明 細 書 冷陰極電界電子放出表示装置 技術分野
本発明は、 アノードパネルに設けられたアノード電極に特徴を有する冷陰極電 界電子放出表示装置に関する。 胃景技称 T
テレビジョン受像機や情報端末機器に用いられる表示装置の分野では、 従来主 流の陰極線管 (C R T ) から、 薄型化、 軽量化、 大画面化、 高精細化の要求に応 え得る平面型 (フラットパネル型) の表示装置への移行が検討されている。 この ような平面型の表示装置として、 液晶表示装置 (L C D )、 エレクト口ルミネヅセ ンス表示装置 (E L D )、 プラズマ表示装置 (P D P )、 冷陰極電界電子放出表示 装置(F E D:フィールドエミヅシヨンディスプレイ)を例示することができる。 このなかでも、 液晶表示装置は情報端末機器用の表示装置として広く普及してい るが、 据置き型のテレビジョン受像機に適用するには、 高輝度化や大型化に未だ 課題を残している。 これに対して、 冷陰極電界電子放出表示装置は、 熱的励起に よらず、 量子トンネル効果に基づき固体から真空中に電子を放出することが可能 な冷陰極電界電子放出素子 (以下、 電界放出素子と呼ぶ場合がある) を利用して おり、 高輝度及び低消費電力の点から注目を集めている。
図 2 9及び図 4に、電界放出素子を備えた冷陰極電界電子放出表示装置(以下、 表示装置と呼ぶ場合がある) の一例を示す。 尚、 図 2 9は従来の表示装置の模式 的な一部端面図であり、 図 4は力ソードパネル C Pの模式的な部分的斜視図であ o
図 2 9に示した電界放出素子は、 円錐形の電子放出部を有する、 所謂スピント
( S p i n d t ) 型電界放出素子と呼ばれるタイプの電界放出素子である。 この 電界放出素子は、 支持体 1 0上に形成された力ソード電極 1 1と、 支持体 1 0及 びカソード電極 1 1上に形成された絶縁層 1 2と、 絶縁層 1 2上に形成されたゲ ート電極 1 3と、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2に設けられた開口部 1 4 (ゲ一 ト電極 1 3に設けられた第 1開口部 1 4 A、 及び、 絶縁層 1 2に設けられた第 2 開口部 1 4 B ) と、 第 2開口部 1 4 Bの底部に位置する力ソード電極 1 1上に形 成された円錐形の電子放出部 1 5から構成されている。 一般に、 力ソード電極 1 1とゲート電極 1 3とは、 これらの両電極の射影像が互いに直交する方向に各々 ストライプ状に形成されており、 これらの両電極の射影像が重複する領域 (1画 素分の領域に相当する。 この領域を、 以下、 重複領域あるいは電子放出領域と呼 ぶ) に、 通常、 複数の電界放出素子が設けられている。 更に、 かかる電子放出領 域が、 力ソードパネル C Pの有効領域 (実際の表示部分として機能する領域) 内 に、 通常、 2次元マトリックス状に配列されている。
一方、 アノードパネル A Pは、 基板 3 0と、 基板 3 0上に形成され、 所定のパ 夕一ンを有する蛍光体層 3 1 ( 3 1 R , 3 1 B , 3 1 G) と、 その上に形成され たアノード電極 2 2 0から構成されている。 アノード電極 2 2 0は有効領域を覆 う 1枚のシート状の形状を有し、 例えばアルミニウム薄膜から構成されている。 アノード電極制御回路 4 3とアノード電極 2 2 0との間には、 通常、 過電流や放 電を防止するための抵抗体: R„ (図示した例では抵抗値 1 0 Μ Ω ) が配設されてい る。 この抵抗体 R。は、 基板外に配設されている。
1画素は、 カリードパネル側のカソ一ド電極 1 1とゲ一ト電極 1 3との重複領 域に設けられた電界放出素子の一群と、 これらの電界放出素子の一群に対面した アノードパネル側の蛍光体層 3 1とによって構成されている。 有効領域には、 か かる画素が、 例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。 尚、 蛍 光体層 3 1と蛍光体層 3 1との間の基板 3 0上にはブラヅクマトリヅクス 3 2が 形成されている。 また、 ブラヅクマトリックス 3 2の上には隔壁 3 3が形成され
ている。
アノードパネル A Pと力ソードパネル C Pとを、 電子放出領域と蛍光体層 3 1 とが対向するように配置し、 周縁部において枠体 3 5を介して接合することによ つて、 表示装置を作製することができる。 有効領域を包囲し、 画素を選択するた めの周辺回路が形成された無効領域には、 真空排気用の貫通孔 (図示せず) が設 けられており、 この貫通孔には真空排気後に封じ切られたチップ管 (図示せず) が接続されている。 即ち、 アノードパネル A Pと力ソードパネル C Pと枠体 3 5 とによって囲まれた空間は真空となっている。
力ソード電極 1 1には相対的に負電圧がカゾード電極制御回路 4 1から印加さ れ、 ゲート電極 1 3には相対的に正電圧がゲ一ト電極制御回路 4 2から印加され、 アノード電極 2 2 0にはゲート電極 1 3よりも更に高い正電圧がアノード電極制 御回路 4 3から印加される。 かかる表示装置において表示を行う場合、 例えば、 力ソード電極 1 1に力ソード電極制御回路 4 1から走査信号を入力し、 ゲ一ト電 極 1 3にゲート電極制御回路 4 2からビデオ信号を入力する。 力ソード電極 1 1 とゲート電極 1 3との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、 量子トンネル 効果に基づき電子放出部 1 5から電子が放出され、 この電子がアノード電極 2 2 0に引き付けられ、 蛍光体層 3 1に衝突する。 その結果、 蛍光体層 3 1が励起さ れて発光し、 所望の画像を得ることができる。 つまり、 この表示装置の動作は、 基本的に、 ゲート電極 1 3に印加される電圧、 及び力ソード電極 1 1を通じて電 子放出部 1 5に印加される電圧によって制御される。
本出願人は、 特閧 2 0 0 1— 2 4 3 8 9 3において、 アノード電極が複数のァ ノード電極ュニッ卜から構成された表示用パネルを提案している。
ところで、 このような表示装置においては、 アノードパネル A Pとカソ一ドパ ネル C Pとの間の距離は高々 1 mm程度しかなく、 カソ一ドパネルの電界放出素 子と、 アノードパネル A Pのアノード電極 2 2 0との間で異常放電(真空アーク 放電) が発生し易い。 異常放電が発生すると、 表示品質が著しく損なわれるだけ
でなく、 電界放出素子やアノード電極 2 2 0に損傷が発生する。
真空空間中における放電の発生機構においては、 先ず、 強電界下における電界 放出素子からの電子ゃィオンの放出がトリガ一となって小規模な放電が発生する c そして、 アノード電極制御回路 4 3からアノード電極 2 2 0へエネルギーが供給 されてアノード電極 2 2 0の温度が局所的に上昇したり、 アノード電極 2 2 0の 内部の吸蔵ガスの放出、 あるいはアノード電極 2 2 0を構成する材料そのものの 蒸発が生ずることによって、 小規模な放電が大規模な放電へ成長すると考えられ ている。 アノード電極制御回路 4 3以外にも、 アノード電極 2 2 0と電界放出素 子との間に形成される静電容量に基づき生じたエネルギーが、 大規模な放電への 成長を促すエネルギー供給源となる可能性がある。
異常放電 (真空アーク放電) を抑制するには、 放電のトリガ一となる電子ゃィ オンの放出を抑制することが有効であるが、 そのためには極めて厳密なパーティ クル管理が必要となる。 このような管理をアノードパネル A Pの製造プロセス、 あるいは、 アノードパネル A Pを組み込んだ表示装置の製造プロセスにおいて実 行することには、 多大な技術的困難が伴う。
また、 特開 2 0 0 1— 2 4 3 8 9 3にて提案したァノ一ド電極ュニヅトは、 小 規模な放電が大規模な放電へと成長することへの抑制に効果があるものの、 まだ 改善の余地があることが判明した。
従って、 本発明の目的は、 小規模な放電が大規模な放電へと成長することを一 層確実に抑制し得る構造を有するアノード電極を備えた冷陰極電界電子放出表示 装置を提供することにある。 発明の開示
上記の目的を達成するための本発明の第 1の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置は、 冷陰極電界電子放出素子を複数備えた力ソードパネルと、 アノードパ ネルとが、 それらの周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置であつ
て、
アノードパネルは、基板、基板上に形成された蛍光体層、 1本の給電線、及び、 蛍光体層上に形成されたアノード電極から構成されており、
アノード電極は、 N個 (但し、 N≥2 ) のアノード電極ュニヅト^ら構成され ており、
各アノード電極ュニツトは、 該給電線を介してアノード電極制御回路に接続さ れており、
アノード電極制御回路出力電圧と冷陰極電界電子放出素子印加電圧との間の電 位差を VA (単位:キロボルト)、 アノード電極ュニヅト間のギャップ長を Lg (単 位: m) としたとき、
VA/Lg< 1 ( k V/ zm)
を満足することを特徴とする。
尚、 本発明の第 1の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置、 あるいは又、 後 述する本発明の第 3の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置において、 ァノ一 ド電極ュニット間のキヤヅプ長 L gは、 ァノ一ド電極ュニヅトの位置に依存せずに 一定としてもよいし、 アノード電極ュニヅ卜の位置に依存して異ならせてもよい。 上記の目的を達成するための本発明の第 2の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置は、 冷陰極電界電子放出素子を複数備えたカゾードパネルと、 アノードパ ネルとが、 それらの周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置であつ て、
アノードパネルは、基板、基板上に形成された蛍光体層、 1本の給電線、及び、 蛍光体層上に形成されたァノード電極から構成されており、
アノード電極は、 N個 (但し、 N≥2 ) のアノード電極ユニットから構成され ており、
各アノード電極ユニットは、 該給電線を介してアノード電極制御回路に接続さ れており、
アノード電極ュニヅトと冷陰極電界電子放出素子との間の距離を d (単位: m m)、 アノード電極ユニットの面積を S (単位: mm2) としたとき、
(VA/ 7 ) 2 x ( S/ d ) ≤ 2 2 5 0
を満足することを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第 3の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置は、 冷陰極電界電子放出素子を複数備えた力ソードパネルと、 アノードパ ネルとが、 それらの周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置であつ て、
アノードパネルは、 基板、 基板上に形成された蛍光体層、 及び、 蛍光体層上に 形成されたアノード電極から構成されており、
アノード電極は、 N個 (但し、 N≥ 2 ) のアノード電極ユニットから構成され ており、
アノード電極ュニヅト間には抵抗体層が形成されており、
1つのアノード電極ュニットがアノード電極制御回路に接続されており、 アノード電極制御回路出力電圧と冷陰極電界電子放出素子印加電圧との間の電 位差を VA (単位:キロボルト)、 アノード電極ュニヅト間のギャップ長を Lg (単 位:〃m) としたとき、
を満足することを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第 4の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置は、 冷陰極電界電子放出素子を複数備えたカゾードパネルと、 アノードパ ネルとが、 それらの周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置であつ て、
アノードパネルは、 基板、 基板上に形成された蛍光体層、 及び、 蛍光体層上に 形成されたアノード電極から構成されており、
アノード電極は、 N個 (但し、 N 2 ) のアノード電極ユニットから構成され
ており、
アノード電極ュニヅト間には抵抗体層が形成されており、
1つのァノ一ド電極ュニヅトがァノ一ド電極制御回路に接続されており、 アノード電極ュニットと冷陰極電界電子放出素子との間の距離を d (単位: m m)、 アノード電極ユニットの面積を S (単位: mm2) としたとき、
(VA/ 7 ) 2 x ( S/d ) ≤ 2 2 5 0
を満足することを特徴とする。
本発明の第 3の態様若しくは第 4の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置に あっては、 アノード電極ユニットは抵抗体層を介して直列に接続されており、 複 数のアノード電極ュニヅ卜の内の 1つがアノード電極制御回路に接続されている。 このアノード電極制御回路に接続されているアノード電極ュニヅトが、 直列に接 続されたアノード電極ュニヅトのどの位置に位置するかは、本質的に任意であり、 例えば、 直列に接続されたアノード電極ュニッ卜の中央に位置するアノード電極 ュニットとすることもできるし、 直列に接続されたアノード電極ュニットの端部 に位置するァノ一ド電極ュニヅトとすることもできる。
上記の目的を達成するための本発明の第 5の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置は、 冷陰極電界電子放出素子を複数備えたカゾードパネルと、 アノードパ ネルとが、 それらの周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置であつ て、
アノードパネルは、 基板、 基板上に形成された蛍光体層、 及び、 蛍光体層上に 形成されたアノード電極から構成されており、
アノード電極は、 N個 (但し、 N≥2 ) のアノード電極ユニットから構成され ており、
アノード電極ュニッ トの大きさは、 アノード電極ュニットと冷陰極電界電子放 出素子との間で生じた放電により発生したエネルギーによってアノード電極ュニ ッ卜が局所的に蒸発しない大きさであることを特徴とする。
本発明の第 5の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置において、 アノード電 極ュニットの大きさは、 ァノ一ド電極ュニットと冷陰極電界電子放出素子との間 で生じた放電により発生したエネルギーによって、 アノード電極ュニヅトにおけ る 1サブピクセルに相当する大きさの部分が蒸発しない大きさであることが好ま しい。
本発明の第 1の態様、 第 2の態様あるいは第 5の態様に係る冷陰極電界電子放 出表示装置にあっては、 アノード電極ュニヅト間の放電発生を抑止するために、 アノード電極ユニット間に抵抗体層が形成されていることが好ましい。 尚、 この ような本発明の第 1の態様、 第 2の態様あるいは第 5の態様に係る冷陰極電界電 子放出表示装置を、 便宜上、 本発明の第 1 Aの態様、 第 2 Aの態様あるいは第 5 Aの態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置と呼ぶ。
本発明の第 1 Aの態様、 第 2 Aの態様あるいは第 5 Aの態様に係る冷陰極電界 電子放出表示装置を含む本発明の第 1の態様、 第 2の態様あるいは第 5の態様に 係る冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、 あるいは又、 本発明の第 3の態様 若しくは第 4の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、 隣接するァ ノード電極ュニヅトに対向していないアノード電極ュニヅトの縁部分は、 抵抗体 層で被覆されていることが、 アノード電極ュニヅトの係る縁部分からの小規模な 放電が大規模な放電へと成長することを防止するといった観点から好ましい。 本発明の第 1 Aの態様、 第 2 Aの態様を含む本発明の第 1の態様、 第 2の態様 に係る冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、 各アノード電極ユニットと給電 線との間に隙間が設けられており、 各アノード電極ュニットと給電線とは抵抗部 材を介して接続されている構成とすることが一層好ましい。 尚、 このような抵抗 部材を、 便宜上、 第 1の抵抗部材と呼ぶ場合がある。 第 1の抵抗部材を設けるこ とによって、 放電発生時にァノ一ド電極制御回路からのエネルギー供給を一時的 に停止することができる。
そして、 この場合、 更には、 抵抗値が rQの抵抗体層が形成されている場合、 抵
抗部材 (第 1の抵抗部材) の抵抗値を としたとき、 3 0 。≤;^≤1 0 0 1«0を 満足することが好ましい。 更には、 給電線は、 第 2の抵抗部材を介して直列に接 続された M個 (但し、 2 ^Μ≤Ν) の給電線ユニットから構成されており、 1つ の給電線ュニットは 1個あるいは 2個以上のアノード電極ュニヅトに接続されて いる構成とすることが好ましく、 更には、 1 0 M≤N≤ 1 0 O Nであることが一 層好ましい。 尚、 これらの構成を、 本発明の第 5の態様に係る冷陰極電界電子放 出表示装置に対して適用することができる。給電線を複数の給電線ュニットから 構成すれば、 給電線ユニットの面積を小さくすることができるが故に、 給電線と 冷陰極電界電子放出素子との間での放電に起因した給電線の損傷発生 (例えば、 給電線の局所的な蒸発) を抑止することができる。
尚、アノード電極ュニヅトと冷陰極電界電子放出素子との間の距離を d (単位: mm)、 給電線ユニットの面積を S, (単位: mm2) としたとき、
(VA/ 7 ) 2 x ( S, /d ) ≤ 2 2 5 0
好ましくは、
(VA/ 7 ) x ( S, / d ) ≤4 5 0
を満足することが、 給電線ュニットと冷陰極電界電子放出素子との間での放電に 起因した給電線ュニットの損傷発生 (例えば、 給電線ュニットの局所的な蒸発) を一層確実に防止するといつた観点から望ましい。 尚、 それそれの給電線ュニッ トの大きさは、 同じであってもよいし、 異なっていてもよい。
また、 給電線や給電線ュニットの縁部分からの小規模な放電が大規模な放電へ と成長することを防止するといつた観点から、 給電線や給電線ュニットの縁部分 を抵抗体薄膜で被覆しておくことが好ましい。 あるいは又、 給電線や給電線ュニ ヅトを抵抗体薄膜で被覆してもよい。
本発明の第 1 Aの態様、 第 2 Aの態様、 第 5 Aの態様を含む本発明の第 1の態 様〜第 5の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置 (以下、 これらを総称して、 本発明の冷陰極電界電子放出表示装置と呼ぶ場合がある) にあっては、 蛍光体層
と基板との間に、 アノード電極制御回路に接続されたストライプ状の透明電極が 形成されている構成とすることが好ましく、 更には、 1画素 ( 1ピクセル) を構 成する単位蛍光体層の複数が直線状に配列されており、 直線状に配列された複数 の単位蛍光体層から構成された列と基板との間に、 アノード電極制御回路に接続 されたストライプ状の透明電極が形成されている構成とすることが一層好ましい。 即ち、 直線状に配列された単位蛍光体層の列の総数を n列としたとき、 ストライ プ状の透明電極の本数は、 最大、 nである。 直線状に配列された単位蛍光体層の 列の複数と基板との間に、 アノード電極制御回路に接続されたストライプ状の透 明電極が形成されている構成とすることもできる。 このように、 透明電極を設け ることによって、 蛍光体層の過剰な帯電を確実に防止することができ、 過剰な帯 電による蛍光体層の劣化を抑制することができる。 そして、 このような構造の透 明電極を設けることによって、 冷陰極電界電子放出表示装置の試作時の設計変更 に容易に対処可能となる q カラー表示の場合、 直線状に配列された単位蛍光体層 の 1列は、 全てが赤色発光単位蛍光体層で占められた列、 緑色発光単位蛍光体層 で占められた列、 及び、 青色発光単位蛍光体層で占められた列から構成されてい てもよいし、 赤色発光単位蛍光体層、 緑色発光単位蛍光体層、 及び、 青色発光単 位蛍光体層が順に配置された列から構成されていてもよい。 ここで、 単位蛍光体 層とは、 表示用パネル上において 1つの輝点を生成する蛍光体層であると定義す る。 また、 1画素 (1ピクセル) は、 1つの赤色発光単位蛍光体層、 1つの緑色 発光単位蛍光体層、 及び、 1つの青色発光単位蛍光体層の集合から構成され、 1 サブピクセルは、 1つの単位蛍光体層( 1つの赤色発光単位蛍光体層、あるいは、 1つの緑色発光単位蛍光体層、 あるいは、 1つの青色発光単位蛍光体層) から構 成される。 更には、 アノード電極ユニットにおける 1サブピクセルに相当する大 きさとは、 1つの単位蛍光体層を覆うアノード電極ュニットの部分の大きさを意 味する。
本発明の第 1 Aの態様を含む本発明の第 1の態様、 本発明の第 3の態様、 本発
明の第 5 Aの態様を含む本発明の第 5の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置 にあっては、 アノード電極ュニッ卜と冷陰極電界電子放出素子との間での放電に 起因してアノード電極ュニヅトが溶融するといったアノード電極ュニットの損傷 規模の拡大を防止するために、 アノード電極ュニットと冷陰極電界電子放出素子 との間の距離を d (単位: mm)、 アノード電極ュニッ卜の面積を S (単位: mm 2) としたとき、
(VA/ 7 ) 2 x ( S/d ) ≤ 2 2 5 0
を満足することが好ましく、
(VA/7 ) 2 x ( S/d ) ≤4 5 0
を満足することが一層好ましい。
また、 本発明の第 2 Aの態様を含む本発明の第 2の態様、 第 4の態様に係る冷 P禽極電界電子放出表示装置にあっては、
(VA/ 7 ) 2 x ( S/d ) ≤4 5 0
を満足することが一層好ましい。
アノード電極ュニットに凹凸が存在し、 アノード電極ュニットと冷陰極電界電 子放出素子との間の距離 dが一定でない場合、 アノード電極ュニットと冷陰極電 界電子放出素子との間の最短距離を dとする。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、 アノード電極制御回路出力電 圧は、 通常、 一定である。 一方、 冷陰極電界電子放出表示装置の動作方式は、 ① 力ソード電極に印加する電圧を一定とし、 ゲート電極に印加する電圧を変化させ る方式、 ②カソード電極に印加する電圧を変化させ、 ゲート電極に印加する電圧 を一定とする方式、 ③カソード電極に印加する電圧を変化させ、 且つ、 ゲート電 極に印加する電圧も変化させる方式がある。 アノード電極制御回路出力電圧と冷 陰極電界電子放出素子印加電圧との間の電位差 VAを、 ①の場合にあっては、 ァノ ―ド電極制御回路出力電圧とカソ一ド電極印加電圧との間の電位差とすればよい し、 ②及び③の場合にあっては、 アノード電極制御回路出力電圧と力ソード電極
印加電圧との間の電位差の最大値とすればよい。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置において、 アノード電極は、 少なくとも 蛍光体層上に形成されていればよく、 蛍光体層が形成されていない基板上に延在 して形成されていてもよい。 具体的には、 アノード電極は、 全体として、 実際の 表示部分として機能する有効領域を少なくとも覆っている。 有効領域の周囲は、 周辺回路の収容や表示画面の機械的支持等、 有効領域の機能を支援する無効領域 である。 アノード電極ユニットの外形形状は、 本質的には任意の形状とすること ができるが、 加工の容易性等から、 矩形形状 (ストライプ状) であることが好ま しい。 矩形形状のアノード電極ュニットの延在方向は、 有効領域を矩形と考えた 場合、 長手方向であっても短手方向であってもよい。
アノード電極ュニットの数 (N) は 2以上であればよく、 例えば、 直線状に配 列された単位蛍光体層の列の総数を n列としたとき、 N = nとし、 あるいは、 n =ひ · N (ひは 2以上の整数であり、 好ましくは 1 0≤α≤ 1 0 0、 一層好まし くは 2 0 ^ α≤5 0 ) としてもよいし、 一定の間隔をもって配設されるスペース の数に 1を加えた数とすることができる。 また、'各アノード電極ユニットの大き さは、 アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、 アノード電 極ュニッ卜の位置に依存して異ならせてもよい。
抵抗体層の抵抗値 として、 1 X 1 0 Ω乃至 1 X 1 03 Ω、好ましくは 1 X 1 0 Ω乃至 2 X 1 02 Ωを例示することができる。
抵抗部材の抵抗値は、 通常の表示動作時にアノード電流による電圧降下が生じ ても表示輝度に殆ど影響が現れない程度に小さく、 しかも、 小規模な放電の発生 時には、 給電線を通じたアノード電極制御回路からアノード電極ュニヅトへのェ ネルギ一供給を一時的に遮断し得る程度に大きい値に選択する。 かかる条件を満 たす限りにおいて、抵抗値を数十 k Ω〜 1 M Ωの範囲で選択することができるが、 抵抗部材(第 1の抵抗部材)の抵抗値 と抵抗体層の抵抗値 r。は、上述の関係を 満足することが好ましい。
第 1の抵抗部材、 第 2の抵抗部材として、 チップ抵抗、 あるいは、 抵抗体薄膜 を挙げることができる。 また、 抵抗体層、 あるいは、 第 1の抵抗部材ゃ第 2の抵 抗部材を構成する抵抗体薄膜の構成材料として、 シリコンカーバイド (S i C ) や S i C Nといった力一ボン系材料; S i N ;酸化ルテニウム (R u 02)、酸ィ匕夕 ンタル、 窒化タンタル、 酸化クロム、 酸化チタン等の高融点金属酸化物;ァモル ファスシリコン等の半導体材料; I T Oを挙げることができる。
給電線や第 1の抵抗部材、 第 2の抵抗部材は、 無効領域上に形成すればよい。 そして、 給電線の端部やアノード電極ユニットの端部に接続端子を設け、 この接 続端子を配線を介してアノード電極制御回路に接続すればよい。
アノード電極ュニヅトと給電線とは、 共通の導電材料層を用いて蛍光体層及び 基板上に形成することができる。 一例として、 或る導電材料から成る導電材料層 を基板上に形成し、 この導電材料層をパ夕一ニングしてアノード電極ュニヅトと 給電線とを同時に形成することができる。 あるいは、 アノード電極ユニットと給 電線のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料の蒸着ゃスクリー ン印刷を行うことにより、 蛍光体層と基板との上にアノード電極ユニットと給電 線とを同時に形成することもできる。 尚、 抵抗体層や抵抗部材も同様の方法で形 成することができる。 即ち、 或る抵抗体材料から抵抗体層や抵抗部材を形成し、 この抵抗体層や抵抗部材をパ夕一ニングしてもよいし、 あるいは、 抵抗体層ゃ抵 抗部材のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料を蒸着又はス クリーン印刷することにより、 抵抗体層や抵抗部材を形成してもよい。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、冷陰極電界電子放出素子(以 下、 電界放出素子と称する) は、 より具体的には、 例えば、
(A) 支持体上に形成され、 第 1の方向に延びるカゾード電極と、
(B ) 支持体及び力ソード電極上に形成された絶縁層と、
( C ) 絶縁層上に形成され、 第 1の方向とは異なる第 2の方向に延びるゲート 電極と、
(D ) ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部と、
( E ) 開口部の底部に露出した電子放出部、
から構成されている。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置における電界放出素子の型式は、 特に限 定されず、 スピント型素子、 エッジ型素子、 平面型素子、 扁平型素子、 クラウン 型素子のいずれであってもよい。 尚、 力ソード電極及びゲート電極はストライプ 形状を有し、 カソ一ド電極の射影像とゲ一ト電極の射影像とは直交することが、 冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。更には、 電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。
尚、 電界放出素子として、 上述の各型式の他に、 表面伝導型電子放出素子と通 称される素子も知られており、 本発明の冷陰極電界電子放出表示装置に適用する ことができる。 表面伝導型電子放出素子においては、 例えばガラスから成る基板 上に酸化錫(S n 02)、 金(Au)、 酸化インジウム (I n203) /酸ィ匕錫(S n O 2)、 カーボン、酸化パラジウム (P d O)等の材料から成り、 微小面積を有する薄 膜がマトリクス状に形成され、 各薄膜は 2つの薄膜片から成り、 一方の薄膜片に 行方向配線、 他方の薄膜片に列方向配線が接続されている。 一方の薄膜片と他方 の薄膜片との間には数 nmのギャップが設けられている。 行方向配線と列方向配 線とによって選択された薄膜においては、 ギャップを介して薄膜から電子が放出 される。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置における基板として、 ガラス基板、 表面 に絶縁膜が形成されたガラス基板、 石英基板、 表面に絶縁膜が形成された石英基 板、 表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、 製造コスト 低減の観点からは、 ガラス基板、 あるいは、 表面に絶縁膜が形成されたガラス基 板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、 ソーダガラス(N a20 · C a O · S i 02)、 硼珪酸ガラス (N a20 · B203 · S i 02)、 フオルステ ライト (2 M g O · S i 02)、 鉛ガラス (N a20■ P b O · S i 02) を例示する
ことができる。 力ソードパネルを構成する支持体も、 基板と同様の構成とするこ とができる。
アノード電極ュニヅト、給電線、 力ソード電極、ゲート電極の構成材料として、 アルミニウム (A1)、 タングステン (W)、 ニオブ (Nb)、 タンタル (Ta)、 モリブデン (Mo)、 クロム (Cr)、 銅 (Cu)、 金 (Au)、 銀 (Ag)、 チタン (Ti)、 ニッケル (Ni)等の金属、 これらの金属元素を含む合金あるいは化合 物 (例えば T iN等の窒化物や、 WS i2、 Mo S i2、 TiSi2、 TaSi2等の シリサイ ド)、 I TO (インジウム '錫酸化物)、 酸化インジウム、 酸化亜鉛等の 導電性金属酸化物、 あるいはシリコン (Si)等の半導体を例示することができ る。 これらを作製、 形成するには、 CVD法、 スパッタリング法、 蒸着法、 ィォ ンプレ一ティング法、 電気メツキ法、 無電解メツキ法、 スクリーン印刷法、 レ一 ザアブレ一シヨン法、 ゾル—ゲル法等の公知の薄膜形成技術により、 上述の構成 材料から成る薄膜を被成膜体上に形成する。 このとき、 薄膜を被成膜体の全面に 形成した場合には、 公知のパ夕一ニング技術を用いて薄膜をパ夕一ニングし、 各 部材を形成する。 また、 薄膜を形成する前の被成膜体上に予めレジストパターン を形成しておけば、 リフトオフ法による各部材の形成が可能である。 更に、 ァノ —ド電極ユニットや給電線、 カゾード電極、 ゲート電極の形状に応じた開口部を 有するマスクを用いて蒸着を行ったり、 かかる開口部を有するスクリーンを用い てスクリーン印刷を行えば、 成膜後のパ夕一ニングは不要である。
電界放出素子を構成する絶縁層の構成材料として、 S i 02、 B P S G、: P S G、 BSG、 AsSG、 PbSG、 S i N、 S i ON, S OG (スピンオングラス)、 低融点ガラス、 ガラスペーストといった S i02系材料、 SiN、 ポリイミド等の 絶縁性樹脂を、 単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。 絶縁層の 形成には、 CVD法、 塗布法、 スパッタリング法、 スクリーン印刷法等の公知の プロセスが利用できる。
透明電極は、 例えば、 I TOや酸化錫、 酸化亜鉛、 酸ィ匕チタンから構成すれば
よい。
蛍光体層は、 単色の蛍光体粒子から構成されていても、 3原色の蛍光体粒子か ら構成されていてもよい。 また、 蛍光体層の配列様式は、 ドットマトリクス状で あっても、 ストライプ状であってもよい。 尚、 ドットマトリクス状やストライプ 状の配列様式においては、 隣り合う蛍光体層の間の隙間がコントラスト向上を目 的としたブラックマトリックスで埋め込まれていてもよい。
アノードパネルには、 更に、 蛍光体層から反跳した電子、 あるいは、 蛍光体層 から放出された二次電子が他の蛍光体層に入射し、 所謂光学的クロストーク (色 濁り) が発生することを防止するための、 あるいは又、 蛍光体層から反跳した電 子、 あるいは、 蛍光体層から放出された二次電子が隔壁を越えて他の蛍光体層に 向かって侵入したとき、 これらの電子が他の蛍光体層と衝突することを防止する ための、 隔壁が、 複数、 設けられていることが好ましい。
隔壁の平面形状として、 格子形状 (井桁形状)、 即ち、 1画素 ( 1ピクセル) に 相当する、 例えば平面形状が略矩形 (ドヅト状) の蛍光体層の四方を取り囲む形 状を挙げることができ、 あるいは、 略矩形あるいはストライプ状の蛍光体層の対 向する二辺と平行に延びる帯状形状あるいはストライプ形状を挙げることができ る。 隔壁を格子形状とする場合、 1つの蛍光体層の領域の四方を連続的に取り囲 む形状としてもよいし、 不連続に取り囲む形状としてもよい。 隔壁を帯状形状あ るいはストライプ形状とする場合、 連続した形状としてもよいし、 不連続な形状 としてもよい。 隔壁を形成した後、 隔壁を研磨し、 隔壁の頂面の平坦化を図って もよい。
蛍光体層からの光を吸収するブラックマトリヅクスが蛍光体層と蛍光体層との 間であって隔壁と基板との間に形成されていることが、 表示画像のコントラスト 向上といった観点から好ましい。 ブラックマトリックスを構成する材料として、 蛍光体層からの光を 9 9 %以上吸収する材料を選択することが好ましい。 このよ うな材料として、 力一ボン、 金属薄莫 (例えば、 ロム、 ニッケル、 アルミニゥ
ム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、 金属窒化物 (例えば、 窒ィ匕クロム)、 耐熱性有機樹脂、 ガラスペースト、 黒色顔料 や銀等の導電性粒子を含有するガラスぺ一スト等の材料を挙げることができ、 具 体的には、 感光性ポリイミ ド樹脂、 酸化クロムや、 酸化クロム/クロム積層膜を 例示することができる。 尚、 酸化クロム/クロム積層膜においては、 クロム膜が 基板と接する。
力ソードパネルとァノ一ドパネルとを周縁部において接合する場合、 接合は接 着層を用いて行ってもよいし、 あるいは、 ガラスやセラミックス等の絶縁剛性材 料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。 枠体と接着層とを併用する 場合には、 枠体の高さを適宜選択することにより、 接着層のみを使用する場合に 比べ、 カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定するこ とが可能である。 尚、 接着層の構成材料としては、 フリヅ トガラスが一般的であ るが、 融点が 120〜400° C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。 か かる低融点金属材料としては、 In (インジウム:融点 157° C);インジウム 一金系の低融点合金; Sn8。Ag2。 (融点 220〜370° C)ヽ Sn35Cu5 (融点 227〜370° C)等の錫(Sn)系高温はんだ; Pb97.5Ag2.5 (融点 304° C)、 Pb94.6Ag5.5 (融点304〜365° C)、 P b„.6A gL5 S n^o (融点 30 9° 〇)等の鉛(卩13)系高温はんだ; 21195八15 (融点380° C)等の亜鉛(Z n)系高温はんだ; Sn5Pb95 (融点300〜314° C)、 Sn2Pb98 (融点 3 16〜322° C)等の錫—鉛系標準はんだ; Au88Ga12 (融点 381° C)等 のろう材 (以上の添字は全て原子%を表す) を例示することができる。
基板と支持体と枠体の≡者を接合する場合、 三者同時接合を行ってもよいし、 あるいは、 第 1段階で基板又は支持体のいずれか一方と枠体とを先に接合し、 第 2段階で基板又は支持体の他方と枠体とを接合してもよい。 三者同時接合や第 2 段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、 基板と支持体と枠体と接着層とに より囲まれた空間は、 接合と同時に真空となる。 あるいは、 三者の接合終了後、
基板と支持体と枠体と接着層とによって囲まれた空間を排気し、 真空とすること もできる。接合後に排気を行う場合、 接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいず れであってもよく、 また、 雰囲気を構成する気体は、 大気であっても、 あるいは 窒素ガスや周期律表 0族に属するガス (例えば A rガス) を含む不活性ガスであ つてもよい。
接合後に排気を行う場合、 排気は、 基板及び Ζ又は支持体に予め接続されたチ ップ管を通じて行うことができる。 チップ管は、 典型的にはガラス管を用いて構 成され、 基板及び/又は支持体の無効領域 (即ち、 表示部分として機能する有効 領域以外の領域) に設けられた貫通孔の周囲に、 フリットガラス又は上述の低融 点金属材料を用いて接合され、 空間が所定の真空度に達した後、 熱融着によって 封じ切られる。 尚、 封じ切りを行う前に、 冷陰極電界電子放出表示装置全体を一 旦加熱してから降温させると、 空間に残留ガスを放出させることができ、 この残 留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
本発明の冷陰極電界電子放出表示装置においては、 放電のトリガ一そのものを 抑制するのではなく、 たとえ小規模な放電が発生しても、 小規模な放電を大規模 な放電にまで成長させないように、 アノード電極と冷陰極電界電子放出素子との 間に発生するエネルギーを抑制することを基本的な考え方としている。 アノード 電極を有効領域のほぼ全面に亙って形成する代わりに、 より小さい面積を有する ァノ一ド電極ュニットに分割した形で形成するので、 ァノ一ド電極ュニヅトと冷 陰極電界電子放出素子との間の静電容量を減少させ、 発生するエネルギーを低減 することができる。 その結果、 放電によるアノード電極ユニットにおける損傷の 大きさを効果的に小さくすることが可能となる。
しかも、 本発明の第 1の態様あるいは第 3の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置にあっては、 VA/Lg< l ( kV/ m) を満足することによって、 ァノ一 ド電極ユニット間における放電の発生を確実に低減できる結果、 このような放電 に起因したアノード電極ュニヅトの蒸発といったアノード電極ュニヅトの恒久的
な損傷発生を十分に低減することができる。 また、 本発明の第 2の態様あるいは 第 4の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、 (VA/7 ) 2 x ( S/ d ) ≤2 2 5 0を満足することによって、 また、 本発明の第 5の態様に係る冷陰 極電界電子放出表示装置にあっては、 アノード電極ュニットの大きさを規定する ことによって、 アノード電極ユニットと冷陰極電界電子放出素子との間での放電 によるァノ一ド電極ュニヅトの蒸発といったアノード電極ュニヅトの恒久的な損 傷発生を十分に低減することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1の冷陰極電界電子放出表示装置におけるアノード電極の模式 的な平面図である。
図 2の (A) 及び (B ) は、 それそれ、 実施例 1の冷陰極電界電子放出表示装 置におけるアノードパネルの、 図 1の線 A— A及び線 B— Bに沿った模式的な一 部端面図である。
図 3は、実施例 1の冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 図 4は、 実施例 1の冷陰極電界電子放出表示装置のカソ一ドパネルの模式的な 部分的斜視図である。
図 5は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。
図 6は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。
図 7は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、 スぺーサ及ぴ蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。
図 8は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。
図 9は、 実施例 1におけるアノード電極ュニヅ卜とゲート電極との間で異常放
電が発生したときの等価回路である。
図 1 0は、 実施例 1の冷陰極電界電子放出表示装置において、 アノード電極ュ ニットの面積 Sを 9 0 0 0 mm2, 3 0 0 0 mm2 3 4 5 0 mm2としたときの、 放 電電流 iの変化のシミュレ一シヨン結果を示すグラフである。
図 1 1は、 実施例 1の冷陰極電界電子放出表示装置において、 ァノ一ド電極ュ ニットの面積 Sを 9◦ 0 0 mm2, 3 0 0 0 mm2, 4 5 0 mm2としたときの、 異 常放電時の発生エネルギーの積算値のシミュレ一ション結果を示すグラフである。 図 1 2は、 実施例 2の冷陰極電界電子放出表示装置におけるァノード電極の模 式的な平面図である。
図 1 3は、実施例 2の冷陰極電界電子放出表示装置におけるァノ一ドパネルの、 図 1 2の線 A— Aに沿った模式的な一部端面図である。
図 1 4の (A) 及び (B ) は、 それそれ、 実施例 3の冷陰極電界電子放出表示 装置におけるァノ一ドパネルの、 図 1の線 A - A及び線 B - Bに沿つたと同様の 模式的な一部端面図である。
図 1 5は、 実施例 4の冷陰極電界電子放出表示装置におけるァノ一ド電極の模 式的な平面図である。
図 1 6、 実施例 4の冷陰極電界電子放出表示装置におけるアノードパネルの、 図 1 5の線 A— Aに沿った模式的な一部端面図である。
図 1 7は、 実施例 5の冷陰極電界電子放出表示装置におけるァノ一ド電極の模 式的な平面囟である。
図 1 8は、 実施例 5におけるアノード電極ュニットとゲート電極との間で異常 放電が発生したときの等価回路である。
図 1 9は、 実施例 5において、 アノード電極ユニット間に形成された抵抗体層 の抵抗値を l k Q , 2 0 0 Ω , 2 0 Ωとしたときの、 隣接するアノード電極ュニ ヅト間の電位差をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図 2 0の (A) 及び (B ) は、 スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。 . 図 2 1の (A) 及び (B ) は、 図 2 0の (B ) に引き続き、 スピント型冷陰極 電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図で める。
図 2 2の (A) 及び (B ) は、 扁平型冷陰極電界電子放出素子 (その 1 ) の製 造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。
図 2 3の (A) 及び (B ) は、 図 2 2の (B ) に引き続き、 扁平型冷陰極電界 電子放出素子 (その 1 ) の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断 面図である。
図 2 4の (A) 及び (B ) は、 それそれ、 扁平型冷陰極電界電子放出素子 (そ の 2 ) の模式的な一部断面図、 及び、 平面型冷陰極電界電子放出素子の模式的な 一部断面図である。
図 2 5の (A) 〜 (F ) は、 アノードパネルの製造方法を説明するための基板 等の模式的な一部断面図である。
図 2 6は、 収束電極を有するスピント型冷陰極電界電子放出素子の模式的な一 部端面図である。
図 2 7は、 所謂 2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部断面図 である。
図 2 8の (A;)、 ( C ) 及び (D ) は、 それそれ、 アノード電極ュニット上に抵 抗体層を形成するための好ましい方法を説明するための基板等の模式的な一部端 面図であり、 図 2 8の (B ) は、 アノード電極ユニット上に抵抗体層を形成する ときの問題点を説明するための基板等の模式的な一部端面図である。
図 2 9は、 従来の冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照して、 実施例に基づき本発明を説明する。
(実施例 1 )
実施例 1は、 本発明の第 1の態様、 第 2の態様及び第 5の態様に係る冷陰極電 界電子放出表示装置 (以下、 単に、 表示装置と略称する) に関する。
アノード電極の模式的な平面図を図 1に示し、 図 1の線 A— Aに沿ったァノ一 ドパネル APの模式的な一部端面図を図 2の (A) に示し、 図 1の線 B— Bに沿 つたアノードパネル A Pの模式的な一部端面図を図 2の (B ) に示す。 また、 実 施例 1の表示装置の模式的な一部端面図を図 3に示し、 カソ一ドパネル C Pの模 式的な部分的斜視図を図 4に示す。 更には、 蛍光体層等の配列を、 模式的な部分 的平面図として、 図 5〜図 8に例示する。 尚、 アノードパネル A Pの模式的な一 部端面図における蛍光体層等の配列を、 図 7あるいは図 8に示す構成としている。 この表示装置は、 力ソード電極 1 1、 ゲート電極 1 3及び電子放出部 1 5から 構成された冷陰極電界電子放出素子 (以下、 電界放出素子と略称する) を複数備 えた力ソードパネル C Pと、 アノードパネル A Pとが、 それらの周縁部で接合さ れて成る。
図 3に示した電界放出素子は、円錐形の電子放出部を有する、所謂スピント(S p i n d t ) 型電界放出素子と呼ばれるタイプの電界放出素子である。 この電界 放出素子は、 支持体 1 0上に形成された力ソード電極 1 1と、 支持体 1 0及び力 ソード電極 1 1上に形成された絶縁層 1 2と、 絶縁層 1 2上に形成されたゲート 電極 1 3と、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2に設けられた開口部 1 4 (ゲート電 極 1 3に設けられた第 1開口部 1 4 A、 及び、 絶縁層 1 2に設けられた第 2開口 部 1 4 B ) と、 第 2開口部 1 4 Bの底部に位置する力ソード電極 1 1上に形成さ れた円錐形の電子放出部 1 5から構成されている。 一般に、 力ソード電極 1 1と ゲート電極 1 3とは、 これらの両電極の射影像が互いに直交する方向に各々スト ライプ状に形成されており、 これらの両電極の射影像が重複する領域 (1画素分 の領域に相当する。 この領域を、 以下、 重複領域あるいは電子放出領域と呼ぶ) に、通常、複数の電界放出素子が設けられている。更に、かかる電子放出領域が、
力ソードパネル C Pの有効領域 (実際の表示部分として機能する領域) 内に、 通 常、 2次元マトリックス状に配列されている。
一方、 アノードパネル A Pは、 基板 3 0と、 基板 3 0上に形成され、 所定のパ 夕一ンを有する蛍光体層 3 1 (赤色発光蛍光体層 3 1 R, 青色発光蛍光体層 3 1 B , 緑色発光蛍光体層 3 1 G) と、 その上に形成されたアノード電極 2 0と、 1 本の給電線 2 2から構成されている。 アノード電極 2 0は、 全体として、 矩形の 有効領域 (大きさ: Ί O mm x 1 1 O mm) を覆う形状を有し、 例えばアルミ二 ゥム薄膜から構成されている。 そして、 アノード電極 2 0は、 N個 (但し、 N≥ 2であり、 実施例 1においては 2 0 0個) のアノード電極ユニット 2 1から構成 されている。直線状に配列された単位蛍光体層 3 1の列の総数 nと Nとの関係は、 n = 2 O Nである。 N個のアノード電極ユニット 2 1は、 1本の給電線 2 2を介 してアノード電極制御回路 4 3に接続されている。給電線 2 2も、 例えばアルミ ニゥム薄膜から構成されている。
アノード電極ュニット 2 1の大きさは、 アノード電極ュニヅト 2 1と電界放出 素子 (より具体的には、 ゲート電極 1 3あるいは力ソード電極 1 1 ) との間で生 じた放電により発生したエネルギーによってアノード電極ュニット 2 1が局所的 に蒸発しない大きさ (より具体的には、 アノード電極ユニット 2 1とゲート電極 1 3あるいは力ソード電極 1 1との間で生じた放電により発生したエネルギーに よってアノード電極ュニヅト 2 1の 1サブピクセルに相当する部分が蒸発しない 大きさ) である。 具体的には、 アノード電極ュニヅト 2 1の外形形状は矩形であ り、大きさ (面積 S ) を 0 . 3 3 mm x 1 1 O mmとした。尚、 図 1においては、 図面を簡素化するために、 4つのアノード電極ュニヅト 2 1を図示した。
蛍光体層 3 1と蛍光体層 3 1との間の基板 3 0上にはブラヅクマトリヅクス 3 2が形成されている。 また、 ブラックマトリックス 3 2の上には隔壁 3 3が形成 されている。 アノードパネル A Pにおける隔壁 3 3、 スぺ一サ 3 4及び蛍光体層 3 1の配置例を、 図 5〜図 8の配置図に模式的に示す。 隔壁 3 3の平面形状とし
ては、 格子形状 (井桁形状)、 即ち、 1画素 (1ピクセル) に相当する、 例えば平 面形状が略矩形の蛍光体層 3 1の四方を取り囲む形状(図 5及び図 6参照)、 ある いは、 略矩形の (あるいはストライプ状の) 蛍光体層 3 1の対向する二辺と平行 に延びる帯状形状(ストライプ形状)を挙げることができる(図 7及び図 8参照)。 尚、 蛍光体層 3 1を、 図 5〜図 8の上下方向に延びるストライプ状とすることも できる。
アノードパネル A Pとカソ一ドパネル C Pと枠体 3 5とによって囲まれた空間 は真空となっている。 尚、 アノードパネル A P及び力ソードパネル C Pには大気 によって圧力が加わる。そして、この圧力によって表示装置が破損しないように、 アノードパネル A Pと力ソードパネル C Pとの間には、 高さが例えば l mm程度 のスぺーサ 3 4が配置されている。 尚、 図 3においては、 スぺーサの図示を省略 した。 隔壁 3 3の一部は、 スぺーサ 3 4を保持するためのスぺ一サ保持部として も機能する。
そして、 アノード電極制御回路 4 3の出力電圧と冷陰極電界電子放出素子印加 電圧(具体的には、カソ一ド電極 1 1に印加される電圧)との間の電位差を VA (単 位:キロボルト)、 アノード電極ユニット 2 1間のギャップ長を L g (単位:〃 m) としたとき、 VAZL g< l ( k V/ m) を満足している。 具体的には、 VAを 5 キロポルト、 アノード電極ユニット 2 1間のギャップ長 L sを 2 0〃mとした。 ァ ノード電極ュニヅト 2 1間のギャップは、 蛍光体層 3 1が設けられていない部分 に設けられている。
各アノード電極ュニット 2 1は、 1本の給電線 2 2を介してアノード電極制御 回路 4 3に接続されている。アノード電極制御回路 4 3と給電線 2 2との間には、 通常、過電流や放電を防止するための抵抗体 R。(図示した例では抵抗値 1 0 Μ Ω ) が配設されている。 この抵抗体 RQは、 基板外に配設されている。 各アノード電極 ユニット 2 1と給電線 2 2との間には隙間 2 3が設けられており、 各アノード鼋 極ユニット 2 1と給電線 2 2とは、 抵抗部材 (第 1の抵抗部材 2 4 ) を介して接
続されている。 第 1の抵抗部材 2 4を、 アモルファスシリコンから成る抵抗体薄 膜から構成した。 第 1の抵抗部材 2 4は、 アノード電極ユニット 2 1と給電線 2 2との間を跨るように、 隙間 2 3の上に形成されている。 第 1の抵抗部材 2 4の 抵抗値 ( r ,) は、 約 3 0キロ Ωである。
1画素 ( 1ピクセル) は、 カソ一ドパネル側のカソ一ド電極 1 1とゲート電極 1 3との重複領域に設けられた電界放出素子の一群と、 これらの電界放出素子の 一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層 3 1 ( 1つの赤色発光単位蛍光体層、 1つの緑色発光単位蛍光体層、 及び、 1つの青色発光単位蛍光体層の集合) とに よって構成されている。 有効領域には、 かかる画素が、 例えば数十万〜数百万個 ものオーダ一にて配列されている。 また、 1画素 (1ピクセル) は 3つのサブピ クセルから構成され、 サプピクセルは、 1つの赤色発光単位蛍光体層、 1つの 緑色発光単位蛍光体層、 あるいは、 1つの青色発光単位蛍光体層を備えている。 アノードパネル APと力ソードパネル C Pとを、 電子放出領域と蛍光体層 3 1 とが対向するように配置し、 周縁部において枠体 3 5を介して接合することによ つて、 表示装置を作製することができる。 有効領域を包囲し、 画素を選択するた めの周辺回路が形成された無効領域には、 真空排気用の貫通孔 (図示せず) が設 けられており、 この貫通孔には真空排気後に封じ切られたチップ管 (図示せず) が接続されている。 即ち、 アノードパネル A Pと力ソードパネル C Pと枠体 3 5 とによって囲まれた空間は真空となっている。
力ソード電極 1 1には相対的に負電圧が力ソード電極制御回路 4 1から印加さ れ、ゲート電極 1 3には相対的に正電圧がゲート電極制御回路 4 2から印加され、 アノード電極ュニヅト 2 1にはゲート電極 1 3よりも更に高い正電圧がアノード 電極制御回路 4 3から印加される。 かかる表示装置において表示を行う場合、 例 えば、 力ソード電極 1 1に力ソード電極制御回路 4 1から走査信号を入力し、 ゲ —ト電極 1 3にゲート電極制御回路 4 2からビデオ信号を入力する。 あるいは、 これとは逆に、 力ソード電極 1 1にカゾード電極制御回路 4 1からビデオ信号を
入力し、 ゲート電極 13にゲート電極制御回路 42から走査信号を入力してもよ い。 カゾード電極 11とゲート電極 13との間に電圧を印加した際に生ずる電界 により、 量子トンネル効果に基づき電子放出部 15から電子が放出され、 この電 子がアノード電極ユニット 21に引き付けられ、 蛍光体層 31に衝突する。 その 結果、 蛍光体層 31が励起されて発光し、 所望の画像を得ることができる。 つま り、 この表示装置の動作は、 基本的に、 ゲート電極 13に印加される電圧、 及び カゾード電極 11を通じて電子放出部 15に印加される電圧によって制御される。 実施例 1の表示装置においては、 アノード電極ュニヅト 21とゲ一ト電極 13 との間の距離を d (単位: mm)、 アノード電極ユニット 21の面積を S (単位: mm2) としたとき、
(VA/7) 2x (S/d) ≤ 2250
更には、
(VA/7) 2x (S/d) ≤450
を満足している。 具体的には、 dの値は 1. Ommであり、 Sの値は 36. 3m m2である。
尚、 アノード電極ユニット 21は、 基板 30、 隔壁 33上及び蛍光体層 31上 に形成されているが故に、 アノード電極ュニヅ ト 21には凹凸が存在し、 ァノ一 ド電極ュニット 21と電界放出素子との間の距離 dは一定でない。 それ故、 ァノ —ド電極ユニットと電界放出素子との間の最短距離、 即ち、 具体的には、 隔壁 3 3上のアノード電極ユニット 21 (あるいは後述するアノード電極ユニット 12 1) と電界放出素子 (より具体的には、 ゲート電極 13) との間の距離を dとす る。 以下の説明においても同様である。
例えば、 アルミニウムから成るアノード電極ユニット 21において、 0. 04 mm2の面積 (この面積は、 概ね、 1サブピクセルに相当する面積である) の部分 が、 アノード電極ュニヅト 21と電界放出素子との間での放電によって蒸発する ときのエネルギーを、 以下、 算出する。 尚、 算出においては、 以下の表 1に示す
値を基礎とする, 1]
アノード電極ュニヅ卜の厚さ 1 jum
0. 04 mm2
アルミニウムの比重 2. 7
アルミニウムの融点 660° C
アルミニウムの沸点 2060° C
アルミニウムの比熱 0. 214 c a 1/g · ° C
アルミニウムの溶解熱 94. 6 c a 1/g
アルミニウムの蒸発熱 293 k J/mo 1 = 10850 J/g 溶融するアルミニウムの質量 MA1 (単位:グラム)、 室温 (30° C) からアル ミニゥムが融点 ( 660° C) に達するまでに必要なエネルギー Q (単位:ジ ユール)、 溶融に必要とされるエネルギー QUq (単位:ジュール)、 融点( 660° C) から沸点 (2060° C) に達するまでに必要とされるエネルギー QBii (単 位:ジュール)、 蒸発に必要とされるエネルギー QEvap、 総計エネルギー QT。talは、 以下のとおりである。
MA1=0. 04x 10"2x 10"4x 2. 7
= 1. 08 x 10— 7 (g)
QMELT= 0. 2 14 x4. 2 x (660— 30) xMA1
=6. 1 x 1 O-5 (J)
QUq= 94. 6 x4. 2 XMA1
=4. 3 x 10"5 (J)
2 14 x4. 2 x (2060-660) xM
A
= 1. 36 x 10"4 (J)
QEvap= 10850 XMA1
Q Total" QMEW+ Q q+
¾Evap
=1. 41 X 1 O-3 (J)
アノード電極ュニヅ ト 21と電界放出素子との間での放電時にアノード電極ュ ニット 21において発生するエネルギーの積算値が、 上記で例示される総計エネ ルギー QT。talの値を越えなければ、アノード電極ユニットに局所的な蒸発が発生す ることはないと云える。即ち、 アノード電極ュニット 21の 1サブピクセルに相 当する部分が蒸発することはないと云える。 尚、 アノード電極ユニットをモリブ デン (Mo) から構成した場合の総計エネルギー QT。talは、 2. 7 X 10 "3 ( J ) である。
アノード電極ュニヅト 21とゲート電極 13との間で放電が発生したときの等 価回路を図 9に示す。 尚、 図 9においては、 3つのアノード電極ユニットを図示 した。 アノード電極ユニット 21とゲート電極 13との間での放電によって放電 電流 iが流れるが、 このときのアノード電極ユニット 21とゲート電極 13との 間の抵抗値である理論抵抗値 (r)は 0. 2Ωである。尚、 理論抵抗値 (r)は、 通常、 0. 1 Ω〜: L 0Ω程度の値である。 また、 Sの値を 9000mm2、 300 0mm2、 450 mm2としたときのアノード電極ュニット 21とゲート電極 13と によって形成されるコンデンサ (C) の値を、 それそれ、 60pF、 20pF、 3 pFとした。更には、 VAを 7キロボルトとした。 Sの値を 9000mm2、 30 00 mm2, 450 mm2としたときの、 シミュレーションにて得られたアノード電 極ュニット 21を流れる電流 Iの変化、 及び、 アノード電極ュニヅト 21におけ る発生エネルギーを、 それそれ、 図 10及び図 11に示す。 尚、 図 10及び図 1 1において、 曲線 Aは Sの値が 9000mm2のときの値を示し、 曲線 Bは Sの値 が 3000mm2のときの値を示し、曲線 Cは Sの値が 450mm2のときの値を示 す。 更には、 アノード電極ュニット 21と電界放出素子との間での放電に起因し
てアノード電極ュニヅト 2 1において発生するエネルギーの積算値 (放電が発生 してから 1ナノ秒までの積算値であり、 以下における発生エネルギーの積算値も 同様の値である) は、 以下の表 2のとおりとなった。 尚、 Sの値を 2 2 5 O mm2 としたときのアノード電極ュニヅト 2 1とゲート電極 1 3とによって形成される コンデンサ (C) の値を 1 5 p Fとし、 VAを 7キロポルトとしてシミュレーショ ンを行ったときの、 アノード電極ュニヅト 2 1と電界放出素子との間での放電に 起因してアノード電極ュニヅト 2 1において発生するエネルギーの積算値を、 更 に、 以下の表 2に示す。
[表 2 ]
アノード電極ュニヅト面積 放電時の発生エネルギーの積算値
4 5 0 mm2 2 . 8 X 1 0 -4 ( J ) アノード電極ュニヅト 2 1の面積が 9 0 0 0 mm2及び 3 0 0 0 mm2では、ァノ ―ド電極ュニット 2 1と電界放出素子との間での放電時の発生エネルギーの積算 値の値が QT。talを越えている。一方、 アノード電極ュニット 2 1の面積が 2 2 5 0 mm2以下では、 アノード電極ュニヅト 2 1と電界放出素子との間での放電時の発 生エネルギーの積算値の値が QT。talを越えることはない。従って、 アノード電極ュ ニヅト 2 1と電界放出素子 (具体的には、 ゲート電極 1 3あるいは力ソード電極 1 1 ) との間で生じた放電により発生したエネルギーによって、 アノード電極ュ ニット 2 1が局所的に (より具体的には、 1サブピクセルに相当する大きさに亙 つて) 破損することはない。 具体的には、 アノード電極ュニヅト 2 1と電界放出 素子との間での放電に起因してアノード電極ユニット 2 1が局所的に (より具体
的には、 1サブピクセルに相当する大きさに亙って) 蒸発することはない。
ところで、 一般に、 容量 cのコンデンサに蓄積されるエネルギーは、 (1/2) cV2で表される。 コンデンサの対向電極の面積を S、 電極間の距離を dとしたと き、 コンデンサの容量 cは、 ε (S/d) で表される。 従って、 対向電極の面積 が S、 アノード電極ュニヅト 21と電界放出素子との間の距離が dのとき、 以下 の式を満足すれば、 コンデンサの対向電極に相当するアノード電極ュニット 21 に局所的に (より具体的には、 1サブピクセルに相当する大きさに亙って)損傷 は生じないことになる。
a (1/2) (S/d) V ≤£ (1/2) [2250/1] 72
上式を変形すれば、
(VA/7) 2x (S/d) ≤ 2250
が得られる。
アノード電極ユニット 21 (S = 36. 3 mm2)の間のギャップ長 Lgを 50〃 mとしたアノードパネル APから成る表示装置を作製した。 そして、 表示装置の 内部を真空とすることなく、 表示装置の内部を大気雰囲気のままとして、 ァノ一 ド電極制御回路出力電圧と冷陰極電界電子放出素子印加電圧 (具体的には、 カソ —ド電極 11に印加される電圧) との間の電位差 VAを 2キロボルト、 3キロボル ト、 4キロボルト、 5キロボルト、 6キロボルトとして表示装置への電圧印加試 験を行ったところ、 電位差 VAが 5キロボルト以上では、 アノード電極ユニット 2 1の間で放電が 100%の確率で発生した。 電位差 VAが 5キロボルト未満では、 アノード電極ュニヅト 21の間で放電が殆ど発生することはなかった。 このこと から、 アノード電極ュニヅト 21間の放電耐圧がアノード電極ュニヅト 21間の ギヤヅプ長 Lgに比例することを考慮すると、
VA/Lg< (5/50) (kV/ )
即ち、
VA/Lg<0. 1 (kV/ m)
を満足すれば、 アノード電極ユニット 21で放電は起こらないことが分かる。 ま た、 この一連の試験が大気雰囲気中で行われたことを考慮すると、 表示装置が実 際の真空雰囲気中で動作するときに放電が発生する電位差 VAは、 大気雰囲気中で 放電が発生する電位差 VAの 5〜10倍と考えられるので、 上式は、
VA/Lg< 1 (kV/ zm)
と変形できる。
(実施例 2 )
実施例 2は、 実施例 1の変形である。 実施例 2のアノードパネル APの模式的 な平面図を図 12に示し、 図 12の線 A— Aに沿った模式的な一部端面図を図 1 3に示す。 実施例 2のアノードパネル APにおいては、 給電線 22は、 スパヅ夕 リング法にて形成された S i Cあるいは酸化クロム等から成る第 2の抵抗部材 2 6を介して直列に接続された M個 (但し、 2≤M≤Nであり、 実施例 2において は、 10M = N) の給電線ユニット 22 Aから構成されている。 1つの給電線ュ ニット 22 Aは 1個のアノード電極ュニヅト 21に接続されている。給電線ュニ ヅ ト 22 Aの大きさ (面積 S,) を lmmx 150 mmとした。給電線ュニヅト 2 2 Aと給電線ュニッ卜 22 Aとの間には隙間 25が設けられ、 第 2の抵抗部材 2 6は、 給電線ュニヅト 22 Aと給電線ュニヅト 22 Aとの間を跨るように、 隙間 25の上に形成されている。 尚、 第 2の抵抗部材 26の抵抗値 (r2)は、 約 5キ 口 Ωである。 この点を除き、 実施例 2のアノードパネル APは実施例 1のァノ一 ドパネル APと同じ構造を有しているので、 アノードパネル APの詳細な説明は 省略する。 また、 表示装置、 力ソードパネル CPも、 実施例 1の表示装置、 カソ ードパネル CPと同じ構造を有しているので、 詳細な説明は省略する。
尚、 アノード電極ュニヅ ト 22Aと電界放出素子との間の距離を d (単位: m m)、 給電線ュニヅ ト 22Aの面積を S, (単位: mm2) としたとき、 .
(VA/7) 2x (S, /d) ≤2250
好ましくは、
(VA/ 7 ) 2 X ( S, /d ) ≤4 5 0
を満足することが、 給電線ュニヅト 2 2 Aと電界放出素子との間での放電に起因 した給電線ュニット 2 2 Aの損傷発生 (例えば、 給電線ュニット 2 2 Aの局所的 な蒸発) を一層確実に抑止するといつた観点から望ましい。
実施例 2における給電線の構造を、 後述する実施例 3あるいは実施例 4のァノ —ドパネルに適用することができる。 また、 第 1の抵抗部材 2 4を省略し、 給電 線ユニット 2 2 Aを直接アノード電極ユニット 2 1に接続する (即ち、 アノード 電極ュニット 2 1と給電線ュニット 2 2 Aを一体的に作製する) こともできる。 (実施例 3 )
実施例 3も、 実施例 1の変形である。 実施例 3のァノ一ドパネルの模式的な一 部端面図の図 1の線 A— Aに沿ったと同じ一部端面図を図 1 4の (A) に示し、 図 1の線 B— Bに沿ったと同じ一部端面図を図 1 4の (B ) に示す。実施例 3に おいては、 蛍光体層 3 1と基板 3 0との間には、 アノード電極制御回路 4 3に接 続されたストライプ状の I T Oから成る透明電極 2 7が形成されている。 より具 体的には、 画素を構成する単位蛍光体層 3 1の複数が、 図 5〜図 8に示したよう に、 直線状に配列されており、 直線状に配列された複数の単位蛍光体層 3 1の 1 列と基板 3 0との間に、 ァノ一ド電極制御回路 4 3に接続されたストライプ状の 1本の透明電極 2 7が形成されている。 この点を除き、 実施例 3のアノードパネ ル A Pは実施例 1のアノードパネル A Pと同じ構造を有しているので、 アノード パネル A P、力ソードパネル C P、及び、表示装置の詳細な説明は省略する。尚、 透明電極 2 7は、 抵抗体 RQを介してアノード電極制御回路 4 3に接続されていて もよいし、 場合によっては、 直接、 アノード電極制御回路 4 3に接続されていて もよい。
このように、 透明電極 2 7を設けることによって、 蛍光体層 3 1の過剰な帯電 を確実に防止することができ、 過剰な帯電による蛍光体層 3 1の劣化を抑制する ことができる。 また、 直線状に配列された単位蛍光体層 3 1の列の総数 (n) と
ストライプ状の透明電極 2 7の本数とを例えば一致させることで、 表示装置の試 作時の設計変更に容易に対処可能となる。 透明電極 2 7の数を変更する場合には 表示装置試作品の T A T (Turn Around Time) が約 1週間であつたのに対して、 アノード電極ュニヅト 2 1の数 Nのみの変更にあっては T A Tは約 1 . 5曰で済 ませることができた。
尚、 実施例 3における透明電極 2 7を、 実施例 2、 あるいは、 後述する実施例 4あるいは実施例 5のァノ一ドパネルに適用することができる。
(実施例 4 )
実施例 4も、 実施例 1の変形であり、 本発明の第 1 Aの態様、 第 2 Aの態様及 び第 5 Aの態様に係る表示装置に関する。 実施例 4のアノードパネルの模式的な 平面図を図 1 5に示し、 図 1 5の線 A— Aに沿った模式的な一部端面図を図 1 6 に示す。 実施例 4のアノードパネル A Pにあっては、 実施例 1と異なり、 ァノ一 ド電極ュニヅト 2 1間に抵抗体層 2 8が形成されている。 このように抵抗体層 2 8を形成することによって、 ァノ一ド電極ュニヅト 2 1間の放電発生を効果的に 抑止することができる。 また、 隣接するアノード電極ュニヅト 2 1に対向してい ないアノード電極ュニヅト 2 1の縁部分は、 抵抗体層 2 9で被覆されている。 こ れによって、 アノード電極ュニヅト 2 1の係る縁部分での放電規模を低減するこ とができる。 尚、 抵抗体層 2 8 , 2 9は S i Cあるいは酸化クロム等から成り、 スパッタリング法にて同時に形成される。 これらの点を除き、 実施例 4のァノ一 ドパネル APは実施例 1のアノードパネル A Pと同じ構造を有しているので、 ァ ノードパネル A P及び表示装置の詳細な説明は省略する。 尚、 場合によっては、 抵抗体層 2 8はアノード電極 2 0の全体を被覆していてもよい。
尚、 実施例 4における抵抗体層 2 8を、 実施例 2あるいは実施例 3のアノード パネルに適用することができるし、 実施例 4における抵抗体層 2 9を、 実施例 1 〜実施例 3、 あるいは、 後述する実施例 5のアノードパネルに適用することがで きる。 また、 抵抗体層 2 8の形成と同時に、 同じ材料を用いて、 第 1の抵抗部材
2 4や第 2の抵抗部材 2 6を形成してもよいし、 給電線を被覆してもよい。
(実施例 5 )
実施例 5は、 本発明の第 3の態様、 第 4の態様及び第 5 Aの態様に係る表示装 置に関する。
実施例 5の表示装置の模式的な一部端面図は、 図 3に示したと同様である。 ま た、 力ソードパネル C Pの模式的な部分的斜視図は、 図 4と同様である。 ァノー ド電極の模式的な平面図を図 1 7に示す。 尚、 図 1 7の線 A— Aに沿ったァノ一 ドパネル A Pの模式的な一部端面図は、 図 1 6と同様である。 但し、 図 1 6の抵 抗体層 2 8 , 2 9を抵抗体層 1 2 8 , 1 2 9に読み替えるものとする。
実施例 5の力ソードパネル C P、 表示装置の構成、 表示装置の駆動方法は、 実 施例 1の力ソ一ドパネル C P、 表示装置、 表示装置の駆動方法と同様とすること ができるので、 詳細な説明は省略する。
ァノ一ドパネル A Pは、 基板 3 0と、 基板 3 0上に形成され、 所定のパターン を有する蛍光体層 3 1 (赤色発光蛍光体層 3 1 R , 青色発光蛍光体層 3 1 B, 緑 色発光蛍光体層 3 1 G) と、 その上に形成されたアノード電極 2 0から構成され ている。 アノード電極 2 0は、 全体として、 矩形の有効領域(大きさ: 7 0 mm X 1 1 0 mm)を覆う形状を有し、例えばアルミニウム薄膜から構成されている。 アノード電極 1 2 0は、 N個 (但し、 N 2であり、 実施例 5においては 2 0 0 個) のアノード電極ュニヅト 1 2 1から構成されている。 直線状に配列された単 位蛍光体層 3 1の列の総数 nと Nとの関係は、 n = 2 O Nである。 そして、 1つ のアノード電極ュニヅト 1 2 1がアノード電極制御回路 4 3に、 抵抗体 R。を介し て接続されている。 尚、 アノード電極制御回路 4 3に接続されているアノード電 極ュニヅト 1 2 1が、 直列に接続されたアノード電極ュニヅト 1 2 1のどの位置 に位置するかは、 本質的に任意であり、 図 1 7に示すように、 直列に接続された ァノ一ド電極ュニヅト 1 2 1の端部に位置するァノ一ド電極ュニット 1 2 1とす ることもできるし、 例えば、 直列に接続されたアノード電極ユニットの中央に位
置するァノ一ド電極ユニットとすることもできる。 蛍光体層 3 1等の配置は、 図 5〜図 8と同様とすることができる。
アノード電極ュニヅト 1 2 1の大きさは、 アノード電極ュニヅト 1 2 1と電界 放出素子 (より具体的には、 ゲート電極 1 3あるいは力ソード電極 1 1 ) との間 で生じた放電により発生したエネルギ一によってアノード電極ュニヅ ト 1 2 1が 局所的に蒸発しない大きさ (より具体的には、 アノード電極ュニヅト 1 2 1が 1 サブビクセルに相当する大きさに亙って蒸発しない大きさ)である。具体的には、 アノード電極ュニヅト 1 2 1の外形形状は矩形であり、 大きさ (面積 S ) を 0 . 3 3 mm x 1 1 O mmとした。尚、図 1 7においては、図面を簡素化するために、 4つのアノード電極ユニット 1 2 1を図示した。
実施例 5のアノードパネル A Pにあっては、 アノード電極ュニット 1 2 1間に、 スパッタリング法にて S i Cあるいは酸ィ匕クロム等から成る抵抗体層 1 2 8が形 成されている。 即ち、 アノード電極ュニヅ ト 1 2 1は抵抗体層 1 2 8を介して直 列に接続されている。 場合によっては、 抵抗体層 1 2 8はアノード電極 1 2 0の 全体を被覆していてもよい。 また、 隣接するアノード電極ユニット 1 2 1に対向 していないアノード電極ュニット 1 2 1の縁部分は、 抵抗体層 1 2 9で被覆され ている。
そして、 アノード電極制御回路 4 3の出力電圧と冷陰極電界電子放出素子印加 電圧 (具体的には、 力ソード電極 1 1に印加する電圧) との間の電位差を VA (単 位:キロボルト)、 アノード電極ュニヅ ト 1 2 1の間のギャップ長を Lg (単位: // m)、 抵抗体層 1 2 8の抵抗値を r Q (単位:キロオーム)、 アノード電極ユニット 1 2 1と電界放出素子との放電に起因してアノード電極ュニヅ ト 1 2 1内を流れ る電流を I (単位:アンペア) としたとき、
を満足している。 具体的には、 アノード電極ュニヅ ト間のギャップ長 Lgを 5 0 z mとした。 また、 : r。の値は約 1キロ Ωであり、 放電電流 Iの値は最大で約 2 3キ
口アンペアである。
実施例 5の表示装置においては、 アノード電極ュニット 121と電界放出素子 との間の距離を d (単位: mm)、アノード電極ュニヅト 121の面積を S (単位: mm2) としたとき、
(VA/7) 2x (S/d) ≤2250
更には、
(VA/7) 2x (S/d) ≤450
を満足している。 具体的には、 dの値は 1. 0mmであり、 Sの値は 36. 3m m2である。 - 実施例 1にて説明したように、 アノード電極ュニヅト 121と電界放出素子と の間での放電時にアノード電極ュニヅト 121において発生するエネルギーの積 算値が総計エネルギー QT。talの値を越えなければ、アノード電極ュニット 121が 局所的に蒸発しない。 即ち、 より具体的には、 アノード電極ュニヅト 121は、 1サブピクセルに相当する大きさに亙って蒸発することはない。
アノード電極ュニット 121とゲート電極 13との間で放電が発生したときの 等価回路を図 18に示す。 尚、 図 18においては、 3つのアノード電極ユニット を図示した。 アノード電極ュニヅト 121とゲート電極 13との間での放電によ つて放電電流 iが流れるが、 このときのアノード電極ュニヅト 121とゲート電 極 13との間の抵抗値である理論抵抗値 (r) は 0. 2 Ωである。 また、 Sの値' を 9000mm2 (アノード電極ユニット数 N= 1)ヽ 3000 mm2 (アノード電 極ユニット数 N= 3)、 2250 mm2 (アノード電極ユニット数 N = 4)ヽ 450 mm2 (アノード電極ユニット数 N= 20) としたときのアノード電極ユニット 1 21とゲート電極 13とによって形成されるコンデンサ(C)の値を、それそれ、 60pF、 20pF、 15pF、 3pFとした。 更には、 VAを 7キロボルトとし た。 Sの値を 9000 mm2、 3000 mm2ヽ 2250 mm2、 450 mm2とした ときの放電時の発生エネルギーの積算値をシミュレーシヨンにて求めた。 その結
果を、 以下の表 3に示す。 [表 3]
アノード電極ュニット面積 放電時の発生エネルギ一の積算値
9000 mm2 5. 6 X 10—3 (J)
2250 mm2 1. 4X 10—3 ( J)
450 mm2 2. 8 X 10— 4 ( J) アノード電極ュニヅト 121の面積が 9000mm2及び 3000mm2では、ァ ノード電極ュニット 121と電界放出素子との間での放電時の発生エネルギ一の 積算値の値が QT。talを越えている。一方、 ァノ一ド電極ュニヅト 121の面積が 2 250mm2以下では、 アノード電極ュニヅト 121と電界放出素子との間での放 電時の発生エネルギーの積算値の値が Qmalを越えることはない。従って、 ァノ一 ド電極ュニヅト 121と電界放出素子 (具体的には、 ゲート電極 13あるいは力 ソ一ド電極 11) との間で生じた放電により発生したエネルギーによって、 ァノ —ド電極ュニヅト 1,21が、 1サブピクセルに相当する大きさに亙って破損する ことはない。 具体的には、 アノード電極ュニヅ ト 121と電界放出素子との間で の放電に起因してアノード電極ュニット 121が局所的に (より具体的には、 1 サブビクセルに相当する大きさに亙って) 蒸発することはない。 尚、 が約 30 キロ Ω、 r。が約 1キロ Ωの場合、 アノード電極ュニヅ ト 121と電界放出素子と の間での放電が発生してから 1ナノ秒までの発生エネルギーの積算値は、 表 2及 び表 3に示したように、 同じ結果となった。
また、 アノード電極 120の面積を 9000 mm2、 ァノ一ド電極ュニヅト 12 1の数 N=20 (アノード電極ユニット 121の面積 S = 450mm2) の場合で あって、 抵抗体層 128の抵抗値 r。を変えたときの隣接するアノード電極ュニヅ
ト間の電位差をシミュレーションした結果を図 19に示す。 図 19中、 曲線 A, B, Cは、それそれ、 r0= 1 kQ, 200Ω, 20 Ωの結果である。図 19から、 抵抗体層 128の抵抗値 r。が小さくなる程、 隣接するアノード電極ュニット間の 電位差が小さくなることが判る。 このシミュレーション結果からは、 抵抗体層 1 28の抵抗値 は 200 Ω以下であることが好ましいと云える。
アノード電極ユニット 121 (S = 36. 3 mm2)の間のギヤヅプ長 Lgを 50 mとしたアノードパネル APから成る表示装置を作製した。 そして、 表示装置 の内部を真空とすることなく、 表示装置の内部を大気雰囲気のままとして、 ァノ ード電極制御回路出力電圧と冷陰極電界電子放出素子印加電圧 (具体的には、 力 ソード電極 11に印加される電圧) との間の電位差 VAを 2キロボルト、 3キロポ ルト、 4キロボルト、 5キロボルト、 6キロボルトとして表示装置への電圧印加 試験を行ったところ、 電位差 VAが 5キロボルト以上では、 アノード電極ユニット 121の間で 100 %の確率で放電が発生した。電位差 VAが 5キロボルト未満で は、 アノード電極ュニヅト 121の間で放電が殆ど発生することはなかった。 こ のことから、 アノード電極ユニット 121間の放電耐圧がアノード電極ユニット 121間のギャップ長 Lgに比例することを考慮すると、
VA/Lg< (5/50) (kV/ )
即ち、
VA/Lg<0. 1 (kV/ m)
を満足すれば、 ァノ一ド電極ュニヅト 121で放電は起こらないことが分かる。 また、 この一連の試験が大気雰囲気中で行われたことを考慮すると、 表示装置が 実際の真空雰囲気中で動作するときに放電が発生する電位差 VAは、 大気雰囲気中 で放電が発生する電位差 VAの 5〜10倍と考えられるので、 上式は、
VA/Lg< 1 (kV/ zm)
と変形できる。
(各種の電界放出素子に関して)
以下、 各種の電界放出素子及びその製造方法を説明する。
実施例においては、電界放出素子として、スピント型(円錐形の電子放出部が、 第 2開口部の底部に位置する力ソード電極上に設けられた電界放出素子) を説明 したが、 その他、 例えば、 扁平型 (略平面状の電子放出部が、 第 2開口部の底部 に位置する力ソード電極上に設けられた電界放出素子)とすることもできる。尚、 これらの電界放出素子を、 第 1の構造を有する電界放出素子と呼ぶ。
あるいは又、
(ィ) 支持体上に設けられた、 第 1の方向に延びるストライプ状の力ソード電 極と、
(口) 支持体及びカゾード電極上に形成された絶縁層と、
(ハ) 絶縁層上に設けられ、 第 1の方向とは異なる第 2の方向に延びるストラ イブ状のゲート電極と、
(二) ゲート電極に設けられた第 1開口部、 及び、 絶縁層に設けられ、 第 1開 口部と連通した第 2開口部、
から成り、
第 2開口部の底部に露出したカソ一ド電極の部分が電子放出部に相当し、 かか る第 2開口部の底部に露出した力ソード電極の部分から電子を放出する構造を有 する電界放出素子とすることもできる。
このような構造を有する電界放出素子として、 平坦な力ソード電極の表面から 電子を放出する平面型電界放出素子を挙げることができる。 尚、 この電界放出素 子を第 2の構造を有する電界放出素子と呼ぶ。
スピント型電界放出素子にあっては、 電子放出部を構成する材料として、 タン グステン、 タングステン合金、 モリブデン、 モリブデン合金、 チタン、 チタン合 金、 ニオブ、 ニオブ合金、 タンタル、 タンタル合金、 クロム、 クロム合金、及び、 不純物を含有するシリコン (ポリシリコンゃアモルファスシリコン) から成る群 から選択された少なくとも 1種類の材料を挙げることができる。 スピント型電界
放出素子の電子放出部は、 例えば、 真空蒸着法やスパッタリング法、 CVD法に よって形成することができる。
扁平型電界放出素子にあっては、 電子放出部を構成する材料として、 力ソード 電極を構成する材料よりも仕事関数 Φの小さい材料から構成することが好ましく、 どのような材料を選択するかは、 力ソード電極を構成する材料の仕事関数、 ゲ一 ト電極とカソ一ド電極との間の電位差、 要求される放出電子電流密度の大きさ等 に基づいて決定すればよい。 電界放出素子におけるカソ一ド電極を構成する代表 的な材料として、 タングステン(Φ = 4. 5 5 eV)、ニオブ(Φ = 4. 0 2〜4. 87 eV)ヽ モリプデン (Φ = 4. 53〜 4. 9 5 eV)ヽ アルミニウム (Φ = 4. 28 e V)、銅(Φ = 4. 6 eV) タンタル ( = 4. 3 eV)、 クロム(Φ = 4. 5 e V), シリコン (Φ = 4. 9 e V) を例示することができる。 電子放出部は、 これらの材料よりも小さい仕事関数 Φを有していることが好ましく、 その値は概 ね 3 eV以下であることが好ましい。 かかる材料として、 炭素 (Φく l eV;)、 セ シゥム (Φ = 2. 14 eVX LaB6 (Φ= 2. 6 6~2. 7 6 e V) Β aO ( = 1. 6〜2. 7 e V)s S rO (Φ= 1. 2 5〜1. 6 eV)、 Y203 (Φ = 2. O eV) CaO (Φ= 1. 6〜1. 86 eV) B aS ( = 2. 05 eV) T iN (Φ= 2. 9 2 eV) Z rN (Φ= 2. 92 e V)を例示することができる。 仕事関数 Φが 2 eV以下である材料から電子放出部を構成することが、 一層好ま しい。 尚、 電子放出部を構成する材料は、 必ずしも導電性を備えている必要はな い。
あるいは又、扁平型電界放出素子において、電子放出部を構成する材料として、 かかる材料の 2次電子利得 が力ソ一ド電極を構成する導電性材料の 2次電子利 得 5よりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。即ち、 銀(Ag)、 ァ ルミニゥム (Al)、 金 (Au)ヽ コノ Wレト (C o)ヽ 銅 (Cu)ヽ モリブデン (M 0)、 ニオブ(Nb)、 ニッケル (N i)、 白金 (P t)、 タンタル (Ta)、 夕ング ステン (W)、 ジルコニウム (Z r) 等の金属;シリコン (S i)、 ゲルマニウム
(Ge)等の半導体;炭素やダイヤモンド等の無機単体;及び酸化アルミニウム (A 1203)、 酸化バリウム (BaO)、 酸化ベリリウム (BeO)ヽ 酸化カルシゥ ム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化錫(Sn02)、 フッ化バリウム(B aF2)、 フヅ化カルシウム (CaF2)等の化合物の中から、 適宜選択することが できる。 尚、 電子放出部を構成する材料は、 必ずしも導電性を備えている必要は ない。
扁平型電界放出素子にあっては、 特に好ましい電子放出部の構成材料として、 炭素、 より具体的にはダイヤモンドやグラフアイ ト、 力一ボン ·ナノチューブ構 造体を挙げることができる。 電子放出部をこれらから構成する場合、 5x 107V /m以下の電界強度にて、 表示装置に必要な放出電子電流密度を得ることができ る。 また、 ダイヤモンドは電気抵抗体であるため、 各電子放出部から得られる放 出電子電流を均一化することができ、 よって、 表示装置に組み込まれた場合の輝 度ばらつきの抑制が可能となる。 更に、 これらの材料は、 表示装置内の残留ガス のイオンによるスパヅ夕作用に対して極めて高い耐性を有するので、 電界放出素 子の長寿命化を図ることができる。
力一ボン ·ナノチューブ構造体として、 具体的には、 力一ボン 'ナノチュ一プ 及び/又は力一ボン ·ナノファイバ一を挙げることができる。 より具体的には、 力一ボン ·ナノチューブから電子放出部を構成してもよいし、 カーボン ·ナノフ アイパーから電子放出部を構成してもよいし、 カーボン ·ナノチューブとカーボ ン ·ナノファイバ一の混合物から電子放出部を構成してもよい。 力一ボン 'ナノ チューブや力一ボン ·ナノファイバ一は、 巨視的には、粉末状であってもよいし、 薄膜状であってもよいし、 場合によっては、 カーボン 'ナノチューブ構造体は円 錐状の形状を有していてもよい。 カーボン ·ナノチューブや力一ボン 'ナノファ ィバ一は、 周知のアーク放電法やレーザアブレーシヨン法といった PVD法、 プ ラズマ CVD法やレーザ CVD法、 熱 CVD法、 気相合成法、 気相成長法といつ た各種の CVD法によって製造、 形成することができる。
扁平型電界放出素子を、 バインダ一材料に力一ボン ·ナノチューブ構造体を分 散させたものをカソ一ド電極の所望の領域に例えば塗布した後、 ノ ィンダ一材料 の焼成あるいは硬化を行う方法 (より具体的には、 エポキシ系樹脂やアクリル系 樹脂等の有機系バインダー材料や銀ペースト、 水ガラス等の無機系バインダー材 料にカーボン 'ナノチューブ構造体を分散したものを、 力ソード電極の所望の領 域に例えば塗布した後、 溶媒の除去、 バインダー材料の焼成 ·硬化を行う方法) によって製造することもできる。 尚、 このような方法を、 力一ボン ·ナノチュ一 ブ構造体の第 1の形成方法と呼ぷ。 塗布方法として、 スクリーン印刷法を例示す ることができる。
あるいは又、 扁平型電界放出素子を、 カーボン ·ナノチューブ構造体が分散さ れた金属化合物溶液をカソ一ド電極上に塗布した後、 金属化合物を焼成する方法 によって製造することもでき、 これによつて、 金属化合物に由来した金属原子を 含むマトリヅクスにてカーボン ·ナノチューブ構造体がカソ一ド電極表面に固定 される。 尚、 このような方法を、 力一ボン 'ナノチューブ構造体の第 2の形成方 法と呼ぶ。マトリヅクスは、導電性を有する金属酸化物から成ることが好ましく、 より具体的には、 酸化錫、 酸化インジウム、 酸化インジウム一錫、 酸化亜鉛、 酸 化アンチモン、又は、酸化アンチモン一錫から構成することが好ましい。焼成後、 各力一ボン ·ナノチューブ構造体の一部分がマトリヅクスに埋め込まれている状 態を得ることもできるし、 各カーボン ·ナノチューブ構造体の全体がマトリック スに埋め込まれている状態を得ることもできる。 マトリックスの体積抵抗率は、
1 X 1 0 '9 Ω · m乃至 5 X 1 0 'δ Ω · mであることが望ましい。
金属化合物溶液を構成する金属化合物として、 例えば、 有機金属化合物、 有機 酸金属化合物、 又は、 金属塩 (例えば、 塩化物、 硝酸塩、 酢酸塩) を挙げること ができる。有機酸金属化合物溶液として、有機錫化合物、有機ィンジゥム化合物、 有機亜鉛化合物、 有機アンチモン化合物を酸 (例えば、 塩酸、 硝酸、 あるいは硫 酸) に溶解し、 これを有機溶媒 (例えば、 トルエン、 酢酸プチル、 イソプロピル
アルコール) で希釈したものを挙げることができる。 また、 有機金属化合物溶液 として、 有機錫化合物、 有機インジウム化合物、 有機亜鉛化合物、 有機アンチモ ン化合物を有機溶媒(例えば、 トルエン、 酢酸プチル、 イソプロピルアルコール) に溶解したものを例示することができる。 溶液を 1 0 0重量部としたとき、 力一 ボン 'ナノチューブ構造体が 0 . 0 0 1〜2 0重量部、 金属化合物が 0 . 1〜1 0重量部、 含まれた組成とすることが好ましい。 溶液には、 分散剤や界面活性剤 が含まれていてもよい。 また、 マトリックスの厚さを増加させるといった観点か ら、 金属化合物溶液に、 例えば力一ボンブラック等の添加物を添加してもよい。 また、場合によっては、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いることもできる。 カーボン■ナノチューブ構造体が分散された金属化合物溶液をカソ一ド電極上 に塗布する方法として、 スプレー法、 スピンコーティング法、 ディヅビング法、 ダイクオ一夕一法、 スクリーン印刷法を例示することができるが、 中でもスブレ —法を採用することが塗布の容易性といった観点から好ましい。
力一ボン ·ナノチューブ構造体が分散された金属化合物溶液を力ソード電極上 に塗布した後、 金属化合物溶液を乾燥させて金属化合物層を形成し、 次いで、 力 ソ一ド電極上の金属化合物層の不要部分を除去した後、 金属化合物を焼成しても よいし、 金属化合物を焼成した後、 力ソード電極上の不要部分を除去してもよい し、 カソ一ド電極の所望の領域上にのみ金属化合物溶液を塗布してもよい。
金属化合物の焼成温度は、 例えば、 金属塩が酸化されて導電性を有する金属酸 化物となるような温度、 あるいは又、 有機金属化合物や有機酸金属化合物が分解 して、 有機金属化合物や有機酸金属化合物に由来した金属原子を含むマトリック ス (例えば、 導電性を有する金属酸化物) が形成できる温度であればよく、 例え ば、 3 0 0 ° C以上とすることが好ましい。焼成温度の上限は、 電界放出素子あ るいはカソードパネルの構成要素に熱的な損傷等が発生しない温度とすればよい カーボン .ナノチューブ構造体の第 1の形成方法あるいは第 2の形成方法にあ つては、 電子放出部の形成後、 電子放出部の表面の一種の活性化処理(洗浄処理)
を行うことが、 電子放出部からの電子の放出効率の一層の向上といった観点から 好ましい。 このような処理として、 水素ガス、 アンモニアガス、 ヘリウムガス、 アルゴンガス、 ネオンガス、 メタンガス、 エチレンガス、 アセチレンガス、 窒素 ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処理を挙げることができる。
力一ボン ·ナノチューブ構造体の第 1の形成方法あるいは第 2の形成方法にあ つては、 電子放出部は、 第 2開口部の底部に位置する力ソード電極の部分の表面 に形成されていればよく、 第 2開口部の底部に位置する力ソ一ド電極の部分から 第 2開口部の底部以外のカソ一ド電極の部分の表面に延在するように形成されて 'いてもよい。 また、 電子放出部は、 第 2開口部の底部に位置する力ソード電極の 部分の表面の全面に形成されていても、 部分的に形成されていてもよい。
第 1の構造あるいは第 2の構造を有する電界放出素子においては、 電界放出素 子の構造に依存するが、 ゲート電極及び絶縁層に設けられた 1つの第 1開口部及 ぴ第 2開口部内に 1つの電子放出部が存在してもよいし、 ゲート電極及び絶縁層 に設けられた 1つの第 1開口部及び第 2開口部内に複数の電子放出部が存在して もよいし、 ゲート電極に複数の第 1開口部を設け、 かかる第 1開口部と連通する 1つの第 2開口部を絶縁層に設け、 絶縁層に設けられた 1つの第 2開口部内に 1 又は複数の電子放出部が存在してもよい。
第 1開口部あるいは第 2開口部の平面形状 (支持体表面と平行な仮想平面で開 口部を切断したときの形状) は、 円形、 楕円形、 矩形、 多角形、 丸みを帯びた矩 形、 丸みを帯びた多角形等、 任意の形状とすることができる。 第 1開口部の形成 は、 例えば、 等方性エッチング、 異方性エッチングと等方性エッチングの組合せ によって行うことができ、 あるいは又、 ゲート電極の形成方法に依っては、 第 1 開口部を直接形成することもできる。 第 2開口部の形成も、 例えば、 等方性エツ チング、 異方性ェヅチングと等方性ェヅチングの組合せによって行うことができ る。
第 1の構造を有する電界放出素子において、 カソード電極と電子放出部との間
に抵抗体層を設けてもよい。 あるいは又、 カゾード電極の表面が電子放出部に相 当している場合(即ち、 第 2の構造を有する電界放出素子においては)、 力ソード 電極を導電材料層、 抵抗体層、 電子放出部に相当する電子放出層の 3層構成とし てもよい。抵抗体層を設けることによって、 電界放出素子の動作安定化、 電子放 出特性の均一化を図ることができる。 抵抗体層を構成する材料として、 シリコン カーバイド (S i C ) や S i C Nといった力一ボン系材料、 S i N、 ァモルファ スシリコン等の半導体材料、 酸化ルテニウム (R u 02)、 酸化タンタル、 窒化タン タル等の高融点金属酸化物を例示することができる。抵抗体層の形成方法として、 スパッタリング法や、 C VD法やスクリーン印刷法を例示することができる。 抵 抗値は、 概ね 1 X 1 05〜1 X 1 07Ω、 好ましくは数 Μ Ωとすればよい。
[スピント型電界放出素子]
スピント型電界放出素子は、
(ィ) 支持体 1 0上に設けられ、 第 1の方向に延びるストライプ状のカゾード 電極 1 1と、
(口) 支持体 1 0及びカゾード電極 1 1上に形成された絶縁層 1 2と、
(ハ) 絶縁層 1 2上に設けられ、 第 1の方向とは異なる第 2の方向に延びるス トライプ状のゲート電極 1 3と、
(二) ゲート電極 1 3に設けられた第 1開口部 1 4 Α、 及び、 絶縁層 1 2に設 けられ、 第 1開口部 1 4 Αと連通した第 2開口部 1 4 Βと、
(ホ) 第 2開口部 1 4 Βの底部に位置するカゾード電極 1 1上に設けられた電 子放出部 1 5、
から成り、
第 2開口部 1 4 Βの底部に露出した円錐形の電子放出部 1 5から電子が放出さ れる構造を有する。
以下、 スピント型電界放出素子の製造方法を、 カゾードパネルを構成する支持 体 1 0等の模式的な一部端面図である図 2 0の (Α)、 ( Β ) 及び図 2 1の (Α)、
(B ) を参照して説明する。
尚、 このスピント型電界放出素子は、 基本的には、 円錐形の電子放出部 1 5を 金属材料の垂直蒸着により形成する方法によって得ることができる。即ち、 ゲ一 ト電極 1 3に設けられた第 1開口部 1 4 Aに対して蒸着粒子は垂直に入射するが、 第 1開口部 1 4 Aの開口端付近に形成されるオーバ一ハング状の堆積物による遮 蔽効果を利用して、第 2開口部 1 4 Bの底部に到達する蒸着粒子の量を漸減させ、 円錐形の堆積物である電子放出部 1 5を自己整合的に形成する。 ここでは、 不要 なオーバ一ハング状の堆積物の除去を容易とするために、 ゲート電極 1 3及び絶 縁層 1 2上に剥離層 1 6を予め形成しておく方法について説明する。 尚、 電界放 出素子の製造方法を説明するための図面においては、 1つの電子放出部のみを図 示した。
[工程一 A O ]
先ず、 例えばガラス基板から成る支持体 1 0の上に、 例えばポリシリコンから 成る力ソード電極用導電材料層をプラズマ CVD法にて成膜した後、 リソグラフ ィ技術及びドライエツチング技術に基づき力ソード電極用導電材料層をパ夕一二 ングして、 ストライプ状の力ソード電極 1 1を形成する。 その後、 全面に S i 02 から成る絶縁層 1 2を C VD法にて形成する。
[工程一 A 1 ]
次に、 絶縁層 1 2上に、 ゲート電極用導電材料層 (例えば、 T i N層) をスパ ヅ夕法にて成膜し、 次いで、 ゲート電極用導電材料層をリソグラフィ技術及びド ライエッチング技術にてパ夕一ニングすることによって、 ストライプ状のゲ一ト 電極 1 3を得ることができる。 ストライプ状の力ソード電極 1 1は、 図面の紙面 左右方向に延び、 ストライプ状のゲ一ト電極 1 3は、 図面の紙面垂直方向に延び ている。
尚、 ゲート電極 1 3を、 真空蒸着法等の P VD法、 C VD法、 電気メツキ法や 無電解メヅキ法といったメヅキ法、スクリーン印刷法、レーザアブレ一シヨン法、
ゾルーゲル法、 リフトオフ法等の公知の薄膜形成と、 必要に応じてエッチング技 術との組合せによって形成してもよい。 スクリーン印刷法やメヅキ法によれば、 直接、 例えばストライプ状のゲート電極を形成することが可能である。
[工程— A 2 ]
その後、 再びレジスト層を形成し、 エッチングによってゲート電極 1 3に第 1 開口部 1 4 Aを形成し、 更に、 絶縁層に第 2開口部 1 4 Bを形成し、 第 2開口部 1 4 Bの底部に力ソード電極 1 1を露出させた後、 レジスト層を除去する。 こう して、 図 2 0の (A) に示す構造を得ることができる。
[工程一 A 3 ]
次に、 支持体 1 0を回転させながらゲート電極 1 3上を含む絶縁層 1 2上に二 ヅケル(N i )を斜め蒸着することにより、剥離層 1 6を形成する(図 2 0の(B ) 参照)。 このとき、 支持体 1 0の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選 択することにより (例えば、 入射角 6 5度〜 8 5度)、 第 2開口部 1 4 Bの底部に ニッケルを殆ど堆積させることなく、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2の上に剥離 層 1 6を形成することができる。 剥離層 1 6は、 第 1開口部 1 4 Aの開口端から 庇状に張り出しており、 これによつて第 1開口部 1 4 Aが実質的に縮径される。
[工程一 A 4 ]
次に、 全面に例えば導電材料としてモリプデン (M o ) を垂直蒸着する (入射 角 3度〜 1 0度)。 このとき、 図 2 1の (A) に示すように、 剥離層 1 6上でォ一 バーハング形状を有する導電材料層 1 7が成長するに伴い、 第 1開口部 1 4 Aの 実質的な直径が次第に縮小されるので、 第 2開口部 1 4 Bの底部において堆積に 寄与する蒸着粒子は、 次第に第 1開口部 1 4 Aの中央付近を通過するものに限ら れるようになる。 その結果、 第 2開口部 1 4 Bの底部には円錐形の堆積物が形成 され、 この円錐形の堆積物が電子放出部 1 5となる。
[工程一 A 5 ]
その後、 図 2 1の (B ) に示すように、 リフトオフ法にて剥離層 1 6をゲート
電極 13及び絶縁層 12の表面から剥離し、 ゲート電極 13及び絶縁層 12の上 方の導電材料層 17を選択的に除去する。 こうして、 複数のスピント型電界放出 素子が形成されたカソードパネルを得ることができる。
[扁平型電界放出素子 (その 1)]
扁平型電界放出素子は、
(ィ) 支持体 10上に設けられ、 第 1の方向に延びる力ソード電極 11と、 (口) 支持体 10及び力ソード電極 11上に形成された絶縁層 12と、
(ハ) 絶縁層 12上に設けられ、 第 1の方向とは異なる第 2の方向に延びるゲ —ト電極 13と、
(二) ゲ一ト電極 13に設けられた第 1開口部 14 A、 及び、 絶縁層 12に設 けられ、 第 1開口部 14Aと連通した第 2開口部 14Bと、
(ホ) 第 2開口部 14 Bの底部に位置する力ソ一ド電極 11上に設けられた扁 平状の電子放出部 15 A、
から成り、
第 2開口部 14 Bの底部に露出した電子放出部 15 Aから電子が放出される構 造を有する。
電子放出部 15 Aは、 マトリックス 18、 及び、 先端部が突出した状態でマト リヅクス 18中に埋め込まれたカーボン ·ナノチューブ構造体 (具体的には、 力 一ボン ·ナノチューブ 19) から成り、 マトリックス 18は、 導電性を有する金 属酸ィ匕物 (具体的には、 酸ィ匕インジウム一錫、 I TO) から成る。
以下、 電界放出素子の製造方法を、 図 22の (A:)、 (B) 及び図 23の (A)、 (B) を参照して説明する。
[工程— B0]
先ず、 例えばガラス基板から成る支持体 10上に、 例えばスパッタリング法及 びエッチング技術により形成された厚さ約 0. 2 zmのクロム (Cr)層から成 るストライプ状の力ソード電極 11を形成する。
[工程一 B 1 ]
次に、 カーボン ·ナノチューブ構造体が分散された有機酸金属化合物から成る 金属化合物溶液を力ソード電極 1 1上に、 例えばスプレー法にて塗布する。 具体 的には、 以下の表 4に例示する金属化合物溶液を用いる。 尚、 金属化合物溶液中 にあっては、有機錫化合物及び有機ィンジゥム化合物は酸(例えば、塩酸、硝酸、 あるいは硫酸) に溶解された状態にある。 力一ボン 'ナノチューブはアーク放電 法にて製造され、 平均直径 3 0 nm、 平均長さ である。 塗布に際しては、 支持体 1 0を 7 0〜1 5 0 ° Cに力 Π熱しておく。塗布雰囲気を大気雰囲気とする。 塗布後、 5 ~ 3 0分間、 支持体: 1 0を加熱し、 酢酸プチルを十分に蒸発させる。 このように、 塗布時、 支持体 1 0を加熱することによって、 力ソード電極 1 1の 表面に対して力一ボン ·ナノチューブが水平に近づく方向にセルフレべリングす る前に塗布溶液の乾燥が始まる結果、 カーボン ·ナノチューブが水平にはならな い状態で力ソード電極 1 1の表面に力一ボン ·ナノチューブを配置することがで きる。 即ち、 力一ボン ·ナノチューブの先端部がアノード電極の方向を向くよう な状態、 言い換えれば、 カーボン ·ナノチューブを、 支持体 1 0の法線方向に近 づく方向に配向させることができる。 尚、 予め、 表 4に示す組成の金属化合物溶 液を調製しておいてもよいし、 力一ボン ·ナノチューブを添加していない金属化 合物溶液を調製しておき、 塗布前に、 力一ボン 'ナノチューブと金属化合物溶液 とを混合してもよい。 また、 力一ボン 'ナノチューブの分散性向上のため、 金属 化合物溶液の調製時、 超音波を照射してもよい。 4 ]
有機錫化合物及び有機ィンジゥム化合物 0 . 1 0重量部
分散剤 (ドデシル硫酸ナトリウム) 0 . 5 重量部
カーボン ·ナノチューブ 0 . 2 0重量部
酢酸ブチル
尚、 有機酸金属化合物溶液として、 有機錫ィ匕合物を酸に溶解したものを用いれ ば、 マトリックスとして酸化錫が得られ、 有機インジウム化合物を酸に溶解した ものを用いれば、 マトリックスとして酸化インジウムが得られ、 有機亜鉛化合物 を酸に溶解したものを用いれば、 マトリックスとして酸化亜鉛が得られ、 有機ァ ンチモン化合物を酸に溶解したものを用いれば、 マトリヅクスとして酸化アンチ モンが得られ、 有機アンチモン化合物及び有機錫化合物を酸に溶解したもの用い れば、 マトリックスとして酸化アンチモン一錫が得られる。 また、 有機金属化合 物溶液として、 有機錫化合物を用いれば、 マトリックスとして酸化錫が得られ、 有機ィンジゥム化合物を用いれば、 マトリヅクスとして酸化ィンジゥムが得られ、 有機亜鉛化合物を用いれば、 マトリックスとして酸ィ匕亜鉛が得られ、 有機アンチ モン化合物を用いれば、 マトリックスとして酸化アンチモンが得られ、 有機アン チモン化合物及び有機錫化合物を用いれば、 マトリヅクスとして酸化アンチモン 一錫が得られる。 あるいは又、 金属の塩化物の溶液 (例えば、 塩化錫、 塩化イン ジゥム) を用いてもよい。
場合によっては、 金属化合物溶液を乾燥した後の金属化合物層の表面に著しい 凹凸が形成されている場合がある。 このような場合には、 金属化合物層の上に、 支持体を加熱することなく、 再び、 金属化合物溶液を塗布することが望ましい。
[工程—: B 2 ]
その後、 有機酸金属化合物から成る金属化合物を焼成することによって、 有機 酸金属化合物に由来した金属原子 (具体的には、 I n及び S n) を含むマトリツ クス (具体的には、 金属酸化物であり、 より一層具体的には I T O ) 1 8にて力 一ボン ·ナノチューブ 1 9が力ソード電極 1 1の表面に固定された電子放出部 1 5 Aを得る。 焼成を、 大気雰囲気中で、 3 5 0 ° C;、 2 0分の条件にて行う。 こ うして、 得られたマトリヅクス 1 8の体積抵抗率は、 5 X 1 0—7Ω · mであった。 有機酸金属化合物を出発物質として用いることにより、 焼成温度 3 5 0 ° Cとい
つた低温においても、 I TOから成るマトリックス 18を形成することができる。 尚、 有機酸金属化合物溶液の代わりに、 有機金属化合物溶液を用いてもよいし、 金属の塩化物の溶液 (例えば、 塩化錫、 塩化インジウム) を用いた場合、 焼成に よって塩化錫、 塩化インジウムが酸化されつつ、 I TOから成るマトリックス 1 8が形成される。
[工程一 B3]
次いで、全面にレジスト層を形成し、カソ一ド電極 11の所望の領域の上方に、 例えば直径 10 /mの円形のレジスト層を残す。 そして、 10〜60° Cの塩酸 を用いて、 1〜30分間、 マトリックス 18をエッチングして、 電子放出部の不 要部分を除去する。 更に、 所望の領域以外にカーボン 'ナノチューブが未だ存在 する場合には、 以下の表 5に例示する条件の酸素プラズマエッチング処理によつ てカーボン 'ナノチューブをエッチングする。 尚、 バイアスパワーは 0Wでもよ いが、 即ち、 直流としてもよいが、 バイアスパヮ一を加えることが望ましい。 ま た、 支持体を、 例えば 80° C程度に加熱してもよい。 5]
RIE装置
導入ガス 酸素を含むガス
プラズマ励起パワー 500W
バイアスパワー 0〜 150W
処理時間 10秒以上 あるいは又、 表 6に例示する条件のゥヱヅトエッチング処理によってカーボ ン ·ナノチューブをエッチングしてもよい。
[表 6]
使用溶液: KMn04
温度 : 20〜 120 ° C
処理時間: 10秒〜 20分 その後、 レジスト層を除去することによって、 図 22の (A) に示す構造を得 ることができる。 尚、 直径 10〃mの円形の電子放出部 15 Aを残すことに限定 されない。 例えば、 電子放出部 15 Aを力ソード電極 11上に残してもよい。 尚、 [工程—B l]、 [工程— B3]、 [工程— B2]の順に実行してもよい。
[工程— B 4]
次に、 電子放出部 15A、 支持体 10及び力ソード電極 11上に絶縁層 12を 形成する。 具体的には、 例えば TEOS (テトラエトキシシラン) を原料ガスと して使用する CVD法により、 全面に、 厚さ約 1 mの絶縁層 12を形成する。
[工程一 B5]
その後、 絶縁層 12上にストライプ状のゲート電極 13を形成し、 更に、 絶縁 層 12及びゲ一ト電極 13上にマスク層 118を設けた後、 ゲート電極 13に第 1の開口部 14Aを形成し、 更に、 ゲート電極 13に形成された第 1の開口部 1 4 Aに連通する第 2の開口部 14 Bを絶縁層 12に形成する (図 22の (B)参 照)。 尚、 マトリヅクス 18を金属酸化物、 例えば I TOから構成する場合、 絶縁 層 12をエッチングするとき、 マトリックス 18がエッチングされることはない。 即ち、絶縁層 12とマトリックス 18とのエッチング選択比はほぼ無限大である。 従って、 絶縁層 12のエッチングによってカーボン ·ナノチューブ 19に損傷が 発生することはない。
[工程— B6]
次いで、 以下の表 7に例示する条件にて、 マトリックス 18の一部を除去し、 マトリックス 18から先端部が突出した状態のカーボン ·ナノチューブ 19を得
ることが好ましい。 こうして、 図 2 3の (A) に示す構造の電子放出部 1 5 Aを 得ることができる。
[表 7 ]
エッチング溶液:塩酸
エッチング時間: 1 0秒〜 3 0秒
エッチング温度: 1 0〜6 0 ° C マトリックス 1 8のエッチングによって一部あるいは全ての力一ボン ·ナノチ ュ一ブ 1 9の表面状態が変化し (例えば、 その表面に酸素原子や酸素分子、 フッ 素原子が吸着し)、 電界放出に関して不活性となっている場合がある。 それ故、 そ の後、 電子放出部 1 5 Aに対して水素ガス雰囲気中でのプラズマ処理を行うこと が好ましく、 これによつて、 電子放出部 1 5 Aが活性化し、 電子放出部 1 5 Aか らの電子の放出効率の一層の向上させることができる。 ブラズマ処理の条件を、 以下の表 8に例示する。
[表 8 ]
使用ガス H2= I 0 0 sccm
電源パワー 1 0 0 0 W
支持体印加電力 5 0 V
反応圧力 0 . l P a
支持体温度 3 0 0 ° C その後、 力一ボン ·ナノチューブ 1 9からガスを放出させるために、 加熱処理 や各種のプラズマ処理を施してもよいし、 力一ボン ·ナノチューブ 1 9の表面に 意図的に吸着物を吸着させるために吸着させたい物質を含むガスにカーボン -ナ
ノチューブ 1 9を晒してもよい。 また、 力一ボン ·ナノチューブ 1 9を精製する ために、 酸素ブラズマ処理ゃフッ素ブラズマ処理を行つてもよい。
[工程— B 7 ]
その後、 絶縁層 1 2に設けられた第 2の開口部 1 4 Bの側壁面を等方的なエツ チングによって後退させることが、 'ゲ一ト電極 1 3の開口端部を露出させるとい つた観点から、 好ましい。 尚、 等方的なエッチングは、 ケミカルドライエツチン グのようにラジカルを主エッチング種として利用するドライエッチング、 あるい はエッチング液を利用するゥエツトエッチングにより行うことができる。 エッチ ング液としては、 例えば 4 9 %フヅ酸水溶液と純水の 1 : 1 0 0 (容積比) 混合 液を用いることができる。 次いで、 マスク層 1 1 8を除去する。 こうして、 図 2 3の (B ) に示す電界放出素子を完成することができる。
尚、 [工程— B 5 ]の後、 [工程一 B 7 ]、 [工程— B 6 ]の順に実行してもよい。
[扁平型電界放出素子 (その 2 )]
扁平型電界放出素子の模式的な一部断面 1¾を、 図 2 4の (A) に示す。 この扁 平型電界放出素子は、 例えばガラスから成る支持体 1 0上に形成されたカゾード 電極 1 1、 支持体 1 0及び力ソード電極 1 1上に形成された絶縁層 1 2、 絶縁層 1 2上に形成されたゲート電極 1 3、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2を貫通する 開口部 1 4 (ゲート電極 1 3に設けられた第 1開口部、 及び、 絶縁層 1 2に設け られ、 第 1開口部と連通した第 2開口部)、 並びに、 開口部 1 4の底部に位置する カソード電極 1 1の部分の上に設けられた扁平の電子放出部(電子放出層 1 5 B ) から成る。 ここで、 電子放出層 1 5 Bは、 図面の紙面垂直方向に延びたストライ プ状のカゾード電極 1 1上に形成されている。 また、 ゲート電極 1 3は、 図面の 紙面左右方向に延びている。 力ソード電極 1 1及びゲート電極 1 3はクロムから 成る。 電子放出層 1 5 Bは、 具体的には、 グラフアイト粉末から成る薄層から構 成されている。 図 2 4の (A) に示した扁平型電界放出素子においては、 カソ一 ド電極 1 1の表面の全域に亙って、 電子放出層 1 5 Bが形成されているが、 この
ような構造に限定するものではなく、 要は、 少なくとも開口部 1 4の底部に電子 放出層 1 5 Bが設けられていればよい。
[平面型電界放出素子]
平面型電界放出素子の模式的な一部断面図を、 図 2 4の (B ) に示す。 この平 面型電界放出素子は、 例えばガラスから成る支持体 1 0上に形成されたストライ プ状の力ソード電極 1 1、 支持体 1 0及び力ソード電極 1 1上に形成された絶縁 層 1 2、 絶縁層 1 2上に形成されたストライプ状のゲート電極 1 3、 並びに、 ゲ ート電極 1 3及び絶縁層 1 2を貫通する第 1開口部及び第 2開口部(開口部 1 4 ) から成る。 開口部 1 4の底 ¾ こは力ソード電極 1 1が露出している。 力ソード電 極 1 1は、 図面の紙面垂直方向に延び、 ゲ一ト電極 1 3は、 図面の紙面左右方向 に延びている。カゾード電極 1 1及びゲート電極 1 3はクロム(C r )から成り、 絶縁層 1 2は S i 02から成る。 ここで、 開口部 1 4の底部に露出したカソ一ド電 極 1 1の部分が電子放出部 1 5 Cに相当する。
[アノードパネル及び表示装置の製造方法] .
以下、基板等の模式的な一部断面図である図 2 5の(A)〜(F )を参照して、 ァノ一ドパネル A Pの製造方法を説明する。
[工程— 1 0 0 ]
先ず、 ガラス基板から成る基板 3 0上に隔壁 3 3を形成する (図 2 5の (A) 参照)。 隔壁 3 3の平面形状は格子形状 (井桁形状) である。 具体的には、 酸化コ バルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス層を約 5 0 //mの厚さで形 成した後、 フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術によって鉛ガラス層を選 択的に加工することにより、 格子形状 (井桁形状) の隔壁 3 3 (例えば図 5を参 照) を得ることができる。 尚、 場合によっては、 低融点ガラスペーストをスクリ —ン印刷法にて基板 3 0上に印刷し、 次いで、 かかる低融点ガラスペーストを焼 成することによって隔壁を形成してもよいし、 感光性ポリイミド樹脂層を基板 3 0の全面に形成した後、 かかる感光性ポリイミ ド樹脂層を露光、 現像することに
よって、 隔壁を形成してもよい。 1画素における隔壁 3 3の大きさを、 およそ、 縦 X横 X高さが 2 0 O ^ m x 1 0 0 j m 5 O mとした。 隔壁の一部は、 スぺ —サ 3 4を保持するためのスぺ一サ保持部としても機能する。 尚、 隔壁 3 3の形 成前に、隔壁 3 3を形成すベき基板 3 0の部分の表面にブラヅクマトリックス(図 2 5には図示せず) を形成することが、 表示画像のコントラスト向上といった観 点から好ましい。 尚、 ブラックマトリックス及び隔壁 3 3の形成前に、 ストライ プ状の透明電極 2 7を形成しておいてもよい。
[工程一 1 1 0 ]
次に、 赤色発光蛍光体層 3 1 Rを形成するために、 例えばポリビニルアルコ一 ル (P V A) 樹脂と水に赤色発光蛍光体粒子を分散させ、 更に、 重クロム酸アン モニゥムを添加した赤色発光蛍光体スラリーを全面に塗布した後、 かかる赤色発 光蛍光体スラリーを乾燥する。 その後、 基板 3 0側から赤色発光蛍光体層 3 1 R を形成すべき赤色発光蛍光体スラリーの部分に紫外線を照射し、 赤色発光蛍光体 スラリーを露光する。赤色発光蛍光体スラリ一は基板 3 0側から徐々に硬化する。 形成される赤色発光蛍光体層 3 1 Rの厚さは、 赤色発光蛍光体スラリーに対する 紫外線の照射量により決定される。 ここでは、 例えば、 赤色発光蛍光体スラリー に対する紫外線の照射時間を調整して、 赤色発光蛍光体層 3 1 11の厚さを約8 ^ mとした。 その後、 赤色発光蛍光体スラリーを現像することによって、 所定の隔 壁 3 3の間に赤色発光蛍光体層 3 1 Rを形成することができる (図 2 5の ( B ) 参照)。以下、 緑色発光蛍光体スラリーに対して同様の処理を行うことによって緑 色発光蛍光体層 3 1 Gを形成し、 更に、 青色発光蛍光体スラリーに対して同様の 処理を行うことによって青色発光蛍光体層 3 1 Bを形成する (図 2 5の (C ) 参 照)。 尚、 蛍光体層 3 1の表面は、 微視的には、 複数の蛍光体粒子により凹凸とな つている。 蛍光体層の形成方法は、 以上に説明した方法に限定されず、 赤色発光 蛍光体スラリ一、 緑色発光蛍光体スラリ一、 青色発光蛍光体スラリ一を順次塗布 した後、 各蛍光体スラリ一を順次露光、 現像して、 各蛍光体層を形成してもよい
し、 スクリーン印刷法等により各蛍光体層を形成してもよい。
[工程— 1 2 0 ]
その後、 隔壁 3 3及び蛍光体層 3 1が形成された基板 3 0を、 処理槽内に満た された液体 (具体的には、 水) 中に、 蛍光体層 3 1が液面側を向くように浸潰す る。 尚、 処理槽の排出部は閉じておく。 そして、 液面上に、 実質的に平坦な表面 を有する中間膜 5 0を形成する。 具体的には、 中間膜 5 0を構成する樹脂 (ラヅ カー) を溶解した有機溶剤を液面に滴下する。 即ち、 液面上に、 中間膜 5 0を形 成するための中間膜材料を展開する。中間膜 5 0を構成する樹脂(ラッカ一)は、 広義のワニスの一種で、 セルロース誘導体、 一般にニトロセルロースを主成分と した配合物を低級脂肪酸エステルのような揮発性溶剤に溶かしたもの、 あるいは、 他の合成高分子を用いたウレタンラッカ一、 ァクリルラッカーから構成される。 続いて、 中間膜材料を液面に浮遊させた状態において、 例えば 2分間程度乾燥さ せる。 これによつて、 中間膜材料が成膜され、 液面上に中間膜 5 0が平坦に形成 される。 中間膜 5 0を形成する際には、 例えば、 その厚さが約 3 O nmとなるよ うに中間膜材料の展開量を調整する。
続いて、 処理槽の排出部を開き、 処理槽から液体を排出して液面を降下させる ことにより、 液面上に形成されていた中間膜 5 0が隔壁 3 3に近づく方向に移動 し、 中間膜 5 0が隔壁 3 3に接触し、 最終的に、 中間膜 5 0が蛍光体層 3 1と接 する状態となり、中間膜 5 0が蛍光体層 3 1上に残される(図 2 5の(D )参照)。
[工程— 1 3 0 ]
次に、 中間膜 5 0を乾燥させる。 即ち、 基板 3 0を処理槽内から取り出し、 基 板 3 0を乾燥炉内に搬入し、 所定の温度環境中にて乾燥させる。 中間膜 5 0の乾 燥温度は例えば 3 0 ° C〜6 0 ° Cの範囲内とすることが好ましく、 中間膜 5 0 の乾燥時間は例えば数分〜数十分の範囲内とすることが好ましい。 勿論、 乾燥温 度の高低に伴い、 乾燥時間は減増する。
[工程一 1 4 0 ]
その後、 中間膜 50上に導電材料層 2 OAを形成する。 具体的には、 蒸着法又 はスパッタリング法により、 中間)!莫 50を覆うように、 アルミニウム (A1) や クロム(Cr)等の導電材料から成る導電材料層 2 OAを形成する(図 250(E) 参照)。
[工程一 150]
次いで、 400° C程度で中間膜 50を焼成する (図 25の (F)参照)。 この 焼成処理により中間膜 50が燃焼して焼失し、 導電材料層 20 Aが蛍光体層 31 上及び隔壁 33上に残される。 尚、 中間膜 50の燃焼により生じたガスは、 例え ば、 導電材料層 2 OAのうち、 隔壁 33の形状に沿って折れ曲がつている領域に 生じる微細な孔を通じて外部に排出される。 この孔は微細なため、 アノード電極 の構造的な強度や画像表示特性に深刻な影響を及ぼすものではない。
[工程— 160]
その後、 リソグラフィ技術及びェヅチング技術によって導電材料層 20 Aをパ ターニングすることで、 例えば、 アノード電極ユニットや給電線、 給電線ュニヅ トを得ることができる。 更に 必要に応じて、 抵抗体層や第 1の抵抗部材、 第 2 の抵抗部材を、 スクリーン印刷法や、 CVD法とリソグラフィ技術及びエツチン グ技術に基づき形成すればよい。 こうして、 アノードパネル A Pを完成すること ができる。
[工程— 170]
電界放出素子が形成された力ソードパネル CPを準備する。 そして、 表示装置 の組み立てを行う。 具体的には、 例えば、 アノードパネル APの有効領域に設け られたスぺーサ保持部にスぺ一サ 34を取り付け、 蛍光体層 31と電界放出素子 とが対向するようにアノードパネル APとカソ一ドパネル CPとを配置し、 ァノ —ドパネル A Pと力ソードパネル CP (より具体的には、 基板 30と支持体 10) とを、 セラミックスやガラスから作製された高さ約 lmmの枠体 35を介して、 周縁部において接合する。接合に際しては、 枠体 35とアノードパネル APとの
接合部位、 及び、 枠体 3 5と力ソードパネル C Pとの接合部位にフリットガラス を塗布し、 アノードパネル APと力ソードパネル C Pと枠体 3 5とを貼り合わせ、 予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、 約 4 5 0 ° Cで 1 0〜3 0分の本焼 成を行う。 その後、 ァノ一ドパネル A Pと力ソードパネル C Pと枠体 3 5とフリ ヅトガラス (図示せず) とによって囲まれた空間を、 貫通孔 (図示せず) 及びチ ヅプ管(図示せず) を通じて排気し、 空間の圧力が 1 0— 4P a程度に達した時点で チヅプ管を加熱溶融により封じ切る。 このようにして、 アノードパネル A Pと力 ソ一ドパネル C Pと枠体 3 5とに囲まれた空間を真空にすることができる。 ある いは又、 例えば、 枠体 3 5とアノードパネル A Pとカゾードパネル C Pとの貼り 合わせを高真空雰囲気中で行ってもよい。 あるいは又、 表示装置の構造に依って は、 枠体無しで、 接着層のみによってアノードパネル APと力ソードパネル C P とを貼り合わせてもよい。 その後、 必要な外部回路との配線接続を行い、 表示装 置を完成させる。
以上、 本発明を、 実施例に基づき説明したが、 本発明はこれらに限定されるも のではない。 実施例にて説明したアノードパネルや力ソードパネル、 表示装置や 電界放出素子の構成、 構造は例示であり、 適宜変更することができるし、 ァノ一 ドパネルやカソ一ドパネル、 表示装置や電界放出素子の製造方法も例示であり、 適宜変更することができる。 更には、 アノードパネルやカゾードパネルの製造に おいて使用した各種材料も例示であり、 適宜変更することができる。表示装置に おいては、専らカラ一表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。 電界放出素子においては、 専ら 1つの開口部に 1つの電子放出部が対応する形 態を説明したが、 電界放出素子の構造に依っては、 1つの開口部に複数の電子放 出部が対応した形態、 あるいは、 複数の開口部に 1つの電子放出部が対応する形 態とすることもできる。 あるいは又、 ゲート電極に複数の第 1開口部を設け、 絶 縁層にかかる複数の第 1開口部に連通した複数の第 2開口部を設け、 1又は複数 の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
電界放出素子において、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2の上に更に第 2の絶縁 層 6 2を設け、 第 2の絶縁層 6 2上に収束電極 6 3を設けてもよい。 このような 構造を有する電界放出素子の模式的な一部端面図を図 2 6に示す。 第 2の絶縁層 6 2には、 第 1開口部 1 4 Aに連通した第 3開口部 6 4が設けられている。 収束 電極 6 3の形成は、 例えば、 [工程一 A 2 ] において、 絶縁層 1 2上にストライプ 状のゲート電極 1 3を形成した後、 第 2の絶縁層 6 2を形成し、 次いで、 第 2の 絶縁層 6 2上にパターニングされた収束電極 6 3を形成した後、 収束電極 6 3、 第 2の絶縁層 6 2に第 3開口部 6 4を設け、 更に、 ゲート電極 1 3に第 1開口部 1 4 Aを設ければよい。 尚、 収束電極のパターニングに依存して、 1又は複数の 電子放出部、 あるいは、 1又は複数の画素に対応する収束電極ユニットが集合し た形式の収束電極とすることもでき、 あるいは又、 有効領域を 1枚のシート状の 導電材料で被覆した形式の収束電極とすることもできる。尚、図 2 6においては、 スピント型電界放出素子を図示したが、 その他の電界放出素子とすることもでき ることは云うまでもない。
収束電極は、 このような方法にて形成するだけでなく、 例えば、 厚さ数十/ z m の 4 2 %N i— F eァロイから成る金属板の両面に、 例えば S i 02から成る絶縁 膜を形成した後、 各画素に対応した領域にパンチングゃェヅチングすることによ つて開口部を形成することで収束電極を作製することもできる。 そして、 カソ一 ドパネル、 金属板、 アノードパネルを積み重ね、 両パネルの外周部に枠体を配置 し、 加熱処理を施すことによって、 金属板の一方の面に形成された絶縁膜と絶縁 層 1 2とを接着させ、 金属板の他方の面に形成された絶縁膜とアノードパネルと を接着し、 これらの部材を一体化させ、 その後、 真空封入することで、 表示装置 を完成させることもできる。
尚、 収束電極を設けた場合、 主に、 収束電極とアノード電極ユニットの間で放 電が生じる。 アノード電極ユニットと収束電極との間の最短距離が、 アノード電 極ユニットと電界放出素子との間の距離 dに相当する。
ゲート電極を、 有効領域を 1枚のシート状の導電材料 (開口部を有する) で被 覆した形式のゲート電極とすることもできる。 この場合には、 かかるゲート電極 に正の電圧を印加する。 そして、 各画素を構成する力ソード電極と力ソード電極 制御回路との間に、 例えば、 T F Tから成るスイッチング素子を設け、 かかるス イッチング素子の作動によって、 各画素を構成する電子放出部への印加状態を制 御し、 画素の発光状態を制御する。
あるいは又、 力ソード電極を、 有効領域を 1枚のシート状の導電材料で被覆し た形式の力ソード電極とすることもできる。 この場合には、 かかる力ソード電極 に電圧を印加する。 そして、 各画素を構成する電子放出部とゲート電極制御回路 との間に、 例えば、 T F Tから成るスイッチング素子を設け、 かかるスィッチン グ素子の作動によって、 各画素を構成するゲ一ト電極への印加状態を制御し、 画 素の発光状態を制御する。
冷陰極電界電子放出表示装置は、 力ソード電極、 ゲート電極及びアノード電極 から構成された所謂 3電極型に限定されず、 力ソード電極及びァノード電極から 構成された所謂 2電極型とすることもできる。 実施例 1にて説明したアノードパ ネルの構成をこのような構造の表示装置に適用した例の模式的な一部断面図を図 2 7に示す。 尚、 図 2 7においては、 隔壁やブラックマトリヅクス、 抵抗体 R0の 図示を省略している。 この表示装置における電界放出素子は、 支持体 1 0上に設 けられた力ソード電極 1 1と、 力ソード電極 1 1上に形成された力一ボン ·ナノ チューブ 1 9から構成された電子放出部 1 5 Aから成る。 アノードパネル A Pを 構成するァノ一ド電極 2 0は、 複数のストライプ状のァノ一ド電極ュニヅ ト 2 1 から構成されている。 尚、 ストライプ状のアノード電極ユニット 2 1の間は導通 していない。電子放出部の構造は力一ボン ·ナノチューブ構造体に限定されない。 ストライプ状の力ソード電極 1 1の射影像とストライプ状のアノード電極ュニヅ ト 2 1の射影像とは直交する。 具体的には、 力ソード電極 1 1は図面の紙面垂直 方向に延び、 ストライプ状のアノード電極ュニヅト 2 1は図面の紙面左右方向に
延びている。 この表示装置における力ソードパネル C Pにおいては、 上述のよう な電界放出素子の複数から構成された電子放出領域が有効領域に 2次元マトリッ クス状に多数形成されている。
この表示装置においては、 ァノ一ド電極ュニヅト 2 1によって形成された電界 に基づき、 量子トンネル効果に基づき電子放出部 1 5 Aから電子が放出され、 こ の電子がアノード電極ュニヅト 2 1に引き付けられ、 蛍光体層 3 1に衝突する。 即ち、 アノード電極ュニヅト 2 1の射影像と力ソード電極 1 1の射影像とが重複 する領域 (アノード電極/力ソード電極重複領域) に位置する電子放出部 1 5 A から電子が放出される、 所謂単純マトリクス方式により、 表示装置の駆動が行わ れる。 具体的には、 力ソード電極制御回路 4 1から力ソード電極 1 1に相対的に 負の電圧を印加し、 アノード電極制御回路 4 3からアノード電極ュニヅト 2 1に 相対的に正の電圧を印加する。 その結果、 列選択された力ソード電極 1 1と行選 択されたアノード電極ユニット 2 1 (あるいは、 行選択された力ソード電極 1 1 と列選択されたアノード電極ュニヅト 2 1 ) とのアノード電極 Zカソ一ド電極重 複領域に位置する電子放出部 1 5 Aを構成する力一ボン ·ナノチューブ 1 9から 選択的に真空空間中へ電子が放出され、 この電子がアノード電極ュニット 2 1に 弓 ίき付けられてアノードパネル A Pを構成する蛍光体層 3 1に衝突し、 蛍光体層 3 1を励起、 発光させる。
このような構成の表示装置に対して、 実施例 1〜実施例 5で説明した各種のァ ノードパネル Α Ρを適用することができる。
ァノ一ド電極ュニヅト 2 1 , 1 2 1を形成した後、 抵抗体層 2 8, 1 2 8を形 成する方法の一例を、 以下に説明する。 即ち、 レジストマスク層をアノード電極 2 0 , 1 2 0上にスピンコ一ティング法にて成膜した後、 真空脱泡を行う。 次い で、 リソグラフィ技術によってレジストマスク層をパ夕一ニングした後、 係るレ ジストマスク層 7 0をエッチング用マスクとしてアノード電極 2 0 , 1 2 0をェ ヅチングして、 アノード電極ユニット 2 1, 1 2 1を形成する。 この状態を、 図
28の (A) に模式的に示す。 通常、 レジストマスク層 70の開口の直下のァノ —ド電極 20, 120はオーバ一エッチングされた状態にある。 その後、 抵抗体 層 28, 128を形成するために、 レジストマスク層 70を残した状態で S i C から成る抵抗体薄膜 71をスパヅ夕リング法にて、 露出したアノード電極ュニヅ ト 21, 121の部分、 基板 30の部分、 及び、 レジストマスク層 70上に形成 し、 レジストマスク層 70を除去することで、 抵抗体層 28, 128を得ること ができる。 しかしながら、 レジストマスク層 70の開口の直下のアノード電極 2 0, 120はオーバ一エッチングされた状態にあるので、 露出したアノード電極 ュニヅト 21, 121上に抵抗体層 28, 128が確実には形成されない場合が ある (図 28の (B)参照)。 このような現象の発生を防止するためには、 図 28 の (A) の状態が得られた後、 レジス トマスク層 70をオーバ一露光するか、 追 加現像を行うか、 基板 30の裏面からの背面露光を行うことで、 アノード電極ュ ニット 21, 121の縁部分の上方のレジストマスク層 70の部分を除去すれば よい (図 28の (C)参照)。 その後、 レジストマスク層 70を残した状態で S i Cから成る抵抗体薄膜 71を、 スパッタリング法にて、 露出したアノード電極ュ ニット 21, 121の部分、 基板 30の部分、 及び、 レジストマスク層 70上に 形成し、 レジストマスク層 70を除去することで、 抵抗体層 28, 128を得る ことができる。 このような方法を採用することで、 露出したアノード電極ュニッ ト 21, 121上に抵抗体層 28, 128が確実に形成される (図 28の (D) 参照)。
本発明の表示装置においては、 アノード電極を、 より小さい面積を有するァノ —ド電極ュニヅ卜に分割した形で形成するので、 アノード電極ユニットと冷陰極 電界電子放出素子との間の静電容量を減少させ、 アノード電極ユニットと冷陰極 電界電子放出素子との間で生じた放電により発生するエネルギーを低減させるこ とができる。 その結果、 アノード電極ュニヅトと冷陰極電界電子放出素子との間 での異常放電 (真空アーク放電) の発生を効果的に防止することが可能となる。
しかも、 本発明の第 1の態様あるいは第 3の態様に係る冷陰極電界電子放出表 示装置にあっては、 アノード電極ュニヅト間のギャップ長を規定することによつ て、 アノード電極ユニット間における放電の発生を確実に防止できる。 また、 本 発明の第 2の態様、 第 4の態様、 あるいは第 5の態様に係る冷陰極電界電子放出 表示装置にあっては、 ァノ一ド電極ユニットの面積を規定することによって、 ァ ノード電極ュニットと冷陰極電界電子放出素子との間で生じた放電によってァノ ―ド電極ュニットに局所的な損傷が生じることを確実に抑止することができる。 以上の結果として、 動作の安定性や信頼性に優れ、 長寿命の冷陰極電界電子放出 表示装置を得ることができる。