WO1992018863A1 - Composition for measuring ionic strength or specific gravity of liquid specimen and test piece prepared from said composition - Google Patents

Description

Λ？

明 細 書

液体試料のイオン強度又は比重測定用組成物及び該組 i

成物を用いた試験片

技術分野

5 本発明は、 液体試料のイオン強度又は比重測定用組成 物及び該組成物を用いた試験片に関する ものである。

背景技術

液体試料の比重測定は広範囲な技術分野で行われてい るが、 特に尿の比重を測定する こ とは臨床検査の分野に

1 0 おいて臨床的意義の高い重要な測定項目の一つである。

従来、 尿の比重測定には液体比重計、 尿比重計、 ピク ノ メ ーター、 屈折率計、 浸透圧計等を用いる物理的測定方 法が使用 されていた。 しかし、 これらの方法に使用する 器具は高価であ り且つ壊れ易いので取扱に細心の注意を

1 5 要し、 しかも器具の掃除や目盛り の補正等の調整が随時 必要であった。 このため、 前記物理的測定方法は測定操 作が面倒で且つ測定に時間が掛かった。

よ り簡便な物理的測定方法も提案されてお り、 例えば , 特開昭 5 9 - 1 2 0 8 4 3号公報には多孔性樹脂材から

20 なる比重測定用検査紙が開示されているが、 尿な どの被 検液を含浸させた検査紙の透過率又は屈折率を分光光度 計又は屈折率計を用いて厳密に測定する こ とが必要であ る。 又、 特開昭 5 9 — 1 1 2 2 5 1 号公報には比重の異 なる複数個の ビーズを収納する比重測定室を有する尿比

25 重測定片が開示されているが、 測定片の構造が複雑にな るので製造が難しい。

一方、 臨床検査の分野では、 体液例えば尿を試料とし た各種成分の測定において安価で且つ測定操作を簡便迅 速に行うために、 試験片を用いた比色分析による測定方 法が迅速な測定方法として使用されている。 比色分析に よる測定方法は、 色の変化を目視によって確認できるた め感覚的に分かり易く誤りが少ない。 又、 結果も目視に より、 或いはカラーアナライザーなどの簡単な器具によ り容易に得るこ とができてよい。 そして、 近年、 試験片 を用いた比色分析により液体試料のイオン強度又は比重 を測定する方法が、 例えば特公昭 6 2 - 1 2 8 5 8号公 報、 特開昭 5 9 - 1 6 0 7 3 9号公報、 特開昭 5 6 - 2 1 0 6 4号公報、 特開平 2 — 6 6 4 5 1号公報、 特開昭 6 2 - 9 5 4 6 2号公報、 特公昭 6 0 — 4 6 3 7 4号公 報において提案されている。

前記公報に開示された従来の液体試料のイオン強度又 は比重の比色分析的測定方法では電解質ポリマー、 錯体 形成剤、 p H緩衝剤、 p H指示薬、 高吸収性樹脂、 マイ クロカプセル等を用いた試験片を使用している。 しかし ながら、 これら従来の比色分析的測定方法によると例え ば液体試料の p Hや温度、 測定時間等の影響を受け易く、 正確な測定が困難であった。 又、 従来の比色分析的測定 方法に使用する試験片は一般に製造が難しいものが多い。

本発明は前記従来技術の問題点を解決するためのもの である。 本発明の目的は液体試料の P Hや温度等の特性 に影響されず、 簡便迅速且つ正確に液体試料のイオ ン強 度又は比重を測定する こ とができ る組成物、 及び該組成 物を用いて容易に製造する こ とができ る試 片を提供す る と ある。

発明の開示

すなわち本発明の液体試料のイオン強度又は比重測定 用組成物は、 陰イオン型イオン会合性試薬と陽イオン型 イオン会合性試薬とからな り、 所望によ り更に p H緩衝 剤を含んでなる という特徴を有している。

本発明の組成物における陰イオ ン型イオン会合性試薬 はスルホン酸基、 硫酸エステル基若し く は リ ン酸エスェ ル基を有するポリ マー又は鎖状化合物である こ とが好ま しい。

又、 前記陰イオン型イオン会合性試薬における好ま し いポリ マーはデキス ト ラ ン硫酸ナ ト リ ウム、 へパリ ンナ ト リ ウム、 コ ン ドロイチ ン硫酸ナ ト リ ウム、 硫酸セル口 —スナ ト リ ゥム及び核酸からなる群よ り選ばれたもので める。

又、 前記陰イオン型イオン会合性試薬における好ま し い鎖状化合物は ドデシル硫酸ナ ト リ ウム又は ドデシルべ ンゼンスルホン酸ナ ト リ ゥムである。

前記の好ま しいポリ マ一又は鎖状化合物は、 強電解質 であるため広い p H範囲渡って常に陰イオンの状態で存 在する こ とができ る。

本発明の組成物における陽イオン型イオン会合性試薬 は塩基性色素である こ とが好ま しい。 これらの色素は、 p H 5 - 7 (通常の尿の示す p H範囲） の範囲では変色 しない色素である。

又、 前記塩基性色素はチアジン染料、 ォキサジン染料， ァ ジン染料、 ト リ フ エニルメ タ ン染料、 ジフ エニルメ タ ン染料、 ァ ゾ染料、 イ ン ドア二 リ ン染料及びア ミ ノ イ ン ドフ エノ ール染料からなる群よ り選ばれたものがよい。 好ま しいチアジン染料はメ チレンブル一である。

好ま しいォキサジン染料はプリ リ ア ン ト ク レシルブル 一又はナイルブルーである。

好ま しいアジン染料はサフ ラニン 0である。

好ま しい ト リ フ エニルメ タ ン染料はク リ スタルバイオ レ ツ トであ ^ ) O

好ま しいイ ン ドアニリ ン染料は 0 — トルイ ジンブルー である。

陰イオン型イオン会合性試薬と陽イオン型イオン会合 性試薬との混合比率は、 雨試薬の種類や測定すべき被検 液の種類に応じて適宜選択する。

p H緩衝剤は、 必要であれば慣用のもの例えばリ ン酸 塩、 硝酸塩、 炭酸塩、 クェン酸塩、 ジェチルマロ ン酸塩、 ア ミ ノ アルキルスルホン酸誘導体等を所定量添加してよ い。 又、 P H緩衝域は p H 5 — 1 0 の範囲である こ と力 好ま しい。

本発明の組成物は、 吸収性担体に含浸させて所定性状 の試験片とする と使用上都合が良い。 前記吸収性担体と しては例えば紙、 綿、 木片、 不織布 粉末、 親水性ポリ マー等が挙げられる。 特に濾紙を用い るのが有利である。

吸収性担体は、 それ自体を試験片と して使用する こ と ができる し、 又、 適当な支持体例えばポリ スチ レ ン、 ポ リ塩化ビニル、 ポ リ エステル等のプラスチ ッ ク シ一 ト上 に適する大き さ及び形状のものを貼付して試験片と して 使用する こ と もでき る。 更に、 親水性ポリ マー例えば澱 粉やポリ ビニルアルコールを吸収性担体兼接着剤と して 用いて、 これら と混合した本発明の組成物を前記プラス チ ッ ク シ一 ト等の支持体上に塗布した後乾燥し固着させ て試験片を製造しても よい。

前記支持体上には、 測定値の判別を容易にするために 所望によ り色彩、 記号、 文字、 図形、 模様等を付与して も よい。

I ) 測定原理

陰ィオン型イオン会合性試薬と陽イオン型イオ ン会合 性試薬とのイオン会合に塩類が影響を与える こ とを利用 して、 水性溶液のイオ ン強度又は比重を二次的に測定す る 0

I I ) 測定原理の説明

イオン会合とは配位結合によ らない陰イオン と陽ィォ ン との結合であ り （ぶんせき， 1 9 8 9 , 1 , p 6 1 ) 、 イオン会合による色素の色調の変化はメ タ ク ロマジ一 （ 変色反応） と呼ばれる （ぶんせき， 1 9 9 0， 3 , p 8 2 ) 。 陽イオン型イオン会合性色素は陰イオン型イオン 会合性試薬とイオン会合する こ とによ り電子状態が変化 し、 色調も変化する。

メ タ ク ロマジ一現象を起こす代表的な例は、 コロイ ド 滴定における陰イオン型のポリ ビニル硫酸カ リ ウム （ P V S K ) と陽イオン型の トルイジンブル一 （T B ) との 組み合わせである。 T Bは P V S K と反応し青から赤紫 色に変色する。 しかし、 この現象は糖やグリ セ リ ンには 影響されないが塩類によって著し く 影響される （新実験 化学講座 9， 分析化学 〔 I I 〕 （ 1 9 7 7 ) , 特殊試薬 による分析） 。

本発明者らは、 この点に着目 し鋭意研究した結果、 メ タク口マジ一における塩類の影響による色素の色調の変 化を利用 して水性溶液のイオン強度又は比重を二次的に 測定する こ とができる こ とを見出 した。

メ タ ク ロマジ一での色素の色調の変化は水性溶液の P Hの変化による ものではない。 そのため、 本発明の組成 物を用いる液体試料のイオン強度又は比重測定方法は P Hの影響をほ とんど受けない。

図面の簡単な説明

図 1 は、 本発明の試験片のー実施例の斜視図である。 図 2 は、 本発明の試験片を用いて測定した各種尿試料 の、 カ ラーアナライザ一の測定波長と反射率との関係を 示す図である。

図 3 は、 本発明の試験片を用いて測定した尿試料の、 比重と KZS関数との関係を示す図である。

図 4 は、 本発明の組成物を用いて測定した各種尿試料 の、 分光光度計の測定波長と吸光度との関係を示す図で ある。

発明を実施するための最良の形態 以下の実施例によ り、 本発明を更に詳細に説明する。 実施例 1 - 3 ： 本発明の組成物の製造

精製水に各成分を溶解して、 下記組成の本発明の組成 物を得た。

実施例 1 ： へパ リ ンナ ト リ ウム 1 重量％

メ チ レ ン ブルー I mM

実施例 2 ： デキス ト ラ ン硫酸 （Mw 8 0 0 0 ) ナ ト リ ウ ム 1 重量％

サフ ラニン 0 I mM

実施例 3 ： コ ン ドロイ チ ン硫酸ナ ト リ ウム 1 重量％

ナイルブル一 1 m M

実施例 4 - 6 ： 本発明の試験片の製造

実施例 4

実施例 1 の組成物を濾紙 （凸版商事製、 5 1 A) に含 浸させた後乾燥して、 5 X 5 mmの大き さに切断した。 このよ う に して製造した試験紙 1 を 5 X 4 0 mmの大き さのプラスチ ッ ク片 2に貼付して図 1 に示す本発明の試 験片を得た。

実施例 5

実施例 2の組成物を使用 したこ と以外は実施例 4 と同 様にして、 本発明の試験片を得た。

実施例 6

実施例 3の組成物を使用したこ と以外は実施例 4 と同 様にして、 本発明の試験片を得た。

実施例 7 - 9 ： 本発明の試験片を用いた測定

実施例 7 ： 尿試料の比重の測定 1

実施例 4の試験片を 1 - 2秒比重が異なる各種尿試料 中に浸漬し、 カラーアナライザー T C— 1 8 0 0 Mで反 射率を測定した。 結果を図 2に示す。 図 2から明らかな ように、 尿比重の違いにより色調に差が見られた。

実施例 8 ： 尿試料の比重の測定 2

実施例 6の試験片を使用したこと以外は実施例 7 と同 様にして比重が異なる各種尿試料の反射率を測定し、 こ の反射率から 6 8 0 n mでの K/S関数を下記式 I によ り算出した。

KZS = ( 1 - R ) ² / 2 R ( I ) (式中、 K =吸収係数、 S =散乱係数、 R =反射率）

KZS関数は、 塗装面又は織物の反射率を求めるため、 クーべルカ—ムンク （Kubelka - unk) が理論的に KZ S と Rとの閧係を導いたものである。 図 3に示すように、 尿比重に比例した KZS関数が得られた。

実施例 9 ： 尿試料 （ p Hが異なる） の比重の測定 3

実施例 6の試験片を 1 - 2秒下記尿試料①-③中に浸 漬し、 カラ一アナライザー T C— 1 8 0 0 Mで反射率を 測定し、 この反射率から 6 8 0 n mでの KZS関数を算 出 し、 図 3 よ り尿比重を求めた。 なお、 尿試料① -③に ついては屈折率計を用いて別途比重を測定した。

尿試料① ： P H 5 , 屈折率計で測定した比重 1 . 0 2 0 尿試料② ： P H 6 , 屈折率計で測定した比重 1 . 0 2 0 尿試料③ ： p H 7 , 屈折率計で測定した比重 1 . 0 2 0 本発明の試験片を用いた測定の結果尿試料① -③はい ずれも比重 1 . 0 2 0 であ り、 p Hの違いによる差は見 られなかった。

実施例 1 0 ： 本発明の組成物を用いた尿試料の比重の測 室

精製水 3 m l 、 1 重量％デキス ト ラ ン硫酸ナ ト リ ウム 水溶液 5 0 1 及び I mMメ チ レ ンブル一水溶液 5 0 μ.

1 からなる本発明の組成物の水溶液に比重の異なる尿試 料各 2 5 を添加しよ く 混合した後、 日立 2 0 0 —

2 0 分光光度計を用いて各々 の吸収曲線を測定した。 結 果を図 4 に示す。 図 4 から明らかな如 く 尿比重の違いに よ り吸収曲線のパター ンが異な り、 反射率の代わ り に吸 光度も使用 し得る こ とが分かる。

産業上の利用可能性

本発明の液体試料のイオ ン強度又は比重測定用組成物 は、 陰イオ ン型イオ ン会合性試薬と陽イオン型イオ ン会 合性試薬とからな り、 所望によ り更に p H緩衝剤を含ん でなるため、 イオン会合によ り発色し、 液体試料の p H や温度等の特性に影響されず、 簡便迅速且つ正確に液体 試料のイオン強度又は比重を測定する こ とができ る。 又、 陰イオン型イオン会合性試薬及び陽イオン型ィォ ン会合性試薬は各々多く の種類があり、 且つ市販品が利 用できるので種々の組み合わせが可能であり、 使用目 ⁰³ に応じた最適な組成物を容易に調整することができる。

更に 本発明の試験片も各種の形態のものを容易に製 造可能であり、 且つ構造が簡単で小型軽量であるため、 測定操作、 持ち運び、 保管等が極めて容易であり、 又、 安価である。

Claims

請求の範囲

1 . 陰イ オ ン型イ オ ン会合性試薬と陽イ オ ン型イ オ ン会 合性試薬とからな り、 所望によ り更に p H緩衝剤を含ん でなる こ とを特徴とする液体試料のイオン強度又は比重 測定用組成物。

2 . 陰イオン型イオン会合性試薬がスルホン酸基、 硫酸 エステル基若し く は リ ン酸エスエル基を有するポリ マー 又は鎖状化合物である こ とを特徴とする請求項 1 記載の 組成物。

3 . 陽イオン型イオン会合性試薬が塩基性色素である こ とを特徴とする請求項 1 記載の組成物。

4 . 塩基性色素がチア ジ ン染料、 ォキサジ ン染料、 ア ジ ン染料、 卜 リ フ エ ニル メ タ ン染料、 ジフ ヱ ニル メ タ ン染 料、 ァゾ染料、 イ ン ドア二 リ ン染料及びア ミ ノ イ ン ド フ ノ ール染料からなる群よ り選ばれたこ とを特徴とする 請求項 3 記載の組成物。

5 . p H緩衝剤の p H緩衝域が p H 5 - 1 0 の範囲であ る こ とを特徴とする請求項 1 記載の組成物。

6 . 請求項 1 記載の組成物が吸収性担体に含浸されてな る こ とを特徴とする液体試料のイオン強度又は比重測定 用試験 0