WO2008111667A1

WO2008111667A1 - フッ素樹脂組成物

Info

Publication number: WO2008111667A1
Application number: PCT/JP2008/054701
Authority: WO
Inventors: Keigo Goshiki; Noriyuki Kishimoto
Original assignee: Junkosha Inc.
Priority date: 2007-03-15
Filing date: 2008-03-07
Publication date: 2008-09-18
Also published as: CN101631830B; TWI417332B; JP5275574B2; TW200844171A; KR101451691B1; JP2008222942A; CN101631830A; KR20100014903A

Abstract

本発明のフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂とトリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等のフルオロアルキルスルホン酸塩とを含有し、導電性固体粒子を含有しないフッ素樹脂組成物である。これにより、摩擦帯電電位を低下した、電気絶縁性が良好なフッ素樹脂組成物とすることができる。

Description

明細書フッ素樹脂組成物技術分野

本発明は、フッ素樹脂組成物に関し、特に摩擦帯電性が小さなフッ素樹脂組成物に関する。背景技術

フッ素樹脂は、表面抵抗、及び静電気の帯電性が大きな物質である。フッ素樹脂組成物のフイルムを袋状の包装用部材とした場合には、摩擦帯電によってフイルムが付着して包装用部材相互あるいは包装される部材との間での引きはがしが困難となることが起こる。

また、複写機、プリンターの熱定着部用ロールにロールカバ一としてフッ素樹脂組成物の薄肉チューブを使用すると、紙との摩擦帯電によつて紙がロールから離れなくなるという問題があつた。

あるいは、フッ素樹脂組成物製の部材によつて半導体装置を収容した場合には、帯電した電位によって半導体装置が破壊されるという問題があった。

フッ素樹脂製組成物の摩擦帯電特性を改善するめに、フッ素樹脂組成物中にカーボンブラック等の導電性粒子を配合することが提案されている。

導電性粒子として、力一ボンブラック等を配合した場合には、フッ素樹脂組成物が着色するために、内容物が見えなくなるという問題があつた。また、使用中のフッ素樹脂組成物からの抜け落ちの問題を解決するために力一ボンナノチューブを配合することが提案されている（例えば、特開 2005— 1 4608 1号公報参照）。発明の開示

本発明は、フッ素樹脂が備えた透明性、あるいは表面抵抗を保持した摩擦帯電性が小さなフッ素樹脂組成物を提供することを課題とするものである。

本発明は、フッ素樹脂とフル才ロアルキルスルホン酸塩とを含有し、導電性粒子を含有しないフッ素樹脂組成物である。

また、フル才ロアルキルスルホン酸塩が、卜リフル才ロメタンスルホン酸リチウム、パ一フル才ロブタンスルホン酸リチウム、パーフル才ロブタンスルホン酸力リゥ厶からなる群から選ばれる少なくも一種である前記の組成物である。

フッ素樹脂が、テ卜ラフル才ロエチレン—フル才ロアルキルビニルェ —テル共重合体（P FA) 、テ卜ラフル才ロエチレン—へキサフル才ロプロピレン共重合体（F E P) 、エチレン一テ卜ラフル才ロエチレン共重合体（ET F E) ポリクロ口トリフル才ロエチレン（PCT F E) 、エチレン一クロ口トリフル才ロエチレンコポリマ一（ECT F E) から選ばれる樹脂である前記の組成物である。

本発明のフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂にフル才ロアルキルスルホン酸塩を配合したことによって、導電性粒子等を配合することなくフッ素樹脂組成物の表面抵抗を低下させることなく摩擦帯電特性のみを減少させることが可能であるので、摩擦帯電によって相互に密着することがなく着色のないフッ素樹脂製フイルムを提供することができる。発明を実施するための最良の形態本発明は、フッ素樹脂組成物の摩擦帯電性をフッ素樹脂組成物の表面抵抗とは無関係に減少させることが可能であることを見いだしたものである。

すなわち、本発明のフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂組成物中にフルォロアルキルスルホン酸塩を配合することによつて表面抵抗を小さくすることなく摩擦帯電性のみを減少することが可能であることを見いだしたものである。

その結果、フッ素樹脂にカーボンブラック、ナノカーボンチューブ等の導電性粒子を添加した時のようにフッ素樹脂を着色したり、あるいは光透過性を阻害することなく摩擦帯電性を減少することが可能となる。フッ素樹脂は、耐薬品性等が他の合成樹脂に比べて優れた樹脂であリ、耐薬品性が要求される分野、あるいはプラスチックからの溶出物による液体の汚染等がないことが要求される分野において広く利用されている。本発明のフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂組成物中にフル才口アルキルスルホン酸塩を含有するものの導電性粒子を含まないので、表面抵抗はフル才ロアルキルスルホン酸塩を含まないものと変わりはなく、電気絶縁性が良好で摩擦帯電性が小さいフッ素樹脂組成物を提供することができる。

その結果、本発明のフッ素樹脂組成物をフィル厶に加工した場合には、摩擦帯電性が小さいので取扱が良好となり、フイルムを袋状に加工した袋にあっては、摩擦帯電によって袋が付着して袋を開くことが困難となるという問題は生じることがない。また、半導体装置の収納用の容器等として使用した場合にも、摩擦帯電した電気の放電による絶縁破壊等の問題も生じることがなく、フッ素樹脂としての優れた特性を充分に発揮することができる。本発明のフッ素樹脂組成物に添加するフル才ロアルキルスルホン酸塩としては、トリフル才ロメタンスルホン酸リチウム、パーフル才ロプ夕ンスルホン酸リチウム、パ一フルォロブタンスルホン酸力リウ厶のからなる群から選ばれる少なくも一種を挙げることができる。

フルォロアルキルスルホン酸塩の添加量は、フッ素樹脂 1 00質量部に対して、 0. 00 1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは 0. 003質量部以上、 5質量部以下であり、 0. 005質量部以上、 2質量部以下とすることがより好ましい。なお、添加量は、溶剤を含まない量である。

添加量が 0. 001質量部よりも少ないと良好な導電性が得られず、また 5質量部よりも多いとフッ素樹脂組成物の加工性が低下する。

本発明のフッ素樹脂組成物として使用可能なフッ素樹脂としては、テ卜ラフル才ロエチレン—フル才ロアルキルビニルエーテル共重合体（P FA) 、テ卜ラフル才ロエチレン—へキサフルォロプロピレン共重合体 (F E P) 、エチレン—テ卜ラフル才ロエチレン共重合体（ET F E) ポリクロ口トリフルォロエチレン（PCT F E) 、エチレン一クロ口卜リフルォロエチレンコポリマ一（ECT F E) の少なくともいずれか一種を選ぶことができる。これらのなかでもテ卜ラフル才口:！:チレンーフル才ロアルキルビニルエーテル共重合体（P FA) 、テ卜ラフルォロェチレン一へキサフル才ロプロピレン共重合体（F E P) を挙げることができる。、

またフッ素樹脂としては、重合によって得られたフッ素樹脂をフッ素化剤によつて末端基のフッ素化処理を行つた末端基安定化処理フッ素樹月旨、あるいは末端基安定化処理フッ素樹脂とともに末端基安定化処理をしていないフッ素樹脂の両者を配合することができる。本発明のフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂とフル才ロアルキルスルホン酸塩とを所定の割合で混合した後に、押出成形法、ロール成形法、射出成形法等の方法によって所望の形状に成形することができる。以下に実施例、比較例を示し本発明を説明する。実施例 1

テ卜ラフル才ロエチレン—フルォロアルキルビニルエーテル共重合体 (P F A：三井デュポンフロロケミカル製 P FA45 1 H P— J ) 1 0 0質量部とトリフル才ロメタンスルホン酸リチウム（C F3S03L i ) 0. 0 1質量部とを、ローラミキサ型混練装置（東洋精機製作所製ラボプラス卜ミルモデル 30 C 1 50) に投入し、ローラ回転数 20 r p m、 380°C 1 0分間で溶融させ、 20 r pm、 380°Cにおいて 1 5 分間混合した後、混練装置から取り出し、 350°Cの熱プレスで厚さ 2 mmのシートを作製し、縦横各 4 Ommの試料と、縦横各 1 00mmの試料を作製した。

各試料を以下の評価方法によって評価をし、その結果を表 1に示す。摩擦帯電電位の測定

縦横 1 0 Omm試料を水平な台に固定し、静電気除去機（ァズワン製 S F- 1 000) を使って除電した後、鉄製の重さ 280 g、底面 40 mmX 5 Ommの角型重しの底面に電子写真式複写機用上質紙を貼り付け、紙が試料に接するようにして、毎秒 1メートルの速さでシー卜の上を滑らせた。この操作を 5回繰り返した後、試料中央部の摩擦帯電電位を静電気電位測定器（シシド静電気製スタチロン DZ 3) を用いて測定した。

表面抵抗および帯電電圧の減衰の測定縦横 4 0 m mの試料を抵抗率計（ダイァインスツルメン卜製ハイレス夕 I P ) によって、 H R Sプローブを使って表面抵抗を測定した後、静電気減衰測定器（シシド静電気製スタチック '才ネス卜メータ）を使い、印加電圧— 1 0 k Vでコロナ放電させて発生した空気イオンを照射して帯電させた後に、 3 0分後に減衰した帯電電圧を測定した。これらの結果を表 1に示す。

実施例 2— 1 1

フルォロアルキルスルホン酸塩の添加量、および種類を変化させて実施例 iと同様にして試料を調製し、実施例 1と同様に、摩擦帯電電位、表面抵抗、減衰した帯電電圧を測定し、その結果を表 1に示す。

比較例 1

フル才ロアルキルスルホン酸塩を添加しなかった点を除き実施例 1と同様の操作で摩擦帯電電位、表面抵抗、減衰した帯電電圧を測定し、その結果を表 1に示す。

実施例 1 2および 1 3

フッ素樹脂をテ卜ラフル才ロエチレン—へキサフル才ロプロピレン共重合体（三井フロロデュポン製 F E P 5 1 0 0 J ) に変えて、溶融、混合温度を 3 5 0 °Cに変え、フル才ロアルキルスルホン酸塩の添加量を表 1の添加率に変えた以外の点は実施例 1と同様の操作で摩擦帯電電位、表面抵抗、帯電電圧の減衰を測定し、その結果を表 1に示す。

比較例 2

フル才ロアルキルスルホン酸塩を添加しなかった点を除き実施例 1 2 と同様の操作で摩擦帯電電位、表面抵抗、帯電電圧の減衰を測定し、その結果を表 1に示す。

実施例 1 4 フッ素樹脂をテ卜ラフル才ロエチレン一エチレン共重合体（E T F E ：旭硝子製 C— 8 8 A X ) 7 5 gに変えて、溶融、混合温度を 3 0 0 °C に変え、フル才ロアルキルスルホン酸塩の添加量を表 1の添加率に変えた以外の点は実施例 1と同様の操作で摩擦帯電電位、表面抵抗、帯電電圧の減衰を測定し、その結果を表 1に示す。

比較例 3

フル才ロアルキルスルホン酸塩を添加しなかった点を除き実施例 1 4 と同様の操作で摩擦帯電電位、表面抵抗、帯電電圧の減衰を測定し、その結果を表 1に示す。

表 1

実施例 1 5

フッ素樹脂をテ卜ラフル才ロエチレン一フル才ロアルキルビニルエーテル共重合体（p F A：三井デュポンフロロケミカル製 P F A 4 5 0 H P- J ) 1 00質量部と卜リフル才ロメタンスルホン酸リチウム 0. 2 質量部とを、 2軸押出機（池貝製 P CM 45) を使って、ニーデイングディスクによる混練部温度 380°C、スクリュー回転数 70 p r mで混練した。

次いで、 85 Omm幅の Tダイを先端に取り付けた直径 4 Omm押出機で、ダイの温度 390°Cで、厚さ 50 /xm、幅 600 mmのフイルムを成形した。

評価方法

得られたフイルムを縦横 4 Ommの試料と、縦横 1 1 Ommの試料に切断し、縦横 1 1 Ommの試料を、実施例 1に記載の測定方法とは、鉄製の錘を 1 k gの質量のものに変えた点を除いて同様にして摩擦帯電電位を測定し、その結果を表 2に示す。

また、縦横 4 Ommの試料は、実施例 1に記載の測定方法と同様にして、帯電電圧の減衰を測定し、その結果を表 2に示す。

縦 1 Omm、横 40 mmに切断したフイルムを、分光光度計（島津製作所製 UV— 1 200) を使って 500 nmの光の透過率を測定し、その結果を表 2に示す。

実施例 1 6および 1 7

フル才ロアルキルスルホン酸塩の添加量、および種類を変化させて実施例 1 5と同様にして試料を調製し、実施例 1 5と同様に、摩擦帯電電位、表面抵抗、減衰した帯電電圧、および光の透過率を測定し、その結果を表 2に示す。

比較例 4

フル才ロアルキルスルホン酸塩を添加しない点を除き実施例 1 5と同様にフイルムを成形し、実施例 1 5と同様にして、摩擦帯電電位、表面抵抗、帯電電圧減衰、光の透過率を測定した。実施例 1 5〜1 7、比較例 4の結果を表 2に記す。

表 2

実施例 1 8— 2 1

テ卜ラフルォロエチレン一フルォロアルキルビニルエーテル共重合体 (P F A：三井デュポンフロロケミカル製 P FA 4 5 1 H P— J ) 1 0 ひ質量部に表 3に記載のフル才ロアルキルスルホン酸塩を混合して、 2 軸押出機（池貝製 P CM 4 5) によってニーデイングディスクによる混練部温度 3 80°C、スクリユー回転数 7 0 p r mで混練し、このフッ素樹脂組成物を外層とし、熱可塑性フッ素樹脂（ダイキン工業製ネオフ口ン R A P) を内層に、外層の厚さが 2 0 μηη、内層の厚さが 1 Ο ΠΊからなる 2層で、外径が 4 Ommのチューブを作製した。

評価方法

得られたチューブを引き裂いてフイルム状にして、縦横 4 Ommの試料と、縦横〗 1 Ommの試料に切断した。縦横 1 1 Ommの試料は、鉄製の錘を 1 k gの質量のものに変えた点以外は実施例 1に記載の測定方法と同様にして摩擦帯電電位を測定し、その結果を表 3に示す。

また、縦横 4 Ommの試料は、実施例 1に記載の測定方法と同様にして、帯電電圧の減衰を測定し、その結果を表 3に示す。

比較例 5 フル才ロアルキルスルホン酸塩を配合しなかった点を除いて実施例 1 8と同様に試料を作製して実施例 1 8に記載の評価方法と同様に評価をしその結果を表 3に示す。

表 3

産業上の利用可能性

本発明のフッ素樹脂組成物は、表面抵抗、あるいは光の透過率を維持しつつ、摩擦帯電列を変化させ、摩擦帯電電位を減少させることができるので、摩擦帯電電位を低下した製品が求められる様々な分野においての使用が期待できる。

Claims

請求の範囲

1. フッ素樹脂とフル才ロアルキルスルホン酸塩とを含有し、導電性粒子を含有しないことを特徴とするフッ素樹脂組成物。

2. フル才ロアルキルスルホン酸塩が、トリフル才ロメタンスルホン酸リチウム、パーフル才ロブタンスルホン酸リチウム、パーフル才ロブタンスルホン酸力リゥ厶からなる群から選ばれる少なくも一種であることを特徴とする請求項 1記載のフッ素樹脂組成物。

3. フッ素樹脂が、テ卜ラフル才ロエチレン—フル才ロアルキルビニルエーテル共重合体（P FA) 、テ卜ラフル才ロエチレン—へキサフル才ロプロピレン共重合体（F E P) 、エチレンーテ卜ラフルォロエチレン共重合体（ET F E)ポリクロ口トリフル才ロエチレン（P CT F E)、エチレン一クロ口トリフル才ロエチレンコポリマー（E CT F E) から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項 1または 2記載のフッ素樹脂組成物。