≪用語の説明≫
以下、本明細書で使用される用語について説明する。以下の説明は、別段規定される場合を除き、本明細書の全体に適用される。
<略語>
「SEM」は走査型電子顕微鏡を、「EDX」はエネルギー分散型X線分光法を、「SEM-EDX」は走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析法を、「EPMA」は電子線マイクロアナライザーを、「XRF」は蛍光X線分析法を、「WDX」は波長分散型X線分析法を、「ICP-AES」は誘導結合プラズマ発光分光分析法を意味する。
<金属元素>
「金属元素」には、Si、B等の半金属元素も包含される。
<希土類元素>
「希土類元素」には、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuが包含される。
<貴金属元素>
「貴金属元素」には、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgが包含される。
<酸化物>
「酸化物」の意義は、次の通りである。Ce、Pr及びTbを除く希土類元素の酸化物はセスキ酸化物(M2O3,MはCe、Pr及びTb以外の希土類元素を表す)を、Ceの酸化物はCeO2を、Prの酸化物はPr6O11を、Tbの酸化物はTb4O7を、Alの酸化物はAl2O3を、Zrの酸化物はZrO2を、Siの酸化物はSiO2を、Bの酸化物はB2O3を、Crの酸化物はCr2O3を、Mgの酸化物はMgOを、Caの酸化物はCaOを、Srの酸化物はSrOを、Baの酸化物はBaOを、Feの酸化物はFe3O4を、Mnの酸化物はMn3O4を、Niの酸化物はNiOを、Tiの酸化物はTiO2を、Znの酸化物はZnOを、Snの酸化物はSnO2を意味する。
<金属元素の金属換算の質量>
「金属元素の金属換算の質量」は、金属元素が金属元素で構成される金属として存在すると仮定して求められる金属の質量を意味する。
<金属元素の酸化物換算の質量>
「金属元素の酸化物換算の質量」は、金属元素が金属元素の酸化物として存在すると仮定して求められる金属元素の酸化物の質量を意味する。
<触媒層の質量>
「触媒層の質量」は、触媒層に含まれる全ての金属元素を、貴金属元素と、貴金属元素以外の金属元素とに分類し、貴金属元素については金属換算の質量を、貴金属元素以外の金属元素については酸化物換算の質量を求め、これらを合計したものを意味する。すなわち、「触媒層の質量」は、触媒層に含まれる貴金属元素の金属換算の質量と、触媒層に含まれる貴金属元素以外の金属元素の酸化物換算の質量とを合計することにより求められた計算質量を意味する。
触媒層の製造に使用される原料の情報(例えば、組成、量等)が判明している場合、触媒層の質量は、触媒層の製造に使用される原料の情報から求めることができる。
<触媒層中の金属元素の金属換算又は酸化物換算の含有率>
「触媒層中の金属元素の金属換算の含有率」は、式:触媒層中の金属元素の金属換算の含有率(質量%)=(触媒層中の金属元素の金属換算の質量)/(触媒層の質量)×100により定義される。
「触媒層中の金属元素の酸化物換算の含有率」は、式:触媒層中の金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)=(触媒層中の金属元素の酸化物換算の質量)/(触媒層の質量)×100により定義される。
触媒層の形成に使用される原料の情報(例えば、組成、量等)が判明している場合、触媒層中の金属元素の金属換算又は酸化物換算の含有率(質量%)は、原料の情報から求めることができる。
触媒層の形成に使用される原料の情報が判明していない場合、触媒層中の金属元素の金属換算又は酸化物換算の含有率(質量%)は、SEM-EDX等の常法により求めることができる。具体的には、下記の通りである。
SEM-EDX等の常法を使用して触媒層の元素分析を行い、触媒層の構成元素の種類を特定するとともに、特定された各金属元素のモル%を求める。SEMの10視野の各々に関して、各金属元素のモル%を求め、10視野における各金属元素のモル%の平均値を、触媒層中の各金属元素のモル%とする。
下記式から、触媒層中の各貴金属元素のV値を求める。
各貴金属元素のV値=(触媒層中の各貴金属元素のモル%)×(各貴金属元素のモル質量)
下記式から、触媒層中の貴金属元素以外の各金属元素のW値を求める。
各金属元素のW値=(触媒層中の各金属元素のモル%)×(各金属元素の酸化物のモル質量)
下記式から、触媒層中の各貴金属元素の金属換算の含有率(質量%)を求める。
触媒層中の各貴金属元素の金属換算の含有率(質量%)=(各貴金属元素のV値)/{(全ての貴金属元素のV値の合計)+(貴金属元素以外の全ての金属元素のW値の合計)}×100
下記式から、触媒層中の貴金属元素以外の各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)を求める。
触媒層中の貴金属元素以外の各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)=(貴金属元素以外の各金属元素のW値)/{(全ての貴金属元素のV値の合計)+(貴金属元素以外の全ての金属元素のW値の合計)}×100
<金属酸化物>
「金属酸化物」は、1種又は2種以上の金属元素を含む酸化物を意味する。金属酸化物としては、例えば、Al系酸化物、Ce系酸化物、Zr系酸化物、Ce-Zr系複合酸化物等が挙げられる。
<金属酸化物の質量>
「金属酸化物の質量」は、金属酸化物中の金属元素がそれぞれ酸化物として存在すると仮定して求められる金属元素の酸化物の合計質量を意味する。
<金属酸化物中の金属元素の酸化物換算の含有率>
「金属酸化物中の金属元素の酸化物換算の含有率」は、式:金属酸化物中の金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)=(金属酸化物中の金属元素の酸化物換算の質量)/(金属酸化物の質量)×100により定義される。
金属酸化物の組成が判明している場合、金属酸化物中の金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)は、金属酸化物の組成から求めることができる。
金属酸化物の組成が判明していない場合、金属酸化物中の金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)は、SEM-EDX等の常法により求めることができる。具体的には、下記の通りである。
SEM-EDX等の常法を使用して金属酸化物の元素分析を行い、金属酸化物の構成元素の種類を特定するとともに、特定された各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)を求める。
<金属酸化物の平均粒子径>
「金属酸化物の平均粒子径」は、金属酸化物を含む試料を走査型電子顕微鏡で観察し、視野内から任意に選択された100個の金属酸化物の定方向径(フェレ径)を測定することにより求められる、100個の金属酸化物の定方向径(フェレ径)の平均値を意味する。
<Al系酸化物>
「Al系酸化物」は、Alを含む酸化物であって、酸化物を構成する金属元素のうち、質量基準で最も含有率が大きい金属元素がAlである酸化物を意味する。但し、Ce-Zr系複合酸化物に該当するものは、Al系酸化物に該当しないものとする。Ce-Zr系複合酸化物については後述する。Al系酸化物は、バインダとして使用されるアルミナとは区別される。本明細書において、バインダとして使用されるアルミナを「アルミナバインダ」という場合がある。
Al系酸化物は、例えば、粒子状である。Al系酸化物は、触媒活性成分の担体として使用される。触媒活性成分の担持性を向上させる観点から、Al系酸化物は、多孔質であることが好ましい。
Al系酸化物は耐熱性が高い。したがって、触媒層がAl系酸化物を含むことにより、触媒層の耐熱性が向上し、触媒層の排ガス浄化性能が向上する。
Al系酸化物は、Al及びO以外の1種又は2種以上の金属元素(以下「追加元素M1」という。)を含んでいてもよい。追加元素M1は、例えば、希土類元素(例えば、Ce、Y、Pr、La、Nd、Sm、Eu、Gd等)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca、Sr、Ba等)、B、Si、Zr、Cr等から選択することができる。
Al系酸化物において、追加元素M1は、固溶体相(例えば、Al2O3と追加元素M1の酸化物との固溶体相)を形成していてもよいし、結晶相又は非晶質相である単独相(例えば、追加元素M1の酸化物相)を形成していてもよいし、固溶体相及び単独相の両方を形成していてもよいが、追加元素M1の少なくとも一部は、固溶体相を形成していることが好ましい。
Al系酸化物としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、アルミナの表面を追加元素M1で修飾して得られる酸化物、アルミナ中に追加元素M1を固溶して得られる酸化物等が挙げられる。追加元素M1を含むAl系酸化物としては、例えば、アルミナ-シリカ、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-クロミア、アルミナ-セリア、アルミナ-ランタナ等が挙げられる。
Al系酸化物の耐熱性を向上させる観点から、Al系酸化物中のAlのAl2O3換算の含有率は、Al系酸化物の質量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、より一層好ましくは95質量%以上である。上限は100質量%である。
<Ce系酸化物>
「Ce系酸化物」は、Ceを含む酸化物であって、酸化物を構成する金属元素のうち、質量基準で最も含有率が大きい元素がCeである酸化物を意味する。但し、Ce-Zr系複合酸化物に該当するものは、Ce系酸化物に該当しないものとする。Ce-Zr系複合酸化物については後述する。Ce系酸化物は、バインダとして使用されるセリアとは区別される。本明細書において、バインダとして使用されるセリアを「セリアバインダ」という場合がある。
Ce系酸化物は、例えば、粒子状である。Ce系酸化物は、触媒活性成分の担体として使用される。触媒活性成分の担持性を向上させる観点から、Ce系酸化物は、多孔質であることが好ましい。
Ce系酸化物は、OSC(排ガス中の酸素濃度が高い時には酸素を吸蔵し、排ガス中の酸素濃度が低い時には酸素を放出する能力)を有し、排ガス中の酸素濃度の変動を緩和して触媒活性成分の作動ウインドウを拡大する。したがって、触媒層がCe系酸化物を含むことにより、触媒層の排ガス浄化性能が向上する。
Ce系酸化物は、Ce及びO以外の1種又は2種以上の金属元素(以下「追加元素M2」という。)を含んでいてもよい。追加元素M2は、例えば、Ce以外の希土類元素(例えば、Y、Pr、La、Nd、Sm、Eu、Gd等)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca、Sr、Ba等)、Fe、Mn、Ni、Zr、Al等から選択することができる。
Ce系酸化物において、追加元素M2は、固溶体相(例えば、CeO2と追加元素M2の酸化物との固溶体相)を形成していてもよいし、結晶相又は非晶質相である単独相(例えば、追加元素M2の酸化物相)を形成していてもよいし、固溶体相及び単独相の両方を形成していてもよいが、追加元素M2の少なくとも一部は、固溶体相を形成していることが好ましい。
Ce系酸化物としては、例えば、セリア(CeO2)、セリアの表面を追加元素M2で修飾して得られる酸化物、セリア中に追加元素M2を固溶して得られる酸化物等が挙げられる。
Ce系酸化物のOSCを向上させる観点から、Ce系酸化物中のCeのCeO2換算の含有率は、Ce系酸化物の質量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
<Zr系酸化物>
「Zr系酸化物」は、Zrを含む酸化物であって、酸化物を構成する金属元素のうち、質量基準で最も含有率が大きい元素がZrである酸化物を意味する。但し、Ce-Zr系複合酸化物に該当するものは、Zr系酸化物に該当しないものとする。Ce-Zr系複合酸化物については後述する。Zr系酸化物は、バインダとして使用されるジルコニアとは区別される。本明細書において、バインダとして使用されるジルコニアを「ジルコニアバインダ」という場合がある。
Zr系酸化物は、例えば、粒子状である。Zr系酸化物は、触媒活性成分の担体として使用される。触媒活性成分の担持性を向上させる観点から、Zr系酸化物は、多孔質であることが好ましい。
Zr系酸化物は耐熱性が高い。したがって、触媒層がZr系酸化物を含むことにより、触媒層の耐熱性が向上し、触媒層の排ガス浄化性能が向上する。
Zr系酸化物は、Zr及びO以外の1種又は2種以上の金属元素(以下「追加元素M3」という。)を含んでいてもよい。追加元素M3は、例えば、希土類元素(例えば、Ce、Y、Pr、La、Nd、Sm、Eu、Gd等)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca、Sr、Ba等)、B、Si、Al、Cr等から選択することができる。
Zr系酸化物において、追加元素M3は、固溶体相(例えば、ZrO2と追加元素M3の酸化物との固溶体相)を形成していてもよいし、結晶相又は非晶質相である単独相(例えば、追加元素M3の酸化物相)を形成していてもよいし、固溶体相及び単独相の両方を形成していてもよいが、追加元素M3の少なくとも一部は、固溶体相を形成していることが好ましい。
Zr系酸化物としては、例えば、ジルコニア(ZrO2)、ジルコニアの表面を追加元素M3で修飾して得られる酸化物、ジルコニア中に追加元素M3を固溶して得られる酸化物等が挙げられる。
Zr系酸化物の耐熱性を向上させる観点から、Zr系酸化物中のZrのZrO2換算の含有率は、Zr系酸化物の質量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より一層好ましくは80質量%以上である。上限は100質量%である。
<Ce-Zr系複合酸化物>
Ce-Zr系複合酸化物は、Ce及びZrを含む複合酸化物であって、複合酸化物中のCeのCeO2換算の含有率が、複合酸化物の質量を基準として、5質量%以上95質量%以下であり、且つ、複合酸化物中のZrのZrO2換算の含有率が、複合酸化物の質量を基準として、5質量%以上95質量%以下である酸化物を意味する。
Ce-Zr系複合酸化物は、例えば、粒子状である。Ce-Zr系複合酸化物は、触媒活性成分の担体として使用される。触媒活性成分の担持性を向上させる観点から、Ce-Zr系複合酸化物は、多孔質であることが好ましい。
Ce-Zr系複合酸化物は、OSCを有し、排ガス中の酸素濃度の変動を緩和して触媒活性成分の作動ウインドウを拡大する。したがって、触媒層がCe-Zr系複合酸化物を含むことにより、触媒層の排ガス浄化性能が向上する。
Ce-Zr系複合酸化物は、Ce、Zr及びO以外の1種又は2種以上の金属元素(以下「追加元素M4」という。)を含んでいてもよい。追加元素M4は、例えば、Ce以外の希土類元素(例えば、Y、Pr、La、Nd、Sm、Eu、Gd等)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca、Sr、Ba等)、Fe、Mn、Ni、Al等から選択することができる。
Ce-Zr系複合酸化物において、Ceは、固溶体相(例えば、CeO2とZrO2との固溶体相等)を形成していてもよいし、結晶相又は非晶質相である単独相(例えば、CeO2単独相)を形成していてもよいし、固溶体相及び単独相の両方を形成していてもよいが、Ceの少なくとも一部は、固溶体相を形成していることが好ましい。
Ce-Zr系複合酸化物において、Zrは、固溶体相(例えば、CeO2とZrO2との固溶体相等)を形成していてもよいし、結晶相又は非晶質相である単独相(例えば、ZrO2単独相)を形成していてもよいし、固溶体相及び単独相の両方を形成していてもよいが、Zrの少なくとも一部は、固溶体相を形成していることが好ましい。
Ce-Zr系複合酸化物が追加元素M4を含む場合、追加元素M4は、固溶体相(例えば、CeO2と追加元素M4の酸化物との固溶体相、ZrO2と追加元素M4の酸化物との固溶体相、CeO2とZrO2と追加元素M4の酸化物との固溶体相等)を形成していてもよいし、結晶相又は非晶質相である単独相(例えば、追加元素M4の酸化物単独相)を形成していてもよいし、固溶体相及び単独相の両方を形成していてもよいが、追加元素M4の少なくとも一部は、固溶体相を形成していることが好ましい。
Ce-Zr系複合酸化物のOSCを向上させる観点から、Ce-Zr系複合酸化物中のCeのCeO2換算の含有率は、Ce-Zr系複合酸化物の質量を基準として、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より一層好ましくは13質量%以上である。上限は、耐熱性、構造安定性、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、より一層好ましくは50質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
Ce-Zr系複合酸化物の耐熱性を向上させる観点から、Ce-Zr系複合酸化物中のZrのZrO2換算の含有率は、Ce-Zr系複合酸化物の質量を基準として、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、より一層好ましくは35質量%以上である。上限は、酸素貯蔵能、構造安定性、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、より一層好ましくは70質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
Ce-Zr系複合酸化物の耐熱性及びOSCを向上させる観点から、Ce-Zr系複合酸化物中のCeのCeO2換算の含有率及びZrのZrO2換算の含有率の合計は、Ce-Zr系複合酸化物の質量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より一層好ましくは80質量%以上である。上限は100質量%である。
Ce-Zr系複合酸化物の耐熱性を向上させる観点から、Ce-Zr系複合酸化物は、1種又は2種以上の希土類元素を含むことが好ましい。希土類元素は、例えば、Y、Pr、La、Nd、Sm、Eu、Gd等から選択することができる。
Ce-Zr系複合酸化物の耐熱性を向上させる観点から、Ce-Zr系複合酸化物中の希土類元素の酸化物換算の含有率は、Ce-Zr系複合酸化物の質量を基準として、好ましくは5質量%以上30質量%以下、より好ましくは7質量%以上25質量%以下、より一層好ましくは9質量%以上20質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。「Ce-Zr系複合酸化物中の希土類元素の酸化物換算の含有率」は、Ce-Zr系複合酸化物が1種の希土類元素を含む場合には、当該1種の希土類元素の酸化物換算の含有率を意味し、Ce-Zr系複合酸化物が2種以上の希土類元素を含む場合には、当該2種以上の希土類元素の酸化物換算の合計含有率を意味する。
≪排ガス浄化用触媒≫
以下、本発明の排ガス浄化用触媒について説明する。
以下、図1~4に基づいて、本発明の一実施形態に係る排ガス浄化用触媒1(以下「触媒1」という。)について説明する。
図1に示すように、触媒1は、内燃機関の排気管P内の排気通路に配置されている。内燃機関は、例えば、ガソリンエンジン等である。内燃機関から排出された排ガスは、排気管Pの一端から他端に向けて排気管P内の排気通路を流通し、排気管P内に設けられた触媒1で浄化される。図面において、排ガス流通方向は、符号Xで示されている。本明細書において、排ガス流通方向Xの上流側を「排ガス流入側」又は「上流側」、排ガス流通方向Xの下流側を「排ガス流出側」又は「下流側」という場合がある。
排気管P内の排気通路には、触媒1の上流側及び/又は下流側に、その他の排ガス浄化用触媒が配置されていてもよい。
図2~4に示すように、触媒1は、基材10と、基材10上に設けられた第1触媒層20と、第1触媒層20上に設けられた第2触媒層30と、第2触媒層30上に設けられた第3触媒層40とを備える。
触媒1は、第1触媒層20がPdを含み、第2触媒層30がRhとCeとを含み、第3触媒層40がRhとAl及び/又はZrとを含み、第2触媒層30及び第3触媒層40が、下記式:
a>b
[式中、aは、第3触媒層40中のRhの金属換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率を表し、bは、第2触媒層30中のRhの金属換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率を表す。]
を満たし、第2触媒層30中のCeのCeO2換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率が7質量%以上であり、第3触媒層40中のCeのCeO2換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率が7質量%未満であり、第3触媒層40の平均厚さが10μm以下であることを特徴とする。
以下、触媒1の効果について説明する。
第2触媒層30及び第2触媒層30上に設けられた第3触媒層40は、式:a>bを満たす。したがって、触媒1は、第3触媒層40に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上を実現することができ、これにより、第3触媒層40の排ガス浄化性能の向上を実現することができる。
第3触媒層40に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上をより効果的に実現する観点から、aのbに対する比a/bは、好ましくは2以上10以下、より好ましくは3以上6以下、より一層好ましくは4以上6以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40はAl及び/又はZrを含み、第3触媒層40中のCeのCeO2換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率は7質量%未満である。したがって、触媒1は、第3触媒層40の耐熱性の向上を実現することができ、これにより、第3触媒層40の排ガス浄化性能(特に、高温環境に曝露された後の第3触媒層40の排ガス浄化性能)の向上を実現することができる。
第2触媒層30はCeを含み、第2触媒層30中のCeのCeO2換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率は7質量%以上である。したがって、触媒1は、第2触媒層30のOSCの向上を実現することができ、これにより、第2触媒層30の排ガス浄化性能の向上を実現することができる。
第3触媒層40の平均厚さは10μm以下である。したがって、触媒1は、第3触媒層40よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分(例えば、第1触媒層20に含まれるPd及び第2触媒層30に含まれるRh)と排ガスとの接触性の向上を実現することができ、これにより、第1触媒層20及び第2触媒層30の排ガス浄化性能の向上を実現することができる。
以上のように、触媒1は、第3触媒層40に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上、第3触媒層40の耐熱性の向上、第2触媒層30のOSCの向上及び第3触媒層40よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分と排ガスとの接触性の向上を実現することができ、これらの効果が相俟って、優れた排ガス浄化性能を発揮することができる。
<基材>
以下、基材10について説明する。
基材10を構成する材料は、公知の材料から適宜選択することができる。基材10を構成する材料としては、例えば、セラミックス材料、金属材料等が挙げられるが、セラミックス材料が好ましい。セラミックス材料としては、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミックス、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミックス、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、チタン酸マグネシウム等の酸化物セラミックス等が挙げられる。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼等の合金等が挙げられる。
図2~4に示すように、基材10は、筒状部11と、筒状部11内に設けられた隔壁部12と、隔壁部12によって仕切られたセル13とを有する。基材10は、ハニカム構造体であることが好ましい。
図2に示すように、筒状部11は、基材10の外形を規定し、筒状部11の軸方向は、基材10の軸方向と一致する。図2に示すように、筒状部11の形状は、円筒状であるが、楕円筒状、多角筒状等のその他の形状であってもよい。
図2~4に示すように、隣接するセル13の間には隔壁部12が存在し、隣接するセル13は隔壁部12によって仕切られている。隔壁部12は、排ガスが通過可能な多孔質構造を有していてもよい。隔壁部12の厚さは、例えば20μm以上1500μm以下である。
図4に示すように、セル13は、排ガス流通方向Xに延在しており、排ガス流入側の端部及び排ガス流出側の端部を有する。
図4に示すように、セル13の排ガス流入側の端部及び排ガス流出側の端部はともに開口している。したがって、セル13の排ガス流入側の端部(開口部)から流入した排ガスは、セル13の排ガス流出側の端部(開口部)から流出する。このような様式は、フロースルー型と呼ばれる。
図2及び3に示すように、セル13の排ガス流入側の端部(開口部)の平面視形状は、四角形であるが、六角形、八角形等のその他の形状であってもよい。セル13の排ガス流出側の端部(開口部)の平面視形状も同様である。
基材10の1平方インチ当たりのセル密度は、例えば100セル以上1200セル以下である。基材10の1平方インチ当たりのセル密度は、基材10を排ガス流通方向Xと垂直な平面で切断して得られた断面における1平方インチ当たりのセル13の合計個数を意味する。
基材10の体積は、例えば0.1L以上20L以下である。基材10の体積は、基材10の見かけの体積を意味する。例えば、基材10が円柱状である場合、基材10の外径を2rとし、基材10の長さをL10とすると、基材10の体積は、式:基材10の体積=π×r2×L10で表される。本明細書において、「長さ」は、別段規定される場合を除き、基材10の軸方向の寸法を意味する。
<第1触媒層>
以下、第1触媒層20について説明する。
図3及び4に示すように、第1触媒層20は、基材10上に設けられている。具体的には、第1触媒層20は、隔壁部12のセル13側表面に設けられている。「隔壁部12のセル13側表面」は、排ガス流通方向Xに延在し、セル13と接する、隔壁部12の外表面を意味する。第1触媒層20は、隔壁部12のセル13側表面に直接設けられていてもよいし、他の層を介して設けられていてもよいが、通常、隔壁部12のセル13側表面に直接設けられている。「基材10上に設けられた第1触媒層20」には、第1触媒層20が隔壁部12のセル13側表面に直接設けられている実施形態、及び、第1触媒層20が隔壁部12のセル13側表面に他の層を介して設けられていている実施形態が包含される。
第1触媒層20は、隔壁部12のセル13側表面からセル13側に隆起している部分(以下「隆起部分」という。)で構成されていてもよいし、隔壁部12の内部に存在する部分(以下「内在部分」という。)で構成されていてもよいし、隆起部分及び内在部分を有していてもよい。「基材10上に設けられた第1触媒層20」には、第1触媒層20が隆起部分で構成されている実施形態、第1触媒層20が内在部分で構成されている実施形態、並びに、第1触媒層20が隆起部分及び内在部分を有する実施形態が包含される。
図4に示すように、第1触媒層20は、隔壁部12の排ガス流入側の端部から隔壁部12の排ガス流出側の端部まで排ガス流通方向Xに沿って延在している。第1触媒層20は、隔壁部12の排ガス流出側の端部に至らないように、隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに沿って延在していてもよいし、隔壁部12の排ガス流入側の端部に至らないように、隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に沿って延在していてもよい。
排ガス浄化性能とコストとをバランスよく実現する観点から、基材10のうち第1触媒層20が形成されている部分の単位体積あたりの第1触媒層20の質量は、好ましくは50g/L以上160g/L以下、より好ましくは60g/L以上140g/L以下、より一層好ましくは70g/L以上120g/L以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
基材10のうち第1触媒層20が形成されている部分の単位体積当たりの第1触媒層20の質量は、式:(第1触媒層20の質量)/((基材10の体積)×(第1触媒層20の平均長さL20/基材10の長さL10))から算出される。
第1触媒層20の平均長さL20の測定方法の一例は、以下の通りである。
触媒1から、基材10の軸方向に延在し、基材10の長さL10と同一の長さを有するサンプルを切り出す。サンプルは、例えば、直径25.4mmの円柱状である。サンプルの直径の値は必要に応じて変更することができる。第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに沿って延在している場合、サンプルを基材10の軸方向と垂直な平面によって5mm間隔で切断し、サンプルの排ガス流入側の端部側から順に、第1切断片、第2切断片、・・・、第n切断片を得る。第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に沿って延在している場合、サンプルを基材10の軸方向と垂直な平面によって5mm間隔で切断し、サンプルの排ガス流出側の端部側から順に、第1切断片、第2切断片、・・・、第n切断片を得る。いずれの場合も、切断片の長さは5mmである。切断片の組成を、XRF(例えば、EDX、WDX等)、ICP-AES、SEM-EDX等を使用して分析し、切断片の組成に基づいて、切断片が第1触媒層20の一部を含むか否かを確認する。
第1触媒層20の一部を含むことが明らかである切断片に関しては、必ずしも組成分析を行う必要はない。例えば、SEM、EPMA等を使用して切断面を観察し、切断片が第1触媒層20の一部を含むか否かを確認することができる。切断面の観察を行う際、切断面の元素マッピングを行ってもよい。
切断片が第1触媒層20の一部を含むか否かを確認した後、下記式に基づいて、サンプルに含まれる第1触媒層20の長さを算出する。
サンプルに含まれる第1触媒層20の長さ=5mm×(第1触媒層20の一部を含む切断片の数)
例えば、第1切断片~第k切断片は第1触媒層20の一部を含むが、第(k+1)~第n切断片は第1触媒層20の一部を含まない場合、サンプルに含まれる第1触媒層20の長さは、(5×k)mmである。
サンプルに含まれる第1触媒層20の長さのより詳細な測定方法の一例は、以下の通りである。
第k切断片を基材10の軸方向で切断して、SEM、EPMA等を使用して切断面に存在する第1触媒層20の一部を観察することにより、第k切断片における第1触媒層20の一部の長さを測定する。そして、下記式に基づいて、サンプルに含まれる第1触媒層20の長さを算出する。なお、第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに沿って延在している場合、第k切断片は、第1触媒層20の一部を含む切断片のうち、サンプルの最も排ガス流出側から得られた切断片であり、第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に沿って延在している場合、第k切断片は、第1触媒層20の一部を含む切断片のうち、サンプルの最も排ガス流入側から得られた切断片である。
サンプルに含まれる第1触媒層20の長さ=(5mm×(k-1))+(第k切断片に含まれる第1触媒層20の一部の長さ)
触媒1から任意に切り出された8~16個のサンプルに関して、各サンプルに含まれる第1触媒層20の長さを測定し、それらの平均値を第1触媒層20の平均長さL20とする。
第1触媒層20は、Pdを触媒活性成分として含む。Pdは、触媒活性成分として機能し得る形態、例えば、金属Pd、Pdを含む合金、Pdを含む化合物(例えば、Pdの酸化物)等の、Pdを含む触媒活性成分の形態で第1触媒層20に含まれる。排ガス浄化性能を向上させる観点から、Pdを含む触媒活性成分は、粒子状であることが好ましい。
排ガス浄化性能とコストとをバランスよく実現する観点から、第1触媒層20中のPdの金属換算の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のPdの金属換算の含有率」という。)は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上7質量%以下、より一層好ましくは0.3質量%以上5質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第1触媒層20は、Pd以外の1種又は2種以上の貴金属元素を触媒活性成分として含んでいてもよい。Pd以外の貴金属元素は、例えば、Pt、Rh、Ru、Os、Ir、Au、Ag等から選択することができる。Pd以外の貴金属元素は、触媒活性成分として機能し得る形態、例えば、金属、貴金属元素を含む合金、貴金属元素を含む化合物(例えば、貴金属元素の酸化物)等の、Pd以外の貴金属元素を含む触媒活性成分の形態で第1触媒層20に含まれる。排ガス浄化性能を向上させる観点から、Pd以外の貴金属元素を含む触媒活性成分は、粒子状であることが好ましい。
第1触媒層20がPdとPd以外の貴金属元素とを含む場合、PdとPd以外の貴金属元素とが合金を形成し、排ガス浄化性能に関与するPdの活性点が減少するおそれがある。したがって、第1触媒層20中のPd以外の貴金属元素の金属換算の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のPd以外の貴金属元素の金属換算の含有率」という。)は小さいことが好ましい。具体的には、第1触媒層20中のPd以外の貴金属元素の金属換算の含有率は、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下、より一層好ましくは0.01質量%以下である。下限は0質量%である。「第1触媒層20中のPd以外の貴金属元素の金属換算の含有率」は、第1触媒層20がPd以外の1種の貴金属元素を含む場合には、当該1種の貴金属元素の金属換算の含有率を意味し、第1触媒層20がPd以外の2種以上の貴金属元素を含む場合には、当該2種以上の貴金属元素の金属換算の合計含有率を意味する。
第1触媒層20は、1種又は2種以上の担体を含み、触媒活性成分の少なくとも一部は、1種又は2種以上の担体に担持されていることが好ましい。
「触媒活性成分の少なくとも一部が担体に担持されている」とは、担体の外表面及び/又は細孔内表面に、触媒活性成分の少なくとも一部が、物理的又は化学的に吸着又は保持されている状態を意味する。この定義は、全ての触媒層(すなわち、第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40)に適用される。
ある触媒層において触媒活性成分の少なくとも一部が担体に担持されていることは、例えば、SEM-EDX等を使用して確認することができる。具体的には、触媒層の断面をSEM-EDXで分析して得られた元素マッピングにおいて、触媒活性成分の少なくとも一部と担体とが同じ領域に存在している場合、触媒活性成分の少なくとも一部が担体に担持されていると判断することができる。
担体は、例えば、金属酸化物から選択することができる。金属酸化物は、例えば、粒子状である。触媒活性成分の担持性を向上させる観点から、金属酸化物は、多孔質であることが好ましい。金属酸化物は、OSCを有していてもよいし、有していなくてもよい。担体として使用される金属酸化物は、バインダとして使用される金属酸化物(例えば、アルミナバインダ、ジルコニアバインダ、チタニアバインダ、シリカバインダ等の金属酸化物系バインダ)とは区別される。
金属酸化物としては、例えば、Al系酸化物、Ce系酸化物、Zr系酸化物、Ce-Zr系複合酸化物、Ce以外の希土類元素の酸化物、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、MgO、ZnO、SnO2等をベースとした酸化物等が挙げられる。
第1触媒層20の耐熱性及び/又はOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、担体は、Al系酸化物、Ce系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物から選択することが好ましく、Al系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物から選択することがより好ましい。一実施形態において、第1触媒層20は、担体として、Al系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物を含む。
第1触媒層20のOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20は、Ceを含むことが好ましい。
第1触媒層20のOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のCeのCeO2換算の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のCeのCeO2換算の含有率」という。)は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、より一層好ましくは10質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より一層好ましくは35質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
ある触媒層に関し、「当該触媒層中のCeのCeO2換算の含有率」は、当該触媒層が1種のCe源を含む場合には、当該1種のCe源に由来するCeのCeO2換算の含有率を意味し、当該触媒層が2種以上のCe源を含む場合には、当該2種以上のCe源に由来するCeのCeO2換算の合計含有率を意味する。この定義は、全ての触媒層(すなわち、第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40)に適用される。
第1触媒層20がCeを含む場合、第1触媒層20は、1種又は2種以上のCe源を含む。
Ce源としては、例えば、Ceを含む酸化物が挙げられる。Ceを含む酸化物としては、例えば、Ceを含むAl系酸化物、Ce系酸化物、Ceを含むZr系酸化物、Ce-Zr系複合酸化物、セリアバインダ等が挙げられる。
第1触媒層20の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20は、Ce源として、Ce-Zr系複合酸化物を含むことが好ましい。第1触媒層20は、Ce-Zr系複合酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のCe源を含んでいてもよい。
第1触媒層20の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率」という。)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、より一層好ましくは20質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、より一層好ましくは70質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第1触媒層20の形成に使用される原料の情報(例えば、組成、量等)が判明している場合、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率は、第1触媒層20の形成に使用される原料の情報から求めることができる。
第1触媒層20の形成に使用される原料の情報が判明していない場合、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率は、SEM-EDX等の常法により求めることができる。具体的には、下記の通りである。
(1)第1触媒層20から得られた試料について、SEM-EDX等の常法を用いて元素分析を行い、試料全体の構成元素の種類を特定するとともに、特定された各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)を求める。
(2)第1触媒層20から得られた試料について、SEM-EDX等の常法を用いて元素マッピングを行い、試料に含まれる粒子の種類(例えば、Al系酸化物、Ce系酸化物、Ce-Zr系複合酸化物等)を特定する。
(3)各種類の粒子について、任意に選択された複数個(例えば50個)の粒子をSEM-EDXにて元素分析し、粒子の構成元素の種類を特定するとともに、特定された各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)を求める。各種類の粒子について、各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)の平均値を求め、これを、各種類の粒子における各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)とする。
(4)試料における各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)と、各種類の粒子における各金属元素の酸化物換算の含有率(質量%)と、試料における各種類の粒子の含有率(質量%)との関係を表す方程式を作成して解くことにより、試料における各種類の粒子の含有率(質量%)を算出し、これを、第1触媒層20中の各種類の粒子の含有率(質量%)とする。
第1触媒層20の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のCeのCeO2換算の質量のうち、Ce-Zr系複合酸化物に由来するCeのCeO2換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第1触媒層20がCe-Zr系複合酸化物を含む場合、第1触媒層20に含まれるCe-Zr系複合酸化物の平均粒子径は、好ましくは2μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20は、Al及び/又はZrを含むことが好ましい。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のAlのAl2O3換算の質量と第1触媒層20中のZrのZrO2換算の質量との合計の、第1触媒層20の質量に対する百分率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、より一層好ましくは40質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは78質量%以下、より一層好ましくは76質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のAlのAl2O3換算の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のAlのAl2O3換算の含有率」という。)は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、より一層好ましくは25質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、より一層好ましくは65質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
ある触媒層に関し、「当該触媒層中のAlのAl2O3換算の含有率」は、当該触媒層が1種のAl源を含む場合には、当該1種のAl源に由来するAlのAl2O3換算の含有率を意味し、当該触媒層が2種以上のAl源を含む場合には、当該2種以上のAl源に由来するAlのAl2O3換算の合計含有率を意味する。この定義は、全ての触媒層(すなわち、第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40)に適用される。
第1触媒層20がAlを含む場合、第1触媒層20は、1種又は2種以上のAl源を含む。
Al源としては、Alを含む酸化物が挙げられる。Alを含む酸化物としては、例えば、Al系酸化物、Alを含むCe系酸化物、Alを含むZr系酸化物、Alを含むCe-Zr系複合酸化物、アルミナバインダ等が挙げられる。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20は、Al源として、Al系酸化物を含むことが好ましい。第1触媒層20は、Al源として、Al系酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のAl源を含んでいてもよい。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のAl系酸化物の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のAl系酸化物の含有率」という。)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、より一層好ましくは20質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、より一層好ましくは60質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第1触媒層20中のAl系酸化物の含有率は、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率と同様にして求めることができる。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のAlのAl2O3換算の質量のうち、Al系酸化物に由来するAlのAl2O3換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第1触媒層20がAl系酸化物を含む場合、第1触媒層20に含まれるAl系酸化物の平均粒子径は、好ましくは3μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第1触媒層20の耐熱性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のZrのZrO2換算の質量の、第1触媒層20の質量に対する百分率(本明細書において「第1触媒層20中のZrのZrO2換算の含有率」という。)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、より一層好ましくは10質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、より一層好ましくは30質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
ある触媒層に関し、「当該触媒層中のZrのZrO2換算の含有率」は、当該触媒層が1種のZr源を含む場合には、当該1種のZr源に由来するZrのZrO2換算の含有率を意味し、当該触媒層が2種以上のZr源を含む場合には、当該2種以上のZr源に由来するZrのZrO2換算の合計含有率を意味する。この定義は、全ての触媒層(すなわち、第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40)に適用される。
第1触媒層20がZrを含む場合、第1触媒層20は、1種又は2種以上のZr源を含む。
Zr源としては、Zrを含む酸化物が挙げられる。Zrを含む酸化物としては、例えば、Zrを含むAl系酸化物、Zrを含むCe系酸化物、Zr系酸化物、Ce-Zr系複合酸化物、ジルコニアバインダ等が挙げられる。
第1触媒層20の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20は、Zr源として、Ce-Zr系複合酸化物を含むことが好ましい。第1触媒層20は、Zr源として、Ce-Zr系複合酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のZr源を含んでいてもよい。
第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率に関する説明は、上記と同様である。
第1触媒層20の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第1触媒層20中のZrのZrO2換算の質量のうち、Ce-Zr系複合酸化物に由来するZrのZrO2換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第1触媒層20は、バインダ、安定剤等のその他の成分を含んでいてもよい。バインダとしては、例えば、アルミナゾル、セリアゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル、シリカゾル等の金属酸化物系バインダが挙げられる。安定剤としては、例えば、アルカリ土類金属元素(例えば、Sr、Ba等)の硝酸塩、炭酸塩、酸化物、硫酸塩等が挙げられる。
<第2触媒層>
以下、第2触媒層30について説明する。
図3及び4に示すように、第2触媒層30は、第1触媒層20上に設けられている。
「第2触媒層30が第1触媒層20上に設けられている」とは、第1触媒層20の2つの主面のうち、隔壁部12側の主面とは反対側の主面上に、第2触媒層30の一部又は全部が存在することを意味する。「第1触媒層20の主面」は、排ガス流通方向Xに延在する、第1触媒層20の外表面を意味する。第2触媒層30は、第1触媒層20の主面上に、直接設けられていてもよいし、別の層を介して設けられていてもよいが、通常、第1触媒層20の主面上に直接設けられている。第2触媒層30は、第1触媒層20の主面の一部を覆うように設けられていてもよいし、第1触媒層20の主面の全体を覆うように設けられていてもよい。「第1触媒層20上に設けられた第2触媒層30」には、第2触媒層30が第1触媒層20の主面上に直接設けられている実施形態、及び、第2触媒層30が第1触媒層20の主面上に別の層を介して設けられている実施形態が包含される。
図4に示すように、第2触媒層30は、隔壁部12の排ガス流入側の端部から隔壁部12の排ガス流出側の端部まで排ガス流通方向Xに沿って延在している。第2触媒層30は、隔壁部12の排ガス流出側の端部に至らないように、隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに沿って延在していてもよいし、隔壁部12の排ガス流入側の端部に至らないように、隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に沿って延在していてもよい。
排ガス浄化性能とコストとをバランスよく実現するとともに、第2触媒層30よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分(例えば、第1触媒層20に含まれるPd)と排ガスとの接触性の向上を実現する観点から、基材10のうち第2触媒層30が形成されている部分の単位体積あたりの第2触媒層30の質量は、好ましくは30g/L以上160g/L以下、より好ましくは40g/L以上140g/L以下、より一層好ましくは50g/L以上120g/L以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
基材10のうち第2触媒層30が形成されている部分の単位体積当たりの第2触媒層30の質量は、式:(第2触媒層30の質量)/((基材10の体積)×(第2触媒層30の平均長さL30/基材10の長さL10))から算出される。
第1触媒層20の平均長さL20の測定方法に関する上記説明は、第2触媒層30にも適用される。適用の際、「第1触媒層20」は「第2触媒層30」に、「平均長さL20」は「平均長さL30」に読み替えられる。
第2触媒層30は、Rhを触媒活性成分として含む。Rhは、触媒活性成分として機能し得る形態、例えば、金属Rh、Rhを含む合金、Rhを含む化合物(例えば、Rhの酸化物)等の、Rhを含む触媒活性成分の形態で第2触媒層30に含まれる。排ガス浄化性能を向上させる観点から、Rhを含む触媒活性成分は、粒子状であることが好ましい。
排ガス浄化性能とコストとをバランスよく実現する観点から、第2触媒層30中のRhの金属換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(すなわち、上記b)は、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上4質量%以下、より一層好ましくは0.03質量%以上3質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30は、Rh以外の1種又は2種以上の貴金属元素を触媒活性成分として含んでいてもよい。Rh以外の貴金属元素は、例えば、Pt、Pd、Ru、Os、Ir、Au、Ag等から選択することができる。Rh以外の貴金属元素は、触媒活性成分として機能し得る形態、例えば、金属、貴金属元素を含む合金、貴金属元素を含む化合物(例えば、貴金属元素の酸化物)等の、Rh以外の貴金属元素を含む触媒活性成分の形態で第2触媒層30に含まれる。排ガス浄化性能を向上させる観点から、Rh以外の貴金属元素を含む触媒活性成分は、粒子状であることが好ましい。
第2触媒層30がRhとRh以外の貴金属元素とを含む場合、RhとRh以外の貴金属元素とが合金を形成し、排ガス浄化性能に関与するRhの活性点が減少するおそれがある。したがって、第2触媒層30中のRh以外の貴金属元素の金属換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(本明細書において「第2触媒層30中のRh以外の貴金属元素の金属換算の含有率」という。)は小さいことが好ましい。具体的には、第2触媒層30中のRh以外の貴金属元素の金属換算の含有率は、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より一層好ましくは0.003質量%以下である。下限は0質量%である。「第2触媒層30中のRh以外の貴金属元素の金属換算の含有率」は、第2触媒層30がRh以外の1種の貴金属元素を含む場合には、当該1種の貴金属元素の金属換算の含有率を意味し、第2触媒層30がRh以外の2種以上の貴金属元素を含む場合には、当該2種以上の貴金属元素の金属換算の合計含有率を意味する。
第2触媒層30中の所定の貴金属元素の金属換算の含有率は、第1触媒層20中の所定の貴金属元素の金属換算の含有率と同様にして求めることができる。
第2触媒層30は、1種又は2種以上の担体を含み、触媒活性成分の少なくとも一部は、1種又は2種以上の担体に担持されていることが好ましい。担体は、例えば、金属酸化物から選択することができる。金属酸化物に関する説明は、上記と同様である。
第2触媒層30の耐熱性及び/又はOSCを向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、担体は、Al系酸化物、Ce系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物から選択することが好ましく、Al系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物から選択することがより好ましい。一実施形態において、第2触媒層30は、担体として、Al系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物を含む。
第2触媒層30はCeを含む。第2触媒層30中のCeのCeO2換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(本明細書において「第2触媒層30中のCeのCeO2換算の含有率」という。)は7質量%以上である。これにより、第2触媒層30のOSCを向上させ、第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させることができる。
第2触媒層30のOSCをより効果的に向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能をより効果的に向上させる観点から、第2触媒層30中のCeのCeO2換算の含有率は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より一層好ましくは11質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、より一層好ましくは20質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30は、1種又は2種以上のCe源を含む。Ce源に関する説明は、上記と同様である。
第2触媒層30のOSCを向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30は、Ce源として、Ce-Zr系複合酸化物を含むことが好ましい。第2触媒層30は、Ce-Zr系複合酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のCe源を含んでいてもよい。
第2触媒層30の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のCe-Zr系複合酸化物の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(本明細書において「第2触媒層30中のCe-Zr系複合酸化物の含有率」という。)は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、より一層好ましくは30質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、より一層好ましくは70質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30中のCe-Zr系複合酸化物の含有率は、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率と同様にして求めることができる。
第2触媒層30の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のCeのCeO2換算の質量のうち、Ce-Zr系複合酸化物に由来するCeのCeO2換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第2触媒層30がCe-Zr系複合酸化物を含む場合、第2触媒層30に含まれるCe-Zr系複合酸化物の平均粒子径は、好ましくは2μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30は、Al及び/又はZrを含むことが好ましい。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のAlのAl2O3換算の質量と第2触媒層30中のZrのZrO2換算の質量との合計の、第2触媒層30の質量に対する百分率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、より一層好ましくは65質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは96質量%以下、より好ましくは93質量%以下、より一層好ましくは90質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のAlのAl2O3換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(本明細書において「第2触媒層30中のAlのAl2O3換算の含有率」という。)は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、より一層好ましくは25質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より一層好ましくは45質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30がAlを含む場合、第2触媒層30は、1種又は2種以上のAl源を含む。Al源に関する説明は、上記と同様である。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30は、Al源として、Al系酸化物を含むことが好ましい。第2触媒層30は、Al源として、Al系酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のAl源を含んでいてもよい。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のAl系酸化物の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(本明細書において「第2触媒層30中のAl系酸化物の含有率」という。)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、より一層好ましくは20質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より一層好ましくは35質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30中のAl系酸化物の含有率は、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率と同様にして求めることができる。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のAlのAl2O3換算の質量のうち、Al系酸化物に由来するAlのAl2O3換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第2触媒層30がAl系酸化物を含む場合、第2触媒層30に含まれるAl系酸化物の平均粒子径は、好ましくは3μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30の耐熱性を向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のZrのZrO2換算の質量の、第2触媒層30の質量に対する百分率(本明細書において「第2触媒層30中のZrのZrO2換算の含有率」という。)は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、より一層好ましくは25質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、より一層好ましくは55質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30がZrを含む場合、第2触媒層30は、1種又は2種以上のZr源を含む。Zr源に関する説明は、上記と同様である。
第2触媒層30の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30は、Zr源として、Ce-Zr系複合酸化物を含むことが好ましい。第2触媒層30は、Zr源として、Ce-Zr系複合酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のZr源を含んでいてもよい。
第2触媒層30中のCe-Zr系複合酸化物の含有率に関する説明は、上記と同様である。
第2触媒層30の耐熱性及びOSCを向上させ、これにより第2触媒層30の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30中のZrのZrO2換算の質量のうち、Ce-Zr系複合酸化物に由来するZrのZrO2換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第2触媒層30は、バインダ、安定剤等のその他の成分を含んでいてもよい。バインダ及び安定剤に関する説明は、上記と同様である。
第2触媒層30よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分(例えば、第1触媒層20に含まれるPd)と排ガスとの接触性を向上させ、これにより第1触媒層20の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第2触媒層30の平均厚さは、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、より一層好ましくは60μm以下である。下限は、第2触媒層30に必要なOSC等を考慮して適宜調整することができる。下限は、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、より一層好ましくは30μm以上である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30の平均厚さの算出方法については後述する。
<第3触媒層>
以下、第3触媒層40について説明する。
図3及び4に示すように、第3触媒層40は、第2触媒層30上に設けられている。
「第3触媒層40が第2触媒層30上に設けられている」とは、第2触媒層30の2つの主面のうち、第1触媒層20側の主面とは反対側の主面上に、第3触媒層40の一部又は全部が存在することを意味する。「第2触媒層30の主面」は、排ガス流通方向Xに延在する、第2触媒層30の外表面を意味する。第3触媒層40は、第2触媒層30の主面上に、直接設けられていてもよいし、別の層を介して設けられていてもよいが、通常、第2触媒層30の主面上に直接設けられている。第3触媒層40は、第2触媒層30の主面の一部を覆うように設けられていてもよいし、第2触媒層30の主面の全体を覆うように設けられていてもよい。「第2触媒層30上に設けられた第3触媒層40」には、第3触媒層40が第2触媒層30の主面上に直接設けられている実施形態、及び、第3触媒層40が第2触媒層30の主面上に別の層を介して設けられている実施形態が包含される。
第3触媒層40上には別の触媒層が設けられていてもよいが、第3触媒層40に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上をより効果的に実現する観点から、第3触媒層40上には別の触媒層が設けられていないことが好ましい。
図4に示すように、第3触媒層40は、隔壁部12の排ガス流入側の端部から隔壁部12の排ガス流出側の端部まで排ガス流通方向Xに沿って延在している。第3触媒層40は、隔壁部12の排ガス流出側の端部に至らないように、隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに沿って延在していてもよいし、隔壁部12の排ガス流入側の端部に至らないように、隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に沿って延在していてもよい。
排ガス浄化性能とコストとをバランスよく実現するとともに、第3触媒層40よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分(例えば、第1触媒層20に含まれるPd及び第2触媒層30に含まれるRh)と排ガスとの接触性の向上を実現する観点から、基材10のうち第3触媒層40が形成されている部分の単位体積当たりの第3触媒層40の質量は、好ましくは10g/L以上70g/L以下、より好ましくは12g/L以上60g/L以下、より一層好ましくは15g/L以上50g/L以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
基材10のうち第3触媒層40が形成されている部分の単位体積当たりの第3触媒層40の質量は、式:(第3触媒層40の質量)/((基材10の体積)×(第3触媒層40の平均長さL40/基材10の長さL10))から算出される。
第1触媒層20の平均長さL20の測定方法に関する上記説明は、第3触媒層40にも適用される。適用の際、「第1触媒層20」は「第3触媒層40」に、「平均長さL20」は「平均長さL40」に読み替えられる。
第3触媒層40は、Rhを触媒活性成分として含む。Rhは、触媒活性成分として機能し得る形態、例えば、金属Rh、Rhを含む合金、Rhを含む化合物(例えば、Rhの酸化物)等の、Rhを含む触媒活性成分の形態で第3触媒層40に含まれる。排ガス浄化性能を向上させる観点から、Rhを含む触媒活性成分は、粒子状であることが好ましい。
排ガス浄化性能とコストとをバランスよく実現する観点から、第3触媒層40中のRhの金属換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(すなわち、上記a)は、好ましくは0.02質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上8質量%以下、より一層好ましくは0.1質量%以上6質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40は、Rh以外の1種又は2種以上の貴金属元素を触媒活性成分として含んでいてもよい。Rh以外の貴金属元素は、例えば、Pt、Pd、Ru、Os、Ir、Au、Ag等から選択することができる。Rh以外の貴金属元素は、触媒活性成分として機能し得る形態、例えば、金属、貴金属元素を含む合金、貴金属元素を含む化合物(例えば、貴金属元素の酸化物)等の、Rh以外の貴金属元素を含む触媒活性成分の形態で第3触媒層40に含まれる。排ガス浄化性能を向上させる観点から、Rh以外の貴金属元素を含む触媒活性成分は、粒子状であることが好ましい。
第3触媒層40がRhとRh以外の貴金属元素とを含む場合、RhとRh以外の貴金属元素とが合金を形成し、排ガス浄化性能に関与するRhの活性点が減少するおそれがある。したがって、第3触媒層40中のRh以外の貴金属元素の金属換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(本明細書において「第3触媒層40中のRh以外の貴金属元素の金属換算の含有率」という。)は小さいことが好ましい。具体的には、第3触媒層40中のRh以外の貴金属元素の金属換算の含有率は、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より一層好ましくは0.003質量%以下である。下限は0質量%である。「第3触媒層40中のRh以外の貴金属元素の金属換算の含有率」は、第3触媒層40がRh以外の1種の貴金属元素を含む場合には、当該1種の貴金属元素の金属換算の含有率を意味し、第3触媒層40がRh以外の2種以上の貴金属元素を含む場合には、当該2種以上の貴金属元素の金属換算の合計含有率を意味する。
第3触媒層40は、1種又は2種以上の担体を含み、触媒活性成分の少なくとも一部は、1種又は2種以上の担体に担持されていることが好ましい。担体は、例えば、金属酸化物から選択することができる。金属酸化物に関する説明は、上記と同様である。
第3触媒層40の耐熱性及び/又はOSCを向上させ、これにより第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、担体は、Al系酸化物、Ce系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物から選択することが好ましく、Al系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物から選択することがより好ましい。一実施形態において、第3触媒層40は、担体として、Al系酸化物及びCe-Zr系複合酸化物を含む。
第3触媒層40は、Al及び/又はZrを含む。これにより第3触媒層40の耐熱性を向上させ、第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させることができる。
第3触媒層40の耐熱性を向上させ、これにより第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第3触媒層40中のAlのAl2O3換算の質量と第3触媒層40中のZrのZrO2換算の質量との合計の、第3触媒層40の質量に対する百分率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、より一層好ましくは95質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40の耐熱性を向上させ、これにより第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第3触媒層40中のAlのAl2O3換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(本明細書において「第3触媒層40中のAlのAl2O3換算の含有率」という。)は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より一層好ましくは70質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、より一層好ましくは85質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40がAlを含む場合、第3触媒層40は、1種又は2種以上のAl源を含む。Al源に関する説明は、上記と同様である。
第3触媒層40の耐熱性を向上させ、これにより、第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第3触媒層40は、Al源として、Al系酸化物を含むことが好ましい。第3触媒層40は、Al源として、Al系酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のAl源を含んでいてもよい。
第3触媒層40の耐熱性を向上させ、これにより第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第3触媒層40中のAl系酸化物の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(本明細書において「第3触媒層40中のAl系酸化物の含有率」という。)は、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より一層好ましくは75質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、より一層好ましくは93質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40中のAl系酸化物の含有率は、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率と同様にして求めることができる。
第3触媒層40の耐熱性を向上させ、これにより、第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第3触媒層40中のAlのAl2O3換算の質量のうち、Al系酸化物に由来するAlのAl2O3換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第3触媒層40がAl系酸化物を含む場合、第3触媒層40に含まれるAl系酸化物の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上9μm以下、より好ましくは0.1μm以上7μm以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40の耐熱性を向上させ、これにより、第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させる観点から、第3触媒層40中のZrのZrO2換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(本明細書において「第3触媒層40中のZrのZrO2換算の含有率」という。)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは11質量%以上、より一層好ましくは15質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは27質量%以下、より一層好ましくは25質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40がZrを含む場合、第3触媒層40は、1種又は2種以上のZr源を含む。Zr源に関する説明は、上記と同様である。一実施形態において、第3触媒層40は、Zr源として、Ce-Zr系複合酸化物を含む。
第3触媒層40中のCeのCeO2換算の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(本明細書において「第3触媒層40中のCeのCeO2換算の含有率」という。)は7質量%未満である。これにより、第3触媒層40の耐熱性を向上させ、第3触媒層40の排ガス浄化性能を向上させることができる。
第3触媒層40の耐熱性をより効果的に向上させ、これにより、第3触媒層40の排ガス浄化性能をより効果的に向上させる観点から、第3触媒層40中のCeのCeO2換算の含有率は、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より一層好ましくは4質量%以下である。下限は0質量%である。
第3触媒層40はCeを含んでいてもよい。第3触媒層40がCeを含む場合、第3触媒層40中のCeのCeO2換算の含有率は、例えば、0.5質量%以上であってもよいし、1質量%以上であってもよいし、1.5質量%以上であってもよい。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40がCeを含む場合、第3触媒層40は、1種又は2種以上のCe源を含む。Ce源に関する説明は、上記と同様である。
第3触媒層40がCeを含む場合、第3触媒層40は、Ce源として、Ce-Zr系複合酸化物を含むことが好ましい。第3触媒層40は、Ce-Zr系複合酸化物に加えて、その他の1種又は2種以上のCe源を含んでいてもよい。
第3触媒層40がCeを含む場合、第3触媒層40中のCe-Zr系複合酸化物の質量の、第3触媒層40の質量に対する百分率(本明細書において「第3触媒層40中のCe-Zr系複合酸化物の含有率」という。)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より一層好ましくは15質量%以上である。上限は、コストとのバランス、他の成分の含有率等を考慮して適宜調整することができる。上限は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは37質量%以下、より一層好ましくは35質量%以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40中のCe-Zr系複合酸化物の含有率は、第1触媒層20中のCe-Zr系複合酸化物の含有率と同様にして求めることができる。
第3触媒層40がCeを含む場合、第3触媒層40中のCeのCeO2換算の質量のうち、Ce-Zr系複合酸化物に由来するCeのCeO2換算の質量が占める割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上である。上限は100質量%である。
第3触媒層40がCe-Zr系複合酸化物を含む場合、第3触媒層40に含まれるCe-Zr系複合酸化物の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上9μm以下、より好ましくは0.1μm以上7μm以下である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第3触媒層40は、バインダ、安定剤等のその他の成分を含んでいてもよい。バインダ及び安定剤に関する説明は、上記と同様である。
第3触媒層40の平均厚さは10μm以下である。これにより、第3触媒層40よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分(例えば、第1触媒層20に含まれるPd及び第2触媒層30に含まれるRh)と排ガスとの接触性を向上させることができ、第3触媒層40よりも下側の部分(例えば、第1触媒層20及び第2触媒層30)の排ガス浄化性能を向上させることができる。
第3触媒層40よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分と排ガスとの接触性の向上をより効果的に実現する観点から、第3触媒層40の平均厚さは、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下、より一層好ましくは4μm以下である。下限は、第3触媒層40において必要な耐熱性等を考慮して適宜調整することができる。下限は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、より一層好ましくは1.5μm以上である。上記の下限はそれぞれ、上記の上限のいずれと組み合わせてもよい。
第2触媒層30の平均厚さ及び第3触媒層40の平均厚さの算出方法の一例は、以下の通りである。
触媒1(第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流入側の端部から隔壁部12の排ガス流出側の端部まで排ガス流通方向Xに沿って延在している場合、例えば、隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに30mm離れた箇所。第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流出側の端部に至らないように隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに沿って延在している場合、例えば、隔壁部12の排ガス流入側の端部から排ガス流通方向Xに10mm離れた箇所。第1触媒層20が隔壁部12の排ガス流入側の端部に至らないように隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に沿って延在している場合、例えば、隔壁部12の排ガス流出側の端部から排ガス流通方向Xとは反対の方向に10mm離れた箇所。)を、基材10の軸方向と垂直な平面で切断し、SEM又はEPMAにおける後方散乱電子検出器(BED)を使用して、切断面から任意に選択された1個のセル13に存在する第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40の観察を行い、第1触媒層20が存在する領域、第2触媒層30が存在する領域及び第3触媒層40が存在する領域を特定する。SEM又はBEDによる切断面の観察において、視野倍率は、例えば500倍であり、視野幅(長さ)は、例えば100~200μmである。SEM又はBEDによって観察する領域は、セル13の角部が含まれないように設定される。セル13の角部は、セル形状の影響を受けやすいからである。第1触媒層20が存在する領域、第2触媒層30が存在する領域及び第3触媒層40が存在する領域は、第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40の間の形態、組成等の相違に基づいて特定することができる。この際、切断面の元素マッピングを行ってもよい。元素マッピングは、例えば、SEM又はBEDによる切断面の観察と、切断面の組成分析とを併用して行うことができる。元素マッピングは、例えば、SEM-EDX、EPMA等を使用して行うことができる。切断面の元素マッピングにより、第1触媒層20、第2触媒層30及び第3触媒層40の間の形態及び組成の相違に基づいて、第1触媒層20が存在する領域、第2触媒層30が存在する領域及び第3触媒層40が存在する領域を特定することができる。
SEM又はBED観察画像において、左端側又は右端側から順に、基材10の隔壁部12の厚さ方向と平行な第1~第Nのグリッド線を15μm間隔で描き、第1触媒層20が存在する領域の輪郭線と各グリッド線との交点同士を直線で結び、第1触媒層20の表面の位置を特定する。Nは、例えば、5~10の整数である。同様に、第2触媒層30が存在する領域の輪郭線と各グリッド線との交点同士を直線で結び、第2触媒層30の表面の位置を特定する。同様に、第3触媒層40が存在する領域の輪郭線と各グリッド線との交点同士を直線で結び、第3触媒層40の表面の位置を特定する。ある交点P1から該交点P1に隣接する交点P2への厚さ方向の変化量がグリッド線の間隔(15μm)を超える場合、交点P2を表面の位置の特定に使用しないこと(すなわち、直線で結ぶ交点から、交点P2を除くこと)が好ましい。ある交点P1から該交点P1に隣接する交点P2への厚さ方向の変化量は、交点P1を通り、基材10の隔壁部12の厚さ方向と垂直な直線と、交点P2を通り、基材10の隔壁部12の厚さ方向と垂直な直線との距離を意味する。交点P1から交点P1に隣接する交点P2への厚さ方向の変化量がグリッド線の間隔(15μm)を超えるとともに、交点P1から、交点P2に隣接する交点P3への厚さ方向の変化量もグリッド線の間隔(15μm)を超える場合、交点P2に加えて交点P3も表面の位置の特定に使用しないこと(すなわち、直線で結ぶ交点から、交点P2及び交点P3を除くこと)が好ましい。このように直線で結ぶ交点から連続して5つの交点を除く場合、当該SEM又はBED画像に対しては厚さの測定を行わないことが好ましい。
第1触媒層20の表面の位置、第2触媒層30の表面の位置及び第3触媒層40の表面の位置を特定した後、画像解析ソフトウェアを使用して、第2のグリッド線と、第(N-1)のグリッド線と、第1触媒層20の表面と、第2触媒層30の表面とで囲まれた第1領域の面積を求める。同様に、第2のグリッド線と、第(N-1)のグリッド線と、第2触媒層30の表面と、第3触媒層40の表面とで囲まれた第2領域の面積を求める。画像解析ソフトウェアとしては、例えば、AreaQ(エステック株式会社製)、ImageJ(パブリックドメイン)、Photoshop(Adobe Systems株式会社)等を使用することができる。なお、画像の両端部は不鮮明になり易く、第1触媒層20の表面の位置、第2触媒層30の表面の位置及び第3触媒層40の表面の位置を特定し難いため、第1のグリッド線及び第Nのグリッド線は使用しない。
第1領域及び第2領域の面積を求めた後、下記式に基づいて、各領域の厚さを算出する。
各領域の厚さ=各領域の面積/(グリッド線の間隔×グリッド線の間隔の数)
なお、グリッド線の間隔は15μmであり、グリッド線の間隔の数は(N-3)である。
切断面から任意に選択された20個のセル13に関して、第1領域の厚さを算出し、それらの平均値を第2触媒層30の平均厚さとする。切断面から任意に選択された20個のセル13に関して、第2領域の厚さを算出し、それらの平均値を第3触媒層40の平均厚さとする。
<触媒の製造>
触媒1は、基材10上に第1触媒層20を形成し、次いで、第1触媒層20上に第2触媒層30を形成し、次いで、第2触媒層30上に第3触媒層40を形成することにより製造することができる。
第1触媒層20は、Pdの供給源(例えば、Pd塩)及び場合によりその他の成分(例えば、金属酸化物、バインダ、安定剤、溶媒等)を混合して第1スラリーを調製し、第1スラリーを基材10上に塗布し、乾燥し、焼成することにより形成することができる。
第2触媒層30は、Rhの供給源(例えば、Rh塩)、Ceの供給源(例えば、Ce-Zr系複合酸化物)及び場合によりその他の成分(例えば、Ceの供給源以外の金属酸化物、バインダ、安定剤、溶媒等)を混合して第2スラリーを調製し、第2スラリーを第1触媒層20上に塗布し、乾燥し、焼成することにより形成することができる。
第3触媒層40は、Rhの供給源(例えば、Rh塩)、Alの供給源(例えば、Al系酸化物)及び/又はZrの供給源(例えば、Ce-Zr系複合酸化物)及び場合によりその他の成分(例えば、Alの供給源及びZrの供給源以外の金属酸化物、バインダ、安定剤、溶媒等)を混合して第3スラリーを調製し、第3スラリーを第2触媒層30層上に塗布し、乾燥し、焼成することにより形成することができる。
Pd塩及びRh塩としては、例えば、硝酸塩、アンミン錯体塩、酢酸塩、塩化物等が挙げられる。バインダとしては、例えば、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル、シリカゾル、セリアゾル等が挙げられる。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒等が挙げられる。
乾燥温度は、例えば60℃以上150℃以下であり、乾燥時間は、例えば0.1時間以上1時間以下である。焼成温度は、例えば300℃以上700℃以下であり、焼成時間は、例えば1時間以上10時間以下である。焼成は、例えば、大気雰囲気下で行うことができる。
〔実施例1〕
(1)下層形成用スラリーの調製
調合容器に、硝酸パラジウム水溶液、Ce-Zr系複合酸化物(CeのCeO2換算の含有率:13質量%以上50質量%以下,ZrのZrO2換算の含有率:35質量%以上70質量%以下,Ce以外の1種又は2種以上の希土類元素の酸化物換算の含有率:9質量%以上20質量%以下)、Al系酸化物(AlのAl2O3換算の含有率:95質量%以上)、アルミナバインダ、ジルコニアバインダ及び水を加え、混合及び撹拌し、下層形成用スラリーを調製した。下層形成用スラリー中の各成分量は、焼成後の下層の質量を基準(100質量%)として、Pdが金属換算で2.0質量%、CeがCeO2換算で18.0質量%、ZrがZrO2換算で18.0質量%、AlがAl2O3換算で57.5質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で4.5質量%となるように調整した。
(2)下層の形成
フロースルー型基材として、厚さが50~70μmの隔壁部で区画された軸方向に延びるセルを、軸方向と直交する面において600セル/インチ2の密度で有し、体積が1.0Lであるフロースルー型基材を用意した。
下層形成用スラリーにフロースルー型基材を浸漬し、下層形成用スラリーが塗布されたフロースルー型基材を150℃で0.5時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、フロースルー型基材上に下層を形成した。フロースルー型基材のうち下層が形成されている部分の単位体積当たりの下層の質量は、100g/Lであった。
(3)中層形成用スラリーの調製
調合容器に、硝酸ロジウム水溶液、Ce-Zr系複合酸化物(CeのCeO2換算の含有率:13質量%以上50質量%以下,ZrのZrO2換算の含有率:35質量%以上70質量%以下,Ce以外の1種又は2種以上の希土類元素の酸化物換算の含有率:9質量%以上20質量%以下)、Al系酸化物(AlのAl2O3換算の含有率:95質量%以上)、アルミナバインダ、ジルコニアバインダ及び水を加え、混合及び撹拌し、中層形成用スラリーを調製した。中層形成用スラリー中の各成分量は、焼成後の中層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.1質量%、CeがCeO2換算で12.0質量%、ZrがZrO2換算で42.0質量%、AlがAl2O3換算で39.6質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で6.3質量%となるように調整した。
(4)中層の形成
中層形成用スラリーに、下層が形成されたフロースルー型基材を浸漬し、中層形成用スラリーが塗布されたフロースルー型基材を150℃で0.5時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、下層上に中層を形成した。フロースルー型基材のうち中層が形成されている部分の単位体積当たりの中層の質量は、100g/Lであった。
(5)上層形成用スラリーの調製
調合容器に、硝酸ロジウム水溶液、Ce-Zr系複合酸化物(CeのCeO2換算の含有率:13質量%以上50質量%以下,ZrのZrO2換算の含有率:35質量%以上70質量%以下,1種又は2種以上の希土類元素Ce以外の希土類元素の酸化物換算の含有率:9質量%以上20質量%以下)、Al系酸化物(AlのAl2O3換算の含有率:95質量%以上)、アルミナバインダ及び水を加え、混合及び撹拌し、上層形成用スラリーを調製した。上層形成用スラリー中の各成分量は、焼成後の上層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.7質量%、CeがCeO2換算で6.7質量%、ZrがZrO2換算で23.3質量%、AlがAl2O3換算で66.0質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で3.3質量%となるように調整した。
(6)上層の形成
上層形成用スラリーに、中層が形成されたフロースルー型基材を浸漬し、上層形成用スラリーが塗布されたフロースルー型基材を150℃で0.5時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、中層上に上層を形成した。フロースルー型基材のうち上層が形成されている部分の単位体積当たりの上層の質量は、15g/Lであった。
以上のようにして、フロースルー型基材に形成された下層と、下層上に形成された中層と、中層上に形成された上層とを備える、実施例1の排ガス浄化用触媒を製造した。実施例1の排ガス浄化用触媒における下層、中層及び上層は、それぞれ、第1触媒層、第2触媒層及び第3触媒層に相当する。
実施例1の排ガス浄化用触媒における第2触媒層の平均厚さ及び第3触媒層の平均厚さを上述の方法により算出した。具体的には、以下の通りである。
実施例1の排ガス浄化用触媒(基材の排ガス流入側の端部から基材の軸方向に30mm離れた箇所)を、基材の軸方向と垂直な平面で切断し、EPMAにおける後方散乱電子検出器(BED)を使用して、切断面から任意に選択された1個のセルに存在する第1触媒層、第2触媒層及び第3触媒層の観察を行い、第1触媒層が存在する領域、第2触媒層が存在する領域及び第3触媒層が存在する領域を特定した。BEDによる切断面の観察において、視野倍率は500倍とし、視野幅は100~200μmとした。BEDによって観察する領域は、セルの角部が含まれないように設定した。第1触媒層が存在する領域、第2触媒層が存在する領域及び第3触媒層が存在する領域は、EPMAを使用した切断面の元素マッピングにより行った。
BED観察画像において、左端側から順に、基材の隔壁部の厚さ方向と平行な第1~第9のグリッド線を15μm間隔で描き、第1触媒層が存在する領域の輪郭線と各グリッド線との交点同士を直線で結び、第1触媒層の表面の位置を特定した。同様に、第2触媒層が存在する領域の輪郭線と各グリッド線との交点同士を直線で結び、第2触媒層の表面の位置を特定した。同様に、第3触媒層が存在する領域の輪郭線と各グリッド線との交点同士を直線で結び、第3触媒層の表面の位置を特定した。ある交点P1から該交点P1に隣接する交点P2への厚さ方向の変化量がグリッド線の間隔(15μm)を超える場合、交点P2を表面の位置の特定に使用しなかった(すなわち、直線で結ぶ交点から、交点P2を除いた)。また、交点P1から交点P1に隣接する交点P2への厚さ方向の変化量がグリッド線の間隔(15μm)を超えるとともに、交点P1から、交点P2に隣接する交点P3への厚さ方向の変化量もグリッド線の間隔(15μm)を超える場合、交点P2に加えて交点P3も表面の位置の特定に使用しなかった(すなわち、直線で結ぶ交点から、交点P2及び交点P3を除いた)。このように直線で結ぶ交点から連続して5つの交点を除く場合、当該BED画像は、厚さの測定に使用しなかった。
第1触媒層の表面の位置、第2触媒層の表面の位置及び第3触媒層の表面の位置を特定した後、画像解析ソフトウェアを使用して、第2のグリッド線と、第8のグリッド線と、第1触媒層の表面と、第2触媒層の表面とで囲まれた第1領域の面積を求めた。同様に、第2のグリッド線と、第8のグリッド線と、第2触媒層の表面と、第3触媒層の表面とで囲まれた第2領域の面積を求めた。画像解析ソフトウェアとしては、AreaQ(エステック株式会社製)を使用した。なお、画像の両端部は不鮮明になり易く、第1触媒層の表面の位置、第2触媒層の表面の位置及び第3触媒層の表面の位置を特定し難いため、第1のグリッド線及び第9のグリッド線は使用しなかった。
第1領域及び第2領域の面積を求めた後、下記式に基づいて、各領域の厚さを算出した。
各領域の厚さ=各領域の面積/(グリッド線の間隔×グリッド線の間隔の数)
なお、グリッド線の間隔は15μmであり、グリッド線の間隔の数は6である。
切断面から任意に選択された20個のセルに関して、第1領域の厚さを算出し、それらの平均値を第2触媒層の平均厚さとした。また、切断面から任意に選択された20個のセルに関して、第2領域の厚さを算出し、それらの平均値を第3触媒層の平均厚さとした。
第2触媒層の平均厚さは40μm、第3触媒層の平均厚さは3.3μmであった。実施例1の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。
表1中、「Rh」、「CeO2」、「Al2O3」、「ZrO2」、「Al2O3+ZrO2」、「平均厚さ」及び「a/b」の意義は、以下の通りである。
[第2触媒層]
Rh:第2触媒層中のRhの金属換算の質量の、第2触媒層の質量に対する百分率(質量%)
CeO2:第2触媒層中のCeのCeO2換算の質量の、第2触媒層の質量に対する百分率(質量%)
Al2O3:第2触媒層中のAlのAl2O3換算の質量の、第2触媒層の質量に対する百分率(質量%)
ZrO2:第2触媒層中のZrのZrO2換算の質量の、第2触媒層の質量に対する百分率(質量%)
Al2O3+ZrO2:第2触媒層中のAlのAl2O3換算の質量と第2触媒層中のZrのZrO2換算の質量との合計の、第2触媒層の質量に対する百分率(質量%)
平均厚さ:第2触媒層の平均厚さ(μm)
[第3触媒層]
Rh:第3触媒層中のRhの金属換算の質量の、第3触媒層の質量に対する百分率(質量%)
CeO2:第3触媒層中のCeのCeO2換算の質量の、第3触媒層の質量に対する百分率(質量%)
Al2O3:第3触媒層中のAlのAl2O3換算の質量の、第3触媒層の質量に対する百分率(質量%)
ZrO2:第3触媒層中のZrのZrO2換算の質量の、第3触媒層の質量に対する百分率(質量%)
Al2O3+ZrO2:第3触媒層中のAlのAl2O3換算の質量と第3触媒層中のZrのZrO2換算の質量との合計の、第3触媒層の質量に対する百分率(質量%)
平均厚さ:第3触媒層の平均厚さ(μm)
[a/b]
a:第3触媒層中のRhの金属換算の質量の、第3触媒層の質量に対する百分率(質量%)
b:第2触媒層中のRhの金属換算の質量の、第2触媒層の質量に対する百分率(質量%)
〔実施例2〕
上層形成用スラリー中の各成分量を、焼成後の上層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.5質量%、CeがCeO2換算で5.0質量%、ZrがZrO2換算で17.5質量%、AlがAl2O3換算で74.5質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で2.5質量%となるように調整した点、並びに、フロースルー型基材のうち上層が形成されている部分の単位体積当たりの上層の質量を20g/Lに変更した点を除き、実施例1と同様にして、実施例2の排ガス浄化用触媒を製造した。実施例2の排ガス浄化用触媒における下層、中層及び上層は、それぞれ、第1触媒層、第2触媒層及び第3触媒層に相当する。
実施例2の排ガス浄化用触媒における第2触媒層の平均厚さ及び第3触媒層の平均厚さを実施例1と同様にして算出したところ、第2触媒層の平均厚さは40μm、第3触媒層の平均厚さは4.4μmであった。実施例2の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。
〔実施例3〕
上層形成用スラリー中の各成分量を、焼成後の上層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.3質量%、CeがCeO2換算で3.3質量%、ZrがZrO2換算で11.7質量%、AlがAl2O3換算で83.0質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で1.7質量%となるように調整した点、並びに、フロースルー型基材のうち上層が形成されている部分の単位体積当たりの上層の質量を30g/Lに変更した点を除き、実施例1と同様にして、実施例3の排ガス浄化用触媒を製造した。実施例3の排ガス浄化用触媒における下層、中層及び上層は、それぞれ、第1触媒層、第2触媒層及び第3触媒層に相当する。
実施例3の排ガス浄化用触媒における第2触媒層の平均厚さ及び第3触媒層の平均厚さを実施例1と同様にして算出したところ、第2触媒層の平均厚さは40μm、第3触媒層の平均厚さは6.6μmであった。実施例3の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。
〔比較例1〕
中層形成用スラリー中の各成分量を、焼成後の中層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.2質量%、CeがCeO2換算で6.0質量%、ZrがZrO2換算で21.0質量%、AlがAl2O3換算で69.2質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で3.6質量%となるように調整した点、並びに、上層を形成しなかった点を除き、実施例1と同様にして、比較例1の排ガス浄化用触媒を製造した。比較例1の排ガス浄化用触媒における下層は第1触媒層に相当する。比較例1の排ガス浄化用触媒における中層を、同一組成を有する第2触媒層及び第3触媒層の積層体と見なした。比較例1の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。
〔比較例2〕
中層形成用スラリー中の各成分量を、焼成後の中層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.2質量%、CeがCeO2換算で12.0質量%、ZrがZrO2換算で42.0質量%、AlがAl2O3換算で39.5質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で6.3質量%となるように調整した点を除き、比較例1と同様にして、比較例2の排ガス浄化用触媒を製造した。比較例2の排ガス浄化用触媒における下層は第1触媒層に相当する。比較例2の排ガス浄化用触媒における中層を、同一組成を有する第2触媒層及び第3触媒層の積層体と見なした。比較例2の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。
実施例1と同様の方法により得られた、比較例2の排ガス浄化用触媒に関するBED観察画像及び元素マッピング画像をそれぞれ図5及び6に示す。なお、図6は、Pdに関するマッピング画像である。
〔比較例3〕
硝酸ロジウム水溶液に、実施例1(4)で得られた下層及び中層が形成されたフロースルー型基材を25℃で48時間浸漬させた。浸漬後のフロースルー型基材を150℃で0.5時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成し、中層の表面部全面にRhを含む貴金属含有表層部を形成した。焼成後の中層には、中層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.2質量%、CeがCeO2換算で12.0質量%、ZrがZrO2換算で42.0質量%、AlがAl2O3換算で39.5質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で6.3質量%含まれる。また、中層中のRhは、中層の厚さ方向に均一に存在するのではなく、中層の表面付近に偏在する。比較例3の排ガス浄化用触媒における下層は第1触媒層に相当する。比較例3の排ガス浄化用触媒における中層のうち、貴金属含有表層部以外の部分を第2触媒層と見なし、貴金属含有表層部を第3触媒層と見なした。比較例3の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。なお、比較例3において、中層全体の「CeO2」、「Al2O3」、「ZrO2」及び「Al2O3+ZrO2」を、第2触媒層及び第3触媒層の「CeO2」、「Al2O3」、「ZrO2」及び「Al2O3+ZrO2」と見なした。
〔比較例4〕
上層形成用スラリー中の各成分量を、焼成後の上層の質量を基準(100質量%)として、Rhが金属換算で0.2質量%、CeがCeO2換算で1.7質量%、ZrがZrO2換算で5.8質量%、AlがAl2O3換算で91.5質量%、Ce以外の希土類元素が酸化物換算で0.8質量%となるように調整した点、並びに、フロースルー型基材のうち上層が形成されている部分の単位体積当たりの上層の質量を60g/Lとした点を除き、実施例1と同様にして、比較例4の排ガス浄化用触媒を製造した。比較例4の排ガス浄化用触媒における下層、中層及び上層は、それぞれ、第1触媒層、第2触媒層及び第3触媒層に相当する。比較例4の排ガス浄化用触媒における第2触媒層の平均厚さ及び第3触媒層の平均厚さを上述の方法により算出したところ、第2触媒層の平均厚さは40μm、第3触媒層の平均厚さは13.2μmであった。比較例4の排ガス浄化用触媒における第2触媒層及び第3触媒層の特徴を表1に示す。
〔試験例〕
実施例1~3及び比較例1~4の排ガス浄化用触媒を耐久処理した後、排ガス浄化性能及びOSC性能を以下のようにして評価した。なお、耐久処理は、O2ガスを0.50%、水蒸気を10%、バランスガスとしてN2を流通させた雰囲気下、1000℃で30時間、熱処理することにより行った。
<排ガス浄化性能試験>
有害成分のうち、代表として炭化水素(HC)の浄化性能を測定した。耐久処理後の排ガス浄化触媒(触媒容積15mL)に、A/Fが14.6である下記組成のモデルガスをA/Fが14.4~14.8の範囲で変動するようにCO濃度及びO2濃度を調整しつつ、32L/分で流通させた。排ガス浄化触媒に流入するガス温度を常温から所定昇温速度で漸次上昇させていき、触媒を通過した排ガスに含まれるHC量を下記装置にて求め、下記式に基づいてHC浄化率を求めた。なお、Vは、触媒未設置のときの検出量、Wは、触媒設置後の検出量を表す。
HC浄化率(%)=(V-W)/V×100
[モデルガス(組成は体積基準)]
CO:0.3%、C3H6:1000ppmC、NO:500ppm、O2:0.28%、CO2:14%、H2O:10%、N2:残部
[昇温速度]10℃/分
[評価装置]堀場製作所社製MOTOR EXHAUST GAS ANALYZER MEXA7100
HC浄化率が50%及び80%に達したときの触媒の入口ガス温度(℃)を、それぞれ、ライトオフ温度T50及びT80として求めた。T50及びT80は、昇温時について測定した。T50及びT80の測定結果を表2に示す。T50は、耐久処理による触媒の劣化状態の影響を大きく受けるため、耐熱性の指標となる。T50が小さいほど、耐熱性が高い。T80は、触媒の劣化状態よりも、触媒と排ガスとの接触性の影響を大きく受けるため、触媒と排ガスとの接触性の指標となる。T80が小さいほど、触媒と排ガスとの接触性が高い。
<OSC性能試験>
耐久処理後の排ガス浄化触媒(触媒容積15mL)に、下記組成のモデルガス1及び2を32L/分で1分毎に交互に流通させた。排ガス浄化触媒に流入するガス温度を500℃に固定し、モデルガス1からモデルガス2に切り替えてから触媒を通過した排ガスに含まれるCO濃度が0.25%に達するまでの時間(以下「遅れ時間」という。)を下記装置にて求め、下記式に基づいて遅れ時間の差(秒)を求めた。なお、Xは、触媒未設置のときの遅れ時間、Yは、触媒設置後の遅れ時間を表す。
遅れ時間の差(秒)=Y-X
[モデルガス1(組成は体積基準)]
O2:0.5%、N2:残部
[モデルガス2(組成は体積基準)]
CO:0.5%、N2:残部
[評価装置]堀場製作所社製MOTOR EXHAUST GAS ANALYZER MEXA7100
遅れ時間の差は、OSCの指標となる。遅れ時間の差が大きいほど、OSCが大きい。そこで、遅れ時間の差を、比較例1の値を100としたときの相対値として求め、これをOSCとした。OSCの測定結果を表2に示す。
遅れ時間の差がOSCの指標となる理由は、以下の通りである。
試験系には、モデルガス供給部、触媒設置部及びガス濃度計設置部が順に配置されている。モデルガス1が流通している間、ガス濃度計で検出されるCO濃度はゼロである。触媒が設置されていない場合、モデルガス1からモデルガス2に切り替えられると、モデルガス2中のCOは消費されることなく、ガス濃度計で検出される。触媒が設置されている場合、モデルガス1からモデルガス2に切り替えられると、モデルガス2中のCOは、触媒に蓄えられた酸素により消費されるため、ガス濃度計で検出されるCO濃度が低く保たれる。触媒に蓄えられた酸素が多いほど、ガス濃度計で検出されるCO濃度が低く保たれる時間が長い。したがって、遅れ時間の差がOSC能の指標となる。
実施例1~3の排ガス浄化用触媒は、基材と、基材上に設けられた第1触媒層と、第1触媒層上に設けられた第2触媒層と、第2触媒層上に設けられた第3触媒層とを備え、第1触媒層がPdを含み、第2触媒層がRhとCeとを含み、第3触媒層がRhとAl及び/又はZrとを含む排ガス浄化用触媒であって、以下の条件(1)~(4)を満たす排ガス浄化用触媒である。一方、比較例1~4の排ガス浄化用触媒は、基材と、基材上に設けられた第1触媒層と、第1触媒層上に設けられた第2触媒層と、第2触媒層上に設けられた第3触媒層とを備え、第1触媒層がPdを含み、第2触媒層がRhとCeとを含み、第3触媒層がRhとAl及び/又はZrとを含む排ガス浄化用触媒であって、以下の条件(1)~(4)のいずれか1つ以上を満たさない排ガス浄化用触媒である。
(1)第2触媒層及び第3触媒層が、下記式:
a>b
[式中、aは、第3触媒層中のRhの金属換算の質量の、第3触媒層の質量に対する百分率を表し、bは、第2触媒層中のRhの金属換算の質量の、第2触媒層の質量に対する百分率を表す。]
を満たす。
(2)第2触媒層中のCeのCeO2換算の質量の、前記第2触媒層の質量に対する百分率が、7質量%以上である。
(3)第3触媒層中のCeのCeO2換算の質量の、前記第3触媒層の質量に対する百分率が、7質量%未満である。
(4)第3触媒層の平均厚さが、10μm以下である。
比較例1は、条件(1)を満たさないため、第3触媒層に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上を実現できず、したがって、T80が大きかった(すなわち、触媒と排ガスとの接触性が低かった)。また、比較例1は、条件(2)を満たさないため、第2触媒層のOSCの向上を実現できず、したがって、OSCが低かった。
比較例2は、条件(1)を満たさないため、第3触媒層に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上を実現できず、したがって、T80が大きかった(すなわち、触媒と排ガスとの接触性が低かった)。また、比較例2は、条件(3)を満たさないため、第3触媒層の耐熱性の向上を実現できず、したがって、T50が大きかった(すなわち、耐熱性が低かった)。
比較例3は、条件(3)を満たさないため、第3触媒層の耐熱性の向上を実現できず、したがって、T50が大きかった(すなわち、耐熱性が低かった)。比較例3は、条件(1)及び(4)を満たすが、T80が大きかった(すなわち、触媒と排ガスとの接触性が低かった)。比較例3は、条件(3)を満たさないことに起因して、第3触媒層中のRhの凝集が生じて活性点が減少したため、条件(1)及び(4)を満たすが、T80が大きかったと考えられる。
比較例4は、条件(4)を満たさないため、第3触媒層よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分と排ガスとの接触性の向上を実現できず、したがって、T80が大きかった(すなわち、触媒と排ガスとの接触性が低かった)。
実施例1~3は、条件(1)を満たすため、第3触媒層に含まれるRhと排ガスとの接触性の向上を実現でき、したがって、T80が小さかった(すなわち、触媒と排ガスとの接触性が高かった)。
実施例1~3は、条件(2)を満たすため、第2触媒層のOSCの向上を実現でき、したがって、OSCが高かった。
実施例1~3は、条件(3)を満たすため、第3触媒層の耐熱性の向上を実現でき、したがって、T50が小さかった(すなわち、耐熱性が高かった)。
実施例1~3は、条件(4)を満たすため、第3触媒層よりも下側の部分に含まれる触媒活性成分と排ガスとの接触性の向上を実現でき、したがって、T80が小さかった(すなわち、触媒と排ガスとの接触性が高かった)。