吉田修一「タイム・アフター・タイム」(216)
吉田修一「タイム・アフター・タイム」(216)
久遠たち二人を、比嘉がまた見かけたのは、それから数日後のことだった。
遊びに行っていた那覇から戻った日で、いったん家へ戻ったのだが、財布がないことに気づき、フェリー乗り場に戻ったのである。
フェリー乗り場の売店で買い物をしたので、その時にはあったはずで、となると、そこで落とした可能性が高い。
すでに日も落ち、さらに最終のフェリーも行ったあとで埠頭は真っ暗だった。ただ、待合室の窓からオレンジ色の明…
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