明 細 書
地下構築物構築方法と掘削方法及びこの方法に用いる掘削具と鉄筋固定 具
技術分野
本発明は、 地下室などの地下構築物の構築方法、 地盤の掘削方法およ びこの方法に用いる掘削具と鉄筋固定具に関する。
背景技術
従来、 地下室等の地下構築物を構築する場合は、 地盤を開削し、 型枠 を組み立て、 コンク リートを打設し、 埋め戻していた c
この方法では、 地盤の崩壊を防止するため土留を必要とし、 型枠工事 をおこなってコンクリートを打設し、 コンク リート硬化後、 型枠を解体 し、 埋め戻し作業をしなければならず煩雑であった。
本発明の目的は、 簡単な装置で平滑な壁面の地下構築物を確実に構築 できるようにするものである。
発明の開示
板体を並列に地中に沈設して型枠兼土留とし、 板体間の土砂を排土し て溝空間を形成し、 鉄筋または鉄筋籠を設置してコンク リートを打設し、 コンクリートが硬化する前に少なく とも地下構築物の内壁側の板体を引 き抜き撤去することで、 型枠工事を省略できるようにした。
また、 中空体に板体を沿わせて共に地中に沈設し、 板体を残して中空 体を引き抜く ことにより、 型枠兼土留工事を簡単に行えるようにした。 中空体の下部にシャツタを設け、 中空体内に土砂を取り込んで引き抜き、 掘削をおこなえるようにした。 シャツタは、 地盤への沈設時には開放さ れ、 地盤から引き抜き撤去する際には閉鎖される c
具体的には、 シャツタは、 中空体の下端または取出口の下縁に回動可 能に取り付けられ、 土圧と土砂重量によって自動的に開閉する。
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他の形式のシャツタは、 中空体の側面に沿って設置された板状体で、 シ ャッタを上側から下方にロッ ドで押し込むと、 中空体に設けたガイ ド部 材で横方向に向きが変えられ、 中空体の底部がシャッタで閉塞される構 造である。
中空体の両脇に設けたガイ ド継手を利用して接続しながら沈設するこ とによって、 必要長さの溝空間を形成することができる。
ガイ ド継手を有する中空体を 3個連続して打ち込み、 中央の中空体を引 き抜き溝空間を形成するようにし、 残つた両側の中空体に板体を保持さ せ、 この間に切梁を設けることができる。
中空体のガイ ド継手と補助板によって、 コーナー部の施工を確実にし、 任意の角度のコーナ一を施工できるようにしたので、 多様な形状の地下 構築物を施工することができる。
地下構築物の壁を構成する鉄筋のうち、 床、 または天井の鉄筋との継 手を構成する鉄筋は、 予め被覆体で被覆して折り曲げて溝空間内に設置 し、 コンク リート硬化後、 被覆体を除去して鉄筋を露出させて床または 天井方向へ延ばし、 床筋または天井の鉄筋と接続する。
横筋の間隔に合わせて U字型のフックを溶接した位置固定具によつて、 接続する横筋の位置を固定し、 打設コンクリ一トの圧力で所定の位置か らずれるのを防止している。
図面の簡単な説明
図 1は本発明の構築方法の説明図である。
図 2は本発明の中空体の斜視図。
図 3は中空体の使用方法の説明図である。
図 4は中空体の他の実施例の断面図。
図 5は中空体への板体の装着状態を示す説明図。
図 6は掘削手順の説明図。
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図 7は沈設装置の説明図。
図 8は鉄筋の配筋図。
図 9は鉄筋組立体の平面図。
図 1 0は鉄筋組立体の平面図。
図 1 1は図 8に示した鉄筋組立体の下部の説明図。
図 1 2は鉄筋位置固定具の説明図。
図 1 3は中空体の他の実施例の説明図。
図 1 4は中空体の構成部品の説明図。
図 1 5は掘削手順の説明図。
図 1 6は直角コーナ部の施工の説明図。
図 1 7は、 任意角度のコーナーの説明図。
発明を実施するための最良の形態
本発明を図面に基づき具体的に説明する。
施工法実施例 1
図 1に示すように、 先ず、 地盤 Gに鋼製の板体 1 1 、 1 2を圧入や打 擊などで地下構築物の形状に合わせて沈設する。 地盤の性状によっては、 予めアースオーガやバックホーなどで地盤を緩めておく。 掘削機で地盤 をほぐしながら板体を沈設するようにしてもよレ、。
沈設した板体 1 1、 1 2の間にある土砂 G 1を排土し、 図 1 ( c ) に 示す切梁部材 1 4を設置し、 板体 1 1、 1 2を型枠兼土留めとした溝空 間を形成する。
そして、 この溝空間に配筋し、 コンク リー トを打設する。 コンク リー トが硬化する前に、 板体 1 1 、 1 2 (少なく とも内側の板体 1 2 ) を撤 去し、 再利用する。 板体が型枠としてコンク リート硬化寸前まで存在し ていたので、 完成したコンクリート壁面は平滑に形成され、 壁面のはつ り、 修正作業が不要となる。
掘削溝のコーナー部には、 図 1 ( a ) に示すように、 コーナ一形状に 合わせた L型の板体 1 3を用いる。 曲線状のコーナーを構築する場合は、 曲面状の板体を使用する。
中空体実施例 1
図 2は本発明の中空体の斜視図、 図 3 ( a ) 〜 (d ) は使用方法の説 明図である。
図 2および図 3に示すように、 中空体 2 0は、 箱型中空体 2 1 と、 こ の中空体 2 0の下部に中空体に対して回動可能に設けたシャッタ 2 2、 2 2と、 中空体の一側壁 2 1 aに形成した土砂取出し用の取出口 2 3と を備えている c
中空体 2 0は、 鋼、 合成樹脂、 木材などからなり、 幅約 6 0 c m、 奥 行約 2 5 c m、 高さ約 4 0 0 c m程度とする。 これらの寸法は、 掘削す る地盤の性状、 構築物の大きさなどの条件に応じて適宜変更する。
図 3 ( a ) に示すように、 中空体 2 0の下端 2 1 bは、 地中に打ち込み 易くするために、 先鋭に形成してある。
シャッタ 2 2は、 取出口 2 3の下側で中空体にヒンジ 2 2 aで回動可 • 能に取り付けられており、 中空体 2 0の内壁面に突設されている下ス ト ツバ 2 4、 および、 上ス トッパ 2 5によって回動範囲が規制されている。 掘削は、 先ず、 図 3 ( a ) 、 (b ) に示すように、 中空体 2 0を地盤 Gに 圧入装置など適宜の装置を使用して沈設する。
シャッタ 2 2は、 中空体内に入り込んでくる土砂によって上方に回動 して開口 2 1 cを開放するので、 沈設されるにしたがって土砂 G 1が内 部に入り込んでくる。
所定の深度まで沈設したら、 図 3 ( c ) 、 ( d ) に示すように中空体 2 0を引き上げると、 内部に取り込まれた土砂の荷重によってシャツタ 2 2が下方に回動して開口 2 1 cを閉じ、 土砂 G 1は中空体 2 0ととも
に引き上げられる。
シャツタ 2 2の先端 2 2 b と中空体内壁面との間には間隔が確保され ているので、 この間隔に土砂 G 1が入り込み、 シャツタ 2 2は確実に閉 じることとなる。 シャツタ 2 2の下方への回動は下ス トツパ 2 4によつ て規制されている。
地上に引き上げた中空体の取出口 2 3から土砂 G 1を排土し、 再び沈 設に利用する。
中空体実施例 2
図 4は本発明の中空体の第 2の実施例の断面図である。
この第 2の実施例のシャッタ 2 6は、 取出口 2 3の下縁 2 3 aに取付 部 2 6 aで回動可能に取り付けてある。 このシャツタ 2 6は、 その先端 2 6 bが仮想線で示すように中空体 2 0の対向側の壁面 2 1 dに当接し て下方への回動が規制される。 上方への回動は、 上ス トッパ 2 7によつ て規制される。 図 4に実線で示すようにシャッタ 2 6が上ス トッパ 2 7 に当接したとき、 シャツタ 2 6の先端 2 6 b と中空体内壁面間に間隔が 存在する。また、シャツタの先端 2 6 bが内壁から離れるように湾曲(屈 曲) させてあるので打ち込む際に、 シャツタ 2 6の取付部 2 6 aが邪魔 にならず、 容易に打ち込むことができる。 しかも、 取付部 2 6 aには、 打ち込み時の土圧が強く作用しないので、 取付部 2 6 aが破損しない。 掘削状態を説明する。
図 5 ( a ) 、 ( b ) および図 6 ( a ) に示すように、 中空体 2 0の外 側面に鋼板 1 1 ' 、 1 2 ' 、 および補助板 1 5、 1 6を中空体の周囲に 仮止する。 鋼板 1 1 ' 、 1 2, および補助板 1 5、 1 6に設けた穴 1 7 に中空体 2 0の側壁外面に設けたフック 2 1 f を引っかける。 また、 鋼 板 1 1 ' 、 1 2 ' 、 補助板 1 5、 1 6の両側縁部には、 リブ 1 1 ' d、 1 2 ' d、 1 5 d、 1 6 dがあるのでリブ同士を図 5 ( a ) に示すよう
に軽く嚙み合わせて仮止する。 図 5 ( a ) から明らかなように、 補助板 1 5、 1 6を装着してから鋼板 1 1 , 、 1 2 ' を装着する。
次いで、 図 6 ( a ) に示すように、 中空体 2 0の下端 2 1 bおよび鋼 板 1 1 ' 、 1 2 ' 、 補助板 1 5、 1 6の下端を覆うように、 シユー 1 8 を装着する。 シュ一 1 8は、 リブ 1 1 dに土砂が侵入するのを防止する ものであり、 強固に固定する必要はなく仮止めされれば十分であり、 ガ ムテープでもよい。
図 6 ( b ) に示すように、 中空体 2 0および鋼板 1 1 ' 、 1 2 ' 、 補 助板 1 5、 1 6を地盤 Gに沈設する。 シュ一 1 8は、 中空体 2 0と鋼板 1 1, との間に土砂が入り込むのを防止する。
所定深度に達したら、 鋼板 1 1 ' 、 1 2 ' 、 補助板 1 5、 1 6の上端 1 1 ' b、 1 2, b、 補助板 1 5、 1 6の上端1 5 13、 1 6 bを適宜の 手段で押さえ、 図 6 ( c ) に示すように中空体 2 0のみを地盤から引き 抜き、 鋼板 1 1 ' 、 1 2 ' と補助板 1 5、 1 6を地中に残して土砂 G 1 が排土され、 溝空間 Sが形成される。
鋼板 1 1 , 、 1 2 ' の中央部の半円リブ 1 1 ' c 、 1 2 ' cを利用し て切梁部材 1 4を圧入して、 鋼板の間隔を保持する。
中空体 2 0のガイ ド継手を利用して次の中空体 2 0を沈設する。 このェ 程を繰り返して、 図 1 ( a ) に示したと同様な連続した溝空間を得る。 中空体 2 0を地盤から撤去した際、 地盤には、 鋼板 1 1 ' 、 1 2 ' と 補助板 1 5、 1 6が残り、 端部のリブが継手となって閉断面を構成する ので、未掘削部の土砂が溝空間 S内に崩壊するのが防止される。図 5 ( a ) において右方に隣接する溝空間を形成したら補助板 1 6は、 引き抜いて 撤去し、 空間を連続していく。
地盤がよく、 土砂が自立するような場所を掘削する場合には、 補助板 は必ずしも装着する必要はなく、 側壁部にのみ鋼板 1 1 ' 、 1 2 ' を仮
止した状態で沈設する。
中空体の沈設
図 7は、 中空体 2 0の沈設装置の一例を示す図で、 (a ) は斜視図、 ( b ) は原理図である。
3 0は沈設装置であり、 ベース 3 1 と、 その上に立設されたガイ ド枠 3 2と、 着脱可能に設けられたバケツト 3 3とを備えている。 ベース 3 1 は、 平行に配置された 2本の H型鋼で構成されている。
ガイ ド枠 3 2は、 4本の柱 3 2 aと、 その上部と下部を連結している 連結部材 3 2 bと、 連結部材 3 2 c とを有しており、 ベース 3 1に固定 されている。 斜材 3 4、 3 4がガイ ド枠 3 2とベース 3 1を連結してレヽ る。 中空体 2 0は、 図 5 ( a ) に示すようにガイ ド枠 3 2内に設置され る。
ガイ ド枠 3 2を構成する部材はボルト、 ナッ トと長穴によって連結固 定され、 相対位置を微調整してガイ ド枠 3 2の鉛直状態を調整する。 ノ ケッ ト 3 3は、 掘り出された土砂 G 1 (図 3 ( d ) 、 図 6 ( c ) 参 照) を運搬するためのもので、 図示しない蓋体を備えている c
パケッ ト 3 3の後方 (図では手前側) 、 ベース 3 1上に自走式ク レー ン (図示しない) を載せる。 中空体 2 0 (または中空体 2 0および板体 1 1 ' 等) をク レーンで吊るし、 ガイ ド枠 3 2の上方から枠内に挿入す る。 なお、 中空体 2 0には、 例えばその中空体 2 0の上部左右に、 穴 2 1 e (図 6 ( a ) 参照。 図 7では手前側 (左側) のもののみ図示) を設 け、 これにそれぞれクレーンのフックとは別のフックを掛けることによ つてク レーンで吊るすことができるようにする。図 5 ( a ) に仮想線( 2 1 g ) で示すように、 中空体 2 0の上部内側に吊り下げ用および引き抜 き用のロッドを固着しておく。 このロッド 2 1 gには、 図 4に仮想線で 示すように、 ク レーンのフックを直接掛けるための凹部 2 1 hを形成す
„
る。 また、 中空体 2 0等がガイ ド枠 3 2中に挿入されたとき、 中空体 2 0の上端 (少なく とも上記穴 2 1 e ) がガイ ド枠上部の連結部材 3 2 b よりも下方に位置するように、 ガイ ド枠 3 2の高さが設定されている c 例えば、 中空体 2 0の高さ Hが 4 0 0 c mであれば、 ガイ ド枠 3 2の高 さ H 1は 4 5 0 c m程度に設定する。
吊るす際に用いたフックを穴 2 1 e (またはロッ ド 2 1 g ) から外し、 図 7に示すように、穴 2 1 e、 2 1 eに滑車付きのフック 3 5、 3 5 (— 方のみ図示) を掛ける。
そして、 図示のように、 ワイヤーロープ Wの一端 W 1をベース 3 1 に 連結し、 このワイヤーロープ Wを前記フック 3 5、 3 5のうち一方 (手 前側) のフック 3 5の滑車 3 5 a、 ベース 3 1に連結された滑車 3 7、 クレーンで引き上げられる滑車 3 8、 ガイ ド枠 3 2の向こう側にあって ベース 3 1に連結された滑車 3 7、 およびフック 3 5、 3 5のうち他方 のフック 3 5の滑車 3 5 aに掛け、 他端をベース 3 1に連結する c 中空体 2 0を所定量沈設し、 滑車 3 8をク レーンのフックから外し、 フック 3 5を中空体 2 0の穴 2 1 e、 2 1 e力 ら外し、 クレーンのフッ ク 3 9を中空体 2 0のロッ ド 2 1 g (または前述したように別のフック を用いて穴 2 1 e、 2 1 e ) に掛け、 中空体 2 0を引き抜く。
引き抜き過程において、 取出口 2 3から、 中空体 2 0中の土砂 G 1 (図 6 ( c ) 参照) を、 パケッ ト 3 3内に搔き出す。 土砂 G 1を全て搔き出 したならば、 バケツ ト 3 3を取り外し、 土砂 G 1を搬出する。
中空体 2 0をガイ ド枠 3 2から抜き出し、 ク レーンをべ一ス 3 1上か ら降ろし、 沈設装置 3 0を次の掘削場所に移動させる。
上記の工程を繰り返し連続した溝空間 Sを形成する。
なお、 4 0、 4 0は、 掘削位置を規定するガイ ドレールである c ベース 3 1上のクレーンの重量だけでは反力が十分でない場合には地中
Λ
アンカ一やカウンターウェイ ト、 更には既に地中に沈設した中空体など の部材を適宜使用する。
鉄筋組立体
図 8は鉄筋の一例を示す図であり、 図 9は、 図 8の部分平面図である。 5 0は、 鉄筋組立体であり、 鉄筋を溶接してメッシュとしたものである c また、 鉄筋組立体 5 0の上下部分 5 0 a、 5 0 bの梁に相当する部分に スタ一ラップ 5 0 cを配置する。 5 7、 5 8はスぺ一サである。
鉄筋組立体 5 0は、 壁と床 Fとの継手を構成する鉄筋 5 3、 5 4、 5 5が、 仮想線で示すように壁面から突出可能に構成され、 被覆体 5 6が 装着される。
図 9に示すように、 鉄筋 5 3、 5 4、 5 5は、 横筋と平行になるよう に折り曲げてあり、 その屈曲部に段ボール、 スポンジ、 発泡スチロール 等の被覆体 5 6が装着される。
被覆体 5 6が型枠となる板体 1 2の内面に接するように鉄筋組立体 5 0を設置し、 コンクリートを打設する。 コンク リートが硬化後、 板体 1 2を撤去すると、 被覆体 5 6が壁面に露出するので、 被覆体 5 6を撤去 し、 鉄筋 5 3、 5 4、 5 5を引き出し、 床筋と接続する。
天井 ( 1階の床) F 1については、 縦筋 5 1の上部 5 1 a、 5 1 bを 折り曲げて、 天井 F 1内に配筋される鉄筋 (図示せず) との継手として 使用する。
図 8において、 1 4は切梁部材であり、 鉄筋組立体 5 0を設置する際 に鉄筋組立体 5 0によって溝空間 Sの下部まで押し込まれるので、 切梁 部材の撤去作業が省略される。
地下構築物の仕切り壁 pを形成する場合は、 継手となる鉄筋を被覆体 5 6で被覆しておき、 壁面から突出させて継手とする。 (図 1 0参照) 図 1 1は、図 8に示した鉄筋組立体 5 0の下部 5 0 bを示す図で、(a )
は部分正面図、 (b ) は部分平面図である。
複数の鉄筋組立体 5 0を連続して順次溝空間 Sに挿入していく場合の 鉄筋組立体 5 0同士の接続部分 5 0 dは、 鉄筋組立体の横筋 5 2の一端 5 2 aを幅狭に形成し、 隣接する鉄筋組立体 5 0の横筋 5 2の他端 5 2 bを重ねあわせて継手とする。
接続部分 5 0 dにおいては、 先に挿入される右側の鉄筋組立体 5 0と 同時に U字形の補強筋 5 0 d 1を配筋しておき、 左側の鉄筋組立体 5 0 を組立後、 逆 U字形の補強筋 5 0 d 2を配筋して、 接続部分 5 0 dを補 強する。
鉄筋位置固定具
図 1 2は、 横筋の位置固定具 6 0で、 鉄筋組立体 5 0を横方向に継い で設置する場合、 横筋の重ね継手部が打設コンクリートの圧力でずれな いようにするものである。 地中に形成された溝空間は狭く、 鉄筋の重ね 継手部分を手作業で結束することができないため、 位置固定具 6 0を使 用する。
縦筋 6 1に所定間隔で U字型のフック 6 2を設け、 鉄筋組立体 5 0を設 置したら、 重ね継手部分に位置固定具 6 0を差込み、 横筋をフック 6 2 内に納め、 重ね継手となる横筋の移動を防止し、 継手として所定の位置 に留まるようにするものである。 U字型のフック 6 2は上向きと下向き のものがあり、 上向きの位置固定具を所定位置より少し下まで降ろし、 横筋 5 1方向に横移動させ、 引き上げてフック 6 2内に横筋 5 1を収納 する。 そしてフック 6 2が下向きの位置固定具を所定位置より上で一旦 止め、 組立体に近づけて横筋 5 1をフック内に収納するように下げ、 横 筋を上下から拘束して移動しないようにしてある。
上向き、 または、 下向きを単独で使用しても鉄筋の位置を固定するこ とができる。
中空体実施例 3
図 1 3、 図 1 4は、 中空体の他の実施例である。
この中空体 2 0の側壁に沿って上下動可能なシャッタ 2 2を備えてい る。
中空体 2 0の両側にはガイ ド継手 2 8が設けてあり、 ガイ ド継手 2 0同 士を嚙み合わせて方向を定め、 中空体 2 0を連続的に沈設する。 また、 コーナ一部においては、 補助板を使用して任意の角度で掘削方向、 すな わち壁の方向を変えることができる。
中空体 2 0の下端にはシュ一 1 8が取り付けてある。 シユー 1 8は、 シユーの上端に切り込みを入れて折り曲げた突起 1 9を中空体下端に設 けた取付穴 2 9に填め込んで固定してあり、 中空体 2 0の外側に仮止め される鋼板 1 2及びそのリブを覆い、 鋼板 1 2と中空体 2 0の間及びリ ブ内に土砂が侵入するの防止する。
シュ一 1 8を設けない場合は、 鋼板 1 2の先端を折り曲げ、 同様に土 砂の侵入を防止する。
シャツタ 2 2は、 中空体 2 0の底部を閉塞する板であり、 中空体 2 0 の側壁に沿って設けられ、 上部両端に押し下げ用の台座 2 4が設けてあ る。 台座 2 4は中空体 2 0内部から押し下げる力 、 または、 中空体 2 0 にスリ ッ ト 2 1を設けて外部に突出するようにし、 中空体 2 0の外側か ら押し下げる。
図 1 5に示すように、 第 1の中空体 2 0に半円形のリブを有する鋼板 1 2を仮止めして所定深度まで沈設し、 続いて第 2、 第 3の中空体を第 1の中空体の両側にガイ ド継手 2 8を嚙み合わせて沈設する。 ガイ ド継 手 2 8によって方向がずれることがない。
中央の第 1の中空体 2 0のシャッタ 2 2を地上から口ッ ド 2 2 4を台 座 2 4に当て、 押し下げる。 押し下げられたシャツタ 2 2は、 両側のガ
イ ド 2 2 1によって案内され、 中空体 2 0の下部両側に設けられたガイ ド 2 2 5に当たり横方向に方向が変えられ中空体底部を閉塞する。 そこで、 鋼板 1 2を押さえてとも上がりを防止しながら第 1の中空体 2 0を地上に引き上げ、 鋼板 1 2を地中に残し、 型枠兼土留とする- 引 き抜いた中空体 2 0のシャッタ 2 2の中央の突部 2 2 2の穴 2 2 3を利 用して元の位置に引き戻して底部を開放し、 内部に取り込まれた土砂を 排出する。
地中に残った鋼板 1 2は、 両脇の第 2、 第 3の中空体 2 0に支持され ているので、 安定して自立する。 必要があれば、 鋼板間に切梁部材を設 置する。
土砂を排出した中空体 2 0を地中に残った第 2中空体 2 0のガイ ド継 手 2 8に嚙み合わせて再度沈設する。 この作業を繰り返し、 順次必要な 溝空間を地中に形成する。
形成された地中の溝空間に配筋し、 コンクリートを打設して地下構築 物の壁を構築する。
コーナー部の形成方法
コーナー部を施工する場合は、 図 1 6に示すように、 中空体 2 0の端 部ガイ ド継手に終端補助板 7 1を挿入し、 掘削形成した溝空間の端部を 土留する。 終端補助板 7 1は図示のように両端にチヤンネル型の補強部 を有する鋼板または、 平鋼板である。
中空体 2 0を引き揚げ、 新たに溝空間を形成する側に継手板 7 2を設 置し、 継手板 7 2の横にサイ ド補助板 7 3を設置し壁面が崩れるのを防 止し、 点線で示す鋼板 1 2を撤去する。 継手板 7 2は中空体の雄と雌の ガイ ド継手の両方に嚙み合う継手形式のものを用意して、 どちらのガイ ド継手にも対応できるようにする。 図示のものは雌継手に対応するもの であり、 板体から 2箇所外側に折れ曲がった継手片 7 2 1が突出してい
丄 ϊ5
る。
継手板 7 2の継手片 7 2 1を利用して新たな中空体 2 0を沈設するこ とにより、 直角のコーナ一が形成される。
図 1 7に示すように、 直角以外の角度のコーナー部を形成する場合は、 終端補助板 7 1の代わりにコーナー補助板 7 4を打ち込み、 掘削溝端部 の土留をし、 継手板 7 2をコーナ一の角度に合わせて沈設する。 溝空間 を形成する側にサイ ド補助板 7 3を設置し、 鋼板 1 2を撤去する。 新たな中空体 2 0を継手板 7 2に嚙み合わせて沈設し、 任意の角度の コーナーを形成する。
符号の説明
G地盤
G 1土砂
S溝空間
1 1 、 1 2 板体
1 4切梁部材
2 0中空体
2 2シャツタ
2 3取出口
5 0鉄筋組立体
5 6被覆体
6 0 鉄筋位置固定具