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JPH0833559B2 - 液晶光学素子の製造方法 - Google Patents

液晶光学素子の製造方法

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Publication number
JPH0833559B2
JPH0833559B2 JP63096857A JP9685788A JPH0833559B2 JP H0833559 B2 JPH0833559 B2 JP H0833559B2 JP 63096857 A JP63096857 A JP 63096857A JP 9685788 A JP9685788 A JP 9685788A JP H0833559 B2 JPH0833559 B2 JP H0833559B2
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JP
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liquid crystal
voltage
substance
refractive index
cured
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JP63096857A
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友紀 郡島
裕 熊井
祥一 土屋
香子 増田
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は透過散乱型の液晶光学素子の製造方法並びに
その利用に関するものである。
[従来の技術] 近年、樹脂のマトリックスの空隙部に液晶物質が充填
されたフィルム状液晶層を用いて、このフィルム状液晶
層を一対の電極付基板間に挟持した透過−散乱制御型の
液晶光学素子が注目されている。
H.G.CraigheadらがAppl.Phys.Lett.,40(1)22(198
2)に開示しており、液晶が屈折率異方性を有する特徴
をいかしたものである。具体的には液晶を多孔体に含浸
させて、電圧印加の有無により液晶の屈折率を変化さ
せ、多孔体との屈折率を調節することにより、透過と散
乱とを制御するものである。この方法は偏光板を用いる
ことなく原理的DSモード、PCモードがもつ欠点を克服す
ることが可能であり有用な方法である。
同様の素子はJ.L.Fergasonらがポリビニルアルコール
を使ってマイクロカプセル化したネマチック液晶により
(公表昭58-501631号)、またK.N.Pearlmanらは種々の
ラテックス取り込み液晶により(特開昭60-252687
号)、またJ.W.Doaneらは、エポキシ樹脂中に液晶を分
散硬化させる方法(公表昭61-502128号)等で作成して
いる。
[発明の解決しようとする問題点] H.G.Craigheadらの方法は多孔体への含浸といった手
段をとっているため、使用する多孔体の孔や溝のサイズ
にばらつきがある、液晶の含浸が難しい、多孔体と液晶
の量比に自由度がないといった問題点から、透過率変化
が十分とれない、素子作成が困難であるといった欠点を
有していた。
また、J.L.Fergasonら、またはK.N.Pearlmanらによる
素子は、水分の蒸発とともに硬化が進むため、2枚の基
板を挟持した状態で硬化をさせることができなく、2枚
の基板間の接着性がなく、かつ、大面積で平坦度の高い
素子を作成することが困難であった。
また、透過−散乱状態に変化のある素子を作成しよう
とすると、これらの素子ではフィルム状液晶層の硬化時
に、水分の蒸発等が必要になるため、フィルム状液晶層
を電極付基板間に挟持できない。このため、表示に必要
な電極をパターニングしなくてはならなかった。
また、J.W.Doaneらの素子も、大面積の基板へのフィ
ルム状液晶層の形成は、未硬化のフィルム状液晶層を塗
布して取り扱うため、その厚みの制御が不充分になりや
すく、特に、湾曲した基板へのフィルム状液晶層の形成
は均一塗布が極めて困難なものであった。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであ
り、液晶物質と、得られる硬化物の屈折率が、その液晶
物質の常光屈折率(no)、異常光屈折率(ne)または液
晶物質がランダムに配向するようにした場合の屈折率
(nx)のいずれかと一致するように選ばれ、かつその液
晶物質と相溶性のある硬化性化合物と、この硬化性化合
物の硬化物の屈折率と一致するように選ばれた高分子物
質とからなるラテックスを一方の電極付基板上に供給
し、水分を蒸発させて高分子物質のマトリックスの空隙
部に液晶物質と硬化性化合物の溶解混合物が充填された
半硬化状態のフィルム状液晶層を形成し、その上に他方
の電極付基板を重ね合せて硬化させ硬化性化合物の硬化
物と液晶物質との相分離を固定化して、高分子物質と硬
化物とのマトリックスの空隙部に液晶物質が充填された
フィルム状液晶層を形成することを特徴とする液晶光学
素子の製造方法、及び、少なくとも特定の配向状態に保
ちたい部分の電極には電圧を印加しつつ、特定の配向状
態に保ちたい部分以外の部分をマスクして光露光して硬
化させ、次いでマスクを取り去り電圧を印加せずに未硬
化部分を硬化させるか、または特定の配向状態に保ちた
い部分をマスクして、光露光して特定の配向状態に保ち
たい部分以外の部分を硬化させ、次いでマスクを取り去
り、少なくとも特定の配向状態に保ちたい部分の電極に
は電圧を印加しつつ、未硬化部分を硬化させることを特
徴とする液晶光学素子の製造方法を提供するものであ
る。
本発明の素子は、液晶物質とそれに溶解可能な硬化性
化合物と、高分子物質とからなるラテックスを用い、水
分の蒸発による高分子物質の硬化工程と、硬化性化合物
の硬化過程の2つの硬化工程を経ることにより、高分子
物質と硬化性化合物の硬化物のマトリックス中に液晶物
質が散在した構造となり、液晶と硬化物の分布が一様と
なり、均質で外観品位、生産性に優れたものである。
本発明では、電圧を印加していない状態又は印加して
いる状態のいずれか一方で、硬化性化合物が硬化させら
れた硬化物の屈折率が、使用する液晶物質の常光屈折率
(no)、異常光屈折率(ne)または液晶物質がランダム
に配向した場合の屈折率(nx)のいずれかと一致するよ
うにされる。また、高分子物質の屈折率は、この硬化性
化合物が硬化させられた硬化物の屈折率と一致されるよ
うにされる。
これにより、形成されたフィルム状液晶層の樹脂マト
リックスの屈折率と、その空隙部に充填された液晶物質
の屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時に
光が散乱(白濁)することになる。
この特性を生かして、本発明の液晶光学素子は調光体
に使用するとその効果が大きい。
また、本発明の素子は、樹脂マトリックスを構成する
硬化性化合物を硬化して得られる硬化物及びラテックス
の高分子物質の屈折率が、使用する液晶物質の屈折率を
noまたはneと一致させておくことにより、電圧が印加さ
れていない場合は、配列していない液晶物質と、樹脂マ
トリックスの屈折率の違いにより、散乱状態(つまり白
濁状態)を示し、また電圧を印加した場合は、液晶物質
が配列し、液晶の屈折率(noあるいはne)と樹脂マトリ
ックスの屈折率とが一致することにより透過状態を示す
ものであり、可逆的な調光機能を有することとなる。
本発明の素子のフィルム状液晶層は、水分の蒸発によ
る高分子物質の硬化工程と、硬化性化合物の硬化過程の
2つの硬化工程を経ることにより形成される。
本発明では、硬化性化合物と、液晶物質と、高分子物
質との混合物を使用する。この混合物は、ラテックスを
構成しており、電極付基板に容易に供給して薄膜状にす
ることができ、大面積に供給しても比較的均一の厚みに
することができる。
この前半の硬化工程は、ラテックス中の水分が蒸発す
ることにより、高分子物質が硬化する工程であり、高分
子がマトリックスを構成し、その空隙部に液晶物質と硬
化性化合物との溶解混合物が充填された構造の半硬化状
態のフィルム状液晶層を形成する。この状態で、通常両
者の屈折率が一致していないので、散乱状態になる。
後半の硬化工程は、この半硬化状態のフィルム状液晶
層の上に他方の電極付基板を重ね合せて、加熱または光
露光等により硬化性化合物を硬化させる。これにより、
前の工程では未硬化であった硬化性化合物が液晶物質か
ら相分離して硬化し、既に硬化している高分子物質と一
緒にマトリックスを構成するようになる。
この状態で、硬化性化合物から硬化した硬化物と、高
分子の屈折率は一致するようにされているため、前述の
如く、これらの樹脂マトリックスの屈折率と液晶物質の
屈折率とが一致していなければ、このフィルム状液晶層
は散乱状態になる。
本発明では、この後半の硬化工程の際に、特定の部分
のみに電圧を印加した状態で硬化させてやることによ
り、特定の配向が形成される。通常、しきい値電圧以上
の電圧を印加した状態で硬化させてやることにより、そ
の部分が常に光透過状態となる。
もっとも、使用する硬化性化合物と液晶物質との系に
より、この印加電圧に対する配向形成に差があるため、
しきい値電圧以上の電圧を印加しても、常に光透過状態
にならないこともあり、しきい値電圧よりも充分高い電
圧を印加したり、系の配合を適切に選択するようにす
る。
この部分は、硬化後には電圧の印加に無関係に光がほ
ぼ透過する。これにより、電極のパターニングをするこ
となしに、特定の文字や図形を表示可能となる。また、
文字、図形、グラフ等を連続した枠で囲むことも容易に
可能となり、表示の自由度、表示パターンの設計の容易
性が向上するという利点も有する。
その他の電圧を印加しない状態、低い電圧を印加した
状態で硬化させた部分は、電圧は印加したが短時間であ
った部分は、ある程度光が透過して、かつ電圧の印加に
より光の透過率が変化するようになる。
この場合、液晶物質が完全に配向しきらない程度の電
圧を印加しつつ、光露光等で硬化した場合、または電圧
を印加してある程度硬化が進行する程度の短時間光露光
する等して硬化した場合には、液晶分子は平均的に見て
基板面にほぼある角度傾いて配向することとなる。
これにより、電圧を印加しない状態での光の透過率が
周囲の白濁している部分よりは高くなり、中間調の表示
が可能となる。これにより、写真のような表示も可能と
なる。
写真のような中間調を表示したい場合には、硬化性化
合物として光硬化性化合物を使用し、高い電圧を印加し
つつ、写真のネガ又はポジを使用して光露光すれば容易
に写真調の液晶光学素子を得ることができる。
これにより、光が強く当たったところは常に透過状態
になり、光が当たる量が少なくなればなるほど散乱の程
度が強い散乱状態となる。これにより、光の透過量によ
って種々の中間調を出すことができる。この散乱状態と
なった部分は電圧の印加によって散乱と透過を制御する
ことができる。
本発明の光が常に透過してくる部分を形成する目的の
ためには、特定の配向を形成するように電圧を印加しつ
つ硬化して得られた部分の液晶光学素子の液晶のしきい
値電圧以下で測定した誘電率の値(ε)と、電圧を印加
せずに硬化された部分の液晶光学素子の2状態で測定し
た誘電率、つまり (1)液晶が充分に基板に垂直方向に配列できる電圧で
測定した誘電率(εON) (2)液晶のしきい値電圧以下で測定した誘電率(ε
OFF) との関係式が次のようになることが好ましい。
なお、前述のような方法で常に透過状態とするのでは
なく、散乱状態での透過率を高くした場合、電圧の印加
の有無により透過−散乱を制御できるとともに、透過−
散乱の応答速度が速くなったり、駆動電圧が低下する傾
向がある。このため、散乱状態での透過率をあまり高く
しない範囲で、電圧を印加して硬化性化合物を硬化さ
せ、特定の配向を形成するという使用法もある。この場
合には、素子全面のフィルム状液晶層に電圧を印加して
硬化させる。
特に、電圧を印加した際の液晶の配向が、基板面に対
し垂直である方が透過率が上昇するので、樹脂マトリッ
クス、即ち、ラテックスを構成する高分子物質と硬化性
化合物が硬化して得られる硬化物との両者の屈折率が、
使用する液晶物質のnoと一致するように選ばれた光硬化
性化合物と誘電異方性が正の液晶物質とを組みあわせて
使用した方が好ましい。
また、本発明の素子は、硬化性化合物の硬化させられ
た硬化物の屈折率及び高分子物質の屈折率が、使用する
液晶物質がランダムに配向した場合の屈折率(nx)と一
致するようにされることもできる。
ここでいうランダムに配向するとは、全ての液晶分子
が基板面に対して平行又は垂直に配列しているのでな
く、硬化物のマトリックスを構成する網目もしくはカプ
セルの影響により種々の方向を向いていることを表わ
す。この場合には、電圧が印加されていない場合は、配
列していない(ランダムに配向)液晶物質と、樹脂マト
リックスの屈折率が一致しているため、透過状態を示
す。
逆に、電圧を印加した場合には、液晶物質が配列し、
液晶の屈折率(noあるいはne)と樹脂マトリックスの屈
折率とが一致しなくなり、散乱状態(つまり白濁状態)
を示すこととなる。これらにより電圧を印加しない状態
で透明の素子が得られるが、樹脂マトリックスが網目状
もしくはカプセル状に存在し、液晶がこの樹脂マトリッ
クスの硬化物の影響を受けランダムに配向しているのと
同様の状況にあるため、均一な状態とすることが難しい
という問題点がある。
これは、前者のように垂直または水平に配向させた場
合には、均一に配向させやすいが、ランダムに配向させ
るのは、マクロ的にみればランダムであっても、部分的
にみれば配向状態が微妙に異なり、屈折率の差を生じ、
これがムラとなって見え易いためである。
このタイプの素子は、この前述の場合と同様に、後半
の硬化性化合物の硬化工程の際に特定の部分のみにしき
い値電圧以上の電圧を印加した状態で硬化させてやるこ
とにより、その部分を常に散乱状態にすることができ
る。
この部分は、硬化後には電圧の印加に無関係に光が散
乱する。これにより、電極のパターニングをすることな
しに、特定の文字や図形を表示可能となる。
また、この素子の場合にも液晶物質が完全に配向しき
らない程度の電圧を印加しつつ光露光等で硬化するか、
または電圧を印加してある程度硬化が進行する程度の短
時間光露光等で硬化する等することにより、液晶分子を
平均的に見て基板面にほぼある角度傾いて配向させるこ
とができる。これにより写真のような中間調を表示した
り、低電圧駆動が可能になる。
この場合も、使用する硬化性化合物と液晶物質との系
により、印加電圧に対する配向形成に差があるため、形
成したい配向状態により、印加電圧は実験的に定めるこ
とが好ましい。
なお、本発明ではこの樹脂マトリックスの屈折率と、
使用する液晶物質の屈折率(no、ne、nxのいずれか)と
を一致させるものであるが、この一致とは完全に一致さ
せることが好ましいものであるが、透過状態に悪影響を
与えない程度に、ほぼ一致するようにしておけば良い。
具体的には、ラテックスの高分子物質の屈折率、硬化
性化合物の屈折率及び液晶物質の屈折率の相互間の差を
0.15程度以下にしておくことが好ましい。これは、液晶
物質により高分子物質または硬化物が膨潤して、高分子
物質、硬化物が本来持っていた屈折率よりも液晶物質の
屈折率に近ずくため、この程度の差があっても、光はほ
ぼ透過するようになる。
本発明では、硬化性化合物としては、ラテックスの高
分子物質が水の蒸発で硬化する際には硬化しなく、その
後、熱、光等で硬化するものが使用できる。特に、光硬
化性の化合物が硬化時間が短くて生産性が良く、マスク
により光を遮光するのみで電極をパターニングすること
なしに、容易に所望の部分に特定の配向を形成させて、
固定表示部分を形成することができる。即ち、基板の表
面に光を遮光するマスクを配置することにより、容易に
特定の部分のみを硬化させて、特定の配向を形成させ
て、常に光が透過してくるか散乱している固定表示部分
を形成することができる。
この光硬化性とは、赤外線、可視光線、紫外線、電子
線によって硬化する化合物であればよい。その光の作用
も、硬化を促進するものであれば何でもよく、光子、電
子、熱のいずれによってでもよい。
従って、光硬化性化合物は、ビニル重合、付加重合、
縮合重合、カチオン重合、アニオン重合、リビング重合
等何れであってもよいが、水分、腐食性物質等の液晶物
質を劣化させるおそれのある物質を発生する縮合重合は
一般的にみて好ましくない。
また、マスクして光硬化した後に、全体を加熱して熱
重合を行なってもよい。
光硬化性化合物を用いた場合、硬化速度を速めたいな
ら、光硬化開始剤を加えるなどしてよく、ラジカル種に
より光硬化可能なものであれば、外観品位、信頼性にす
ぐれた素子を作成することができる。
この光硬化性化合物は化合物自身が光反応性をもつも
の、光照射によって生成した物質により硬化が誘起させ
るものであってもよく、大別すると、光照射によって分
解硬化するものと、重合硬化するものに分類される。
これらの代表的な化合物としては、光硬化性のアクリ
ル系のモノマー、オリゴマーがあり、具体的には、モノ
アクリレート、ジアクリレート、N−置換アクリルアミ
ド、N−ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、
ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、
ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコ
ーンアクリレート、フロロアルキルアクリレート、ポリ
ブタジエン骨格を有するポリアクリレート、イソシアヌ
ル酸骨格を有するポリアクリレート、ヒダントイン骨格
を有するアクリレート、不飽和シクロアセタールなどに
代表される単官能及び多官能ビニル基を有する化合物が
例示される。
特に、光硬化性化合物の中でも、アクリル系の化合物
を使用することが、光露光後の液晶と硬化物の相分離状
態及びその均一性に優れていること、また光露光による
硬化速度が速く硬化物が安定であることから好ましい。
また、硬化性化合物は、単独もしくは複数混合で用い
てもよく、素子作成に必要な改質剤、作成した素子の改
質剤等、具体的には、架橋剤、界面活性剤、希釈剤、増
粘剤、消泡剤、接着性付与剤、安定剤、吸収剤、色素、
重合促進剤、連鎖移動剤、重合禁止剤などを含んでいて
よい。
本発明の素子で使用する硬化性化合物は、前述の要件
を満たした種々の材料の中から、液晶の屈折率、液晶と
の溶解性を勘案して選択すればよい。
また、光硬化開始剤は、ベンゾインエーテル系、ベン
ゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系な
どが例示される。
本発明で使用される液晶物質は、ネマチック液晶物
質、スメクチック液晶物質等があり、単独で用いても組
成物を用いても良いが、動作温度範囲、動作電圧など種
々の要求性能を満たすには組成物を用いた方が有利とい
える。特に、ネマチック液晶の使用が好ましい。
また、使用される液晶物質は、硬化性化合物に均一に
溶解することが好ましく、光露光後の硬化物とは、溶解
しない、もしくは困難なものが必要であり、組成物を用
いる場合は、個々の液晶物質の溶解度ができるだけ近い
ものが望ましい。
本発明で使用されるラテックスを構成する高分子物質
は、前記の液晶物質と硬化性化合物との溶液を含んで、
安定なラテックスとなるものであればよい。具体的に
は、ビニル系ポリマーとしてポリ酢酸ビニル、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル共重合
体、酢酸ビニル重合体、塩化ビニリデン共重合体、塩化
ビニル共重合体等が、合成ゴム系としてはポリイソブチ
レン、クロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、SBR、N
BR、MBR等が、このほかに、ポリウレタン、ポリエポキ
シ、ポリシロキサン等が例示され、ラテックスの安定性
を確保するため各種添加剤が含まれていてもよい。
このラテックス中の高分子物質は、水分を蒸発させる
ことにより、硬化して(重合ではなく固まるという意
味)樹脂マトリックスの骨組みを形成する。
本発明の素子を製造する際、硬化性化合物と高分子物
質との合計量と、液晶物質の量とは重量比で5:95〜75:2
5程度の混合物とすればよく、液状なしは粘稠物として
使用されればよい。この場合、硬化性化合物と高分子物
質との重量比は、通常10:90〜90:10程度とされれば良
い。
本発明の素子を製造する方法を以下に例示する。
先ず、硬化性化合物と液晶物質との溶解混合物に、ラ
テックスを構成する高分子物質を加えて、それらの混合
された安定なラテックスを形成する。このラテックス中
では、液晶物質と硬化性化合物の溶解混合物が、水に分
散した高分子物質中に分散している状態を形成してい
る。
このラテックスを、In2O3‐SnO2(ITO)、SnO2等の透
明電極付のガラス基板上に、ロールコート、スピンコー
ト、印刷等の方法により供給して、水分を蒸発させて半
硬化状態のフィルム状液晶層を形成する。この状態で、
フィルム状液晶層は高分子物質が固まって樹脂マトリッ
クスの骨組みを形成し、この空隙部に液晶物質と硬化性
化合物の溶解混合物が分散して存在している。
次いで、この半硬化状態のフィルム状液晶層の上に、
対向する電極付き基板を重ね合わせ、光露光または加熱
して、硬化性化合物を硬化させる。これにより、高分子
物質が固まった樹脂マトリックスの骨組みの空隙部に分
散されていた液晶物質と硬化性化合物の溶解混合物か
ら、硬化性化合物が硬化して液晶物質と相分離し、高分
子物質と硬化性化合物の硬化した硬化物とからなる樹脂
マトリックス中の空隙部に液晶物質が分散したフィルム
状液晶層が形成される。
この硬化性化合物の硬化の際に、必要に応じて加圧し
ながら硬化したり、基板を湾曲させて硬化させたり、電
圧を印加しつつ硬化させたりする。
また、この硬化性化合物の硬化を、他方の電極付き基
板を重ね合せずに行い、硬化後に他方の電極付き基板を
貼り合せるようにすることもできる。
この硬化した状態でのフィルム状液晶層の厚みは、5
〜100μmにて動作することができるが、印加電圧、オ
ン・オフ時のコントラストを配慮すれば、7〜40μmに
設定することが適当である。
このようにして、先ずラテックス中の高分子物質を硬
化させ、次いで硬化性化合物を硬化させて、フィルム状
液晶層を形成する。
この場合、硬化物の屈折率、正確には樹脂マトリック
スを構成する硬化物と高分子物質の屈折率と、液晶物質
のnoまたはneとを一致させた場合には、硬化後には配列
していない液晶物質と樹脂マトリックスとによる屈折率
散乱のため白濁状態となる。こうして作成した本発明の
素子は、電圧印加することにより、液晶物質が配列し、
樹脂マトリックスの屈折率と配列した液晶物質の屈折率
とが一致するため透過状態となる。
本発明では、この際固定表示の特定の配向を生じせし
めたい場合には、この部分のみに電圧を印加しつつ、硬
化性化合物の硬化を行なう。
この特定の配向を生じせしめるには、種々の方法があ
るが、硬化性化合物に光硬化性化合物を用い、光露光す
ることが生産性が良く好ましく、以下にその例を示す。
特定の部分のパターンに対応する電極を配置し、そ
の間に電圧を印加しつつ、全体に光を当てて硬化させ
る。
特定の部分を除く部分に遮光性のマスクを形成し、
少なくとも特定の部分に電圧を印加しつつ、全体に光を
当てて特定の部分のみを硬化させ、次いで、遮光性のマ
スクを除去して残りの部分を硬化させる。
レーザー等を走査しながら必要の部分には電圧を印
加して特定の部分にのみ特定の配向を形成させる。
また、これらの方法を組み合わせたり、特定の部分と
同じ形状のマスクを使用する等して特定の部分を除いた
部分を先に硬化させるように工程を逆転させてもよい。
特に、とその逆工程のプロセスが、基板に予め形成
したパターニングされていない素子の駆動用の電極を用
いることができ、付加する手段がマスクのみでよく、生
産性も良い。
また、内面に電極を形成した通常の液晶光学素子のセ
ルの構成を採り、その電極を使用して特定のパターンを
特定の配向としてもよいし、外部に電極を配置し、それ
により特定のパターンを特定の配向としてもよい。これ
らにより、例えば、ドットマトリクス表示、セグメント
表示、バーグラフ表示に図形を組み合わせたり、連続し
た枠を形成したりすることもできる。
また、例えば、全面ITO付き円盤状ガラス基板セルを
用い、中心で回転させながらの方法を使用してレーザ
ー光等で書き込むことによりメモリー素子としても使用
できる。
さらに、前述のごとく、硬化させる際の電圧をしきい
値電圧付近で段階的に変化させたり、光の照射時間、硬
化温度等を制御してして白濁度が低いが電圧により透過
率が変化する中間調の透過部分を形成してもよい。
このようにして作成した素子は、特定の配向により常
に光が透過してくる部分と、通常は白濁しているかやや
白濁しているが、電圧を印加することにより、液晶が配
列し、硬化物の屈折率と液晶の屈折率とが一致して透過
状態になるため透過率が変化する部分を有する。
また、硬化性化合物と液晶物質の系、印加電圧、光の
強度等を適当に選択することにより、透過−散乱の制御
範囲をあまり狭くせずに、即ち、電圧オフ時の白濁の程
度をあまり落さずに、応答速度を速くしたり、駆動電圧
を低下させることもできる。
また、樹脂マトリックスの屈折率を液晶物質の屈折率
(nx)と一致させた場合には、硬化後に配列していない
液晶物質の屈折率と樹脂マトリックスの屈折率とが一致
するため透過状態となる。こうして作成した素子は、電
圧印加することにより、液晶物質が配列し、樹脂マトリ
ックスの屈折率と配列した液晶物質の屈折率とがずれて
散乱するため白濁状態となる。
この場合には、特定の配向を形成すれば、その部分で
は、常に光が散乱されることとなる。もちろん、この場
合にも前述の場合と同様、中間調部分を形成したり、応
答速度を速めたり、駆動電圧を低くすることもできる。
本発明では、この液晶中に2色性色素や単なる色素、
顔料を添加したり、高分子物質や硬化性化合物として着
色したものを使用したり、基板に着色基板を使用した
り、カラーフィルターを積層したりして特定の色を付け
ることもできる。
本発明では、基板にラテックスを供給し、水分を蒸発
させて高分子を硬化させて、半硬化状態とするため、大
面積に速やかに供給でき、かつ比較的にその厚みを容易
に均一にできる。
次いで硬化性化合物を硬化させて液晶物質を相分離に
より分離し、フィルム状液晶層の硬化を完了する。この
後半の硬化時には単なる溶媒や水を蒸発させる必要がな
い。このため、密閉系で硬化できるため、信頼性が高
く、かつ、光硬化性化合物で2枚の基板を接着する効果
も有するため、シール剤を不要にすることもできる。ま
た、この工程では、両基板を加圧状態に保持できるた
め、さらに基板間隙を均一にすることができる。この
時、加圧圧力が強くても、既に高分子物質による樹脂マ
トリックスが形成されているため、基板間での短絡の危
険が少なく、生産性が良い。このため、半硬化したフィ
ルム状液晶層を有する基板を湾曲させて、その後、後半
の硬化工程を行うことにより、湾曲した基板の素子も容
易に製造できる。また、前述の如く、特定の部分に特定
の配向を形成させて固定表示をしたりすることも容易に
できる。
本発明では、電極付基板は、ガラス、プラスチック等
の基板にITO、SnO2等の透明電極を形成した基板が使用
できる。もちろん、基板と電極間に絶縁層を形成した
り、電極に低抵抗の金属リード線を併用したり、一方の
電極に鏡面電極を形成したり、基板の表側にノングレア
層を形成したりしてもよい。特に、基板としてプラスチ
ック基板を使用することにより、連続プラスチックフィ
ルムを使用した長尺の液晶光学素子が容易に製造でき
る。
このような電極付基板間にフィルム状液晶層を挟持す
ることにより、大面積にしても、上下の透明電極が短絡
する危険性が低く、かつ、通常のツイストネマチック型
の表示素子のように配向や基板間隙を厳密に制御する必
要もなく、大面積を有する液晶調光体を極めて生産性良
く製造できる。
なお、本発明の素子においても光の透過状態のムラを
少なくするためには、基板間隙はある程度一定である方
が良い。このため、ガラス粒子、プラスチック粒子、セ
ラミック粒子等の間隙制御用のスペーサーを基板間隙に
配置する方が好ましい。具体的には、基板上にラテック
ス中に基板間隙制御用のスペーサーを含有させて供給す
るか、ラテックスを供給前または後にスペーサーを供給
して後、水分を蒸発させるようにすれば良い。
この場合、他方の基板を重ね合わせた後に加圧し、そ
の後、硬化性化合物を硬化させることにより、より均一
な基板間隙になりやすい。
このような液晶光学素子は、表示素子としても使用可
能であるが、大面積化が容易であること及び後で切断し
て所望のサイズにできること等から調光体として使用し
た場合に好適である。調光体として使用される場合に
は、通常は透過型であるため、電極は透明電極とされ
る。もちろん、その一部に低抵抗化するための金属リー
ド部を併設したりしてもよい。また、調光鏡として使用
する場合には、一方の電極を反射電極としてもよい。
この液晶光学素子は、基板がプラスチックや薄いガラ
スの場合にさらに保護のためにプラスチックやガラス等
の保護板を積層したり、基板を強化ガラス、合せガラ
ス、線入ガラス等にしてもよい等種々の応用が可能であ
る。
特に、電極付基板としてプラスチック基板を使用して
液晶光学素子とし、電極取り出し線を付けて、これを液
晶光学素子よりもやや大きい2枚のガラス板間にポリビ
ニルブチラール等の接着性材料層を介して挟持して、加
熱又は光照射により、接着性材料層を硬化させて、液晶
光学素子とガラス板とを一体化し合せガラス状にして使
用することが好ましい。中でも接着性材料をポリビニル
ブチラールとすることにより、通常の合わせガラスと極
めて類似した構造とすることができる。
この液晶光学素子を製造するには、所望の形状の基板
を2枚準備して、これを組合せて液晶光学素子を製造し
てもよいし、連続プラスチックフィルム基板を使用した
り、長尺ガラス基板を用いて製造して、後で切断する方
式で製造してもよい。
この液晶光学素子を用いた調光体の用途としては窓、
天窓、間仕切り、扉等の建築材料、窓、ムーンルーフ等
の車両用材料、各種電気製品用のケース、ドア、蓋等の
材料に使用可能である。
調光体として使用する場合には、この液晶光学素子
に、これを駆動するための駆動手段を付加すれば良い。
この駆動手段としては、後述するように通常数十V程度
の交流電圧を印加することができるものが使用される。
また、この液晶光学素子を種々の物体を配置する配置
手段として組み合せ、かつこれを駆動するための駆動手
段を付加することにより、各種商品を展示するショーウ
インドウ、ショーケース等の物体展示体に使用すること
もできる。これには、ファイル棚に使用してファイルの
タイトルは電圧を印加して透明にしないと見えないが、
ファイルの有無は常に透明の部分により確認できるとい
うような応用もある。
また、本発明の液晶光学素子を複数個組合せて、夫々
を個別に駆動可能にし、文字や図形を表示するという表
示装置にも使用できる。例えば、10cm角の液晶光学素子
を16×16ドットになるように配置し、漢字を表示するこ
とにより、従来の液晶表示素子ではできなかったような
1文字が1m以上の大型表示装置も可能となる。
本発明の液晶光学素子は、駆動のために電圧を印加す
る時には、液晶の配列が変化するような交流電圧を印加
すればよい。具体的には、5〜100Vで10〜1000Hz程度の
交流電圧を印加すればよい。
また、電圧を印加しない時には、電極間をオープンに
するか短絡すればよい。これらの内でも、電極間のイン
ピーダンス、即ち、電極のインピーダンス、端子部での
接続インピーダンス、回路インピーダンスの合計インピ
ーダンスが、液晶物質と硬化物との層のインピーダンス
よりも低くなるようにすることにより、電圧を切った時
の液晶の応答が速い。
特に、電極間のインピーダンスが、液晶物質と硬化物
との層のインピーダンスの1/10以下になるようにするこ
とが好ましい。このため、電極のインピーダンス及び端
子部での接続インピーダンスが高い場合には、回路のイ
ンピーダンスを下げることが好ましい。
このように自己放電回路を形成することにより、通常
の液晶表示素子に比して素子自体の有するキャパシタン
スが非常に大きいものであっても、電極間に蓄積された
電荷が速やかに放電され、液晶がランダムな配向に戻る
運動を阻害しなく、透過と散乱との間の変化が速くな
る。
本発明の素子は、表示用素子、とりわけ従来の液晶表
示素子が困難であった、大面積表示素子、湾曲状での表
示素子等に利用できるほか、大面積の調光素子、光シャ
ッター等、数多くの利用が考えられる。
また、電球等の光源の前に設置して、例えばフォグラ
ンプと通常のランプの切替を電気的に行う用途にも使用
できる。
また、本発明では一方の電極を鏡面反射電極として鏡
として使用してもよく、この場合には裏側の基板は不透
明なガラス、プラスチック、セラミック、金属製とされ
てもよい。
また、カラーフィルターを併用したり、液晶中に二色
性色素を混入したりしてカラー化したり、他のディスプ
レーであるTN液晶表示素子、エレクトロクロミック表示
素子、エレクトロルミネッセンス表示素子等と積層して
使用してもよく、種々の応用が可能である。
[実施例] 以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
実施例1 n−ブチルアクリレート2部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート4部、アクリルオリゴマー(東亜合成化学
社製「M-6200」)3部に、液晶(BDH社製「E−8」)
を18部、光硬化開始剤(メルク社製「ダロキュアー111
6」)0.18部を加え均一に溶解した。この溶液0.9gを、
ウレタンラテックス(バイエルジャパン社製「インプラ
ニールDLS」)3.1gに加え、拡散装置(ヤマト科学社製
「LK-21」)によって拡散して安定なラテックスを調整
した。
このラテックスをITO付ポリエステル基板上に塗布
し、水分を蒸発させて膜厚が約20μmの半硬化状態のフ
ィルム状液晶層を形成した。
次いで、他方の基板として、ITO付ポリエステル基板
を重ね合せ、紫外線照射装置(東芝社製「トスキュアー
400」)により、約5分光露光し、硬化を完了させた。
この素子は、この状態で全面が白濁しているものであ
った。この素子に50Hz、80Vの交流電圧を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明になった。
また、他方の基板として、ITO付ポリエステル基板を
重ね合せた後、、Tの字を切り抜いた黒色テープを遮光
用マスクとして張り付け、セル全体に50Hz、60Vの交流
電圧を印加しながら紫外線照射装置により、約1分光露
光し、次いでマスクを取り去り、紫外線照射装置によ
り、約5分光露光し、硬化を完了させた。
この素子は、この状態で、Tの字型に透明な部分があ
り、他の部分は白濁した素子が得られた。
この素子にAC80V(50Hz)の交流電圧を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となった。
実施例2 n−ブチルアクリレート1部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート5部に、液晶(BDH社製「E−8」)を18
部、光硬化開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテ
ル0.12部を加え、均一に溶解した。この溶液を実施例1
と同様にして安定なラテックスを調整した。
このラテックスをITO付ポリエステル基板上に塗布
し、水分を蒸発させて膜厚が約20μmの半硬化状態のフ
ィルム状液晶層を形成した。
次いで、他方の基板として、ITO付ポリエステル基板
を重ね合せ、紫外線照射装置(東芝社製「トスキュアー
400」)により、約3分光露光し、硬化を完了させた。
この素子は、この状態で全面が白濁しているものであ
った。この素子に50Hz、80Vの交流電圧を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明になった。
また、他方の基板として、ITO付ポリエステル基板を
重ね合せた後、、Tの字を切り抜いた黒色テープを遮光
用マスクとして張り付け、セル全体に50Hz、60Vの交流
電圧を印加しながら紫外線照射装置により、約1分光露
光し、次いでマスクを取り去り、紫外線照射装置によ
り、約3分光露光し、硬化を完了させた。
この素子は、この状態で、Tの字型に透明な部分があ
り、他の部分は白濁した素子が得られた。
この素子にAC80V(50Hz)の交流電圧を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となった。
実施例3 実施例1と同様の素子を用い、黒色の遮光テの間に2
枚のポリビニルブチラール膜を介して挟持し、オートク
レーブ内で加熱加圧して一体化させた。
このようにして一体化された素子は、外圧に対して安
全であり、信頼性も高いものであった。
実施例4 実施例1のTの字を切り抜いた黒色テープを遮光用マ
スクの代わりに、写真のネガをマスクに使用して、実施
例1と同様にして光露光を行い、次いで電圧を印加せず
に光露光を行なって素子を作成した。
この素子に交流電圧(AC80V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきると透明
な部分から白濁したした部分までの中間調のある像が得
られた。
実施例5 マスクのパターンとしてスキーをしている人物像のパ
ターンを使用し、実施例1と同様にして素子を製造し
た。
この素子をスキー用品を配置したショーウインドウの
前に設けた。このショーウインドウは電圧を印加しない
状態では、スキーをしている人物像のパターンが白濁し
て表示されているが、交流電圧(AC80V、50Hz)を印加
すると全面が透明となった。
実施例6 マスクのパターンとして円状の孔を有するパターンを
使用し、実施例1と同様にして素子を製造した。
この素子を調光体として使用し、ドアに使用した。こ
のドアは電圧を印加しない状態では、丸い孔の部分のみ
から中が見え、これに交流電圧(AC80V、50Hz)を印加
すると全面が透明となった。これにより、ドアの内部の
部屋を使用中には中が丸い孔からしか見えなく、未使用
の時にはドアが完全に透明で一目で分かる。
実施例7 マスクのパターンとして長方形状の孔の有するパター
ンを使用し、実施例1と同様にして素子を製造した。
この素子を調光体として使用し、ファイル棚のガラス
戸として使用した。このガラス戸は電圧を印加しない状
態では、長方形状の孔の部分のみからファイル棚の中が
見え、これに交流電圧(AC80V、50Hz)を印加するとガ
ラス戸全面が透明となった。
これにより、ファイル棚に置かれているファイルの他
人に見られてもよいファイル番号等は常に見えるが、フ
ァイルのタイトルは電圧を印加した時のみ見えるという
ようにすることができる。
実施例8 マスクのパターンとして周囲を枠状にくりぬいた正方
形状のマスクを使用し、実施例1と同様にして素子を製
造した。
この素子を8×8個で1文字を表示できるようにして
ドット表示型の表示装置を作成した。
この表示装置は、各ドットの周囲の部分は常に透明で
あり、光が透過してくるが、交流電圧(AC80V、50Hz)
を印加すると印加したドットのみが全面透明となって、
表示がなされた。
[発明の効果] 以上の如く、本発明は、新規な液晶光学素子の製造方
法を提供するものであり、得られる硬化物の屈折率が、
使用する液晶物質の常光屈折率(no)、異常光屈折率
(ne)または液晶物質がランダムに配向した場合の屈折
率(nx)のいずれかと一致するように選ばれた硬化性化
合物と、液晶物質と、高分子物質とを混合したラテック
スを使用し、まず水分を蒸発させて高分子を硬化させ、
高分子物質の樹脂マトリックスの空隙部に、硬化性化合
物と液晶物質との溶解混合物が充填された構成の半硬化
のフィルム状液晶層を形成し、次いで、硬化性化合物を
硬化させて液晶物質と硬化物との相分離を固定化した素
子である。したがって本発明は偏光板を必要とせず、外
観品位、生産性に優れた素子であって、大面積で均一な
性能の素子が容易に得られる。
本発明では、単に液晶物質とこれに溶解可能な硬化性
化合物を混合した溶液を用いてフィルム状液晶層を得る
のに比して、大面積であっても、膜厚が均一にし易く、
湾曲した基板に対しても容易に対応できる。
また、単に液晶物質と高分子物質のみによるラテック
スを用いてフィルム状液晶層を得るのに比して、後工程
で基板を加圧して硬化が可能なため、均一な膜厚とし易
く、かつ、光露光のような速い硬化速度が得られ、生産
性が良く、それ自体で2枚の基板の接着性も有している
という利点を有している。さらに、電圧を印加しつつ部
分的に硬化させることにより、一部に特定の配向を形成
させて、容易に固定表示を得ることができる。
特に、硬化性化合物を硬化させる際に、その少なくと
も一部の基板間に電圧を印加して特定の配向を生ぜしめ
ることにより、表示用、とりわけ大面積、湾曲状での表
示に、また大面積での調光、光シャッター等に広く利用
することができる。
特に、一対の電極付基板間に保持し、硬化性化合物と
して光硬化性化合物を用い、光露光により、光硬化性化
合物を硬化させ、液晶物質と硬化物との相分離を固定化
することが、硬化時間も短く、極めて生産性が高く、か
つ、マスクのみで特定の固定表示を得ることが容易にで
き好ましい。
また、特定のパターンのマスクを用いてパターニング
することにより、この特定の部分の硬化と残りの部分の
硬化とを同じ装置で連続して行うことができるという利
点もある。
さらに、電極のパターニングをすることなしに、特定
の文字や図形が表示可能となる。また、文字、図形、グ
ラフ等を連続した枠で囲むことも容易に可能となり、表
示の自由度、表示パターンの設計の容易性が向上すると
いう利点も有する。
また、しきい値電圧付近の電圧を印加しつつ光硬化さ
せた場合、または電圧を印加しつつ短時間光を露光して
硬化させた場合には、完全に光が透過状態ではないが、
周囲のマスクした部分よりは光が透過してくるまたは白
濁している部分も形成できる。これにより、透過か白濁
の2値でない中間調の表示が可能になる。
さらに、この基板の少なくとも一面に保護板を設ける
ことにより、安全性が向上し、特に、両面に保護板を設
けることにより破損を生じにくくなる。
特に、基板上に液晶物質、硬化性化合物、高分子物質
とを混合したラテックスを供給し、水分を蒸発させて高
分子物質を硬化させ、その上に他方の基板を載置して光
露光や加熱をして硬化性化合物を硬化することにより、
均一で大面積の素子を極めて生産性良く製造できる。こ
のため、基板がガラスの場合にもかなり長尺の基板が使
用できるし、基板がプラスチックの場合には連続フィル
ムによる連続プロセスも可能となる。
特に、基板にプラスチック基板を使用した場合には、
生産性は良い反面、強度が劣っているため、大面積化し
た際に、破損し易くなったり、湾曲したりする。このた
め、両面に保護板を設ける効果が大きい。中でも保護板
としてガラス板を使用し、接着性材料で接着することに
より、合わせガラスと類似の構造となり、安全で信頼性
が高くなる。
本発明は、この外、本発明の効果を損しない範囲内で
種々の応用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−2231(JP,A) 特開 昭60−252687(JP,A) 特開 昭62−48789(JP,A) 特開 昭49−53063(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂のマトリックスの空隙部に液晶物質が
    充填されてなるフィルム状液晶層を一対の電極付基板間
    に挟持してなる液晶光学素子の製造方法において、液晶
    物質と、得られる硬化物の屈折率が、その液晶物質の常
    光屈折率(no)、異常光屈折率(ne)または液晶物質が
    ランダムに配向するようにした場合の屈折率(nx)のい
    ずれかと一致するように選ばれ、かつその液晶物質と相
    溶性のある硬化性化合物と、この硬化性化合物の硬化物
    の屈折率と一致するように選ばれた高分子物質とからな
    るラテックスを一方の電極付基板上に供給し、水分を蒸
    発させて高分子物質のマトリックスの空隙部に液晶物質
    と硬化性化合物の溶解混合物が充填された半硬化状態の
    フィルム状液晶層を形成し、その上に他方の電極付基板
    を重ね合せて硬化させ硬化性化合物の硬化物と液晶物質
    との相分離を固定化して、高分子物質と硬化物とのマト
    リックスの空隙部に液晶物質が充填されたフィルム状液
    晶層を形成することを特徴とする液晶光学素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】少なくとも特定の配向状態に保ちたい部分
    の電極には電圧を印加しつつ、特定の配向状態に保ちた
    い部分以外の部分をマスクして光露光して硬化させ、次
    いでマスクを取り去り電圧を印加せずに未硬化部分を硬
    化させる請求項1記載の液晶光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】特定の配向状態に保ちたい部分をマスクし
    て、光露光して特定の配向状態に保ちたい部分以外の部
    分を硬化させ、次いでマスクを取り去り、少なくとも特
    定の配向状態に保ちたい部分の電極には電圧を印加しつ
    つ、未硬化部分を硬化させる請求項1記載の液晶光学素
    子の製造方法。
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