WO2006064747A1

WO2006064747A1 - 医療用テープ剤

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Publication number: WO2006064747A1
Application number: PCT/JP2005/022743
Authority: WO
Inventors: Naohisa Kawamura; Hidenori Sawada; Takayuki Kobayashi
Original assignee: Saitama Daiichi Pharmaceutical Co., Ltd.
Priority date: 2004-12-15
Filing date: 2005-12-12
Publication date: 2006-06-22
Also published as: US20080131488A1; HK1116099A1; JPWO2006064747A1; EP1829562A4; KR101242834B1; US20110236440A1; KR20070090001A; US7976865B2; EP1829562B1; EP1829562A1; US8128946B2; TW200626692A; ES2416679T3; CA2588943C; CA2588943A1; TWI373502B; CN101080244B; JP5016309B2; CN101080244A

Abstract

支持体の片面に、粘着剤層と剥離ライナーが、順次積層された医療用テープ剤であって、該粘着剤層中に親油性油状物質を多量に含ませることが可能であり、架橋剤を使用しなくとも、貼着性、凝集性、安定性に優れた医療用テープ剤を提供する。本発明の医療用テープ剤の粘着剤層としては、メタクリル酸２－アセトアセトキシエチルエステル及びその他のビニルモノマーを構成成分とする共重合体を含む粘着性ポリマーＡ、及びアルキル基の炭素原子数が４個～１０個の（メタ）アクリル酸アルキルエステルとその他のビニルモノマーを構成成分とし、前記粘着性ポリマーＡとは異なる共重合体を含む粘着性ポリマーＢの２種類の粘着性ポリマーの混合物を用いる。

Description

明細書

医療用テープ剤

技術分野

[0001] 本発明は、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルとその他のビュルモノマ一を構成成分とする共重合体とその他のアクリル系共重合体との二つの共重合体の混合した粘着剤を用いた医療用テープ剤で、外部架橋剤を用いなくとも、凝集力、貼着力、及び親油性油状物との相溶性に優れた医療用テープ剤に関するものである。

背景技術

[0002] 二種類の粘着剤を混合した粘着剤を用いた医療用テープ剤に関する特許として、カルボキシル基もしくはヒドロキシル基を含有する単量体と、（メタ）アクリル酸エステルを共重合した共重合体、側鎖に塩構造を有さな、窒素原子を有する単量体と (メタ）アクリル酸エステルを共重合した共重合体とを、外部架橋剤を用いて架橋したテープ剤は知られている（特許文献 1を参照）が、本発明の医療用テープ剤とは用いる共重合体が異なるほか、外部架橋剤で架橋した点で異なって、る。

[0003] メタアクリル系ポリマー又は酢酸ビュル系ポリマーと、該ポリマーの成分の一部と (メタ）アクリル酸パーフルォロアルキルエステルとを共重合させた共重合体を用いた貼付剤に関する特許が知られている (特許文献 2を参照)。しかしながら、この貼付剤は、粘着剤の表裏で粘着力が異なり、表裏の一方の粘着力が実質的にない貼付剤に関するものであって、本発明の医療用テープ剤とは、本質的に異なるものである。

[0004] メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルを含む共重合体力もなる接着剤は知られている (特許文献 3、 4を参照)。しかしながら、それらの接着剤は塗料や接着剤としての用途であり、医療用テープ剤に用いられるものとは異なる。また、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルを含む共重合体力なる粘着剤と、その他のアクリル系粘着剤とを混合した粘着剤を用いた医療用テープ剤は知られてヽなヽ。特許文献 1：特開 2000— 44904号公報

特許文献 2：特開 2000— 38337号公報特許文献 3：特公平 7— 57863号公報

特許文献 4：特開平 6 - 108033号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 医療用テープ剤において、経皮吸収性薬物の経皮吸収を高めたり、皮膚への刺激性の緩和、又は使用感の改善などの目的で、親油性の油状物の可塑剤を配合することがあるが、従来のアクリル系感圧性粘着剤の場合、粘着剤との相溶性が悪ぐ保存中に油状物が粘着剤層から分離するなどして、可塑剤、薬物の溶解剤、経皮吸収促進剤などの親油性油状物の配合量が限られることがあった。それを解決するために、アクリル系粘着剤をポリイソシァネートなどの外部架橋剤を用いて架橋するなどの試みがなされているが、粘着剤の凝集力、貼着力が強すぎたり、あるいは不足したりすることがあり、また外部架橋剤を用いることにより皮膚への刺激性があったりするなどの問題点があり、凝集力、貼着力に優れ、さらに粘着剤層と親油性油状物との相溶性のよい医療用テープ剤が望まれて、る。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルとその他のビュルモノマーを共重合して製した、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルを構成成分として含む粘着性ポリマ一と、（メタ）アクリル酸アルキルエステルを主体構成モノマーとするアクリル系感圧性粘着剤と混合した粘着剤とを混合して用いてテープ剤とすることにより、凝集力と貼着力に優れた医療用テープ剤が得られ、さらに親油性の油状物質を相溶性よく保持させることができることを見出した。

すなわち、本発明の医療用テープ剤は、支持体の片面に、粘着剤層と剥離ライナ一が、順次積層されたテープ剤であって、該粘着剤層の粘着剤が、（A)メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル及びその他のビュルモノマーを構成成分とする共重合体を含む粘着性ポリマー A、（B)アルキル基の炭素原子数力個〜 10個の（メタ）アクリル酸アルキルエステルとその他のビュルモノマーを構成成分とし、前記粘着性ポリマー Aとは異なる共重合体を含む粘着性ポリマー B、の 2種類の粘着剤の混合物であることを特徴とするものである。

さらに、本発明の医療用テープ剤は粘着剤層に、ミリスチン酸イソプロピルなどの親油性の油状物を可塑剤として含有させることが好ましぐ経皮吸収性薬物も粘着剤層中に配合することができる。

発明の効果

[0007] 本発明の医療用テープ剤は、粘着剤層の粘着剤として、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル及びその他のビニルモノマーを構成成分とする共重合体を含む粘着性ポリマー Aと、アルキル基の炭素原子数力個〜 10個の（メタ）アクリル酸ァルキルエステルとその他のビニルモノマーを構成成分とし、前記粘着性ポリマー Aとは異なる共重合体を含む粘着性ポリマー Bとの 2種類の粘着剤とを混合した粘着剤を用いることを特徴とするものである。このことにより、従来力も知られているアクリル系感圧性粘着剤を用いた医療用テープ剤よりも、凝集力、貼着力及び長期安定性が改善された。

[0008] また、本発明の 2種類の粘着性ポリマーを混合した粘着剤を用いることにより、親油性油状物の可塑剤の溶解性を著しく改善することができ、粘着剤と親油性油状物の可塑剤との相溶性に優れていることを見出した。

[0009] 本発明の医療用テープ剤は親油性の油状物との相溶性に優れていることから、外部架橋剤で架橋することなぐ可塑剤などの多量の油状物を配合することができ、ポリイソシァネートイ匕合物などの外部架橋剤を用いないことから、本発明の医療用テープ剤は皮膚への刺激性がな、などの安全性が優れて、る。

本発明の医療用テープ剤は、経皮吸収性薬物を配合した経皮吸収製剤としての用途のほかに、薬物を配合せずにテーピング材などの医療用材としての用途にも用いることが可能である。

発明を実施するための最良の形態

[0010] 本発明の医療用テープ剤は、支持体の片面に、粘着剤層と剥離ライナーを順次積層した構造の医療用テープ製剤である。

本発明の粘着剤層に含まれる (A)成分の粘着性ポリマー Aとして、メタクリル酸 2— ァセトァセトキシェチルエステルとその他のビュルモノマーを構成成分として含む共重合体を医療用テープ剤製造時の加熱乾燥時に揮散する溶媒中に溶解又は分散させたものを使うことが好まし、。

[0011] 本発明の医療用テープ剤に用いられる粘着性ポリマー A中のメタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルの含量は、粘着性ポリマー Aの共重合体総量に対し好ましくは 1質量％〜50質量％であり、さらに好ましくは 10質量％〜50質量％、特に好ましくは 10質量％〜45質量％である。含量が 1質量％未満であると発明の効果が十分でなぐまた 50重量％を越えると貼着力が劣るので好ましくな、。

[0012] また、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルと共重合するその他のビュルモノマーとしては、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルと共重合するものであればよぐビュルモノマーの中の一つは例えば (メタ）アクリル酸ブチル、（メタ）ァクリル酸へキシル、（メタ）アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、及び (メタ）アクリル酸ォクチルエステルなどのようなアルキル基の炭素原子数力個〜 10個の（メタ）ァクリル酸アルキルエステルが挙げられ、さらにその他のメタクリル酸メチル、ジアセトンァクリルアミド、テトラエチレングリコールジ (メタ）アタリレート、へキサエチレングリコールジ (メタ）アタリレート、（メタ)アクリル酸 2—ヒドロキシェチルエステル等力も選択される 1種又は 2種以上を用いることができる。

[0013] 粘着性ポリマー Aとして最も好ましくは、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル、アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸メチル、及びテトラエチレングリコールジメタタリレートを共重合させた共重合体が用いられる。

[0014] 粘着性ポリマー Aの製造は、アクリル系感圧性粘着剤に用いられる共重合体の製造法を用い製造することができる。その一例を以下に示す。トルエン、酢酸ェチルなどのようなテープ剤製造の加熱乾燥時に揮散するような溶媒中で共重合させるモノマーを、過酸ィ匕ベンゾィルなどの重合開始剤を用いて共重合させることによって製造する。

[0015] 本発明の粘着剤層に含まれる (B)成分の粘着性ポリマー Bは、アルキル基の炭素原子数が 4個〜 10個の（メタ）アクリル酸アルキルエステルとその他のビュルモノマーと共重合させた共重合体力もなるアクリル系粘着性ポリマーであり、粘着性ポリマー A とは異なり、メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルを構成成分としては含まない。

アルキル基の炭素原子数力 S4個〜 10個の（メタ）アクリル酸アルキルエステルとして、（メタ）アクリル酸ブチル、（メタ）アクリル酸へキシル、（メタ）アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、及び (メタ）アクリル酸ォクチルなどを挙げることができ、この中から適宜 1種又は 2種以上を選択して用いることができる。アルキル基の炭素原子数が 4 個〜 10個の（メタ）アクリル酸アルキルエステルの含量は共重合体総量の 40質量％以上であることが好ましい。

[0016] 粘着性ポリマー Bの構成モノマーのその他のビュルモノマーとしては、前記のアルキル基の炭素原子数力 S4個〜 10個の (メタ）アクリル酸アルキルエステルと共重合するものであれば用いることができる力例えば、メタクリル酸メチル、ジアセトンアクリルアミド、（メタ）アクリル酸 2—ヒドロキシェチルエステル、 N—ビュル— 2—ピロリドン、酢酸ビュルなどを挙げることができ、適宜 1種又は 2種以上のビュルモノマーを用いることが好ましい。

[0017] 粘着性ポリマー Bの共重合体として好ましくは、メタクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルとジアセトンアクリルアミドの共重合体、ァクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、アクリル酸ブチルとアクリル酸メチルとの共重合体、アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、アクリル酸 2—ヒドロキシェチルエステルと酢酸ビュルとの共重合体、あるいはアクリル酸ブチル、アクリル酸 2—ェチルへキシルエステルとジアセトンアミドとの共重合体が挙げられ、これらの共重合体を医療用テープ剤製造の際に揮散する溶媒に溶解又は分散させたものが用いられ、それは粘着性ポリマー Aの共重合体の製造法と同様にして製造することができる。また、粘着性ポリマー Bとしては、以上の構成成分を有する市販のアクリル系感圧性粘着剤、例えば、二ッセッ PE300 (商品名：日本カーバイト工業社製:アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、アクリル酸 2—ヒドロキシェチルエステル及び酢酸ビュルを 17 : 2 : 1 の割合で共重合させたもの）などを用いることができる。

[0018] 粘着性ポリマー Aと粘着性ポリマー Bの配合する比は、 1： 9〜4： 1が好適である。この範囲より外れると、適度な凝集力、貼着力が得られなくなり好ましくない。粘着性ポリマー Aと粘着性ポリマー Bを混合して使用することにより、粘着性ポリマー A単独と比較して粘着力が改善されるので、長期間安定に使用することができる。

[0019] 本発明の医療用テープ剤の粘着剤層には粘着剤の可塑性を高めるための可塑剤や、経皮吸収性薬物の溶解剤もしくは経皮吸収促進剤として親油性の油状物質を配合することがある。親油性の油状物である可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えばミリスチン酸イソプロピル、ラウリル酸ェチル、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジェチル、アジピン酸ジイソプロピルなどの脂肪酸エステル類、中鎖脂肪酸グリセリドなどのグリセリンエステル類、又はヒマシ油などが挙げられ、それらの中から 1種又は 2種以上を混合して用いることができる。その配合量は医療用テープ剤の用途などによって異なるが、粘着剤層総重量の 40質量％以下であれば相溶性よく酉己合することができる。

[0020] 本発明の医療用テープ剤に配合する薬物は特に限定されるものではなぐ経皮吸収性薬物あるいは局所外用薬物であれば 1種又は 2種以上混合して配合することができる。薬物として、例えば、ステロイドホルモン、非ステロイド鎮痛抗炎症剤、精神安定剤、抗高血圧薬、虚血性心疾患治療薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗パーキンソン薬、脳循環改善薬、制吐剤、抗うつ薬、抗痴呆薬、シエーダレン症候群治療薬、抗不整脈薬、抗凝固薬、抗痛風薬、抗真菌薬、麻薬性鎮痛薬、）8遮断薬、 β 1作動薬、 β 2作動薬、抗腫瘍薬、利尿薬、抗血栓薬、ヒスタミン HIレセプター拮抗薬、ヒスタミン H2拮抗薬、抗アレルギー薬、セロトニン拮抗薬、抗高コレステロール薬、局所麻酔薬及び禁煙補助薬などが挙げられる。

[0021] 薬物の溶解剤としては、薬剤を溶解する溶媒であって、皮膚刺激性のな、溶媒であれば使用することができる力具体的にはエタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類、へキサノール、ォクタノールなどの中鎖アルコール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコール類、高級脂肪酸エステル類、ポリビュルアルコール、 N—メチルー 2—ピロリドン、クロタミトンなどが用いられ、これらの溶媒を単独で、又は 2種以上を混合して薬物の溶解剤として用いることができる力これらの溶媒に限定されるものではない。

[0022] 薬物の経皮吸収促進剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジェチルなどの脂肪酸エステル類、力プリル酸モノグリセリド、力プリル酸トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸多価アルコールエステル類

、 1 メントール、ノ、ッカ油、リモネンなどのテルペン類など医療用テープ剤に一般的に利用できるものであれば使用することができる。

[0023] 本発明の医療用テープ剤の粘着剤層中には、上記の親油性の油状物質である、可塑剤、薬物の溶解剤、経皮吸収促進剤のほかに、必要に応じてその他の賦形剤、粘着付与剤などを配合することも可能である。

[0024] その他の賦形剤としては、例えば、無水ケィ酸、軽質無水ケィ酸などのケィ素化合物、ェチノレセノレロース、メチノレセノレロース、カノレボキシメチノレセノレロースナトリウム、ヒドロキシプロピノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレメチノレセノレロースなどのセノレロース誘導体、ポリビュルアルコールなどの水溶性高分子、ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤、カオリン、酸ィ匕チタンなどの粉末があり、その他香料、着色料などを医薬的に許容できる範囲内で添加することができる。

[0025] 粘着付与剤としては、特に限定されず、脂環式飽和炭化水素榭脂 (合成石油榭脂）やロジンエステル誘導体、テルペン系榭脂、フエ一ノール系榭脂などが好適に用いられる。脂環式飽和炭化水素榭脂としては、例えば、アルコン P— 100 (商品名：荒川化学工業製)等を挙げることができる。ロジンエステル誘導体としては、例えば、エステルガム H (商品名：荒川化学工業製)、 KE— 311 (商品名：荒川化学工業製)、 KE — 100 (商品名：荒川化学工業製)等を挙げることができる。テルペン系榭脂としては、例えば、 YSレジン (商品名：ャスハラケミカル社製)等を挙げることができる。これらの粘着付与剤を 1種又は 2種以上を混合して用いることができる。粘着付与剤は、特に限定されないが、好ましくは粘着剤層全体に対し 1〜35質量％配合することができる。

[0026] 本発明の医療用テープ剤に用いられる支持体は、医療用テープ製剤に使用できる既存の支持体はいずれでも使用することができるが、使用目的に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの伸縮性又は非伸縮性の織布、不織布、布又はニットのような布類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン酢酸ビ- ル共重合体、塩ィ匕ビュルなどのプラスチック製フィルム、あるいはウレタン、ポリウレタンなどの発泡性フィルムを用いることができ、これらは単独あるいは積層されたものの何れでもよい。

[0027] 本発明の医療用テープ剤に用いられる剥離ライナーは、医療用テープ剤使用時まで粘着剤層を保護するものであり、使用時に剥離して使用する。既知の医療用テープ剤に用いられる剥離ライナーであれば使用することができる力ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体榭脂、ポリウレタン、金属箔の薄ヽフィルム又はそれらの素材を組合せた積層構造のフィルムや、粘着剤層に接着する表面にシリコン処理したフィルム、あるいはフィルム表面にアルミニウムなどの金属を蒸着させたフィルムも用いることができる。

[0028] 本発明の医療用テープ剤は、粘着剤層にアクリル系感圧性粘着剤を用いた既知のテープ剤の製造法と同じ製造法で製造することができる。すなわち、次に一例を挙げて説明する。粘着性ポリマー Aと粘着性ポリマー Bを混合し、必要があれば可塑剤、薬物及びその他の添加剤を混合して均一とし、支持体上に所望の厚さになるように均一に塗布する。塗布後、加熱乾燥して粘着剤層とする。その上に剥離ライナーを被覆した後、所望の大きさに切断して医療用テープ剤とする。また、先に剥離ライナ一上に粘着剤層を塗膏した後、支持体を被覆することによつても製造することができる。

[0029] 本発明にお、て用いるァセトァセチル基を有するメタクリル酸 2 -ァセトァセトキシェチルエステルを構成成分として含む共重合体は、医療用テープ剤とする加熱乾燥工程にお!、て、溶媒が蒸散するに伴、ァセトァセチル基が自己架橋して網目構造を形成し、この網目構造中に可塑剤、経皮吸収性薬物の溶解剤、経皮吸収促進剤などの油状物質が多量に保持される。したがって、多量の経皮吸収性薬剤を含有させることができ、長期間に亘つて供給することができる。また、本発明の粘着剤はポリアミン、イソシァネートイ匕合物及び多価金属キレートイ匕合物などの架橋剤の使用を避けることができるので、それによる毒性の心配がなぐ皮膚の刺激がない点で優れている。さらに、長期間の使用においても、凝集力、貼着力が長期間に亘つて持続するので、安定性においても優れている。

実施例 [0030] 以下に実施例に基づいて、本発明の医療用テープ剤に用いる粘着剤について、さらに具体的に説明する力これらは本発明を限定するものではない。

本発明のテープ剤に用いる粘着性ポリマー Aと粘着性ポリマー Bの製造法を下記の粘着剤 1〜5で示す。

[粘着剤 1の製造]

ジムロート冷却器、温度計、窒素ガス吹き込み管及び攪拌翼を備えた 2リットルの 4 つ口フラスコに、アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル 157.5g、メタクリル酸 2— ァセトァセトキシェチルエステル 35g、ジアセトンアクリルアミド 80.5g、メタクリル酸メチル 76g、テトラエチレングリコールジメタタリレート 1.3gを仕込み、溶剤として酢酸ェチル 525gをカ卩えて均一になるまで溶解した。 lOOmlZ分の流量の窒素ガスを吹き込みながら 75°Cまで昇温した。 75°Cで 30分間維持した後、重合開始剤として過酸ィ匕ベンゾィル 0.21gを 5gの酢酸ェチルに溶解して添カ卩し、外温を 85°Cに設定した。開始剤投入後、 3、 5、 7時間後にトルエン 300gを 3回 lOOgづっ分割して投入した。重合中は、 lOOmlZ分の流量の窒素ガスを吹き込み続けた。最後のトルエン投入から 1 2時間後に、過酸ィ匕ベンゾィル 0.35gを追加触媒として投入し、その後、外温設定を 95°Cにして 12時間、熱処理した後に冷却して粘着剤 1を得た。

粘着剤 1の溶液の物性

溶液粘度 (B型粘度計で測定）： 30,OOOmPa-s

固形分（150°C 1時間処理）： 28.5%

[0031] [粘着剤 2、 3の製造]

粘着剤 1の製造で示した方法と同様にして、粘着剤 2及び粘着剤 3を製造した。

[粘着剤 4、 5の製造]

メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルを含まない粘着性ポリマー Bの粘着剤 4及び粘着剤 5は、粘着剤 1の製造で示した方法と同様にして製造した。

[粘着剤 6]

メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルを含まない粘着性ポリマー Bの粘着剤 6として、市販の溶剤型アクリル系粘着剤の-ッセッ PE300 (商品名；日本カーバイド工業製)を用いた。 [0032] [粘着剤 1〜6の組成]

粘着剤 1〜6の組成を表 1に示した _c

[表 1]

表 1 ：粘着剤 1〜 6の組成

粘着剤 1〜 6の溶媒は全て酢酸ェチルとトルエンの混合溶媒を用いた。

A A E M ：メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル、 D AAM：ジァセ

トンァクリルアミド、 MMA ：メタクリル酸メチル、 2 E H A ：ァクリ /レ酸 2—ェチ

ルへキシ^ ^エステノレ、 T E G DMA ：テトラエチレンダリコ一ルジメタクリレ一ト、

B A ：アクリル酸プチル、 2 H E A ：アタリ酸 2—ヒキシェチエステ

V A：酔酸ビ

[0033] [実施例 1]

ねじロビンに、粘着剤 1を 40g量りとり、次いで粘着剤 6を 7.1g量りとり、ビン中で 1 時間以上攪拌した。乾燥した後の被膜重量が約 140mgZlOcm²となるように、コーテイング試験機（LTE— S、 Wener Mathis AG社製）を用いて、支持体（ポリエステルフィルム）上に本液を塗工'乾燥した後、剥離ライナー（シリコン処理が施されたポリエステルフィルム）のシリコン面が粘着剤と接するように被覆し、実施例 1の医療用テ一プ剤を得た。

[0034] [実施例 2]

ねじロビンに、粘着剤 1を 40g、次いで粘着剤 6を 7.1g、最後にミリスチン酸イソプロピル 3.6gをそれぞれ量りとり、ビン中で 1時間以上攪拌した。乾燥した後の被膜重量力 Sl40mgZlOcm²となるように、コーティング試験機（LTE— S、 Wener Mathis A G社製)を用いて、支持体 (ポリエステルフィルム）上に本液を塗工 '乾燥した後、剥離ライナー（シリコン処理が施されたポリエステルフィルム）のシリコン面が粘着剤と接するように被覆し、実施例 2の医療用テープ剤を得た。

[0035] [実施例 3〜21及び比較例 1〜5]

実施例 1又は 2の製造法と同様な方法で、実施例 3〜21及び比較例 1〜5を製造した。

[医療用テープ剤の組成]

実施例 1〜21の医療用テープ剤、及び比較例 1〜5の医療用テープ剤を以下の表 2に示す。

[表 2]

表 2 ：医療用テープ剤

* I PM：ミリスチン酸ィソブロピル、 D E S ：セバシン酸ジェチル、

D P A：アジピン酸ジィソプロピル， M F T G ：中鎖脂肪酸トリグリセリド

[実施例 22]

ねじロビンに、粘着剤 1を 40g、次いで粘着剤 6を 7.1g、最後にケトプロフェン 1.6g をそれぞれ量りとり、ビン中で 1時間以上攪拌した。乾燥した後の被膜重量が 140mg Z 10cm²となるように、コーティング試験機（LTE— S、Wener Mathis AG社製）を用いて、ポリエステルフィルム製の支持体上に本液を塗工'乾燥した後、シリコン処理が施されたポリエステルフィルム製の剥離ライナーのシリコン面が粘着剤と接するように被覆し、実施例 22の医療用テープ剤を得た。得られた製剤中のケトプロフェンは 1 0質量％であった。

[0038] [実施例 23]

ねじロビンに、粘着剤 1を 38g、次いで粘着剤 6を 6.8g、さらに、ミリスチン酸イソプ口ピルを 3.8g、最後にケトプロフェンを 2gそれぞれ量りとり、ビン中で 1時間以上攪拌した。乾燥した後の被膜重量が 140mgZlOcm²となるように、コーティング試験機 (L TE— S、Wener Mathis AG社製）を用いて、ポリエステルフィルム製の支持体上に本液を塗工'乾燥した後、表面をシリコン処理が施されたポリエステルフィルム製の剥離ライナーのシリコン面が粘着剤と接するように被覆し、実施例 23の医療用テープ剤を得た。得られた製剤中のケトプロフェンは 10質量％であった。

[0039] [比較例 6〜9]

比較例 6では、ねじロビンに、粘着剤 6、ケトプロフェンを量りとり、ビン中で 1時間以上攪拌し、後は実施例 22と同様に医療用テープ剤とした。比較例 7では更にミリスチン酸イソプロピルを加えて医療用テープ剤とした。比較例 8及び 9では比較例 6及び 7 の成分の外にイソシァネート架橋剤を加えて医療用テープ剤とした。

[0040] [医療用テープ剤の組成]

実施例 22〜23、及び比較例 6〜9の医療用テープ剤を表 3に示した。

[表 3]

表 3 ：医療用テープ剤

* * ： I PM：ミリスチン酸ィソプロピル

[試験例]

本発明の実施例 1〜23と、比較例 1〜9の医療用テープ剤を用いて粘着特性を、凝集力、貼着力、及び油状物質の相溶性の観点力も下記の (官能)試験法で評価し 1)凝集力試験

医療用テープ剤の剥離ライナーを剥がし、粘着剤面を指で触り、下記の評価基準に基づいて評価する。

評価基準

〇：天然ゴムラテックスを使用した市販のインドメタシン含有テープ剤 s、市販のフエルビナク含有テープ剤 Fと同程度の凝集力

△：スチレン一イソプレン一スチレン共重合体を使用した市販のケトプロフェン含有テープ剤 M、市販のフルルビプロフェン含有テープ剤 Yと同程度の凝集力

X：市販品以下の凝集力

-：凝集力が著しく低いため（半固形の状態)評価不能

[0042] 2)貼着力試験

評価基準

〇：スチレン一イソプレン一スチレン共重合体を使用した巿販のケトプロフェン含有テープ剤 M、市販のフルルビプロフェン含有テープ剤 Yと同程度の貼着力

△：天然ゴムラテックスを使用した市販のインドメタシン含有テープ剤 S、市販のフエルビナク含有テープ剤 Fと同程度の貼着力

X：市販品以下の貼着力

-：凝集力が著しく低いため（半固形の状態)評価不能

[0043] 3)油状物の相溶性の評価

医療用テープ剤の剥離ライナーを剥がし、剥離ライナーの表面に液状の物質が付着して、な、ことを光学顕微鏡で観察して、下記の評価基準に基づ、て評価する。評価基準

〇：剥離ライナー表面上に液状物質なし

X：剥離ライナー表面上に液状物質あり

-：凝集力が著しく低いため（半固形の状態)評価不能

/：油状物質を配合して、な、ため未評価 4)評価結果

本発明の実施例 1〜23、及び比較例 1〜9の医療用テープ剤について凝集力、貼着力、及び粘着剤と油状物質との相溶性について評価を実施した。その結果を表 4 に示した。

[表 4]

表 4 ：医療用テ一プ剤の凝集力、貼着力及び油状物質との相溶性

比較例 1、 2の医療用テープ剤は凝集力に優れるものの、貼着力と、油状物質の粘着剤との相溶性については不十分な結果であり、また比較例 3〜9の医療用テープ剤はいずれの項目も不十分な結果であった。これに反して、本発明の実施例 1〜23 の医療用テープ剤は、薬物を未配合の場合も、又は薬物を配合した場合も、いずれも、優れた凝集力、貼着力、及び油状物質の粘着剤との相溶性を有することが認められた。

Claims

請求の範囲

[1] 支持体の片面に、粘着剤層と剥離ライナーが、順次積層された医療用テープ剤において、該粘着剤層の粘着剤が、

(A)メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル及びその他のビュルモノマーを構成成分とする共重合体を含む粘着性ポリマー A、

(B)アルキル基の炭素原子数力個〜 10個の（メタ）アクリル酸アルキルエステルとその他のビュルモノマーを構成成分とし、前記粘着性ポリマー Aとは異なる共重合体を含む粘着性ポリマー B、

の 2種類の粘着剤の混合物であることを特徴とする医療用テープ剤。

[2] 支持体の片面に、粘着剤層と剥離ライナーが、順次積層された医療用テープ剤において、該粘着剤層の粘着剤が、

(A)メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル、アルキル基の炭素原子数が 4 個〜 10個の（メタ）アクリル酸アルキルエステル、及びその他のビュルモノマーを構成成分とする共重合体を含む粘着性ポリマー A、

の 2種類の粘着剤の混合物であることを特徴とする請求項 1に記載した医療用テープ剤。

[3] 粘着剤層が、さらに上記 (A)成分の粘着性ポリマー Aと (B)成分の粘着性ポリマー Bを混合した粘着剤と相溶する油状成分からなる可塑剤を含むことを特徴とする請求項 1又は 2に記載した医療用テープ剤。

[4] 前記粘着性ポリマー Aのメタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルの含量が、前記粘着性ポリマー Aに含まれる共重合体の総重量の 1質量％〜50質量％であることを特徴とする請求項 1〜3のいずれか 1項に記載した医療用テープ剤。

[5] 前記粘着性ポリマー Aのメタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステルの含量が、前記粘着性ポリマー Aに含まれる共重合体の総重量の 10質量％〜45質量％であることを特徴とする請求項 1〜4のいずれか 1項に記載した医療用テープ剤。

[6] 前記 (A)成分の粘着性ポリマー Aと、前記 (B)成分の粘着性ポリマー Bの含有比率力 1 : 9〜4 : 1でぁる請求項1〜5のぃずれカ 1項に記載した医療用テープ剤。

[7] 前記可塑剤が、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジェチル、アジピン酸ジイソプ口ピル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及びヒマシ油からなる群力選ばれる 1種又は 2種以上の油状物であることを特徴とする請求項 3〜6のいずれ力 1項に記載した医療用テープ剤。

[8] 前記粘着剤層中に、経皮吸収性薬物を含有してなる請求項 1〜7のいずれか 1項に記載した医療用テープ剤。

[9] 前記 (A)成分の粘着性ポリマー A力メタクリル酸 2—ァセトァセトキシェチルエステル、アクリル酸 2—ェチルへキシルエステル、メタクリル酸メチルエステル、ジアセトンアクリルアミド、及びテトラエチレングリコールジメタタリレートを構成成分とする共重合体力なることを特徴とする請求項 1〜8のいずれ力 1項に記載した医療用テープ剤