
この界隈、14時を過ぎると飲食店はロックダウンされたように壊滅します。
近くのガストがそもそも潰れてしまい、14時以降で食べられるところを探すのは至難の業。
そんな中、営業中の札が見えて後光が差しているかのように見えましたが、一方、店の中はスモークガラスで見えません。
ご機嫌なお父さんの影だけがかろうじて見えました。
勇気を出して扉を開けると中の全員の視線は私を一瞥して、元の会話に戻りました。
テレビはJRA中継のようで、中京10R。
店主と思しきお母さんが、「コーヒー?」と聞きますが、そこで迎合してはいけない、「何か食事できるものはありますか?」と返します。とてもお腹空いてますもの。
お母さん、「カレー」と言いかけて次の言葉がなかなか出なかったので、「それで」。精一杯です。
すみません、テリトリーの中に踏み込んでしまったのですね……。
出てきたカレーは塩を使ってないんじゃないか、くらいの優しい味。
具はゴロゴロじゃがいもとトマトのようです。
カラダを考えてのものでしょう。
お皿は小さめですが、たぶん客層的に先輩方はその量を求めるのかと思います。
流儀がつかめず、オドオドしてますと、カウンターの常連らしきおねえさんがサラダとカレーを運んでくれます。次いで味噌汁も。
普段なら、自分でやりますくらい言えるはずだが、そもそも何が出てくるか想像もつかないので、身動き取れない。
おねえさんに「なんかすみません……」みたいな中途半端なおあいそ入れながら、料理が揃います。
食べ終わった頃にお母さんがコーヒー持ってきてくれました。
セットなんですね。
内側に入ってしまえばなんてことないのですが、どこでも儀式は存在します。
次回はもう少し落ち着いて食べられるかな……
精算を終えると、お母さんも優しく送り出していただけました。