明細書
オリゴぺプチド化合物 技術分野
本発明はオリゴペプチド化合物に関する。 より詳細には、 B 7阻害剤として有 用な新規のオリゴペプチド化合物に関する。 また、 B 7阻害作用を有する化合物 及びそのスクリーニング方法に関する。 更に、 それら化合物を含む医薬組成物及 び B 7阻害剤に関する。 また、 B 7を阻害する方法及び B 7阻害剤を製造するた めのそれら化合物の使用に関する。 背景技術
近年、 FK— 5 0 6 (藤沢薬品) 、 シクロスポリンなどの優れた免疫抑制剤が 開発され、 臓器移植、 自己免疫疾患などに適用されている。 しかし、 FK— 5 0 6などの免疫抑制剤は抗原非特異的であり、 腎毒性などの副作用が問題視されて いる。
ところで、 最近、 T細胞の活性化による免疫反応の成立には、 T細胞レセプタ 一 (TCR) を介した抗原特異的シグナルだけでは不十分であり、 抗原提示細胞 から供与される副刺激シグナル(costimulatory signal)が必須であることが知ら れるようになった。 そして、 B 7分子ファミ リー (例えば、 B 7. 1 (または C D 8 0ともいう) 、 B 7. 2 (または CD 8 6ともいう) 、 MB 7. 2) は、 T 細胞活性化において最も重要な副刺激分子(costimulatory molecules)であるこ とが明らかになった。 例えば、 Schwartz, R. H., Cell, 57, pl073(1989) 、 Free man, G.J. et al., J. Immun. , 143, p2714(1989) などを参照のこと。
そこで、 B 7分子ファミ リーの作用を阻害する物質 (B 7阻害剤という) は、 抗原特異的な免疫抑制剤として作用することが期待され、 B 7阻害剤の研究が行 われているが、 B 7阻害剤としては抗 B 7抗体や CTL A 4— I g (CTLA 4 は活性化 T細胞に発現される分子であり、 CTLA 4— I gは CTLA 4と免疫 グロブリンとの融合タンパクである) が報告されている程度である。 Finck, B.K ·, Linsley, P. S. and Wofsy, D. , Science, 265, pl225- 1227(1994)を参照のこ
と。 なお、 CTL A 4— I gはブリストル 'マイヤーズ ·スクイブが開発中であ る o
本発明者等は上記のような事情を考慮し、 従来の B 7阻害剤より低分子で免疫 原性が低く且つ組織浸透性の高い、 B 7阻害物質の研究を進めた結果、 新規なォ リゴぺプチド化合物が B 7阻害作用を有することを見い出して本発明を完成した 。 即ち、 本発明は、 B 7阻害剤として有用なオリゴペプチド化合物を提供するこ とを目的とする。 また、 本発明は、 B 7阻害作用を有する化合物及びそのスクリ 一二ング方法を提供することを目的とする。 更に、 本発明は、 それら化合物を含 む医薬組成物及び B 7阻害剤を提供することを目的とする。 また、 本発明は、 B 7を阻害する方法及び B 7阻害剤を製造するためのそれら化合物の使用を提供す ることを目的とする。 発明の開示
上記の課題を解決するためになされた本発明の要旨は、
① -Met- Tyr-Pro-Pro- Pro- Tyr- で表されるオリゴぺプチド残基を有するオリ ゴぺプチド化合物またはその塩;
② 下記の一般式 ( 1 )
R,-X,-Met-Tyr-Pro-Pro-Pro-Tyr-X2-R2 ( 1 )
(式中、 は N末端の H又はその置換基を、 R2 は C末端の OH又はその置換 基を示し、 X, 及び X2 は各々独立に、 単結合、 アミノ酸残基又は複数個のアミ ノ酸からなるペプチド鎖を示す。 )
で表される上記①に記載のオリゴぺプチド化合物またはその塩;
③ Χι が単結合、 -Lys-Val-Glu-Leu- 、 -Cys- Lys- Va卜 Glu- Leu- 、 - Cys- Gly - 、 -Cys- Gly- Gly - 、 -Cys- Gly- Gly- Gly - 又は- Cys- 、 X2 が単結合、 -Tyr- Leu -Gly- lie- 、 -Tyr- Leu- Gly- 1 le- Gly- Cys - 、 -Gly-Cys- 又は- Cys - 、 R, が H又 はァセチル基、 R2 が OH又は NH2 である上記②に記載のオリゴペプチド化合 物またはその塩;
④ - Pro- Ser-His- Asn- Thr- Asp- Glu- Va卜 で表されるオリゴぺプチド残基を有 するオリゴぺプチド化合物またはその塩;
⑤ 下記の一般式 (2)
R -X -Pro-Ser-His-Asn-Thr-Asp-Glu-Val-X -R ( 2 )
(式中、 R3 は N末端の H又はその置換基を、 R4 は C末端の OH又はその置換 基を示し、 X3 及び Χ4 は各々独立に、 単結合、 アミノ酸残基又は複数個のアミ ノ酸からなるペプチド鎖を示す。 )
で表される上記④に記載のオリゴぺプチド化合物またはその塩;
⑥ Χ3 が単結合又は- Glu- Ser- His- 、 X4 が単結合又は- Arg- Va卜 Thr- Val - L eu- 、 R3 が H又はァセチル基、 R4 が OH又は NH2 である上記⑤に記載のォ リゴぺプチド化合物またはその塩;
⑦ B 7阻害作用を有する化合物であることを特徴とする上記①〜⑥の何れか 1項に記載のォリゴぺプチド化合物またはその塩;
⑧ C 5 7 B L/ 6マウス由来の T細胞を含む培地に、 抗 C D 3抗体、 L P S 活性化 B細胞、 3H—チミジン及び対象薬物を混合し、 細胞培養した後に、 該 T細 胞に取り込まれた3 H—チミジン量を測定することにより、 対象薬物の副刺激反応 の阻害程度を分析する系を用いてスクリ一ニングされる B 7阻害作用を有する化 合物;
⑨ 上記①〜⑦の何れか 1項に記載のオリゴペプチド化合物、 上記⑧に記載の B 7阻害作用を有する化合物またはそれらの塩、 および製剤学的に利用可能な担 体を含有する医薬組成物;
⑩ 上記①〜⑦の何れか 1項に記載のォリゴぺプチド化合物、 上記⑧に記載の B 7阻害作用を有する化合物またはそれらの塩を有効成分とする B 7阻害剤;
⑪ 上記①〜⑦の何れか 1項に記載のオリゴペプチド化合物、 上記⑧に記載の B 7阻害作用を有する化合物またはそれらの塩の有効量を患者に投与することか らなる、 B 7を阻害する方法;
⑫ B 7阻害剤を製造するための、 上記①〜⑦の何れか 1項に記載のォリゴぺ プチド化合物、 上記⑧に記載の B 7阻害作用を有する化合物またはそれらの塩の 使用 ;
⑬ C 5 7 B L/ 6マウス由来の T細胞を含む培地に、 抗 C D 3抗体、 L P S 活性化 B細胞、 3H—チミジン及び対象薬物を混合し、 細胞培養した後に、 該 T細
胞に取り込まれた3 H—チミジン量を測定することにより、 対象薬物の副刺激反応 の阻害程度を分析する系を用いて、 B 7阻害作用を有する化合物 (対象薬物) を スクリーニングする方法;
⑭ T細胞を ( 1 〜 2 ) X 1 0 5 細胞 Zゥエル、 ? 3活性化8細胞を ( 1 〜 4 0 ) X 1 0 4 細胞/ゥヱル、 抗 C D 3抗体を約 1 n g /m 1の量で各々使用し 、 かつ培養日数が 1 〜 3日間である上記⑬に記載の B 7阻害作用を有する化合物 (対象薬物) をスク リーニングする方法;
であ
(発明の実施の形態)
本発明は、
-Met- Tyr- Pro- Pro- Pro-Tyr- 又は
-Pro-Ser-Hi s-Asn-Thr-Asp-Glu-Val - で表されるオリゴぺプチド残基を有するオリゴぺプチド化合物またはその塩であ り、 当該塩としては、 薬理学的に許容される塩が望ましく、 例えば、 塩酸塩、 硫 酸塩、 リン酸塩、 酢酸塩、 クェン酸塩、 メタンスルホン酸塩等の無機酸又は有機 酸付加塩、 ナトリウム塩、 カリウム塩、 カルシウム塩、 アンモニゥム塩、 ピリジ ン塩等の無機塩基又は有機塩基付加塩が例示できる。
本発明のオリゴぺプチド化合物には、 前記のァミノ酸配列を有するオリゴぺプ チドである限り種々の化合物が包含され、 当該ァミノ酸配列の N末端及び/又は C末端には任意のァミノ酸又は複数個の任意のァミノ酸からなるぺプチド鎖が結 合していもよく、 これらのォリゴぺプチドの N末端ァミノ基及び/又は C末端力 ルボキシ基は置換基を有していてもよく、 また N末端と C末端が結合した環状ォ リゴぺプチドであってもよく、 更にォリゴぺプチドが 2以上のシスティンを含有 する場合には、 それらのシスティンがジスルフィ ド (― S— S— ) 結合により環 化していてもよい。 本発明のォリゴぺプチド化合物のァミノ酸数は、 6 〜 2 5個 程度、 好ましくは 6 〜 2 0個程度、 より好ましくは 6 〜 1 0個程度である。 本発明のオリゴペプチド化合物の好ましい化合物は、 下記の一般式 ( 1 ) 又は 一般式 ( 2 )
R r X Met- Tyr- Pro-Pro- Pro- Tyr- X 2 - R 2 ( 1 )
(式中、 1^ 、 1^2 、 X, 及び X2 は前記と同じ)
R -X -Pro-Ser-His-Asn-Thr-Asp-Glu-Val-X -R ( 2 )
(式中、 R3 、 R4 、 X3 及び Χ4 は前記と同じ)
で表される。
上記の一般式 ( 1 ) 及び (2) において、 1及び 2並びに 3及び 4は、 同 一又は異なって、 各々、 単結合、 アミノ酸残基又は複数個のアミノ酸からなるぺ プチド鎖であり、 X, 及び Χ2 並びに Χ3 及び Χ4 のアミノ酸残基又は複数個の ァミノ酸からなるぺプチド鎖としては、 任意のァミノ酸残基又は複数個の任意の アミノ酸からなるペプチド鎖を選択することができる力 好適には X, としては -Lys-Val-Glu-Leu- 、 -Cys-Lys-Val-Glu-Leu- 、 - Cys- Gly- 、 - Cys- Gly- Gly- 、 -Cys-Gly-Gly-Gly- 、 -Cys- 等が例示され、 X2 としては- Tyr- Leu- Gly- 1 le - 、 - Tyr- Leu- Gly- lie- Gly- Cys- 、 - G - Cys - 、 -Cys- 等が例示され、 X3 としては - Glu-Ser- His- 等が例示され、 X4 としては- Arg-Va卜 Thr- Va卜 Leu- 等が例示さ れる。
R, 及び R3 は N末端の H又はその置換基を示し、 当該置換基としては、 例え ば、 ァシル基 (例えば、 ァセチル (A c) 、 プロピオニル、 ブチリル、 ラウロイ ル等のアルカノィル基、 ベンゾィル、 ナフ トイル等の芳香族ァシル基、 フロイル 、 テノィル、 ニコチノィル等の複素環式ァシル基など) 、 メチル、 ェチル、 プロ ピル等のアルキル基、 ベンジル、 ベンズヒ ドリル等のアルアルキル基などが例示 でき、 当該置換基は、 例えば、 アルキル基、 水酸基、 ニトロ基、 ハロゲンなどで 置換されていてもよい。
R2 及び R4 は C末端の OH又はその置換基を示し、 当該置換基としては、 ァ ミ ド基、 エステル基などが挙げられ、 より具体的には R2 としては、 例えば、 ァ ミノ、 アルキルアミノ (例えば、 メチルァミノ、 ェチルァミノ等) 、 ベンジルァ ミノ等の置換基を有することのあるアミノ基、 メ トキシ、 エトキシ、 ブトキシ、 ベンジルォキシ等のアルコキシ基などが例示される。
尚、 本明細書において、 N末端の Hとは、 N末端アミノ酸残基の遊離の α—ァ ミノ基の Ηを指し、 C末端の ΟΗとは、 C末端アミノ酸残基の遊離のび—カルボ キシル基の ΟΗを指す。
本発明のオリゴペプチド化合物は、 化学的な合成方法によって、 あるいは遺伝 子工学的手法によつて製造することができる。
化学的な合成方法としては、 公知のペプチド合成法、 例えば、 アミノ酸の C末 端から段階的に結合させていく方法又は N末端から段階的に結合させていく方法 、 部分配列を有するオリゴペプチドを結合させる方法、 液相法又は固相法、 手作 業での合成又は自動合成装置を用いた合成を挙げることができる。
また、 遺伝子工学的手法としては、 目的のオリゴペプチドに対応する塩基配列 を有する D N Aを合成し、 当該 D N Aを適当な発現系に組み込んで発現させ、 組 換え物質として製造することができる。 かかる遺伝子工学的手法は既に公知であ り、 慣用の方法に準じて行うことができる。
また、 本発明の B 7阻害作用を有する化合物は後記実験例で示されるスクリー ニング系で選択され得る化合物であり、 より具体的には C 5 7 B L / 6マウス由 来の T細胞を含む培地に、 抗 C D 3抗体、 し 8活性化8細胞、 3H—チミジン及 び対象薬物を混合し、 細胞培養した後に、 該 T細胞に取り込まれた3 H—チミジン 量を測定することにより、 対象薬物の副刺激反応の阻害程度を分析する系を用い てスクリーニングする方法により得ることができる。 ここで、 対象薬物はスクリ 一二ングしょうとする任意の化合物が包含され、 前記構造を有するオリゴぺプチ ド化合物以外のオリゴぺプチド化合物や他の任意の化合物が含まれる。
上記のスクリ一二ング系で使用される抗 C D 3抗体及び L P S活性化 B細胞は 、 文献(Int. J. Cancer 70, 1 -8, 1997)記載の方法などに準じて調製することが できる。 使用する T細胞は好ましくは、 ( 1〜 2 ) X 1 0 5 細胞 Zゥエル、 更に 好ましくは 1 X 1 0 5 細胞 Zゥエル程度、 L P S活性化 B細胞は好ましくは、 ( 1 - 4 0 ) X 1 0 4 細胞/ゥヱル、 更に好ましくは 1 X 1 0 4 細胞/ゥヱル程度 、 抗 C D 3抗体は好ましくは、 約 1 gZm 1の濃度に調整する。 また、 培養日 数は好ましくは 1〜3日間、 更に好ましくは 2日間程度である。 対象薬物の使用 濃度は、 1 0 0〜3 0 0 程度が好ましい。 3H—チミジンの取り込み量は、 常 法に準じて液体シンチレーシヨン ' カウンティ ング法又はバイオ · ィメ一ジング • アナライザ一 (B A S ) 法により測定することができる。
上記のスクリ一二ング系で副刺激活性阻害効果の高い薬物を選別することによ
り B 7阻害作用を有する化合物を得ることができる。 なお、 かかるスクリーニン グ系を用いた方法で選別される B 7阻害作用を有する化合物は、 オリゴぺプチド 化合物であってもよいが、 他の種の化合物であってもよい。 上記スクリーニング 方法により得られるオリゴぺプチド化合物は、 前記構造が特定されたオリゴぺプ チド化合物に制限されるものではなく、 B 7阻害作用を有する任意の化合物を包 含する。
本発明の特定構造のォリゴぺプチド化合物、 上記 B 7阻害作用を有する化合物 またはそれらの塩 (以下、 「本発明化合物」 という) は、 単独に用いて乃至複数 種を併用して、 通常の製剤学的に利用可能な担体を配合することにより、 医薬組 成物とすることができる。 また、 本発明化合物は、 当該医薬組成物の形で経口ま たは非経口的に患者に投与することができる。 その投与量は患者の症状、 性別、 体重などに応じて適宜増減できる。 具体的には患者に対して 1 日当たり 0. 0 0 1〜 1 0 0 0 mg程度が有効量として例示される。 発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説明するために実施例及び実験例を挙げるが、 本発明はこ れらに限定されるものではない。
実施例 1
A c -Met-Tyr-Pro-Pro-Pro-Tyr- N H 2 ( C 4 o H 53 N 709 S = 8 0 7. 9 7、 配 列番号 1の化合物、 「配列表フリーテキス卜」 : N末端のアミノ基はァセチル化 されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されている。 ) の合成
上記オリゴペプチドの保護体をペプチド合成機 (装置名: P S SM— 8, 島津 製作所製) を用いて合成した。 即ち、 開始樹脂は TGS—RAM (0. 2mmo l /g) 、 1 0 0 mg Fmo c/HBTU液体法を用いた。 ついで、 得られた 保護体の最終脱保護を行った。 その条件は試薬 Kを用いて、 室温、 5時間とした 。 調製された粗精製物を HP LCで分取精製した。 その条件は逆相系 Cl 8カラム 、 溶出は 0. 5 %CH3CN/0. 0 5 %TF A水溶液の勾配法、 検出は A23。 を用いた。
実施例 1と同様の方法で、 実施例 2〜4の化合物を合成した。
実施例 2
A c— Lys- Va卜 Glu- Leu- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr— NH2 ( C e 2 H 92 N .2015 S = 1 2 7 7. 5 6、 配列番号 2の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : N末端の アミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されている o )
実施例 3
A c— Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr Tyr- Leu- Gly- 1 le— NH2 ( C e 3 H 87 N , , 0 , 4 S = 1 2 5 4. 5 1、 配列番号 3の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : N末端の アミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されている o )
実施例 4
A c— Lys-Va卜 Glu- Leu- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr- Tyr- Leu- Gly- lie— NH2 (C 85 H , 26 N . 1 7 2 4. 0 9、 配列番号 4の化合物、 「配列表フリーテ キスト」 : N末端のアミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキン基は ァミ ド化されている。 )
実施例 5
S S
A c -Cys- et-Tyr-Pro-Pro-Pro-Tyr-Cys-NHs ( C 46 H s , N 90 , , S 3= 1 0 1 2. 2 2、 配列番号 5の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : Ν末端のアミノ基 はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されている。 また、 Ν末端の Cys と C末端の Cys は一 S _ S—により結合している。 ) の合成
上記オリゴぺプチドの保護体をべプチド合成機 (装置名 : P S SM— 8, 島津 製作所製) を用いて合成した。 開始樹脂は TGS— RAM (0. 2 mmo 1 / ) 、 1 0 0 mg Fmo cZHBTU液体法を用いた。 ついで、 得られた保護体 の最終脱保護を行った。 その条件は試薬 Kを用いて、 室温、 5時間とした。 調製 された脱保護体 (ジチオール体) 粗精製物を高希釈下でのフェリシアノカリウム による酸化反応を行った。 合成された環状化合物を H PL Cで分取精製した。 そ の条件は逆相系 C18カラム、 溶出は 0. 0 5 %CH3CN/0. 0 5 %TFA水
溶液の勾配法、 検出は A 23。を用いた。
実施例 5と同様の方法で、 実施例 6 ' 1 3の化合物を合成した。
実施例 6
S ■S
A c - Cys- Lys-Va卜 Glu- Leu- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr- Cys— N H2 (CeeH.ooN 140,7S = 1 4 8 1. 8 0、 配列番号 6の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : N末端のアミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化 されている。 また、 N末端の Cys と C末端の Cys は— S— S—により結合してい る。 )
実施例 7
S S
A c—Cys- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr- Tyr- Leu- Gly_lle- Gly- Cys- NH2 (C 71H9 8N140, 7 S 3 = 1 5 1 5. 8 し 配列番号 7の化合物、 「配列表フリーテキスト 」 : N末端のアミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキン基はアミ ド 化されている。 また、 N末端の Cys と C末端の Cys は一 S— S—により結合して いる。 )
実施例 8
S -S
A c - Cys- Lys- Va卜 Glu- Leu- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr- Tyr- Leu-Gly-1 le-Gly- Cys - NH2 (C93H137NI 9023S 3= 1 9 8 5. 3 9、 配列番号 8の化合物、 「配列 表フリーテキスト」 : N末端のアミノ基はァセチル化されており、 C末端のカル ボキシ基はアミ ド化されている。 また、 N末端の Cys と C末端の Cys は— S— S 一により結合している。 )
実施例 9
S S
A c -Cys- Gly- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr- Cys- N H 2 ( C 4 a H 64 i o 0 , 2 S 3 = 1 0 6 9. 2 7、 配列番号 9の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : N末端のアミ ノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されている。 ま た、 N末端の Cys と C末端の Cys は— S— S—により結合している。 )
実施例 1 0
S S
A c -Cys-Gly-Gly- et-Tyr-Pro-Pro-Pro-Tyr-Cys-NH2 ( C 5 ο Η 6 τ N , , 0 , 3 S 3 = 1 1 2 6. 3 2、 配列番号 1 0の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : N末端 のァミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されてい る。 また、 N末端の Cys と C末端の Cys は— S— S—により結合している。 ) 実施例 1 1
S S
A c -Cys- Gly- Gly-Gly- Met- Tyr- Pro- Pro- Pro- Tyr- Cys- NH2 (C 52H7oN , 20 , 4 S 3 = 1 1 8 3. 3 7、 配列番号 1 1の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : N末端のアミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化さ れている。 また、 N末端の Cys と C末端の Cys は一 S— S—により結合している o )
実施例 1 2
A c -Pro-Ser-His-Asn-Thr-Asp-Glu-Val-NH2 ( C 3 a H 5 s N , 20 , 6 = 9 3 8. 9 6、 配列番号 1 2の化合物、 「配列表フリーテキスト」 : Ν末端のアミノ基は ァセチル化されており、 C末端のカルボキシ基はアミ ド化されている。 )
実施例 1 3
A c -Glu-Ser-His-Pro-Ser-His-Asn-Thr-Asp-Glu-Val-Arg-Val-Thr-Val-Leu-N H2 (C 8. H 1 2TN 23029 = 1 8 8 7. 0 3、 配列番号 1 3の化合物、 「配列表フ
リーテキスト」 : N末端のアミノ基はァセチル化されており、 C末端のカルボキ シ基はァミ ド化されている。 )
実験例 1
B 7阻害活性の測定 ( 1 )
B 7阻害活性は、 抗 CD 3モノクローナル抗体と L P S活性化 B細胞 (B 7を 発現している活性化 B細胞) による T細胞の増殖活性に対する試験薬物の阻害作 用を測定することにより行った。
即ち、 C 5 7 B L/ 6マウス由来の T細胞 (1 X 1 05 個) を抗 CD 3抗体 ( 1 n g/m 1 ) および L P S活性化 B細胞 ( 1 X 1 04 個) で 2日間刺激し、 副 刺激(costimulation)活性を3 H—チミジンの取り込みで測定した。 試験薬物の存 在下に同様の分析を行い、 試験薬物が副刺激反応をどの程度阻害するかで、 B 7 阻害活性を評価した。 試験薬物の濃度は 3 0 0 μΛΑ、 3Η—チミジン量は 2 n C i とした。 放射能活性は液体シンチレ一シヨン ' カウンティ ング法又はバイオ ·ィ メージング · アナライザー (B AS) 法により測定した。 結果を表 1に示す。 なお、 抗 C D 3モノ クローナル抗体及び L P S活性化 B細胞は、 文献(Int. J. Cancer 70, 1-8, 1997)記載の方法に準じて調製した。
表 1
実験例 2
試験薬物の濃度を 1 0 0 / M (DMS 0濃度 0 2 5 %中で) とする以外は実 験例 1に準じて測定した。 結果を表 2に示す。
表 2
上記の結果に示されるように、 本発明化合物は副刺激活性を低下させており、
B 7阻害作用を有することが判明した。
実験例 3
本発明化合物の阻害活性が B 7特異的であることを確認するため、 抗 C D 2 8 モノクローナル抗体 ( 1 g Zm 1 ) の共存下に、 実験例 2に準じて B 7阻害活 性の測定を行った。 本発明化合物の阻害活性が B 7特異的であるなら、 抗 C D 2 8モノ クローナル抗体の存在により、 副刺激活性が回復することになる。 本試験 の結果、 本発明化合物による阻害作用は、 抗 C D 2 8モノ クローナル抗体により 完全に解除された。 また、 L P S活性化 B細胞を 5倍量用いた場合でも同様に解 除された。 すなわち、 本発明化合物の B 7阻害作用は B 7特異的なものであるこ とが判明した。
製剤例 1
本発明化合物 (実施例 2の化合物) 1 0 0 111 §を乳糖 1 gと混合し、 散剤を調 製した。
製剤例 2
本発明化合物 (実施例 2の化合物) 1 O mgを、 直打用微粒 (メタケイ酸アル コン酸マグネシウム、 トウモロコシデンプンおよび乳糖からなる。 富士化学製) 1 1 0 mg、 結晶セルロース 6 0 mg、 CMCカルシウム 1 8 mg、 ステアリ ン 酸マグネシゥム 2 m gと混合後に打錠して、 錠剤を調製した。
製剤例 3
本発明化合物 (実施例 2の化合物) 1 0 m gを生理食塩水 1 0m lに溶解し、 注射剤を調製した。 産業上の利用可能性
本発明化合物は、 B 7阻害作用を有し得るから、 免疫領域での利用が期待され る。 即ち、 自己免疫疾患、 アレルギー、 臓器移植時の拒否反応、 細菌感染、 ガン 、 腫瘍、 エイズ等への適用が可能である。 特に、 本発明のオリゴペプチド化合物 は、 従来の蛋白質系阻害剤 (抗 B 7抗体、 CTLA 4— I gなど) に比べて低分 子量であるので、 免疫原性の低下、 組織浸透性の向上、 副作用の軽減を図ること ができる。