以下、実施形態に係る格納物管理システムについて説明する。なお、本実施形態では、格納物としてファイル(フォルダ)を想定して説明するが、その他、後述するタグ装置を取付けた形態で格納可能な格納物、例えば、書籍やビデオテープ、DVD、CD等の格納物を管理するシステムに適用できる。
図1は格納物管理システムの全体外観構成を示す説明図であり、図2は格納物管理システムを示すブロック図である。
この格納物管理システムは、概略的には、複数の格納物10を格納した格納棚20を備えており、格納された複数の格納物10を管理するシステムである。
この格納物管理システムは、各格納物10の在庫情報(在庫位置、在庫の有無等)の管理を行うと共に、格納棚20の施解錠を管理可能に構成されている。
格納物10の在庫情報を管理するための構成に関して、各格納物10には、タグ装置30が取付けられている(図3参照)。そして、管理制御装置70が、タグ装置30との間で通信を行うことで、各タグ装置30に対応づけられた格納物10の在庫位置及び在庫状況を管理できるようになっている。
また、格納棚20の施解錠を管理するための構成として、格納棚20には、施解錠装置60が取付けられている(図1及び図4参照)。また、管理制御装置70は、電子キー発行装置80を通じて、電子キー90を発行可能に構成されている。そして、利用者が発行された電子キー90を用いて施解錠装置60との間で認証動作を行わせることで、施解錠装置60が解錠状態になり、利用者は格納棚20に対して格納物10を入出庫できるようになる。
また、本格納物管理システムは、上記電子キー90が返却された際に格納物在庫一次情報(棚一次テーブル)を生成し、この格納物在庫一次情報(棚一次テーブル)と電子キー90の利用開始時点での格納物在庫情報(棚在庫情報)とを比較することで、当該利用者によって出庫等された格納物10を特定する。
より具体的に説明すると、この格納物管理システムは、格納棚20と、タグ装置30と、棚段制御装置50と、電子キー90と、電子キー発行装置80と、施解錠装置60と、カードリーダ98と、管理制御装置70とを備えている。
格納棚20は、少なくとも一つ(ここでは2つ)の格納部22を有している。格納部22の前面開口には、開閉可能な扉23が取付けられている。そして、扉23を開いた状態で格納部22内に格納された格納物10を入出庫でき、扉23を閉じた状態で格納部22内に格納された格納物を入出庫できないようになっている。また、格納部22は、管理格納エリアとして、少なくとも一つ(ここでは4つ)の棚段24を有している。各棚段24には、格納物10を並列状態で格納できるようになっている。
ここで、管理格納エリアは、管理制御装置70によって格納物10の在庫位置を管理する一つの区間として捉えられている。ここでは、各棚段24毎に棚段制御装置50が取付けられているため、管理制御装置70は、当該棚段制御装置50を通じて、各棚段24別に区別してそこに格納された格納物10に取付けられたタグ装置30との間で通信を行う。よって、管理制御装置70は、当該棚段24単位で格納物10の在庫を管理するので、当該各棚段24が管理格納エリアとして捉えられる。かかる管理格納エリアは、格納部の格納構成或は管理制御装置70によって管理を行う単位によって適宜変更される。例えば、複数の棚段をまとめて一つの管理格納エリアとして取扱ってもよいし、また、一つの棚段をさらに細分化し、当該細分化された単位で管理格納エリアとして取扱ってもよい。また、格納部が引出し式の構成である場合には、当該引出し単位で管理格納エリアとして取扱ってもよい。
また、格納部22は、格納物10の入出庫を物理的に規制可能な一つのまとまりとして捉えられる。ここでは、一つの扉23によって覆われ或は開放される4つの棚段24部分を、一つの格納部22として捉えている。勿論、一つの格納部内に一つの棚段が存在する態様であってもよいし、また、2つ或は3つ或は5つ以上の棚段が存在する態様であってもよい。また、格納部22は、棚段を有する構成である必要はなく、例えば、引出し式の構成であってもよい。
本実施形態では、上記のような格納部22が複数存在する場合を前提としている。もっとも、一つの格納棚20には、一つの格納部22が存在していてもよいし、複数の格納部22が存在していてもよい。要するに格納棚20の数に拘らず、複数の格納部22が存在していればよい。
図3はタグ装置30が取付けられた格納物10を示す斜視図であり、図5はタグ装置30を示すブロック図である。
格納物10は、上記格納部22内に格納可能構成されている。ここでは、格納物10として、所定の情報を記憶した用紙を閉じるファイルを想定しており、側面視略方形状に形成されている。この格納物10の一辺にタグ装置30が取付けられている。格納物10は、当該タグ装置30を外方に向けた姿勢で格納物10内に格納可能に構成されている。タグ装置30を格納物10に取付ける構成としては、接着剤又はホッチキス等で一体的に取付ける構成、格納物10に形成されたポケット状の収容部にタグ装置30を収容保持する構成、クリップ等で固定する構成等を採用することができる。
タグ装置30は、略方形板状の外形状を有しており、上記格納物10に取付可能に構成されている。このタグ装置30は、電気的構成要素として、受光部31と、タグ制御部32と、ID記憶部33と、通信用発光部34と、報知用発光部35とを備えている。
タグ制御部32は、CPU、ROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納されたソフトウエアプログラムによって所定の動作を実行する。
ID記憶部33は、各タグ装置30に割当てられた固有の識別符号を記憶保持している。上記タグ制御部32は、当該ID記憶部33に記憶された固有の識別符号を読込んで後述する所定の動作を実行する。ID記憶部は、初期設定時に書込まれた固有の識別符号を書換え不能に記憶するメモリとして構成されたものであってもよいし、或は、固有の識別符号を書換え可能に記憶するメモリとして構成されたものであってもよい。また、本ID記憶部33と上記タグ制御部32とは1チップ化された形態であってもよい。
受光部31は、フォトダイオード等の受光素子であり、光信号を電気信号に変換してタグ制御部32に出力する。通信用発光部34は、発光ダイオード等の発光素子であり、上記タグ制御部32からの制御に応じて所定の応答光信号を発する。これらの受光部31と通信用発光部34とを有するタグ通信部を通じて、上記タグ制御部32が外部との間で通信可能に構成されている。
報知用発光部35は、可視光発光ダイオード等の発光素子であり、上記タグ制御部32からの制御に応じて、所定の報知動作を行う。ここでは、所定の報知動作として、予め設定された時間発光する動作を実行する。なお、単一の発光ダイオード等の発光素子が、通信用発光部34及び報知用発光部35としての両機能を実現する構成であってもよい。
本タグ装置30は、次の動作を実行可能に構成されている。すなわち、受光部31を通じて受信された光信号にID返答コマンドが含まれている場合に、自己の識別符号を含む光信号を送信する。また、受光部31を通じて受信された呼出し用の識別符号が自己の識別符号と一致している場合に、通信用発光部34を通じて応答する動作を実行する。また、この場合に、受光部31を通じて受信された信号に発光コマンドが含まれている場合に、報知用発光部35に報知を行わせる動作を実行する。かかる動作については後に説明する。
図1及び図2に戻って、棚段制御装置50は、各格納管理エリアである各棚段24別に、格納物10に取付けられたタグ装置30との間で通信可能に構成されると共に、ラック制御部40及び中継装置48を通じて管理制御装置70と通信可能に構成されている。
ラック制御部40は、CPU、ROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納されたソフトウエアプログラムによって所定の動作を実行する。すなわち、ラック制御部40は、各格納棚20に対応して設けられており、それが設置された格納棚20に設けられた各棚段制御装置50に相互通信可能に接続されると共に、中継装置48を介して管理制御装置70に相互通信可能に接続されている。本ラック制御部40は、管理制御装置70と各棚段制御装置50との間で通信の中継を行う。また、所定の格納棚20に設置されたラック制御部40は、他の格納棚20のラック制御部40にも接続されており、当該他のラック制御部40と管理制御装置70との間でも通信の中継を行っている。
また、このラック制御部40は、各格納棚20に設置された発光表示部42の発光制御をも行う。この発光表示部42は、可視光発光ダイオード等により構成されている。そして、管理制御装置70からの制御指令に応じて、ラック制御部40が本発光表示部42を発光させる。
棚段制御装置50は、各棚段24に対応して設けられており、棚段制御部52と受発光部53と指示部54と発光部55と取出数表示部56とを備えている。
棚段制御部52は、CPU、ROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納されたソフトウエアプログラムによって所定の動作を実行する。ここでは、棚段制御部52は、管理制御装置70からの指令に応じて、各タグ装置30の識別符号を得る動作、各タグ装置30の在庫の有無を確認する動作及び各タグ装置30に報知動作を行う指令を与える動作を実行する。これについては後で説明する。
受発光部53は、各タグ装置30との間で通信を行うための通信部であり、例えば、発光ダイオード等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子との組合わせにより構成されている。各受発光部53は、それが設置された棚段24に格納された格納物10のタグ装置30との間で光通信を行えるような位置及び姿勢で、当該棚段24に対応して設けられている。なお、図2では、一つの棚段24に対応して一つの受発光部53を示しているが、棚段24内に格納された複数の格納物10のタグ装置30との間で光通信を行えるようにするため、当該格納物10の配列方向に沿って複数の受発光部53が設けられていてもよい。なお、当該棚段24別に区別してタグ装置30との間で通信を行えるのであれば、棚段制御装置50とタグ装置30との間の通信形式は、光通信による場合に限られない。
また、指示部54は、押しボタンスイッチ等により構成されており、利用者による報知指示を受付ける指示操作入力部として機能する。本指示部54を通じて受付けられた報知指示は、棚段制御部52に与えられる。
発光部55は、可視光発光ダイオード等により構成されている。また、取出数表示部56は、例えば、複数の可視光発光ダイオードがセグメント表示にて取出数を表示する構成とされている。そして、棚段制御部52からの指令に応じて、発光部55が発光表示を行うと共に、取出数表示部56が取出し数を表示するようになっている。
図4は施解錠装置60及び電子キー90を示す斜視図であり、図6は施解錠装置60及び電子キー90を示すブロック図である。
電子キー90は、図1、図4及び図6に示すように、略長方形板状の外形状に形成されており、キー側制御部92とキー側記憶部93と電源94とを備えている。本実施形態における格納物管理システムでは、基本的には電子キー90を一つだけ用いて運用される。もっとも、予備的な電子キー90等が他に存在してもよい。
キー側制御部92は、CPU、ROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納されたソフトウエアプログラムによって所定の動作を実行する。このキー側制御部92は、通信端子92aを通じて外部との間で通信可能に構成されている。
キー側記憶部93は、情報を書換え可能に記憶するメモリによって構成されており、後述するキー発行に際して与えられる利用権限情報を書換え可能に記憶すると共に、本電子キー90の利用履歴を書換え可能に記憶するように構成されている。勿論、本キー側記憶部93と上記キー側制御部92とは1チップ化された形態であってもよい。
電源94は、本電子キー90の電源として用いられる。また、本電子キー90が後述する施解錠装置60にセットされた状態では、当該電源94から施解錠装置60に対して給電を行うようになっている。
上記キー側制御部92は、次の動作を実行する。すなわち、電子キー90発行に際して、電子キー発行装置80から利用権限情報が与えられると、当該利用権限情報をキー側記憶部93に書込む。また、本電子キー90が施解錠装置60にセットされると、当該施解錠装置60との間で利用権限情報等に基づく認証処理を実行する。また、その認証結果に応じて、電子キー90の利用履歴をキー側記憶部93に書込む。また、電子キー90が電子キー発行装置80に返却されてその返却が受付けられると、前記キー側記憶部93に記憶された電子キー90の利用履歴を電子キー発行装置80に与える。これらの動作については、他の各種装置との関係で逐次説明する。
施解錠装置60は、上記のような格納部22における扉23の外面に取付けられる部材であり、各格納部22別に、格納物10の入出庫を不能にする施錠状態と格納物10の入出庫を許容する解錠状態との間で切替可能に構成されている。この施解錠装置60は、電子キー90との間で通信を行って認証動作を行い、その認証結果に応じて上記施錠状態から上記解錠状態に切替るように構成されている。
より具体的には、施解錠装置60は、錠装置61と、錠側制御装置64とを有している。
錠装置61は、格納物10の入出庫を許容及び不能にする機構部分であり、ベース本体部62と、ベース本体部62に対して可動に配設された遮蔽部材63とを有している。
ベース本体部62は、扉23の取っ手部23a部分に、両面テープや接着剤、ネジ止固定等により取付固定されている(図4参照)。ベース本体部62には、取っ手部23aに対応する位置に開口部62hを有しており、取っ手部23aは当該開口部62hを通じて外部に露出可能とされている。
ここで、扉23の取っ手部23aは、当該扉23に設けられたロック部と格納物10側に設けられた被ロック部との係合状態を解除する操作レバーとしての機能を有している。そして、取っ手部23aを操作することで、前記ロック部と被ロック部との係合状態を解除して扉23を開くことができる。一方、取っ手部23aを操作しない状態では、前記ロック部と被ロック部との係合状態が維持され扉23を開くことができないようになっている。
遮蔽部材63は、上記ベース本体部62の開口部62hを覆う施錠位置と開口部62hを開放させる解錠位置との間で移動可能に、当該ベース本体部62に支持されている。そして、遮蔽部材63を施錠位置に移動させた状態では、取っ手部23aが遮蔽部材63で覆われる。従って、この状態では、利用者が外部から取っ手部23aを操作して扉23を開くことは不能な状態となり、施錠状態となる。一方、遮蔽部材63を解錠位置に移動させた状態では、取っ手部23aは開口部62hを通じて外部に露出している。従って、この状態では、利用者が外部から取っ手部23aを操作して扉23を開くことができる解錠状態となる。
勿論、格納部22を施錠状態及び解錠状態に切替える構成は上記例に限られない。錠装置としては、扉23に設けられたロック部を直接的に移動規制し或は移動を許容して、施解錠状態を切替える構成であってもよい。
錠側制御装置64は、上記錠装置61に組込まれており、当該錠装置61を施錠状態から解錠状態に切替制御する。
錠側制御装置64は、錠側制御部65と、錠側記憶部66と、スイッチ部67と、ソレノイド68とを有している。
錠側制御部65は、CPU、ROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納されたソフトウエアプログラムによって所定の動作を実行する。この錠側制御部65は、通信端子65aを通じて外部、特に、電子キー90との間で通信可能に構成されている。
また、錠側記憶部66は、各格納部22に割当てられた固有の識別符号として”格納部No.”を記憶保持している。上記錠側制御部65は、本錠側記憶部66に記憶された”格納部No.”を用いて電子キー90との間で認証動作を実行する。本錠側記憶部66は、”格納部No.”を書換え不能に記憶するメモリとして構成されたものであってもよいし、或は、”格納部No.”を書換え可能に記憶するメモリとして構成されたものであってもよい。また、本錠側制御部65と錠側記憶部66とは1チップ化された形態であってもよい。
ソレノイド68は、錠装置61を施解錠駆動する駆動部として用いられるものである。すなわち、上記錠装置61には、遮蔽部材63に係合可能なロック部材が組込まれており、ロック部材は、当該遮蔽部材63に係合して上記施錠位置に保つ位置と、遮蔽部材63に対する係合を解除して遮蔽部材63を解錠位置に向けて移動可能にする位置との間で移動可能とされている。本ソレノイド68は、当該ロック部材を移動させることで、遮蔽部材63を上記施錠位置に保つ状態と、遮蔽部材63を解錠位置に向けて移動可能にする状態との間で切替駆動するように構成されている。
スイッチ部67は、ソレノイド68への給電回路の途中に介挿されており、当該ソレノイド68への通電をオンオフ切替可能に構成されている。
そして、本施解錠装置60へのセット部60aに上記電子キー90がセットされると、当該電子キー90の電源94から上記錠側制御装置64に給電がなされる。これにより、電子キー90側のキー側制御部92と錠側制御装置64の錠側制御部65との間で通信が行われ、所定の認証処理が実行される。その認証結果が利用可である場合には、錠側制御部65は、スイッチ部67をオン状態にしてソレノイド68に通電する。これにより、上記ロック部と遮蔽部材63との係合状態が解除され、遮蔽部材63が解錠位置に向けて移動可能な状態になる。この状態で、操作部63a等を操作して遮蔽部材63を解錠位置に向けて移動させることで、取っ手部23aを操作可能になる。また、利用後に、操作部63a等を操作して遮蔽部材63を施錠位置に向けて移動させることで、ロック部と遮蔽部材63との係合状態が図示省略の付勢部材の付勢力等によって復帰移動し、遮蔽部材63が施錠状態にロックされるようになっている。なお、上記認証動作については後で説明する。
また、上記錠側制御装置64には、開閉センサ64aが接続されている。開閉センサ64aは、扉23の開閉状態を検出するセンサであり、光センサ或はマイクロスイッチ等により構成されている。この開閉センサ64aの検知結果が錠側制御部65に与えられる。
電子キー発行装置80は、図1及び図2に示すように、電子キー90をセット可能なセット部82を有しており、管理制御装置70と通信可能に接続されている。そして、管理制御装置70による制御下、電子キー90を発行すると共に、電子キー90の返却を受付ける。ここでは、電子キー90の発行動作として、管理制御装置70の制御に基づき、利用権限情報を電子キー90に書込む処理と、セット部82が電子キー90をロックする状態を解除する処理とを実行する。また、電子キー90の返却受付処理としては、ここでは、電子キー90がセット部82にセットされると、そのセットを検知して検知結果を管理制御装置70に与える処理を実行する。これらの内容については、他の各種装置との関係で逐次説明する。
図2に示すように、カードリーダ98は、管理制御装置70と通信可能に接続されており、利用者の特定情報を受付ける利用者情報受付部として用いられる。ここでは、各利用者に、当該利用者の特定情報であるユーザIDを書込んだICカード99が付与される場合を想定しており、本カードリーダ98は上記電子キー発行装置80に組込まれている。勿論、カードリーダ98と電子キー発行装置80とは別体であってもよい。そして、本システムを利用しようとする利用者が、予め付与されたICカード99をカードリーダ98にかざすことで、当該ICカードに付与されたユーザIDがカードリーダ98で読込まれ、そのユーザIDが利用者特定情報として受付けられて管理制御装置70に与えられるようになっている。
利用者の特定情報を受付ける利用者情報受付部は、上記例に限られない。その他、利用者の個別に付与された利用者識別符号を、テンキー等を通じて受付ける構成であってもよいし、また、指紋や静脈、音声等の生体認証装置を用いて利用者の特定情報を受付ける構成であってもよい。
管理制御装置70は、CPU、ROM、RAM等を有する管理制御部71、ハードティスク装置等の記憶部71a等を有するコンピュータ本体、さらに、ディスプレイ装置等の表示部72、キーボード及びマウス等の入力部73を備えたを備えた一般的なコンピュータであり、予め記憶されたプログラムによって所定の動作を実行する。
上記入力部73は、出庫対象となる格納部22の特定情報を受付け可能な格納物特定情報受付部として機能する。格納物10の特定情報は、例えば、各格納物10に固有の”IDNo.”を入力することで行われる。ここでは、”IDNo.”とタグ装置30の固有の識別符号とが同じであるとして説明するが、両者が対応づけられていれば、両者は別々のものであってもよい。また、格納物10の名称(例えばファイル名)と”IDNo.”(或はタグ装置30の固有の識別符号)とが対応づけてデータとして管理されている場合には、当該格納物10の名称を物品特定情報として受付けてもよい。また、表示部72に表示されたリスト等の中から選択して出庫対象を特定するようにしてもよい。
上記記憶部71aは、下記の種々情報に基づく管理データベースが構築されるものであり、管理情報記憶部として機能する。
図7は記憶部71aに記憶された管理データベースの例を示している。
IDマスターファイルは、個々の格納物10に固有の”IDNo.”と管理レベルとを対応づけたファイルである。管理レベルは、各格納物10の機密性の内容に応じて、利用者の利用を制限するレベルとして設定されている。例えば、より機密性の高い格納物10については、より小さな値を持つ管理レベルが設定され、より機密性の低い格納物10についてはより大きな値を持つ管理レベルが設定される。上記管理レベルは、そのような機密性の度合に応じた運用に供される。このIDマスターファイルは、格納物10を最初に格納する際に、本システムの運用者等によって適宜作成、更新作成される。このIDマスターファイルによる具体的な運用例については、後に説明する。
棚テーブルは、各棚段24を区別する”棚No.”毎に、当該棚段24に格納された格納物10の特定情報である”IDNo.”を対応づけた情報と、その各”IDNo.”に取出要求フラグの有無を対応づけた情報として記憶されていている。前者の情報は、各格納管理エリアである棚段24毎に、格納物10の在庫状況を対応づけた棚在庫情報(格納物在庫情報)として用いられる。後者の情報は、後述する格納物10の出庫作業中において、出庫対象となる格納物10の特定情報を受付けると、その出庫対象となる格納物10の特定情報である”IDNo.”に取出要求フラグ有りとして対応づけた情報である。本棚テーブルは、例えば、本システムの運用開始時に、上記棚段制御装置50を通じて各タグ装置30を通じて通信を行うことで新規作成され、その後、格納物10の出庫作業時或は入庫作業時等に適宜更新される。棚テーブルの更新作業及び運用例については後述する。
ログファイルは、本システムにおける処理履歴等を記憶したファイルである。ここでは、本システムにおいて生じた事象と当該事象が生じた時間(或は当該事象を管理制御装置70で受取った時間)とを対応づけた情報として記憶している。ここでは、事象として、下記のログ情報A〜Dに関する情報を記憶する。
また、上記記憶部71aには、図8〜図10に示すテーブルが記憶されている。
図8に示すテーブルは、各格納部22を特定する”格納部No.”と管理レベルとを対応づけた格納部管理テーブルを示している。
図9に示すテーブルは、格納管理エリアである棚段24を特定する”棚No.”と、各格納部22を特定する”格納部No.”とを対応づけた棚段及び格納部対応付けテーブルを示している。
そして、格納部管理テーブルと棚段及び格納部対応付けテーブルとを参照して、格納物10が格納された棚段24が属する格納部22の管理レベルを特定すると共に、IDマスターファイルを参照して当該格納物10に対応づけられた管理レベルを特定し、両者を比較することで、所定の管理レベルを持つ格納物10が、対応する管理レベルを持つ格納部22に正規に入庫されたか否かを判断することができる。つまり、IDマスターファイルと格納部管理テーブルと棚段及び格納部対応付けテーブルとは、所定の管理レベルを持つ格納物10が、同じ管理レベルを割当てられた格納部22に属する棚段24毎に格納されるべき情報ということができ、要するに、各格納物10とその格納物10が格納されるべき棚段24(格納管理エリア)に関する情報とを対応づけた格納予定位置情報として用いられる。
図8及び図9に示すテーブルは、本システムの運用開始時点等において、本システムの運用者等が格納される内容に応じて適宜設定して作成され、適宜タイミングで更新される。
図10に示すテーブルは、利用者を特定するユーザIDに、当該利用者が利用可能な内容を示す許可レベルを対応づけた利用者許可テーブルを示している。許可レベルは、同じ管理レベル及び機密性からして下位の管理レベルに対する許可を示している。例えば、許可レベルが”5”の場合、管理レベルが”5”である格納物10を利用できることを示している。また、例えば、許可レベルが”2”場合、管理レベルが同じ”2”とそれよりも下位の”3〜5”である格納物10を利用できることを示している。
そして、図8に示す格納部管理テーブルと本テーブルとを参照することで、利用者が利用可能な格納部22を判断することができる。例えば、利用者許可テーブルを参照することで、所定のユーザIDに対応する許可レベルを判断することができる。そして、格納部管理テーブルを参照することで、その許可レベルに応じて、当該許可レベルと同じ管理レベル及びより下位の管理レベルを持つ”格納部No.”を特定することができる。つまり、図8に示す格納部管理テーブルと図10に示す利用者許可テーブルとを、各格納部22別の利用可否に関する情報(許可レベルと管理レベルとの対応による)を、利用者の特定情報であるユーザIDに対応づけた利用権限管理情報として用いることができる。もっとも、利用権限管理情報として、各ユーザIDに直接各格納部20の”格納部No.”を対応づけたテーブルを用いてもよい。
なお、図10に示すテーブルは、本システムの運用開始時点等において、本システムの運用者等が格納される内容に応じて適宜設定して作成され、利用者の削除、追加、属性変更等の諸事情が生じた場合に、適宜運用者等によって更新される。
管理制御部71は、上記記憶部71aに記憶された諸情報を参照しつつ、タグ装置30を利用して各格納物10の在庫状況を管理する。また、管理制御部71は、カードリーダ98で利用者特定情報が受付けられると、上記記憶部71aに記憶された諸情報を参照しつつ、電子キー発行装置80を通じて電子キー90を発行し、さらに、該電子キー90の返却を受付けると、上記諸情報を参照しつつ、その利用者によって出庫された格納物10を特定する処理を実行する。これらの処理については後で詳述する。
なお、本管理制御部71が行う各種処理は、物理的に一つの制御装置によって実行されるものであっても、複数の制御部で分散して行われるものであってもよい。
また、図1及び図2に示すように、各棚段24に対応して入出庫検知センサ28が設けられている(図2では説明の便宜上一つのみ図示)。入出庫検知センサ28は、検知光が各棚段24の前方開口を横切るように設定された反射型或は透過型の光センサ等により構成されている。そして、各棚段24において、当該棚段24に対する格納物10を入出庫すると、その格納物10が検知光を遮ること等で、当該格納物10の入出庫が検知され、その検知信号が管理制御部71に与えられるようになっている。
本格納物管理システムの各部動作を説明する。説明の便宜上、まず、利用者による本システムの利用手順を概略的に説明する。
利用者は管理制御装置70の入力部73を通じて出庫を望む格納物10の特定情報を入力する。この後、予め付与されたICカード99をカードリーダ98にかざすことで利用者の特定情報を入力し、電子キー発行装置80より発行された電子キー90を所持して格納棚20前に移動する。出庫対象となる格納物10を格納している格納棚20の発光表示部42が点灯しているので、これを手がかりとして電子キー90を施解錠装置60にセットして解錠を行わせ、扉23を開く。出庫対象となる格納物10を格納している棚段24の発光部55が点灯すると共に、取出数表示部56に当該棚段24での格納物10の取出数が表示されているので、そのうちの一つの指示部54を操作する。すると、出庫対象となる格納物10に取付けられたタグ装置30が点灯する。利用者は、タグ装置30の発光を手がかりとして、1つ以上の格納物10を出庫する。一の棚段24での格納物10の出庫が終了すると、必要に応じて上記と同様にして他の棚段24から格納物10を出庫する。また、一の格納部22での格納物10の出庫が終了すると、電子キー90を施解錠装置60から取出す。そして、必要に応じて上記と同様にして他の格納部22から格納物10を出庫する。各格納棚20から格納物10の出庫が完了すると、電子キー90を電子キー発行装置80に返却する。これにより、格納物10の出庫が完了する。
図11はタグ装置30の動作を示すフローチャートである。
まず、初期状態では、タグ装置30は、比較的消費電力が少ないスリープ状態となっている。そして、ステップS1において、棚段制御装置50からの光信号が、受光部31を通じて受信されると、タグ制御部32がウエイクアップし、その後、ステップS2に進む。
ステップS2では、タグ制御部32が、受信した光信号に、ID返答コマンドが含まれるか否かを判断する。ID返答コマンドが含まれていると判断された場合、ステップS7に進む。
ステップS7では、タグ制御部32は、通信用発光部34を通じて、自己の識別符号を含む光信号を送信する、ID返答処理を実行する。なお、ID返答を行う際には、変動タイミングを適宜ずらす等して、複数のタグ装置30から送信される信号の衝突を回避するとよい。この後、処理を終了し、スリープ状態に移行する。
一方、ステップS2において、ID返答コマンドが含まれていないと判断された場合、ステップS3に進む。
ステップS3では、タグ制御部32が、受信した光信号に含まれる”IDNo.”が自己の識別符号の一致するか否かが判断する。ここで、不一致と判断された場合には、処理を終了しスリープモードに移行する。一方、一致と判断された場合には、ステップS4に進む。
ステップS4では、タグ制御部32は、通信用発光部34を通じて、応答光信号を出力する応答動作を実行し、その後、ステップS5に進む。
ステップS5では、タグ制御部32は、受信した光信号に発光コマンドが含まれるか否かを判断する。ここで、発光コマンドが含まれていないと判断された場合には、処理を終了しスリープモードに移行し、発行コマンドが含まれていると判断された場合には、ステップS6に進む。
ステップS6では、タグ制御部32は、報知用発光部35を一定時間点灯させる報知動作を行わせる。この後、処理を終了しスリープモードに移行する。
図12は、利用者が出庫を望む格納物10の特定情報を入力する際における管理制御装置70の出庫要求受付動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、管理制御部71は、入力部73を通じて、出庫要求ID(つまり、”IDNo.”)を格納物10の特定情報として受付ける。
次に、ステップS12において、管理制御部71は、棚テーブル(図7参照)を参照して受付けられた”IDNo.”を持つ格納物10が格納された棚番(つまり、”棚No.”)を特定する。そして、管理制御部71は、特定された棚番の棚段制御装置50を通じて当該棚段24に格納された格納物10に取付けられたタグ装置30との間で通信を行い、在庫の有無を確認する。より具体的には、管理制御部71は、当該棚段24において、棚段制御装置50を通じて、特定された”IDNo.”を含む光信号を送信する。
次ステップS13では、管理制御部71は、タグ装置30からの応答の有無を判断する。すなわち、上記ステップS12後、特定された”IDNo.”と一致する識別符号を持つタグ装置30が応答するので、この応答の有無によって、当該棚段24における在庫の有無を確認する。応答があった場合、ステップS14に進む。
ステップS14では、管理制御部71は、入力部73を通じて受付けられた出庫対象となる格納物10の特定情報として、取出要求フラグを棚テーブルに登録する(図7参照)。
この際、ログ情報Aとして、当該出庫対象となる格納物10の特定情報に関する情報(例えば、その”IDNo.”等)を生成する。このログ情報Aに基づく処理については後で説明する。
次ステップS15では、管理制御部71は、その格納物10が格納された格納棚20のラック制御部40を通じて、発光表示部42を発光させる。その後、処理を終了する。
一方、ステップS13において、管理制御部71がタグ装置30からの応答無しと判断した場合、ステップS16に進む。
ステップS16では、管理制御部71は、全ての棚段24の棚段制御装置50を通じて当該各棚段24に格納された格納物10に取付けられたタグ装置30との間で通信を行い、上記と同様にして在庫の有無を確認する。
次ステップS17では、管理制御部71は、タグ装置30からの応答の有無を判断し、応答有りと判断された場合、ステップS18に進み、応答無しと判断された場合ステップS19に進む。
ステップS18では、管理制御部71は、どの棚段制御装置50においてタグ装置30からの応答信号を受信したかを特定することで、応答があったタグ装置30が属する棚番を特定し、その特定結果に基づいて、格納物10の在庫位置を正しいものにするように棚テーブルの在庫場所を更新する。なお、管理制御部71による各棚段制御装置50の特定は、例えば、各棚段制御装置50に予め付与された識別子を用いてなされる。この後、ステップS14に進み、以降、上記と同様の処理を実行する。
ステップS17において応答無しと判断された場合、ステップS19に進み、当該特定された格納物10の”IDNo.”を棚テーブルから消去するように、在庫情報を更新する。
この後、ステップS20に進み、”不在、持出し中”等、在庫しない旨のメッセージを表示して、処理を終了する。
なお、複数の出庫対象が存在する場合、ステップS11において、複数の格納物10の”IDNo.”を一括して受付けてもよいし、或は、順次受付けてもよい。
このように出庫要求受付処理が終了した時点での棚テーブルは、電子キー90の発行時点、さらには、電子キー90の返却時点まで同一内容に保持され、後の処理において、電子キー90の利用開始時点での棚在庫情報及び出庫対象となる格納物の特定情報として供される。
図13は管理制御部71による電子キー90発行処理を示すフローチャートである。
電子キー90を発行するにあたっては、利用者がICカード99をカードリーダ88にかざす。すると、ステップS1において、管理制御部71は、カードリーダ88を通じてICカード99のユーザIDを読込み、次ステップS22に進む。
次ステップS22では、管理制御部71は、ユーザIDが有効か否かを判断する。この判断は、例えば、図10に示す利用許可テーブルに、該当するユーザIDが登録されているか否かをもって判断される。ここで、無効であると判断された場合には処理を終了し、有効であると判断された場合にはステップS23に進む。
ステップS23では、管理制御部71は、電子キー発行装置80を通じて電子キー90に利用権限情報を書込む。利用権限情報は、上記したように、図8に示す格納部管理テーブルと図10に示す利用者許可テーブルとを参照することで、利用者が利用可能な格納部22の”格納部No.”を特定した情報として書込まれる。
次ステップS24では、管理制御部71は、電子キー発行装置80による電子キー90のロックを解除する。この際、管理制御部71は、ログ情報Bとして、利用者を特定するユーザID等を含む情報を生成する。このログ情報Bに関する情報は、利用者及びその者に対する電子キー90の発行時間等に関する情報であり、電子キー発行装置80の動作を通じて得られる電子キー90の発行情報として供される。このログ情報Bに基づく処理については後で詳述する。
そして、本発行処理を終了する。
このようにして、利用者の特定情報の受付に応じて電子キー発行装置80を通じて電子キー90が発行され、利用者は、利用可能な”格納部No.”を特定した利用権限情報が書込まれた電子キー90を、電子キー発行装置80から取出して所持することができるようになる。
図14は施解錠装置60の動作を示すフローチャートである。
ステップS1において、錠側制御装置64は、電子キー90がセットされたか否かを検出しており、電子キー90が検出されない場合は処理を終了し、電子キー90が検出された場合にはステップS32に進む。
ステップS32では、錠側制御部65は、通信端子65aを通じて電子キー90から利用権限情報を読込み、次ステップS33に進む。
ステップS33では、錠側制御部65は、読込んだ利用権限情報に基づいて認証の合否を判断する。ここでは、錠側制御部65は、読込んだ利用権限情報に含まれる利用可能な”格納部No.”に、錠側記憶部66に記憶された自己の”格納部No.”が含まれるか否かを判断し、含まれる場合に認証合格であると判断し、含まれていない場合に認証不合格と判断する。
つまり、上記ステップS32、S32において、施解錠装置60が電子キー90との間で通信を行って、利用権限情報に基づいて認証動作を行うことになる。もっとも、認証に係る処理は、施解錠装置60及び電子キー90のいずれで行われてもよい。例えば、上記錠側制御部65から電子キー90側に自己の”格納部No.”を与え、電子キー90側で上記認証の合否判断をし、その判断結果を施解錠装置60側に与えるようにしてもよい。つまり、認証動作は、施解錠装置60と電子キー90とが相互通信により行う処理であればよい。
ステップS33において、認証不合格と判断された場合には、錠側制御部65は処理を終了して、錠装置61を施錠状態に維持する。一方、ステップS33において認証合格と判断された場合には、錠側制御部65は、ステップS34に進み、錠装置61を解錠状態に切替え、その後、ステップS35に進む。
ステップS35では、錠側制御部65は、解錠した格納部24の”格納部No.”及び解錠した時間等の操作履歴を、電子キー90のキー側記憶部93に書込む。その後、処理を終了する。
電子キー90発行後における管理制御装置70の動作を説明する。電子キー90発行後において、管理制御装置70は、各棚段制御装置50の指示部54の監視処理及び入出庫検知センサ28の監視処理を行っている。
図15は指示部54の監視処理を示すフローチャートである。
すなわち、ステップS41において、管理制御装置70の管理制御部71は、各棚段制御装置50の指示部54に対する操作入力の有無を監視している。指示部54の指示部54がオンされない場合には処理を終了し監視状態に戻り、指示部54がオンされるとステップS42に進む。
ステップS42では、管理制御部71は、オンされた指示部54に対応する棚段24において、取出要求IDの存否が判断される。ここでは、管理制御部71は、棚テーブルを参照することによって、オンされた指示部54に対応する”棚No.”において、取出要求フラグが登録された”IDNo.”の有無を判断する。そして、取出要求IDが不存在と判断された場合には処理を終了し、取出要求IDが存在すると判断された場合には、ステップS43に進む。
ステップS43では、管理制御部71は、オンされた指示部54に対応する棚段24において、該当する棚段制御装置50を通じて、取出要求フラグが登録された”IDNo.”を含む光信号を送信する。すると、当該”IDNo.”と一致する識別符号を持つタグ装置30が応答すると共に、発光による報知動作を実行する。これにより、利用者は、その存在箇所を認識して容易に所望の格納物10を取出すことができる。このステップS43において、管理制御部71は、ログ情報Cとして、応答を伴う報知動作を行ったタグ装置30の”IDNo.”を含む情報を生成する。このログ情報Cは、棚段制御装置50がタグ装置30と通信することにより得られるタグ装置30の動作情報を含んでいる。このログ情報Cに基づく処理については後述する。
この後、管理制御部71は本処理を終了する。
図16は入出庫検知センサ28の監視処理を示すフローチャートである。
すなわち、ステップS45において、管理制御部71は、各棚段24に対応して設けられた入出庫検知センサ28がオンされたか否かを監視ししている。ここで、いずれかの入出庫検知センサ28がオンされない場合は処理を終了し、監視状態に戻る。一方、利用者がいずれかの棚段24から格納物10を入出庫すると、その入出庫が検知されて、入出庫検知センサ28がオンになる。そして、その検知結果に基づいて、管理制御部71は当該入出庫検知センサ28がオンになったと判断し、ステップS46に進む。なお、管理制御部71は、例えば、各入出庫検知センサ28に予め与えられた識別子に基づいていずれの棚段24に対応するものであるかを判別している。
ステップS46では、管理制御部71は、オンされた入出庫検知センサ28に対応する棚段24を、利用棚番リストに登録して記憶部71a等に記憶させる。そして、管理制御部71は処理を終了する。利用棚番リストは、メモリの作業領域に一時的に作成されるものであっても、記憶部71aに作成されるものであってもよい。
上記図15及び図16に示す処理は、電子キー90の返却が受付けられるまで、常時監視処理として実行されている。
図17は管理制御装置70による電子キー90の返却受付処理を示すフローチャートである。
すなわち、管理制御部71は、電子キー発行装置80を通じて電子キー90の返却の有無を判断している。そして、管理制御部71は、電子キー90の返却を検出しない場合には処理を終了し、電子キー90の返却を検出すると、ステップS52に進む。
ステップS52では、管理制御部71は、電子キー発行装置80により電子キー90をロックして取出せないようにし、次ステップS53に進む。
ステップS53では、管理制御部71は、電子キー発行装置80を通じて、電子キー90より操作履歴を読取る。このステップS53において、管理制御部71は、ログ情報Dとして、操作履歴及び電子キー90の返却情報を生成する。つまり、このログ情報Dには、電子キー90の返却情報及び電子キー90と施解錠装置60との間の認証動作に関する情報が含まれている。このログ情報Dに基づく処理については後述する。
そして、管理制御部71は、返却受付処理を終了する。
図18はログ情報A〜D生成後の管理制御装置70の処理を示すフローチャートである。
すなわち、管理制御装置70の管理制御部71は、上記各処理で生成されたログ情報A〜Dを収集すると共に入出庫管理を行う処理として、下記を実行する。
まず、ステップS61において、管理制御部71は、上記各処理においてログ情報A〜Dに関する発生事象情報を受取ると、ステップS62に進む。
ステップS62では、管理制御部71は、電子キー発行装置80を通じた電子キー90の返却受付の有無を判断する。つまり、ログ情報Dに関する発生事象であったか否かを判断する。そして、電子キー90の返却受付無しと判断された場合には、ステップS63に進む。
ステップS63では、管理制御部71は、発生事象(ここではログ情報A〜Cのいずれかに関する事象)を、ログファイルに登録する。
一方、ステップS62において、電子キー90の返却有りと判断された場合には、ステップS64に進む。ステップS64では、管理制御部71は、利用棚番リスト(図16参照)を参照して、利用された”棚段No.”を特定し、当該利用された各棚段24において、棚段制御装置50を通じて在庫確認を行い、各棚段24毎の格納物10の在庫状況を含む棚一次テーブルを、格納物在庫一次情報として生成する。より具体的には、管理制御部71は、当該利用された棚段24において、棚段制御装置50を通じて各タグ装置30にID返答コマンドを含む光信号を送信する。すると、各タグ装置30から自己の識別符号を含む光信号が送信される。管理制御部71は、棚段制御装置50を通じて各タグ装置30の識別符号を受信することで、当該棚段24に格納された格納物10に対応する識別符号を特定する。そして、その特定結果に基づいて、利用された各棚段24別に、格納された格納物10に対応して読取られた識別符号をリスト化した棚一次テーブル(格納物在庫一次情報)を生成する。棚一次テーブルは、記憶部71aに記憶されるものであっても、管理制御部71内の作業領域用のメモリに一時的に生成されるものであってもよい。なお、入出庫検知センサ28を省略し、各棚段24の利用の有無に拘らず、全ての棚段24を対象として棚一次テーブルを生成してもよい。この後、ステップS65に進む。
ステップS65では、管理制御部71は、棚テーブルに含まれる棚在庫情報と棚一次テーブルとを比較する。この比較結果によって、利用者によって出庫された格納物10に対応する”IDNo.”が特定される。なお、棚テーブルは、電子キー90の発行以降更新されないので、ここで用いられる棚テーブルは、電子キー90の利用開始時点での棚テーブルでもある。
そして、管理制御部71は、棚テーブルに含まれる棚在庫情報と棚一次テーブルとを比較し、棚一次テーブルに登録された”IDNo.”の集合と棚在庫情報に登録された”IDNo.”の集合の和集合の要素となる”IDNo.”のそれぞれに対して、順次、次の3つの処理のうちのいずれかを実行する。
まず、ステップS65において、管理制御部71が、棚一次テーブル及び棚在庫情報の双方に登録されていると判断した”IDNo.”に対しては、棚在庫情報を含む棚テーブルをそのままに維持してステップS63に進む。そして、ステップS63において、発生事象であるログ情報Dをログファイルに登録して処理を終了する。
かかる処理は、実際に入出庫されなかった格納物10に係る”IDNo.”に対してなされる。
また、ステップS64において、管理制御部71は、棚一次テーブルには存在し、かつ、棚在庫情報には存在しない”IDNo.”が存在すると判断した場合、当該”IDNo.”に対してステップS66に進んで処理を行う。ステップS66では、管理制御部71は、管理レベルの比較を行う。すなわち、管理制御部71は、棚一次テーブルでは存在し、かつ、棚在庫予定情報では存在していない”IDNo.”を特定し、上記IDマスターファイル(図7参照)を参照して、その”IDNo.”に対応する格納物の管理レベルを特定する。また、管理制御部71は、棚一次テーブルを参照して、当該特定された”IDNo.”が格納された”格納部No.”を特定し、格納部管理テーブル(図8参照)を参照して、その”格納部No.”の管理レベルを特定する。そして、管理制御部71は、特定された管理レベルを比較し、両者が一致している場合には適合入庫としてステップS67に進む。
ステップS67では、管理制御部71は、棚一次テーブルでは存在し、かつ、棚在庫予定情報では存在していない”IDNo.”を、棚テーブルにおける棚在庫情報として登録する。
この後、ステップS63に進み、発生事象であるログ情報Dをログファイルに登録して処理を終了する。
一方、ステップS66において、管理制御部71が、特定された管理レベルが不一致であると判断した場合には、不適合入庫として、ステップS68に進む。
ステップS68では、管理制御部71は、棚一次テーブルでは存在し、かつ、棚在庫予定情報では存在していない”IDNo.”を、棚テーブルに対して棚在庫情報として登録する。また、管理制御部71は、格納部22の管理レベルと格納物10の管理レベルとが不一致である旨の不適入庫を報知する報知信号を出力し、不適入庫を発報する。発報は、例えば、ブザー等の発音体が音を発することで行われる。その他、表示部72にその旨を表示することで行われてもよい。
この後、ステップS63に進み、発生事象であるログ情報Dをログファイルに登録して処理を終了する。
かかる処理は、利用者が入庫した格納物10に係る”IDNo.”対して行われる。
また、ステップS64において、管理制御部71が、棚一次テーブルには存在せず、かつ、棚在庫情報には存在する”IDNo.”が存在すると判断した場合、当該”IDNo.”に対してステップS69に進んで処理を行う。
ステップS69では、管理制御部71は、棚テーブルに登録された取出要求フラグを参照して、棚一次テーブルには存在せず、かつ、棚在庫情報には存在する”IDNo.”が取出要求されたものか否かを判断する。ここで、取出要求されたものであると判断されると、ステップS70に進む。本ステップS69は、棚テーブルに含まれる棚在庫情報と、出庫対象となる格納物の特定情報である取出要求フラグと、棚一次テーブルとに基づいて、出庫対象となる格納物10以外の格納物が出庫されたか否かを判断しているといえる。
ステップS70では、管理制御部71は、棚一次テーブルには存在せず、かつ、棚在庫情報には存在する”IDNo.”を、適正に持出されたものとして、棚テーブルに含まれる棚在庫情報から抹消する。
この後、ステップS63に進み、発生事象であるログ情報Dをログファイルに登録して処理を終了する。
一方、ステップS69において、取出要求されたものではないと判断された場合、ステップS71に進む。
ステップS71では、管理制御部71は、不正出庫を報知する報知信号を出力し、これにより、不正持出しを発報する。つまり、出庫対象となる格納物10以外のものが出庫されたと判断されたときには、本ステップS71において不正出庫が報知される。発報は、例えば、ブザー等の発音体が音を発することで行われる。その他、表示部72にその旨を表示することで行われてもよい。
この後、ステップS63に進み、発生事象であるログ情報Dをログファイルに登録して処理を終了する。
なお、ステップS71において、不正持出しを行った利用者については、ログファイルに登録されたログ情報Bに含まれる利用者特定情報を参照することで、特定することができる。
本処理は利用者によって出庫された格納物に係る”IDNo.”に対して行われる処理である。
なお、棚テーブルにおいて登録された取出要求フラグは、次の取出し作業時までの適宜タイミングにおいて消去される。
以上のように構成された格納物管理システムによると、特定の利用者に発行された電子キー90の返却受付により、管理制御部71が棚段制御装置50を通じてタグ装置30との間で通信を行って、各棚段24毎の格納物10の在庫状況を含む棚位置時情報を生成する。そして、管理制御部71は、その棚一次テーブルと電子キー90の利用開始時点での棚在庫情報を含む棚テーブルとに基づいて、その利用者によって出庫された格納物10に対応する”IDNo.”を特定する。このため、利用者毎に、どの格納物10が出庫されたのかを管理できるようにすることを目的とする。
また、入力部73を通じて特定された出庫対象となる格納物10以外の格納物10が出庫されたと判断されたときには、不正出庫が報知されるので、その不正出庫を認識することができる。
また、管理制御部71は、取出要求フラグが登録されて適正に出庫された格納物10に対応する”IDNo.”については、その”IDNo.”を抹消するように棚テーブルを更新するので、棚テーブルに含まれる棚在庫情報を実際の出庫状況に応じてより正確に逐次更新できる。
また、カードリーダ98を通じてユーザIDを受付けると、管理制御部71は、当該ユーザIDに応じた利用権限情報を電子キー90に書込んで当該電子キー90を発行する。そして、電子キー90と施解錠装置60とが通信を行うことで利用権限情報に基づいて認証動作を行い、施解錠装置60が解錠状態に切替る。このため、各利用者毎に、権限ある格納物10だけを利用できるようにすることができ、格納物10の機密性に応じた運用が可能になる。
また、管理制御部71は、入出庫検知センサ28からの出力結果に基づいて、格納物10が実際に入出庫された棚段24を特定し、その特定された棚段24において棚段制御装置50を通じたタグ装置30との間で通信を行って棚一次テーブルを生成する。このため、タグ装置30の動作機会を減らしつつ、迅速に棚一次テーブルを生成することができる。
また、管理制御部71は、入庫された格納物10に係る管理レベルと、その格納物10が格納された格納部22の管理レベルとを比較し、両者が一致している場合には、棚テーブルを更新し、両者が不一致である場合には、報知信号を出力して不適入庫を発報する。従って、入庫された格納物10が、対応する管理レベルを持つ正規の格納部22(つまり、格納位置)に入庫されていないと判断されたときには、不適入庫を報知することができる。これにより、格納物10を、対応する管理レベルを持つ正規の格納部22(位置)に格納させるように促すことができる。
また、管理制御部71は、上記ログ情報A〜Dをログファイルに登録して記憶部71aに記憶しているため、出庫態様となる格納物10の特定情報に関する情報(ログ情報A)、タグ装置30の動作情報(ログ情報C)、電子キー90の発行情報或は返却情報(ログ情報B、ログ情報D)、電子キー90と施解錠装置60との認証動作に関する情報(ログ情報D)等を履歴情報として管理することができる。