WO2001092010A1

WO2001092010A1 - Heat-storing dotted sheet, heat-storing cotton wadding, heat-storing fiber structure, heat-storing laminate and heat-storing cloth product

Info

Publication number: WO2001092010A1
Application number: PCT/JP2001/004601
Authority: WO
Inventors: Masahiro Sano
Original assignee: Idemitsu Technofine Co., Ltd.
Priority date: 2000-05-31
Filing date: 2001-05-31
Publication date: 2001-12-06

Description

明細書蓄熱性ドット加工シート、蓄熱性中綿、蓄熱性繊維構造物、蓄熱性積層品、およぴ蓄熱性布製品技術分野

本発明は、蓄熱性ドット加工シート、蓄熱性中綿、蓄熱性繊維構造物、蓄熱性積層品、およぴ蓄熱性布製品に関する。背景技術

従来から、温度変化の著しい環境において着用される衣服用等に、蓄熱性を有する材料が種々開発され、利用されている。

このような蓄熱性を有する材料には、一般的に常温付近に融点を有する物質を封入したマイクカプセルを布に塗布したり、マイクロ力プセルを含有する繊維を紡糸し、この繊維をファブリックとしたもの等が採用されている。しかしながら、従来報告されている蓄熱性材料は、蓄熱性の向上を目的とする関係上、繊維等の有するその他の機能が損なわれるという問題があった。また、蓄熱性に加えて、他の機能を付与するという試みもほとんど検討されていない。例えば、衣服を着用した際における快適性を高めるためには、保温性に加えて透湿性、吸放湿性、耐水性等も必要とされる。ところが、蓄熱材を樹脂パインダにより布等にコーティング等する場合、保温性は向上するものの、バインダにより布の透湿性等が低下する可能性がある。

このようなことから蓄熱性を付与しつつ、他の付加機能をも併せ持たせた蓄熱性材料の開発が要望されている。本発明の目的は、蓄熱性と他の機能を併せ持つ蓄熱性ドット加工シート、蓄熱性中綿、蓄熱性繊維構造物、蓄熱性積層品おょぴ蓄熱性布製品を提供することにある。発明の開示

具体的には、本発明に係る蓄熱性ドット加工シートは、マイクロカプセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを含む合成樹脂をシート基材表面にドット状に形成したことを特徴とする。

本発明における蓄熱性物質としては、特に限定はなく、用途に応じて適当な融点を有するものを適宜選択して使用することができる。例えば、パラフィン系炭化水素、天然ワックス、石油ワックス、ポリエチレングリコール、無機化合物の水和物等が挙げられる。特に、 5〜4 0 °C、好ましくは約 1 5〜3 0 °Cに融点を有するパラフィン系炭化水素が好ましい。このようなパラフィン系炭化水素としては、例えば、ォクタデカン（融点 2 8 °C) 、ヘプタデカン（融点 2 3 °C) 、へキサデカン（融点 1 8 °C) 等が挙げられる。

なお、異なる融点を有する複数の蓄熱性物質を併用することも可能である。マイクロカプセルに用いられる被膜としては、その耐熱温度が蓄熱性物質の融点に比べて高い材質であり、用途に応じた強度を有する材質を適宜選択して使用することができる。例えば、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られるメラミン樹脂、ゼラチン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を採用できる。また、マイクロカプセルの製造方法としては、界面重合法、 in- situ重合法、コァセルべート法等の公知の製造方法から、蓄熱性物質、被膜の材質等に応じて適切な方法を選択することができる。

このようなマイクロカプセルの平均粒径は、 1〜5 0 0 i mが好ましく、より好ましくは 5〜2 0 0 μ πιである。また、内包される蓄熱性物質の量は、蓄熱性を高めることを考慮すると、多い方が理想的であるが、充填しすぎると蓄熱性物質の状態変化に伴う体積変動によりマイクロカプセルが破損するおそれがある。したがって、マイクロカプセル全体の重量に対する蓄熱性物質の量は、 5 0〜9 5 w t %とすることが好ましい。

前記ドットの原料樹脂は、特に限定はなく、例えば、ポリゥレタン、ポリ塩化ビュル、アクリル樹脂、ラテックス等を使用できる。

また、蓄熱性ドット加工シートのシート基材の素材としては、例えば、人工 · 合成皮革、天然皮革、合成樹脂（ポリウレタン、ポリ塩化ビュル、ポリエチレン等）、不織布、織物、編物等を使用できる。

ドット加工法には、特に限定はなく、例えば、ロータリー型スクリーン印刷と同等の方法によって、シート基材の表面にドットを形成することができる。この際、ドットの大きさおよび単位面積当たりの蓄熱性カプセル量等は、使用目的等に応じて適宜設定することができる。ドットの大きさは、 l〜5 mmであることが好ましい。蓄熱性カプセル量は、 5〜3 0 0 g Zm²であることが好ましく、 1 0〜2 0 0 g Zm²がより好ましい。

本発明によれば、熱性カプセルを含む合成樹脂をシート表面にドット状に形成した蓄熱性ドット加工シートであるから、蓄熱性カプセルによる蓄熱性と、ドットによる滑り itめ作用等を併せ持つシートとすることができる。

このようなドット加工シートは、例えば、靴の中敷等に好適に利用できる。中敷として使用した場合、ドット内の蓄熱性カプセルによって蓄熱性が発揮され、ドットによる他の機能（効果）も発揮される。すなわち、保温効果に加え、ドットによる滑り止め効果や、足の裏を刺激することによる血行促進効果も発揮されることとなる。本発明に係る蓄熱性中綿は、マイクロ力プセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを含有する樹脂バインダを、綿の繊維表面に塗布したことを特徴とする。

ここで、樹脂パインダとしては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等を採用できる。

また、この場合のマイクロカプセルの粒径は、蓄熱性を考慮した場合には、大きいほど好ましいが、大きすぎると塗布作業が困難になる。したがって、蓄熱性と塗布性とを考慮すると、平均粒径は 1〜 5 0 0 μ mが好ましく、 5〜2 0 0 μ mがより好ましい。

また、綿の繊維表面に蓄熱性カプセル含有樹脂バインダを塗布する方法としては、特に限定はないが、例えば、樹脂パインダをスプレーで塗布する方法等が、塗布時に繊維が飛散しゃすい中綿に対しても問題なく使用することができて理想的である。なお、塗布する面は中綿の片面のみでもよく、両面でもよい。

このようにして得られた中綿は、スキーウエア、スキー手袋、寝袋、パッド、布団等の中綿として好適に利用できる。本発明に係る蓄熱性繊維構造物は、マイクロカプセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを樹脂バインダで繊維構造物に固着したことを特徴とする。蓄熱性カプセルを樹脂パインダで繊維構造物に固着させる手法としては、特に限定はないが、例えば、ウレタン樹脂バインダに蓄熱性カプセルを混合し、繊維構造物（生地）にナイフコータ等でコーティングする方法等を採用できる。ここで、樹脂バインダとしては、透湿性を有する高透湿性ウレタンを採用することが好ましい。また、その被膜厚みが 1 0 μ πιの際の透湿度は、 2 0 0 0 g / m² · 2 4 h以上であることが好ましく、 3 0 0 0 g /m² · 2 4 h以上がより好ましい。

なお、透湿度は、 J I S L - 1 0 9 9 A - 1に準拠した方法により測定したものである。

また、高い防水性が必要な時は、さらに公知のウレタン樹脂皮膜やポリテトラフルォロエチレン樹脂膜を付与することが出来る。

このような透湿性を有するバインダを用いることで、蓄熱性、耐水性および透湿性の両機能を併せ持つ繊維構造物とすることができる。したがって、このような繊維構造物を衣類として用いた場合に、その衣類を着用した際の衣服内の快適性を一層向上することができる。

また、当該蓄熱性繊維構造物には、天然有機物微粉末を配合することが好ましい。

ここで、天然有機物微粉末としては、コラーゲンパウダ、シルクパウダ、ウールパウダ、セルロースパウダ、キチンパウダ、キトサンパウダ、ダイズパゥダ等を採用できる。また、天然有機物微粉末の平均粒径としては、 1〜 1 0 0 ^ ιηが理想的である。

天然有機物微粉末を配合する手法としては、特に限定はないが、例えば、ウレタン系樹脂バインダに蓄熱性カプセルと天然有機物微粉末とを混合し、生地（繊維構造物）にナイフコータ等でコーティングする方法や、離型紙上にフィルムを形成し、生地上にラミネートする方法等を採用できる。

このように天然有機物微粉末を配合することで、繊維構造物に、さらに吸放湿性を付与することができ、この繊維構造物を衣類として用いた場合に、その衣類を着用した際の衣服内の快適性をより一層向上することができる。

さらに、当該蓄熱性繊維構造物には、熱反射性物質を配合することも可能である。熱反射性物質としては、例えば、アルミパウダ等が挙げられる。

配合する手法としては、樹脂バインダに熱反射性物質を配合する方法や、蓄熱性繊維構造物のバインダ被膜面に、熱反射性物質を含む樹脂をダラビア印刷する方法等を採用できる。本発明に係る蓄熱性積層品は、前記蓄熱性繊維構造物と、この蓄熱性繊維構造物に積層される発泡層と、さらにこの発泡層に積層される層とを備えることを特徴とする。

ここで、発泡層を構成する素材としては、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリオレフインフォーム、 A B Sフォーム等を採用できる。また、発泡層に積層される層を構成する素材としては、ポリエステル、ナイ口ン、レーヨン、綿等が挙げられる。

なお、これらを積層する手法は、公知の種々の方法を採用することができる。本発明によれば、蓄熱性積層品が、前記蓄熱性繊維構造物と、この蓄熱性繊維構造物の上に積層される発泡層と、さらにこの発泡層の上に積層される層とを備えている。したがって、発泡層による断熱性と、蓄熱性繊維構造物による蓄熱性との両方の効果が発揮される。しかも、蓄熱性繊維構造物の製造に当たり、高透湿性ウレタンをバインダとして用いれば、透湿性も付与することができる。

さらに、発泡層中にパインダを含浸させ、蓄熱性カプセルを発泡層内部に混入させる構造ではないから、その弾性等の特性を損なうこともない。また、本発明に係る蓄熱性布製品は、裏地と、この裏地に積層されるマイクロカプセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを含有する樹脂バインダを綿の繊維表面に塗布した蓄熱性中綿と、この蓄熱性中綿に積層され？)前記蓄熱性繊維構造物とを含むことを特徴とする。

ここで、裏地としては、一般に利用されているポリエステル、キュプラ等を採用できる。また、起毛処理を行った裏地や、メッシュ裏地等を使用することもでさる。

本発明によれば、蓄熱性布製品が、マイクロカプセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを含有する樹脂バインダを綿の繊維表面に塗布した蓄熱性中綿と、この蓄熱性中綿に積層される前記蓄熱性繊維構造物との両層を備えている。したがって、蓄熱性カプセルを含有する層を 2層有することとなるため、布製品全体としての熱容量が大きくなり、蓄熱効果を一層向上することができる。また、中綿によるクッション性も発揮されることとなる。以上で説明した蓄熱性積層品、蓄熱性布製品は、スキーウエア、防寒服、寝袋等に好適に利用することができる。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の第 1実施形態の蓄熱性ドット加工シートを示す部分平面図である。

図 2は、図 1の実施形態における II- II線に沿う断面図である。

図 3は、本発明の第 2実施形態に係る中綿を示す部分断面図である。

図 4は、本発明の第 3実施形態に係る蓄熱性繊維構造物を示す部分断面図である。

図 5は、本発明の第 4実施形態に係る蓄熱性積層品を示す部分断面図である。図 6は、本発明の第 5実施形態に係る蓄熱性布製品を示す部分断面図である。図 7は、実施例 1および比較例で得られたシートの温度変化を表すグラフである。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 [第 1実施形態]

図 1およぴ図 2には、本発明の第 1実施形態に係る蓄熱性ドット加工シート 1 が示されている。

蓄熱性ドット加工シート 1は、図 1および図 2に示されるように、 P E Tレーヨン製のシート基材 1 0の表面に、ドット 1 1を備えて構成されている。

ドット 1 1は、メラミン樹脂被膜からなるマイクロカプセル内に、蓄熱性物質としてのォクタデカンが内包された蓄熱性カプセルを含む合成樹脂を、ドット状に形成したものである。

ここで、蓄熱性カプセルは、コアセルべート法により製造したものであり、その平均粒径は 5 0 / mとされている。また、合成樹脂としては後述するようにゥレタンェマルジョンを使用している。

このような蓄熱性ドット加工シート 1は、次のように製造する。

まず、シート基材 1 0としての P E Tレーヨンの裏面に、ウレタンェマルジョンをナイフコータで塗布して乾燥させて目止め層（図示省略）を形成する。

次に、ドット加工装置を使用し、シート基材 1 0の表面に蓄熱性カプセルを配合したウレタンェマルジョンをプリントしてドット 1 1を形成し、蓄熱性ドット加工シート 1を得る。

ここで使用するドット加工装置は、ロータリー型スクリーン印刷機と類似の構造を有し、版胴の表面にドット形成用の穴が複数個、所定間隔で形成されたものである。

また、シート基材 1 0の単位面積当たりの蓄熱性カプセル量は、 1 0 0 g Zm² に H 疋 ^"る。

得られたドット加工シート 1は、衣類、寝具や靴の中敷用等に好適に利用することができる。

上述のような第 1実施形態によれば、次のような効果がある。

(1)蓄熱性カプセルを含むドット 1 1をシート基材 1 0の表面に備える蓄熱性ドット加工シート 1であるから、蓄熱性力プセルによる蓄熱性と、ドット 1 1による滑り止め作用等を併せ持つシート 1とすることができる。

(2)蓄熱性ドット加工シート 1を靴の中敷に利用した場合、ドット 1 1内の蓄熱性カプセルによる蓄熱性に伴う温度調節効果に加え、ドット 1 1による滑り止め効果ゃ、足の裏を刺激することによる血行促進効果も併せて発揮されることとなる。

[第 2実施形態]

図 3には本発明の第 2実施形態に係る蓄熱性中綿 2が示されている。

蓄熱性中綿 2は、中綿 2 0の表面近傍に蓄熱性カプセル 2 1が散在されて構成されている。ここで、蓄熱性カプセル 2 1は、前記第 1実施形態と同一のものを用いている。

このような蓄熱性中綿 2は、ポリエステルの繊維を所望の形状に成形した後、蓄熱 1"生カプセル 2 1を含有させた樹脂パインダとしてのアクリルェマルジヨンを、中綿 2 0の表面にスプレーにより塗布し、保形して得ることができる。

具体的には、例えば、蓄熱性カプセル 2 1を 5 0重量部、アクリルェマルジョンを 5 0重量部配合し、所定の目付の中綿 2 0に、蓄熱性カプセル 2 1の目付が 5 0 g Zm²になるようにスプレーすればよい。

得られた蓄熱性中綿 2は、スキーウエア、布団、寝袋、パッド等に好適に利用することができる。

上述のような第 2実施形態によれば、次のような効果がある。

(3)中綿 2 0の繊維表面にのみ、蓄熱性カプセル 2 1を含有したァクリルエマルジョンをスプレー塗布しているため、中綿 2 0の持つクッション性、伸縮性等の機能は損なわれることはない。

(4)ァクリルェマルジョン中の蓄熱性カプセル 2 1の量を調節することで、保温性能を適宜調整することが可能となる。

[第 3実施形態]

以下の説明では、前記第 2実施形態と同一構造には同一符号を付して、その説明を省略または簡略化する。

図 4には本発明の第 3実施形態に係る蓄熱性繊維構造物 3が示されている。蓄熱性繊維構造物 3は、ナイ口ン織物の生地 3 0と、蓄熱性力プセル 2 1を含有する樹脂バインダ被膜 3 1とを備えて構成されている。なお、樹脂パインダ被膜には、蓄熱性繊維構造物の吸放湿性を向上させるために、適宜天然有機物微粉末を配合してもよい。

このような蓄熱性繊維構造物 3では、榭脂バインダ被膜 3 1の原料となるウレタンとして、高透湿性ウレタンを用いることで透湿性を向上させることができる。樹脂バインダ被膜 3 1を生地 3 0に固着させる方法としては、例えば、蓄熱性カプセル 2 1を高透湿性ウレタンに混合し、この混合液を用い、離型紙上にフィルムを形成させ、生地 3 0上にラミネートする方法を採用できる。

なお、高透湿性ウレタンとしては、透湿度が 2 0 0 0 g /m² · 2 4 h (膜厚 1 0 μ m) 以上のものを使用している。

上述のような第 3実施形態によれば、次のような効果がある。

(5)生地 3 0に、透湿度が 2 0 0 0 g /m² · 2 4 h以上の高透湿性ウレタンをパインダとして蓄熱性カプセル 2 1を固着させ、蓄熱性繊維構造物 3を得ている。したがって、蓄熱性および透湿性の両機能を併せ持つ繊維構造物 3とすることができる。これにより、繊維構造物 3を衣類として用いた場合に、その衣類を着用した際の衣服内の快適性を一層向上することができる。

[第 4実施形態]

以下の説明では、前記第 2および第 3実施形態と同一構造については同一符号を付して、その説明を省略または簡略化する。

図 5には本発明の第 4実施形態に係る蓄熱性積層品 4が示されている。

蓄熱性積層品 4は、蓄熱性繊維構造物 3と、発泡層 4 3と、さらにこの発泡層 4 3に積層された層 4 2とを備えて構成されている。

層 4 2は、ナイロン、ポリエステル等からなる布である。発泡層 4 3は、ポリウレタンフォームから構成されている。ここで、ポリウレタンフォームは、原料であるポリウレタンに発泡剤おょぴ硬化剤等を添加し、加熱発泡させることで得られる。

なお、本実施形態では使用していないが、蓄熱製繊維構造物に、熱反射性物質を積層、散在させてもよい。

このような蓄熱性布製品 4は、スキーウエア、防寒着、寝袋等に好適に利用することができる。

上述のような第 4実施形態によれば、前記第 3実施形態の（5)の効果が得られる他、次のような効果も得られる。

(6)蓄熱性繊維構造物 3と、蓄熱性繊維構造物 3に積層される発泡層 4 3と、発泡層 4 3に積層される層 4 2を備えている。したがって、発泡層 4 3による断熱性、弾性と、蓄熱性繊維構造物 3による蓄熱性との両方の効果が発揮される。

(7)蓄熱性カプセル 2 1を発泡層 4 3の内部に混入させる構造ではないから、その弾性等の特性を損なうこともない。

[第 5実施形態]

以下の説明では、前記第 2から第 4実施形態と同一構造については同一符号を付して、その説明を省略または簡略化する。

図 6には本発明の第 5実施形態に係る蓄熱性布製品 5が示されている。

蓄熱性布製品 5は、蓄熱性繊維構造物 3と、中綿 2 0と、裏地 5 4とを備えて構成されている。

ここで、裏地 5 4は、ポリエステル製の布から構成されている。

このような蓄熱性布製品 5は、スキーウエア、防寒着、寝袋等に好適に利用することができる。

上述のような第 5実施形態によれば、前記第 2およぴ第 3実施形態の（3)〜（5) の効果が得られる他、次のような効果も得られる。

(8)蓄熱性布製品 5が、蓄熱性中綿 2と、この蓄熱性中綿に積層される蓄熱性繊維構造物 3との両層を備えている。したがって、蓄熱性カプセル 2 1を含有する層を 2層有することとなるため、布製品 5の全体としての熱容量が大きくなり、蓄熱効果を一層向上することができる。なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、前記 1 実施形態では、シート基材 1 0の一層から構成される蓄熱性ドット加工シート 1 を用いていたが、これに限られない。すなわち、用途等に応じて任意の層構成を採用することができる。また、シート基材 1 0の材質に P E Tレーヨンを用いていたが、これに限定されず、任意の材質、例えば、ポリエステル、綿等を採用できる。

前記第 2実施形態では、中綿 2 0の一方の表面側にのみ蓄熱性カプセル 2 1を散在させていたが、これに限らず、両面側に蓄熱性カプセルを散在させてもよい。このようにすることで、全体の熱容量が大きくなり、蓄熱効果を一層向上できることになる。また、アクリルェマルジヨンを用いて蓄熱性カプセル 2 1を固着していたが、これに限られない。すなわち、蓄熱性カプセルを固着できる樹脂バインダであれば任意のものを揉用でき、例えば、ウレタン系榭脂ェマルジヨン等を採用できる。

前記第 3実施形態では、高透湿性ウレタンを用いて、蓄熱性カプセル 2 .1を生地 3 0に固着していたが、これに限られず、前述同様任意の樹脂バインダを用いることができる。また、生地 3 0としてナイロン製のものを用いていたがこれに限られず、蓄熱性繊維構造物とできる材質であれば、任意の材質を用いることができ、用途等に応じて適宜選択すればよい。

前記第 4実施形態では、発泡層 4 3としてポリウレタンフォームを用いていたがこれに限られず、ポリスチレンフォーム、ポリオレフインフォーム、 A B S フォーム等を採用できる。また、層 4 2の材質も、前記第 4実施形態のものに限られず、用途等に応じて適宜選択することもできる。

前記第 5実施形態では、裏地 5 4としてポリエステル製のものを用いていたが、これに限られず、用途等に応じて適宜他の材質を選択することも可能である。前記各実施形態では、蓄熱性物質として、ォクタデカンを用いていたが、これに限られず、用途に応じて種々の融点を有する他の蓄熱性物質を用いることもできる。

その他、本発明を実施する際の具体的な構造、材質および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等と以下実施例おょぴ比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する (

[実施例 1 ] 前記第 1実施形態で示した方法で、蓄熱性ドット加工シート 1を得た。

[実施例 2 ]

実施例 1と同様の蓄熱性力プセル 2 1を使用し、前記第 2実施形態で示した方法で、蓄熱性中綿 2を得た。この際、アクリルェマルジヨンとして、ボンコート A N 1 9 8 (日本ェヌ ·エス ·シー（株）製）を使用し、中綿 2 0として、目付 1 0 0 g /m²のポリエチレンテレフタレート製中綿を用いた。

[実施例 3 ]

実施例 1と同様の蓄熱性力プセル 2 1を使用し、前記第 3実施形態で示した方法で、蓄熱性繊維構造物 3を得た。この際、樹脂バインダとして、ハイムレン Y — 2 1 0 (大日精化工業（株）製、透湿度 5 0 0 0 g /m² · 2 4 h ( 1 0 μ ια) ) を使用した。

単位面積当たりの蓄熱性カプセル 2 1の量は、 5 g /m²であった。

[実施例 4 ]

実施例 3で得られた蓄熱性繊維構造物 3を用い、蓄熱性積層品 4を得た。

[実施例 5 ]

実施例 2で得られた蓄熱性中綿 2および実施例 3で得られた蓄熱性繊維構造物 3を用い、蓄熱性布製品 5を得た。

単位面積当たりの蓄熱性カプセル量は、 5 5 g Zm²であった。

[比較例]

実施例 1において、蓄熱性カプセルを含まないドット加工シートを製造した。前記実施例 1および比較例で得られた材料を、 2 0 °Cの雰囲気下から 5 0 °Cの雰囲気下へ入れたとき、および 5 0 °Cの雰囲気下から 2 0 °Cの雰囲気下に入れ、そのサイクルを繰り返した時に、各材料がどのような温度変化を示すかを測定した。その結果を図 7に示した。図 7中、横軸は時間（分）を、縦軸は温度（°C) を示しており、 0分で 2 0 °Cから 5 0 °Cの雰囲気下へ移し、 1 0分で 5 0でから

2 0 °Cの雰囲気下へ移して測定を行っている。

なお、測定に当たっては、得られた材料を熱電対温度計に卷き付け、温度の変化をレコーダで記録した。

図 7に示されるように、 '実施例 1で得られたドット加工シートでは、蓄熱性力プセルによる保温効果が発揮された結果、外気温の変化に伴う材料自体の温度変化の割合が、比較例よりも遅いことがわかる。産業上の利用可能性

本発明の、蓄熱性と他の機能を併せ持つ蓄熱性ドット加工シート、蓄熱性中綿、蓄熱性繊維構造物、蓄熱性積層品、およぴ蓄熱性布製品は、靴の中敷等、スキーウェア、スキー手袋、寝袋、パッド、布団等の中綿、あるいは温度変化の著しい環境において着用される衣服等、具体的には、スキーウエア、防寒服、寝袋等に好適に利用することができる。

Claims

請求の範囲

1 . マイクロカプセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを含む合成樹脂をシート基材表面にドット状に形成したことを特徴とする蓄熱性ドット加工シート。

2 . マイクロカプセル内に蓄熱性物質が內包された蓄熱性カプセルを含有する樹脂バインダを綿の繊維表面に塗布したことを特徴とする蓄熱性中綿。

3 . マイクロカプセル内に蓄熱性物資が内包された蓄熱性カプセルを樹脂パインダで繊維構造物に固着したことを特徴とする蓄熱性繊維構造物。

4 . 請求項 3に記載の蓄熱性繊維構造物において、

前記榭脂バインダは、高透湿性ウレタン樹脂であることを特徴とする蓄熱性繊維構造物。

5 . 請求項 4に記載の蓄熱性繊維構造物において、

前記高透湿性ウレタン樹脂により形成される被膜の透湿度は、当該被膜の厚さが 1 0 μ ηιの場合に 2 0 0 0 g /m² - 2 4 h以上であることを特徴とする蓄熱性繊維構造物。

6 . 請求項 3から請求項 5のいずれかに記載の蓄熱性繊維構造物において、天然有機物微粉末を配合したことを特徴とする蓄熱性繊維構造物。

7 . 請求項 3から請求項 6のいずれかに記載の蓄熱性繊維構造物において、熱反射性物質を含むことを特徴とする蓄熱性繊維構造物。

8 . 請求項 3から請求項 7のいずれかに記載の蓄熱性繊維構造物と、この蓄熱性繊維構造物に積層される発泡層と、さらにこの発泡層に積層される層とを備えることを特徴とする蓄熱性積層品。

9 . 裏地と、この裏地に積層されるマイクロカプセル内に蓄熱性物質が内包された蓄熱性カプセルを含有する樹脂バインダを綿の繊維表面に塗布した蓄熱性中綿と、この蓄熱性中綿に積層される請求項 3から請求項 7のいずれかに記載の蓄熱性繊維構造物とを含むことを特徴とする蓄熱性布製品。