WO2013011666A1

WO2013011666A1 - 建設機械

Info

Publication number: WO2013011666A1
Application number: PCT/JP2012/004486
Authority: WO
Inventors: 中島　一; 大沼沢; 上田　員弘; 山口　善三; 木村　康正
Original assignee: コベルコ建機株式会社; 株式会社神戸製鋼所
Priority date: 2011-07-19
Filing date: 2012-07-11
Publication date: 2013-01-24
Also published as: CN103688030A; EP2735712A1; US20140144717A1; EP2735712B1; US9027676B2; JP5886552B2; KR101610561B1; CN103688030B; EP2735712A4; KR20140048274A; JP2013024078A

Abstract

　建設機械は、下部走行体と、上記下部走行体上に旋回自在となるように搭載された上部旋回体とを備え、上記上部旋回体は、冷却用の空気を外部から導入するための吸気口と冷却済み空気を外部に排出するための排気口とを備えたエンジンルームと、このエンジンルーム内に上記排気口と連通するように設けられ、上記冷却済み空気を上記排気口から上記エンジンルームの外部へ排出するためのダクトと、上記エンジンから排出される排ガスを上記ダクト内に導く排ガス管とを有し、上記排気口及び上記ダクトの出口は、上記エンジンルームから下向きに開口するように設けられ、上記排ガス管の先端側の部分は、上記ダクト内に挿入され、上記ダクトと上記排ガス管は、上記排ガスを上記ダクト内で上記冷却済み空気と混合させ、その排ガスと冷却済み空気との混合気を上記排気口から下向きに排出させるように構成されている。

Description

建設機械

　本発明は、エンジンの排ガス及び冷却空気をエンジンルーム外に排出するための構造を備えた油圧ショベル等の建設機械に関するものである。

　油圧ショベルを例にとって背景技術を説明する。

　図９は、ミニショベルと称される小型の油圧ショベルを示している。

　この油圧ショベルは、下部走行体１と、その下部走行体１上に地面に対して鉛直となる軸（旋回中心軸）Ｏのまわりに旋回自在となるように搭載された上部旋回体２と、この上部旋回体２の前部に装着された掘削装置Ａとを備えている。

　下部走行体１は、上部旋回体２が搭載されるカーボディ（図示しない）と、そのカーボディの左右両側に取り付けられたクローラ式走行装置３（片側のみ示す）とを備えている。

　上部旋回体２を構成するアッパーフレーム４の後部には、アッパーフレーム４と、パネルやボンネット等のエンジンガード部材５とによって囲われたエンジンルーム６が設けられている。このエンジンルーム６内には、エンジン７とその関連機器が設置されている。

　また、エンジンガード部材５上には、運転席８と操作レバー（図示省略）が設けられている。オペレータは、運転席８に着座した状態でレバー操作を行う。

　図９中において、符号９は、運転席８を上方から覆うキャノピを示している。

　この小型ショベルにおいて、エンジンから排出される高温の排ガスが排ガス管（尾管）によってエンジンルームから外部に直接上向きに排出されると、オペレータが排気熱と排気音を身近に受ける。このため、オペレータの作業環境が悪くなるという問題があった。

　一方、排ガスの排気のための構造に関する改良技術として、特許文献１に示されたものが公知である。この公知技術を、図１０を参照して説明する。図１０は、エンジンルーム６の断面を当該エンジンルーム６の背面側から見た概略図である。

　エンジンルーム６内のエンジン７の一端側には、エンジン７で駆動される冷却用のファン１０と、ラジエータ等の熱交換器１１とが設けられている。エンジンガード部材５の上面壁のうちファン１０及び熱交換器１１が設けられた側の部分には、吸気口１２が設けられ、その上面壁のうち反対側の部分には、排気口１３が設けられている。ファン１０の回転により、外気が吸気口１２を通じてエンジンルーム６内に導入されて熱交換器１１を通過し、冷却済み空気（排風）が排気口１３から排出されるようになっている。

　一方、エンジン９の他端側には、消音器（マフラー）１４が設けられている。エンジン７から出る排ガスは、この消音器１４、及びこれに接続された排ガス管（尾管）１５を通って外部に排出される。

　ここで、公知技術においては、エンジンルーム６内において排気口１３の下側の位置に筒状のダクト１６を、当該ダクト１６の上端が排気口１３側に開口し且つ当該ダクト１６の下端がエンジンルーム６内にそれぞれ開口する状態で上下方向に延びるように設けるととともに、排ガス管１５の先端部１５ａをダクト１６の下方で上向きに折り曲げてその先端部１５ａをダクト１６の下端からダクト１６内に挿入している。

　こうすることにより、排風及び排ガスをダクト１６内に導き、このダクト１６内で両者を混合させることによって排ガス温度を低下させた上でそれらの排風及び排ガスを外部に排出し、同時にダクト内で運転騒音を減音させている。

　しかし、公知技術では、排ガス温度及び運転騒音を従来構造よりは低下させ得るものの、排ガスと排風の混合気を上向きに排出する点では従来技術と変わらない。このため、とくに、図９に示すキャビンの無い小型ショベルにおいて、公知技術が適用されたとしても、依然、オペレータに与える熱と騒音の悪影響は大きい。

特開平３－２２９９０７号公報

　本発明の目的は、とくに小型ショベルにおいてオペレータに与える熱と音の悪影響を著しく低減することである。

　本発明の一局面に従う建設機械は、下部走行体と、前記下部走行体上に旋回自在となるように搭載された上部旋回体とを備え、前記上部旋回体は、冷却用の空気を外部から導入するための吸気口と冷却済み空気を外部に排出するための排気口とを備えたエンジンルームと、このエンジンルーム内に前記排気口と連通するように設けられ、前記冷却済み空気を前記排気口から前記エンジンルームの外部へ排出するためのダクトと、前記エンジンから排出される排ガスを前記ダクト内に導く排ガス管とを有し、前記排気口及び前記ダクトの出口は、前記エンジンルームから下向きに開口するように設けられ、前記排ガス管の先端側の部分は、前記ダクト内に挿入され、前記ダクトと前記排ガス管は、前記排ガスを前記ダクト内で前記冷却済み空気と混合させ、その排ガスと冷却済み空気との混合気を前記排気口から下向きに排出させるように構成されている。

本発明の第１実施形態にかかる小型ショベルの概略的な縦断面図である。第１実施形態にかかる小型ショベルを下面側から見た図である。第１実施形態にかかる小型ショベルのエンジンルームの断面図である。図３の一部を拡大した図である。図４のＶ－Ｖ線に沿った拡大断面図である。本発明の第２実施形態にかかる小型ショベルの概略的な縦断面図である。図６の一部を拡大した図である。本発明の第３実施形態にかかる小型ショベルの概略的な縦断面図である。本発明の適用対象となる小型ショベルの全体概略側面図である。公知技術によるエンジンルームの概略断面図である。

　以下、本発明の第１～第３各実施形態を図１～図８を参照して説明する。

　各実施形態は、小型ショベル（ミニショベル）を適用対象としている。

　各実施形態において、次の（Ａ）～（Ｅ）の点は、図９，図１０に示す従来構造及び公知技術と同じである。

　(Ａ)　ショベルは、下部走行体２１と、その下部走行体２１上に地面に対して鉛直となる軸(旋回中心軸)Ｏのまわりに旋回自在となるように搭載された上部旋回体２２と、この上部旋回体２２の前部に装着された掘削装置（図示省略）とを備えている。

　(Ｂ)　下部走行体２１は、上部旋回体２２が搭載されるカーボディ２３と、そのカーボディ２３の左右両側に取り付けられ、クローラ２４を有するクローラ式走行装置２５とを備えている。

　(Ｃ)　上部旋回体２２を構成するアッパーフレーム２６の後部には、アッパーフレーム２６と、パネルやボンネット等のエンジンガード部材２７とによって囲われたエンジンルーム２８が設けられている。

　(Ｄ)　このエンジンルーム２８内には、エンジン２９が収容されている。エンジンルーム２８内のエンジン２９の一端側には、図３に示すように、エンジン２９によって駆動される冷却用のファン３０とラジエータ等の熱交換器３１とが設けられている。エンジンガード部材２７の上面壁のうちファン３０及び熱交換器３１が設けられた側の部分には、吸気口３２が設けられ、その上面壁のうち反対側の部分には、排気口３３が設けられている。ファン３０の回転により、外気が吸気口３２を通じてエンジンルーム２８内に導入されて熱交換器３１を通過し、熱交換器３１を冷却した後の冷却済み空気（排風）が排気口３３から排出されるようになっている。

　(Ｅ)　エンジンルーム２８におけるエンジン２９の他端側には、消音器（マフラー）３４が設けられ、エンジン２９から出る排ガスは、この消音器３４、及びこれに接続された排ガス管（尾管）３５を通って外部に排出される。

　なお、図１，図６，図８は、上部旋回体２２を、下部走行体２１の進行方向に対して９０度旋回させた状態、すなわち、エンジンルーム２８が片側のクローラ２４の上方に位置する横向き旋回状態を示す。

　［第１実施形態］（図１～図５参照）
　第１実施形態において、排気口３３は、図１，図２に示すように、エンジンルーム２８における上部旋回体２２の旋回中心軸Ｏ側の位置であって、上部旋回体２２が横向き旋回状態にある場合にクローラ２４の上面に対して内側に外れる位置でエンジンルーム２８の下面壁（アッパーフレーム２６）に設けられている。この排気口３３の上側には、筒状のダクト３６が設けられている。

　このダクト３６は、図示のように、下端の出口側が排気口３３側に開口し且つ上端の入口側がエンジンルーム２８内に開口する状態で上下方向に延びるように設けられている。

　排ガス管３５は、その中間部でダクト３６に向かって折り曲げられている。排ガス管３５の先端側（エンジン２９と反対側）の部分は、ダクト３６の側壁を貫いてダクト３６内に挿入されている。すなわち、排ガス管３５の先端側の部分である挿入部分３５ａは、ダクト３６が延びる方向と交差（望ましくは図示のように直交）する方向に延び、且つ、ダクト３６内をほぼ横断する状態でそのダクト３６内に挿入されている。

　この排ガス管３５の挿入部分３５ａには、図４，図５に示すように、当該挿入部分３５ａ内を流れる排ガスをダクト３６内に噴射するための複数の排出穴３７が設けられている。この複数の排出穴３７は、挿入部分３５ａのうちダクト３６内を通る排風の風下側に位置する半周部分（排風の流れ方向と直交して挿入部分３５ａの径方向に延びる線よりも下側の半周部分）に設けられている。この排出穴３７は、図示のように、挿入部分３５ａの半周部分において、その周方向に間隔を置いた複数の異なる個所に設けられているとともに挿入部分３５ａの長さ方向に間隔を置いた複数の異なる個所に設けられている。

　また、挿入部分３５ａの単位長さ当たりに排出穴３７によって開口されている面積は、排出穴３７から排出される排ガス量が挿入部分３５ａの長さ方向においてほぼ均等となるように、当該挿入部分３５ａの先端側（エンジン２９と反対側）へ向かうにつれて漸減している。換言すれば、挿入部分３５ａにおいて開口されていない部分の面積に対する排出穴３７によって開口されている面積の割合が、挿入部分３５ａの先端側へ向かうにつれて漸減しており、それによって、排出穴３７から排出される排ガス量が挿入部分３５ａの長さ方向においてほぼ均等となっている。

　具体的には、図４に示すように、挿入部分３５ａの長さ方向における排出穴３７の設置間隔が、挿入部分３５ａの先端側へ向かうにつれて漸次大きくなっている。すなわち、排出穴３７の設置密度が、挿入部分３５ａの先端側へ向かうにつれて漸次小さくなっている。

　また、挿入部分３５ａの先端側のより近くに配設された排出穴３７ほどその大きさが小さくなるようにしてもよい。

　なお、排出穴３７は、図示の丸穴でもよいし、角穴でもよい。あるいは、排出穴３７は、挿入部分３５ａの長さ方向に長い溝穴としてもよい。排出穴３７を溝穴とする場合は、その幅寸法が、挿入部分３５ａの先端側へ向かって漸次小さくなるようにすればよい。

　また、第１実施形態及び後述する第２、第３両実施形態において、排ガス管３５の先端開口は、閉塞されているか、または、小開口面積に絞られている。

　この第１実施形態では、排ガスと排風の混合気がエンジンルーム２８から下向き、すなわち運転席と上下反対側に排出されるため、とくに実施形態で挙げた小型ショベルにおいてオペレータが受ける熱と騒音の悪影響を著しく低減することができる。

　また、排気口３３が、エンジンルーム２８における上部旋回体２２の旋回中心側の位置であって、上部旋回体２２が横向き旋回状態にある場合にクローラ２４から内側に外れる位置で下向きに開口しているため、エンジンルーム２８が片側のクローラ２４上に位置する前記横向き旋回状態において、排出される混合気がクローラ２４に直接かからない。このため、とくに小型ショベルに一般的に採用されているゴムクローラが混合気の熱によって劣化し、耐久性が低下することを抑制することができる。

　また、混合気が排気口３３から直接排出されるため、排気抵抗が少なくてすみ、排気の風量についての性能が良くなる。

　さらに、第１実施形態では、排ガスが、図４，図５に示すように、挿入部分３５ａのうち排風の風下側に位置する半周部分で且つその挿入部分３５ａのほぼ全長に亘る部分から、ダクト３６内に、挿入部分３５ａの径方向の中心に対して放射状に噴射される。

　すなわち、排ガスは、
　(ｉ)　ダクト３６内の排風の流れ方向と異なる方向に噴射され、且つ
　(ｉｉ)　挿入部分３５ａの周方向及び長さ方向において分散して噴射される。

　この第１実施形態の構成によると、第１に、上記（ｉ）の異方向噴射作用により、圧力と流速が排風よりも高い排ガスが、ダクト３６の断面における広い面積の範囲に長くとどまるため、低圧、低速の排風と混ざり易くなる。

　第２に、上記（ｉｉ）の排ガスの周方向及び長さ方向への拡散作用により、排ガスがダクト３６内のさらに広い範囲で排風と混ざり合う。

　これら二点の相乗効果により、排ガスと排風の混合効率を高めることができ、その結果、排ガスの温度を好ましい温度まで確実に低下させた上で排ガス及び排風をダクト３６及び排気口３３から外部に排出することができる。具体的には、例えば、排ガスの温度を５００℃から１００℃まで低下させた上で排ガス及び排風を外部に排出することができる。

　また、上記（ｉ）（ｉｉ）の排ガス噴射作用によって、排ガスの排出音（排気音）がダクト３６の内面に接触し易くなること、及び、エンジン７及び消音器１４から発し排風に乗って外部に出ようとする音が排ガスとともにダクト１６内で拡散・反射し易くなることにより、外部に排出される運転騒音を低減させることができる。

　すなわち、第１実施形態によれば、排ガス温度の低減効果及び騒音の低減効果を公知技術よりも格段に高めることができる。

　なお、騒音の低減効果をさらに向上させるためには、ダクト１６の内面にグラスウール等の吸音材を設けるのが望ましい。

　［第２実施形態］（図６，図７参照）
　第２、第３両実施形態については、第１実施形態との相違点のみを説明する。

　第２実施形態では、第１の相違点として、排気口３３が、エンジンルーム２８において旋回中心軸Ｏと反対側の位置であって、上部旋回体２２が横向き旋回状態にある場合に片側のクローラ２４の上面に対向する位置でエンジンルーム２８の下面壁（アッパーフレーム２６）に設けられ、この排気口３３の上側にダクト３６が設けられ、排気口３３に風向部材としての風向板３８が設けられている。

　風向板３８は、図７に拡大して示すように、混合気がクローラ２４の上面から内側（旋回中心軸Ｏ側）に外れる位置に向かって排出されるようにその混合気を案内するための内向きに傾斜した複数の穴３８ａを備えている。この複数の穴３８ａによって、混合気は、クローラ２４の上面よりも内側に排出案内される。

　なお、風向部材として、排気口３３の外面（アッパーフレーム２６の下面）に、傾斜した複数枚の風向板を設けてもよい。

　第２の相違点として、排ガス管３５の先端側の挿入部分３５ａが、ダクト３６の上方からダクト３６内にまっすぐ下向きに挿入され、排ガスを横向きに噴射する排出穴３７が、この挿入部分３５ａの全周部分においてその周方向に間隔を置いた複数の異なる箇所に設けられているとともにその挿入部分３５ａの長さ方向に間隔を置いた複数の異なる箇所に設けられている。

　なお、図では、排出穴３７として、等径の穴が挿入部分３５ａの長さ方向及び周方向に等間隔に設けられているが、第１実施形態と同様に、挿入部分３５ａ上の位置によって、排出穴３７の設置間隔及び／又は排出穴３７の大きさを変えてもよい。具体的には、挿入部分３５ａの長さ方向における排出穴３７の設置間隔は、各排出穴３７から排出される排ガス量が挿入部分３５ａの長さ方向においてほぼ均等となるように、挿入部分３５ａの先端側へ向かうにつれて漸次大きくなっていてもよい。すなわち、排出穴３７の設置密度が、挿入部分３５ａの先端側へ向かうにつれて漸次小さくなっていてもよい。また、挿入部分３５ａの先端側のより近くに配設された排出穴３７ほどその大きさが小さくなるようにしてもよい。

　この第２実施形態では、第１実施形態と同様に、混合気がクローラ２４の上面から外れた位置に排出されるため、熱によるゴムクローラの劣化を抑えることができる。また、この第２実施形態では、排気口３３を設ける位置の自由度が高くなる。このため、機器レイアウトやダクトの形状及び配置に関する設計、設置が容易となる。

　また、この第２実施形態では、排ガス管３５の先端側の挿入部分３５ａをダクト３６の上方からそのダクト３６内に挿入しているため、ダクト３６の側壁に対して排ガス管３５の先端側部分を貫通させる必要も、その貫通のための穴をダクト３６に設ける必要もなくなる。このため、排ガス管３５及びダクト３６の加工、設置が容易となる。

　［第３実施形態］（図８参照）
　第３実施形態では、金属製クローラが用いられるショベルに適した構成として、第２実施形態の構成から風向板３８を除去し、混合気が排気口３３からそのまま下向き、すなわちクローラ２４の上面に向けて排出される構成がとられている。第３実施形態における他の構成は、第２実施形態と同じである。

　この第３実施形態の構成によると、排気口３３を設ける位置の自由度が高くなるという利点を生かしながら、風向板３８が不要となる分、構造を簡略化できる。

　なお、第１実施形態の、排気口３３を、エンジンルーム２８の下面壁（アッパーフレーム２６）のうち上部旋回体２２が横向き旋回状態にある場合にクローラ２４の上面から外れる部位に設ける構成と、第２、第３両実施形態の、排ガス管３５の先端側の挿入部分３５ａをダクト３６に上方からまっすぐ挿入する構成とを組み合わせてもよい。

　また、排ガス管３５の先端側の挿入部分３５ａをダクト３６の側壁を貫通させてダクト３６内に挿入する第１実施形態の構成と、エンジンルーム２８の下面壁（アッパーフレーム２６）のうち上部旋回体２２が横向き旋回状態にある場合にクローラ２４の上面に対向する部位に排気口３３を設ける構成とを組み合わせてもよい。

　一方、本発明は、油圧ショベルに限らず、エンジンルームを備え、冷却用空気と排ガスをこのエンジンルームから外部に排出する構成をとる他の建設機械にも上記と同様に適用することができる。

［実施の形態の概要］
　前記実施形態をまとめると、以下の通りである。

　前記実施形態に係る建設機械は、下部走行体と、前記下部走行体上に旋回自在となるように搭載された上部旋回体とを備え、前記上部旋回体は、冷却用の空気を外部から導入するための吸気口と冷却済み空気を外部に排出するための排気口とを備えたエンジンルームと、このエンジンルーム内に前記排気口と連通するように設けられ、前記冷却済み空気を前記排気口から前記エンジンルームの外部へ排出するためのダクトと、前記エンジンから排出される排ガスを前記ダクト内に導く排ガス管とを有し、前記排気口及び前記ダクトの出口は、前記エンジンルームから下向きに開口するように設けられ、前記排ガス管の先端側の部分は、前記ダクト内に挿入され、前記ダクトと前記排ガス管は、前記排ガスを前記ダクト内で前記冷却済み空気と混合させ、その排ガスと冷却済み空気との混合気を前記排気口から下向きに排出させるように構成されている。

　この構成によれば、排ガスと排風の混合気がエンジンルームから下向き、すなわち運転席と上下反対側に排出されるため、とくに小型ショベルにおいてオペレータが受ける熱と騒音の悪影響を著しく低減することができる。

　上記建設機械において、上記下部走行体は、上記上部旋回体が搭載されるカーボディと、そのカーボディの左右両側にそれぞれ取り付けられたクローラ式走行装置とを備え、上記各クローラ式走行装置は、クローラを有し、上記建設機械は、上記上部旋回体が、上記エンジンルームが左右両側のいずれかの上記クローラ式走行装置の上記クローラ上に配置される横向き旋回状態にある場合に、上記排気口から排出される混合気がそのクローラの上面から外れる位置へ向かって排出されるように構成されていることが望ましい。

　この構成によれば、上部旋回体が横向き旋回状態にある場合に、混合気がクローラから外れた位置に排出されるため、とくに小型ショベルに一般的に採用されているゴムクローラの混合気の熱による劣化を抑制することができる。

　この場合において、前記排気口は、前記エンジンルームにおける前記上部旋回体の旋回中心側の位置であって、前記上部旋回体が前記横向き旋回状態にある場合に前記クローラの上面から外れる位置で下向きに開口されていてもよく、もしくは、前記排気口は、前記上部旋回体が前記横向き旋回状態にある場合に前記クローラの上面に対向する位置で下向きに開口され、この排気口には、前記混合気が前記クローラの上面から外れる位置へ向かって排出されるようにその混合気を案内する風向部材が設けられていてもよい。

　前者によれば、排気抵抗が少なくてすむため、建設機械の排気の風量についての性能を向上することができる。一方、後者によれば、排気口を設ける位置の自由度が高くなるため、機器レイアウトやダクトの形状及び配置に関する設計、設置が容易となる。

　上記建設機械において、前記ダクト内に挿入された前記排ガス管の挿入部分には、排ガスを前記ダクト内の排風の流れ方向と異なる方向に排出する排出穴が設けられているのが望ましい。

　この構成によれば、公知技術のように排ガスが排風の流れ方向に噴射されるのではなく、ダクト内で排ガスが排風の流れ方向と異なる方向に排出される。ここで、排ガスは、排風と比較して圧力と流速が格段に高いため、ダクト内で排風の流れ方向と異なる方向に噴射されることによって、排風とダクト断面における広い面積の範囲で混合する。このため、排ガスと排風との混合効率が良くなり、排ガス温度の低減効果を高めることができる。また、この構成によれば、排ガスが排風の流れ方向と異なる方向に噴射されてダクト内で拡散するため、ダクト内面での音の反射による音の減衰効果を得ることができ、ダクト内での減音効果を向上することができる。その結果、騒音の低減効果を高めることができる。

　上記建設機械において、前記ダクト内に挿入された前記排ガス管の挿入部分には、排ガスを前記排ガス管の長さ方向に分散させて排出する排出穴が設けられていてもよい。

　この構成によれば、排ガスがダクト内で排ガス管の長さ方向に分散して排出されるため、排ガスと排風の混合効率と減音効果を高め、排ガス温度の低減効果及び騒音の低減効果を高めることができる。

　この場合において、前記排出穴は、前記排ガス管の前記挿入部分の長さ方向において複数の異なる個所に設けられ、前記挿入部分の単位長さ当たりに前記排出穴によって開口されている面積は、前記排出穴から排出される排ガス量が前記挿入部分の長さ方向においてほぼ均等となるように、前記挿入部分の先端側へ向かうにつれて漸減しているのが望ましい。

　この構成によれば、排ガスの流速が最も高い挿入部分の先端側では、排出穴によって開口されている面積の割合が相対的に小さくなり、その先端側から排ガスの流速が低くなる反対側へ向かうにつれて排出穴によって開口されている面積の割合が漸増することになる。このため、排ガスの排出量が排ガス管の長さ方向においてほぼ均等になり、その結果、排ガスと排風との混合効率及び減音効果の点で有利となる。

　上記建設機械において、前記ダクト内に挿入された前記排ガス管の挿入部分には、排ガスを前記排ガス管の周方向に分散させて排出する排出穴が設けられていてもよい。

　この構成によれば、排ガスがダクト内で排ガス管の周方向に分散して排出されるため、排ガスと排風の混合効率と減音効果を高め、排ガス温度の低減効果及び騒音の低減効果を高めることができる。

　なお、当該構成と上記の排ガスを排ガス管の長さ方向に分散させて排出する排出穴の構成とを組み合わせて、排ガス管の長さ方向及び周方向の双方に分散して排出する排出穴を設けてもよい。

　上記建設機械において、前記排ガス管の先端側の部分は、前記ダクトが延びる方向と交差する方向に延びるように前記ダクト内に挿入されているのが望ましい。

　こうすれば、排ガス管の挿入部分を、ダクト内を横断する状態でダクト断面の広い範囲に亘って位置させることができるため、上記の排ガスを排風の流れ方向と異なる方向に排出する排出穴を設ける場合、及び、上記の排ガスを排ガス管の長さ方向または周方向に分散して排出する排出穴を設ける場合のいずれにおいても、排ガスをダクト内の広い範囲に噴射させることが容易となる。

　この場合において、前記ダクト内に挿入された前記排ガス管の挿入部分には、排気ガスを排出するための排出穴が設けられ、その排出穴は、前記挿入部分のうち前記ダクト内の排風の風下側に位置する半周部分に配設されているのが望ましい。

　こうすれば、ダクト内で排風と排ガスが衝突することによる音の発生を抑制できるとともに、ダクト内で排ガスによって通風が阻害されるのを防ぐことができる。

　以上説明したように、前記実施形態によると、とくに小型ショベルにおいてオペレータに与える熱と音の悪影響を著しく低減でき、オペレータの作業環境を大幅に改善することができる。

Claims

　下部走行体と、
　上記下部走行体上に旋回自在となるように搭載された上部旋回体とを備え、
　上記上部旋回体は、冷却用の空気を外部から導入するための吸気口と冷却済み空気を外部に排出するための排気口とを備えたエンジンルームと、このエンジンルーム内に上記排気口と連通するように設けられ、上記冷却済み空気を上記排気口から上記エンジンルームの外部へ排出するためのダクトと、上記エンジンから排出される排ガスを上記ダクト内に導く排ガス管とを有し、
　上記排気口及び上記ダクトの出口は、上記エンジンルームから下向きに開口され、
　上記排ガス管の先端側の部分は、上記ダクト内に挿入され、
　上記ダクトと上記排ガス管は、上記排ガスを上記ダクト内で上記冷却済み空気と混合させ、その排ガスと冷却済み空気との混合気を上記排気口から下向きに排出させるように構成されている、建設機械。
　請求項１に記載の建設機械において、
　上記下部走行体は、上記上部旋回体が搭載されるカーボディと、そのカーボディの左右両側にそれぞれ取り付けられたクローラ式走行装置とを備え、
　上記各クローラ式走行装置は、クローラを有し、
　上記建設機械は、上記エンジンルームが左右両側のいずれかの上記クローラ式走行装置の上記クローラ上に配置される横向き旋回状態に上記上部旋回体がなっている場合に、上記排気口から排出される混合気がそのクローラの上面から外れる位置へ向かって排出されるように構成されている、建設機械。
　請求項２に記載の建設機械において、
　上記排気口は、上記エンジンルームにおける上記上部旋回体の旋回中心側の位置であって、上記上部旋回体が上記横向き旋回状態にある場合に上記クローラの上面から外れる位置で下向きに開口されている、建設機械。
　請求項２に記載の建設機械において、
　上記排気口は、上記上部旋回体が上記横向き旋回状態にある場合に上記クローラの上面に対向する位置で下向きに開口され、この排気口には、上記混合気が上記クローラの上面から外れる位置へ向かって排出されるようにその混合気を案内する風向部材が設けられている、建設機械。
　請求項１～４のいずれか１項に記載の建設機械において、
　上記ダクト内に挿入された上記排ガス管の挿入部分には、排ガスを上記ダクト内の排風の流れ方向と異なる方向に排出する排出穴が設けられている、建設機械。
　請求項１～５のいずれか１項に記載の建設機械において、
　上記ダクト内に挿入された上記排ガス管の挿入部分には、排ガスを上記排ガス管の長さ方向に分散させて排出する排出穴が設けられている、建設機械。
　請求項６に記載の建設機械において、
　上記排出穴は、上記排ガス管の上記挿入部分の長さ方向において複数の異なる個所に設けられ、
　上記挿入部分の単位長さ当たりに上記排出穴によって開口されている面積は、上記排出穴から排出される排ガス量が上記挿入部分の長さ方向においてほぼ均等となるように、上記挿入部分の先端側へ向かうにつれて漸減している、建設機械。
　請求項１～７のいずれか１項に記載の建設機械において、
　上記ダクト内に挿入された上記排ガス管の挿入部分には、排ガスを上記排ガス管の周方向に分散させて排出する排出穴が設けられている、建設機械。
　請求項１～８のいずれか１項に記載の建設機械において、
　上記排ガス管の先端側の部分は、上記ダクトが延びる方向と交差する方向に延びるように上記ダクト内に挿入されている、建設機械。
　請求項９に記載の建設機械において、
　上記ダクト内に挿入された上記排ガス管の挿入部分には、排気ガスを排出するための排出穴が設けられ、その排出穴は、上記挿入部分のうち上記ダクト内の排風の風下側に位置する半周部分に配設されている、建設機械。