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コラム

「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収された1兆円超は誰のもの? 中国は「返還」要求

2025年10月10日(金)19時03分
中国のビットコイン女王が英国で有罪

Jono Photography/Shutterstock

<世界史上最大の暗号資産押収事件の被告人が有罪を認めた。中国政府は巨額の資金を「被害者の資金」としているが、被害者たちは名乗り出られない事情が>

[ロンドン発]2014〜17年、中国で最大300%の利回りを約束する投資商品を売りさばき、12万8000人以上からだまし取った巨額資金で暗号資産ビットコインを買った「中国のビットコイン女王」が9月29日、サザーク刑事法院で有罪を認めた。量刑審理は11月に行われる。

中国人女性ジーミン・チアン被告(47)で、これまでに6万1000ビットコインが押収された。ビットコインは史上最高の12万5000ドル超を記録。時価にして76億2500万ドル。日本円にしてなんと約1兆1650億円という世界史上最大の暗号資産押収事件になった。

暗号資産を使って犯罪収益を移転した罪に問われた。暗号資産を扱ったり、チアン被告の逃亡を助けたりした「執事」の ホック・セン・リン被告(46)も9月30日、同刑事法院で有罪を認めた。2人は昨年4月に逮捕され、暗号資産やウォレット、金、現金が押収された。

「被害者の損失を支払うのに十分な資金が残っている」

この事件では昨年5月、150ビットコインを移動させた共犯者ジアン・ウェン被告がすでに禁錮6年8月の有罪判決を受け、約312万ポンドを差し押さえられている。

英BBC放送によると、チアン被告の弁護人は「暗号資産の価値が大幅に上昇しているため、被害者の損失を支払うのに十分な資金が残っている」と話している。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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