JP2009298300A - 後輪操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 極低速走行時においても電動モータの消費電力を抑えつつ後輪を転舵できるようにする。
【解決手段】 ハンドル舵角θhから基本目標後輪転舵角δr0*(n)を算出する(S401)。左右後輪の車輪速センサの出力するパルス信号のカウント値Npl,Nprからタイヤ転がり距離Xを算出する(S402)。タイヤ転がり距離XにゲインGを乗じた値を許容舵角変化量G・Xとし、基本目標後輪転舵角δr0*(n)と直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)との偏差が許容舵角変化量G・Xより大きい場合には(S403:Yes)、直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)に許容舵角変化量G・Xを加算また減算して目標後輪転舵角δr*(n)を算出する(S406,S407)。
【選択図】 図4
【解決手段】 ハンドル舵角θhから基本目標後輪転舵角δr0*(n)を算出する(S401)。左右後輪の車輪速センサの出力するパルス信号のカウント値Npl,Nprからタイヤ転がり距離Xを算出する(S402)。タイヤ転がり距離XにゲインGを乗じた値を許容舵角変化量G・Xとし、基本目標後輪転舵角δr0*(n)と直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)との偏差が許容舵角変化量G・Xより大きい場合には(S403:Yes)、直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)に許容舵角変化量G・Xを加算また減算して目標後輪転舵角δr*(n)を算出する(S406,S407)。
【選択図】 図4
Description
本発明は、操舵ハンドルの操舵操作により前輪と後輪とを転舵する4輪操舵車両に設けられる後輪操舵装置に関する。
従来から、4輪操舵車両においては、操舵ハンドルの操舵操作により前輪を転舵するとともに、前輪の転舵に対応させて後輪を転舵する後輪操舵装置を備える。後輪操舵装置は、例えば、車速と前輪転舵角とにより後輪の目標転舵角を設定し、後輪の実転舵角(実際の転舵角)が目標転舵角と等しくなるように転舵アクチュエータを駆動制御する。転舵アクチュエータとしては、例えば、後輪の転舵軸を軸線方向に変位させる電動モータが使用される。
後輪操舵装置は、低速走行時においては、後輪を前輪の転舵方向に対して反対方向(いわゆる逆相)に転舵することにより、車両の最小回転半径を短縮して車両の小回り性を向上させる。こうした後輪操舵装置においては、据え切り操作により後輪を転舵する場合、電動モータの消費電力が非常に大きく、また、電動モータに大きな電流が流れてその耐久寿命を低下させてしまう。そこで、例えば、特許文献1においては、車速の低下につれて電動モータの通電量を制限して電動モータの駆動力を低く設定した後輪操舵装置が提案されている。
特開平7−165098号公報
しかしながら、車速の低下につれて電動モータの通電量を制限してしまうと、極低速走行時においては後輪を転舵することができない。このため、小回り性能が得られなくなってしまう。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、極低速走行時においても転舵アクチュエータの消費電力を抑えつつ後輪を転舵できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドルの操舵角を検出するハンドル舵角検出手段と、前記ハンドル舵角検出手段により検出した操舵角に基づいて後輪の基本目標転舵角を設定する基本目標転舵角設定手段と、後輪を転舵するための転舵力を発生する電動式の転舵アクチュエータと、後輪のタイヤ転がり距離を検出する転がり距離検出手段と、前記転がり距離検出手段により検出した後輪のタイヤ転がり距離が大きくなるほど大きくなる後輪の許容舵角変化量を設定し、その許容舵角変化量を超えない範囲で後輪を前記基本目標転舵角に向かって転舵可能な限界転舵角を目標転舵角として演算する目標転舵角演算手段と、前記目標転舵角演算手段により演算した目標転舵角に基づいて前記転舵アクチュエータを駆動制御する後輪転舵制御手段とを備えたことにある。
本発明においては、ハンドル舵角検出手段が操舵ハンドルの操舵角を検出し、基本目標転舵角設定手段が操舵角に基づいて後輪の基本目標転舵角を設定する。この基本目標転舵角に基づいて、そのまま転舵アクチュエータにより後輪を転舵してしまうと、車輪の回転が停止している場合には、転舵アクチュエータの電力消費が過大となるおそれがある。そこで、この発明では、転がり距離検出手段が後輪のタイヤ転がり距離を検出し、このタイヤ転がり距離に基づいて、目標転舵角演算手段が目標転舵角を演算する。
目標転舵角を演算するにあたっては、後輪のタイヤ転がり距離が大きくなるほど大きくなる後輪の許容舵角変化量が設定される。目標転舵角は、許容舵角変化量を超えない範囲で後輪を基本目標転舵角に向かって転舵可能な限界転舵角として演算される。つまり、後輪のタイヤが転がった距離に応じた角度だけ後輪を転舵させることが許容され、その許容された角度(許容舵角変化量)を超えない範囲で基本目標転舵角に向かって転舵できる限界舵角が目標転舵角として演算される。例えば、後輪の転舵角を基本目標転舵角に変化させるために必要な舵角変化量が、タイヤ転がり距離から設定される許容舵角変化量よりも小さければ、基本目標転舵角がそのまま目標転舵角となり、逆に、後輪の転舵角を基本目標転舵角に変化させるために必要な舵角変化量が、タイヤ転がり距離から設定される許容舵角変化量よりも大きければ、基本目標転舵角に向かって許容舵角変化量だけ近づけた転舵角が目標転舵角となる。
こうして目標転舵角が演算されると、後輪転舵制御手段が目標転舵角に基づいて転舵アクチュエータを駆動制御する。例えば、後輪の転舵角を検出する転舵角検出手段を備え、後輪の転舵角が目標転舵角と等しくなるように転舵アクチュエータを駆動制御する。従って、後輪は、タイヤ転がり距離に応じて設定された許容舵角変化量を超えない範囲で転舵される。この結果、本発明によれば、極低速走行時であっても、転舵アクチュエータの消費電力を抑えつつ、後輪転舵が可能となり、小回り性能を得ることができる。
尚、本発明においては、タイヤ転がり距離の検出開始点を任意に設定でき、その検出開始点における後輪の転舵角を基準として、タイヤ転がり距離に応じて設定される許容舵角変化量の制限を加えた基本目標転舵角に向かう限界転舵角を目標転舵角として演算することができる。また、後輪のタイヤ転がり距離がゼロの場合は、許容舵角変化量をゼロに設定するとよい。
本発明の他の特徴は、前記目標転舵角演算手段は、前記目標転舵角を所定の周期で繰り返し演算するものであって、1周期あたりの前記後輪のタイヤ転がり距離に基づいて前記後輪の許容舵角変化量を設定し、前記基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差、あるいは、前記基本目標転舵角と現時点の後輪の転舵角との偏差が前記許容舵角変化量を超える場合には、前記1周期前の目標転舵角あるいは現時点の後輪の転舵角に前記許容舵角変化量を前記基本目標転舵角に近づく方向に加算または減算して前記目標転舵角を演算し、前記基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差、あるいは、前記基本目標転舵角と現時点の後輪の転舵角との偏差が前記許容舵角変化量を超えない場合には、前記基本目標転舵角を前記目標転舵角とすることにある。
本発明においては、目標転舵角演算手段が所定の周期で目標転舵角の演算を繰り返す。この場合、目標転舵角演算手段は、その演算周期毎に、1周期あたりの後輪のタイヤ転がり距離を取得し、そのタイヤ転がり距離に基づいて、タイヤの転がり距離が大きくなるほど大きくなる後輪の許容舵角変化量を設定する。そして、基本目標転舵角に向かって後輪を転舵するのに必要な舵角変化量と許容舵角変化量との大小関係に基づいて目標転舵角の演算手法を変更する。
目標転舵角演算手段は、基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差、あるいは、基本目標転舵角と現時点の後輪の転舵角との偏差が許容舵角変化量を超える場合には、1周期前の目標転舵角あるいは現時点の後輪の転舵角に許容舵角変化量を基本目標転舵角に近づく方向に加算または減算して目標転舵角を演算する。逆に、基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差、あるいは、基本目標転舵角と現時点の後輪の転舵角との偏差が許容舵角変化量を超えない場合には、後輪を基本目標転舵角にまで転舵することが許容されるため、基本目標転舵角を目標転舵角に設定する。ここで、基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差を用いることができる理由は、1周期前の目標転舵角が現時点の後輪の転舵角(実転舵角)と等しいとみなすことができるからである。尚、現時点の後輪の転舵角を用いて演算する場合には、後輪の転舵角を検出する転舵角検出手段を備える。
この結果、本発明によれば、目標転舵角の演算周期ごとのタイヤ転がり距離に応じた許容舵角変化量を設定し、その都度、許容舵角変化量に基づいて目標転舵角を演算するため、転舵アクチュエータの消費電力を抑えた適切な目標転舵角を設定することができる。
本発明の他の特徴は、前記後輪を中立位置から離れる方向に転舵する場合には、前記後輪を中立位置に近づける方向に転舵する場合に比べて、前記後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する転舵方向対応許容舵角変化量変更手段を備えたことにある。
後輪の転舵反力は、サスペンションブッシュのたわみ特性により、後輪を中立位置に近づける方向に転舵する場合よりも中立位置から離れる方向に転舵する場合のほうが大きくなり、転舵アクチュエータの必要電力も大きくなる。そこで、本発明においては、転舵方向対応許容舵角変化量変更手段が、後輪を中立位置から離れる方向に転舵する場合には、後輪を中立位置に近づける方向に転舵する場合に比べて、後輪のタイヤ転がり距離に対する許容舵角変化量を小さく設定する。従って、後輪の転舵方向に応じた適正な許容舵角変化量を設定することができ、転舵方向による転舵特性や電力消費のアンバランスを解消することができる。尚、タイヤ転がり距離に対する許容舵角変化量は、例えば、タイヤ転がり距離あたりの許容舵角変化量を表す係数として設定することができる。この場合、その係数の大きさを小さくすればよい。
本発明の他の特徴は、前記転舵アクチュエータ、あるいは、前記転舵アクチュエータの駆動回路の温度を検出する温度検出手段と、前記検出した温度が基準温度を超える場合には、基準温度を超えない場合に比べて、前記後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する温度対応許容舵角変化量変更手段を備えたことにある。
極低速走行状態において操舵操作を繰り返すと、転舵アクチュエータ、あるいは、その駆動回路を過熱してしまうおそれがある。そこで、本発明においては、温度検出手段により、転舵アクチュエータ、あるいは、その駆動回路の温度を検出する。そして、温度対応許容舵角変化量変更手段が、検出した温度が基準温度を超える場合には、基準温度を超えない場合に比べて、後輪のタイヤ転がり距離に対する許容舵角変化量を小さく設定する。
これにより、転舵アクチュエータ、あるいは、その駆動回路の温度が基準温度を超えている場合には、後輪の転舵制限が厳しくなり、駆動回路から転舵アクチュエータに供給される電力が抑えられる。この結果、転舵アクチュエータおよび駆動回路の過熱を防止することができ、これらの耐久性を向上させることができる。尚、温度検出手段による温度検出は、測定対象物の温度を直接的に検出するものに限らず、例えば、電流値等から推定する構成であってもよい。
本発明の他の特徴は、前記操舵ハンドルの操舵角に基づいて設定される後輪の基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角に接近する方向である場合には、前記後輪の基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角から遠ざかる場合に比べて、前記後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する変化方向対応許容舵角変化量変更手段を備えたことにある。
この場合、変化方向対応許容舵角変化量変更手段は、前記操後輪の基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角に接近する方向である場合には、前記許容舵角変化量をゼロに設定するとよい。
本発明においては、タイヤ転がり距離に応じた許容舵角変化量の設定により後輪の転舵が制限されるため、後輪の転舵角は基本目標転舵角を追いかけるように推移する。こうした状況において操舵ハンドルの切り戻し操作が行われた場合には、基本目標転舵角の変化する方向が、後輪の転舵角に接近していく方向となる。この場合、後輪を基本目標転舵角に向けて転舵しなくても、相対的に転舵角が基本目標転舵角に接近していくことになる。
そこで、本発明においては、変化方向対応許容舵角変化量変更手段が、基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角に接近する方向である場合には、基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角から遠ざかる場合に比べて、後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する。尚、基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角に接近する方向か遠ざかる方向かを判断するにあたっては、後輪の転舵角を捉える必要があるが、後輪の転舵角は、直前回に演算した目標転舵角とみなすことができるため、その目標転舵角を後輪の転舵角として用いて判断することもできる。
この結果、本発明によれば、無駄な転舵動作を低減して効率よく後輪を転舵するため、転舵アクチュエータの電力消費を抑えることができる。また、許容舵角変化量をゼロに設定した場合には、後輪が保舵されるため、一層、電力消費を抑えることができる。
本発明の他の特徴は、前記後輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、前記転舵角検出手段により検出した転舵角と、前記目標転舵角演算手段により演算した目標転舵角との偏差を演算する偏差演算手段とを備え、前記後輪転舵制御手段は、前記偏差検出手段により演算した偏差が基準値以下の場合には前記偏差に応じた通電量で前記転舵アクチュエータに連続的に通電し、前記偏差が前記基準値より大きい場合には予め設定した通電量で前記転舵アクチュエータに断続的に通電することにある。
極低速走行状態のときは路面の摩擦係数やタイヤに働く荷重の変動により、後輪を目標転舵角にまで転舵できない可能性がある。そうした状況においては、転舵アクチュエータに大電流が流れ続けてしまう。そこで、本発明においては、偏差演算手段が、転舵角検出手段により検出した後輪の転舵角と目標転舵角との偏差を演算する。そして、後輪転舵制御手段は、偏差が基準値以下の場合には偏差に応じた通電量で転舵アクチュエータに連続的に通電し、偏差が基準値より大きい場合には予め設定した通電量で転舵アクチュエータに断続的に通電する。この場合、予め設定した通電量として、転舵アクチュエータを駆動制御するときの通電量の最大値(最大通電量)に設定するとよい。
偏差が基準値より大きくなっている場合は、タイヤに作用する路面反力が大きい状況にあると考えられる。こうした状況においては、偏差に応じた通電量で転舵アクチュエータに通電すると、大電流が流れ続けてしまうおそれがある。そこで、こうした場合には、予め設定した通電量で転舵アクチュエータに断続的通電する。これにより、電力消費を抑制するとともに転舵アクチュエータの過熱を防止することができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る4輪操舵車両の操舵装置を概略的に示している。
この操舵装置10は、左前輪Wfl,右前輪Wfrを転舵するための前輪操舵装置20と、左後輪Wrl,右後輪Wrrを転舵するための後輪操舵装置30とを備えている。前輪操舵装置20は、運転者によって操舵操作される操舵ハンドル21を備えている。操舵ハンドル21は、ステアリングシャフト22の上端に、ステアリングシャフト22と一体回転可能に接続されている。ステアリングシャフト22の下端にはピニオンギヤ23がステアリングシャフト22と一体回転可能に接続されている。ピニオンギヤ23は、ラックバー24に設けたラック歯24aに噛み合っており、その回転によりラックバー24を軸線方向に駆動する。ラックバー24は、その両端にて、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して左前輪Wfl,右前輪Wfrを転舵可能に接続する転舵軸であり、軸線方向の変位により左前輪Wfl,右前輪Wfrを転舵する。
ステアリングシャフト22には、ステアリングシャフト22の回転角度に基づいて操舵ハンドル21の操舵角を検出する操舵角センサ25が設けられる。以下、操舵角センサ25により検出された操舵ハンドル21の操舵角をハンドル舵角θhと呼ぶ。操舵角センサ25は、後輪操舵装置30の一部を構成するものであり、検出したハンドル舵角θhを表す検出信号を後輪操舵装置30のECU40に出力する。尚、ハンドル舵角θhは、中立位置に対して左方向に回転した操舵角度を正の値を用いて表し、右方向に回転した操舵角度を負の値を用いて表すことにする。
尚、前輪操舵装置20は、運転者の行う操舵操作をアシストする電動パワーステアリング装置や、ステアリングギヤ比を変更するステアリングギヤ比可変装置等を適宜備えることができるが、本発明とは特に関係するものではないため、本実施形態においては、そうした装置を省略した構成にて示している。
後輪操舵装置30は、左右前輪Wfl,Wfrとは独立して、操舵ハンドル21の操舵操作に応じて左後輪Wrl,右後輪Wrrを電動で転舵するものである。後輪操舵装置30は、転舵バー31を備える。転舵バー31は、その両端にて、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して左後輪Wrl,右後輪Wrrを転舵可能に連結する転舵軸であり、軸線方向の変位により左後輪Wrl,右後輪Wrrを転舵する。この転舵バー31の外周には、電動モータ33およびボールねじ機構34が組み付けられている。電動モータ33は、本発明の転舵アクチュエータに相当するもので、その回転に応じてボールねじ機構34を介して転舵バー31を軸線方向に変位させる力を付与して、左後輪Wrl,右後輪Wrrを転舵する。
電動モータ33は、電子制御ユニット40(以下、ECU40と呼ぶ)により駆動制御される。ECU40は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、モータ駆動回路41に駆動信号を出力することにより電動モータ33を駆動制御する。ECU40には、操舵角センサ25、車速センサ42、後輪転舵角センサ43、左車輪速センサ44L、右車輪速センサ44R、モータ電流センサ45が接続される。操舵角センサ25は、ハンドル舵角θhを表す信号を出力する。
車速センサ42は、車両の走行速度である車速を検出し、車速Vを表す信号を出力する。後輪転舵角センサ43は、電動モータ33に組み込まれた回転角センサによって構成され、電動モータ33の回転角を検出することによって、左右後輪Wrl,Wrrの転舵角を検出する。この後輪転舵角センサ43によって検出された後輪転舵角を実後輪転舵角δrxと呼ぶ。尚、実後輪転舵角δrxは、後輪Wrl,Wrrが中立位置に対して左方向に向くときの角度を正の値を用いて表し、右方向に向くときの角度を負の値を用いて表すことにする。
左車輪速センサ44Lは、左後輪Wrlが単位回転角度だけ回転するたびにパルス信号Plを出力するものであり、右車輪速センサ44Rは、右後輪Wrrが単位回転角度だけ回転するたびにパルス信号Prを出力するものである。従って、左車輪速センサ44L,右車輪速センサ44Rから出力されるパルス信号Pl,PrをECU40にてカウントすることにより、左後輪Wrl,右後輪Wrrのタイヤの転がり距離を検出することができる。
モータ駆動回路41は、例えば、図示しないスイッチング素子で構成したインバータ回路やHブリッジ回路であって、ECU40からの制御信号(例えば、PWM制御信号)によりスイッチング素子のオン/オフ状態が制御され、電動モータ33に対して制御信号に応じた電力を供給する。モータ駆動回路41には、モータ電流センサ45が設けられる。モータ電流センサ45は、モータ駆動回路41から電動モータ33に流れる電流値を検出し、電流値imを表す信号をECU40に出力する。
次に、後輪操舵装置30の動作について説明する。後輪操舵装置30は、低速走行時においては、後輪Wrl,Wrrを前輪Wfl,Wfrの転舵方向に対して反対方向(逆相と呼ぶ)に転舵して車両の小回り性を向上させ、高速走行時においては、後輪Wrl,Wrrの転舵方向を前輪Wfl,Wfrの転舵方向と同じ方向(同相と呼ぶ)に転舵して走行安定性を向上させる。後輪Wrl,Wrrを逆相に転舵することにより、車両の最小回転半径が短縮され、車庫入れ等の運転操作が容易になる。この場合、据え切り操作(車両を停止させて状態で行う操舵ハンドル21の回動操作)を行うと、後輪Wrl,Wrrを転舵するための必要電力が非常に大きくなる。従って、図示しない車載電源装置(バッテリおよびオルタネータ)の電力消費が大きくなり、他の車載負荷への電力供給に悪影響を及ぼすおそれがある。また、電動モータ33やモータ駆動回路41が過熱してしまうおそれもある。
こうした問題に対して、従来から、車速が基準車速以下になっている場合には、電動モータ33への電力供給を停止するシステムや、車速の低下につれて電動モータの通電量を制限するシステムが提案されている。しかしながら、このような構成では、極低速走行状態で後輪操舵装置30を作動させて車両を小回りさせることができない。
そこで本実施形態においては、車速Vが基準車速以下のときには、後輪Wrl,Wrrのタイヤの転がり距離に応じて、後輪Wrl,Wrrの転舵を許可する転舵角の限界値を逐次演算し、この限界値による制限を加えた状態で後輪Wrl,Wrrを転舵制御する。以下、ECU40にて行う後輪転舵制御について説明する。
図2は、ECU40が実行する後輪転舵制御ルーチンを表すフローチャートである。後輪転舵制御ルーチンは、ECU40のROM内に制御プログラムとして記憶されており、図示しないイグニッションスイッチのオン投入により初期診断が行われた後に所定の短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、ECU40は、まず、ステップS100において、車速センサ42により検出される車速Vと、操舵角センサ25により検出されるハンドル舵角θhと、後輪転舵角センサ43によって検出される実後輪転舵角δrxとを取り込む。続いて、ステップS200において、検出された車速Vが予め設定した基準車速V0以下であるか否かを判断する。現在の車速Vが基準車速V0を超えている場合には、ステップS300において、車速Vとハンドル舵角θhとに応じて目標後輪転舵角δr*(n)を演算する通常目標後輪転舵角演算処理を行い、車速Vが基準車速V0以下である場合には、ステップS400において、後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離による転舵制限を加えて目標後輪転舵角δr*(n)を演算する制限付目標後輪転舵角演算処理を行う。
尚、目標後輪転舵角δr*(n)の末尾に示した(n)は、後述する処理において説明する直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)と区別するために設けたものである。つまり、本制御ルーチンは、所定の短い周期で最新の目標後輪転舵角を逐次計算するが、その最新の目標後輪転舵角をδr*(n)として表し、1周期前の制御ルーチンの実行により演算された目標後輪転舵角をδr*(n-1)として表す。以下、目標後輪転舵角に限らず、他の演算値においても、最新の演算値と直前回の制御ルーチンの実行により得られた演算値とを区別する場合には、最新の演算値の末尾に(n),直前回の演算値の末尾に(n-1)を付けて区別することにする。
基準車速V0は、後輪Wrl,Wrrの転舵を行うにあたって制限を加える必要のある状態か否かを判定するため速度で極低速度に設定されている。ステップS300においては、極低速状態を除いた走行中における目標後輪転舵角δr*(n)を演算する処理であって、例えば、図3に示すような参照マップを用いて転舵係数K(V)を取得し、次式のようにハンドル舵角θhに転舵係数K(V)を乗算することで目標後輪転舵角δr*(n)を算出する。
δr*(n)=K(V)・θh
δr*(n)=K(V)・θh
転舵係数K(V)は、図3に示すように、低速走行時には、後輪Wrl,Wrrが前輪Wfl,Wfrの転舵方向とは逆相(前輪転舵方向が左であれば後輪転舵方向を右とし、前輪転舵方向が右であれば後輪転舵方向を左とする)となり、高速時には、後輪Wrl,Wrrが前輪Wfl,Wfrの転舵方向と同相となるように車速Vに応じた値に設定されている。尚、低速走行時であっても、車速Vが特に小さくなる極低速時(V≦V0)においては、このステップS300ではなくステップS400において目標後輪転舵角δr*(n)が算出される。また、目標後輪転舵角δr*(n)は、小回り性能を向上させるために低速走行時において後輪Wrl,Wrrが逆相制御されるものであればよく、高速時には、中立位置に固定するものであってもよい。
ステップS400の制限付目標後輪転舵角演算処理については、本発明の実施形態としての特徴部分であるため、別途、図4のフローチャートを用いて後述する。
ECU40は、ステップS300またはステップS400において目標後輪転舵角δr*(n)を算出すると、続いて、ステップS500において、後輪Wrl,Wrrの実後輪転舵角δrxが目標後輪転舵角δr*(n)と等しくなるように、両者の偏差Δδrに応じたPWM制御信号をモータ駆動回路41に出力して電動モータ33を駆動制御する。例えば、偏差Δδr(=δr*(n)−δrx)に応じた電動モータ33の目標電流値im*を設定し、モータ電流センサ45にて検出される電流値imをフィードバックして、電流値imが目標電流値im*となるようにモータ駆動回路41のスイッチング素子のデューティ比を制御する。これにより、電動モータ33は、回転してボールねじ機構34を介して転舵バー31を軸線方向に駆動し、左右の後輪Wrl,Wrrを目標後輪転舵角δr*に転舵する。
後輪転舵制御ルーチンは、ステップS500の処理を行うと一旦終了する。そして、所定の周期でステップS100から同様の処理を繰り返す。
次に、ステップS400の制限付目標後輪転舵角演算処理について説明する。図4は、ステップS400の演算処理としての制限付目標後輪転舵角演算ルーチンを表すフローチャートである。この処理は、ステップS200において、現在の車速Vが基準車速V0以下であると判定されたときに実行される。
ECU40は、まず、ステップS401において、現在のハンドル舵角θhから決まる本来の目標値である基本目標後輪転舵角δr0*(n)を算出する。この基本目標後輪転舵角δr0*(n)は、次式のように、ハンドル舵角θhに予め設定された転舵係数Kを乗じて算出される。
δr0*(n)=K・θh
この転舵係数Kは、後輪Wrl,Wrrが前輪Wfl,Wfrに対して逆相となるように負の一定値に設定されている。
δr0*(n)=K・θh
この転舵係数Kは、後輪Wrl,Wrrが前輪Wfl,Wfrに対して逆相となるように負の一定値に設定されている。
この基本目標後輪転舵角δr0*(n)は、本発明の基本目標転舵角に相当する。従って、このステップS401を行うECU40の機能部が本発明の基本目標転舵角設定手段に相当する。尚、基本目標後輪転舵角δr0*(n)は、関数に限らず、ハンドル舵角θhと基本目標後輪転舵角δr0*(n)とを関係付ける参照マップ等の関係付けデータを用いて設定するようにしてもよい。
続いて、ステップS402において、左車輪速センサ44Lから出力されるパルス信号Plのカウント値Nplと、右車輪速センサ44Rから出力されるパルス信号Prのカウント値Nprとから、左右の後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離の平均値Xを次式により算出する。
X=J・(Npl+Npr)
ここで、Jは、タイヤ転がり距離換算用の定数である。
X=J・(Npl+Npr)
ここで、Jは、タイヤ転がり距離換算用の定数である。
カウント値Npl,Nprは、後輪転舵制御ルーチンが繰り返される1周期内におけるパルス信号Pl,Prの出力数をカウントした値であり、ECU40の行う図示しないカウントルーチンによりカウントされる。従って、このステップS402においては、カウントルーチンにより毎回カウントされるカウント値Npl,Nprを読み込み、このカウント値Npl,Nprの平均値から、単位時間あたりの(演算周期を表す時間あたりの)左右の後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離の平均値Xを毎回算出するものである。以下、左右の後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離の平均値Xを、単に、タイヤ転がり距離Xと呼ぶ。このステップS402を行うECU40の機能部および車輪速センサ44L,44Rが本発明の転がり距離検出手段に相当する。
続いて、ECU40は、ステップS403において、ステップS401で計算した基本目標後輪転舵角δr0*(n)と、直前回(1制御周期前)の後輪転舵制御ルーチンにおいて計算された目標後輪転舵角δr*(n-1)との差の絶対値が、タイヤ転がり距離Xに応じて設定される転舵角の変化量許容値(以下、許容舵角変化量と呼ぶ)を超えているか否かを判断する。許容舵角変化量は、タイヤ転がり距離XにゲインGを乗じた値に設定される。従って、ステップS403においては、下記条件式が成立するか否かを判断する。
|δr0*(n)−δr*(n-1)|>G・X
|δr0*(n)−δr*(n-1)|>G・X
ゲインGは、タイヤ転がり距離Xに対する許容舵角変化量を設定するもので、正の一定値に設定されている。従って、右辺の許容舵角変化量G・Xは、タイヤ転がり距離Xが大きくなるほど大きくなる。
上述したように、後輪転舵角は、最終的にステップS500において目標後輪転舵角δr*(n)と等しくなるように制御される。このため、目標後輪転舵角δr*(n-1)は、現時点における実際の後輪転舵角と等しいとみなすことができる。従って、ステップS403は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)と現時点における実際の後輪転舵角との偏差が、許容舵角変化量G・Xより大きいか否かを判断する処理といえる。尚、目標後輪転舵角δr*(n-1)を演算に使用するにあたっては、直前回の後輪転舵制御ルーチンにおいて目標後輪転舵角δr*(n)を計算したときに、その値をδr*(n-1)としてRAM内に記憶しておくようにすればよい。また、目標後輪転舵角δr*(n-1)に代えて、ステップS100において取り込んだ実後輪転舵角δrxを用いるようにしてもよい。
ECU40は、ステップS403において「No」と判断した場合には、ステップS404において、目標後輪転舵角δr*(n)として基本目標後輪転舵角δr0*(n)を設定する。つまり、後輪Wrl,Wrrを現時点の転舵角から基本目標後輪転舵角δr0*(n)にまで転舵させるのに必要な転舵角変化量が、タイヤ転がり距離Xにて決まる許容舵角変化量G・X以下であると判断した場合には、後輪Wrl,Wrrを基本目標後輪転舵角δr0*(n)にまで転舵することを許可し、基本目標後輪転舵角δr0*(n)を最終的な目標後輪転舵角δr*(n)とする。
一方、ステップS403において「Yes」と判断した場合には、後輪Wrl,Wrrを基本目標後輪転舵角δr0*(n)にまで転舵することを規制し、以下、ステップS405〜S406の処理により、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に向かって転舵可能な限界転舵角を目標後輪転舵角δr*(n)として設定する。
ECU40は、ステップS405において、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)よりも大きいか否かを判断する。この判断は、後輪Wrl,Wrrを転舵させる方向を決めるものである。δr0*(n) >δr*(n-1)の場合には、ステップS406において、後輪Wrl,Wrrの転舵角が基本目標後輪転舵角δr0*(n)に近づくように、直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)に許容舵角変化量G・Xを加算して目標後輪転舵角δr*(n)を求める。逆に、δr0*(n) ≦δr*(n-1)の場合には、ステップS407において、後輪Wrl,Wrrの転舵角が基本目標後輪転舵角δr0*(n)に近づくように、直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)に許容舵角変化量G・Xを減算して目標後輪転舵角δr*(n)を求める。
尚、基本目標後輪転舵角δr0*(n)、 目標後輪転舵角δr*(n)においても、後輪Wrl,Wrrが中立位置に対して左方向に向くときの角度を正の値を用いて表し、右方向に向くときの角度を負の値を用いて表す。従って、ステップS406においては、後輪Wrl,Wrrを左方向に転舵させるように目標後輪転舵角δr*(n)を設定するものであり、ステップS407においては、後輪Wrl,Wrrを右方向に変化させるように目標後輪転舵角δr*(n)を設定するものである。
ECU40は、ステップS404,S406,S407のいずれかにおいて目標後輪転舵角δr*(n)の演算を行った後、制限付目標後輪転舵角演算ルーチンを抜けて図2に示すメインルーチンのステップS500の処理を実行する。ECU40は、ステップS500において、後輪Wrl,Wrrの実後輪転舵角δrxが目標後輪転舵角δr*(n)と等しくなるように、両者の偏差Δδrに応じたPWM制御信号をモータ駆動回路41に出力する。これにより、電動モータ33が駆動され、左右の後輪Wrl,Wrrが目標後輪転舵角δr*(n)にまで転舵される。
制限付目標後輪転舵角演算ルーチンにおけるステップS403〜S407の処理を行うECU40の機能部が、本発明の目標転舵角演算手段に相当する。また、ステップS500の処理を行うECU40の機能部およびモータ駆動回路41が本発明の後輪転舵制御手段に相当する。
こうした制限付目標後輪転舵角演算ルーチンは、後輪転舵制御ルーチンに組み込まれて所定の短い周期で繰り返し実行される。これにより、極低速走行時においては、タイヤ転がり距離に応じて、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に向かって(近づく方向に)転舵できる転舵角の限界値が設定される。このことは、タイヤが転がった距離に対応した角度だけは、目標後輪転舵角δr*(n)を変化させることができるということでもある。従って、車両がどんなに低速で移動していても、タイヤが転がった距離相当分だけは後輪Wrl,Wrrの転舵角を変化させることができる。
図5は、極低速走行時におけるタイヤ転がり距離ΣX(単位時間当たりのタイヤ転がり距離Xを積算した値)に対する目標後輪転舵角δr*(n)の推移を、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の推移と合わせて表したもので、タイヤ転がり距離ΣXがXaとなる点で操舵ハンドル21を中立位置から右方向に切り込み、タイヤ転がり距離ΣXがXbとなる点で操舵ハンドル21を左に切り戻した例を表す。目標後輪転舵角δr*(n)は、操舵ハンドル21が回動操作されるまでは、基本目標後輪転舵角δr0*(n)と等しい値ゼロに設定されている。
そして、操舵ハンドル21が右方向に切り込まれると、基本目標後輪転舵角δr0*(n)は、ハンドル舵角θhに対応した値(左転舵方向を表す正の値)が設定される。しかし、目標後輪転舵角δr*(n)は、許容舵角変化量G・Xにより制限されるため、基本目標後輪転舵角δr0*(n)にまで増大されず、直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)に許容舵角変化量G・Xを加算した値に設定される。こうして、タイヤ転がり距離ΣXが増加していくにしたがって、目標後輪転舵角δr*(n)も基本目標後輪転舵角δr0*(n)に向かって増加していく。この場合、タイヤ転がり距離ΣXに対する目標後輪転舵角δr*(n)の増加度合い(図5の右上がりの傾きが)は、ゲインGが大きいほど大きくなる。
操舵ハンドル21が左に切り戻されて基本目標後輪転舵角δr0*(n)が減少し目標後輪転舵角δr*(n)と等しくなった後は、目標後輪転舵角δr*(n)が基本目標後輪転舵角δr0*(n)に近づくように減算される。この場合においても、目標後輪転舵角δr*(n)は、許容舵角変化量G・Xにより制限されるため、基本目標後輪転舵角δr0*(n)にまで急激に低減されず、タイヤ転がり距離ΣXの増加にあわせて、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に向かって低減されることになる。この目標後輪転舵角δr*(n)の低減度合い(図5の右下がりの傾きが)もゲインGに応じたものとなり、ゲインGが大きいほど大きくなる。
以上説明した第1実施形態としての後輪操舵装置30によれば、タイヤの転がった距離に応じて設定された許容舵角変化量を超えない範囲で後輪Wrl,Wrrの転舵角を変化させるため、極低速走行時であっても後輪Wrl,Wrrを適切に転舵することができる。従って、電動モータ33の電力消費を抑えつつ、車両の小回り性能を十分に発揮することができる。
次に、第2実施形態の後輪操舵装置について説明する。第2実施形態の後輪操舵装置は、第1実施形態の後輪操舵装置に対して、制限付目標後輪転舵角演算ルーチンの内容を変更したものであり、他の構成については第1実施形態と同一である。
後輪Wrl,Wrrの転舵反力は、図示しないサスペンションブッシュのたわみ特性により、後輪Wrl,Wrrを中立位置に近づける方向に転舵する場合(後輪転舵角の絶対値が減少する場合)よりも中立位置から離れる方向に転舵する場合(後輪転舵角の絶対値が増大する場合)のほうが大きくなり、電動モータ33の必要電力も大きくなる。そこで、第2実施形態においては、後輪Wrl,Wrrを中立位置から離れる方向に転舵する場合には、後輪Wrl,Wrrを中立位置に近づく方向に転舵する場合に比べて許容舵角変化量を小さくして、転舵制限を厳しくする。
図6は、第2実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンを表すフローチャートである。この制限付目標後輪転舵角演算ルーチンは、第1実施形態の後輪転舵制御ルーチンのステップS400の処理を表すものである。以下、第1実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンにおける処理と同じ処理については図面に同一のステップ符号を付して説明を省略する。
ECU40は、ステップS401において、ハンドル舵角θhにより決定される基本目標後輪転舵角δr0*(n)を算出し、次に、ステップS402において、左右の車輪速センサ44L,44Rから出力されるパルス信号Pl,Prのカウント値Npl,Nprから単位時間当たりのタイヤ転がり距離Xを算出する。
続いて、ECU40は、ステップS411において、基本目標後輪転舵角δr0*(n)から直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)を減算した値が0(ゼロ)より大きいか否かを判断する。この処理は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が増加しているか否か、つまり、後輪Wrl,Wrrの転舵方向を左方向に変化させる状況にあるか否かを判断するものである。ステップS411の判断が「Yes」の場合、つまり、後輪Wrl,Wrrの転舵方向を左方向に変化させる状況にある場合には、次に、ステップS412において、直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)がゼロ以上か否かを判断する。つまり、現時点の後輪Wrl,Wrrの向きが中立位置、あるいは、中立位置よりも左向きになっているか否かを判断する。
ステップS412の判断が「Yes」の場合は、後輪Wrl,Wrrが中立位置、あるいは、中立位置よりも左向きになっている状態から更に左方向に転舵されるように切り増し操作が行われた状況といえる。この場合は、後輪Wrl,Wrrの転舵反力が大きい。そこで、ECU40は、後輪Wrl,Wrrの転舵制限を厳しくするために、ステップS413において、ゲインGの値をG1に設定する。このゲインGは、値G1、または、値G1より大きな値G2のいずれかに設定されるものである。従って、このステップS413では、小さい方の値G1がゲインGとして設定される。
一方、ステップS412の判断が「No」の場合は、後輪Wrl,Wrrが中立位置よりも右向きになっている状態から左方向に転舵されるように切り戻し操作が行われた状況といえる。この場合は、後輪Wrl,Wrrの転舵反力が小さい。そこで、ECU40は、後輪Wrl,Wrrの転舵制限を緩くするために、ステップS414において、ゲインGの値をG2(>G1)に設定する。
また、ステップS411の判断が「No」の場合、つまり、後輪Wrl,Wrrの転舵方向を右方向に変化させる状況、あるいは、保舵状況にある場合には、次に、ステップS415において、直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)が正の値か否かを判断する。つまり、現時点の後輪Wrl,Wrrの向きが中立位置よりも左向きになっているか否かを判断する。
ステップS415の判断が「Yes」の場合は、後輪Wrl,Wrrが中立位置よりも左向きになっている状態から右方向に転舵されるように切り戻し操作が行われた状況、あるいは、保舵されている状況にあるといえる。この場合は、後輪Wrl,Wrrの転舵制限を緩くするために、ステップS414において、ゲインGの値をG2(>G1)に設定する。
一方、ステップS415の判断が「No」の場合は、後輪Wrl,Wrrが中立位置、あるいは、中立位置よりも右向きになっている状態から、更に右方向に転舵されるように切り増し操作が行われた状況、あるいは、保舵状況にあるといえる。この場合は、後輪Wrl,Wrrの転舵制限を厳しくするために、ステップS413において、ゲインGの値をG1(<G2)に設定する。
ECU40は、このようにしてゲインGの値を設定すると、その処理をステップS403に進める。このステップS403からの処理は、第1実施形態の処理と同一である。
図7は、極低速走行時におけるタイヤ転がり距離ΣXに対する目標後輪転舵角δr*(n)の推移を表したものである。図示するように、ハンドル切り増し操作により後輪Wrl,Wrrが転舵される場合には、推移A,推移Bに示すように、タイヤ転がり距離ΣXの増加に対する目標後輪転舵角δr*(n)の絶対値の増加度合いが小さく、ハンドル切り戻し操作により後輪Wrl,Wrrが転舵される場合には、推移C,推移Dに示すように、タイヤ転がり距離ΣXの増加に対する目標後輪転舵角δr*(n)の絶対値の増加度合いが大きくなる。
以上説明した第2実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンによれば、後輪Wrl,Wrrを中立位置から離れる方向に転舵させる場合には、後輪Wrl,Wrrを中立位置に近づける方向に転舵させる場合に比べてゲインGが小さな値に設定される。このため、後輪Wrl,Wrrの転舵方向に応じた適切な許容舵角変化量が設定され、転舵方向による転舵特性や電力消費のアンバランスを解消することができる。従って、電動モータ33の電力消費制限と車両の小回り性能維持とを一層適切に両立させることができる。
尚、ステップS411〜S415を行うECU40の機能部が、本発明の転舵方向対応許容舵角変化量変更手段に相当する。
次に、第3実施形態の後輪操舵装置について説明する。第3実施形態の後輪操舵装置は、第1実施形態の後輪操舵装置に対して、制限付目標後輪転舵角演算ルーチンの内容を変更したものである。
極低速走行状態において操舵操作を繰り返すと、電動モータ33あるいはモータ駆動回路41を過熱するおそれがある。そこで、この第3実施形態においては、電動モータ33の温度あるいはモータ駆動回路41の温度を検出し、検出した温度に応じてゲインGを切り替えることにより、タイヤ転がり距離に対する許容舵角変化量を切り替える。温度検出にあたっては、実際に温度センサを設けて検出する方法と、推定により検出する方法とがある。ここでは、図1に破線にて示すように、電動モータ33の温度を検出するモータ温度センサ51と、モータ駆動回路41の回路基板温度を検出する基板温度センサ52とを設けて、電動モータ33およびモータ駆動回路41の過熱防止を図る例から説明する。尚、他の構成については、第1実施形態と同様である。
図8は、第3実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンを表すフローチャートである。この制限付目標後輪転舵角演算ルーチンは、第1実施形態の後輪転舵制御ルーチンのステップS400の処理を表すものである。以下、第1実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンにおける処理と同じ処理については図面に同一のステップ符号を付して説明を省略する。
ECU40は、ステップS401において、ハンドル舵角θhにより決定される基本目標後輪転舵角δr0*(n)を算出し、次に、ステップS402において、左右の車輪速センサ44L,44Rから出力されるパルス信号Pl,Prのカウント値Npl,Nprから単位時間当たりのタイヤ転がり距離Xを算出する。
続いて、ECU40は、ステップS421において、基板温度センサ52にて検出されるモータ駆動回路41の回路基板温度(以下、基板温度Tcと呼ぶ)と、モータ温度センサ51により検出される電動モータ33の温度(以下、モータ温度Tmと呼ぶ)とを取り込む。尚、各温度センサ51,52は、過熱防止を図りたい部位の温度を検出するように設けられている。
続いて、ステップS422において、基板温度Tcが予め設定された基板過熱防止基準温度Tc0を上回っているか、または、モータ温度Tmが予め設定されたモータ過熱防止基準温度Tm0を上回っているかを判断する。基板温度Tcが基板過熱防止基準温度Tc0以下であり、かつ、モータ温度Tmがモータ過熱防止基準温度Tm0以下である場合には(S421:No)、モータ駆動回路41および電動モータ33の過熱のおそれがないため、その処理をステップS424に進めて、ゲインGの値を値G4に設定する。このゲインGは、値G3、または、値G3より大きな値G4のいずれかに設定されるものである。従って、このステップS424では、大きい方の値G4がゲインGとして設定される。
一方、基板温度Tcが基板過熱防止基準温度Tc0を上回っている場合、あるいは、モータ温度Tmがモータ過熱防止基準温度Tm0を上回っている場合には、過熱防止を図る必要がある。そこで、ECU40は、ステップS423において、ゲインGの値を小さい方の値G3(<G4)に設定して、後輪Wrl,Wrrの転舵制限を厳しくする。
ECU40は、このようにしてゲインGの値を設定すると、その処理をステップS403に進める。このステップS403からの処理は、第1実施形態の処理と同一である。
図9は、極低速走行時におけるタイヤ転がり距離ΣXに対する目標後輪転舵角δr*(n)の推移を基本目標後輪転舵角δr0*(n)の推移と合わせて表したものである。図中においては、ゲインG3を用いた場合(高温時)の目標後輪転舵角δr*(n)の推移を破線により表し、ゲインG4を用いた場合(低温時)の目標後輪転舵角δr*(n)の推移を太実線により表す。
以上説明した第3実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンによれば、電動モータ33あるいはモータ駆動回路41が基準を超える高温状態となった場合には、ゲインGの値を小さくして許容舵角変化量G・Xを小さくするため、後輪Wrl,Wrrの転舵制限が厳しくなり、電動モータ33およびモータ駆動回路41の過熱を防止することができる。従って、電動モータ33およびモータ駆動回路41の耐久性を向上させることができる。尚、本実施形態においては、電動モータ33およびモータ駆動回路41の両方の温度を検出して過熱防止を図ったが、いずれか一方の温度、例えば、先に過熱防止温度に到達する側の温度を検出して過熱防止を図るようにしてもよい。つまり、電動モータ33が先に過熱防止温度の到達するのであれば、電動モータ33のみ温度検出し、逆であれば、モータ駆動回路41のみ温度検出する構成であってもよい。
次に、推定により温度検出する手法について説明する。電動モータ33の構成によっては、高温となる部位に温度センサを直接設けることが難しい場合がある。そうした場合には、電動モータ33の温度をモータ電流imに基づいて推定することができる。ここで、モータ温度推定処理の一例について説明する。図10は、モータ温度推定ルーチンを表すフローチャートである。モータ温度推定ルーチンは、制御プログラムとしてECU40のROM内に記憶され、図示しないイグニッションスイッチのオン投入により初期診断が行われた後に所定の短い周期で繰り返し実行される。
モータ温度推定ルーチンが起動すると、ECU40は、ステップS11において、基板温度センサ52にて検出される基板温度Tcを取り込む。続いて、ステップS12において、下記式の演算実行により電動モータ33の今回モータ温度変動分dTm(n)を計算する。
dTm(n)=a・dTm(n-1)+β・(1−a)・im2 …(1)
この(1)式において、imは、モータ電流センサ45により検出した電動モータ33に流れる電流値である。本モータ温度推定ルーチンは、早い周期で繰り返し実行されるため、このステップS12において計算される今回モータ温度変動分dTm(n)は、今回の制御周期で実行したモータ温度推定ルーチンにより計算された電動モータ33の温度変動分を表す。また、dTm(n-1)は、直前回(1制御周期前)のモータ温度推定ルーチンの実行によって計算された電動モータ33の温度変動分を表す。以下、dTm(n-1)を前回モータ温度変動分と呼ぶ。
dTm(n)=a・dTm(n-1)+β・(1−a)・im2 …(1)
この(1)式において、imは、モータ電流センサ45により検出した電動モータ33に流れる電流値である。本モータ温度推定ルーチンは、早い周期で繰り返し実行されるため、このステップS12において計算される今回モータ温度変動分dTm(n)は、今回の制御周期で実行したモータ温度推定ルーチンにより計算された電動モータ33の温度変動分を表す。また、dTm(n-1)は、直前回(1制御周期前)のモータ温度推定ルーチンの実行によって計算された電動モータ33の温度変動分を表す。以下、dTm(n-1)を前回モータ温度変動分と呼ぶ。
また、値aは、「0」よりも大きく「1」よりも小さな予め決められた定数である。値βは、予め決められた温度変換係数である。(1)式中の第1項a・dTm(n-1)は、前回モータ温度変動分dTm(n-1)が大きくなるに従って大きくなるとともに、前回モータ温度変動分dTm(n-1)が小さくなるに従って小さくなるもので、電動モータ33の外気中への自然放熱を考慮して前回モータ温度変動分dTm(n-1)が今回モータ温度変動分dTm(n)に与える影響を表す項である。また、(1)式中の第2項β・(1−a)・im2は、電動モータ33にモータ電流imを流したことによる発熱量を表す項である。
ECU40は、ステップS12の処理後、ステップS13において、下記式(2)に示すように、今回モータ温度変動分dTm(n)に基板温度Tcを加算することにより、現在のモータ推定温度Tmを推定する。
Tm=dTm(n)+Tc
このモータ推定温度Tmは、放熱および発熱によって時間変化する電動モータ33の現在の温度を表している。尚、電動モータ33の雰囲気温度がモータ駆動回路41の雰囲気温度と相違する場合には、その温度差分をオフセットして計算するようにしてもよい。
Tm=dTm(n)+Tc
このモータ推定温度Tmは、放熱および発熱によって時間変化する電動モータ33の現在の温度を表している。尚、電動モータ33の雰囲気温度がモータ駆動回路41の雰囲気温度と相違する場合には、その温度差分をオフセットして計算するようにしてもよい。
モータ温度推定ルーチンは、このステップS13によりモータ推定温度Tmを計算すると一旦終了する。こうして算出されたモータ推定温度Tmは、上述した制限付目標後輪転舵角演算ルーチンにおけるステップS421において使用される。これによれば、電動モータ33に温度センサを設けなくてもモータ温度を推定することができるため、センサ設置スペースを確保する必要もなく、また、低コストにて実施することができる。尚、温度推定は、モータ温度Tmだけでなく基板温度Tcについてもモータ電流imに基づいて行うことができる。例えば、今回モータ温度変動分dTm(n)に雰囲気温度(一定値でもよい)を加算することでモータ駆動回路41の基板温度Tcを推定することができる。
尚、ステップS421〜S424を行うECU40の機能部が本発明の温度対応許容舵角変化量変更手段に相当する。また、基板温度センサ52およびモータ温度センサ51、あるいは、モータ温度推定ルーチンを実行するECU40の機能部が本発明の温度検出手段に相当する。
次に、第4実施形態の後輪操舵装置について説明する。第4実施形態の後輪操舵装置は、第1実施形態の後輪操舵装置に対して、制限付目標後輪転舵角演算ルーチンの内容を変更したものであり、他の構成については第1実施形態と同一である。
上述した第1〜第3実施形態においては、タイヤ転がり距離により制限される目標後輪転舵角δr*(n)は、ハンドル舵角θhから決定される基本目標後輪転舵角δr0*(n)に常に近づく転舵方向に許容舵角変化量G・Xを加算(減算)する構成である。これに対して、この第4実施形態においては、基本的には、目標後輪転舵角δr*(n)を基本目標後輪転舵角δr0*(n)に近づけるわけであるが、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が、実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角に近づいてくる場合には、後輪Wrl,Wrrを保舵するようにして後輪Wrl,Wrrの無駄な転舵動作を行わないようにする。
図11は、第4実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンを表すフローチャートである。この制限付目標後輪転舵角演算ルーチンは、第1実施形態の後輪転舵制御ルーチンのステップS400の処理を表すものである。以下、第1実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンにおける処理と同じ処理については図面に同一のステップ符号を付して説明を省略する。
ECU40は、ステップS401において、ハンドル舵角θhにより決定される基本目標後輪転舵角δr0*(n)を算出し、次に、ステップS402において、左右の車輪速センサ44L,44Rから出力されるパルス信号Pl,Prのカウント値Npl,Nprから単位時間当たりのタイヤ転がり距離Xを算出する。
続いて、ECU40は、ステップS431において、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の目標値である目標後輪転舵角δr*(n-1)よりも大きいか否かを判断する。この判断は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)と現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角との位置関係を判断するものである。ステップS431において「Yes」と判断される場合は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角よりも左方向となっている場合であり、「No」と判断される場合は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角よりも右方向となっている場合である。
ECU40は、ステップS431において「Yes」と判断した場合には、ステップS432において、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)に対して減少しているか否かを判断する。基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)に対して減少している場合(S432:Yes)は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が右方向であることを表す。このとき、実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に対して右舵角方向に位置しているため、基本目標後輪転舵角δr0*(n) の変化する方向は、現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角に近づく方向となる。この場合、ECU40は、その処理をステップS433に進めて、ゲインGの値を値G0に設定する。この値G0は、ゼロに設定されている。
逆に、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)に対して増加している場合(S432:No)は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が左方向であることを表す。このとき、実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に対して右舵角方向に位置しているため、基本目標後輪転舵角δr0*(n) の変化する方向は、現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角から離れる方向となる。この場合、ECU40は、その処理をステップS434に進めて、ゲインGの値を値G5に設定する。この値G5は、G0より大きな値に設定されている。尚、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)と同じである場合も、ステップS432の判断は「No」となり、ステップS434において、ゲインGの値が値G5に設定される。
ECU40は、ステップS431において「No」と判断した場合には、ステップS435において、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)に対して増加しているか否かを判断する。基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)に対して増加している場合(S435:Yes)は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が左方向であることを表す。このとき、実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に対して左舵角方向に位置しているため、基本目標後輪転舵角δr0*(n) の変化する方向は、現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角に近づく方向となる。この場合、ECU40は、その処理をステップS433に進めて、ゲインGの値を値G0に設定する。
逆に、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)に対して減少している場合(S435:No)は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が右方向であることを表す。このとき、実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)に対して左舵角方向に位置しているため、基本目標後輪転舵角δr0*(n) の変化する方向は、現在の後輪Wrl,Wrrの転舵角から離れる方向となる。この場合、ECU40は、その処理をステップS434に進めて、ゲインGの値を値G5に設定する。尚、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が直前回の基本目標後輪転舵角δr0*(n-1)と同じである場合も、ステップS435の判断は「No」となり、ステップS434において、ゲインGの値が値G5に設定される。
ECU40は、このようにしてゲインGの値を設定すると、その処理をステップS403に進める。このステップS403からの処理は、第1実施形態の処理と同一である。
図12は、極低速走行時におけるタイヤ転がり距離ΣXに対する目標後輪転舵角δr*(n)の推移を基本目標後輪転舵角δr0*(n)の推移と合わせて表したものである。図中において、破線はゲインGの切替を行わない第1実施形態における目標後輪転舵角δr*(n)の推移を表す。
以上説明した第4実施形態の制限付目標後輪転舵角演算ルーチンによれば、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が、実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角に近づいてくる場合には、ゲインGの値を値G0(ゼロ)に設定するため後輪Wrl,Wrrが保舵される。図12の例においては、タイヤ転がり距離ΣXがXbとなる点で操舵ハンドル21が切り戻され、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が右方向、つまり、後輪Wrl,Wrrの転舵角に近づく方向となる。こうした場合には、ゲインGの値をゼロに設定するため後輪Wrl,Wrrが保舵される。そして、基本目標後輪転舵角δr0*(n)が実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角に等しくなるまで低下すると、その後は、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角から離れる方向となるため、それを追うように、目標後輪転舵角δr*(n)がタイヤ転がり距離の増加相当分づつ低減されて後輪Wrl,Wrrが転舵される。
このように第4実施形態によれば、基本目標後輪転舵角δr0*(n)の変化する方向が実際の後輪Wrl,Wrrの転舵角に近づく方向である場合には後輪Wrl,Wrrを保舵する。従って、無駄な転舵動作を省いて効率よく後輪Wrl,Wrrを転舵するため、電動モータ33の電力消費を抑えることができる。また、電動モータ33およびモータ駆動回路41の過熱を抑制することもできる。
尚、ステップS431〜S434を行うECU40の機能部が本発明の変化方向対応許容舵角変化量変更手段に相当する。また、本実施形態においては、G0の値をゼロに設定しているが、必ずしもゼロにする必要はなく、G5の値より小さな値に設定すればよい。
次に、第5実施形態の後輪操舵装置について説明する。極低速走行状態のときは路面の摩擦係数やタイヤに働く荷重の変動により、後輪Wrl,Wrrを目標後輪転舵角δr*(n)にまで転舵できない可能性がある。そうした状況においては、電動モータ33に大電流が流れ続けてしまう。そこで、第5実施形態においては、そうした状況を検出したときには、電動モータ33への通電モードを連続通電モードから断続通電モードに切り替える。
図13は、目標電流演算ルーチンを表すフローチャートである。この目標電流演算ルーチンは、上述した転舵制御ルーチンのステップS500における電動モータ33の目標電流の演算処理を表すもので、上述した第1〜第4実施形態に適用できるものである。
ECU40は、ステップS300あるいはステップS400において目標後輪転舵角δr*(n)を算出すると、目標電流演算ルーチンを開始し、まず、ステップS501において、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差Δδrを計算する。
Δδr=δrx−δr*(n)
Δδr=δrx−δr*(n)
続いて、ステップS502において、偏差Δδrの絶対値|Δδr|が予め設定した切替判定値Aより大きいか否かを判断し、|Δδr|>Aであれば(S502:Yes)、電動モータ33の通電モードを断続通電モードに設定し、|Δδr|≦Aであれば(S502:No)、電動モータ33の通電モードを連続通電モードに設定する。
連続通電モードに設定され場合には、ステップS503において、タイマ値tをゼロクリアし、ステップS504においてフラグFを「0」に設定する。このタイマ値tは、後述する断続通電モードにおける通電時間と非通電時間とをカウントするタイマの値である。また、フラグFは、後述する断続通電モードにおいて通電中か非通電中かを識別するものである。このステップS503,S504の処理は、後述する断続通電モードの状態を初期状態にリセットしておく処理である。
続いて、ステップS505において、偏差Δδrに応じた電動モータ33の目標電流値im*を計算する。例えば、関数やマップ等を使って|Δδr|が大きいほど大きくなる目標電流値im*を計算する。この連続通電モードに設定された場合においては、電動モータ33は、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)とに偏差が生じているあいだ、連続して通電されることになる。
一方、断続通電モードに設定された場合には、ステップS506において、タイマ値tを値1だけインクリメントする。このタイマ値tは、ソフトウエアタイマのカウント値であって、後述する通電時間と非通電時間とを計測するために用いられる。タイマ値tの初期値は、値0に設定されている。続いて、ステップS507において、フラグFが「0」か否かを判断する。このフラグFは、断続通電モードにおける電動モータ33への通電期間には「1」に、非通電期間には「0」に設定されるもので、初期値は「0」に設定されている。
ECU40は、フラグFが「0」の場合(S507:Yes)、ステップS508において、タイマ値tが第1設定時間t1に達したか否かを判断する。タイマ値tが第1設定時間に達していないあいだは、ステップS509の処理に移行し、再度フラグFの状態を確認する。この場合、フラグFは「0」であるため、ステップS510において、電動モータ33の目標電流値im*をゼロ(im*=0)に設定して目標電流演算ルーチンを一旦抜ける。この目標電流演算ルーチンは、転舵制御ルーチンのステップS500に組み込まれて繰り返し実行される。従って、断続通電モードが設定されているあいだは、タイマ値tをインクリメントしつつ(S506)、第1設定時間t1の経過を判断することになる(S508)。
ECU40は、こうした処理を繰り返し、タイマ値tが第1設定時間t1に到達したと判断すると(S508:Yes)、ステップS511においてフラグFを「1」に設定し、ステップS512においてタイマ値tをゼロクリアする。そして、その処理をステップS509に進める。この場合、フラグFが「1」に設定されているため、ステップS509においては「No」と判断され、ステップS513において、電動モータ33の目標電流値im*を最大値imaxに設定して目標電流演算ルーチンを一旦抜ける。従って、目標電流値im*は、第1設定時間のあいだゼロに維持され、その後、最大値imaxに切り替えられる。
フラグFが「1」に設定されて目標電流値im*が最大値imaxに切り替えられ後は、第2設定時間t2の経過が判断される。つまり、ECU40は、ステップS506において、タイマ値tを値1だけインクリメントし、フラグFの判断に基づき(S507:No)その処理をステップS514に進めて、タイマ値tが第2設定時間t2に達したか否かを判断する。タイマ値tが第2設定時間t2に達していなければ(S514:No)、その処理をステップS509に進めてフラグFの設定状態を確認する。フラグFは「1」に設定されているため、この場合、「No」と判断され、ステップS511において目標電流値im*を最大値imaxに設定する。
ECU40は、こうした処理を繰り返し、タイマ値tが第2設定時間t2に到達したと判断すると(S514:Yes)、ステップS515においてフラグFを「0」に設定し、ステップS512においてタイマ値tをゼロクリアする。そして、フラグFの設定状況に基づいて目標電流値im*をゼロ(im*=0)に設定する。従って、目標電流値im*は、第2設定時間のあいだ最大値imaxに維持され、その後、ゼロに切り替えられる。
このように断続通電モードにおいては、目標電流値im*がゼロと最大値imaxとに交互に切り替えられる。従って、電動モータ33への通電は、断続的に行われることになる。この場合、1回の通電期間は第2設定時間t2、1回の非通電期間は第1設定時間t1となる。
ECU40は、こうして目標電流値im*を設定すると、目標電流値im*に対応したPWM制御信号をモータ駆動回路41に出力して電動モータ33を駆動制御する。そして、モータ電流センサ45にて検出される電流値imをフィードバックして、電流値imが目標電流値im*となるようにモータ駆動回路41のスイッチング素子のデューティ比を制御する。
図14は、目標電流演算ルーチンにより演算された目標電流値im*の推移を表す。図示するように、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差Δδrが切替判定値A以下となる場合には、連続通電モードが設定され、偏差Δδrに応じた目標電流値im*が設定される。そして、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差|Δδr|が切替判定値Aを超えると、断続通電モードが設定され、目標電流値im*が所定の時間周期でゼロと最大値imaxとに交互に切り替えられる。このため、電動モータ33に大電流が流れ続けてしまう事がなく、電動モータ33やモータ駆動回路41の過熱を防止することができる。
尚、ステップS501〜S502を行うECU40の機能部が本発明の偏差演算手段に相当する。この場合、実施形態における偏差Δδrの絶対値|Δδr|が本発明の偏差に相当する。
次に、第5実施形態の変形例について説明する。上述した第5実施形態においては、断続通電モードにおいて目標電流値im*を所定の時間周期でゼロと最大値imaxとに切り替えたが、この変形例においては、後輪Wrl,Wrrのタイヤが所定距離だけ転がる都度、目標電流値im*をゼロと最大値imaxとに交互に切り替える。他の構成については、第5実施形態と同一である。
図15は、第5実施形態の変形例の目標電流演算ルーチンを表すフローチャートである。この目標電流演算ルーチンは、第5実施形態における目標電流演算ルーチンのステップS503に代えてステップS523を、ステップS506に代えてステップS526を、ステップS508に代えてステップS528を、ステップS512に代えてステップS532を、ステップS514に代えてステップS534を行うもので、他の処理については第5実施形態における目標電流演算ルーチン(図13)と同一である。従って、第5実施形態と同一の処理については、図面に同一ステップ符号を付して説明を省略する。
まず、断続通電モードの処理から説明する。ECU40は、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差Δδrの絶対値|Δδr|が予め設定した切替判定値Aより大きいと判断すると(S502:Yes)、断続通電モードを選択する。この断続通電モードにおいては、ステップS526において、後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離ΣX(n)を次式のように計算する。
ΣX(n)=ΣX(n-1)+X
ΣX(n)=ΣX(n-1)+X
後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離ΣX(n)は、断続通電モードが選択されてからの後輪Wrl,Wrrのタイヤの転がった距離を表し、その初期値としてはゼロが設定されている。そして、断続通電モードが維持されて目標電流演算ルーチンが繰り返されたとき、このタイヤ転がり距離ΣX(n)は、直前回のタイヤ転がり距離ΣX(n-1)として置き換えられ、この値ΣX(n-1)に、今回のステップS402において検出したタイヤ転がり距離Xを加算することにより算出される。
ECU40は、続いて、ステップS507において、フラグFの状態を確認し、フラグFが「0」に設定されている場合(S504:Yes、非通電期間)には、ステップS528において、タイヤ転がり距離ΣX(n)が第1設定距離X1以上となったか否かについて判断し、タイヤ転がり距離ΣX(n)が第1設定距離X1に達していなければ(S528:No)、ステップS510において電動モータ33の目標電流値im*をゼロ(im*=0)に設定して目標電流演算ルーチンを一旦抜ける。
ECU40は、通電モードを断続通電モードに設定してるあいだは、後輪Wrl,Wrrのタイヤ転がり距離ΣX(n)の計算処理(S526)を繰り返し実行する。そして、タイヤ転がり距離ΣX(n)が第1設定距離X1に達すると(S528:Yes)、フラグFを「1」に設定する(S511)とともに、ステップS532において、タイヤ転がり距離ΣX(n)をゼロクリアする。従って、電動モータ33の目標電流値im*は、ステップS513において最大値imaxに設定されることになる。
フラグFが「1」に設定された後は、その時点からのタイヤ転がり距離ΣX(n)が繰り返し計算されることになる。この場合、ECU40は、ステップS534において、タイヤ転がり距離ΣX(n)が第2設定距離X2以上となったか否かについて判断し、タイヤ転がり距離ΣX(n)が第2設定距離X2に達していなければ(S534:No)フラグFを変更しない。従って、電動モータ33の目標電流値im*は、そのまま最大値imaxに維持される。
こうした処理が繰り返されるうちに、タイヤ転がり距離ΣX(n)が第2設定距離X2に達すると(S534:Yes)、ECU40は、ステップS515においてフラグFを「0」に戻すとともに、ステップS532においてタイヤ転がり距離ΣX(n)をゼロクリアする。従って、電動モータの目標電流値im*は、最大値imaxからゼロに切り替えられる。このように、断続通電モードにおいては、後輪Wrl,Wrrのタイヤが設定距離X1またはX2だけ転がるたびに、目標電流値im*がゼロと最大値imaxとに交互に切り替えられる。
次に、連続通電モードの処理について説明する。ECU40は、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差Δδrの絶対値|Δδr|が切替判定値A以下となる場合には、連続通電モードを設定する。この連続通電モードにおいては、ステップS523において、タイヤ転がり距離ΣX(n)をゼロクリアし、ステップS504においてフラグFを「0」に設定する。このステップS523,S504の処理は、断続通電モードの状態を初期状態にリセットしておく処理である。
ECU40は、連続通電モードに設定した場合には、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差Δδrに応じた電動モータ33の目標電流値im*を計算する。電動モータ33は、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)とに偏差が生じているあいだ、偏差がなくなるように連続して通電されることになる。
図16は、この目標電流演算ルーチンにより演算された目標電流値im*の推移を表す。図示するように、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差Δδrが切替判定値A以下となる場合には、連続通電モードが設定され、偏差Δδrに応じた目標電流値im*が設定される。そして、実後輪転舵角δrxと目標後輪転舵角δr*(n)との偏差|Δδr|が切替判定値Aを超えると、断続通電モードが設定され、タイヤが設定距離X1またはX2だけ転がるたびに、目標電流値im*がゼロと最大値imaxとに交互に切り替えられる。このため、電動モータ33に大電流が流れ続けてしまう事がなく、電動モータ33やモータ駆動回路41の過熱を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、左右の後輪Wrl,Wrrを転舵バー31にて連結して電動モータにより転舵する構成を採用しているが、左後輪Wrlと右後輪Wrrとを独立して電動式転舵アクチュエータにより転舵制御する構成を採用することもできる。この場合においては、上述した後輪転舵制御を左後輪Wrlと右後輪Wrrとでそれぞれ独立して行うようにすればよい。
また、第1実施形態〜第4実施形態におけるステップS403,S405,S406,S407,S412,S415,S431では、現在の実際の後輪転舵角が直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)と等しいとみなして、演算処理に直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)を使用しているが、直前回の目標後輪転舵角δr*(n-1)に代えて、後輪転舵角センサ43によって検出された実後輪転舵角δrxを使用して演算するようにしてもよい。
また、第2実施形態〜第4実施形態を適宜組み合わせてもよい。この場合、ゲインGを設定するファクター(中立位置に対する転舵方向、電動モータ温度、基本目標後輪転舵角の変化方向)が複数となるが、各ファクター毎に重み付け計数を設定して、最終的なゲインGを算出すればよい。
10…操舵装置、20…前輪操舵装置、21…操舵ハンドル、22…ステアリングシャフト、25…操舵角センサ、30…後輪操舵装置、31…転舵バー、33…電動モータ、40…電子制御ユニット、41…モータ駆動回路、42…車速センサ、43…後輪転舵角センサ、44L…左車輪速センサ、44R…右車輪速センサ、45…モータ電流センサ、51…モータ温度センサ、52…基板温度センサ、Wrl…左後輪、Wrr…左後輪、X,ΣX…タイヤ転がり距離、G…ゲイン、K…転舵係数、Tc…基板温度、Tm…モータ温度,モータ推定温度、V…車速、δr*(n)…目標後輪転舵角、δr0*(n)…基本目標後輪転舵角、δrx…実後輪転舵角、θh…ハンドル舵角。
Claims (7)
- 操舵ハンドルの操舵角を検出するハンドル舵角検出手段と、
前記ハンドル舵角検出手段により検出した操舵角に基づいて後輪の基本目標転舵角を設定する基本目標転舵角設定手段と、
後輪を転舵するための転舵力を発生する電動式の転舵アクチュエータと、
後輪のタイヤ転がり距離を検出する転がり距離検出手段と、
前記転がり距離検出手段により検出した後輪のタイヤ転がり距離が大きくなるほど大きくなる後輪の許容舵角変化量を設定し、その許容舵角変化量を超えない範囲で後輪を前記基本目標転舵角に向かって転舵可能な限界転舵角を目標転舵角として演算する目標転舵角演算手段と、
前記目標転舵角演算手段により演算した目標転舵角に基づいて前記転舵アクチュエータを駆動制御する後輪転舵制御手段と
を備えたことを特徴とする後輪操舵装置。 - 前記目標転舵角演算手段は、前記目標転舵角を所定の周期で繰り返し演算するものであって、1周期あたりの前記後輪のタイヤ転がり距離に基づいて前記後輪の許容舵角変化量を設定し、前記基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差、あるいは、前記基本目標転舵角と現時点の後輪の転舵角との偏差が前記許容舵角変化量を超える場合には、前記1周期前の目標転舵角あるいは現時点の後輪の転舵角に前記許容舵角変化量を前記基本目標転舵角に近づく方向に加算または減算して前記目標転舵角を演算し、前記基本目標転舵角と1周期前の目標転舵角との偏差、あるいは、前記基本目標転舵角と現時点の後輪の転舵角との偏差が前記許容舵角変化量を超えない場合には、前記基本目標転舵角を前記目標転舵角とすることを特徴とする請求項1記載の後輪操舵装置。
- 前記後輪を中立位置から離れる方向に転舵する場合には、前記後輪を中立位置に近づける方向に転舵する場合に比べて、前記後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する転舵方向対応許容舵角変化量変更手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の後輪操舵装置。
- 前記転舵アクチュエータ、あるいは、前記転舵アクチュエータの駆動回路の温度を検出する温度検出手段と、
前記検出した温度が基準温度を超える場合には、基準温度を超えない場合に比べて、前記後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する温度対応許容舵角変化量変更手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の後輪操舵装置。 - 前記操舵ハンドルの操舵角に基づいて設定される後輪の基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角に接近する方向である場合には、前記後輪の基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角から遠ざかる場合に比べて、前記後輪のタイヤ転がり距離に対する前記許容舵角変化量を小さく設定する変化方向対応許容舵角変化量変更手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか一項記載の後輪操舵装置。
- 変化方向対応許容舵角変化量変更手段は、前記後輪の基本目標転舵角の変化方向が後輪の転舵角に接近する方向である場合には、前記許容舵角変化量をゼロに設定することを特徴とする請求項5記載の後輪操舵装置。
- 前記後輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記転舵角検出手段により検出した転舵角と、前記目標転舵角演算手段により演算した目標転舵角との偏差を演算する偏差演算手段と
を備え、
前記後輪転舵制御手段は、前記偏差検出手段により演算した偏差が基準値以下の場合には前記偏差に応じた通電量で前記転舵アクチュエータに連続的に通電し、前記偏差が前記基準値より大きい場合には予め設定した通電量で前記転舵アクチュエータに断続的に通電することを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか一項記載の後輪操舵装置。
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