明細書
曲げ角度補正方法およびそれを用いるプレスブレーキ 技術分野
本発明は、 3軸以上の駆動軸にて駆動される駆動金型と、 この駆 動金型に対向配置される固定金型との協働によって板状のワークを 折り曲げる際の曲げ角度補正方法およびその補正方法を用いて高精 度の曲げ加工が行えるよ う にしたプレスブレーキに関するものであ る o 背景技術
従来、 この種の折曲げ機と して、 図 2 2 に示されているようなプ レスブレーキ 5 1 が知られている。 このプレスブレーキ 5 1 におい ては、 ラム 5 2 と固定テーブル 5 3 とが対向配置されるとと もに、 固定テーブル 5 3 の両端部に一対のサイ ドフ レ --ム 5 4, 5 5 がー 体に設けられ、 各サイ ドフ レーム 5 4 , 5 5 の上端部に設けられる 油圧シリ ンダ 5 6 , 5 6 によってラム 5 2が昇降動されるよ うに構 成されている。 そ して、 ラ厶 5 2 の下端部には上型 (パンチ) 5 7 力《、 固定テーブル 5 3 の上面には下型 (ダイ) 5 8 がそれぞれ配置 され、 これら上型 5 7 と下型 5 8 との間に板状のワークを挿入して 油圧シリ ンダ 5 6 , 5 6 を作動させる こ とにより、 これら上型 5 7 と下型 5 8 との間でワークを挟圧して所要の曲げ角度に折り曲げる ようにされている。
と ころで、 このよ うなプレスブレーキ 5 1 を用いてワークの曲げ 加工を行う と、 ラム 5 2 および固定テーブル 5 3 のたわみによって ワークの中央部分と両端部分との間に角度差が生じる、 所謂中開き 現象が発生するという不具合があった。 このため、 従来より、 ラム
も し く はテーブルにたわみ補償機構を設ける こ とによ り中開き現象 を補正するこ とが行われている。 このたわみ補償機構の代表的なも のと しては、 例えば特開平 2 — 5 5 6 2 2号公報に記載されている ような、 く さび装置を用いるクラウニング機構、 も し く は例えば特 開平 6 — 5 5 2 1 8号公報に記載されているよ うな、 油圧シリ ンダ 一を用いるクラウニング機構がある。
また、 1 度の曲げ加工で精度の良い曲げ加工品を得る方法と して は、 本出願人の提案になる特開平 7 — 2 6 5 9 5 7号公報に記載の ものがある。 この公報に記載の方法では、 ワークの曲げ加工中に目 標曲げ角度の手前 (仮の追い込み位置) で角度計測を行い、 この計 測値と、 スプリ ングバッ ク量のデータ とワークの曲げ角度一金型追 い込み量の関係に基づき最終追い込み位置を求め、 この最終追い込 み位置まで金型の追い込みを行う ことによ り材料のばらつきの影響 を受けずに精度良く 曲げ加工を行うよ う にしている。
さ らに、 3軸以上の駆動軸を有するプレスブレーキにおいて、 ラ ムのたわみを検出するたわみ検出装置を設け、 このたわみ検出装置 の検出値に基づいて各駆動軸を制御するよ う にしたものが、 実開平 6 — 5 4 1 6号公報において開示されている。
しかしながら、 特開平 2 — 5 5 6 2 2号公報に記載のようなく さ び装置を用いるものでは、 ワークの加圧中におけるクラウニングの 変更が構造上困難であるという問題点があり、 また特開平 6 — 5 5 2 1 8号公報に記載のような油圧シリ ンダーを用いるものでは、 加 圧中の変更は可能であるが、 クラウユングによる追い込み量を直接 管理するわけではなく 、 油圧を管理するのみであるために、 追い込 み量に対してはオープンループであって正確な追い込みが行えない という問題点がある。
また、 特開平 7 — 2 6 5 9 5 7号公報に記載の方法を用いる場合
には、 補正の追い込みを正確に行えるかどうかが曲げの精度を大き く 左右するため、 追い込み量が正確に管理される こ とが重要になる しかし、 この方法を用い、 クラウユングによる追い込み量を計測し てフィ一ドバッ クするよ う にしたと しても、 加圧軸とクラウユング 装置とは機構も制御方法も異なるために、 曲げ角度計測により補正 追い込み量を求めた後、 加圧軸とクラウユング装置とで別々の制御 量に変換し、 さ らにそれぞれの動作遅れなども勘案して制御を行う 必要があるため、 制御が複雑になるという問題点がある。
さ らに、 実開平 6 — 5 4 4 1 6号公報に記載のものでは、 機械の たわみによる中開き現象のような角度誤差は曲げの途中で補正する こ とは可能であるが、 ワークの長手方向のばらつきによる角度差、 すなわちワークの長手方向にわたって均一な追い込みが可能となつ ても、 長手方向にわたるワークの板厚ゃ塑性的な特性が徐々に変化 している こ とにより均一に曲がらない現象については解決すること ができない。
と ころで、 前述の図 2 2 に示されているよ うなプレスブレーキ 5 1 、 言い換えれば長尺材用のプレスブレーキ (長尺機) を用いて短 尺材の曲げ加工を生産性良く 行う方法と しては、 機械の左右方向に 2〜 4 セッ 卜の曲げ金型を取り付け、 短尺材を左右方向に順次移動 させながら曲げ加工を進めていく 、 所謂ステップベン ドと称される 加工法が知られている。 このステッ プベン ド加工法を用いる場合、 偏荷重により、 またはラムの傾き も し く はラムおよび固定テーブル のたわみにより曲げ加工精度が悪化するこ とから、 ラムを左右 2軸 で駆動して傾きを補正すると同時に、 クラウユング用の油圧シリ ン ダーでたわみを補正する方法や、 機械の左右方向にわたつて複数個 のく さび装置を取り付けることによ り傾きやたわみを補正する方法 によって曲げ角度を補正するこ とが行われている。
しかしながら、 このよ う に左右 2軸駆動の長尺機を用いて短尺材 の曲げ加工を行う に際し、 前記特開平 7 — 2 6 5 9 5 7号公報に記 載の補正追い込み方法を用いたときには、 この長尺機が短尺材用の プレスブレーキ (短尺機) に比較して相対的にたわみが大き く 、 ま たワーク位置と金型駆動軸位置との距離が遠く なる ことにより、 ヮ ーク位置で必要な補正追い込み量を求め金型駆動軸位置に換算して 追い込む際、 補正追い込みの前後での荷重変化に起因して、 これら ワーク位置と金型駆動軸位置との間における機械たわみの変化が大 きいために、 補正追い込みが正確になされないという問題点がある < このこ とを図 2 3 によって説明する。 図 2 3 ( a ) は長尺機 6 1 によ り短尺のワーク Wを曲げ加工する場合、 図 2 3 ( b ) は短尺機 7 1 によ り同ワーク Wを曲げ加工する場合をそれぞれ示している。 また、 図中、 実線 A , Bはそれぞれ角度計測時のテーブル 6 2, 7 2 およびラム 6 3 , 7 3 のたわみを示し、 破線 A ' , B ' はそれぞ れ補正追い込み後のテーブル 6 2 , 7 2 およびラム 6 3 , 7 3 のた わみを示している。 一般に、 重量增をき ら う ラム 6 3 , 7 3 (可動 部) に対して、 テーブル 6 2, 7 2 (固定部) の剛性は大き く され ている こ とから、 b (ラムのたわみ) > a (テーブルのたわみ) の 関係が成り立ち、 補正追い込みによるテ一プルおよびラムのたわみ 増分をそれぞれ A b , A a とすると、 A b > A aの関係が成り立つ, また、 長尺機におけるたわみ増分の和△ a + △ bは、 短尺機におけ るたわみ増分の和 A a ' + Δ b ' に比べて大きな値になる、 すなわ ち A a + A b 》 A a ' + Δ b ' が成り立つ。
これに対処するために、 補正追い込みの前後での荷重変化を荷重 計測手段によって計測してたわみ変化を補正することも考えられる 力 このようにした場合には、 補正追い込みの後に荷重を計測し、 たわみ変化の分だけ再度追い込みを行う こ とが必要になることから
制御が複雑になるほか、 サイ クルタイムが多く かかったり、 荷重計 測手段が別に必要になるなどの問題点が発生する。
本発明は、 前述のよ うな問題点を解消するためになされたもので、 曲げの途中での曲げ角度計測と、 多軸の駆動機構との組み合わせに より、 ワークの全長にわたつてシンプルで正確な追い込みを可能に し、 それによつて材料のばらつきの影響を受けずに 1 度の曲げ加工 で精度の高い曲げ角度を得る ことのできる曲げ角度補正方法および それを用いるプレスブレーキを提供する こ とを目的とするものであ る o
また、 本発明は、 長尺機により短尺材の曲げを行う場合にもシン プルで正確な追い込みを可能にし、 それによつて材料のばらつきの 影響を受けずに 1 度の曲げ加工で精度の高い曲げ角度を得るこ との できる曲げ角度補正方法およびそれを用いるプレスブレーキを提供 することを目的とする ものである。 発明の開示
前述された目的を達成するために、 第 1 発明による曲げ角度補正 方法は、
3軸以上の駆動軸にて駆動される駆動金型と、 この駆動金型に対 向配置される固定金型との協働によって板状のワークを折り曲げる 際の曲げ角度補正方法であって、
曲げ加工途中でワークの曲げ角度を検出すると と もに、 この検出 される曲げ角度と目標曲げ角度との偏差をワークの両端とそれら両 端を除く 中央部の少なく と も 3箇所で求め、 この求められる偏差に 基づいて各駆動軸の軸位置における駆動金型の追い込み量の補正値 を求めることを特徴とするものである。
本発明による曲げ角度補正方法においては、 曲げ加工途中でヮー
クの曲げ角度が検出され、 この検出される曲げ角度と目標曲げ角度 との偏差が、 ワークの両端とそれら両端を除く 中央部の少なく と も
3 箇所で求められ、 この求められた偏差を各駆動軸の軸位置におけ る駆動金型の追い込み量の補正値に換算するこ と によ りその補正値 が求められる。 こ う して、 ワークの長手方向にわたる板厚ゃ塑性的 な特性の変化等によって均一に曲がらない現象が生じていても、 ク ラウニング補正値と傾き補正値とを合わせた各駆動軸位置での補正 値が自動的に求められるので、 曲げ角度の補正を容易に行う こ とが でき、 ワーク全長にわたっ て均一でかつ精度の高い曲げ角度を得る ことが可能となる。
また、 この第 1 発明を具体的に実現するための、 第 2発明による プレスブレーキは、
3軸以上の駆動軸にて駆動される駆動金型と、 この駆動金型に対 向配置される固定金型との協働によって板状のワークを折り曲げる プレスブレーキであって、
( a ) ワークの加工条件, ワーク の目標曲げ角度に対するスプリ ン グバッ ク角度の関係およびワーク の曲げ角度に対する駆動金型の追 い込み量の関係を記憶する記憶手段、
( b ) 曲げ加工途中にワークの長手方向に沿う少なく と も 3箇所位 置でワ ークの曲げ角度を検出する曲げ角度検出手段、
( c ) 前記記憶手段に記憶されているワークの加工条件およびヮ— クの目標曲げ角度に対するスプリ ングバッ ク角度の関係より前記駆 動金型の各駆動軸毎の仮の追い込み位置を渲算するとともに、 この 仮の追い込み位置にて前記曲げ角度検出手段によ り検出されるヮー クの曲げ角度と、 前記記憶手段に記憶されている ワ ーク の目標曲げ 角度に対するスプリ ングバッ ク角度の関係およびワークの曲げ角度 に対する駆動金型の追い込み量の関係から、 角度検出位置での前記
駆動金型の補正追い込み量を演算する演算手段、
( d ) この演算手段により演算される補正追い込み量から、 各駆動 軸位置における最終追い込み位置を補間によ り求める補間演算手段 および
( e ) 前記駆動金型を前記' の追い込み位置まで駆動した後最終追 い込み位置まで駆動する金型駆動手段
を備えることを特徴とする ものである。
本発明によるプレスブレーキにおいては、 ワークの曲げ加工に際 して、 記憶手段に記憶されているワークの加工条件, ワ ークの目標 曲げ角度に対するスプリ ンゲバッ ク角度の関係 よびワークの曲げ 角度に対する駆動金型の追い込み量の関係から 動金型の仮の追い 込み位置が演算され、 この仮の追い込み位置まで金型駆動手段によ り駆動金型が駆動されてその位置で曲げ角度検出手段により ワーク の長手方向に沿う少なく と も 3箇所位置でのワークの曲げ角度が検 出される。 次いで、 この検出された曲げ角度と 7め記憶手段に記憶 されているワークの目標曲げ角度に対するスプリ ングパッ ク角度の 関係およびワーク の曲げ角度に対する駆動金型の追い込み量の関係 から、 前記仮の追い込み位置での前記駆動金型の補正追い込み量が 求められ、 更にその補正追い込み量から各駆動軸位置での最終追い 込み位置が補間演算によ り求められる。 そ して、 この求められた最 終位置まで駆動金型が駆動されて曲げ加工が完 Ί する。 こ う して、 曲げ加工途中における一度の角度検出で、 曲げ ^置が左お方向に偏 心している場合であってもワークの長手方向位置において正確な追 い込みを行う ことができ、 高精度の曲げ加工を短時間で行う こ とが できる。
本発明において、 前記補間演算手段は、 ワ ークの両端を結ぶ線と 中央部とにおける固定金型支持用のテーブルのたわみ量差から得ら
れるク ラウニング補正値と、 このク ラウニング補正値とワーク両端 のテーブルたわみ量差とから得られる傾き量補正値とから前記各駆 動軸位置における最終追い込み位置を演算するものであるのが好ま しい。
前記曲げ角度検出手段は、 前記固定金型を支持するテーブルの前 面およびノまたは後面に設けられる レールに沿ってそのテーブルの 長手方向に移動自在に装着されるのが良い。 こ うする ことで、 ヮー クの長手方向に沿う任意の位置での曲げ角度を精度良く 検出するこ とができる。
次に、 第 3発明による曲げ角度補正方法は、
3軸以上の駆動軸にて駆動される駆動金型と、 この駆動金型に対 向配置される固定金型との協働によって、 機械の左右方向寸法に比 して曲げ長さが極端に短い短尺の板状ワークを折り曲げる際の曲げ 角度補正方法であつて、
曲げ加工途中でワークの曲げ角度を検出するとと もに、 この検出 される曲げ角度と目標曲げ角度との偏差をワークの長手方向に沿う 少なく と も 1 箇所で求め、 この求められる偏差に基づいて各駆動軸 の軸位置における駆動金型の追い込み量の補正値を求める こ とを特 徴とするものである。
本発明による曲げ角度補正方法においては、 機械の左右方向寸法 に比して曲げ長さが極端に短い短尺のワークの曲げ加工に際して、 曲げ加工途中でワークの曲げ角度が検出され、 この検出される曲げ 角度と目標曲げ角度との偏差が、 ワークの長手方向に沿う少なく と も 1 箇所で求められ、 この求められた偏差を各駆動軸の軸位置にお ける駆動金型の追い込み量の補正値に換算することによ りその補正 値が求められる。 こ う して、 長尺のプレスブレーキで短尺のワーク を曲げ加工する場合であっても、 角度計測後の補正追い込みの誤差
がごく 小さ く 抑えられ、 精度の良い補正追い込みを行う ことができ る
また、 この第 3発明を具体的に実現するための、 第 4発明による プレスブレーキは、
機械の左右方向寸法に比して曲げ長さが極端に短い短尺のワーク を折り曲げるのに用いられ、 3軸以上の駆動軸にて駆動される駆動 金型と、 この駆動金型に対向配置される固定金型との協働によって そのワークを折り曲げるプレスブレーキであって、
( a ) ワークの加工条件, ワークの目標曲げ角度に対するスプリ ン グバッ ク角度の関係およびフ一クの曲げ角度に対する駆動金型の追 い込み量の関係を記憶する記憶手段、
( b ) 曲げ加工途中にワークの長手方向に沿う少なく と も 1 箇所位 置でワークの曲げ角度を検出する曲げ角度検出手段、
( c ) 前記記憶手段に記憶されているワークの加工条件およびヮー クの目標曲げ角度に対するスプリ ングバッ ク角度の関係より前記駆 動金型の各駆動軸毎の仮の追い込み位置を演算するとと もに、 この 仮の追い込み位置にて前記曲げ角度検出手段によ り検出されるヮー クの曲げ角度と、 前記記憶手段に記憶されているワークの目標曲げ 角度に対するスプリ ングバッ ク角度の関係およびワークの曲げ角度 に対する駆動金型の追い込み量の関係から、 角度検出位置での前記 駆動金型の補正追い込み量を演算する演算手段、
( d ) この演算手段によ り演算される補正追い込み量から、 各駆動 軸位置における最終追い込み位置を補間により求める補間演算手段 および
( e ) 前記駆動金型を前記仮の追い込み位置まで駆動した後最終追 い込み位置まで駆動する金型駆動手段
を備えることを特徴とする ものである。
本発明によるプレスブレーキにおいては、 機械の左右方向寸法に 比して曲げ長さが極端に短い短尺のワークの曲げ加工に際して、 記 憶手段に記憶されているワークの加工条件, ワークの目標曲げ角度 に対するスプリ ングバッ ク角度の関係およびワークの曲げ角度に対 する駆動金型の追い込み量の関係から駆動金型の仮の追い込み位置 が演算され、 この仮の追い込み位置まで金型駆動手段によ り駆動金 型が駆動されてその位置で曲げ角度検出手段により ワークの長手方 向に沿う少なく と も 1 箇所位置でのワークの曲げ角度が検出される c 次いで、 この検出された曲げ角度と予め記憶手段に記憶されている ワークの目標曲げ角度に対するスプリ ングバッ ク角度の関係および ワークの曲げ角度に対する駆動金型の追い込み量の関係から、 前記 仮の追い込み位置での前記駆動金型の補正追い込み量が求められ、 更にその補正追い込み量から各駆動軸位置での最終追い込み位置が 補間溃算によ り求められる。 そ して、 この求められた最終位置まで 駆動金型が駆動されて曲げ加工が完了する。 こ う して、 曲げ加工途 中における一度の角度検出で、 長尺のプレスブレーキで短尺のヮー クを例えばステッ プベン ドによって曲げ加工する場合であっても角 度計測後の補正追い込みの誤差がごく 小さ く 抑えられ、 精度の良い 補正追い込みを行う ことができ、 高精度の曲げ加工を短時間で行う ことができる。 こ こで、 短尺のワーク とは、 例えば曲げ長さが 5 0 0 m m以下程度のもので、 通常中開き現象は起こ らないが、 材料ば らつきなどにより左右端で角度差が発生するため、 左お 2箇所で曲 げ角度計測を行う ことが好ま しい。 また、 曲げ長さが 1 0 0 m m以 下となると左右差は問題とならないため 1 箇所の計測で良い。 この ように計測箇所は曲げ長さに応じて設定するのか好ま しい。 また、 各金型駆動軸は、 機械の最大曲げ長さに応じて個数および位置が決 められ、 互いに隣り合う駆動軸間において、 軸間のテーブル, ラム
のたわみにより中開き現象が起こ らない程度の軸間距離および剛性 とするのが良い。
本発明において、 前記補間演算手段は、 ワークの左お端位置にお ける各補正追い込み量から直線補間によ り各駆動軸位置における最 終追い込み位置を演算するものであるのが好ましい。 また、 機械の たわみデータから求められるたわみ曲線によ り演算するようにして も良い。
前記曲げ角度検出手段は、 前記固定金型を支持するテーブルの前 面およびノまたは後面に設けられる レールに沿ってそのテ一プルの 長手方向に移動自在に装着されるのが良い。 こ うする ことで、 ヮー クの長手方向に沿う任意の位置での曲げ角度を精度良く 検出する こ とができる。 図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の第 1 実施例に係るプレスブレーキの正面図、 図 2 は、 本実施例のプレスブレーキの側面図、
図 3 は、 本実施例のプレスブレーキの制御システム構成を示すブ ロ ッ ク図、
図 4 は、 本実施例の曲げ加工工程を示すフローチャー ト、 図 5 は、 曲げ角度と追い込み量との関係を示すグラフ、
図 6 は、 各金型駆動軸における仮の下限値を演算するための手順 を示すフローチヤ一 ト、
図 7 は、 エアベン ト加工におけるダイ とワーク とパンチとの幾何 学的関係を示す図、
図 8 は、 各部の変形形状を説明する図、
図 9 は、 テーブルたわみの計算式を説明する図、
図 1 0 は、 各金型駆動軸における最終下限値の補間演算手順を示
すフ ロ ーチヤ 一 ト、
図 1 1 は、 テーブルたわみ量の計算内容を説明する図、
図 1 2 は、 計測位置の計算内容を説明する図、
図 1 3 は、 補正値によるクラウニ ング量の計算内容を説明する図、 図 1 4 は、 各駆動軸位置でのクラウニ ング補正量の計算内容を説 明する図、
図 1 5 は、 クラウニング補正分を含んだ傾き量および各駆動軸位 置での傾き補正量の計算内容を説明する図、
図 1 6 は、 各駆動軸位置の補正値の計算内容を説明する図、 図 1 7 は、 最終下限値の補間演算の他の例を説明する図、
図 1 8 は、 本発明の第 2実施例に係るプレスブレーキの正面図、 図 1 9 は、 第 2 実施例の各金型駆動軸における最終下限値の補間 演算手順を示すフ ローチヤ — ト、
図 2 0 は、 第 2実施例のテーブルたわみ量の t算内容を説明する 図、
図 2 1 は、 第 2 実施例における各駆動軸位置の補正値の計算内容 を説明する図、
図 2 2 は、 従来のプレスブレーキを示す図、
図 2 3 ( a ) ( b ) は、 長尺機での短尺材の曲げ加工状態を短尺 機との比較で示す図である。
発明を実施するための最良の形態
次に、 本発明による曲げ角度補正方法およびそれを用いるプレス ブレーキの具体的な実施の形態につき、 図面を参照しつつ説明する,
(第 1 実施例)
図 1 は本発明の第 1 実施例に係るプレスブレーキの正面図、 図 2 は同プレスブレーキの側面図、 図 3 は本実施例の制御システム構成
を示すブロッ ク図である。
本実施例のプレスブレーキにおいては、 固定のテーブル 1 と、 こ のテーブル 1 に対位して昇降駆動されるラム 2 とが備えられ、 テー ブル 1 の上面にはダイ保持装置 3を介して V字状の型溝を有するダ ィ (下金型) 4が保持され、 ラム 2の下部にはダイ 4 に対向してパ ンチ (上金型) 5がパンチ保持装置 6を介して取り付けられている。 前記テーブル 1 の両端部には一対のサイ ドフ レーム 7 , 8がー体 に設けられ、 各サイ ドフ レ --ム 7 , 8の上端部を連結するよう に支 持フ レーム 9 が設け られている。 こ の支持フ レーム 9 には複数個
(本実施例では 4個) のラム駆動装置 1 0 a , 1 0 b , 1 0 c , 1 0 dが取り付けられており、 これらラム駆動装置 1 0 a〜 l 0 dの 下端部にラム 2が揺動自在に連結されている。 こ う して、 ラム駆動 装置 1 0 a〜 l 0 dの作動によってラム 2が昇降動されることにより、 パンチ 5 とダイ 4 との間に介挿されるワーク Wか折り曲げられるよ う なっている。
各ラム駆動装置 1 0 a〜 1 0 dは、 後方に設けられる A Cサーボ モータ 1 1 a〜 l 1 dを駆動源と してその駆動力をタイ ミ ングベル ト 1 2を介してラム 2 に連結されているボールスク リ ユー 1 3 に伝 え、 このボールスク リ ュー 1 3 によってサ一ボモータ 1 1 a〜 l 1 dの回転駆動力を上下方向の移動力に変換してワーク Wに対する加 圧力を発生するよ う に構成されている。
前記ラ ム 2の上下位置は、 各ラム駆動装置 1 0 a〜 l ϋ dの駆動 軸位置に対応して設けられる リニアエンコーダ (イ ンク リ メ ンタル エンコーダ) 1 4 a〜 1 4 dによって検出され、 その検出データ力く N C装置 1 9 aに入力されることによ り、 各軸位置に応じてサーボ アンプ 1 5 a〜 l 5 dを介して各サ一ボモータ 1 1 a〜 l 1 dがフ イ ー ドバッ ク制御され、 かつそれらサ一ボモ一夕 1 1 a〜 l I dの
モータ軸に取り付けられるブレーキが機械制御装置 (シーケ ンサ) によって制御されるよ う になっている。 こ こで、 前記リ ニアェンコ ーダ 1 4 a〜 1 4 d は、 各サイ ドフ レーム 7 , 8 に沿うように設け られる 2枚のサイ ドブレ一 卜 と、 左右のサイ ドブレ一 トを連結する ビームとにより構成される補正ブラケッ ト 1 7 に支持されている。 このような構成により、 これら リ ニアエンコーダ 1 4 a〜 l 4 d は. サイ ドフ レーム 7 , 8 の負荷変化による変形の影響を受けることが なく 、 ラム 2 の各軸毎の絶対位置を計測するこ とが可能である。 な お、 前記サ一ポモータ 1 1 a〜 l 1 d のモータ軸には、 各サ一ボモ —夕 1 1 a〜 l 1 dの現在位置を検出するためのエンコーダ (アブ ソ リ ュー トエンコーダ) 1 8 a〜 1 8 dが付設され、 これらェンコ —ダ 1 8 a〜 1 8 d による検出データによっても各サ一ポアンプ 1 5 a〜 1 5 dが制御されるようになっている。
前述のラム駆動装置 1 0 a〜 l 0 dを制御するための N C装置 2 9 および機械制御装置 (シーケ ンサ) を含む制御装置 2 0 はプレス ブレーキの本体フ レームの側部に取り付けられており、 また曲げデ —夕等の入力用のキーボー ド, 各種データを表示する表示器および 各種スィ ッ チ類を含む操作盤 2 1 は、 支持フ レー ム 9 に旋回自在な アーム 2 2 を介して吊り下げられている。 さ らに、 本体フ レームの 側部下方には足踏み操作用のフー トスィ ッチ 2 3が設けられている, 前記テーブル 1 の前面および後面には各 3基ずつ計 6基の角度計 測ュニッ ト 2 5 が左右方向に延設される リ ニアガイ ド 2 6 に沿って 移動自在に設けられている。 この角度計測ユニッ ト 2 5 は、 ワーク Wの折り曲げ外面上に線状投光像を投影するスリ ッ ト状の光源 2 6 と、 この光源 2 6 による線状投光像を撮像する C C Dカメ ラ 2 7 と を備える構成とされ、 この C C Dカメ ラ 2 7 によって撮像される画 像を曲げ角度演算部 2 8 にて処理する ことでワーク Wの曲げ角度が
算出される。 なお、 この演算結果は N C装置 2 9 に入力されるよ う になっている。
N C装置 2 9 においては、 使用金型諸元 (パンチ先端半径, パン チ高さ, ダイ高さ, ダイ V溝幅, V溝角度, V溝肩半径など) 、 ヮ 一ク緖元 (材質, 抗張力, 板厚など) 、 曲げ条件 (曲げ角度, 曲げ 長さ, 曲げ位置偏心量など) の曲げ加工データが入力されるとと も に、 曲げ加工途中の曲げ角度計測を目標曲げ角度のどれだけ手前で 行うか、 またワーク両端から左右方向にどれだけ入った位置で計測 を行うかなどの計測条件が入力される加工条件入力部 3 0 が設けら れ、 この加工条件入力部 3 0 から入力される情報に基づいて計測位 置演算部 3 1 において左右方向の曲げ角度計測位置が演算され、 こ の演算結果により各角度計測ュニッ ト 2 5が所要位置に移動される よう になつている。
また、 この N C装置 2 9 においては、 前記加工条件入力部 3 0か ら入力される加工条件に応じて、 曲げ加工における角度計測位置, 計測工程番号および許容差等のデータ、 データベース更新用のサン プリ ング条件 (回数, 角度) および曲げ角度の合否判定条件等の各 種条件を設定する計測 ♦ 合否条件設定部 3 2 と、 曲げ角度に対する ラム 2 の追い込み量の関係に係るデータが登録されている曲げ角度 〜追い込み量データ部 3 3 と、 目標曲げ角度に対するスプリ ングパ ッ ク角度の関係に係るデータが登録されているスプリ ングバッ クデ —夕部 3 4 と、 曲げ角度演算部 2 8からのデータによ り曲げ加工の 完了したワークの曲げ精度を判定する合否判定部 3 5 と、 前記曲げ 角度〜追い込み量データ部 3 3 およびスプリ ングバッ クデータ部 3 4からの各データ, 加工条件入力部 3 0 からのデータおよび曲げ角 度演算部 2 8からのデータによりラム 2 の各角度計測位置での最終 追い込み量を演算する各計測位置での追い込み量演算部 3 6 と、 加
ェ条件入力部 3 0 からのデータ によ り ラム 2 の名駆動軸での仮の追 い込み位置 (下限位置) を演算するとと もに、 前記各計測位置での 追い込み量演算部 3 6からのデータに基づきラム駆動軸での最終追 い込み量を演算し、 その演算結果を各ラム駆動装置 1 0 a〜 l 0 d に出力するラム駆動軸での追い込み量演算部 (補間演算部) 3 7 と が備えられ、 更に曲げ角度演算部 2 8 からのデータを一時保管して 前記曲げ角度〜追い込み量データ部 3 3 に新規データ も し く は更新 データを登録するとと もに、 演算フ ォ ームの設定と係数演算とを行 う曲げ角度〜追い込み量データ更新処理部 3 8 と、 同じく 曲げ角度 演算部 2 8 からのデータを一時保管してスプリ ングバッ クデータ部 3 4 に新規データ も し く は更新データを登録するとと もに、 演算フ オ ームの設定と係数演算とを行うスプリ ングバッ クデータ更新処理 部 3 9 とが備えられている。
次に、 本実施例の曲げ加工工程を図 4 に示されているフ ローチヤ — トによつて説明する。
A〜 B : 曲げ角度計測モー ドであるか否かを判定し (ステ ッ プ A ) 、 計測モー ドでないという ときには通常モー ドで曲げ加工を実 行して (ステッ プ B ) 、 フ ローを終了する。 一方、 計測モー ドであ るという ときにはステッ プこへ進む。 なお、 曲げ加工を曲げ角度計 測モー ドで実行するか否かは外部スィ ッチにてオペレータにより設
7t一 9 る o
(:〜 E : 加工条件入力部 3 0からワーク情報 (材質, 曲げ線長さ : 曲げ角度等) , 金型情報 (型高さ, V溝幅, V角度, パンチ R等) . 機械情報 (剛性, ス ピー ド仕様, ス トローク仕様等) 等の加工条件 を入力し (ステ ッ プ C ) 、 次いで曲げ角度の計測条件である角度計 測ュニッ ト 2 5 の長手方向位置ゃセ ッ ティ ング状態を設定する (ス テツ プ D ) 。 そ して、 前記加工条件および計測条件に応じて角度計
測ュニ ッ ト 2 5の長手方向位置を演算する (ステ ッ プ E ) 。
F : 各金型駆動軸における仮の下限値、 言い換えれば曲げ角度計 測時の下限値を演算する。 この演算内容については後述の図 6 に示 されるフ ローチヤ 一 卜 によ って詳述する。
G〜 J : N C装置 2 9を起動すると (ステッ プ G) 、 角度計測ュ ニッ ト 2 5が計算された位置まで移動する。 次に、 パンチ 5 とダイ 4 との間にワーク Wをセッ ト し (ステッ プ H) 、 金型駆動軸を仮の 下限位置まで駆動し曲げ加工を行う (ステッ プ I ) 。 次いで、 この 仮の下限位置で角度計測ュニッ ト 2 5 によ り角度計測を行う とと も に、 計測結果を表示する (ステップ J ) 。
K〜 L : すべての計測角が目標曲げ角度 ( W A ) —スプリ ングバ ッ ク角度 ( S B ) +定数 (こ こで、 定数は許容差などの値) よ り小 さな値であるか否か、 言い換えればラム 2が最終下限値に達してい るか否かを判定する。 そ して、 この判定の結果、 最終下限値に達し ていないときには、 各角度計測位置における補正追い込み量を演算 する。 この補正追い込み量は、 図 5 に示されているよ う に、 予め曲 げ加工条件により層別して登録されている曲げ角度一追い込み量力 ーブから、 計測角度を F Aとするときに図の ( D o - D 1 ) と して 求められる。 なお、 この補正追い込み量の計算は各角度計測位置に おいて行われる。
M : 各角度計測位置における補正追い込み量から、 各金型駆動軸 における最終下限値を補間演算により求める。 この演算内容につい ては後述の図 1 0 に示されるフ ローチ ヤ 一 卜によ って詳述する。
N〜 P : すべての計測角が目標曲げ角度 (WA ) —スプリ ングバ ッ ク角度 ( S B ) +定数に達した場合に、 ラム 2を上昇させ (ステ ッ プ N) 、 次いで曲げ加工精度の確認を行うか否かを判定する (ス テツ プ 0 ) 。 そ して、 精度確認を行わない場合にはフ ローを終了し
精度確認を行う場合には曲げ角度の計測を行ってその計測値を表示 する (ステップ P ) 。 この場合、 ラム 2の上昇によ り ワーク Wが倒 れて角度計測が出来なく なるのを防止するために、 角度計測はヮ一 ク Wを軽く クラ ンプした状態で行うのが望ま しい。
Q〜 S : 計測角度が許容範囲内にあるか否かを見て (ステ ッ プ Q) 、 許容範囲内にある という ときにはフ ロ ーを終了する。 一方、 許容範囲内にないという と きには曲げ加工が失敗したという ことな ので、 強制下限修正を行うか否かを判定し (ステッ プ R ) 、 修正を 行う場合には最終下限値の修正を行って (ステッ プ S ) フ ローを終 了し、 修正を行わない場合にはそのままフ ロ ーを終了する。 なお、 最終下限値の修正方法と しては、 図 5 に示される曲げ角度一追い込 み量の関係より補正追い込み量を求め、 後述する補間演算によって 各駆動軸の最終下限値を求めるよう にすれば良い。
次に、 前述の図 4 に示されるフローチヤ一トにおけるステッ プ F、 すなわち各金型駆動軸における仮の下限値を演算するための手順を 図 6を参照しつつ説明する。
F 1 : 入力される曲げ加工デ一夕である、 ワーク材質 MA T, 板 厚 WT, 製品目標曲げ角度 WA, スプリ ングバッ ク角度 S B, 成形 中の内側曲げ半径 F R , パンチ先端半径 P R, ダイ V溝幅 D V, ダ ィ V溝角度 D A, ダイ V肩半径 D Rなどの成形性要因に関するデー 夕に基づき、 まずパンチ先端食い込み量 G Rを求める。 このパンチ 先端食い込み量 G Rは、 ワーク材質 MA T, 板厚 WT, 製品目標曲 げ角度 WA, パンチ先端半径 P R , ダイ V溝幅 D Vによ って次式の ように一義的に求められるり
G R = f (MA T, WT, W A, P R, D V )
なお、 関数 f は予め実験も しく はシ ミ ュ レー シ ョ ンによつて決定 されているものとする。
F 2 : 角度計測時の目標曲げ角度 F A' を計算する。 この目標曲 げ角度 F A' は、 次式で与えられる。
F A' =WA- S B + AA
こ こで、 A Aは、 目標の何度手前で角度計測を行うかの値である c F 3 : 曲げ形成のみの追い込み量 P E I (図 7参照) を次式によ り求める。
P E I = ( g - h ) x t a n ( 9 0 ° — F A' / 2 ) - i - j し し で、
g = D V/ 2 + D R x t a n ( 9 0 ° — D A 2 ) / 2 h = (D R +WT) x s i n ( 9 0 ° - F A' / 2 )
i = (D R +WT) x c o s ( 9 0 ° — F A' / 2 ) — D R j = F R x ( 1 / c o s ( 9 0 ° — F A' / 2 ) - 1 ) であ ^)。
したがって、 成形性要因による追い込み量 P Eは次式で求められ る o
P E= P E I + G R
F 4〜F 5 : 次に、 機械的要因を加味した追い込み量 P Eを得る ために、 各部の変形状態を図 8に示されるよ う にモデル化し、 負荷 時の機械的変形を考慮した下限位置を次のよ う に求める。 すなわち, 加圧条件入力部 3 0から前述の成形性要因に関するデータの他に、 パンチ高さ P H, ダイ高さ DH, ワーク曲げ長さ WL, ワーク曲げ 位置 W P Pなどのデータが入力され、 これらデータに基づいてラム 2の負荷変位 E UT, テーブル 1の負荷変位 E Lおよびテーブル 1 の各軸位置でのたわみ量 D L i ( i - 1 , 2 , 3 , 4 ) が求められ る。 こ こで、 この機械的要因の中で特に問題となるのはラム 2およ ぴテ一ブル 1の負荷変位である。
テーブルたわみ量 D L i は、 両端支持はりに等分布荷重が加わつ
た場合の各位置における曲げたわみ量 Y B i およびせん断たわみ量 Y S i に実験等から求めた差分係数 D L C O Rを乗じて求められる c 曲げたわみ量 Y B iおよびせん断たわみ量 Y S i は次のように求め られる。
図 9に示されるように、 軸位置の A点からの距離を AX Pとする と、
①軸位置が A C間にあるとき ( 0≤ A X Pく L Aのとき)
Y B = - ( R A/ 6 X A X P 3 + C 1 x A X P ) / ( E x I ) Y S K x R A x A X P/ (G x A)
②軸位置が C D間にあるとき (L A≤A X Pく L Bのとき)
Y B = - ( R A/ 6 x A X P 3 - WQ/ 2 4 x
(AX P - L A) 4 + C 1 x A X P ) / ( E x I )
Y S = (R A x AX P -WQ/ 2 x (AX P - L A) ) x
K/ ( G x A)
③軸位置が D B間にあるとき (L B AX P < L Lのとき)
Y B = - ( R A/ 6 x A X P 3 -WB F/ 6 x (AX P -
L E ) 3 + C 5 X AX P + C 6 ) / ( E x I ) Y S = (R A x AX P -WB F x (AX P— L E) 2 x
K/ (G x A)
したがって、 実験等により得られる軸位置 iでのたわみ量 D L i は、 次式で表される。
D L i = (Y B + Y S ) X D L C 0 R
Y B : 曲げたわみ量 A : 断面積
Y S : せん断たわみ量 R A : A点での反力
E : 縦弾性係数 WQ : 単位長さ当たりの荷重
G : 横弾性係数 WB F : 総荷重
I : 断面二次モーメ ン ト C I , C 5 , C 6 : 定数
K : せん断応力比
なお、 各定数 C 1 , C 5 , C 6 は次式で与えられる。
C 1 = ( Z Z + C 5 X ( L Β - L L ) ) / L Β
C 5 = (WB F/ 2 X ( L B— L E ) 2 -WB F/ 6 x
( L B— L A) 2 + Z Z / L B ) x L B / L L
C 6 =WB F/ 6 x ( L L - L E ) 3 - R A / 6 x L L 3 ―
C 5 x L L
ただし、
Z Z =WB F/ 2 4 x ( L B - L A) 3 - W B F / 6 x
( L B— L E ) 3 + WB F / 6 X ( L L— L E ) 3 一 R A/ 6 x L L 3
また、 ラム 2およびテーブル 1 の負荷変位 E U T , E Lおよびテ 一ブルたわみの差分係数 D L C 0 Rは、 予め実験も し く はシ ミ ュ レ ーシ ヨ ンを行い、 加工条件が与えられると一義的に定まる実験式を 求めておけば即座に得る こ とができる。
F 6 : こ う して、 各軸の下限値 D P T i を計算する。 図 8 に示さ れている例の場合、 第 3軸位置での目標値 D P T 3 は次式で表され 0
D P T 3 = P H + D H - P E - E U T - E L - D L 3 同様にして第 1軸, 第 2軸および第 4軸についても演算を行う こ とによ り各駆動軸位置での下限値を求める ことができる。
また、 前述の図 4 に示されるフローチヤ一 トにおけるステップ M すなわち各金型駆動軸における最終下限値を補間演算により求める ための手順を図 1 0を参照しつつ説明する。
M 1 : 仮の下限値の計算時に求められている曲げ荷重 B Fを基に 計測位置でのテーブルたわみ量を求める (図 1 1参照) 。 例えばヮ
—ク中央におけるテーブルたわみ量 C W X cは、 ワーク中央での曲 げによるたわみ量 Y Bが次式
Y B = - ( R A/ 6 x W P X C 3 + C 1 x W P X C ) / ( E x
I z )
で表され、 ワーク中央でのせん断によるたわみ量 Y Sが次式
Y S = ( R A x W P X C -WQ/ 2 x (W P X C— L A) 2 ) x K/ ( G x A)
で表される こ とから、 次式で与えられる。
CWX C = Y B + Y S
=一 ( R A/ 6 x W P X C 3 + C 1 X W P X C ) / ( E X I z ) + ( R A x W P X C -WQ/ 2 x (W P X C — L A) 2 ) x K/ ( G x A )
こ こで、 W Q : 単位長さ当たりの曲げ荷重
R A : テーブル左端での反力
I z : 断面 2次モーメ ン ト
E : 縦弾性係数
G : 横弾性係数
K, A, C 1 : その他の定数
同様にして、 ワーク左端でのテ一プルたわみ量 C WX Lおよびヮ —ク右端でのテーブルたわみ量 C WX R も求める。 こ こで、 仮の下 限値での目標曲げ角度 F A ' と、 最終追い込み時の目標曲げ角度 (WA— S B ) はごく 近い値であり、 両者における曲げ荷重の差は 無視するこ とができる。
なお、 計測位置、 言い換えればテーブル 1 の左端からワーク Wの 両端位置および中央位置は、 テーブル支点間距離を L L , 曲げ位置 偏心量を W P P, ワーク曲げ長さを W L とすると、 次式で表される (図 1 2参照) 。
①ワーク中央
W P X C = L L / 2 +W P P
②ワーク左端
W P X L =W P X C -W L / 2
③ワーク右端
W P X R = W P C +WL/ 2
M 2 : 前記補正追い込み量よ り、 ワーク左右端位置の各補正追い 込み量 H S T L , H S T Rを結ぶ線と、 中央位置の補正量 H S T C との差 CWP C Hを次式により求める (図 1 3参照) 。 こ こで、 H S T L , H S T R , H S T Cは各角度計測位置での補正追い込み量 ある。
C W P C H = H S T C - (WP X C -W P X L ) x (H S T R
- H S T L ) / (W P X R -W P X L )
- H S T L
また、 曲げ荷重から求めた計測位置でのテーブルたわみから も同 様にワーク左右端位置の各テーブルたわみ CWX L , CWX Rと中 央のテーブルたわみ CWX Cとの差 CWX C Hを次式によ り求める (図 1 1参照) 。
C WX C H = C WX C - (W P X C -WP X L ) x ( CWX R 一 C WX L ) / (W P X R -W P X L )
- C WX L
M 3 : 目標位置計算時に計算されているテーブル中央および各駆 動軸位置の曲げ荷重による 一ブルのたわみ量を基に、 前記ステツ プ M 2 にて得られた CW P C Hと CWX C Hの比率から各駆動軸位 置でのクラウニング補正量に換算する (図 1 4参照) 。 例えば第 1 軸におけるクラウニング補正量 C WH H 1 は、 この第 1軸位置の曲 げ荷重によるテーブルたわみ量を D L 1 と して次式で表される。
C WH H 1 = D L 1 x CWP C H/CWX C H— C WH H L こ こで、 CWH H Lは計測位置の左端を基準と して値を求めてい ることを示す補正係数であり、 次式によって求められる。
CWH H L = CWX L x CWP C H/CWX C H
他の軸についても同様にして求める。 一般式は次式で与えられる (
CWH H i = D L i x C W P C H/C WX C H - CWH H L
( i = 1 , 2 , 3 , 4 ) Μ 4 : クラウユング補正量を差し引いたワーク両端での補正量を 次式により求める こ とにより、 クラウニング補正分を含んだ傾き量 を求める (図 1 5参照) 。
C WH T L = H S T L - C WX L x CW P C H/CWX C H CWH T R = H D T R - CWX R x CW P C H/C WX C H M 5 : 前のステッ プ M 4での演算結果を基に、 各駆動軸位置での 傾き量 C A K K i を次式によ り求める (図 1 5参照) 。
C A K K i = (A P P i - A P P 1 ) x ( CWH T R - C WH
T L ) / (W P X R -W P X L ) - C A K K L
( i = 1 , 2 , 3 , 4 ) こ こで、 C A K K Lは計測位置の左端を基準と して値を求めてい ることを示す補正係数であり、 次式によって求められる。
C A K K L = (W P X L - A P P 1 ) x ( CWH T R - CWH
T L ) / (WP X R -W P X L ) - C A K K L こ う して、 各軸位置において傾き補正量を得ることができる。 M 6 : 各駆動軸位置の補正追い込み量を得るために、 ステップ M 3 において求められたクラウニング補正量'およびステッ プ M 5 にお いて求められた傾き補正量を足し合わせ、 かつワーク左端の補正量 H S T Lを加算するこ とによ り、 次式によって各駆動軸位置での補 正追い込み量 D P S H i を得る (図 1 6参照) 。
D P S H i =H S T L + CWHH i + C AKK i
( i = 1 , 2 , 3 , 4 ) M 7 : 各駆動軸の仮の下限値から補正追い込み量を減算すること により、 次式にて最終下限値 D P T L i を求める。 こ こで、 減算処 理が行われているのは、 この最終下限値 D P T L iが下端を基準に している値である こ とによる。
D P T L i = D P T i - D P S H i
( i = 1 , 2 , 3 , 4 ) この第 1実施例によれば、 曲げ位置が左右方向に偏心している場 合であっても、 クラウニング補正値と傾き補正値とを合わせた各駆 動軸位置での補正値が曲げ 工途中における一度の角度検出で自動 的に求められるので、 曲げ角度の補正を容易に行う ことができ、 ヮ ーク全長にわたって均一でかつ高精度の曲げ加工を短時間で行う こ とができる。
本実施例では、 最終下限値を補間演算するのに機械のたわみ曲線 を基にして行う ものと したが、 前述の H S T L, H S T R, H S T Cを図 1 7に示されるよ うな 2次曲線で近似補間するよう にしても 良い。 また、 1次曲線 (直線) で近似補間する こ ともできる。
本実施例では、 角度計測ュニッ トをテ一ブルの片側に 3基ずつ計 6基設けたものを説明したが、 本実施例のように角度計測ュニッ ト をワークの長手方向に移動可能に構成すれば、 片側 1基も しく は 2 基の角度計測ユニッ トを移動させることにより ワークの 3箇所の計 測を行っても良い。 また、 種々の条件でワークの片側の折り曲げ外 面のみの計測しか行えない場合には、 他側の計測可能な外面の角度 計測結果を 2倍することによ り最終曲げ角度を得るようにしても良 い。
本実施例においては、 ワークの左右両端と中央の 3箇所を計測し
て補正するものを説明したが、 計測位置を明確にする こ とにより 4 箇所以上の曲げ角度を計測して補正する実施例も可能である。 この 場合にも、 やはり ワーク両端の補正量を基準にしてそれらを結ぶ線 とその間の補正量との差からクラウユング補正量を求め、 両端の補 正量から傾き補正量、 左端の補正量から角度の全体補正量を 3箇所 の場合と同様にして求める こ とができる。
(第 2実施例)
図 1 8 は本発明の第 2実施例に係るプレスブレーキの正面図であ る。 本実施例は、 機械の左右方向寸法に比して曲げ長さが極端に短 い短尺のワークを折り曲げる場合に適用される ものであって、 前後 一対で構成される角度計測ュニッ ト 2 5が二対設けられ、 各角度計 測ュニッ ト 2 5がリ ニアガイ ド 2 5 aに沿って移動自在とされてい る。 この点以外の構成等については第 1 実施例と基本的に異なると ころがない。 したがって、 第 1 実施例と共通する部分についてはそ の詳細な説明を省略するこ ととする。
本実施例においては、 前述の図 4 に示されるフ ローチャー トにお けるステツ プ1^、 すなわち各金型駆動軸における最終下限値を補間 演算によ り求めるためのステツ プが図 1 9 に示される手順にしたが つて実行される。
M' 1 : 図 2 0 , 図 2 1 に示されているよ うに、 ワーク Wの左右 端計測位置における補正追い込み量 H S T L , H S T Rから、 次式 の直線補間により各駆動軸位置での補正追い込み量 D P S H i を求 める。
D P S H i = H S T L - (W P X L - A P P i ) x (H S T R — H S T L ) / (WP X R -WP X L )
( i = 1 , 2 , 3, 4 )
M' 2 : 各駆動軸の仮の下限値から補正追い込み量を減算する こ とにより、 次式にて最終下限値 D P T L i を求める。 こ こで、 減算 処理が行われているのは、 この最終下限値 D P T L iが下端を基準 にしている値であるこ とによる。
D P T L i = D P T i - D P S H i
( i = 1 , 2 , 3 , 4 ) この第 2実施例によれば、 長尺のプレスブレーキで短尺のワーク を、 例えばステッ プベン ドによって曲げ加工する場合であっても、 曲げ加工の途中で曲げ角度が計測され、 この計測角度に基づき 3軸 以上の多軸のラム駆動装置 1 0 a〜 1 0 dの作動によつて補正追い 込みが行われて曲げ加工が完了されるので、 この補正追い込みの誤 差を最小限に抑えるこ とができ、 高精度の曲げ加工を短時間で行う こ とが可能である。
本実施例では、 曲げ角度計測をワークの左お端の 2箇所で行う も のと したが、 ワークの曲げ長さが短い場合 (例えば 1 0 0 m m以 下) には、 角度計測をワークの中央部の 1箇所のみで行うようにで きる。 この場合、 各駆動軸位置における最終下限値は、 補正追い込 み量 H S T Cから次式で求められる。
D P T L i = D P T i -H S T C
( i = 1, 2 , 3 , 4 ) 本実施例では、 角度計測ュニッ トをテーブルの片側に 2基ずつ計 4基設けたものを説明したが、 本実施例のように角度計測ュニッ ト をワークの長手方向に移動可能に構成すれば、 片側 1基の角度計測 ュニッ トを移動させるこ とによりワークの 1箇所も しく は 2箇所の 計測を行っても良い。 また、 種々の条件でワークの片側の折り曲げ 外面のみの計測しか行えない場合には、 他側の計測可能な外面の角 度計測結果を 2倍することにより最終曲げ角度を得るよう にしても
良い。
前記第 1 , 第 2実施例においては、 角度計測ュニッ ト と して、 ス リ ッ ト状の光源と C C Dカメ ラとよりなる構成のものを用いたが、 この角度計測ュニッ ト と しては、 他の接触式のものや静電容量式の ものなどいろいろなタイプのものを用いる こ とができる。
前記各実施例においては、 ラムの駆動源と して A Cサ一ボモータ とボールスク リ ューとを用いるものを説明したが、 この駆動源と し ては他に油圧ュニッ ト とシリ ンダを用いるこ と もできる。
前記各実施例においては、 ラムの駆動軸が 4軸の場合について説 明したが、 この駆動軸と しては 3軸であっても良いし、 5軸以上で あって も良い。