼおよび 1種以上のペプチド取り込み蛋白質 の活性が低下または喪失した微生物、または 3種以上のぺプチダーゼの活性が低下 または喪失した微生物をあげることができる。
[0055] 該微生物は、例えば (a) 1種以上のぺプチダーゼおよび 1種以上のペプチド取り込 み蛋白質の機能が低下または喪失した微生物、または 3種以上のぺプチダーゼの機
能が低下または喪失した微生物に、上記 (m)の方法により 1種以上のアミノ酸カもジ ペプチドを生成する活性を有する蛋白質を生産する能力、および該 1種以上のァミノ 酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸を生産する能力を付与する方法、(b)上記 (m)の 方法により調製することができる 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を 有する蛋白質を生産する能力、および該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種の アミノ酸を生産する能力を有する微生物の、 a) 1種以上のぺプチダーゼおよび 1種以 上のペプチド取り込み蛋白質、または b) 3種以上のぺプチダーゼ、の機能を低下ま たは喪失させる方法等により取得することができる。
[0056] 1種以上のぺプチダーゼおよび 1種以上のペプチド取り込み蛋白質の活性が低下 または喪失した微生物としては、該微生物が正常に生育できる限りにおいて、任意の
1種以上のぺプチダーゼおよび任意の 1種以上のペプチド取込み蛋白質の活性が 低下または喪失している微生物をあげることができ、好ましくは 1種以上 9種以下、よ り好ましくは 1種以上 7種以下、さらに好ましくは 1種以上 4種以下のぺプチダーゼの 活性が低下または喪失しており、かつ好ましくは 1種以上 5種以下、より好ましくは 1種 以上 3種以下、さらに好ましくは 1種以上 2種以下、特に好ましくは 1種のペプチド取 込み蛋白質の活性が低下または喪失している微生物をあげることができる。
[0057] 該微生物としては、より具体的には、該微生物のゲノム DNA上に存在するぺプチ ダーゼをコードする遺伝子(以下、ぺプチダーゼ遺伝子と略す)およびペプチド取り 込み蛋白質をコードする遺伝子(以下、ペプチド取り込み蛋白質遺伝子)のうち、 1種 以上のぺプチダーゼ遺伝子の塩基配列および 1種以上のペプチド取り込み蛋白質 遺伝子の塩基配列において、該塩基配列の全部または一部が欠失しているため、ま たは該塩基配列中に塩基の置換または付加があるために該ぺプチダーゼおよび該 ペプチド取り込み蛋白質の活性が低下または喪失した微生物をあげることができる。
[0058] ぺプチダーゼの活性が低下しているとは、上記した塩基の欠失、置換または付カロ がな 、遺伝子がコードするぺプチダーゼに比べ、ペプチド分解活性が低くなつて ヽ ることいい、通常は 80%以下、好ましくは 50%以下、より好ましくは 30%以下、さらに 好ましくは 20%以下、特に好ましくは 10%以下、最も好ましくは 5%以下に低下して いることをいう。
[0059] 微生物のペプチド分解活性は、基質となるペプチドと微生物菌体とを水性媒体中 に共存せしめ、ペプチド分解反応を行った後、残存しているペプチド量を公知の方 法、例えば HPLCなどを用いた分析法によって定量することにより測定することがで きる。
上記べプチダーゼとしては、ペプチド分解活性を有する蛋白質であればいずれで もよぐ好ましくはジペプチド分解活性が高い蛋白質、より好ましくはジぺプチダーゼ をあげることができる。
[0060] より具体的なぺプチダーゼとしては、例えばェシエリヒア'コリに存在する、配列番号 45で表されるアミノ酸配列を有する PepA、配列番号 46で表されるアミノ酸配列を有 する PepB、配列番号 47で表されるアミノ酸配列を有する PepD、配列番号 48で表さ れるアミノ酸配列を有する PepN、 PepP [GenBank accession no. (以下、 GenBankと略 す) AAC75946]、 PepQ (GenBank AAC76850)、 PepE (GenBank AAC76991)、 PepT (GenBank AAC74211)、 Dcp (GenBank AAC74611)および ladA (GenBank AAC7728 4)など、バチルス'サチリスに存在する AmpS (GenBank AFO 12285)、 PepT (GenBank X99339)、 YbaC (GenBank Z99104)、 YcdD (GenBank Z99105)、 YjbG (GenBank Z99 110)、 YkvY (GenBank Z99111)、 YqjE (GenBank Z99116)、 YwaD (GenBank Z99123) など、コリネバタテリゥム 'グルタミカムに存在する BAB97732、 BAB97858, BAB98080 、 BAB98880、 BAB98892、 BAB99013、 BAB99598および BAB99819 (いずれも日本 D NAデータバンクの登録番号)で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質などをあげるこ とができ、ジぺプチダーゼとしては、配列番号 45〜48で表されるアミノ酸配列を有す る PepA、 PepB、 PepDおよび PepN、並びに PepQ、 PepE, ladAをあげることができる。ま た、配列番号 45〜48のいずれかのアミノ酸配列と 80%以上、好ましくは 90%以上、 より好ましくは 95%以上の相同性を有し、かつべプチダーゼ活性を有する蛋白質も ジペプチド分解活性が高い蛋白質としてあげることができる。アミノ酸配列や塩基配 列の相同性は、上記した BLASTおよび FASTA等を用いて決定することができる。
[0061] また、ペプチド取り込み蛋白質の活性が低下しているとは、上記した塩基の欠失、 置換または付カ卩がない遺伝子がコードするペプチド取り込み蛋白質に比べ、ぺプチ ド取り込み活性が低くなつていることいい、通常は 80%以下、好ましくは 50%以下、
より好ましくは 30%以下、さらに好ましくは 20%以下、特に好ましくは 10%以下、最も 好ましくは 5%以下に低下して 、ることを 、う。
[0062] 微生物のペプチド取り込み活性は、基質となるペプチドと微生物菌体とを水性媒体 中に共存せしめ、ペプチド取り込み反応を行った後、水性媒体中に残存しているべ プチド量を公知の方法、例えば HPLCなどを用いた分析法によって定量することによ り測定することができる。
上記ペプチド取り込み蛋白質としては、染色体 DNA上でオペロンを形成する遺伝 子にコードされている蛋白質であり、細胞膜上で複合体を形成してペプチド取り込み 活性を発現する蛋白質、および単独の蛋白質としてペプチド取り込み活性を有する 蛋白質など、微生物のペプチド取り込みに関与している蛋白質であればいずれでも よぐ好ましくはジペプチド取り込み活性が高い蛋白質をあげることができる。
[0063] より具体的なペプチド取り込み蛋白質としては、例えばェシエリヒア'コリに存在する 配列番号 49で表されるアミノ酸配列を有する DppA、配列番号 50で表されるアミノ酸 配列を有する DppB、配列番号 51で表されるアミノ酸配列を有する DppC、配列番号 5 2で表されるアミノ酸配列を有する DppD、配列番号 53で表されるアミノ酸配列を有す る DppF、 OppA (GenBank AAC76569)、 OppB (GenBank AAC76568)、 OppC (GenBa nk AAC76567)、 OppD (GenBank AAC76566)、 OppF (GenBank AAC76565)、 YddO (GenBank AAC74556)、 YddP (GenBank AAC74557)、 YddQ (GenBank AAC74558) 、 YddR (GenBank AAC74559)、 YddS (GenBank AAC74560)、 YbiK (GenBank AAC7 3915)、 MppA (GenBank AAC74411)、 SapA (GenBank AAC74376)、 SapB (GenBank AAC74375)、 SapC (GenBank AAC74374)、 SapD (GenBank AAC74373)、および Sap F (GenBank AAC74372)など、バチルス'サチリスに存在する DppA (GenBank CAA40 002)、 DppB (GenBank CAA40003)、 DppC (GenBank CAA40004)、 DppD (GenBank CAA40005)、 DppE (GenBank CAA40006)、 OppA (GenBank CAA39787)、 OppB (G enBank CAA39788)、 OppC (GenBank CAA39789)、 OppD (GenBank CAA39790)、 OppF (GenBank CAA39791)、 AppA (GenBank CAA62358)、 AppB (GenBank CAA6 2359)、 AppC (GenBank CAA62360)、 AppD (GenBank CAA62356)、 AppF (GenBank CAA62357) , YclF (GenBank CAB12175)および YklD (GenBank CAB13157)など、
コリネバタテリゥム 'グルタミカムに存在する BAB99048、 BAB99383、 BAB99384、 BAB 99385、 BAB99713、 BAB99714, BAB99715、 BAB99830、 BAB99831、 BAB99832 (い ずれも日本 DNAデータバンクの登録番号)で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質 などをあげることができ、また、ジペプチド取り込み活性が高い蛋白質としては、配列 番号 49〜53で表されるアミノ酸配列を有する DppA、 DppB、 DppC、 DppD、 DppFお よびそれらいずれかのアミノ酸配列と 80%以上、好ましくは 90%以上、より好ましくは 95%以上の相同性を有する蛋白質もペプチド取り込み活性が高いペプチド取り込 み蛋白質としてあげることができる。
[0064] 上記アミノ酸配列の相同性は、上記した BLASTや FASTA等のプログラムを用いて 決定することができる。
3種以上のぺプチダーゼの活性が低下または喪失して 、る微生物としては、該微 生物が正常に生育できる限りにおいて、任意の 3種以上のぺプチダーゼの活性が低 下または喪失している微生物をあげることができ、好ましくは 3種以上 9種以下、より 好ましくは 3種以上 6種以下、さらに好ましくは 3種または 4種のぺプチダーゼの活性 が低下または喪失している微生物をあげることができる。
[0065] 具体的なぺプチダーゼとしては、上記したェシエリヒア'コリ、バチルス ·サチリスおよ びコリネバクテリウム.ダルタミカムに存在するぺプチダーゼおよびジぺプチダーゼを あげることができる。また、配列番号 45〜48のいずれかのアミノ酸配列と 80%以上、 好ましくは 90%以上、より好ましくは 95%以上の相同性を有するアミノ酸配列からな り、かつべプチダーゼ活性を有する蛋白質もジペプチド分解活性が高 ヽ蛋白質とし てあげることができる。
[0066] 上記アミノ酸配列の相同性は、上記した BLASTや FASTA等のプログラムを用いて 決定することができる。
(V)ぺプチダーゼおよびペプチド取り込み蛋白質の活性が低下または喪失した微生 物の調製
ぺプチダーゼおよびペプチド取り込み蛋白質の活性が低下または喪失した微生物 は、該微生物を取得できる方法であれば、その取得方法に制限はないが、例えば以 下に示す微生物の染色体 DNAのぺプチダーゼ遺伝子やペプチド取り込み蛋白質
遺伝子に塩基の欠失、置換または付加を導入する方法により取得することができる。
[0067] 微生物の染色体 DNAの遺伝子に塩基の欠失、置換または付加を導入する方法と しては、相同組換えを利用した方法をあげることができる。一般的な相同組換えを利 用した方法としては、塩基の欠失、置換または付加が導入された変異遺伝子を、塩 基の欠失等を導入した ヽ宿主細胞内では自
ヽ薬剤耐性遺伝子を有す るプラスミド DNAと連結して作製できる相同組換え用プラスミドを用いる方法をあげる ことができる。
[0068] 該相同組換え用プラスミドを常法により宿主細胞に導入した後、薬剤耐性を指標に して相同組換えによって染色体 DNA上に該相同組換え用プラスミドが組込まれた形 質転換株を選択する。得られた形質転換株を該薬剤を含有しな!ヽ培地で数時間〜 1 日間培養した後、該薬剤含有寒天培地、および該薬剤非含有寒天培地に塗布し、 前者の培地で生育せず、後者の培地で生育できる株を選択することで、染色体 DN A上において 2回目の相同組換えが生じた株を取得することができる。染色体 DNA 上の欠失等を導入した遺伝子が存在する領域の塩基配列を決定することで、染色体
DNA上の目的遺伝子に塩基の欠失、置換または付加が導入されたことを確認する ことができる。
[0069] 上記方法により、染色体 DNA上の目的遺伝子に塩基の欠失、置換または付加を 導入することができる微生物としては、例えばェシエリヒア属、バチルス属またはコリネ ノ クテリゥム属に属する微生物をあげることができる。
また、複数の遺伝子に効率よく塩基の欠失、置換または付加を導入する相同組換 えを利用した方法としては、直鎖 DNAを用いた方法をあげることができる。
[0070] 具体的には、塩基の欠失、置換または付加を導入したい遺伝子を含有する直鎖 D NAを細胞内に取り込ませ、染色体 DNAと導入した直鎖 DNAとの間で相同組換え が起こさせる方法である。本方法は、直鎖 DNAを効率よく取り込む微生物であれば 、いずれの微生物にも適用でき、好ましい微生物としてはェシエリヒア属またはバチ ルス属に属する微生物、より好ましくはェシエリヒア'コリ、さらに好ましくはえファージ 由来の組換えタンパク質群 (Red組換え系)を発現しているシエリヒア'コリをあげるこ とがでさる。
[0071] λ Red組換え系を発現しているェシエリヒア'コリとしては、 λ Red組換え系遺伝子 を有するプラスミド DNAである pKD46 [ェシエリヒア'コリジェネティックストックセンタ 一(米国エール大学)より入手可能]を保有するェシエリヒア'コリ JM101株等をあげる ことができる。
相同組換えに用いられる DNAとしては、
(a)塩基の欠失、置換または付加の導入対象である染色体 DNA上の領域の両外側 に存在する DNAに位置する DNAと相同性を有する DNAを、薬剤耐性遺伝子の両 端に有する直鎖 DNA、
(b)塩基の欠失、置換または付加の導入対象である染色体 DNA上の領域の両外側 に存在する DNAと相同性を有する DNAを直接連結した直鎖 DNA、
(c)薬剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子を有 する DNAの両端に、塩基の欠失、置換または付加の導入対象である染色体 DNA 上の領域の両外側に存在する DNAと相同性を有する DN Aを有する直鎖 DNA、
(d)上記 (a)の直鎖 DNAにお 、て、薬剤耐性遺伝子と染色体 DNA上の領域の両 外側に存在する DNAと相同性を有する DNAの間に、さらに酵母由来の Flp recombi nase [Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 82, 5875 (1985)〕が認識する塩基配列を有する D NA、
をあげることができる。
[0072] 薬剤耐性遺伝子としては、宿主微生物が感受性を示す薬剤に対し、薬剤耐性を付 与する薬剤耐性遺伝子であれば、 ヽずれの薬剤耐性遺伝子も使用することができる 。宿主微生物にェシエリヒア'コリを用いた場合は、薬剤耐性遺伝子としては、例えば 、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフエ-コール耐性遺伝子、ゲンタマイシン耐性遺 伝子、スぺクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子およびアンピシリ ン耐性遺伝子等をあげることができる。
[0073] ネガティブセレクションに用いることができる遺伝子とは、宿主微生物で該遺伝子を 発現させたとき、一定培養条件下においては、該微生物に致死的である遺伝子のこ とをいい、該遺伝子としては例えば、バチルス属に属する微生物由来の^遺伝子〔 Appl. Environ. Microbiol, 59, 1361- 1366 (1993)〕、およびェシエリヒア属に属する微
生物由来の 遺伝子 [Genomics, 72, 99-104(2001)〕等をあげることができる。
[0074] 上記の直鎖 DNAの両末端に存在する、染色体 DNA上の置換または欠失の導入 対象となる領域の両端の外側に存在する DNAと相同性を有する DNAは、直鎖 DN Aにおいて、染色体 DNA上の方向と同じ方向に配置され、その長さは 10bp〜100bp 程度が好ましぐ 20bp〜50bp程度がより好ましぐ 30〜40bp程度がさらに好ましい。 酵母由来の Flp recombinaseが認識する塩基配列とは、該蛋白質が認識し、相同組 換えを触媒する塩基配列であれば、特に限定されないが、好ましくは配列番号 54で 表される塩基配列を有する DNA、および該 DNAにお ヽて 1個〜数個の塩基が欠失 、置換または付加された塩基配列を有し、かつ酵母由来の Hp recombinaseが認識し 、相同組換えを触媒する塩基配列を有する DNAをあげることができる。
[0075] 相同性を有するとは、上記直鎖 DNAが、染色体 DNA上の目的とする領域におい て、相同組換えが起こる程度の相同性を有することであり、具体的な相同性としては 、 80%以上、好ましくは 90%以上、より好ましくは 95%以上、さらに好ましくは 100% の相同性をあげることができる。
上記塩基配列の相同性は、上記した BLASTや FASTA等のプログラムを用いて決定 することができる。
[0076] 上記直鎖 DNAは、 PCRにより作製することができる。また上記直鎖 DNAを含む D NAをプラスミド上にて構築した後、制限酵素処理にて目的の直鎖 DNAを得ることも できる。
微生物の染色体 DNAに塩基の欠失、置換または付加を導入する方法としては、 以下の方法 1〜4があげられる。
方法 1:上記 (a)または (d)の直鎖 DNAを宿主微生物に導入し、薬剤耐性を指標に 該直鎖 DNAが染色体 DNA上に相同組換えにより挿入された形質転換株を選択す る方法。
方法 2:上記方法 1により取得された形質転換株に、上記 (b)の直鎖 DNAを導入し、 該方法により染色体 DNA上に挿入された薬剤遺伝子を削除することにより、微生物 の染色体 DNA上の領域を置換または欠失させる方法。
方法 3 :
[ 1 ]上記 (c)の直鎖 DNAを宿主微生物に導入し、薬剤耐性を指標に該直鎖 DNA が染色体 DNA上に相同組換えにより挿入された形質転換株を選択する、
[2]染色体 DNA上の置換または欠失の対象領域の両端の外側に位置する DNAと 相同性を有する DNAを、染色体 DNA上における方向と同一の方向で連結した DN Aを合成し、上記 [1]で得られた形質転換株に導入する、
[3]ネガティブセレクションに用いることができる遺伝子が発現する条件下において、 上記 [2]の操作を行った形質転換株を培養し、該培養において生育可能な株を、薬 剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子が染色体 D NA上から削除された株として選択する方法。
方法 4 :
[ 1 ]上記 (d)の直鎖 DNAを宿主微生物に導入し、薬剤耐性を指標に該直鎖 DNA が染色体 DNA上に相同組換えにより挿入された形質転換株を選択する、
[2]上記 [ 1 ]で得られた形質転^ に Hp recombinase遺伝子発現プラスミドを導入 し、該遺伝子を発現させた後、上記 [1]で用いた薬剤に感受性である株を取得する 方法。
[0077] 上記方法で用いられる、直鎖 DNAを宿主微生物に導入する方法としては、該微生 物へ DNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムィ オンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)〕、プロトプラスト法( 特開昭 63- 248394)、エレクト口ポレーシヨン法 [Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)〕 等をあげることができる。
[0078] 方法 2または方法 3 [2]で用いられる直鎖 DNAにおいて、該 DNAの中央部付近に 、染色体 DNA上に挿入した 、任意の遺伝子を組み込こんだ直鎖 DNAを用いること により、薬剤耐性遺伝子等を削除するのと同時に、任意の遺伝子を染色体 DNA上 に挿入することができる。
上記方法 2〜4では、最終的に得られる形質転換株の染色体 DNA上には薬剤耐 性遺伝子およびネガティブセレクションに用いることができる遺伝子等の外来遺伝子 を残さな 、方法であるため、同一の薬剤耐性遺伝子およびネガティブセレクションに 用いることができる遺伝子を用いて、該方法の操作を繰り返すことにより、容易に染色
体 DNA上の位置の異なる 2以上の領域に塩基の欠失、置換または付加を有する微 生物を製造することができる。
(vi)本発明のジペプチドの製造法
上記 (m)および (V)の方法により得られる微生物を培地に培養し、培養物中にジぺ プチドを生成、蓄積させ、該培養物力 ジペプチドを採取することにより、ジペプチド を製造することができる。
[0079] 該微生物を培地に培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従 つて行うことができる。
すなわち、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生 物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地の!/ヽずれも用いること ができる。
該培地には、目的とするジペプチドを構成するアミノ酸が含まれる必要はないが、 天然培地、またはアミノ酸要求性株を培養するための培地には該アミノ酸が含まれて いる場合もある。本発明の製造法に用いられる培地には、本発明で用いられる微生 物力 その成育に必要とする量のアミノ酸が含まれていてもよい。すなわち、通常の 培地に含まれるアミノ酸の量は、本発明の製造法で用いられる微生物によって生産さ れる該アミノ酸の量に比べ非常に少ないので、通常の培地に含まれる該アミノ酸の量 は、該アミノ酸の有無により、本願発明により製造されるジペプチドの生産量が変わる ほどの量ではなぐよって本発明の製造法に用いられる培地にはその程度の該ァミノ 酸が含まれていてもよい。
[0080] 本発明に用いられる培地に含まれるアミノ酸量としては、例えば天然培地あれば通 常は 2.5g/L未満、好ましくは 0.5g/L以下、より好ましくは 0.1g/L以下、さらに好ましく は 20mg/L以下の該アミノ酸、合成培地であれば通常は lg/L以下、好ましくは 50mg/ L以下、より好ましくは lmg/L以下、さらに好ましくは 0.5mg/L以下の該アミノ酸は含ま れていてもよい。ただし、本願発明の製造法により、 2種の異なるアミノ酸力もなるジぺ プチドを製造する場合であって、用いられる微生物が該ジペプチドを構成するァミノ 酸うちの 1種のアミノ酸を生産する能力しか有して 、な 、場合、本発明で用いられる 培地に、該微生物が生産することができない残りの 1種のアミノ酸を添加してもよい。
このとき添加するアミノ酸の量は、通常 0.5g/L〜100g/L、好ましくは 2g/L〜50g/Lで ある。
[0081] 炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよぐグルコース、フラクトース 、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭 水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール 類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ-ゥム、硫酸アンモ-ゥム、酢酸アンモ- ゥム、リン酸アンモ-ゥム等の無機酸もしくは有機酸のアンモ-ゥム塩、その他の含窒 素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカ一、カゼィ ン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化 物等を用いることができる。
[0082] 無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸 マグネシウム、塩ィ匕ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム 等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養 温度は 15〜40°Cがよぐ培養時間は、通常 5時間〜 7日間である。培養中 pHは 3.0〜9 .0に保持する。 pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシ ゥム、アンモニア等を用いて行う。
[0083] また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に 添カロしてちょい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微 生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例 えば、 1 ^プロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するとき にはイソプロピル一 β—D—チォガラタトピラノシド等を、 imプロモーターを用いた発 現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地 に添カ卩してもよい。
[0084] 上記方法で製造されるジペプチドとしては、 1種または 2種のアミノ酸が a結合した ジペプチドをあげることができ、好ましくは該アミノ酸が L—アミノ酸またはグリシンであ
るジペプチド、より好ましくは、式 (I)
R1 - R2 (I)
で表されるジペプチドにおいて R1および R2が同一または異なって、 Lーァラニン(L-A la)、 L グルタミン(L- Gin)、 L グルタミン酸(L- Glu)、グリシンの )、 L—パリン(L- Val)、 L ロイシン(L- Leu)、 L—イソロイシン(L- Ile)、 L—プロリン(L- Pro)、 L フエ -ルァラ-ン(L- Phe)、 L—トリプトファン(L- Trp)、: L—メチォニン(L- Met)、 L—セリ ン(L- Ser)、 Lースレオ-ン(L- Thr)、 L—システィン(L- Cys)、 Lーァスパラギン(L- A sn)、 L チロシン(L- Tyr)、 L リジン(L- Lys)、 L アルギ-ン(L- Arg)、 L ヒスチ ジン(L- His)、 Lーァスパラギン酸(L- Asp)、 L aーァミノ酪酸(L- α - AB)、 L— 4 ヒドロキシプロリン(L- 4- HYP)、 L— 3—ヒドロキシプロリン(L- 3- HYP)、 L—オル-チ ン(L-Orn)および L シトルリン(L- Cit)力も選ばれるアミノ酸であるジペプチド、さら に好ましくは R1が L- Ala、 Gly、 L- Met、 L- Serまたは L- Thrの場合は、 R2が L- Gln、 L- G lu、 Gly、 L-VaU L- Leu、 L- Ile、 L- Pro、 L- Phe、 L- Trp、 L- Met、 L- Ser、 L- Thr、 L-Cys 、 L-Asn, L-Tyr, L-Lys, L- Arg、 L- His、 L- Asp、 L- a ~A 、 L- 4- HYP、 L- 3- HYP、 L - Ornまたは L-Citであるジペプチド、特に好ましくは、 R1が L-Alaの場合は、 R2は L-G1 n、 Gly、 L-VaU L- Leu、 L- Ile、 L- Phe、 L- Trp、 L- Met、 L- Ser、 L- Thr、 L- Cys、 L- Asn 、 L- Tyr、 L- Lys、 L- Arg、 L- His、 L- α -ABまたは L- Citであるジペプチド、 R1が Glyの 場合は、 R2は L- Gln、 Gly, L- Phe、 L- Trp、 L- Met、 L- Ser、 L- Thr、 L- Cys、 L- Tyr、 L- Lys, L- Arg、 L- a -ABまたは L- Citであるジペプチド、 R1が L- Metの場合は、 R2は L- Phe、 L- Met、 L- Cys、 L- Tyr、 L- Lysまたは L- Hisであるジペプチド、 R1が L- Serの場 合は、 R2は L— Gln、 Gly, L— Pheゝ L— Metゝ L— Ser、 L— Thr、 L— Tyr、 L— Hisまたは L— a—A Bであるジペプチド、 R1が L- Thrの場合は、 R2は L- Gln、 L- Leu、 L- Phe、 L- Met、 L- Se r、 L-Thrまたは L- a -ABであるジペプチド、 R1が L-Glnの場合は、 R2は L-Pheまたは L - a -ABであるジペプチド、 R1が L-Pheの場合は、 R2は L-Glnであるジペプチド、 R1が L-Trpの場合は、 R2は Glyであるジペプチド、 R1が L-Cysの場合は、 R2は L-Ala、 L-G1 n、 Gly、または L-Metであるジペプチド、 R1が L-Lysの場合は、 R2は L-Ala、 Glyまたは L-Metであるジペプチド、 R1が L-Argの場合は、 R2は L- α -ABであるジペプチド、 R1 が L-Hisである場合は、 R2は L-Metであるジペプチド、および R1が L- α -ABの場合は
、 R2は L- Ala、 L- Gln、 Gly、 L- Ser、 L- Thr、 L- Argまたは L- a - ABであるジペプチドを あげることができ、最も好ましくは L—ァラ -ル一 L—ァラニン(L-Ala-L-Ala)、 L—ァ ラ-ル -L—グルタミン(L- Ala- L- Gin)、 L—ァラ -ル- L—フエ-ルァラニン(L- Ala- L - Phe)、 L—スレオ-ル- L—フエ-ルァラニン(L- Thr- L- Phe)、 L—ァラ -ル一 L—チ 口シン(L- Ala- L- Tyr)、 L—ァラ -ル一 L—メチォニン(L- Ala- L- Met)、 L—ァラ-ル — L—パリン(L- Ala- L- Val)、 L—ァラ -ル一イソロイシン(L- Ala- L- lie)、: L—ァラ- ル— L—ロイシン(L- Ala- L- Leu)および L—セリ -ル— L—フエ-ルァラニン(L- Ser- L-Phe)をあげることができる。
[0085] 培養物中に生成、蓄積したジペプチドの採取は、活性炭やイオン交換榭脂などを 用いる通常の方法あるいは、有機溶媒による抽出、結晶化、薄層クロマトグラフィー、 高速液体クロマトグラフィー等により行うことができる。
以下に、 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する活性を有する蛋白質をコード する DNA取得法等の実験例を示すが、該 DNAの取得法等は該実験例に限定され るものではない。
実験例 1 データベースを利用したジペプチド合成活性を有する蛋白質の検索 バチルス'サチリス 168株由来の D-Ala-D-Alaリガーゼ遺伝子のアミノ酸配列 [Nat ure, 390, 249-256 (1997) ]をクエリーとして、バチルス'サチリス 168株のゲノム DNA のデータベースである Subtilist(http:〃 genolist.pasteur. fr/SubtiList/)のホモロジ一 検索機能を用いて、バチルス'サチリス 168株のゲノム DN A配列中に存在する相同 性を有する蛋白質をコードする遺伝子を検索した。
[0086] その結果抽出された配列のうち、 D-Ala-D-Alaリガーゼモチーフ [Biochemistry, 30 , 1673 (1991) ]である配列番号 33、 34または 35で表されるアミノ酸配列をコードし、 かつ既にその機能が同定されている蛋白質をコードする遺伝子を排除したもののうち 、 D-Ala-D-Alaリガーゼモチーフと最も高い相同性 (29.1%)を示すものとして機能未 知遺伝子 y Eを選択した。
[0087] ; mffiの塩基配列を配列番号 9、該塩基配列にコードされる蛋白質のアミノ酸配列を 配列番号 1に示した。
実験例 2 ^遺伝子発現株の造成
実験例 lで得られた塩基配列情報に従い、バチルス ·サチリスの; mffi遺伝子断片を 以下のようにして取得した。
[0088] まず、バチルス ·サチリス 168株(ATCC 23857)を LB培地 [lOg/1バタトトリプトン(デ ィフコ社製)、 5g/lイーストエキス (ディフコ社製)、 5g/l塩ィ匕ナトリウム]に植菌し 30°C で一晚静置培養した。培養後、カレント 'プロトコールズ'イン'モレキユラ一'バイオ口 ジ一に記載の飽和フ ノールを用いる方法により、該微生物の染色体 DNAを単離 精製した。
[0089] パーセプティブ ·バイオシステムズ (Perseptive Biosystems)社製 8905型 DNA合成 機を用いて、配列番号 19〜22で表される塩基配列を有する DNA (以下、それぞれ プライマー A、プライマー B、プライマー Cおよびプライマー Dと呼ぶ)を合成した。プ ライマー Aは、バチルス'サチリスの染色体 DNAの; mffiの開始コドンを含む領域の 5' 末端に 20 l認識配列を含む塩基配列を付加したものである。プライマー Bは、 vwffiの 終止コドンを含む配列と相補的な塩基配列の 5'末端に E lHI認識配列を含む塩基 配列を付カ卩したものである。またプライマー Cは、 1mプロモーターを含む発現べクタ 一 pTrS30 [ェシエリヒア'コリ JM109/pTrS30(FERM BP- 5407)より調製]の プロモー ター領域の塩基配列の 5'末端に EmRI認識配列を含む塩基配列を付加したものであ る。プライマー Dは、 1mプロモーターを含む発現ベクター pTrS30の lmプロモーター 領域の配列と相補的な配列の 5'末端に0 l認識配列を含む塩基配列を付加したも のである。
[0090] ; mffi遺伝子断片の増幅には上記のプライマー Aおよびプライマー B、铸型としてバ チルス ·サチリスの染色体 DN Aを用 、、 1mプロモーター領域の断片の増幅にはプラ イマ一 Cおよびプライマー D、铸型として pTrS30を用いて PCRを行った。 PCRは、铸 型として 0.1 μ gの染色体 DNAまたは 10ngの pTrS30、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2. 5 unitsの Efii DNAポリメラーゼ (ストラタジーン社製)、 4 μ Lの DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 (ストラタジーン社製)、各 200 mol/Lの dNTP(dATP、 dGTP、 dCTPおよび d TTP)を含む反応液 Lを調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間のェ 程を 30回繰り返すことにより行った。
[0091] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、プライマー Aおよびプライマー B
を用 、た PCRでは ^遺伝子断片に相当する約 1.4kb、プライマー Cおよびプライマ 一 Dを用いた反応では imプロモーター領域の DNA断片に相当する約 0.3kbの DNA 断片がそれぞれ増幅していることを確認した後、残りの反応液と等量の TE[10 mmol/ L Tris- HCl(pH8.0)、 lmmol/L EDTA]飽和フエノール/クロ口ホルム(lvol/lvol)溶液 を添加し、混合した。該溶液を遠心分離して得られた上層に、 2倍容量の冷エタノー ルを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿さ せた後、該 DNAを Lの TEに溶解した。
[0092] 該溶解液それぞれ 5 μ Lを用い、プライマー Αおよびプライマー Βで増幅した DNA を制限酵素02lおよび S lHIで、またプライマー Cおよびプライマー Dで増幅した D NAを制限酵素 EmRIおよび 20 lで切断し、ァガロースゲル電気泳動により DNA断 片を分離した後、ジーンクリーン IIキット(GENECLEAN II kit, BIO 101社製)を用い て、; mffiを含む 1.4kbおよび lmプロモーター領域を含む 0.3kbの DNA断片をそれぞ れ回収した。
[0093] 1mプロモーターを含む発現ベクター pTrS30 [ェシエリヒア'コリ JM109/pTrS30(FER M BP- 5407)より調製] 0.2 μ gを制限酵素 E^RIおよび E lHIで切断後、ァガロースゲ ル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法により 4.5kbの DNA断片を 回収した。
上記で得られた ϊ Εを含む 1.4kb断片、 lmプロモーター領域を含む 0.3kb断片およ び 4.5kbの断片をライゲーシヨンキット (タカラノィォ社製)を用いて、 16°Cで 16時間反 応させ連結した。
[0094] 該反応液を用いてェシエリヒア'コリ NM522株 (ストラタジーン社製)を、カルシウムィ オンを用いる方法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]によって形質転換 した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養し た。
生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制 限酵素を用いてその構造を解析することにより、 tmプロモーター下流に; mffiが連結 された発現ベクターである PPE43が取得されていることを確認した(図 1)。
実験例 3 ジペプチドの生産
実験例 2で得られた pPE43を保有するェシエリヒア'コリ NM522 (ェシエリヒア'コリ N M522/pPE43株)を 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地が入った太型試験 管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得した。
[0095] 終濃度 60mg/mlの該湿菌体、 120mmol/Lのリン酸カリウムバッファー(pH7.4)、 60m mol/Lの塩化マグネシウム、 60mmol/Lの ATP、 30mmol/Lの L- Ala、 30mmol/Lの L- Gl n、 0.4%のナイミーン S— 215からなる 0.1mlの反応液を調製し、 37°Cで 3分間反応を 行った。
反応終了後、反応生成物をジニトロフエノール化法で誘導体化した後に HPLC法に より分析した。 HPLC法による分析は、分離カラムに関東ィ匕学社製の Lichrosorb- RP- 18カラムを用い、溶離液として 1%(ν/ν)リン酸、 25%(v/v)ァセトニトリルを用い、 0.7ml /分の流動速度で行った。その結果反応液中に 120mg/Lの L -ァラ-ル— L—グルタ ミン(L-Ala-L-Gln)が生成蓄積して 、ることを確認した。
[0096] 対照菌株であるベクターのみを含むェシエリヒア 'コリ NM522/pTrS30株の菌体では L-Ala-L-Glnの生成は認められなかった。
実験例 4 C末端 Hisタグ付加型組換え型ジペプチド合成酵素の精製
上記 DNA合成機を用いて、配列番号 23および 24で表される塩基配列を有する D NA (以下、それぞれプライマー E、プライマー Fと呼ぶ)を合成した。プライマー Eは、 ϊ Εの開始コドン (atg)を tol認識配列(ccaigg)に置換した領域を含む塩基配列で ある。プライマー Fは、 γ Εの終止コドンを EamHl認識配列(gg tcc)に置換した領域 を含む塩基配列である。
バチルス'サチリス 168株(ATCC 23857)の染色体 DNAを铸型とし、上記プライマー Eおよびプライマー Fをプライマーセットとして用いて PCRを行った。 PCRは、 0.1 μ g の染色体 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの DNAポリメラーゼ、 4 L の Efii DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 μ mol/Lの各 dNTPを含む反応液 40 μ L を調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間の工程を 30回繰り返すことによ り行った。
[0097] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、 y E断片に相当する約 1.4kbの 断片が増幅して 、ることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/クロロホ
ルム溶液を添加し、混合した。該溶液を遠心分離して得られた上層に、 2倍容量の冷 エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得られ た DNAの沈殿を 20 μ Lの ΤΕに溶解した。
[0098] 該溶解液 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素 および S iHIで切断し、ァガ ロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットを用いて、 y Eを含む 1.4kbの DNA断片を回収した。
C末端 Hisタグ付加型組換え体発現ベクター pQE60 (キアゲン社製) 0.2gを制限酵 素 21および β ΐΗΙで切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、 上記と同様の方法により 3.4kbの DNA断片を回収した。
[0099] 上記で得られた γ Εを含む 1.4kbの DNA断片と 3.4kbの DNA断片をライゲーシヨン キットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結した。
該連結反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用いる方法 によって形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 3
0°Cでー晚培養した。
[0100] 生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、 制限酵素を用いてその構造を解析することにより、 C末 Hisタグ付加型 発現べクタ 一である pQE60ywffiが取得されていることを確認した(図 2)。
pQE60ywffiを保有するェシエリヒア'コリ NM522 (ェシエリヒア'コリ NM522/pQE60y wffi株)を、 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地の入った太型試験管に接種 し 28°Cで 17時間培養した。該培養液を 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 50mlの LB培地 の入った 250ml容三角フラスコに接種し 30°Cで 3時間培養した後、終濃度が lmmol/L になるようにイソプロピル一 β—D—チォガラタトピラノシド (IPTG)を添カロし、さらに 30 °Cで 4時間培養した。該培養液を遠心分離して湿菌体を取得し、該湿菌体から、 His Trap (Hisタグ付カ卩タンパク精製キット、 Amersham Pharmasia Biotech社製)を用いて、 説明書に従い Hisタグ付加組換え型酵素を精製した。
実験例 5 Hisタグ付加組換え型酵素を用いたジペプチドの生産(1)
(i)実験例 4で取得した精製した Hisタグ付加組換え型酵素 0.04mg、 100mmol/Lの Tr is- HCl(pH8.0)、 60mmol/Lの塩化マグネシウム、 60mmol/Lの ATP、 30mmol/Lの L- Al
a、 30mmol/Lの L- Ginからなる 0.1mlの反応液を調製し、 37°Cで 16時間反応を行った。
[0101] 反応終了後、上記実験例 3と同様の方法により反応生成物を分析し、反応液中に 3 .7g/Lの L- Ala - L- Ginと 0.3g/Lの L -ァラ-ル L ァラニン(L- Ala - L- Ala)が生 成蓄積して 、ることを確認した。
(ii)酵素を 0.01mg、 L- Ginの代わりに L- Phe、 L- Met、 L- Leuまたは L- Valを含有する 以外は、上記 (i)の反応液の組成と同じ反応液を調製し、上記 (i)の反応条件で反応 させた。
[0102] 反応終了後、上記実験例 3と同様の方法により反応生成物を分析し、反応液中に それぞれ、 7.0g/Lの L ァラ -ル一 L フエ-ルァラニン(L- Ala— L- Phe)のみ、 7.0g /Lの L -ァラ-ル L メチォニン(L- Ala— L- Met)および 0.03g/Lの L- Ala - L- Ala 、 5.0g/Lの L -ァラ-ル L ロイシン(L- Ala - L- Leu)および 0.2g/Lの L- Ala— L- Al a、または 1.6g/Lの L ァラ-ルー L—パリン(L- Ala— L- Val)および 0.3g/Lの L- Ala— L-Alaが生成蓄積して 、ることを確認した。
(iii)酵素を 0.01mg、 L- Alaの代わりに Gly、 L- Ginの代わりに L- Pheまたは L- Metを含 有する以外は、上記 (i)の反応液の組成と同じ反応液を調製し、上記 (i)の反応条件 で反応させた。
[0103] 反応終了後、上記実験例 3と同様の方法により反応生成物を分析し、反応液中に それぞれ 5.2g/Lのグリシル— L フエ-ルァラニン(Gly— L-Phe)または l.lg/Lのグリ シル— L—メチォニン(Gly— L-Met)が生成蓄積していることを確認した。
上記反応液組成から ATPを除くとジペプチドは全く生成されなカゝつた。
以上の結果から、 vwffi遣伝子産物は、 ATP存在下において、 L-Alaと L-Gln、 L-Phe 、 L— Met、 L— Leuまたは L— Valとから、 L— Ala— L— Ginおよび L— Ala— L— Ala、 L— Ala—L— Phe、 L— Ala— L— Metおよび L— Ala— L— Ala、 L— Ala— L— Leuおよび L— Ala— L— Ala、また は L-Ala— L-Valおよび L-Ala— L-Alaを生成する活性、 Glyと L- Pheまたは L- Metとか ら Gly— L-Pheまたは Gly— L-Metを生成する活性を有することが明らかになった。 実験例 6 Hisタグ付加組換え型酵素を用いたジペプチドの生産(2)
実験例 4で得られた精製した Hisタグ付加組換え型酵素 0.04mg、 100mmol/Lの Tris - HCl(pH8.0)、 60mmol/Lの塩化マグネシウム、 60mmol/Lの ATPからなる 0.1mlの反応
液を調製し、表 1の第 1行目と最左列のアミノ酸の組み合わせ力 なる各種 Lーァミノ 酸、 Glyまたは jS -Alaをそれぞれ 30mmol/Lずつになるように反応液に添カ卩し、 37°Cで 16時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を HPLC分析したところ、表 1に示す ジペプチドが生成して 、ることが確認された。
[0104] [表 1-1] 表 1 1
[0105] [表 1-2]
[表 1-3] 表 1 3
表 1の第 1行目と最左列に記載の 2種類 (もしくは 1種類)の L—アミノ酸、 Glyまたは β -Alaを基質として反応した場合に生成したジペプチドを枠内に記載した。〇は配 列は未確定だがジペプチドが生成したこと、 Xはジペプチドの生成が確認されな力つ
たこと、および空欄は未実施を示す。
実験例 7 Hisタグ付加組換え型酵素発現株を用いたジペプチドの生産
実験例 4で得られたェシエリヒア'コリ NM522/pQE60ywffi株を 50 μ g/mlのアンピシリ ンを含む 8mlの LB培地の入った太型試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培 養液を 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 50mlの LB培地の入った 250ml容三角フラスコ に接種し 30°Cで 3時間培養した後、終濃度が lmmol/Lになるように IPTGを添加し、さ らに 30°Cで 4時間培養した。該培養液を遠心分離し湿菌体を取得した。
[0108] 200g/Lの湿菌体、 50g/Lのグルコース、 5g/Lのフィチン酸(33%の濃水酸化ナトリウ ム溶液を用いて中性になるよう希釈)、 15g/Lのリン酸二水素カリウム、 5g/Lの硫酸マ グネシゥム · 7水和物、 4g/Lのナイミーン S-215、 10ml/Lのキシレン、 200mmol/Lの L- Ala、 200mmol/Lの L- Ginからなる 20mlの反応液(pH7.2)を 50ml容量のビーカーに入 れ、 32°C、 900rpmの条件下で 2時間反応を行った。反応中は 2mol/Lの水酸ィ匕カリウ ムを用いて反応液の pHを 7.2に保った。
[0109] 反応生成物を実験例 3記載の方法と同様の方法で分析したところ、 25mg/Lの L-A1 a— L-Glnの蓄積が確認された。
実験例 8 バチルス属に属する各種微生物カゝらの; mffi遺伝子に相当する遺伝子のク ローニングとその解析
配列番号 9で表される塩基配列に基づき、バチルス'サチリス ATCC15245、 ATCC6 633、 IAM1213, IAM1107, IAM1214, ATCC9466、 IAM1033、 ATCC21555、バチルス •アミ口リケファシエンス IFO3022,およびバチルス ·プミルス NRRL B- 12025に存在 する y E遺伝子に相当する遺伝子を以下のようにして取得した。
[0110] まず、バチルス'サチルス ATCC15245, ATCC6633、 IAM1213, IAM1107, IAM121 4、 ATCC9466、 IAM1033、 ATCC21555、バチルス 'アミロリケファシエンス IFO3022、 およびバチルス'プミルス NRRL B-12025をそれぞれ LB培地に植菌し 30°Cでー晚静 置培養した。培養後、カレント 'プロトコールズ'イン'モレキュラー 'バイオロジーに記 載の飽和フ ノールを用いる方法により、該微生物の染色体 DNAをそれぞれ単離 精製した。
[0111] パーセプティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、配列番号 25
および 26で表される塩基配列を有する DNA (以下、それぞれプライマー G、プライマ 一 Hと呼ぶ)を合成した。プライマー Gは、バチルス'サチリス 168株の染色体 DNAの y Eの開始コドンより上流を含む領域の配列である。プライマー Ηは、 y Eの終止コ ドンより下流を含む配列と相補的な配列である。
[0112] バチノレス'サチノレス ATCC 15245, ATCC6633、 IAM1213, IAM1107, IAM1214, AT CC9466、 IAM1033、 ATCC21555、またはバチルス 'アミロリケファシエンス IFO3022 の染色体 DNAを铸型とし、上記プライマー Gおよびプライマー Hをプライマーセットと して用いて PCRを行った。 PCRは、 0.1 μ gの染色体 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマ 一、 2.5 unitsの DNAポリメラーゼ、 4 μ Lの DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 20 0 μ mol/Lの各 dNTPを含む反応液 40 μ Lを調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72 °Cで 3分間の工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0113] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、; mffi断片に相当する約 1.4kbの 断片が増幅して 、ることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/クロロホ ルム溶液を添加し、混合した。該溶液を遠心分離して得られた上層に、 2倍容量の冷 エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得られ た DNAの沈殿を 20 μ Lの ΤΕに溶解した。
[0114] 上記で得られた各菌株染色体 DNA由来の 1.4kb断片と pCR-blunt (インビトロジェ ン社製)を、ライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応を行い連結した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°C で一晩培養した。
[0115] 生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制 限酵素を用いてそれぞれの構造を解析することにより、; mffi遺伝子に相当する遺伝 子を含むプラスミドである pYWFEl (ATCC15245株由来、配列番号 36で表される塩 基配列を有する DNA)、 pYWFE2 (ATCC6633株由来、配列番号 10で表される塩基 配列を有する DNA)、 pYWFE3 (IAM1213株由来、配列番号 11で表される塩基配列 を有する DNA)、 pYWFE4 (IAM1107株由来、配列番号 12で表される塩基配列を有 する DNA)、 pYWFE5 (IAM1214株由来、配列番号 13で表される塩基配列を有する
DNA)、 pYWFE6 (ATCC9466株由来、配列番号 9で表される塩基配列を有する DN A)、 pYWFE7 (IAM1033株由来、配列番号 36で表される塩基配列を有する DNA)、 pYWFE8 (ATCC21555株由来、配列番号 14で表される塩基配列を有する DNA)、 p YWFE9 (IFO3022株由来、配列番号 15で表される塩基配列を有する DNA)が取得 されていることを確認した。
[0116] 一方、バチルス'プミルス NRRL B-12025由来の Eに相当する遺伝子(配列番号 16で表される塩基配列を有する DNA)は以下のように取得した。
上記で調製した NRRL B-12025株の染色体 DNAを铸型にし、配列番号 27および 2 8で表される塩基配列からなる DNAをプライマーセットとして用いて、 PCRを行った。 PCRは、 0.1 μ gの染色体 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの Z- taqポリメ ラーゼ (タカラノィォ社製)、 5 μ Lの Z- taqポリメラーゼ用 X 10緩衝液 (タカラノィォ社 製)、 200 μ mol/Lの各 dNTPを含む反応液 50 μ Lを調製し、 98°Cで 5秒間、 55°Cで 30 秒間、 72°Cで 1分間の工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0117] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、約 0.8kbの断片が増幅しているこ とを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/クロ口ホルム溶液を添カ卩し、混 合した。該混合液を遠心分離して得られた上層に、 2倍容量の冷エタノールを加えて 混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得られた DNAの沈殿を 20 μ Lの ΤΕ〖こ した。
[0118] 上記で得られた 0.8kb断片と pGEM T-easy (プロメガ社製)を、ライゲーシヨンキットを 用いて、 16°Cで 16時間反応を行い連結した。
該反応液を用いてェシエリヒア'コリ DH5 α株をカルシウムイオンを用いる方法によ つて形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°C で一晩培養した。
[0119] 上記で得られた形質転換体力ゝらプラスミドを抽出して、約 0.8kbの挿入 DNA断片の 塩基配列を決定したところ、配列番号 16で表される塩基配列中の塩基番号 358〜1 160番カ なる塩基配列が確認された。
次に該プラスミドを EmRIで切断した後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片 を分離した。該 DNA断片をジーンクリーン IIキットを用いて精製した。約 0.5 gの該
精製 DNA断片を、 DIG-ハイプライム DNAラベリング &デテクシヨンスターターキット I (ロシュ'ダイァグノステイタス社製)を用いて、 DIGラベルイ匕した。 DIGラベルイ匕は、該 キット添付の説明書に従って行った。
[0120] 上記で得られた DIGラベル化 DN Aを用いて、 NRRL B-12025株の染色体 DNAの サザン解析を行った。
NRRL B- 12025株の染色体 DNAを S lHI、 ECORL Hindlll, KpnL Pstl, Sacl, Sail および Iを用いてそれぞれ完全消化し、ァガロース電気泳動により DNA断片を分 離した後、常法に従いナイロンメンブレンプラスチャージ (ロシュ'ダイァグノステイタス 社製)に転移させた。
[0121] UVを照射することにより、該ナイロン膜に DNA断片を固定した後、上記プローブ D NAおよび該ナイロン膜を用いてサザンノヽイブリダィゼーシヨンを行った。
ハイブリダィゼーシヨンは、該プローブ DNAと該ナイロン膜を 65°Cで 16時間接触さ せ、その後該ナイロン膜を、 0.1%SDSおよび 2 X SSC力もなる溶液を用い、室温で 5分 間、 2回洗浄し、さらに 0.1%SDSおよび 0.5 X SSCからなる溶液を用い、 65°Cで 15分間 、 2回洗浄することで行い、その他の操作、条件およびハイブリダィズした DN Aの検 出は、上記した DIG-ハイプライム DNAラベリング &デテクシヨン スターターキット Iに 添付されている説明書に準じて行った。
[0122] その結果、 tUndlllおよび Egilの完全消化断片の 3.5kbp付近に発色が見られた。
次に、 NRRL B-12025株の染色体 DNAを Hindlllおよび Iを用いてそれぞれ完全 消化し、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した。それぞれの制限酵素 消化 DNAから 3-4kbpの断片をジーンクリーン IIキットを用いて精製し、ライゲーシヨン キットを用いて自己環化させた。
[0123] 上記で決定した 0.8kbの DNA断片の塩基配列に基づき、配列番号 29および 30で 表される塩基配列を設計、合成し、上記で取得した環化 DNAを铸型として PCRを行 つた。 PCRは、 10ngの環化 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの pyrobest ポリメラーゼ (タカラバイオ社製)、 5 μ Lの pyrobestポリメラーゼ用 X 10緩衝液 (タカラ バイオ社製)、 200 μ mol/Lの各 dNTPを含む反応液 50 μ Lを調製し、 98°Cで 5秒間、 5 5°Cで 30秒間、 72°Cで 3分 30秒間の工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0124] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、約 3.0kbの断片が増幅しているこ とを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/クロ口ホルム溶液を添カ卩し、混 合した。該混合液を遠心分離して得られた上層に、 2倍容量の冷エタノールを加えて 混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得られた DNAの沈殿を 20 μ Lの ΤΕ〖こ した。
[0125] 上記で得られた DNA断片と Zero Blunt PCR Cloning Kit (インビトロジェン社製)と をライゲーシヨンキットを用いて連結した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°C で一晩培養した。
[0126] 生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制 限酵素を用 ヽてその構造を解析することにより、 Ϊ Ε遺伝子に相当する遺伝子を含 むプラスミドである pYWFE10 (NRRL B-12025株由来、配列番号 16で表される塩基配 列を有する DNA)が得られて 、ることを確認した。
上記で得られた pYWFEl〜pYWFE10に含まれる y^遺伝子に相当する各遺伝子 の塩基配列を塩基配列分析装置 373Α· DNAシークェンサ一を用いて決定した。
[0127] pYWFEl、 pYWFE6および pYWFE7に含まれる遺伝子にコードされる蛋白質のァミノ 酸配列は、 ϊ Ε遺伝子にコードされる蛋白質のアミノ酸配列と同一であった力 PYW FE2、 pYWFE3、 pYWFE4、 pYWFE5、 pYWFE8、 pYWFE9および pYWFElOに含まれ る遺伝子にコードされる蛋白質のアミノ酸配列は、; mffi遺伝子にコードされる蛋白質 のアミノ酸配列と異なって 、た。
pYWFE2、 pYWFE3、 pYWFE4、 pYWFE5、 pYWFE8、 pYWFE9、 pYWFElOおよび pY WFE1と pYWFE7に含まれる 遺伝子に相当する遺伝子にコードされる蛋白質の アミノ酸配列を配列番号 2〜8および 1に、該遺伝子の塩基配列を配列番号 10〜16 および 36にそれぞれ示した。
実験例 9 C末端 Hisタグ付加型組換え型ジペプチド合成酵素の精製
バチノレス'サチノレス ATCC 15245, ATCC6633、 IAM1213, IAM1107, IAM1214, AT CC9466、 IAM1033、 ATCC21555、またはバチルス 'アミロリケファシエンス IFO3022
の染色体 DNAを铸型とし、実験例 2記載のプライマー Aおよびプライマー Bをプライ マーセットとして用いて PCRを行った。 PCRは、 0.1 μ gの染色体 DNA、 0.5 μ mol/L の各プライマー、 2.5 unitsの Efii DNAポリメラーゼ、 4 μ Lの DNAポリメラーゼ用 X 1 0緩衝液、 200 μ mol/Lの各 dNTPを含む反応液 40 μ Lを調製し、 94°Cで 1分間、 55°C で 2分間、 72°Cで 3分間の工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0128] バチルス ·プミルス NRRL B-12025の染色体 DNAを铸型とした場合は、配列番号 3 1および 32で表される塩基配列を有する DNAをプライマーセットとして用い、上記と 同様の条件で PCRを行った。
該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、; mffi断片に相当する約 1.4kbの DNA断片がそれぞれ増幅していることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエ ノール/クロ口ホルム溶液を添加し、混合した。該混合液を遠心分離して得られた上 層に、 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を 遠心分離して得られた DN Aの沈殿を 20 μ Lの TEに溶解した。
[0129] 該溶解液のそれぞれ 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素 Nmlおよび EamHiで 切断し、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキ ットを用いて、: mffi遺伝子に相当する遺伝子を含む 1.4kbの DNA断片を回収した。 次に C末端 Hisタグ付加型組換え体発現ベクター pQE60 0.2 gを制限酵素 tolお よび E lHIで切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同 様の方法により 3.4kbの DNA断片を回収した。
[0130] 上記で得られたバチルス ·サチルス 168株の E遺伝子に相当する遺伝子を含む 1.4kbの DNA断片、および 3.4kbの DNA断片をライゲーシヨンキットを用いて、 16°C で 16時間反応を行 ヽそれぞれ連結した。
該反応液を用いて大腸菌 NM522株をカルシウムイオンを用いる方法により形質転 換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養 した。
[0131] 生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制 限酵素を用いてそれらの構造を解析することにより、 C末 Hisタグ付加型遺伝子発現 ベクターである pQE60ywffil (ATCC15245由来の遺伝子を含有するベクター)、 pQE6
0ywffi2 (ATCC6633由来の遺伝子を含有するベクター)、 pQE60ywffi3 (IAM1213由来 の遺伝子を含有するベクター)、 pQE60ywffi4 (IAM1107由来の遺伝子を含有するべ クタ一)、 pQE60ywffi5 (IAM1214由来の遺伝子を含有するベクター)、 pQE60ywffi6 ( ATCC9466由来の遺伝子を含有するベクター)、 pQE60ywffi7 (IAM1033由来の遺伝 子を含有するベクター)、 pQE60ywffi8 (ATCC21555由来の遺伝子を含有するべクタ 一)、 pQE60ywffi9 (IFO3022由来の遺伝子を含有するベクター)、および pQE60ywffi 10 (NRRL B-12025由来の遺伝子を含有するベクター)が取得されていることを確認し た。
[0132] 上記で得られたェシエリヒア'コリ NM522/pQE60ywffil〜NM522/pQE60ywffil0株 を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地の入った太型試験管に接 種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液を 50 g/mlのアンピシリンを含む 50mlの LB 培地の入った 250ml容の三角フラスコに接種し 30°Cで 3時間培養した後、終濃度が 1 mmol/Lになるように IPTGを添カ卩し、さらに 30°Cで 4時間培養した。該培養液を遠心分 離して得られた湿菌体から、 HisTrapをその使用説明書に従って用いて、 Hisタグ付 加組換え型酵素を精製した。
実験例 10 精製酵素を用いたジペプチドの生産
実験例 9で得られた組換え型酵素 0.04mg、 100mmol/Lの Tris- HCl(pH8.0)、 60mmol /Lの塩化マグネシウム、 60mmol/Lの ATP、 30mmol/Lの L- Alaおよび 30mmol/Lの L- Ginからなる 0.1mlの反応液を調製し、 37°Cで 16時間反応を行った。
[0133] 反応終了後、実験例 3記載の方法により反応液を分析した結果、それぞれ、 3.0-3 .5g/Lの L- Ala— L- Ginおよび 0.25〜0.3g/Lの L- Ala— L- Alaが生成蓄積していること が確認された。
また、上記反応液組成から ATPを除くと L-Ala-L-Glnおよび L-Ala-L-Alaは全く生 成されなかった。
[0134] 以上の結果から、実験例 8で得られた遺伝子の産物は、いずれも ATP存在下で L- Alaと L-Glnとから L-Ala-L-Glnおよび L-Ala-L-Alaを生成する活性を有することが明 らかになつた。
実験例 11 遺伝子およびその類縁遺伝子の取得
ストレプトマイセス 'ノウルセィの^ 遺伝子の塩基配列 [Chemistry & Biol., 9, 1355 (2002)]に基づき、ストレプトマイセス 'ノウルセィおよびストレプトマイセス.アルボラス より^遺伝子およびその類縁遺伝子を、以下の方法で取得した。
[0135] まず、ストレプトマイセス 'ノウルセィ IFO 15452株とストレプトマイセス'アルボラス IFO 14147株を、それぞれ、 1%グリシン添カ卩した KM73培地 [2g/lイーストエキス(ディフコ社 製)、 lOg/1可溶性デンプン (和光純薬工業社製)]、 KP培地 [15g/lグルコース、 lOg/1 グリセロール、 lOg/1ポリペプトン (日本製薬株式会社製)、 lOg/1肉エキス (極東製薬 工業株式会社製)、 4g/l炭酸カルシウム]に植菌し 28°Cで一晩振とう培養した。なお、 ストレプトマイセス ·ノウルセィ IF015452株およびストレプトマイセス ·アルボラス IF014 147株は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 生物資源部門 [National Institut e of Technology and Evaluation (NITE) Biological Resource し enter (BRCj」 ( τ 292- 0 818 千葉県木更津巿かずさ鎌足 2— 5— 8)より分譲を受けた。
[0136] 培養後、 Genetic Manipulation of Streptomyces: a Laboratory Manuahjohn Innes F oundationに記載の方法に従って該微生物の染色体 DNAを単離精製した。
albC遣伝子の塩某配列に基づき、パーセプティブ ·バイオシステムズ社製 8905型 D NA合成機を用いて、配列番号 41および 42で表される塩基配列を有する DNA (以 下、それぞれプライマー J、プライマー Kと呼ぶ)を合成した。プライマー Jは、ストレプト マイセス ·ノウルセィの染色体 DNAの dhC遺伝子の開始コドンを含む領域の 5'末端 に Nml認識配列を含む塩基配列を付加したものである。プライマー Kは、 albC遣伝 子の終止コドンを含む配列と相補的な塩基配列の 5'末端に Π認識配列を含む塩 基配列を付加したものである。
[0137] 上記のプライマー Jおよびプライマー Kをプライマーセットに、铸型としてストトレプト マイセス ·ノウルセィまたはストレプトマイセス ·アルボラスの染色体 DN Aを用いて PC Rを行った。 PCRは、铸型として 0.1 μ gの染色体 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの Tafl DNAポリメラーゼ (タカラバイオ社製)、 5 μ Lの ExTaa DNAポリメラ ーゼ用 X 10緩衝液 (タカラバイオ社製)、各 200 μ mol/Lの dNTP、 5 μ Lのジメチルスル ホキシドを含む反応液 50 Lを調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 30秒間、 72°Cで 1分間 力もなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0138] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、約 0.7kbの DNA断片が増幅して
V、ることを確認した後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/クロ口ホルム溶液を 添加し、混合した。該溶液を遠心分離して得られた上層に、 2倍容量の冷エタノール を加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿させ た後、該 DNAをそれぞれ Lの TEに溶解した。
[0139] 該溶解液それぞれ 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素^ Iおよび Πで切断 し、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットを 用いて、 700bpの DNA断片をそれぞれ回収した。
ファージ T5プロモーターを含む発現ベクター pQE60 0.2 μ gを制限酵素 Ν^Ιおよび Πで切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方 法により 3.4kbの DNA断片を回収した。
[0140] 上記で得られた各放線菌由来の 0.7kb断片および pQE60由来の 3.4kbの断片をライ ゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結した。
該反応液を用いてェシエリヒア'コリ NM522株を、カルシウムイオンを用いる方法に よって形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30
°Cでー晚培養した。
[0141] 生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制 限酵素を用いてその構造を解析することにより、ファージ T5プロモーター下流にスト レプトマイセス ·ノウルセィ由来の DNAが連結された発現ベクターである pAL- nou、 およびストレプトマイセス ·アルブラス由来の DNAが連結された発現ベクターである p AL-albが取得されて!、ることを確認した(図 3)。
[0142] それぞれのプラスミドに挿入された放線菌由来の DNA部分の塩基配列を塩基配 列決定装置 373A.DNAシークェンサ一を使って決定したところ、 pAL_albには配列番 号 37で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする DNA、すなわち配列番号 39で表される塩基配列を有する DNAが含有され、 pAL-nouには配列番号 38で表さ れるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする DNA、すなわち配列番号 40で表され る塩基配列を有する DNAが含有されていることを確認した。
実験例 12菌体を酵素源に用いたジペプチドの製造
実験例 11で得られた pAL- nouまたは pAL- albを保有するェシエリヒア'コリ NM522 ( ェシエリヒア'コリ NM522/pAL- nou株または NM522/pAL- alb株)およびプラスミドを保 有しない NM522株を 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 10mlの LB培地が入った試験管( プラスミドを持たない株の場合にはアンピシリンは無添加、以下同様)に接種し、 30°C で 17時間培養した。この培養液 0.5mlを 50mlの LB培地が入った 250ml容の三角フラス コにそれぞれ植菌し、 30°Cで 1時間振とう培養した後、 IPTGを終濃度 lmmol/Lになる ように添加し、さらに 4時間培養を継続した。該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得 した。
[0143] 終濃度 100mg/mlの該湿菌体、 60mmol/Lのリン酸カリウムバッファー(pH7.2)、 10m mol/Lの塩化マグネシウム、 10mmol/Lの ATP、 lg/Lの L- Leu、 lg/Lの L- Pheからなる 3.0mlの反応液を調製し、 30°Cで反応を行った。反応 1時間後にサンプリングし、ァセ トニトリルを 20%(v/v)になるように加えた後、反応生成物を HPLCを用いて分析した。 H PLCによる分析は、分離カラムに ODS- HAカラム (YMC社製)、溶離液として 30%(v/v )ァセトニトリルを用い、流速 0.6ml/min、 215nmの紫外吸収を測定する条件で行った。
[0144] その結果、ェシエリヒア'コリ NM522/pAL-nou株の反応液中には 36.7mg/lのシクロ( L 口イシルー L—フエ-ルァラニン) [cyclo(L- Leu- L- Phe)]の蓄積が確認されたが、 ェシエリヒア'コリ NM522株の反応液中には cyclo(L- Leu- L- Phe)はまったく検出されな 力つた。同じ反応液を以下の条件で HPLCによって分析し、直鎖ジペプチド (以下、「 直鎖ジペプチド」は単に「ジペプチド」と称す)である L ロイシル L フエ二ルァラ ニン (L- Leu- L- Phe)および L—フエ-ルァラ-ルー L一口イシン (L- Phe- L- Leu)を測定 した。
[0145] 両ジペプチドは F-mocィ匕法で誘導体ィ匕した後に HPLCを用いて分析した。 HPLCに よる分析は、分離カラムに ODS- HG5 (野村ィ匕学社製)、溶離液として A液 (酢酸 6ml 1\ 20%(v/v)ァセトニトリル、トリェチルァミンにて pH4.8に調整)および B液 (酢酸 6 ml/l、 70%(v/v)ァセトニトリル、トリェチルァミンにて pH4.8調整)を用い、分析開始後 5分までは A液: B液 =8 : 2、 5分〜 20分までは、 20分経過したときに A液: B液 = 1: 1 になるようにリニアーグラジェントをかけ、流動速度 0.6ml/分、励起波長 254nm、蛍光 波長 630nmでジペプチドを検出する条件で行った。
[0146] その結果、ェシエリヒア'コリ NM522/pAL- nou株の反応液中には 21.9mg/Lの L- Leu - L-Pheと 12.0mg/Lの L-Phe-L-Leuが蓄積して!/、ることが確認された。また対照株とし て用いたェシエリヒア 'コリ NM522株の反応液中には!/、ずれのジペプチドも検出され なかった。
このことから、実験例 11で取得されたシクロジペプチド合成酵素はジペプチドを合 成する能力をもつことが明らかになった。
実験例 13 精製酵素を用いたジペプチドの製造(1)
実験例 12と同様にェシエリヒア'コリ NM522/pAL- nou株を培養した。培養終了後、 遠心分離によって湿菌体を取得し、 60mmol/Lのリン酸カリウムバッファー(pH7.2)で 洗浄後、 10mmol/Lイミダゾール含有 20mmol/Lリン酸カリウムバッファーに懸濁した。 この懸濁を 4°Cで超音波処理して菌体破砕液を取得した。この菌体破砕液 (10ml、蛋 白質 0.863mgを含む)をアマシャム社製 Hisタグ精製カラムに通塔し、 10mmol/Lのイミ ダゾールを含有する 20mmol/Lのリン酸カリウムバッファー 15mlを通塔することによる 洗浄を行い、 Hisタグつき dh£蛋白質をカラム内にて精製した。次にこの Hisタグ付き の albC蛋白質を保持するカラムに、実験例 12と同組成の反応液 (反応液組成: 60mm ol/Lのリン酸カリウムバッファー(pH7.2)、 10mmol/Lの塩化マグネシウム、 10mmol/L の ATP、 lg/Lの L-Leu、 lg/Lの L-Pheからなる反応液) 2mlを通塔し、カラム内に基質 を保持した状態で、 30°Cにて、インキュベートした。 24時間後、同組成の反応液 3mlで カラム内の反応液を溶出し、実験例 12と同様の方法により反応液中のシクロジぺプ チドおよびジペプチドを定量した。
[0147] その結果、 cyclo(L-Leu-L-Phe) 6.8mg/L、 L— Leu— L— Phe 28.7mg/Lおよび L— Phe— L -Leu 18.5mg/Lが生成していることが分力つた。 ATPを含まない反応液で同様にイン キュペートした場合は、シクロジペプチド、ジペプチドともに検出されな力つた。
実験例 14 精製酵素を用いたジペプチドの製造 (2)
基質のアミノ酸を他のアミノ酸に換える以外は実験例 13と同様の方法で酵素反応 を行い、生成物を分析した。反応液は、基質のアミノ酸を、 lg /Lの L-Ala、 L-Leuま たは L-Pheに置き換えた以外は実験例 13と同じ組成の溶液を用いた。
[0148] その結果、反応開始後 24時間で、それぞれ 9.41 mg/Lの L-Ala-L-Ala、 7.85mg/L
の L- Leu- L- Leu、または 5.20mg/Lの L- Phe- L- Pheが生成していることが分かった。 実験例 15 ^遺伝子の発現を強化した大腸菌の造成
パーセプティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、配列番号 84 〜87に記載の配列をそれぞれ有する DNA (以下、それぞれプライマー L、プライマ 一 M、プライマー N、プライマー O)を合成した。配列番号 84の配列は、プラスミド pQ E60ywffiの y E遺伝子のリボソーム結合配列であるシャインーダルガノ配列を含む領 域にっ 、て 5'側に0^1認識配列を含む配列を付カ卩したものである。配列番号 85の 配列は、 y E遺伝子の終止コドンを含む配列と相補的な配列の 5'側に S iHI認識配 列を含む配列を付カ卩したものである。また配列番号 86の配列は、 imプロモーターを 含む発現ベクター pTrS30の lmプロモーター領域の配列について 5'側に EmRI認識 配列を含む配列を付カ卩したものである。配列番号 87の配列は、 1mプロモーターを含 む発現ベクター pTrS30の lmプロモーター領域の配列と相補的な配列の 5'側に 20^1 認識配列を含む配列を付加したものである。
[0149] プラスミド pQE60ywffiを铸型とし、 y E遺伝子断片の増幅には上記のプライマー L およびプライマー Μを、 lmプロモーター領域の断片の増幅にはプライマー Νおよび プライマー Oをそれぞれプライマーセットとして用いた PCRを行った。 PCRは、 10ng の pQE60ywffi、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの Efii DNAポリメラーゼ、 4 L の Efii DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 μ mol/Lの各 dNTPを含む 40 μ Lの反応液 を調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返す ことにより行った。
[0150] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、プライマー Lおよびプライマー M を用 、た PCRでは ^遺伝子断片に相当する約 1.4kb、プライマー Nおよびプライマ 一 Oを用いた反応では imプロモーター領域の断片に相当する約 0.3kbの断片がそれ ぞれ増幅して 、ることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/クロ口ホル ム溶液を添加し、混合した。該溶液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタ ノールをカ卩えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得られた D NAを 20 μ 1の ΤΕに溶解した。
[0151] 上記で得られたそれぞれの DNA溶液 5 μ 1を用い、プライマー Lおよびプライマー
Mで増幅した DNAを制限酵素 20i2lおよび S lHIで、またプライマー Nおよびプライ マー oで増幅した DNAを制限酵素 EmRiおよび 20 iで切断し、ァガロースゲル電気 泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、それぞれ y E遺伝 子を含む 1.4kbおよび プロモーター領域を含む 0.3kbの DNA断片を回収した。
[0152] 0.2 μ gの lmプロモーターを含む発現ベクター PTrS30を制限酵素 E£2RIおよび E I HIで切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、同様に 4.5kbの DN A断片を回収した。
上記で得られた: mffi遺伝子を含む 1.4kb断片、 lmプロモーター領域を含む 0.3kb断 片および 4.5kbの断片をライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間、連結反応を行 つた o
[0153] 該反応液を用いて大腸菌 NM522株をカルシウムイオンを用いる方法によって形質 転換した後、アンピシリン g/mlを含む LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養 した。
生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、 im プロモーター下流に 遺伝子を含む発現ベクターである PPE56を得た。該ベクター の構造を制限酵素消化により確認した(図 4)。
実験例 16 DeDD遣伝子、 DeDN遣伝子、 DeDB遣伝子、 DeDA遣伝子および dDDオペ口 ン欠損株の作製
ェシエリヒア'コリ染色体 DNA上の特定遺伝子が欠損した菌株は、ラムダファージ の相同組換え系を利用した方法 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 6641-6645 (2000) ]に従って作製した。
[0154] 以下に記載のプラスミド pKD46、 pKD3および pCP20は、ェシエリヒア'コリジエネティ ックストックセンター(米国エール大学)から該プラスミドを保持するェシエリヒア 'コリ 株を入手し、当該株力 公知の方法により抽出して用いた。
(1)遺伝子欠損用 DNA断片のクローユング
エシ リヒア 'コリ K12株の染色体 DNA上に存在する配列番号 55で表される塩基配 列を有する 遺伝子、配列番号 56で表される塩基配列を有する 遺伝子、配 列番号 57で表される塩基配列を有する 遺伝子、配列番号 58で表される塩基配
列を有する 遺伝子および配列番号 59で表される塩基配列を有する 遺伝 子、配列番号 60で表される塩基配列を有する E 、配列番号 61で表される塩基配 列を有する EE^遺伝子、配列番号 62で表される塩基配列を有する 遺伝子およ び配列番号 63で表される塩基配列を有する 遺伝子を欠損させることを目的に、 パーセプティブ ·バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用 ヽ、ェシエリヒア 'コリ K12株の染色体 DNA上における各々の欠損標的遺伝子の上流および下流に位置 する 36bpからなる塩基配列と相同な塩基配列、および配列番号 54で表される酵母 由来 Flp recombinaseが認識する塩基配列を有する DNAを合成した。ただし、 ^ΕΕΔ 遺伝子、 dDDB遣伝子、 dDDC遣伝子、 dDDD遣伝子および dDDF遣伝子は、オペロンを 形成しているので、該ォペロンの上流および下流に位置する塩基配列と相同な塩基 配列を有する DNAを合成した。
[0155] すなわち、 EgED遺伝子欠損用 DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号 6 4および 65、 ESEN遺伝子欠損用 DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号 6 6および 67、 遺伝子欠損用 DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号 6 8および 69、 ESEE遺伝子欠損用 DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号 7 0および 71、 dmオペロン欠損用 DNA断片増幅用プライマーセットとして配列番号 7 2および 73で表される塩基配列からなる DNAをそれぞれ合成した。
[0156] 次に、上記合成 DNAをプライマーセットとして用い、 pKD3DNAを铸型として PCR を行った。 PCRは 10ngのプラスミド DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5unitsの £f u DNAポリメラーゼ、 4 μ Lの Efii DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 μ mol/Lの各 d eoxyNTPを含む Lの反応液を用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間 力もなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0157] それぞれの反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅して V、ることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カロし 、混合した。
該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cで 30分間放置した。該溶液を遠心分離し、 DeoD遣伝子、 DepN遣伝子、 ΡΘΡΒ» 伝子、 Ε^ΕΔ遺伝子および EEオペロン欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子含有
DNA断片を取得した。
( 2) 遺伝子欠損ェシエリヒア'コリ JM 101の作製
ェシエリヒア'コリ JM101株を pKD46で形質転換した後、 100mg/Lのアンピシリンを含 む LB寒天培地に塗布して、 30°Cで培養することで pKD46を保持するェシエリヒア 'コリ JM101株(以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pKD46と称す)を選択した。
[0158] プラスミド pKD46は、 λ Red recombinase遺伝子を有し、該遺伝子の発現は L-ァラビ ノースにより誘導することができる。よって、 L-ァラビノース存在下で生育させた pKD4 6を保有する大腸菌を、直鎖状 DNAを用いて形質転換すると、高頻度で相同組換え 力 S起こる。また pKD46は温度感受性の複製起点を有するために、 42°Cで生育させる ことにより、プラスミドを容易に脱落させることができる。
[0159] 10mmol/Lの L-ァラビノースと 50 μ g/mlのアンピシリンの存在下で培養して得られた ェシエリヒア'コリ JM101/pKD46に、電気パルス法により上記で取得した EgED遺伝子 欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子含有 DNA断片を導入し、大腸菌 JM101の染 色体 DNA上に ESED遺伝子欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子含有 DNA断片 が相同組換えにより組込まれた形質転 ·を 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む L B寒天培地 (バタトトリプトン 10g/L、バクトイーストエキストラタト 5g/L、塩化ナトリウム 5g/L、寒天 15g/L)に塗布し、 30°Cで培養することで選択した。
[0160] 選択したクロラムフエ-コール而性株を、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB 寒天培地に植菌し、 42°Cで 14時間培養した後、単コロニー分離した。得られた各コロ ニーを 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地、及び lOOmg/1のアンピシリ ンを含む LB寒天培地にレプリカし、 37°Cで培養し、クロラムフエ-コール耐性かつァ ンピシリン感受性を示すコロニーを選択することにより、 PKD46脱落株を取得した。
[0161] 次に上記で得られた pKD46脱落株を pCP20を用いて形質転換し、 lOOmg/1のアンピ シリンを含む LB寒天培地上で選択することにより、 pCP20を保持する pKD46脱落株を 取得した。
プラスミド PCP20は、酵母由来 Flp recombinase遺伝子を有し、該遺伝子の発現は 42 °Cで誘導することができる。
また、上記で作製した 遺伝子、 DeDN遣伝子、 DeDB遣伝子、 DepA遣伝子及び d
迎ォペロン欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子含有 DNA断片の、クロラムフエ- コール耐性遺伝子の両端には Flp recombinaseが認識する塩基配列が存在するため 、 Flp recombinaseが触媒する相同組換えにより容易に該耐性遺伝子を脱落させるこ とがでさる。
[0162] さらに、 pCP20は温度感受性の複製起点を有しているため、 pCP20保持株を 42°Cで 生育させることにより、 Flp recombinaseの発現と pCP20の脱落を同時に誘導すること ができる。
上記で取得した PCP20保有 pKD46脱落株を薬剤無添加の LB寒天培地に植菌し、 4 2°Cで 14時間培養した後、単コロニー分離した。得られた各コロニーを薬剤無添加 LB 寒天培地、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地および 100mg/Lのアン ピシリンを含む LB寒天培地にレプリカして、 30°Cで培養し、クロラムフエ-コール感受 性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。
[0163] 上記で選択した各株からそれぞれ染色体 DNAを常法 (生物工学実験書、日本生 物工学会編 97〜98ページ、培風館、 1992年)に従って調製した。欠損の標的遺伝子 である DeDD遣伝子の内部塩基配列に基づ!/、て設計した配列番号 74および 75で表 される塩基配列を有する DNAをプライマーセットとして用い、染色体 DNAを铸型に した PCRを行った。 PCRは、 O.lgの染色体 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5un itsの Efii DNAポリメラーゼ、 4 μ Lの Efii DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 μ mol/ Lの各 deoxyNTPを含む Lの反応液を用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°C で 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0164] 上記 PCRにおいて、増幅 DNA断片が検出されなカゝつた株を 遺伝子欠損株と し、エシ リヒア 'コリ JPD1株と命名した。
(3)ェシエリヒア'コリ JM101の染色体 DNA上の 遺伝子および 遺伝子が欠 損した株の作製
上記(2)で得られたェシエリヒア 'コリ JPD1株を pKD46で形質転換した後、 lOOmg/1 のアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°Cで培養することにより pKD46を保 持するェシエリヒア ^!JJPDI (以下、ェシエリヒア'コリ JPDl/pKD46と称す)を選択した 。ェシエリヒア'コリ JPDl/pKD46に、電気ノルス法により 遺伝子欠損用クロラムフ
ェ-コール耐性遺伝子含有 DNA断片を導入し、ェシエリヒア'コリ JPDl/pKD46の染 色体 DNA上に DeDN遺伝子欠損用クロラムフエニコール耐性遺伝子含有 DNA断片 が相同組換え
により組込まれた形質転換株を取得した。
[0165] 次に、上記(2)と同様の操作を行うことにより、染色体 DNA上力もクロラムフエニコ ール耐性遺伝子が欠落した株を取得し、該株をェシエリヒア 'コリ JPDN2と命名した。 (4)ェシエリヒア'コリ JM101の染色体 DNA上の 遺伝子、 pepA遣伝子、 pepB遣 伝子または dmオペロンが欠損した株、および多重遺伝子欠損株の作製
DeDN遣伝子、 De。A遣伝子、 DepB遣伝子または dDDオペロンの欠損株は、上記(1) で作製した各遺伝子またはオペロン欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子含有 D NA断片を用い、上記 (2)と同様の方法により作製した。
[0166] 上記方法により各々の遺伝子欠損株が取得されたことは、各々の欠損遺伝子の内 部塩基配列に基づき設計、合成した配列番号 76〜83で表される塩基配列を有する DNAをプライマーセットとして用い、上記(2)と同様の PCRにより確認した。ここで、 配列番号 76および 77で表される塩基配列カゝらなる DNAは ESEN^C損確認用、配列 番号 78および 79で表される塩基配列カゝらなる DNAは ESE ^損確認用、配列番号 80および 81で表される塩基配列カゝらなる DNAは EgEfi^C損確認用、配列番号 82お よび 83で表される塩基配列からなる DNAは dmオペロン欠損確認用プライマーセッ トである。
[0167] 上記方法で取得された オペロン欠損株をエシ リヒア 'コリ JDPP1株、 DeDN遣伝 子欠損株をェシエリヒア 'コリ JPN1株、
遺伝子欠損株をェシエリヒア ·コリ JPB7株と名付けた。
また、上記(3)の方法に準じて、 DeDD遣伝子、 DeDN遣伝子、 De。A遣伝子、 ΡΘΡΒ» 伝子および EEオペロン力 なる群より選ばれる 2以上の遺伝子またはオペロンの多 重欠損株を作製した。多重欠損株が取得できたことの確認は、上記 (2)と同様の PC Rにより確認した。前記方法で取得された 遺伝子および dmオペロンが欠損した 二重遺伝子欠損株をェシエリヒア'コリ JPDP49株、 DeDB遣伝子、 DepD遣伝子および D SE 遺伝子が欠損した三重遺伝子欠損株をェシエリヒア'コリ JPDNB43株、 遺伝
子、 DeDN遣伝子および dDD
オペロンが欠損した三重遺伝子欠損株をェシエリヒア 'コリ JPNDDP36株、 DeDA遣伝 子、 DeDD遣伝子、 遺伝子および dmオペロンが欠損した四重遺伝子欠損株をェ シエリヒア'コリ JPNDAP5株、 DeDB遣伝子、 DepD遣伝子、 DepN遣伝子および dDDオペ ロンが欠損した四重遺伝子欠損株をエシ リヒア 'コリ JPNDBP7株と名づけた。表 2は 、各遺伝子欠損株における欠損遺伝子名を示す。
[0168] [表 2] 表 2
[0169] 実験例 17 ぺプチダーゼおよびジペプチド取り込み活性が喪失したェシエリヒア,コリ を用いた L- Ala- L- Ginおよび L- Ala- L- Alaの生産性の評価
実験例 16で得られた各種べプチダーゼおよびジペプチド取り込み蛋白質をコード する遺伝子の欠損株を、実験例 15で造成したプラスミド pPE56を用いて形質転換し、 アンピシリン耐性を示す形質転換株を取得した。
[0170] 得られた形質転換株を 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地の入った試験 管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液を 100 g/mlのアンピシリンおよびァ ミノ酸を含む 8mlの水性媒体 (リン酸水素二カリウム 16g/L、リン酸二水素カリウム 14
g/L、硫酸アンモニゥム 5g/L、タエン酸 (無水) lg/L、カザミノ酸 (Difco社製) 0.5g/ L、 L-Pro lg/L, L-Ala 2.5g/L、 L- Gin 2.5g/L、グルコース 10g/l、ビタミン B 10mg/
1
L、硫酸マグネシウム · 7水和物 25mg/l、硫酸鉄 7水和物 50mg/l、 10mol/lの水酸化 ナトリウム溶液を用いて PH7.2に調整。 L-Glnは 10倍濃縮液をフィルターろ過滅菌後、 グルコース、ビタミン B、硫酸マグネシウム · 7水和物、硫酸鉄 · 7水和物は別個に蒸煮
1
後添加)を試験管に 1%添加し、 30°Cで 24時間反応させた。該水性媒体を遠心分離 し上清を取得した。
[0171] 該上清中の生産物を F-mocィ匕法で誘導体ィ匕した後に HPLC法により分析した。 HP LC法による分析は、分離カラムに ODS- HG5 (野村ィ匕学社製)を用い、溶離液として A液 (酢酸 6ml/l、 20%(v/v)ァセトニトリル、トリェチルァミンにて pH4.8に調整)およ び B液 (酢酸 6ml/l、 70%(v/v)ァセトニトリル、トリェチルァミンにて pH4.8調整)を用 い、分析開始後 5分までは A液: B液 =8 : 2、 5分〜 20分までは、 20分に達したときに A 液: 液= 1: 1になるようにリニアーグラジェントをかける条件で分析を行った。分析 結果を表 3に示す。
[0172] [表 3]
[0173] 表 3から、 2種以下のぺプチダーゼをコードする遺伝子が欠損した微生物、 1種の
ペプチド取り込み蛋白質をコードするオペロンのみが欠損した微生物では、ジぺプチ ドの生成、蓄積量は低いが、 1種以上のぺプチダーゼをコードする遺伝子および 1種 のペプチド取り込み蛋白質をコードするオペロンが欠損した微生物、または 3種以上 のぺプチダーゼをコードする遺伝子の活性が喪失した微生物では、ジペプチドの生 成、蓄積量が大幅に増加していることがわ力つた。
実験例 18 ぺプチダーゼおよびペプチド取り込み蛋白質の活性が喪失した大腸菌 株を用いた L ァラニル Lーノ リン(以下、 L-Ala-L-Valと称す)の生産性の評価 実験例 17と同様に、各種べプチダーゼをコードする遺伝子およびペプチド取り込 み蛋白質をコードするオペロンの欠損大腸菌株を、 pPE56を用いて形質転換した。得 られた形質転^ ¾を 50 g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地の入った試験管に 接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液を 100 g/mlのアンピシリンおよびアミノ酸 を含む 8mlの水性媒体 (リン酸水素二カリウム 16g/l、リン酸二水素カリウム 14g/l、 硫酸アンモ-ゥム 5g/l、クェン酸(無水) lg/l、カザミノ酸(Difco社製) 0.5g/l、L-P ro lg/l、 L-Ala 2.5g/l、 L— Val 2.5g/l、グルコース 10g/l、ビタミン B 10mg/l、硫酸マ グネシゥム · 7水和物 25mg/l、硫酸鉄 · 7水和物 50mg/l、 10mol/lの水酸化ナトリウ ム溶液で PH7.2に調整。グルコース、ビタミン B、硫酸マグネシウム · 7水和物、硫酸鉄 •7水和物は別個に蒸煮後に添加)が入った試験管に 1%添加し、 30°Cで 24時間反 応させた。該水性媒体を遠心分離し上清を取得した。
[0174] 該上清中の生成物を、実験例 17記載の方法により分析した。結果を表 4に示す。
[0175] [表 4]
表 4
[0176] 表 4から、 2種以下のぺプチダーゼをコードする遺伝子が欠損した微生物、および 1 種のペプチド取り込み蛋白質をコードするオペロンのみが欠損した微生物はジぺプ チドを生産しないが、 3種以上のぺプチダーゼ遺伝子が欠損した微生物、または 1種 以上のぺプチダーゼをコードする遺伝子および 1種のペプチド取り込み蛋白質をコ ードするオペロンが欠損した微生物は、ジペプチドを生産することがわ力つた。
実験例 19 ぺプチダーゼおよびジペプチド取り込み系蛋白質の活性が喪失した大 腸菌株を用いたグリシル— L—グルタミン (以下、 Gly-L-Glnと称す)の生産性の評価 実験例 17と同様に各種べプチダーゼをコードする遺伝子およびジペプチド取り込 み蛋白質をコードするオペロンの欠損株を、 pPE56を用いて形質転換した。得られた 形質転換株を、 50 g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地の入った試験管に接種 し、 28°Cで 17時間培養した。
[0177] 該培養液を 100 μ g/mlのアンピシリンおよびアミノ酸を含む 8mlの水性媒体(リン酸 水素二カリウム 16g/l、リン酸二水素カリウム 14g/l、硫酸アンモ-ゥム 5g/L、タエ ン酸 (無水) lg/L、カザミノ酸 (ディフコ社製) 0.5g/L、 L-Pro lg/L、 Gly 2.5g/L、 L- Gin 2.5g/L、グルコース lOg/L、ビタミン B lOmg/L、硫酸マグネシウム · 7水和物 2
1
5mg/L、硫酸鉄 7水和物 50mg/L、 10mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を用いて pH7.2 に調整。 L-Glnは 10倍濃縮液をフィルターろ過滅菌後、グルコース、ビタミン B、硫酸
マグネシウム · 7水和物、硫酸鉄 · 7水和物は別個に蒸煮後添加)が入った試験管に 1 %添加し、 30°Cで 24時間反応させた。該水性媒体を遠心分離し上清を取得した。
[0178] 該上清中の生成物を、実験例 17記載の方法より分析した。結果を表 5に示す。
[0179] [表 5] 表 5
[0180] 表 5から、 2種以下のぺプチダーゼをコードする遺伝子が欠損した微生物、および 1 種のペプチド取り込み蛋白質をコードするオペロンのみが欠損した微生物はジぺプ チドを生産しな力つた力 3種以上のぺプチダーゼをコードする遺伝子が欠損した微 生物、および 2種以上のぺプチダーゼをコードする遺伝子および 1種のペプチド取り 込み蛋白質をコードするオペロンが欠損した微生物は、ジペプチドを生産することが わかった。
[0181] 以下に、実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例 1
[0182] L グルタミンの生合成調節に関与する glnE遺伝子、 glnS遺伝子が欠損した微生物 の作製
ェシエリヒア'コリの染色体 DNA上の特定遺伝子の欠損は、ラムダファージの相同 組換え系を利用した方法 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 97, 6641- 6645(2000)]に従 つて行った。
(1)遺伝子欠損用薬剤耐性遺伝子断片のクローユング
ェシエリヒア ·コリ K12株の gln£、 glnfiの各遺伝子の塩基配列は既に明らかにされて いる [Science, 5331. 1453-1474(1997)]。報告されている塩基配列に基づいてパーセ プティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、 glnE遣伝子欠損用の
プライマー DNAとして配列番号 88および 89で表される塩基配列からなる DNA、 gin 旦遺伝子欠損用のプライマー DNAとして配列番号 90および 91で表される塩基配列 力もなる DNAを合成した。合成したプライマー DNAは、各々の欠損の標的遺伝子 の上流と下流に位置する 36bpからなる塩基配列に基づき設計した。
[0183] 上記合成 DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、 pKD3DNAを铸型として P CRを行った。 PCRはプラスミド DNA 10ng、プライマー各 0.5 μ mol/L、 EfiiDNAポリメ ラーゼ 2.5units、 Pfo DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 4 L、 deoxyNTP各 200 μ mol/L を含む反応液 40 Lを用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなるェ 程を 30回繰り返すことにより行った。
[0184] 該反応液の 1Z10量をァガロースゲル電気泳動し、 目的の断片が増幅していること を確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カ卩し、混合し た。
該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿させた後、該 DNAを 2 0 Lの TE〖こ溶解した。上記操作により、 glnE遺伝子、 glnfi遺伝子欠損用クロラムフエ ニコール耐性遺伝子断片を取得した。
(2)染色体 DNA上の glnE遺伝子が欠損したェシエリヒア'コリ JM101株の作製 ェシエリヒア'コリ JM101株を pKD46で形質転換した後、 lOOmg/1のアンピシリンを含 む LB寒天培地上で pKD46を保持するェシエリヒア 'コリ JM101株(以下、ェシエリヒア · コリ JM101/pKD46と称す)を選択した。 10mmol/Lの L-ァラビノースと 50 g/mlのアン ピシリン存在下で培養したェシエリヒア'コリ JM101/pKD46を、電気パルス法により gin E遺伝子欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子断片を用いて形質転換し、 JM101株 の染色体 DNA上の glnE遺伝子にクロラムフエ-コール耐性遺伝子が挿入され、 ΜηΕ 構造遺伝子が欠損するように組換えられた株を 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含 む LB寒天培地上で選択した。
[0185] 取得したクロラムフエ-コール而性株を、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB 寒天培地にレプリカし、 42°Cで保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた 各コロニーを 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地および 100mg/Lのァ
ンピシリンを含む LB寒天培地にレプリカし、クロラムフエ-コール耐性かつアンピシリ ン感受性を示すコロニーを選択した。次にこの PKD46脱落株を pCP20で形質転換し、 100mg/Lのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。
生育してきたアンピシリン耐性株を薬剤無添カ卩の LB寒天培地にレプリカし、 42°Cで 保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた各コロニーを薬剤無添加、 25m g/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地、および 100mg/Lのアンピシリンを含 む LB寒天培地にそれぞれレプリカし、クロラムフエ-コール感受性かつアンピシリン 感受性を示すコロニーを選択した。ここで得られた各株からそれぞれ染色体 DNAを 常法 (生物工学実験書、 日本生物工学会編 97〜98ページ、培風館、 1992年)により 調製した。欠損の標的となる glnE遺伝子の内部配列を元に設計した、配列番号 92お よび 93で表される塩基配列からなるプライマー DNAを用いて、コロニー PCRを行つ た。コロニー PCRは、 200 1のピペットチップをコロニーに触れさせることで取得した 量の菌体、プライマー各 0.5 μ mol/L、 EfiiDNAポリメラーゼ 2.5units、 Pfo DNAポリメラ ーゼ用 X 10緩衝液 4 /z L、 deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ 1を用い、 94°C で 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
PCRに供した株のうちで遺伝子増幅の見られなカゝつた株は、 glnE遺伝子欠損株であ ることを確認し、ェシエリヒア'コリ JGLE1と名づけた。
(3)染色体 DNA上の glnE遺伝子および glnE遺伝子が欠損したェシエリヒア'コリ JM10 1株の作製
上記(2)で得られたェシエリヒア'コリ JGLE1株を pKD46で形質転換した後、 lOOmg/ Lのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布し、 30°Cでー晚培養することにより pKD46 を保持するェシエリヒア'コリ JGLE1株(以下、ェシエリヒア'コリ JGLEl/pKD46と称す) を取得した。ェシエリヒア'コリ JGLE1/ PKD46¾-glnB遺伝子欠損用クロラムフエニコ ール耐性遺伝子断片を用いて電気パルス法により形質転換し、染色体 DNA上の gin
B_遺伝子にクロラムフエ-コール耐性遺伝子が挿入され glnS構造遺伝子が欠損する ように組換えられた株を取得した。 glnS遺伝子の内部配列を元に設計した、配列番 号 94および 95で表される塩基配列力もなるプライマー DNAを用いて、上記(2)の条 件下でコロニー PCRを行った。該 PCRにより遺伝子増幅が見られな力つた株は、 gin
旦遺伝子欠損株であることを確認し、ェシエリヒア'コリ JGLBE1と命名した。
実施例 2
[0187] Ϊ Ε遺伝子およびバチルス ·サチルス由来のァラニン脱水素酵素遺伝子 (dd遺伝子 )発現プラスミドの構築
実験例 15で造成した y E遺伝子発現プラスミド pPE56を基に、バチルス .サチルス 由来のァラニン脱水素酵素遺伝子 ( 遺伝子)を同時に構成的に発現する発現ブラ スミドを図 5に示す方法により構築した。
[0188] パーセプティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、配列番号 96 および配列番号 97で表される塩基配列を有する DNA (以下、それぞれプライマー P 、プライマー Qと称す)を合成した。配列番号 96で表される塩基配列は、 aid遺伝子の リボソーム結合配列であるシャインーダルガノ配列を含む領域の 5'側に E lHI認識配 列を含む塩基配列を付加した配列である。配列番号 97で表される塩基配列は、 aid 遺伝子の終止コドンを含む配列と相補的な配列の 5'側に πΗΙ認識配列を含む配 列を付加した配列である。
[0189] 実験例 2で取得したバチルス.サチルスの染色体 DNAを铸型とし、上記プライマー Ρおよびプライマー Qをプライマーセットとして用いて PCRを行った。 PCRは、 0.1 μ g の染色体 DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの DNAポリメラーゼ、 4 L の EfiiDNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 μ mol/Lの各 dNTPを含む反応液 40 μ Lを 調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すこと により行った。
[0190] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、 遺伝子断片に相当する約 1.2 kbの断片が増幅していることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/ク ロロホルムを添加し、混合した。該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の 冷エタノールをカ卩えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DN Aの沈殿を取得し、 20 Lの TEに溶解した。
[0191] 該溶解液 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素 EamHIで切断し、ァガロースゲル 電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、 aid遺伝子を含 む 1.2kbの DNA断片を回収した。
pPE56 0.2 μ gを制限酵素 S lHIで切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断 片を分離し、上記と同様の方法により 6.3kbの DNA断片を回収した。該 6.3kbの DNA 断片の末端脱リン酸化を、 60°Cで 30分間、アルカリホスファターゼ (E.£2li C75、タカラ バイオ社製)処理することにより行った。反応液と等量の TE飽和フエノール/クロロホ ルムを添加、混合して遠心分離した後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールをカロ えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得られた DNAの沈殿 を の TEに溶解した。
[0192] 上記で得られた 遺伝子を含む 1.2kbの DNA断片とアルカリホスファターゼ処理し た 6.3kbの DNA断片とをライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結 した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、 50 g/mLのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布して、 30°C で一晩培養した。
[0193] 生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、 al d遣伝子が vwffi遺伝子と順向きに挿入されたプラスミドが取得されて ヽることを制限 酵素消化により確認し、該プラスミドを PPE86と命名した(図 5)。
実施例 3
[0194] ェシエリヒア 'コリ由来の脱感作型 遺伝子および脱感作型^ mE遺伝子発現ブラ スミドの構築
(1)脱感作型 §Δ遺伝子発現プラスミドの造成
フエ-ルァラニンアナログ耐性変異導入により得られたフエ-ルァラニンの脱感作 型 E ^遺伝子を発現するプラスミド pE pheA 22 (特開昭 61-260892)から脱感作型 §Δ遺伝子を、チロシン耐性変異導入により得られたチロシンの脱感作型 amE遺伝子 を発現するプラスミド pE aroF 18 (特開昭 62-65691)から脱感作型 ^mE遺伝子を取得 し、以下の方法により発現プラスミドを構築した。
[0195] パーセプティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、配列番号 98 および配列番号 99で表される塩基配列を有する DNA (以下、それぞれプライマー R 、プライマー Sと呼ぶ)を合成した。配列番号 98で表される塩基配列は、 Ehg 遺伝子
のリボソーム結合配列であるシャインーダルガノ配列を含む領域の 5'側に £kl認識配 列を含む配列を付加したものである。配列番号 99で表される塩基配列は、 DheA遣伝 子の終止コドンを含む配列と相補的な配列の 5'側に πΗΙ認識配列を含む配列を 付カロしたものである。プラスミド pE pheA 22を铸型とし、上記プライマー Rおよびプライ マー Sをプライマーセットとして用いて PCRを行った。 PCRは、 10ngのプラスミド DNA 、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの DNAポリメラーゼ、 4 μ Lの DNAポリ メラーゼ用 X 10緩衝液、 mol/Lの各 dNTPを含む反応液 40 Lを調製し、 94°C で 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0196] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、 遺伝子断片に相当する約 1. lkbの断片が増幅していることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/ク ロロホルムを添加し、混合した。該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の 冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離し、得ら れた DNAの沈殿を 20 μ Lの ΤΕに溶解した。
[0197] 該溶解液 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素 aiおよび EamHiで切断し、ァガ ロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、 Ehe A遺伝子を含む l.lkbの DNA断片を回収した。
プロモーターを含む発現ベクター pTrS30〔大腸菌 JM109/pTrS30(FERM BP-540
7)より調製可能〕 gを制限酵素 Oaiおよび EamHiで切断後、ァガロースゲル電気 泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法により 4.6kbの DNA断片を回収し た。
[0198] 上記で得られた Είΐ§Δ遺伝子を含む l.lkbの DNA断片と 4.6kbの DNA断片とをライ ゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、該形質転換体を 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に 塗布して、 30°Cでー晚培養した。
[0199] 生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出して、 脱感作型 E ^遺伝子発現プラスミドが取得されていることを制限酵素消化により確 認し、該プラスミドを pPHEAlと命名した。
上記で得られた pPHEAl 0.2 μ gを制限酵素 E£2RIおよび S lHIで切断後、ァガロ ースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、 1mプ 口モーターと脱感作型 E ^遺伝子を含む 1.5kbの DNA断片を回収した。
[0200] 次に pACYC184の複製起点をもちクロラムフエ-コール耐性遺伝子を含むプラスミド ベクター pSTV28(タカラバィォ社製) 0.2 μ gを制限酵素 EeeEIおよび ^ lHIで切断後 、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法により 3.0kb の DNA断片を回収した。
上記で得られた tmプロモーターと脱感作型 ώ§Δ遺伝子を含む 1.5kbの DNA断片 と 3.0kbの DNA断片とをライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結し た。
[0201] 該反応液を用いてェシエリヒア'コリ NM522株をカルシウムイオンを用いる方法によ つて形質転換した後、 30 μ g/mlのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地に塗布し て、 30°Cでー晚培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、 脱感作型 Ehs 遺伝子発現ベクターが取得されていることを制限酵素消化により確認 し、該プラスミドを PPHEA2と命名した(図 6)。
(2)脱感作型 Ehs 遺伝子および脱感作型 amE遺伝子発現プラスミドの構築 パーセプティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、配列番号 10 0および配列番号 101で表される塩基配列を有する DNA (以下、それぞれプライマ 一 T、プライマー Uと呼ぶ)を合成した。配列番号 100で表される塩基配列は、^ mE遺 伝子のリボソーム結合配列であるシャインーダルガノ配列を含む領域の 5'側に Π 認識配列を含む配列を付加したものである。配列番号 101で表される塩基配列は、 mEの終止コドンを含む配列と相補的な配列の 5'側に S IHI認識配列を含む配列を 付加したものである。プラスミド pE aroF 18を铸型とし、上記プライマー Tおよびプライ マー Uをプライマーセットとして用いて PCRを行った。 PCRは、 10ngのプラスミド pE ar oF 18、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの Efii DNAポリメラーゼ、 4 μ Lの DN Aポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 mol/Lの各 dNTPを含む反応液 40 Lを調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間力 なる工程を 30回繰り返すことにより行
つた o
[0202] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、 mE遺伝子断片に相当する約 1. lkbの断片が増幅していることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール/ク ロロホルムを添加し、混合した。該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の 冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して得ら れた DNAの沈殿を 20 μ Lの ΤΕに溶解した。
[0203] 該溶解液 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素 Πおよび β ΐΗΙで切断し、ァガ ロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、脱 感作型^ mE遺伝子を含む 1. lkbの DNA断片を回収した。
次に上記(1)で取得した脱感作型 EhgA遺伝子発現プラスミド PPHEA2 0.2 gを制 限酵素 EamHlで切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と 同様の方法により 4.5kbの DNA断片を回収した。該 4.5kbの DNA断片の末端脱リン 酸化を、 60°Cで 30分間、アルカリホスファターゼ処理することにより行った。反応液と 等量の TE飽和フエノール/クロ口ホルムを添加、混合して遠心分離した後、得られた 上層に 2倍容量の冷エタノールをカ卩えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を 遠心分離して得られた DN Aの沈殿を 20 μ Lの ΤΕに溶解した。
[0204] 上記で得られた脱感作型 amE遺伝子を含む l.lkbの DNA断片とアルカリホスファタ ーゼ処理した 4.5kbの DNA断片とをライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反 応させ連結した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、 30 μ g/mLのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地に塗布し て、 30°Cでー晚培養した。
[0205] 生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、 脱感作型^遺伝子が脱感作型 E ^遺伝子と順向きに挿入された脱感作型^ 遺伝子および脱感作型 遺伝子発現プラスミドが取得されて ヽることを制限酵素 消化により確認し、該プラスミドを PPHEAF2と命名した(図 6)。
実施例 4
[0206] ェシエリヒア 'コリ由来のチロシン而性を示す aroF-tyrAオペロン発現プラスミドの構築
(1)チロシン耐性を示す aroF-tvr Aオペロン発現プラスミドの造成
チロシン耐性変異導入により得られた^ オペロンを発現するプラスミド pKml aroFm-18 (特開昭 60-034197)力らチロシン而性を示す^ オペロンを取得し、 以下の方法により発現プラスミドを造成した。
[0207] パーセプティブ'バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、配列番号 10 2および 103で表される塩基配列力もなる DNAを合成した。配列番号 102で表され る塩基配列は、 ^mE遺伝子のリボソーム結合配列であるシャイン ダルガノ配列を含 む領域の 5'側に £kl認識配列を含む配列を付加したものである。配列番号 103で表 される塩基配列は、 遺伝子の終止コドンを含む配列と相補的な配列の 5'側に ill認識配列を含む配列を付加したものである。
[0208] プラスミド pKmlaroFm- 18を铸型とし、配列番号 102および 103で表される塩基配 列からなる DNAをプライマーセットとして用いて PCRを行った。
PCRは、 10ngのプラスミド DNA、 0.5 μ mol/Lの各プライマー、 2.5 unitsの Pfo DNA ポリメラーゼ、 4 μ Lの Pfo DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液、 200 μ mol/Lの各 dNTPを 含む反応液 40 Lを調製し、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程 を 30回繰り返すことにより行った。
[0209] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、 aroF- tvrA遣伝子断片に相当す る約 2.2kbの断片が増幅していることを確認した後、残りの反応液と等量の TE飽和フ ェノール/クロ口ホルムを添加し、混合した。該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分 離し、得られた DN Aの沈殿を 20 Lの TEに溶解した。
[0210] 該溶液 5 μ Lを用い、増幅 DNA断片を制限酵素 £klおよび ilで切断し、ァガロー スゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、 aroF-tv オペロンを含む 2.2kbの DNA断片を回収した。
trpプロモーターを含む発現ベクター pTrS30 [大腸菌 JM109/pTrS30(FERM BP- 540
7)より調製可能] 0.2 gを制限酵素 £ lおよび Iで切断後、ァガロースゲル電気泳 動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法により 4.6kbの DNA断片を回収した
[0211] 上記で得られた^ オペロンを含む 2.2kbの DNA断片と 4.6kbの DNA断片と をライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、該形質転換体を 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に 塗布して、 30°Cでー晚培養した。
[0212] 生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出して、 チロシン耐性を示す オペロン発現プラスミドが取得されて ヽることを制限酵 素消化により確認し、該プラスミドを pTYlと命名した。
上記で得られた pTYl 0.2 /z gを制限酵素 E^RIおよび ilで切断後、ァガロースゲ ル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、 1mプロモー ターとチロシン而す性を示す ^QE-^ ^オペロンを含む 2.6kbの DNA断片を回収した。
[0213] 次に pACYC184の複製起点をもちクロラムフエ-コール耐性遺伝子を含むプラスミド ベクター pSTV28(タカラバィォ社製) 0.2 gを制限酵素 E^RIおよび ilで切断後、 ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法により 3.0kbの
DNA断片を回収した。
上記で得られた imプロモーターとチロシン而性を示す オペロンを含む 2. 6kbの DNA断片と 3.0kbの DNA断片とをライゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時 間反応させ連結した。
[0214] 該反応液を用いてェシエリヒア'コリ NM522株をカルシウムイオンを用いる方法によ つて形質転換した後、 30 μ g/mlのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地に塗布し て、 30°Cでー晚培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、チ 口シン耐性を示す^ オペロン発現ベクターが取得されていることを制限酵素 消化により確認し、該プラスミドを pTY2と命名した。
実施例 5
[0215] mgU遺伝子欠損株の作製
(l)mgU遺伝子欠損用薬剤耐性遺伝子断片のクローユング
ェシエリヒア ·コリ K12株の mgll遺伝子の塩基配列は既に明らかにされて 、る [Scienc
e, 5331, 1453-1474(1997)]。
metj遺伝子は、ェシエリヒア'コリの L-メチォニン生合成系のリプレッサーをコードし ており、このリブレッサーが産生できなくなる変異を導入することで L-メチォニン生産 能が向上することが知られて 、る(特開 2000-139471)。
[0216] 報告されて!ヽる塩基配列に基づ!/、てパーセプティブ ·ノィォシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、 πι^Ι遺伝子欠損株作製用のプライマーセットとして、配列番 号 104および 105で表される塩基配列力もなる DNAを合成した。
該 DNAは、各々欠損の標的遺伝子の上流と下流に位置する 36bpからなる塩基配 列に基づき設計した。
[0217] 該 DNAをプライマーセットとして用い、 pKD3DNAを铸型にして mgtl遺伝子欠損株 作製用クロラムフエ-コール耐性遺伝子断片を PCRで増幅した。
PCRは、プラスミド DNA 10ng、プライマー各 0.5 μ mol/L、 Plu DNAポリメラーゼ 2.5 units, Pfo DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 μ deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反 応液 40 Lを用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回 繰り返すことにより行った。
[0218] 該反応液の 1Z10量をァガロースゲル電気泳動し、 目的の断片が増幅していること を確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カ卩し、混合し た。該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合 し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離し、得られた DNAの沈殿を 20 L の TEに溶解した。
(2)染色体 DNA上の m^I遺伝子に薬剤耐性遺伝子が挿入されたェシエリヒア 'コリ J M101株の作製
ェシエリヒア'コリ JMIOIおよび上記(1)で得られた m§ 遺伝子欠損株作製用クロラ ムフエ-コール耐性遺伝子断片を用いて、実施例 1 (2)と同様の操作により、ェシエリ ヒア'コリ JM101の染色体 DNA上の meil遺伝子にクロラムフエ-コール而性遺伝子が 挿入された組換え体を作製した。
[0219] 染色体上へのクロラムフエ-コール耐性遺伝子の挿入の確認は、クロラムフエニコ ール耐性遺伝子挿入部位の上流および下流のおよそ 400bpに位置する塩基配列を
有する配列番号 106および 107で表される塩基配列からなる DNAをプライマーセッ トに用いたコロニー PCRにより行った。コロニー PCRは、実施例 1 (2)と同じ条件で行 つた o
コロニー PCRに供した株のうちでクロラムフエ-コール耐性遺伝子を含むおよそ 2k bの大きさの増幅断片が得られた株は、 m§ 遺伝子欠損株であることを確認した後、 実施例 7 (3)と同様の操作により Flp recombinaseを発現する pCP20を用いて染色体 D NAからクロラムフエ-コール耐性遺伝子が脱落した株を作製し、ェシエリヒア'コリ J 1と命名した。
実施例 6
[0220] Y E遺伝子およびェシエリヒア'コリ由来阻害解除型 3-ホスホダリセリン酸デヒドロゲナ ーゼ遺伝子 (serA遣伝子)発現プラスミドの構築
ェシエリヒア'コリ由来の 3-ホスホダリセリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子 (≤≤ιΔ遺伝子) において、構造遺伝子の 1096〜1098番目のコドンを終止コドン(ΤΑΑ)に置換する変 異は、 3-ホスホダリセリン酸デヒドロゲナーゼの C末端の 45アミノ酸残基が欠失した、 セリンによる実質的な阻害が解除された変異型の 3-ホスホダリセリン酸デヒドロゲナー ゼをコードする遺伝子(以下、阻害解除型^ ^遺伝子と ヽぅ)を与えることが知られて いる(特許第 2584409号)。
[0221] 阻害解除型^遺伝子増幅用プライマーには配列番号 108で表される塩基配列 力もなる DNA、およびコドン置換変異配列を含む配列番号 109で表される塩基配列 力 なる DNAを用いた。
配列番号 108で表される塩基配列は、^遺伝子のリボソーム結合配列であるシャ イン ダルガルノ配列を含む領域の 5'側に £kl認識配列を含む配列を付加した配列 であり、配列番号 109で表される塩基配列は、≤≤ιΔ遺伝子の C末端 45アミノ酸残基を 欠失させるための終止コドンを含む配列と相補的な配列の 5'側に il認識配列を含 む配列を付加した配列である。
[0222] 上記合成 DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、ェシエリヒア'コリ W3110株 の染色体 DNAを铸型に阻害解除型 ggi 遺伝子を増幅する PCRを行った。 PCRは、 染色体 DNA 0.1 g、プライマー各 0.5 μ mol/L、 Pfo DNAポリメラーゼ 2.5units、 Pfo
DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 4 μ deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ L を用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すこと により行った。
[0223] 該反応液の 1/10量をァガロースゲル電気泳動し、阻害解除型 遺伝子断片に 相当する約 l.lkbの断片が増幅していることを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和 フエノール/クロ口ホルムを添加し、混合した。該混合液を遠心分離後、得られた上層 に 2倍容量の冷エタノールをカ卩えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心 分離して得られた DN Aの沈殿を 20 μ Lの TEに溶解した。
[0224] 該溶解液 5 μ Lを用い、増幅した DNAを制限酵素 £klと ilで切断し、ァガロース ゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン IIキットにより、 serAを含 む l.lkbの DNA断片を回収した。
次に、 1mプロモーターを含む発現ベクター pTrS30〔大腸菌 JM109/pTrS30(FERM B p- 5407)より調製可能〕 0.2 gを制限酵素 aiおよび ilで切断後、ァガロースゲル 電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法により 4.3kbの DNA断片を回 収した。
[0225] 上記で得られた^遺伝子を含む l.lkbの DNA断片と 4.3kbの DNA断片とをライ ゲーシヨンキットを用いて、 16°Cで 16時間反応させ連結した。
該反応液を用 V、てェシエリヒア ·コリ NM522株をカルシウムイオンを用 V、る方法によ つて形質転換した後、該形質転換体を 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に 塗布して、 30°Cでー晚培養した。
[0226] 生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、プ ラスミドを PSE15と名付けた。該ベクターの構造を制限酵素消化により確認した。
上記で得られたェシエリヒア'コリ由来阻害解除型^遺伝子発現プラスミド PSE15 を铸型に、配列番号 110および 109で表される塩基配列からなる DNAをプライマー セットとして用いて阻害解除型^ ΙΔ遺伝子断片の増幅を行った。
[0227] また実験例 15で造成した: mffi遺伝子発現プラスミド ΡΡΕ56を铸型に、配列番号 11
1および 112で表される塩基配列力もなる DNAプライマーセットを用いて trpプロモー ターを含む y E遺伝子断片の増幅を行った。 PCRは、いずれもプラスミド DNA 10ng
、プライマー各 0.5 μ mol/L、 Plu DNAポリメラーゼ 2.5units、 Plu DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 4 /z L、 deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ Lを用い、 94°Cで 1分間 、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0228] 各該反応液の 1Z10量をァガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅している ことを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カ卩し、混 口し 7こ o
該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿させた後、 Lの TE に溶解した。
[0229] 上記操作により、阻害解除型^遺伝子断片および lmプロモーターを含む Y E遺 伝子断片を取得した。阻害解除型^遺伝子断片は、制限酵素 Πと ilを用いて 切断し、 imプロモーターを含む y E遺伝子断片は、制限酵素 EmRiと EamHlで切断 し、それぞれァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離した後、ジーンクリーン I
Iキットにより、 ΕΔ遺伝子を含む l . lkbおよび lmプロモーターと y^ffi遺伝子とを含む 1
.8kbの DNA断片を回収した。
[0230] 1mプロモーターを含む発現ベクター pTrS30 0.2 μ gを制限酵素 EmRIおよび ilで 切断後、ァガロースゲル電気泳動により DNA断片を分離し、上記と同様の方法によ り 3.9kbの DNA断片を回収した。
上記で得られた 遺伝子を含む l.lkbの DNA断片と プロモーター、; mffi遺 伝子を含む 1.8kbの DNA断片、および 3.9kbの DNA断片とをライゲーシヨンキットを用 いて、 16°Cで 16時間反応させ連結した。
[0231] 該反応液を用いてェシエリヒア'コリ NM522株をカルシウムイオンを用いる方法によ つて形質転換した後、該形質転換体を 50 g/mlのアンピシリンを含む LB寒天培地に 塗布して、 30°Cでー晚培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーから公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、 阻害解除型 serA遣伝子が vwffi遺伝子と順向きに挿入されたプラスミドが取得されて いることを制限酵素消化により確認し、該プラスミドを PPE212と命名した。
実施例 7
[0232] ikL遺伝子欠損株、および復帰型 ikG遺伝子置換株の作製
(l)ikL遺伝子欠損株作製用薬剤耐性遺伝子断片および復帰型 ib^遺伝子置換株 作製用 DNA断片のクローニング
ェシエリヒア'コリ K12株の iixL、 ib の各遺伝子の塩基配列は既に明らかにされてい る [Science, 5331, 1453—1474(1997)]。
[0233] ェシエリヒア'コリ K12株の ilvGMEDAオペロンの発現を調節するァテ-ユエ一ター領 域は該オペロンの 5'側上流域に位置し、その塩基配列は Nucleic. Acids Res. 15, 21 37 (1987)に記載されている。またこのァテ-ユエ一ター領域を除去することにより、ァ テ-ユエーシヨンが機能しなくなり ίΙχ^ΜΕΏΔオペロンが構成的に発現することが知ら れている(特開平 8-473979)ことから、以下の方法により、 ilvGMEDAオペロン構成発 現型のェシエリヒア.コリ K12株を作製した。
[0234] また、ェシエリヒア 'コリ K12株の野生株は、 遺伝子がフレームシフト変異を持つ て!、るために活性のあるァセトヒドロキシ酸シンターゼのァイソザィム II (AHASII)が発 現していない [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, 922, (1981)]。そこで AHASIIが正常に 機能しているェシエリヒア'コリ 0157:H7株の染色体 DNA(http:〃 www.genome.wisc.e du/sequencing/ol57.htm)上に存在する ilvG遺伝子配列を参考に、ェシエリヒア'コリ K 12株の ilvG遺伝子の 981番目と 982番目の間に AAという 2塩基の挿入によりフレーム が戻った変異を導入し、ァセトヒドロキシ酸シンターゼの活性が回復したェシエリヒア · コリ K12株を以下の方法で作成した。
[0235] 報告されて!ヽる塩基配列に基づ!/、てパーセプティブ ·バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、 ixL遺伝子欠損株作製用薬剤耐性遺伝子を増幅するための プライマーセットとして、配列番号 113および 114で表される塩基配列力もなる DNA を合成した。
該 DNAは各々欠損の標的遺伝子の上流と下流に位置する 36bpの相同配列を有 している。
[0236] また、復帰型 ikG遺伝子上流領域増幅用プライマーセットとして、配列番号 115で 表される塩基配列カゝらなる DNA、および二塩基挿入変異配列を含む配列番号 116 で表される塩基配列力 なる DNA、復帰型 遺伝子下流領域増幅用プライマー
セットとして、二塩基変異配列を含む配列番号 117で表される塩基配列力 なる DN A、および配列番号 118で表される塩基配列力もなる DNAを合成した。
[0237] 上記 DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、 pKD3DNAを铸型に ilxL遺伝子 欠損用クロラムフエ-コール耐性遺伝子断片を、ェシエリヒア'コリ W3110株の染色体 DNAを铸型に、復帰型 ik£上流領域、および復帰型 ik£下流領域を PCRにより増幅 した。 PCRは染色体 DNA 0.1 g、またはプラスミド DNA 10ng、プライマー各 0.5 μ mol/L, Pfo DNAポリメラーゼ 2.5units、 Pfo DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 4 μ deo xyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ Lを用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°C で 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0238] 各該反応液の 1Z10量をァガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅している ことを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カ卩し、混 口し 7こ o
該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿させた後、該 DNAを 2 0 Lの TEに溶解した。上記操作により、 ikL遺伝子欠損株作製用クロラムフエニコー ル耐性遺伝子断片、および復帰型 遺伝子上流領域、復帰型 遺伝子下流領 域を取得した。
[0239] 次に、復帰型 遺伝子上流領域、および復帰型 遺伝子下流領域を铸型に、 配列番号 115および 118で表される塩基配列を有する DNAをプライマーセットとし て用いてクロスオーバー PCR[A. J. Link, D. Phillips, G. M. Church, J. BacterioL, 1 79, 6228-6237 (1997)]を行った。 PCRは、上記と同様の条件下で行った。
上記 PCRにより、復帰型 ilxG遺伝子上流領域と復帰型 遺伝子下流領域が連結 した復帰型 ib 置換株作製用 DNA断片を取得した。
(2)染色体 DNA上の 遺伝子が復帰型 遺伝子に置換したェシエリヒア 'コリ JM 101株の作製
ェシエリヒア'コリ JM101株を常法により pKD46で形質転換した後、 lOOmg/1のアンピ シリンを含む LB寒天培地に塗布し、 30°Cでー晚培養することにより pKD46を保持する ェシエリヒア'コリ JM101株(以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pKD46と称す)を選択した。
[0240] lOmmol/Lの L-ァラビノースと 50 μ g/mlのアンピシリン存在下で培養したェシエリヒ ァ'コリ JM101/pKD46を、上記(1)で取得した復帰型 ik£遺伝子置赚作製用 DN A断片を用いて電気パルス法により形質転換し、染色体 DNA上の ilxG遺伝子が復 帰型 ik£に置換した株を、 200mg/Lの L -パリンを含む M9培地にダルコースを添加し た寒天培地上で選択した。
[0241] 取得した L-パリン耐性株を、再度 200mg/Lの L—パリンを含む M9培地にグルコース を添カ卩した寒天培地にレプリカし、 42°Cで保温した状態で単コロニー分離を実施した 。得られた各コ口-一を 200mg/Lの L パリンを含む M9培地にダルコースを添カ卩した 寒天培地および 100mg/Lのアンピシリンを含む LB寒天培地にレプリカし、 L-バリン耐 性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択し、取得された復帰型 遺伝子置 赚を、ェシエリヒア'コリ JM101G+1と命名した。
(3)染色体 DNA上の 遺伝子が復帰型 遺伝子に置換し、 ikL遺伝子が欠損 したェシエリヒア'コリ JM101株の作製
上記(2)で得られたェシエリヒア'コリ JM101G+1株を pKD46で形質転換した後、 100 mg/Lのアンピシリンを含む LB寒天培地に塗布し、 30°Cでー晚培養することにより pK D46を保持するェシエリヒア'コリ JM101G+1株(以下、ェシエリヒア'コリ JMlOlG+1/ρ KD46と称す)を取得した。
[0242] 次に、上記(1)で取得した ikL遺伝子欠損株作製用クロラムフエ-コール耐性遺伝 子断片を用いてェシエリヒア'コリ JM101G+l/pKD46を、電気パルス法により形質転 換し、 JM101株の染色体 DNA上の ilvL遺伝子にクロラムフエ-コール而劣性遺伝子が 挿入された組換え株を 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地上で選択し た。
取得したクロラムフエ-コール而性株を、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB 寒天培地にレプリカし、 42°Cで保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた 各コロニーを 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地、および 100mg/Lの アンピシリンを含む LB寒天培地にレプリカし、クロラムフエ-コール耐性かつアンピシ リン感受性を示す PKD46脱落株を選択した。
[0243] ェシエリヒア'コリの染色体 DNA上において、クロラムフエ-コール耐性遺伝子挿入
部位の上流および下流のおよそ 400bpに位置する塩基配列を有する配列番号 119 および 120で表される塩基配列を合成し、該合成 DNAを プライマーセットに用いた コロニー PCRにより、上記で取得した形質転換株の染色体 DNAの構造を確認した。 コロニー PCRは、 200 μ 1のピペットチップをコロニーに触れさせることで取得した量の 菌体、プライマー各 0.5 μ mol/L, Plu DNAポリメラーゼ 2.5units、 Plu DNAポリメラー ゼ用 X 10緩衝液 4 /z L、 deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ 1を用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0244] コロニー PCRに供した株のうちでクロラムフエ-コール耐性遺伝子を含むおよそ 2k bの大きさの増幅断片が得られた株は、 UxL遺伝子欠損株であることを確認し、ェシェ リヒア 'コリ JILG+Cmlと命名した。
次に上記で得られたェシエリヒア'コリ JILG+Cmlを pCP20を用いて形質転換し、 100 mg/1のアンピシリンを含む LB寒天培地上で選択することにより、 pCP20を保持するェ シエリヒア'コリ JILG+Cmlを取得した。
[0245] プラスミド pCP20は、酵母由来 Flp recombinase遺伝子を有し、該遺伝子の発現は 42 °Cで誘導することができる。
また、上記(1)で作製した ikL遺伝子欠損株作製用クロラムフエ-コール耐性遺伝 子断片中のクロラムフエ-コール耐性遺伝子の両端には、 Hp recombinaseが認識す る塩基配列が存在するため、 Flp recombinaseが触媒する相同組換えにより容易に該 耐性遺伝子を脱落させることができる。
[0246] さらに、 pCP20は温度感受性の複製起点を有して 、るため、 pCP20保持株を 42°Cで 生育させることにより、 Flp recombinaseの発現と pCP20の脱落を同時に誘導すること ができる。
上記で取得したェシエリヒア'コリ JILG+Cmlを薬剤無添加の LB寒天培地に植菌し 、 42°Cで 14時間培養した後、単コロニー分離した。得られた各コロニーを薬剤無添加 LB寒天培地、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地および 100mg/Lの アンピシリンを含む LB寒天培地にレプリカして、 30°Cで培養し、クロラムフエ-コール 感受性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。
[0247] 上記で選択した各株にっ 、て、配列番号 119および 120で表される塩基配列から
なる DNAをプライマーセットとして用いて、コロニー PCRを行った。コロニー PCRは、 200 μ 1のピペットチップをコロニーに触れさせることで取得した量の菌体、プライマー 各 0.5 μ mol/L、 Plu DNAポリメラーゼ 2.5units、 Plu DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 4 μ L、 deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ 1を用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分 間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0248] PCRに供した株のうちでクロラムフエ-コール耐性遺伝子が脱落したおよそ 0.7kb の大きさの増幅断片が得られた株は、 ikL遺伝子欠損株であることを確認し、ェシエリ ヒア'コリ JILG+1と命名した。
実施例 8
[0249] 阻害解除型 置 ·の作製
遺伝子欠損株作製用薬剤耐性遺伝子断片および阻害解除型 遺伝子置
•作製用 DNA断片のクローユング
エシ リヒア ·コリ K12株の 遺伝子の塩基配列は既に明らかにされて 、る [Scienc e, 5331, 1453-1474(1997)]。
[0250] L-イソロイシンによる阻害が実質的に解除したスレオ-ンデァミナーゼをコードする i
1νΑ219遺伝子(以下、阻害解除型 遺伝子と称す)は 447番目のロイシンがフエ- ルァラニンへ置換した変異を有することが知られている。 [Biochemistry, 34, 9403 (1
995)]。
報告されて 、る塩基配列に基づ!、てパーセプティブ ·バイオシステムズ社製 8905型 DNA合成機を用いて、 遺伝子欠損株作製用薬剤耐性遺伝子断片を増幅する ためのプライマー DNAとして配列番号 121および 122で表される塩基配列からなる DNAを合成した。
[0251] 該 DNAは各々欠損の標的遺伝子の上流と下流に位置する 36bpと同一の塩基配 列を有している。
また、阻害解除型 遺伝子上流領域増幅用のプライマーセットとして、配列番号 123で表される塩基配列からなる DNA、コドン置換変異配列を含む配列番号 124で 表される塩基配列を有する DNAを、阻害解除型 ih^Jt伝子下流領域増幅用プライ マーセットとして、コドン置換変異配列を含む配列番号 125で表される塩基配列から
なる DNA、配列番号 126で表される塩基配列カゝらなる DNAを合成した。
[0252] 上記 DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、 pKD3DNAを铸型に 遺伝子 欠損株作製用クロラムフエ-コール耐性遺伝子断片を、ェシエリヒア'コリ W3110株の 染色体 DNAを铸型に阻害解除型 ilvA遺伝子上流領域、および阻害解除型 遺伝 子下流領域を増幅する PCRを行った。 PCRは染色体 DNA 0.1 g、またはプラスミ ド DNA 10ng、プライマー各 0.5 μ mol/L、 Plu DNAポリメラーゼ 2.5units、 Pfo DNAポリ メラーゼ用 X 10緩衝液 4 レ deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ Lを用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間力 なる工程を 30回繰り返すことにより行 つた o
[0253] 各該反応液の 1Z10量をァガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅している ことを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カ卩し、混 口し 7こ o
該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿させた後、該 DNAを 2 0 Lの TE〖こ溶解した。上記操作により、 遺伝子欠損用クロラムフエ-コール耐性 遺伝子断片、阻害解除型 i 遺伝子上流領域、および阻害解除型 ilvA遺伝子下流 領域を取得した。
[0254] 次に上記 PCR増幅断片のうち、阻害解除型 遺伝子上流領域、および阻害解 除型 遺伝子下流領域を铸型に、配列番号 123および 126で表される塩基配列 力もなる DNAをプライマーセットとして用いて、クロスオーバー PCRを行った。 PCR は、上記と同様の条件下で行った。
上記 PCRにより、阻害解除型 遺伝子上流領域と阻害解除型 ilvA遺伝子下流領 域が連結した阻害解除型 遺伝子置換株作製用 DNA断片を取得した。
(2)ェシエリヒア 'コリの染色体 DNA上の 遺伝子に薬剤耐性遺伝子が挿入された ェシエリヒア'コリ JM101株の作製
10mmol/Lの L-ァラビノースと 50 g/mlのアンピシリン存在下で培養したェシエリヒ ァ 'コリ JM101/pKD46を、上記(1)で取得した 遺伝子欠損用クロラムフエ-コール 耐性遺伝子断片を用いて電気パルス法により形質転換し、 JM101株の染色体 DNA
上の i 遺伝子にクロラムフエ-コール耐性遺伝子が挿入され、 i 構造遺伝子が欠 損した組換え株を 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地上で選択した。
[0255] 取得したクロラムフエ-コール而性株を、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB 寒天培地にレプリカし、 30°Cで保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた 各コロニーを 25mg/Lのクロラムフエ-コールと 100mg/Lのアンピシリンを含む LB寒天 培地にレプリカし、クロラムフエ-コール耐性かつアンピシリン耐性性を示すコロニー を選択した。
得られた各株にっ 、て、染色体 DNA上のクロラムフエ-コール耐性遺伝子挿入部 位の上流および下流のおよそ 400bpに位置する塩基配列を有する配列番号 123およ び 126で表される塩基配列を有する DNAをプライマーセットとして、コロニー PCRを 行った。
[0256] コロニー PCRは、 200 μ 1のピペットチップをコロニーに触れさせることで取得した量 の菌体、プライマー各 0.5 μ mol/L、 Pfo DNAポリメラーゼ 2.5units、 Pfo DNAポリメラ ーゼ用 X 10緩衝液 4 /z L、 deoxyNTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ 1を用い、 94°C で 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
PCRに供した株のうちでクロラムフエ-コール耐性遺伝子を含むおよそ 2kbの大き さの増幅断片が得られた株は、 遺伝子欠損株であることを確認し、ェシエリヒア' コリ JIACml/pKD46と命名した。
(3)染色体 DNA上の 遺伝子が阻害解除型 遺伝子に置換したエシ リヒア ·コ リ JM101株の作製
上記(2)で作製したェシエリヒア'コリ JIACml/pKD46株を、 10mmol/Lの L-ァラピノ ースと 50 g/mlのアンピシリン存在下で培養後、上記(1)で取得した阻害解除型 遺伝子置換株作製用 DNA断片を用いて電気パルス法により形質転換し、 JIACml 株の染色体 DNA上の i 遺伝子が阻害解除型 遺伝子に置換した株を、イソロイ シン要求性の復帰指標にして Μ9培地にグルコースを添加した寒天培地上で選択し た。
[0257] 生育してきたアンピシリン耐性株を薬剤無添加の Μ9培地にグルコースを添加した 寒天培地にレプリカし、 42°Cで保温した状態で単コロニー分離を実施した。得られた
各コロニーを薬剤無添加、 25mg/Lのクロラムフエ-コールを含む LB寒天培地、およ び 100mg/Lのアンピシリンを含む LB寒天培地にそれぞれレプリカし、クロラムフエニコ ール感受性かつアンピシリン感受性を示すコロニーを選択した。得られた株が阻害 解除型 遺伝子置赚であることを確認し、ェシエリヒア'コリ JIA1と命名した。
(4)染色体 DNA上の 遺伝子力 阻害解除型 遺伝子に置換したェシエリヒア · コリ JILG+1の作製
ェシエリヒア'コリ JM101の代わりに親株として実施例 7で作製したェシエリヒア'コリ JI LG+1を用いて、上記(1)〜(3)の操作を行うことにより、 ilxL遺伝子が欠損し、 ilvG遣 伝子が復帰型 ib 遺伝子に置換しており、かつ ilvA遣伝子が、阻害解除型 遺伝 子に置換した株を取得し、ェシエリヒア ·コリ JILG + IA1と命名した。
実施例 9
[0258] 変異型 uA遺伝子置換株の作製
(l) leuA遺伝子欠損株作製用薬剤耐性遺伝子断片および変異型 遺伝子置換 株作製用 DNA断片のクローユング
エシ リヒア 'コリ K12株の Δ遺伝子の塩基配列は既に明らかにされて!/、る [Scienc e, 5331, 1453-1474(1997)]。
[0259] ェシエリヒア'コリ FERM BP- 4704は、ロイシンアナログ(4-ァザロイシン)而ォ性によ り選抜されてきたロイシン生産菌であり (特開平 8-70879)、 L-ロイシンによる阻害が実 質的に解除したイソプロピルリンゴ酸シンターゼをコードする変異型 leuA遺伝子を有 していると考えられる。
報告されて 、る塩基配列に基づ!、てパーセプティブ ·バイオシステムズ社製 8905型
DNA合成機を用いて、 Δ遺伝子欠損株作製用薬剤耐性遺伝子断片のを増幅す るためのプライマーセットとして、配列番号 127および 128で表される塩基配列力もな る DNAを合成した。
[0260] 該 DNAは、各々欠損の標的遺伝子の上流と下流に位置する 36bpと同一の塩基配 列を有している。
また、変異型 ImiA遺伝子置換株作製用 DNA断片を増幅するためのプライマーセッ トとして、 遺伝子の開始コドン力 上流およそ 200bpに位置する塩基配列を有す
る配列番号 129で表される DNA、および終止コドンから下流およそ 200bpに位置す る塩基配列と逆向きの配列を有する配列番号 130で表される DNAを合成した。
[0261] 上記の DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、 pKD3DNAを铸型にして leuA 遺伝子欠損株作製用クロラムフエ-コール耐性遺伝子断片を、また常法により調製し た FERM BP-4704の染色体 DNAを铸型にして変異型 遺伝子置換株作製用 DN A断片を PCRにより増幅した。
PCRは、染色体 DNA 0.1 g、またはプラスミド DNA 10ng、プライマー各 0.5 μ mo 1/L、 Pfo DNAポリメラーゼ 2.5units、 Pfo DNAポリメラーゼ用 X 10緩衝液 4 μ deoxy NTP各 200 μ mol/Lを含む反応液 40 μ Lを用い、 94°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 3分間からなる工程を 30回繰り返すことにより行った。
[0262] 各該反応液の 1Z10量をァガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅している ことを確認後、残りの反応液と等量の TE飽和フエノール Zクロ口ホルムを添カ卩し、混 口し 7こ o
該混合液を遠心分離後、得られた上層に 2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、 - 80°Cに 30分間放置した。該溶液を遠心分離して DNAを沈殿させた後、該 DNAを 2 0 Lの TEに溶解した。上記操作により、 遺伝子欠損株作製用クロラムフエニコ ール耐性遺伝子断片、および変異型 ImiA遺伝子置換株作製用 DNA断片を取得し た。
(2)染色体 DNA上の kuA遺伝子に薬剤耐性遺伝子が挿入したェシエリヒア 'コリ JM1 01株の作製
実施例 8 (2)と同様の操作により、ェシエリヒア'コリ JM101株の染色体 DNA上の Δ遺伝子にクロラムフエ-コール耐性遺伝子が挿入されたェシエリヒア'コリの変異株 を作製した。
[0263] 染色体 DNA上へのクロラムフエ-コール而性遺伝子の挿入の確認は、クロラムフエ 二コール耐性遺伝子挿入部位の上流および下流のおよそ 200bpに位置する塩基配 列を有する配列番号 131および 132で表される塩基配列力もなる DNAをプライマ 一セットに用いた、コロニー PCRにより行った。
PCRは、実施例 8 (2)と同様の条件で行った。コロニー PCRに供した株のうちでクロ
ラムフエ-コール耐性遺伝子を含むおよそ 2kbの大きさの増幅断片が得られた株は 、クロラムフエ-コール耐性遺伝子が 遺伝子中に挿入された!^遺伝子欠損株 であることを確認し、 JLACml/pKD46と命名した。
(3)染色体 DNA上の Ι^ Δ遺伝子がェシエリヒア 'コリ Η-9070株由来の変異型遺伝子 に置換したェシエリヒア 'コリ JM101株の作製
上記(1)で作製した変異型 遺伝子置換株作製用 DNA断片、および上記 (2) で作製したェシエリヒア'コリ JLACml/pKD46株を用いて、実施例 8 (3)と同様の操作 により、ェシエリヒア 'コリ JLACml/pKD46の染色体 DNA上のクロラムフエ-コール耐 性遺伝子が挿入された leuA遺伝子が、変異型 leuA遺伝子に置換した組換え株を作 製し、ェシエリヒア'コリ JLA1と命名した。
(4)染色体 DNA上の uA遺伝子が、変異型 遺伝子に置換したェシエリヒア ·コリ JILG+1の作製
ェシエリヒア'コリ JM101の代わりに親株として実施例 7で作製したェシエリヒア'コリ JI LG+1を用いて、上記(1)〜(3)の操作を行うことにより、 ikL遺伝子が欠損し、 ilvGjf 伝子が復帰型 遺伝子に置換しており、かつ leuA遣伝子が、変異型 ImiA遺伝子に 置換した株を取得し、ェシエリヒア 'コリ JILG + LA1と命名した。
実施例 10
[0264] L-ァラニンを生産する能力を有する微生物を用 、た L-Ala— L_Alaの発酵生産
実施例 2で得られたバチルス ·サチルス由来の; mffi遺伝子およびバチルス ·サチル ス由来の 遺伝子発現プラスミド PPE86を用いてェシエリヒア'コリ JM101株を形質転 換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布し、 30°Cでー晚培 養した。生育してきた株力も公知の手法によりプラスミドを抽出して、該プラスミドを制 限酵素処理し、プラスミド pPE86を保持するェシエリヒア'コリ JM101株(以下、ェシエリ ヒア'コリ JM101/pPE86と称す)が取得できたことを確認した。同様の方法で、プラスミ ド pTrS30を保持するェシエリヒア'コリ JM101株(以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pTrS3 0と称す)、プラスミド pPE56を保持するェシエリヒア'コリ JM101株(以下、ェシエリヒア' コリ JM101/pPE56と称す)も取得した。
[0265] 上記の形質転換株を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地が入
つた試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液を 100 g/mlのアンピシリン を含む生産培地 [16g/Lリン酸水素二カリウム、 14g/Lリン酸二水素カリウム、 5g/L 硫酸アンモ-ゥム、 lg/Lクェン酸 (無水)、 5g/Lカザミノ酸 (ディフコ社製)、 10g/Lグ ルコース、 10mg/Lビタミン B、 25mg/L硫酸マグネシウム · 7水和物、 50mg/L硫酸鉄
1
•7水和物、 pH7.2に 10mol/Lの水酸化ナトリウムで調整、グルコース、ビタミン B、硫
1 酸マグネシウム · 7水和物、硫酸鉄 · 7水和物は別個に蒸煮後添加した]が 8ml入って いる試験管に 1%接種し、 30°Cで 24時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養 上清を取得した。
[0266] 該培養上清中の培養生成物を、 F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該 生成物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果 を表 6に示す。
[0267] [表 6] 表 6
[0268] L-Alaおよび L-Glnを生産する能力を有する微生物を用いた L-Ala— L-Glnの発酵生 産
実施例 1で得られた glnE遺伝子および glnS遺伝子の二重欠損株であるェシエリヒア
'コリ JGLBE1を、実施例 2で得られた pPE86で形質転換した後、 50 g/mlのアンピシ リンを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。生育してきたコロニー 力も公知の方法によってプラスミドを抽出し、 pPE86を保持するェシエリヒア'コリ JGLB E1株が取得できていることを制限酵素処理で確認し、該株をェシエリヒア'コリ JGLBE 1/ρΡΕ86と命名した。同様の方法で、 pTrS30を保持するェシエリヒア'コリ JGLBE1株( 以下、ェシエリヒア'コリ JGLBEl/pTrS30と称す)、 pPE56を保持するェシエリヒア'コリ JGLBE1株(ェシエリヒア 'コリ JGLBEl/pPE56と称す)も取得した。
[0269] 上記の形質転換株を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地が入 つている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液をアンピシリン 100 g/ mlを含む実施例 10記載の生産培地が 8 ml入っている試験管に 1%接種し、 30°Cで 2 4時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 7 に示す。
[0270] [表 7] 表 7
実施例 12
[0271] L-Alaおよび L-Pheを生産する能力を有する微生物を用いた L-Ala— L-Pheの発酵生 産
実施例 10で取得したェシエリヒア'コリ JM101/pPE86を、実施例 3で造成したェシェ リヒア 'コリ由来の脱感作型 Ei^A遺伝子発現プラスミドである pPHEA2、またはェシェ リヒア'コリ由来の脱感作型 Ehg 遺伝子と脱感作型 amE遺伝子発現プラスミドである PPHEAF2を用いて形質転換した後、 50 μ g/mlのアンピシリンおよび 30 μ g/mlのクロ ラムフエ-コールを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。生育し てきたコロニーから公知の方法にてプラスミドを抽出し、 pPHEA2または pPHEAF2を 保持するェシエリヒア.コリ JM101/pPE86 (それぞれ、ェシエリヒア'コリ JM101/pPE86 /pPHEA2、エシ リヒア 'コリ JM101/pPE86/pPHEAF2と称す)が取得できていること を確認した。同様の方法で、実施例 10で取得したェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30お よびェシエリヒア'コリ JM101/pPE56を、 pPHEA2または pPHEAF2で形質転換すること により、 pPHEA2を保持するェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30 (以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30/pPHEA2)、 pPHEAF2を保持するェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30 (以
下、ェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30/pPHEAF2と称す)、 pPHEA2を保持するェシエリ ヒア'コリ JM101/pPE56 (以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pPE56/pPHEA2と称す)、 pP HEAF2を保持するェシエリヒア'コリ JM101/pPE56 (以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pP E56/pPHEAF2と称す)を取得した。
[0272] 上記の形質転^ ¾を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンおよび 30 μ g/mlのクロラム フエ-コールを含む 8mlの LB培地が入っている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養 した。該培養液を 100 μ g/mlのアンピシリンおよび 50 μ g/mlのクロラムフエ-コールを 含む実施例 10記載の生産培地が 8ml入っている試験管に 1 %接種し、 30°Cで 24時 間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
[0273] 培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLCによる分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 8に 示す。
[0274] [表 8] 表 8
実施例 13
[0275] L-Thrおよび L-Pheを生産する能力を有する微生物を用 V、†Lースレオニル Lーフ ェ-ルァラニン(L- Thr—L-Phe)の発酵生産
プロリン、メチォニン、イソロイシンおよびチアミン要求性を示し、 a -ァミノ- j8 -ヒドロ キシ吉草酸耐性が付与された L-Thrを生産する能力を有するェシエリヒア'コリ β ΙΜ- 4株 (ATCC21277)を、実験例 15で得られたバチルス ·サチルス由来の y E遺伝子の 発現を強化したプラスミドである ΡΡΕ56で形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを 含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。生育してきたコロニーから
公知の方法によりプラスミドを抽出し、 pPE56を保持するェシエリヒア'コリ ATCC2127 7 (以下、ェシエリヒア'コリ ATCC21277/pPE56と称す)が取得されていることを制限酵 素処理により確認した。
[0276] 次にェシエリヒア'コリ ATCC21277/pPE56を、 pSTV28 (タカラバィォ社製)、実施例 3で得られた pPHEA2または pPHEAF2を用いて形質転換し、 50 g/mlのアンピシリン および 30 μ g/mlのクロラムフエ-コールを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cで 一晩培養した。生育してきたコロニー力も公知の方法によりプラスミドを抽出し、 pSTV 28、 pPHEA2または pPHEAF2を保持するェシエリヒア'コリ ATCC21277/pPE56 (以下 、それぞれェシエリヒア'コリ ATCC21277/pPE56/pSTV28、ェシエリヒア'コリ ATCC2 1277/pPE56/pPHEA2およびェシエリヒア 'コリ ATCC21277/pPE56/pPHEAF2と称す )が取得されていることを制限酵素処理により確認した。同様の方法により、 pTrS30お よび PSTV28を保持するェシエリヒア'コリ ATCC21277 (以下、ェシエリヒア'コリ ATCC 21277/pTrS30/pSTV28と称す)、 pTrS30および pPHEA2を保持するェシエリヒア'コリ ATCC21277 (以下、ェシエリヒア'コリ ATCC21277/pTrS30/pPHEA2と称す)、 pTrS30 および PPHEAF2を保持するェシエリヒア'コリ ATCC21277 (以下、ェシエリヒア'コリ A TCC21277/pTrS30/pPHEAF2と称す)を取得した。
[0277] 上記の形質転^ ¾を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンおよび 30 μ g/mLのクロラ ムフエ-コールを含む 8mLの LB培地が入っている試験管に接種し、 28°Cで 17時間 培養した。該培養液を 100 μ g/mlのアンピシリンおよび 50 μ g/mlのクロラムフエニコー ルを含む上記実施例 4記載の生産培地が 8ml入って 、る試験管に 1%接種し、 30°C で 24時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
[0278] 培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLCによる分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 9に 示す。
[0279] [表 9]
表 9
[0280] L-Alaおよび L-Tyrを生産する能力を有する微生物を用いた L-Ala— L-Tyrの発酵生 産
実施例 10で取得したェシエリヒア'コリ JM101/pPE86を、実施例 4で造成したェシェ リヒア 'コリ由来のチロシン耐性変異型 aroF- tyrAオペロン発現プラスミドである pTY2 を用いて形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンおよび 30 g/mlのクロラムフエ- コールを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。生育してきたコロ ニー力も公知の方法にてプラスミドを抽出し、 pTY2を保持するェシエリヒア'コリ JM10 1/ρΡΕ86 (以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pPE86/pTY2と称す)が取得できていること を確認した。同様の方法で、実施例 10で取得したェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30お よびェシエリヒア'コリ JM101/pPE56を、 pTY2で形質転換することにより、 ρΤΥ2を保持 するェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30 (以下、ェシエリヒア'コリ JM101/pTrS30/pTY2と 称す)、 pTY2を保持するェシエリヒア'コリ JM101/pPE56 (以下、ェシエリヒア'コリ JM1 01/pPE56/pTY2と称す)を取得した。
[0281] 上記の各形質転^ ¾を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンおよび 30 μ g/mlのクロラ ムフエ-コールを含む 8mlの LB培地が入っている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培 養した。該培養液を 100 μ g/mlのアンピシリンおよび 50 μ g/mlのクロラムフエ-コール を含む実施例 10記載の生産培地が 8ml入っている試験管に 1%接種し、 30°Cで 24 時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
[0282] 培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLCによる分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 10
に示す。
[0283] [表 10] 表 1 0
[0284] L-Alaおよび L-Metを生産する能力を有する微生物を用いた L ァラニル Lーメチ ォニン(L- Ala— L- Met)の発酵生産
実施例 5で取得したェシエリヒア'コリ JMJ1を、実施例 2で取得した pPE86で形質転 換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚 培養した。生育してきたコロニー力も公知の方法によってプラスミドを抽出し、 pPE86 を保持するェシエリヒア'コリ JMJ1株が取得できていることを制限酵素処理で確認し、 該株をェシエリヒア'コリ JMJl/pPE86と命名した。同様の方法で、 pTrS30を保持する ェシエリヒア'コリ JMJ1株(以下、ェシエリヒア'コリ JMJl/pTrS30と称す)、 pPE56を保 持するエシ リヒア 'コリ JMJ1株 (エシ リヒア 'コリ JMJl/pPE56と称す)も取得した。
[0285] 上記の形質転換株を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地が入 つている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液をアンピシリン 100 g/ mlを含む実施例 10記載の生産培地が 8 ml入っている試験管に 1 %接種し、 30°Cで 2 4時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 1 1に示す。
[0286] [表 11]
表 1 1
[0287] 実施例 10〜 15に示す結果から、 1種以上のアミノ酸カもジペプチドを生成する活 性を有する蛋白質を生産する能力を有し、かつ該 1種以上のアミノ酸のうちの少なく とも 1種のアミノ酸を生産する能力を有する微生物を培地に培養することにより、該培 地中にジペプチドを生成、蓄積させることができること、および 1種のアミノ酸を生産 する能力を有する上記微生物に比べ、 2種のアミノ酸を生産する能力を有する上記 微生物の方が、ジペプチドの生産能力が高いことが明ら力となった。
実施例 16
[0288] L-Alaを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジペプチド取り込み 蛋白質遺伝子が欠損して ヽる微生物を用 、た L-Ala— L-Alaの発酵生産
実験例 16 (4)で得られた 遺伝子、 DeDN遣伝子および dDDオペロン遣伝子が欠 損しているェシエリヒア'コリ JPNDDP36株を、 pTrS30、実施例 2で得られた pPE56また は PPE86で形質転換した後、 50 g/mlのアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布 して、 30°Cで一晩培養した。生育してきたコロニーから公知の方法によりプラスミドを 抽出し、 pTrS30、 pPE56または pPE86を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDP36株(以下 、それぞれェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pTrS30、ェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pPE56 およびェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pPE86と称す)が取得できていることを、制限酵素 処理により確認した。
[0289] 上記の形質転換株を、それぞれ実施例 10と同様の方法で培養し、培養上清中の 生成物を実験例 17と同様の方法により分析した結果を表 12に示す。
[0290] [表 12]
表丄 2
[0291] L-Alaおよび L-Glnを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺプ チド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物を用いた L-Ala— L-Glnの発酵生 産
(1) L-Alaおよび L-Glnを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺ プチド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物の造成
実験例 16 (4)で得られたェシエリヒア ·コリ JPNDDP36株を用 、て実施例 1と同じ操 作を行うことにより、ェシエリヒア .コリ JPNDDP36株に dnE遣伝子欠損および dnB遣伝 子欠損を導入し、 L-Alaおよび L-Glnを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝 子およびジペプチド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物であるェシエリヒア •コリ JPNDDPGBE1株を取得した。
( 2) L-Ala L-Glnの発酵生産
上記(1)で得られたェシエリヒア'コリ JPNDDPGBE1株を実施例 16と同様の方法に より pTrS30、 pPE56または pPE86で形質転換して、該プラスミドを保持するェシエリヒア 'コリ JPNDDPGBE1株(以下、それぞれェシエリヒア'コリ JPNDDPGBEl/pTrS30、ェシ エリヒア ·コリ JPNDDPGBEl/pPE56およびェシエリヒア ·コリ JPNDDPGBEl/pPE86と称 す)を取得した。
[0292] ェシエリヒア'コリ JPNDDPGBEl/pTrS30、ェシエリヒア'コリ JPNDDPGBEl/pPE56お よびェシエリヒア'コリ JPNDDPGBEl/pPE86を、実施例 10と同様の方法で培養し、培 養上清中の生成物を実験例 17と同様の方法により分析した結果を表 13に示す。
[0293] [表 13]
表 1 3
[0294] L-Alaおよび L-Tyrを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺプ チド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物を用いた L-Ala— L-Tyrの発酵生 産
実験例 16で取得した JPNDDP36株を、実施例 2で取得した pPE86で形質転換した 後、 50 g/mlのアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養し た。生育してきたコロニーから公知の方法によってプラスミドを抽出し、 pPE86を保持 するェシエリヒア'コリ JPNDDP36株が取得できていることを制限酵素処理で確認し、 該株をェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pPE86と命名した。同様の方法で、 pTrS30を保 持するェシエリヒア.コリ JPNDDP36株(以下、ェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pTrS30と 称す)、 PPE56を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDP36株(ェシエリヒア'コリ JPNDDP3 6/pPE56と称す)も取得した。
[0295] さらに、上記で得られた形質転換株を、それぞれ実施例 4で取得した pTY2で形質 転換することにより、 ΡΤΥ2を保持する形質転 ·であるェシエリヒア'コリ JPNDDP36/ pTrS30/pTY2、ェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pPE56/pTY2、およびェシエリヒア'コリ JP NDDP36/pPE86/pTY2を取得した。
上記の形質転換株を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地が入 つている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液をアンピシリン 100 g/ mlを含む実施例 10記載の生産培地が 8 ml入っている試験管に 1%接種し、 30°Cで 2 4時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
[0296] 培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 1 4に示す。
[0297] [表 14] 表 1 4
[0298] L-Alaおよび L-Valを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺプチ ド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物を用いた L-Ala— L-Valの発酵生産 実験例 16で取得したぺプチダーゼ遺伝子およびペプチド取り込み蛋白質をコード するオペロンの欠損変異株を親株に用いて、実施例 7記載の方法に従い、 ilvL遺伝 子を欠損し、かつ ilvG遺伝子のフレームシフト変異が復帰したェシエリヒア'コリ JPND DPILG+1株を作製した。
[0299] 実施例 2で取得した pPE86を用いて、ェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+1株を形質転換 した後、 50 g/mlのアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布し、 30°Cでー晚培養 した。生育してきた株力も公知の手法によりプラスミドを抽出して、該プラスミドを制限 酵素処理し、プラスミド pPE86を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+1株(以下、ェ シエリヒア'コリ JPNDDPILG+l/pPE86と称す)が取得できていることを確認した。同様 にしてプラスミド pTrS30を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+1株(以下、ェシエリ ヒア.コリ JPNDDPILG+l/pTrS30と称す)、プラスミド pPE56を保持するェシエリヒア'コ リ JPNDDPILG+1株(以下、ェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+l/pPE56と称す)を取得し た。
[0300] 上記の形質転換株を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB培地が入 つた試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液を 100 g/mlのアンピシリン を含む培地 [16g/Lリン酸水素二カリウム、 14g/Lリン酸二水素カリウム、 5g/L硫酸ァ ンモ-ゥム、 lg/Lクェン酸(無水)、 5g/Lカザミノ酸(ディフコ社製)、 10g/Lダルコ一 ス、 10mg/Lビタミン B mg/L硫酸鉄 · 7水
1、 25mg/L硫酸マグネシウム · 7水和物、 50
和物、 pH7.2に 10mol/Lの水酸化ナトリウムで調整、グルコース、ビタミン B、硫酸マグ
ネシゥム · 7水和物、硫酸鉄 · 7水和物は別個に蒸煮後添加した]が 8ml入って ヽる試 験管に 1%接種し、 30°Cで 24時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清 を取得した。
[0301] 該培養上清中の培養生成物を、 F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該 生成物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果 を表 15に示す。
[0302] [表 15] 表 1 5
実施例 20
[0303] L-Alaおよび L-Ileを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺプチ ド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物を用いた L-Ala— L-Ileの発酵生産 実験例 16で取得したぺプチダーゼ遺伝子およびペプチド取り込み蛋白質をコード するオペロンの欠損変異株であるェシエリヒア'コリ JPNDDP36株を親株として、 ilxL遺 伝子が欠損し、 遺伝子のフレームシフト変異が復帰し、さらに ilvA遺伝子が阻害 解除型 遺伝子に置換したェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IA1株を実施例 7および 8記載の方法に準じて作製した。
[0304] ェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IA1株を実施例 2で取得した pPE86で形質転換した 後、 50 g/mlのアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養し た。生育してきたコロニーから公知の方法によってプラスミドを抽出し、 pPE86を保持 するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IA1株が取得できていることを制限酵素処理で確 認し、該株をェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IAl/pPE86と命名した。同様の方法で、 p TrS30を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IA1株(以下、ェシエリヒア'コリ JPND DPILG+IAl/pTrS30と称す)、 pPE56を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IA1株 (ェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+IAl/pPE56と称す)を取得した。
[0305] 上記で取得した形質転換株を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB 培地が入っている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液をアンピシリン 100 g/mlを含む実施例 10記載の生産培地が 8 ml入っている試験管に 1%接種し、 30°Cで 24時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 1 6に示す。
[0306] [表 16] 表 1 6
[0307] L-Alaおよび L-Leuを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺプ チド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物を用いた L-Ala— L-Leuの発酵生 産
実験例 16で取得したぺプチダーゼ遺伝子およびペプチド取り込み蛋白質をコード するオペロンの欠損変異株であるェシエリヒア'コリ JPNDDP36株を親株として、 ilxL遺 伝子が欠損し、 ik£遺伝子のフレームシフト変異が復帰し、さらに leuA遺伝子が変異 型 leuA遺伝子に置換したェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+LA1を、実施例 7および 9記 載の方法に準じて作製し、実施例 2で取得した pPE86で形質転換した後、 50 g/ml のアンピシリンを含有する LB寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。生育してき たコロニー力も公知の方法によってプラスミドを抽出し、 pPE86を保持するェシエリヒア •コリ JPNDDPILG+LA1株が取得できていることを制限酵素処理で確認し、該株をェ シエリヒア'コリ JPNDDPILG+LAl/pPE86と命名した。同様の方法で、 pTrS30を保持 するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+LA1株(以下、ェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+LA1 /pTrS30と称す)、 pPE56を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDPILG+LA1株(ェシエリヒ
ァ 'コリ JPNDDPILG+LAl/pPE56と称す)も取得した。
[0308] 上記で得られた形質転 ·を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンを含む 8mlの LB 培地が入っている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養した。該培養液をアンピシリン 100 g/mlを含む実施例 10記載の生産培地が 8 ml入っている試験管に 1%接種し、 30°Cで 24時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLC法による分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 1 7に示す。
[0309] [表 17] 表 1 7
実施例 22
[0310] L-Serおよび L-Pheを生産する能力を有し、かつべプチダーゼ遺伝子およびジぺプ チド取り込み蛋白質遺伝子が欠損している微生物を用いた L-Ser— L-Pheの発酵生 産
実験例 16で取得したぺプチダーゼ遺伝子およびペプチド取り込み蛋白質をコード するオペロンの欠損変異株であるェシエリヒア'コリ JPNDDP36株を、実施例 6で取得 した PSE15または pPE212で形質転換した後、 50 μ g/mlのアンピシリンを含有する LB 寒天培地に塗布して、 30°Cでー晚培養した。生育してきたそれぞれのコロニー力 公 知の方法にてプラスミドを抽出し、 pSE15を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDP36株、 および PPE212を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDP36株が取得できていることを制限 酵素処理で確認し、それぞれェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pSE15、およびェシエリヒ ァ 'コリ JPNDDP36/pPE121と命名した。
[0311] さらに、上記で得られた形質転換株を、それぞれ実施例 3で取得したェシエリヒア' コリ由来の脱感作型 §Δ遺伝子および脱感作型 ^遺伝子発現プラスミドである Ρ
PHEAF2で形質転換することにより、 pPHEAF2を保持するェシエリヒア'コリ JPNDDP3 6/pSE15、およびエシ リヒア 'コリ JPNDDP36/pPE121を取得し、それぞれエシ リヒ ァ'コリ JPNDDP36/pSE15/pPHEAF2、およびェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pPE121/ PPHEAF2と命名した。
[0312] ェシエリヒア'コリ JPNDDP36/pSE15/pPHEAF2、およびェシエリヒア'コリ JPNDDP3 6/pPE121/pPHEAF2を、それぞれ 50 μ g/mlのアンピシリンおよび 30 μ g/mlのクロラム フエ-コールを含む 8mlの LB培地が入っている試験管に接種し、 28°Cで 17時間培養 した。該培養液を 100 μ g/mlのアンピシリンおよび 50 μ g/mlのクロラムフエ-コールを 含む実施例 4記載の生産培地が 8ml入っている試験管に 1%接種し、 30°Cで 24時間 培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。
[0313] 培養上清中の培養生成物を F-moc化法で誘導体化した後、 HPLCを用いて該生成 物を分析した。 HPLCによる分析は、実験例 17と同様の方法で行った。結果を表 18 に示す。
[0314] [表 18]
[0315] 実施例 16〜22に示す結果から、 1種以上のアミノ酸カもジペプチドを生成する活 性を有する蛋白質を生産する能力、該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のァ ミノ酸を生産する能力を有し、かつ 1種以上のぺプチダーゼおよび 1種以上のぺプチ ド取り込み蛋白質の活性を喪失するか、または 3種以上のぺプチダーゼ活性が喪失 した微生物を培地に培養することにより、該培地中にジペプチドを生成、蓄積させる ことができること、並びに該微生物は、 1種以上のアミノ酸力 ジペプチドを生成する 活性を有する蛋白質を生産する能力、および該 1種以上のアミノ酸のうちの少なくとも 1種のアミノ酸を生産する能力を有している力 ぺプチダーゼおよびペプチド取り込 み蛋白質の活性を喪失して 、な 、微生物に比べ、ジペプチドの生産能力が高 、こと が明らかになった。
産業上の利用可能性
[0316] 本発明により、効率よく各種ジペプチドを製造することができる。
配列表フリ —テキスト
[0317] 配列番号 19 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 20- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 21 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 22- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 23 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 24- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 25 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 26 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 27- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 28 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 29 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 30- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 31 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 32- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 33 - -人工配列の説明 :データベースサ -チに -用いたアミノ酸配列 配列番号 34- -人工配列の説明 :データベースサ -チに -用いたアミノ酸配列 配列番号 35 - -人工配列の説明 :データベースサ -チに -用いたアミノ酸配列 配列番号 41 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 42- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 54- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 64- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 65 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 66 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 67- -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 68 - -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 69 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 70- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 71 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 72- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 73 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 74- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 75 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 76 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 77- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 78 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 79 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 80- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 81 - -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 82- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 83 - -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 84- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 85 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 86 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 87 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 88 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 89 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 90 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 91 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 92 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 93 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 94一人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 95一人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 96一人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 97—人工配列の説明:合成 DNA 配列番号 98 人工配列の説明:合成 DNA 配列番号 99 人工配列の説明:合成 DNA 配列番号 100- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 101 - -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 102- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 103- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 104- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 105- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 106- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 107- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 108- -人工配列の説明 合成 DNA 配列番号 109- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 110- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 111 - -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 112- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 113- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 114- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 115- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 116- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 117- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 118- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 119- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 120- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 121 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 122 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 123 -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 124 -人工配列の説明 :合成 DNA
配列番号 125- -人工配列の説明:合成 DNA 配列番号 126- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 127- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 128- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 129- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 130- -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 131 - -人工配列の説明 :合成 DNA 配列番号 132- -人工配列の説明 :合成 DNA