Flutter 別荘に遊びに行った訪問者が、訪問と思い出の記録のために写真とひとことを残し、それを一覧できる Flutter Web のアプリケーション。
FVM を使用します。
fvm install
fvm flutter pub getGit トラッキングしているので VS Code を使用している場合は特に設定は必要ありません。Android Studio の場合は .vscode/settings.json, .vscode/launch.json の内容を参考に同等の設定を行ってください。
本アプリケーションは基本的に MVC のアーキテクチャに従うシンプル(で時々少し冗長)な設計で開発します。
ここで説明される設計が普遍的にベストだということは全くありませんが、アーキテクチャや書き方のルールの単純さ、許容できる程度の冗長さ、テストしやすさ、それなりの Riverpod らしさなどの観点において、程よい塩梅と言えるようなものだと思われます。
MVC と Flutter および本アプリケーションで使用されているパッケージなどの対応をざっくりと抽象的に述べると次のようになります。
- Model: アプリケーションの振る舞いを表現するもの。UI (View + Controller) 以外のすべて。
- View: Flutter のウィジェット、ディスプレイに表示される見た目。
- Controller: ユーザー操作を解釈して Model を操作したり、モデルを UI に反映させるもの。Riverpod の Provider で提供される(かんたんなものなら
StatefulWidgetを採用しても良い。)。ユーザーに Model の操作を直接させず、必ず Controller を介させることとする。
lib 以下のディレクトリは基本的に機能や関心事ごとに切ります。たとえば本アプリケーションの中心となる機能である「訪問者の記録」に関するソースコードは lib/visitor_log の中にあります。
lib
└── visitor_log
├── ui
│ ├── visitor_log_controller.dart
│ ├── visitor_log_create.dart
│ ├── visitor_log_detail.dart
│ └── visitor_logs.dart
└── visitor_log.dart
visitor_log の直下には visitor_log.dart というファイルがあり、訪問記録に関するモデル、つまり UI 以外 (View + Controller) のソースコードが配置されています。
また ui というディレクトリも切られており、その名の通り UI (View + Controller) に関するソースコードが配置されています。
たとえば visitor_logs.dart には訪問者一覧画面の View が記述されています。ディレクトリ名から明らかなので特にファイル名 "page" や "screen" のような接尾辞はつけていません。
また、utils, common, shared のようなディレクトリを作りたくなることもよくありますが、そこにどのようなコードが配置されるべきか不明確になるので、本当に必要性が生じるまで作成せず、とりあえず lib の直下においてください。
lib の直下に firestore というディレクトリが切られています。
本アプリケーションは Cloud Firestore を使用していますが、本来アプリケーションは、接続先のサーバやデータソースが Cloud Firestore なのかその他の何なのかを知る必要がありません。その意味合いを込めて Cloud Firestore だけに関係する色々は lib/firestore ディレクトリに配置されています。
firestore_models ディレクトリは、"Model" という名前がついていますが MVC における "Model" というわけでもなく、単に Cloud Firestore に保存されるドキュメントのスキーマを Dart で記述しているような内容です。採用は必須ではないですが、自動生成が楽であるというくらいの理由で freezed パッケージを使用しています。fvm flutter pub run build_runner watch --delete-conflicting-outputs を走らせながら開発します。
firestore_refs.dart には、Cloud Firestore のすべてのコレクションとドキュメントへの参照 (CollectionReference, DocumentReference) が型付きでひとつのファイルに記述されています。
firestore_repository.dart では、Cloud Firestore への単純な読み書きを定義します。
Cloud Firestore のドキュメントと Dart の変数・インスタンスとの変換に必要な json_converter なども同じく lib/firestore ディレクトリに集めています。
ルーティングについては、人気が高まっており十分な機能が提供されているので、auto_route パッケージを使用しています。使用方法はパッケージの README を読んでください。関連するコードは主に lib/router に記述されています。
また、ルーティングの対象であるウィジェット(いわゆる "ページ" を表すウィジェット)は、@RoutePage() というアノテーションを付けた上で、以下のようにクラス名の末尾を Page とすると、fvm flutter pub run build_runner watch --delete-conflicting-outputs によって自動で lib/router/router.gr.dart のコードが生成し直されます。
@RoutePage()
class FooPage extends StatelessWidget {
// 省略
}Riverpod の FutureProvider や StreamProvider などの各種の Provider を "Riverpod らしく" 活用して、再利用性の高いコンポーネントベースな設計をすることも、あえて使用する Provider を StateNotifierProvider に寄せていわゆる MVVM っぽく設計することも、また Riverpod の機能をフルに活用したインジェクションを行うことなどもできますが、本アプリケーションでは設計の分かり易さと享受できるメリットのバランスを考えて、その中間的な使用方法をします。
すべてコンストラクタ DI とします。また ref (ProviderRef) を丸ごと渡すことは禁止として、使用するクラスを明示的に渡します。Riverpod らしさをやや損なう冗長な記述となりますが、インジェクションの内容の明確化と単純なルールでそれを統一できること、ProviderScope などを使わずにユニットテストができることなどからそのようにします。
単に(Cloud Firestore の)データを取得または購読するような処理においては、FutureProvider や StreamProvider を活用します。わざわざ StateNotifier などを定義していわゆる MVVM っぽい書き方にするのは冗長だからです。
たとえば(Cloud Firestore の)訪問者ログ一覧を購読する StreamProvider は次のようになります。
final visitorLogsStreamProvider = StreamProvider.autoDispose<List<VisitorLog>>((ref) {
final service = ref.watch(visitorLogServiceProvider);
return service.subscribe();
});こうすることで、Service クラスを通じて得られたデータを、ViewModel の変数に格納するのではなく、単にウィジェットの build メソッドの中で ref.watch すれば、さらには .when すれば良いのでかんたんです。
書き込み系の操作や、複雑なユーザー操作を解釈するような操作は、Controller が担当することなので、FooController というクラスを定義してそのメソッドとしてそれらの操作を記述し、Controller クラスのインスタンスは素の Provider 経由で使用できるようにします。次のような感じです。
final visitorLogControllerProvider = Provider.autoDispose<VisitorLogController>(
(ref) => VisitorLogController(service: ref.watch(visitorLogServiceProvider)),
);
class VisitorLogController {
VisitorLogController({required VisitorLogService service})
: _service = service;
final VisitorLogService _service;
Future<void> create() async { /** 省略 */}
}その他は既存のコードを参考にしてください。