明 細 書
ハイプリ V ドカブラ 技術分野
この発明は、 コードレスホン、 携帯電話機等の無線機器、 又はそ の他の各種通信機器等において、 移相器、 分配器、 又は合成器等と して利用可能なハイプリ ッ ドカブラに関する。 背景技術
従来、 各種無線機器、 又は他の通信機器等において、 ハイブリ ツ ド回路を使用した力ブラ (以下、 単に 「ハイブリッ ド力ブラ」 とい う) が用いられていた。
ハイプリ ドカブラ (hybrid coupler) は、 3つ以上のポート ( 入 /出力端子) を持った回路であり、 電力の分配器又は合成器とし て用いられたり、 移相器として用いられたりする。
以下、 従来のハイブリッ ド力ブラを、 図面を参照しながら説明す る。
図 9〜図 1 6は従来例を示した図であり、 図 9はハイブリッ ド力 ブラのブロック構成、 図 1 0は容量結合型ハイプリ ッ ドカブラの回 路例、 図 1 1は誘導結合型ハイブリッ ド力ブラの回路例、 図 1 2は ハイプリ ヅ ドカブラの実装例、 図 1 3は誘導結合型ハイプリッ ドカ ブラの移相特性、 図 1 4は誘導結合型ハイプリッ ドカブラの通過帯 域特性、 図 1 5は容量結合型ハイブリッ ド力ブラの移相特性、 図 1 6は容量結合型ハイプリッ ドカブラの通過帯域特性をそれぞれ示し た図である。
図 9〜図 1 6中、 C 1〜C 6、 及び C 1 1〜C 1 4はキャパシタ 、 L l、 L 2、 及び L 1 1〜L 1 4はインダクタ、 P 1〜P 3はポ ート (入ノ出力端子) 、 H Yはハイブリ ッ ド回路、 R eは抵抗、 P tは基板 (ブリント回路基板) を示す。
ハイブリ ッ ド力ブラは、 図 9のように、 ハイブリ ッ ド回路 H Yに
、 3つのポート P 1〜P 3を設け、 ポートとしない部分に、 抵抗 R eを接続した構成となっている。
( 1 ) ハイプリ ッ ドカブラの構成等の説明
図 9のハイブリッ ドカブラにおいて、 ポ一卜 P 1に信号を入力す ると、 ポー卜 P 2及び P 3の両方に舉号が現れる (分配器として使 用する場合) 。 しかし、 ポート P 2に信号を入力すると、 ポート P 1には信号が現れるが、 ポート P 2及び P 3間にはアイソレーショ ンがあるため、 ポート P 3には信号が現れない。
また、 ポート P 3に信号を入力した場合にも、 ポート P 1には信 号が現れるがポート P 2には、 信号が現れない。 更に、 ポート P 2 及び P 3に同時に信号を入力すると、 これらの信号が合成されてポ ート P 1に現れる (合成器として使用した場合) 。
図 1 0及び図 1 1は、 ポート P 1に信号を入力した場合、 ポ一卜 P 2及び P 3に 90。 位相の異なる信号が現れるようにして、 90 。 移相器を実現したハイプリッ ドカブラの回路例である。
図 1 0の例は、 ハイブリッ ド回路 HYを、 キャパシタ C 1〜C 6 と、 インダクタ L 1〜L 2で搆成した容量結合型ハイプリッ ドカブ ラの回路例であり、 図 1 1の例は、 ハイブリッ ド回路 HYを、 キヤ パシタ C 1 1〜C 14と、 インダクタ L 1 1〜L 1 4で構成した誘 導型ハイブリ ドカブラの回路例である。
図 1 0及び図 1 1の回路例において、 ィンダクタ L 1、 L 2、 及 び L 1 1〜L 1 4のィンダクタンス値をそれぞれ L 1、 L 2、 及び L 1 1〜 L 14で表現し、 キャパシタ C 1〜C 6、 及び C I 1〜C 14の容量 (静電容量) 値をそれぞれ C 1〜C 6、 及び C 1 1 ~C 1 4で表現した場合、 各インダクタ及びキャパシタの素子定数を次 のように設定する。
すなわち、 L 1 =L 2、 C 2 =C 5、 C 1 = C 3 = C 4 = C 6、 L l l -L 1 2、 L 1 3 = L 14、 及び C 1 1 = C 1 2 = C 1 3 = C 14となるようにする。
上記ハイブリッ ド力ブラの具体な実装例として、 例えば、 図 1 0
に示した回路構成の容量結合型ハイブ1 ッ ドカブラの例を図 1 2に 示す。
この例では、 インダクタ L 1及び L 2、 キャパシ夕 C 1〜C 6、 並びに抵抗 R eをディスクリート部品で構成し、 これらの部品を基 板 P t上に実装している。
ところで、 図 1 2に示した回路構成の容量結合型ハイプリッ ドカ ブラでは、 ポート P 1に信号を入力し、 ポート P 2及び P 3から 9 0° 位相差のある信号を取り出す場合、 位相差の誤差 ε Ρ は、 次の Δの値に依存する。
今、 インダクタ L 1及び L 2のインダクタンス値をそれぞれ L 1 及び L 2で表現し、 キャパシタ C 1〜C 6の値をそれぞれ C 1〜C 6で表現すると、 △は次のようになる。
Δ = L 1 / L 2 , Δ = C 1 /C 3 , Δ = C 2 /C 5 Δ = C 6/ C4、 そして、 Δ= 1であれば ε Ρ = 0、 厶> 1又は厶< 1でぁれ ば ε Ρ = Ε (誤差有り) となる。
また、 図 1 1に示した回路構成の誘導結合型ハイブリッ ド力ブラ では、 ポート Ρ 2及び Ρ 3から得られる信号の位相差の誤差 ε Ρ は 、 次の Δの値に依存する。
この場合にも、 インダクタ L 1 1〜L 1 4のイ^/ダクタンス値を それぞれ L 1 1 ~L 1 4で表現し、 キャパシ夕 C 1 1〜C 1 4の容 量値をそれぞれ C 1 1〜C 1 4で表現すると、 △は、 次のようにな る。
Δ = L 1 3 /L 1 4 , Δ = L 1 1 / L 1 2 , Δ = C 1 1 /C 1 2 、 厶 = C 1 3ZC 1 4、 そして、 Δ = 1であれば ε ρ = 0、 Δ > 1 又は Δ< 1であれば、 ε Ρ = Ε (誤差有り) となる。
よって、 図 1 2のように、 ディスクリート部品でハイプリッ ドカ ブラを構成した場合、 各部品同士は、 バラツキを持っているため、 量産時では、 Δ = 1から外れた値となることがある。
そのため、 部品の付け替え等の調整を必要としていた。
( 2) ハイブリ ッ ド力ブラの特性の説明
上記誘導結合型ハイプリッ ドカブラ並びに容量結合型八イブリ ッ ドカブラの移相特性及び通過帯域特性 (90° 移相器としての特性 ) の 1例について、 図 1 3〜図 1 6を参照しながら説明する。
図 1 3〜図 1 6において、 各図の横軸は周波数 f (MHZ ) を示 し、 図 1 3、 図 1 5の縦軸は位相差 Φ、 図 14、 図 1 6の縦軸は、 出力比 (dB) を示す。
移相特性の説明
上記ノ\イブリ ツ ドカブラを、 移相器 (90° 移相器) として使用 した場合、 ポート P 1に信号を入力すると、 ポート P 2及びポート P 3に、 位相差のある信号が出力する。
図 1 3及び図 1 5では、 上記ポート P 2及び P 3に出力する信号 間の位相差を Φとし、 上記信号の周波数を : f (MHZ ) として、 各 特性 (90 移相器としての特性) を示してある。
すなわち、 上記ハイブリッ ド力ブラを、 90° 移相器として設計 した場合、 上記位相差 Φが、 90° - 3° ≤Φ≤90。 + 3。 の条 件を満たす周波数帯域が対象周波数帯域であり、 この周波数帯域 ( 帯域幅) を 「F BJ で図示してある。
同図から明らかなように、 周波数帯域 (帯域幅) 「F B」 は、 誘 導結合型ハイブリッ ド力ブラ (図 1 3の特性) の場合の方が、 容量 結合型ノ\イブリッ ドカブラ (図 1 5の特性) の場合よりも広くなつ てレ、る。
また、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラ (図 1 3の特性) の方が、 容量結合型ハイブリッ ド力ブラ (図 1 5の特性) よりも、 移相特性 の変化が滑らかである。
このように、 90β 移相器として設計した場合、 誘導結合型ハイ プリヅ ドカブラの方が、 容量結合型ハイプリヅ ドカブラよりも、 帯 域幅 (F B) を広く設計でき、 量産性の面でも有利である。
通過帯域特性の説明
ハイブリッ ド力ブラ (9 CT 移相器として使用した場合) の通過 帯域特性において (図 14及び図 1 6参照) 、 1^ 1はポート卩 2及
び P 3間のアイソレーション特性 (右側縦軸の数値) 、 N 2はボー ト P 1■→ P 3間の挿入損失特性、 N 3はポー卜 P 1→P 2間の挿入 損失特性を示す。
特性 N 1に関しては、 ポート P 2及び P 3間のアイソレ一ション が 2 0 d B以上である周波数帯域 (帯域幅) を、 「F B 1」 として 示してある。
また、 挿入損失特性 N 2及び N 3に関しては、 挿入損失が、 「3 d B + 1 d B」 までの周波数帯域 (帯域幅) を、 「F B 2」 として 示してある。
図から明らかなように、 アイソレーショ ン特性の帯域幅 「 F B 1 」 は、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラと、 容量結合型ハイブリ ッ ド 力ブラとの間であまり差がない。 しかし、 挿入損失特性の帯域幅 「 F B 2」 は、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラの方が、 容量結合型ハ イブリツ ドカブラよりも広くなつている。
すなわち、 90° 移相器として設計した場合、 誘導結合型ハイブ リ ツ ドカブラの方が、 容量結合型ハイプリッ ドカブラよりも、 通過 帯域特性の対象周波数帯域幅 (F B 2) を広く設計でき、 量産性の 面でも有利である。
( 3 ) 従来のハイプリッ ドカブラの問題点の説明
しかしながら、 このような従来のハイブリッ ド力ブラにおいては 、 次のような問題があった。
( a) ハイプリッ ドカブラにおいて、 ボート P 1から信号を入力 して、 ボート P 2、 P 3から位相差のある信号を取り出す場合、 そ の位相差の誤差 ε Ρ は、 インダクタンス値の比、 又は容量値の比で ある Δの値に依存する (Δ= 1であれば ε Ρ = 0 ) 。
従って、 ハイプリッ ド回路を構成する各ィンダクタや各キャパシ タに、 素子定数 (インダクタンス値、 容量値) のバラツキがあると 、 厶の値がバラツキ、 位相差の誤差 ε Ρ が大きくなる。
例えば、 図 1 2に示したように、 ハイプリッ ドカプラを搆成する インダクタや、 キャパシタを、 ディスクリート部品で構成し、 これ
らの部品を基板に実装した場合には、 各部品同士でバラツキを持つ ているため、 量産時等では、 △= 1にならない場合がある。 その結 果、 ポ一ト P 2及び P 3から得られる信号間の位相差の誤差 ε p が 大きくなる。
(b) 例えばハイブリッ ド力ブラを、 9 0° 移相器として設計し た場合、 誘導結合型ハイプリッ ドカブラは、 容量結合型ハイプリッ ドカブラに比べて、 移相特性の変化が滑らかであり、 -該移相特性 ( 9 0° — 3。 ≤ φ≤9 0° + 3 ° 帯域) における帯域幅 「F B」 が 広い。 また、 揷入損失特性 (3 dB + l dB帯域) における帯域幅 「 F B 2 J も広い。
すなわち、 9 0° 移相器として設計した場合、 誘導結合型ハイブ リ ッ ドカブラの方が、 容量結合型ハイプリッ ドカブラよりも帯域幅 (F B、 F B 2 ) を広く設計でき、 量産性の面でも有利である。 しかしその反面、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラは、 インダクタ を主体とした回路であるため、 インダクタ間の磁界結合が多い。 従 つて、 誘導結合型ハイプリヅ ド回路によるハイプリッ ドカブラの小 型 SMD (表面実装部品) 化には適していない。
すなわち、 ハイブリッ ド力ブラの小型 SMD化を行うには、 同一 基板上に、 多数のィンダクタを互いに接近させて配置する必要があ る。 このため、 インダクタ間の磁界結合が多くなり、 所望の特性が 出しにくい。 従って、 上記のように、 小型 SMD化には適していな い。 .
( c) 容量結合型ハイブリッ ド力ブラは、 インダクタ数が少ない ため、 上記のようなインダク夕間の磁界結合も少ない。 従って、 こ の点では、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラよりも、 ハイブリ ッ ド力 ブラの小型 S MD化には適している。
しかしその反面、 9 0° 移相器として設計した場合、 容量結合型 八イブリッ ドカブラは、 誘導結合型ハイプリッ ドカブラに比べて、 移相特性の変化が滑らかでなく、 該移相特性 (9 0° — 3。 ≤ Φ≤ 9 0 ° + 3。 帯域) における帯域幅 「F B」 がより狭い。 また、 挿
入損失特性 ( 3 d B + 1 d B帯域) における帯域幅 「F B 2」 もよ り狭い。
すなわち、 9 0 ° 移相器として設計した場合、 容量結合型ハイブ リ ッ ドカブラは、 誘導結合型ハイプリッ ドカブラ程、 帯域幅 ( F B 、 F B 2 ) を広く設計できない。
従って、 量産時には、 製造時のバラツキの許容範囲が狭く、 小型 S M D化したハイブリツ ドカブラの量産には、 不向きである。
本発明の目的は、 ハイプリッ ドカブラを構成する部品のバラツキ を少なくすることにより、 ハイブリツ ドカブラの特性を改善するこ とである。 これにより、 例えば、 ハイブリッ ド力ブラを、 移相器と して設計した場合の出力側のポートから得られる信号の位相差の誤 差 ( ε Ρ ) を少なくすることができる。
本発明の他の目的は、 帯域特性の広い誘導結合型ハイプリッ ド回 路により、 小型 S M D (表面実装部品) 化した誘導結合型ハ.イブリ ッ ドカブラを実現することである。
本発明の更に他の目的は、 ハイブリッ ド力ブラを小型 S M D (表 面実装部品) 化し、 かつハイブリッ ド力ブラの量産性を向上させる ことである。 発明の開示
本発明によれば、 ハイブリッ ド回路 (Η Υ ) を用いたハイプリッ ドカブラは、 このハイブリツ ドカブラを構成する素子の内、 素子定 数を同一値にする必要のある複数の素子の組を、 多層基板の同一層 内に、 導体パターンを用いて設定している。
上記ハイブリツ ドカブラは、 素子定数を同一値にする必要のある 複数の素子の組が、 複数のィンダクタであるかもしれない。
上記ハイプリッ ドカブラは、 素子定数を同一値にする必要のある 複数の素子の組が、 複数のキャパシタであるかもしれない。
上記ハイブリ ッ ド力ブラは、 ハイブリッ ド力ブラを、 上記多層基 板の一部の誘電体層上に設定したインダクタ部と、 別の誘電体層上
に設定したキャパシタ部とで構成すると共に、 インダクタ部とキヤ パシタ部とを、 多層基板の積層方向で、 向かい合った位置に配置し 、 上記インダクタ部とキャパシタ部との間に、 インダクタ部及びキ ャパシタ部間の間隔を大きくするスぺーサ層を設定することが好ま しい。
上記ハイブリッ ド力ブラは、 スぺーサ層を、 キャパシタ部を搆成 する誘電体層の誘電率 ( S t ) よりも、 低い誘電率 ( ε 2 ) の低誘 電率材料で搆成している 1 〉 ε 2 ) ことが好ましい。
上記ハイブリ ッ ド力ブラは、 インダクタ部を構成する層 (誘電体 層、 又は絶縁体層) の厚み (TL) を、 上記キヤバシタ部を除く、 他の層の厚み (TO) よりも薄く (TL<TO) 設定したことが望 ましい。
ィンダクタンス値の小さい 2つのィンダクタ (L 1 1、 L 12 : L l l =L 12 =L a) と、 ィンダクタンス値の大きい 2つのィン ダクタ (L 13、 L 14 : L 13 =L 14 = Lb) とからなる 4つ のィンダクタ (L 1 1〜L 14 :但し L aく L b) を、 リング状と なるように、 互いに直列接続し、 上記インダク夕の各接続点に、 一 方の電極を接地したキャパシタ (C l l、 C 13、 C 12、 C 14 ) を接続すると共に、 上記接続点の内、 3つの接続点を、 それぞれ ポ一卜 (入 Z出力端子) (P l、 P 2、 P 3) の接続点とし、 残り の接続点を、 終端抵抗 (Re) の接続点とした誘導型ハイブリツ ド 回路 (HY) を使用し、 上記ィンダクタ (L 1 1〜L 14) と、 キ ャパシタ (C 1 1〜C 14) とを、 導体パターンにより、 基板に実 装した誘導結合型ハイブリッ ドカブラにおいて、 上記 4つのィンダ クタ (L 1 1〜L 14) を、 導体パターンにより、 多層基板の同一 層 (絶縁体層) に設定すると共に、 上記層 (絶縁体層) の略中央部 に、 インダクタンス値の大きい 2つのインダクタ (L 13、 L 14 ) を隣合わせて設定し、 かつ、 これらインダクタ (L 13、 L 14 ) の両脇であって、 その略中間位置 (L 13、 L 14の中間位置) に、 ィンダクタンス値の小さい、 残りの 2つのィンダクタ ( L 1 1
、 L 1 2 ) を設定して誘導型ハイプリ ッ ドカブラとすることも好ま しい。
さらに、 インダクタを設定した層とは別の層 (誘電体層) に、 導 体パターンにより、 上記 4つのキャパシタ (C l l 、 C 1 2、 C I 3、 C 1 4 ) を設定すると共に、 これら 4つのキャパシタ (C 1 1 〜C 1 4 ) を、 同一層 (誘電体層) に並べて設定して誘導型ハイブ リ ツ ドカブラとすることも好ましい。 。
以上述べた本発明によれば、 次のような作用、 及び効果が期待で きる。
( a ) 一般に、 ハイブリッ ド力ブラの入力側のポー卜から信号を 入力して、 出力側の 2つのポートから、 互いに所定の移相差のある 2つの信号を得るために、 ハイプリッ ド回路を構成する素子の内、 所定の素子の組を、 同一の素子定数 (インダクタンス値、 又は容量 値) に設定する必要がある。 そこで、 上記ハイプリ ッ ドカブラのよ うに、 素子定数を同一値に設定する必要がある素子 (インダクタ、 キャパシタ) の組を、 多層基板の同一層内に導体パターンを用いて 設定する。 ―
このようにすれば、 基板内の素子定数を同一値にする必要のある 複数の素子同士は、 同じ条件下で作製可能であるから、 上記関係に ある素子間のバラツキも最小限に押さえる事が出来る。
例えば、 多層基板がセラミック多層基板であった場合でも、 焼成 による基板や、 素子を形成したパターンの収縮は、 同じ条件下であ るため、 上記関係にある基板内の素子間のバラツキは極めて小さく 出来 O
すなわち、 Δの値は極めて Δ = 1に近い関係となる。 その結果、 出力ポー卜から得られる信号の位相差の誤差を少なく出来る。
( b ) また、 多層基板にインダク夕部を設定する場合、 上記ハイ プリ ドカブラのように、 相互に磁界結合するィンダクタを、 設計 当初から考えた上で、 インダクタ定数の設定を行い、 かつ、 インダ クタの配置を行う。
この場合、 各インダクタについて、 インダクタンスの値を、 L 1 = L 2 = L a、 L 3 = L 4 = L b、 L aく L bの関係で設定するこ とは、 上述の通りである。
すなわち、 インダクタの定数関係は、 対称的な関係であり、 また 、 L a < L bの関係がある。
そこで、 インダクタンス値の大きいインダクタ (L 3、 L 4 ) を 、 多層基板の所定の層 (絶縁体層) の略中央部に、 隣合うように配 置し、 その両側に、 インダクタンス値の小さいインダクタ (L l 、 L 2 ) を配置する。
このような配置は、 ハイプリヅ ドカブラの小型化にも適しており 、 また、 インダクタ間の結合を考えた上でも有利である。 この場合 、 インダクタンス値の大きいインダクタ間では、 ある程度の磁界結 合を起こすが、 インダクタンス値の小さいインダクタ間では、 磁界 結合は殆ど無い。
これにより、 それぞれのィンダクタ間の磁界結合が発生しても、 上記のような対称配置が、 印刷等の方法により安定して形成される ため、 製品の量産時にも安定した特性の確保が可能となる。
( c ) キャパシ夕部に配置するキャパシタについては、 ホッ ト側 のキャパシタ電極パターンを、 1つの層 (誘電体層) 上にパター二 ング (対象的に配置) することにより、 量産時に、 キャパシタも安 定的に形成出来る。 図面の簡単な説明
図 1は、 第 1の実施例におけるハイブリ ヅ ドカブラの分解斜視図 である。
図 2は、 第 1の実施例における八イブリッ ドカブラの斜視図であ る。
図 3は、 第 1の実施例における容量結合型ハイプリ ッ ド回路の回 路図である。
図 4は、 図 1に示したハイプリッ ドカブラの説明図である。
図 5は、 第 2の実施例におけるインダクタの配置を説明する図で ある。
図 6は、 第 2の実施例におけるキヤパシ夕の配置を説明する図で ある。
図 7は、 第 2の実施例におけるハイブリッ ド力ブラの分解斜視図 である。
図 8は、 第 2の実施例におけるハイプリッ ドカブラの斜視図であ る。
図 9は、 ハイブリ ッ ドカブラのブロック図である。
図 1 0は、 容量結合型ハイブリツ ドカブラの回路例を表す図であ る。
図 1 1は、 誘導結合型ハイプリッ ドカブラの回路例を表す図であ る。
図 1 2は、 従来のハイプリッ ドカブラの具体的な実装例を表す図 である。
図 1 3は、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラの移相特性を表す図で ある。
図 1 4は、 誘導結合型ハイブリッ ド力ブラの通過帯域特性を表す 図である。
図 1 5は容量結合型ハイプリッ ドカブラの移相特性を表す図であ る。 '
図 1 6は容量結合型ハイプリッ ドカブラの通過帯域特性を表す図 である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面に基づいて、 本発明の各実施例を詳細に説明する。 ( A ) 第 1の実施例の説明
第 1の実施例は、 ハイブリッ ド力ブラを構成する素子の内、 素子 定数を同一値に設定する必要のある複数の素子の組を、 多層基板の 同一層内に設定する事により、 素子のバラツキを少なく したもので
ある。
これにより、 移相器の場合の位相差の誤差を少なく し、 かつ、 ハ イブリツ ドカブラの小型化を実現する。 以下、 詳細に説明する。 図 1〜図 4は第 1の実施例を示した図であり、 図 1は八イブリツ ドカブラの分解斜視図、 図 2はノ\イブリツ ドカブラの斜視図 (完成 図) 、 図 3はハイブリッ ド力ブラの回路図、 図 4は図 1に示したハ イブリツ ドカブラの説明図である。
図 1〜図 3中、 図 9〜図 1 1 と同じものは、 同一符号で示してあ る。 また、 1は多層基板、 1一 1 ~ 1一 6はそれぞれ多層基板の第 1層〜第 6層 (誘電体層) 、 3— 1〜3— 4はインダクタパターン 、 4一 1〜4一 8はキャパシタ電極パターン、 5は G N D電極パタ ーン、 7— 1〜7— 6は外部端子を示す。
本実施例のハイプリヅ ドカブラは、 容量結合型ハイプリッ ドカブ ラを、 多層基板を用いた S M D (表面実装部品) モジュールとして 実現した例であり、 その回路構成は、 図 3に示した通りである。 図 1に示したように、 ハイブリッ ド力ブラは、 多層基板 (例えば セラミック多層基板) を用い、 その第 1層 1一 1〜第 6層 1一 6 ( 誘電体層) 上に、 キャパシタ C 1〜C 6、 インダクタ L 1、 L 2、 及び抵抗 R eを、 厚膜素子として形成したものである。
以下具体的な構成について説明する。
多層基板の第 1層 1一 1上には、 抵抗パターン 2を形成し、 第 2 層 1一 2上には、 インダクタパターン 3— 1及び 3— 3を形成し、 第 3層 1一 3上にはインダクタパターン 3— 2及び 3— 4を形成す る。
また、 第 4層 1一 4上には、 キャパシタ電極パターン 4一 1、 4 一 2、 4一 3、 及び 4一 4を形成し、 第 5層 1一 5上には、 キャパ シ夕電極パターン 4一 5、 4一 6、 4一 7、 及び 4一 8を形成し第 5層 1一 5上には、 G N D電極パターン (ベタパターン) 5を形成 する。
上記の抵抗パターン 2、 インダクタパターン 3— 1〜3— 4、 キ
ャパシタ電極パターン 4ー 1〜4一 8、— G N D電極パターン 5は、 全て独立したパターンとして形成すると共に、 外部端子に接続する 部分には、 多層基板の側面部まで延長して、 パターンを形成してお また、 抵抗パターン 2は、 例えば、 抵抗体べ一ストの印刷により 形成し、 インダクタパターン 3— 1〜3— 4、 キャパシタ電極パ夕 ーン 4一 1〜4一 8、 及び G N D電極パターン 5は、 例えば導体べ ース卜の印刷により形成する。
上記のように、 第 1層 1一 1〜第 6層 1一 6上に形成した各パ夕 —ンは、 図 1の点線で示した部分をビア (v i a ) によって接続す ると共に、 図 2に示したように、 多層基板 1の側面に設けた外部端 子 7— 1〜了一 6により、 所定の部分を接続する。
図 2に示した外部端子 7— 1〜7— 6の内、 7— 1はポート P 1 、 7 - 4はボート P 2、 7— 6はポート P 3として用いられ、 Ί一 2及び 7— 5は G N D側の電極として用いられる。
また、 7— 3は図 3の bの点に対応している。 このように、 多層 基板 1の側面に外部端子 7 - 1〜7 - 6を設けて、 内部の回路と接 続することにより、 ハイブリッ ド力ブラを、 S M Dモジュールとし て実現する。 ―
以下、 図 4に基づいて、 図 1及び図 2に示したハイブリッ ドカブ ラの構成と、 図 3に示した回路図との対応関係を説明する。
図 4においては、 図 3の回路図に示した a〜dの点に相当する部 分及びこれらの点と同電位にある部分を a〜 dで示した。
多層基板 1の第 1層 1一 1上に形成した抵抗パターン 2は、 抵抗 R eを構成する。 この抵抗パターン 2の一端は、 外部端子 7— 2に より、 第 6層 1一 6上の G N D電極パターン 5と接続され、 他端は 外部端子 7— 3により、 第 5層 1一 5上のキャパシタ電極パターン 4一 8と接続され、 この点が bとなる。
第 2層 1一 2上のインダクタパターン 3— 1 と、 第 3層上のィン ダク夕パターン 3— 2は、 図示点線部分で接続され、 インダク夕 L
1 となり、 第 2層 1一 2上のインダクタパターン 3— 3と、 第 3層 1一 3上のィンダクタパターン 3— 4は、 図示点線部分で接続され 、 インダク夕 L 2となる。
また、 インダクタパターン 3— 1〜3— 4の各端部は、 外部端子 7— 1、 7— 3、 7 - 4、 及び 7— 6により、 それぞれ第 5層 1— 5上のキャパシタ電極パターン 4一 5〜4一 8と接続され、 a〜d となる。
第 4層 1一 4上のキャパシタ電極パターン 4一 1〜4一 4と、 第 5層 1一 5上のキャパシタ電極パターン 4一 5〜4一 8は、 図示点 線部分で接続され、 それぞれ a〜dと同電位の電極となる。
すなわち、 キャパシタ電極パターン 4一:!〜 4一 8の内で、 4一 4及び 4一 6が aと同電位となり、 4一 2及び 4一 8が bと同電位 となり、 4一 3及び 4一 5が cと同電位となり、 4一 1及び 4一 7 が dと同電位となる。
そして、 キャパシ夕電極パターン 4一 1〜4一 8間のキャパシタ において、 4一 2及び 4一 6間のキャパシタ C 2 1 と、 4一 4及び 4一 8間のキャパシタ C 2 2とでキャパシタ C 2 ( C 2 = C 2 1 + C 2 2 ) を構成し、 4一 1及び 4一 5間のキャパシタ C 5 1 と、 4 一 3及び 4一 7間のキャパシ夕 C 5 2とでキャパシタ C 5 ( C 5 = C 5 1 + C 5 2 ) を構成している。
G N D電極パターン 5は、 G N D側のキャパシ夕電極を構成して おり、 この G N D電極パターン 5と、 キャパシタ電極パターン 4一 5〜4一 8とで、 以下のキャパシタを構成している。
まず、 キャパシ夕電極パターン 4一 6及び G N D電極パターン 5 間でキャパシ夕 C 1を構成し、 キャパシタ電極パターン 4一 8及び G N D電極パターン 5間でキャパシタ C 3を構成している。 また、 キャパシタ電極パターン 4一 7と G N D電極パターン 5との間でキ ャパシタ C 4を構成し、 キャパシタ電極パターン 4一 5と G N D電 極パターン 5との間でキャパシタ C 6を構成している。
上記のように、 インダク夕 L 1及び L 2は、 第 2層 1— 2と第 3
層 1一 3とを用いて構成し、 キャパシタ C 2及び C 5は、 第 4層 1 — 4と第 5層 1— 5とを用いて構成し、 キャパシタ C l、 C 3、 C 4、 及び C 6は、 第 5層 1一 5と第 6層 1— 6とを用いて構成して いる。
すなわち、 インダク夕 L 1及び L 2は多層基板の同一層を用いて 構成し、 キャパシタ C 2及び C 5も多層基板の同一層を用いて構成 し、 キャパシ夕 C l、 C 3、 C4、 及び C 6も、 多層基板の同一層 を用いて構成している。
このように、 インダクタ L 1及び L 2、 キャパシタ C 2及び C 5 、 並びにキャパシタ C 1、 C 3、 C 4、 及び C 6を、 それぞれ多層 基板の同一層を用いて作成すれば、 焼成等による収縮等は同じ条件 であるから、 各素子間 (L 1及び L 2、 C 2及び C 5、 並びに C 1 、 C 3、 C4、 及び C 6) のバラツキを極めて小さくする事が出来 る。
その結果、 = 1 12 = 1、 Δ = C 1 /C 3 = 1 , Δ = C 2 /C 5 = Κ Δ = C 6ZC 4= 1にして、 εΡ = 0 (ボート Ρ 2及 び Ρ 3の信号の位相差の誤差が 0) となる理想的な状態に限りなく 近づける事が可能である。
なお、 第 1の実施例の変更態様として次のようなものがある。 (a) 図 1 1に示した回路構成の誘導結合型ハイブリッ ド力ブラ についても、 上記実施例と同様に、 多層基板を用いて SMDモジュ ールとすることも可能である。
この場合、 インダクタ L 13及び L 14、 インダクタ L 1 1及び L 1 2、 並びにキャパシタ C 1 1、 C 1 2、 C 1 3、 及び C 14を 、 それぞれ多層基板の同一層に設定する。
(b) 図 1 0及び図 1 1に示した回路以外の回路構成を有するハ イブリ ッ ドカブラについても同様にして実施可能である。
( c ) 多層基板としては、 セラミック多層基板だけでなく、 樹脂 系 (例えばガラス一エポキシ樹脂) の多層基板を用いても実現可能 である。
( d ) 多層基板の層数は任意でよい。 _
( e ) 多層基板の表面に、 ディスクリート部品を実装して、 ハイ プリ ッ ド I C化することも可能である。
上述した第 1の実施例によれば、 次のような効果がある。
( a ) 八イブリツ ドカブラを搆成する素子の内、 素子定数 (ィン ダクタンス値、 容量値) を等しく設定する必要のある素子を、 多層 基板の同一層に厚膜パターンを用いて形成するので、 上記関係にあ る素子同士のバラツキを少なく出来る。
すなわち、 基板内の素子定数を同一値にする必要のある複数の素 子同士は、 同じ条件下で作製されるから、 素子間のバラツキも最小 限に押さえることができる。 例えば、 多層基板がセラミック多層基 板であった場合は、 焼成による基板や素子を形成したパターンの収 縮は、 同じ条件下でおきるため、 上記関係にある基板内の素子間の パラツキは極めて小さくなる (上記△は、 厶 = 1に近い関係となる ) 。
その結果、 ハイブリッ ド力ブラを移相器として使用した場合、 出 力側の信号の移相差に生じる誤差 ( ε Ρ ) を、 極めて小さくする事 が出来る。
( b ) 多層基板を用いる事により、 ハイプリ ドカブラの小型化 が可能となる。 また、 コストダウンも可能となる。
( c ) ハイブリッ ド力ブラを構成している多層基板の表面に、 デ イスクリート部品を実装してハイプリッ ド I C化する事も容易に出 来る。
( B ) 第 2の実施例の説明
第 2の実施例では、 第 1の実施例に示したハイブリッ ド力ブラの 内、 特性の優れている誘導結合型ハイブリッ ド力ブラについて、 ィ ンダクタ間の磁界結合を少なくすることにより、 小型 S M D化した 例である。
また、 第 2の実施例では、 ハイブリッ ド力ブラの量産性も改善し ている。 以下、 本発明の第 2の実施例を、 図 5〜図 8に基づいて説
明する。
図 5〜図 8は、 本発明の第 2の実施例を示した図であり、 図 5は イ ンダクタの配置の説明図、 図 6はキャパシタの配置の説明図、 図 7はハイプリ ッ ドカブラの分解斜視図、 図 8はハイブリ ッ ド力ブラ の斜視図である。
図 5〜図 8中、 図 9〜図 1 1 と同じものは、 同一符号で示してあ る。 また、 図 5〜図 8中、 1 1一 1〜1 1— 7は多層基板の第 1〜 第 7層 (誘電体層) 、 1 2— 1、 1 2 - 2, 1 3 - 1 , 1 3 - 2, 14— 1、 14 - 2, 1 5— 1、 及び 1 5— 2はインダクタパター ン、 1 6は G N D電極パターン、 1 7〜20はキャパシタ電極パ夕 ーン、 2 1〜26は外部電極 (外部端子) をそれぞれ示す。
本実施例で使用する誘導結合型ハイプリッ ドカブラの回路構成は 、 図 1 1に示した誘導結合型ハイプリ ッ ドカブラの回路と同じであ る。 従って、 図 1 1も参照しながら説明する。
( 1 ) ィンダクタの配置説明
本実施例では、 相互に磁界結合するインダクタ (図 1 1のインダ クタ L 1 1、 L 1 2、 L 13、 及び L 14) を、 設計当初から考え た上で、 インダクタ定数の設定を行い、 かつ、 多層基板へのインダ クタ配置 (パターニング) を行う。
この場合、 各インダクタについて、 インダクタンス値を、 L I 1 = L 1 2 = L a、 L 1 3 = L 14 = Lb、 L aく Lbの関係で設定 する。
すなわち、 インダクタの定数関係は、 対称的な関係であり (図 1 6参照) 、 また、 L a<Lbの関係がある。
そこで、 図 5に示したように、 インダクタンス値の大きいインダ クタ L 1 3及び L 14を、 多層基板のシート (絶縁体層) の略中央
5¾ 15に、 隣合うように配置し、 その両側に、 インダクタンス値の小さ いインダク夕 L 1 1及び L 1 2を配置する。
この場合、 インダクタ L 1 1及び L 1 2は、 インダクタ L 1 3及 び 14との磁界結合をなるベく少なくするため、 該ィンダクタ L
13及び L 14の両脇であって、 かつ両ィンダクタ L 13及び L 1 4の中間の位置に配置する (L 1 1及び]: 12と、 L 13及び L 4 との隣接部分を出来るだけ少なくする) 。
上記のように、 インダクタ L 13及び L 14を、 シ一卜 (絶縁体 層) の略中央部に、 隣合うように配置した方が、 小型化にも適して おり、 また、 インダクタ間の結合を考えた上でも、 インダク夕 L 1 3及び L 14は、 ある程度の磁界結合を起こすが、 インダク夕 L 1 1及びインダクタ L 12間では、 磁界結合は殆ど無い。
更に、 ィンダクタ L 1 1及び L 13間、 ィンダクタ L 1 1及び L 14間、 ィンダクタ L 12及び L 13間、 並びにィンダクタ L 12 及び L 14の間の磁界結合も、 上記のように配置 (L 13及び L 1 4の両側で、 かつその中間の位置に、 L 1 1及び L 12を配置) し たので、 磁界結合が最小限に抑えられる。 特に重要なことは、 ィ ンダクタのインダクタンス値が、 L 1 1 =L 12、 L 13 = L 14 の関係にあるので、 これらのインダクタのパターニングは、 基板の 中心に対して、 点対称に配置する必要がある。
これにより、 それぞれのィンダクタ間の磁界結合が発生しても、 上記のような対称配置が、 印刷等の方法により、 安定して形成され るため、 製品の量産時にも、 安定した特性の確保が可能となる。 (2) キャパシタの配置の説明
多層基板に設定する各キャパシタについて、 C 1 1 =C 12 =C 13 = C 14の関係で設定することは、 上述の通りである。
そこで、 これらのキャパシタは、 図 6に示したように配置する。 すなわち、 4つのキャパシタ C l l、 C 12、 C 13、 C 14を、 1つのシート (誘電体層) 上にパターニング (対称的に配置) する 。 このようにすれば、 キャパシタも、 安定的に形成出来る。
(3) ハイプリ ッ ドカブラの構成の説明
本実施例では、 上記ハイプリヅ ド回路のィンダク夕とキャパシタ を、 導体パターン (導体ペーストの印刷等により形成) により、 多 層基板の各シート (誘電体層等) 上に形成する。
この場合、 図 7に示したように、 第 1層 1 1一 1〜第 7層 1 1 - 7の各シート (誘電体層等) を用いて、 上記導体パターンのパター ニングを行い、 ハイブリ ッ ド力ブラを構成する。
そして、 多層基板の第 2層 1 1一 2及び第 3層 1 1一 3のシート にィンダクタ部を形成し、 第 5層 1 1— 5、 第 6層 1 1— 6、 及び 第 7層 1 1一 7のシートにキャパシタ部を形成する。 具体的には次 の通りである。
第 1層 1 1一 1は、 何もパターニングせず、 保護層として使用す る。 第 2層 1 1一 2及び第 3層 1 1一 3 (誘電体層又は絶縁体層) には、 インダクタ L 1 1、 L 1 2、 L 1 3、 及び L 1 4を、 図 5に 示した配置で形成する。
すなわち、 第 2層 1 1一 2には導体ペーストの印刷等により、 ィ ンダクタパターン 1 2— 1、 1 3— 1、 1 4 - 1 , 及び 1 5— 1を 形成し、 第 3層 1 1一 3には導体ペーストの印刷等により、 インダ クタパターン 1 2— 2、 1 3— 2、 1 4一 2、 及び 1 5— 2を図示 のように形成する。
そして、 第 2層 1 1一 2上のインダクタパターンと、 第 3層 1 1 一 3上のインダクタパターンの所定部分とをビア (V i a ) により 接続 (図の点線部分) し、 上記ィンダクタ L 1 1、 L 1 2、 L 1 3 、 及び L 1 4を形成する。
なお、 インダクタパターン 1 2— 1及び 1 2— 2でインダクタ L 1 1を構成し、 イ ンダクタパターン 1 3— 1及び 1 3— 2でインダ クタ L 1 2を構成し、 イ ンダクタパターン 1 4一 1及び 1 4一 2で イ ンダクタ L 1 3を構成し、 イ ンダクタパターン 1 5— 1及び 1 5 一 2でインダクタ L 1 4を構成する。
第 4層 1 1一 4は、 スぺーサ層であり、 何もパターユングしない 。 このスぺーサ層は、 インダクタ部とキャパシタ部との距離を大き くすることにより、 ハイプリッ ドカブラの挿入損失を少なくするた めの層である (詳細は後述する) 。
第 5層 1 1一 5には、 G N D電極パターン 1 6を、 導体ペースト
の印刷等により、 ベタパターンとして形成する。 この GND電極 1 6パターンは、 キャパシタの GND側電極として用いる。
第 6層 1 1一 6には、 キャパシタ C l l、 C 12、 C 13、 及び C 14の各キャパシ夕電極パターン (いずれも GND側でないホッ 卜側の電極) 17〜20を、 図 6に した配置で形成 (基板の中心 に対して対称的に形成) する。 ただし、 キャパシタ電極パターン 1 7はキャパシタ C 1 1の電極であり、 キャパシタ電極パターン 18 はキャパシタ C 12の電極であり、 キャパシタ電極パターン 1 9は キャパシタ C 13の電極であり、 キャパシタ電極パターン 20はキ ャパシ夕 C 14の電極である。
第 7層 1 1一 7には、 GND電極パターン 16を、 導体ペース卜 の印刷等により、 ベタパターンとして形成する。 この GND電極パ ターン 1 6は、 キャパシタの GN D側電極として用いる。
上記のように、 GND電極パターン 16がキャパシタの外側に形 成されているので、 底面側からの影響を受けにくい構造になってい る。
(4) 完成品の説明
上記各層 (誘電体層) を積層し、 外部電極 (外部端子) を形成し て SMD化したハイブリツ ドカブラとする。 このようにして完成し た Λイブリ ツ ドモジュールの斜視図を図 8に示す。
図 8において、 ハイブリッ ド力ブラの両端部には、 外部電極 (外 部端子) 2 1~26を形成する。 この外部電極の内、 2 1はポート P 1の電極、 22はポート P 2の電極、 23はポート P 3の電極、 24は終端抵抗 R e接続用の電極、 25及び 26は GND電極 (G ND側の外部電極) である。
(5 ) スぺーサ層の説明
上記第 4層 1 1一 4のスぺーサ層について説明する。
上記ハイプリ ヅ ドカブラは、 ィンダクタ部とキャパシタ部とを、 多層基板の積層方向で向かい合うように積層して形成している。
この場合、 図 1 (第 1の実施例のハイブリッ ド力ブラ) のように
、 スぺーサ層が存在しないと、 インダクタ部がキャパシタ部に近づ いた配置となり、 特に、 インダク夕部の下側のインダクタパターン と、 キャパシタ部の上側のキャパシタ電極パターンとは、 極めて接 近し、 かつ向かい合って配置される。
従って、 インダクタ部とキャパシタ部の導体パターン間に浮遊容 量が発生し、 ィンダクタの持つィンピーダンスが低下する。
インダクタのィンピーダンス低下分は、 インダクタパターンを若 干大きくすることにより補償出来る。 しかし実際には、 インダクタ パターンを大きくすると、 インダクタパーンが長く (導体長が長く ) なり、 インダクタの実抵抗が増大する。 その結果、 インダクタの Qが低下する。
そこで、 第 2の実施例では、 図 7に示したように、 第 3層 1 1一 3 (インダクタ部の下側の層) 及び第 5層 1一 5 (キャパシタ部の 上側の層) 間に、 第 4層 1 1一 4のスぺーサ層を設けることにより 、 インダクタ部とキャパシタ部間の間隔 (距離) を大きく している ' (図 1の場合に比べて) 。
その結果、 インダクタ部とキャパシタ部の導体パターン間に発生 する浮遊容量が減少し、 インダクタの高 CU匕が実現できる。 また、 小型、 S M D化したハイプリッ ドカブラが実現できる。
スぺーサ層の厚みは、 インダクタをパターユングした層と同等、 又はそれよりも厚いことが必要である。 また、 必要な厚みを得るた めに、 複数枚の誘電体シートを積層して、 スぺーサ層を構成するこ とも可能である。
しかし、 スぺーサ層である第 4層 1 1一 4の厚みが、 あまり厚す ぎると、 脱バインダー処理及び焼成コントロールが困難となる。 従 つて、 フィルタ全体の形状を考えた上で決定する必要がある。
目安としては、 例えば、 全体の厚みが 2 m m以下になるように、 設定されるべきである。
また、 第 4層 1 1一 4のスぺーサ層のみを、 キャパシタ部を構成 する第 5層 1 1一 5及び第 6層 1 1一 6の誘電率 ( ε t ) よりも低
い誘電率 ( & 2 ) の低誘電率材料で構成する ( £ , ^ £ 2 ) 。
このようにすれば、 ィンダク夕部とキャパシタ部との間の浮遊容 量を極めて少なくする事が出来る。
なお、 この例では、 スぺーサ層 1 1一 4以外の各層は、 製造を容 易にするため、 同一誘電率材料 (誘電率 ε 1 ) を使用する。
以上説明した第 2の実施例の変更態様は、 次のようである。
(a) キャパシ夕部の容量が大きい場合には、 図 7よりも、 更に 多層化しても良い (誘電体層を多くする) 。 この場合、 4つのキヤ パシ夕の各電極を、 全て同じ層にパターニングする。
(b) インダクタ部を、 更に多層化しても良い。 この場合、 各ィ ンダクタの配置は、 上記実施例と同じ配置にする必要がある。
(c) 終端抵抗 Reは、 ハイブリッ ド力ブラの外部電極 14に接 続しても良いが、 このハイプリッ ドカブラを構成する多層基板に実 装しても良い。
以上説明したように、 本発明の第 2の実施例によれば、 次のよう な効果がある。
(a) 例えばチ、イブリッ ドカブラを、 90。 移相器として設計し た場合、 誘導結合型ハイブリツ ドカブラは、 容量結合型ハイブリツ ドカブラに比べて、 移相特性の変化が滑らかであり、 該移相特性 ( 90。 一 3° ≤Φ≤90° +3。 帯域) における帯域幅 「FB」 が 広い。 また、 挿入損失特性 (3 dB + l dB帯域) における帯域幅 「F B 2」 も広い。
すなわち、 90° 移相器として設計した場合、 誘導結合型ハイブ リッ ドカブラの方が、 容量結合型ハイプリッ ドカブラよりも帯域幅 (FB、 F B 2 ) を広く設計でき、 量産性の面でも有利である。
(b) 誘導型ハイブリツ ド回路は、 帯域特性が広いため、 製造時 に定数のバラツキが発生しても、 ハイプリヅドカブラの特性への影 響が少なくて済む。 従って、 量産性が良い。
(c) 上記実施例の構成により、 特性の安定した誘導型ハイプリ ッ ドカブラが量産出来る。 すなわち、 インダクタ部と、 キャパシタ
部は、 それぞれ同一層に 4つの素子をパターユングしているため、 仮に、 製造時のバラツキが発生しても、 そのバラツキは、 全ての素 子に同じように発生するが、 ハイプリ ッ ドカブラとしての特性ノバ ラツキの影響は最小限で済む。
( d ) G N D電極 1 1がキャパシタの外側に形成されているので 、 底面側からの影響を受けにくい。
(e) それぞれのインダクタ間の磁界結合が発生しても、 上記実 施例のような対称配置が、 印刷等の方法により、 安定して形成され るため、 製品の量産時にも、 安定した特性の確保が可能となる。
( f ) インダクタ部とキャパシタ部との間にスぺーサ層を設けた ことにより、 インダクタ部とキャパシタ部間の浮遊容量を少なくす ることが出来る。 その結果、 インダクタの高 Q化が図れる。
( g) スぺーサ層を低誘電率材で構成すれば、 図 1で示したもの よりも、 更に、 インダクタ部とキャパシタ部間の浮遊容量を少なく する事が出来る。 このため、 更にインダクタの高 Q化が図れる。 (C) 第 3の実施例の説明
以下、 本発明の第 3の実施例について図 7を参照しながら説明す る。
この第 3の実施例は第 2の実施例の変形例であり、 ィンダクタ部 の層の厚みを薄くすることにより、 更にインダクタの高 Q化を達成 し、 かつ薄型のハイプリッ ドカブラを実現した例である。
例えば、 50MHz〜 300MH z帯のハイブリ ツ ドカプラを設 計する場合、 ィンダクタの値は数 10 nH〜200 nH程度となり 、 フユライ ト材料が使用出来ない周波数帯である。 このようなフ ライ ト材料が使用出来ない周波数帯では、 インダクタは空芯インダ クタが使用される。
ところで、 空芯ィンダクタで、 100 n H程度を実現するために は、 数ターン巻く必要がある。 しかし、 モジュールを小型化するた めには、 更に巻き数を上げて、 目標インダクタンスを作りだす必要 があった。 そのため、 積層数が増し、 モジュールが厚くなる。
そこで、 この実施例では、 このような点を改善し、 SMDモジュ ール化したハイプリッ ドカブラを更に薄型化し、 かつインダクタの 高 0·化を実現する。 以下、 具体的に説明する。
八イブリ ドカブラの各層の厚みの説明
図 7において、 インダクタ部を構成する第 2層 1 1一 2の厚みは 、 キャパシタ部を構成する第 5層 1 1一 5及び第 6層 1 1一 6を除 く、 他の層 (第 1層 1 1一 1、 第 3層 1 1一 3、 第 4層 1 1一 4、 及び第 7層 1 1一 7) よりも薄い層とする。
例えば、 第 2層 1 1一 2の厚みを T Lとし、 第 1層 1 1一 1、 第 3層 1 1一 3、 第 4層 1 1一 4、 及び第 7層 1 1 - 7 (これらの層 は同じ厚みとする) の厚みを T Oとし、 第 5層 1 1一 5及び第 6層 1 1一 6の厚みを T Cとした場合、 T Lと T Oとの間には、 T Lく T 0の関係がある。
なお、 キャパシタ部の第 6層 1 1一 6の厚み T Cは、 通常の場合 、 上記厚み T 0より薄く設定するが、 上記厚み T Lとの関係は、 任 意である。
上記厚み T 0、 T L、 及び T Cは、 例えば、 T 0 = 1 60 m、 T L = 80 m、 及び T C = 40 μπιである。
また、 インダク夕部の厚み TLは、 設定するインダクタのインダ クタンス値により変わるが、 上記厚み T Oに対して、 2 5〜75 % 程度に設定する。 ィンダクタのィンダクタンス値が大きい場合は、 特に、 T Lを薄く設定した方が有効である
この第 3の実施例によれば、 第 2の実施例の効果に加えて、 更に 次のような効果がある。
すなわち、 ィンダクタ部を構成する第 4層 1 1一 4の厚み T Lを 、 T L< T Oの関係にすると、 ソレノィ ドと同じように、 単位長さ (この場合は層の厚み) 当たりのインダクタの巻き数が上がる (T L = T Oの場合に比べて) ため、 インダクタンス値が上がる。 また、 導体長 (インダク夕パターン長) は変化しないため、 導体 損失が変化しない。 従って、 インダクタが高 CI化する。
このため、 高ィンダク夕ンス ( 1 0 0 n H程度) が、 小型のモジ ユールの中で設定可能である。 また、 インダクタ層が薄くなつた分 、 モジュール全体が薄型化出来る。 このため、 製造時の脱バインダ 及び、 焼成工程が更に容易になる。 産業上の利用可能性
本発明は、 例えば、 コードレスホン、 携帯電話器等の無線機器、 或いは他の各種通信機器等に利用されるものである。