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JPH06145355A - ポリフェニレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドの製造方法

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JPH06145355A
JPH06145355A JP4328708A JP32870892A JPH06145355A JP H06145355 A JPH06145355 A JP H06145355A JP 4328708 A JP4328708 A JP 4328708A JP 32870892 A JP32870892 A JP 32870892A JP H06145355 A JPH06145355 A JP H06145355A
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mol
alkali metal
water
sulfide
polymerization
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JP4328708A
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Inventor
Hiroyuki Sato
浩幸 佐藤
Yoshikatsu Satake
義克 佐竹
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Kureha Corp
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Kureha Corp
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Publication date
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高分子量で粒状のポリフェニレンスルフィド
を高収率で製造する方法を提供する。 【構成】 有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフ
ィドを製造する方法において、該反応を少なくとも下記
の工程(1)及び工程(2)の二段階工程で行うことを
特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。 (1)水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属
硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温
度で反応させて、ポリフェニレンスルフィドのプレポリ
マーを生成させる工程、及び(2)反応系に水を添加す
るとともに、245〜290℃の温度で、0.5〜20
時間反応を継続し、ジハロ芳香族化合物の転化率を上昇
させ、かつ、該プレポリマーを高分子量ポリフェニレン
スルフィドに転換する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリフェニレンスルフ
ィド(以下、PPSと略記)の製造方法に関し、さらに
詳しくは、高分子量かつ粒状のPPSを高収率で製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PPSは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、
機械的強度、電気的特性、寸法安定性などに優れたエン
ジニアリングプラスチックであり、押出成形、射出成
形、圧縮成形等により、各種成形品、フィルム、シー
ト、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自
動車機器等の広範な分野において汎用されている。PP
Sの製造方法として、特公昭45−3368号には、N
−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒中で、
硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物とp−ジクロロ
ベンゼン等のジハロ芳香族化合物とを反応させる方法が
提案されている。しかし、該公報に開示された方法で
は、低分子量で溶融粘度が小さいPPSしか得ることが
できない。このような低分子量PPSを、重合後、空気
の存在下で加熱し、部分架橋(キュアー)して高分子量
化する方法が知られているが、得られた架橋PPSは、
機械的物性が不十分で、しかもシート、フィルム、繊維
などに成形加工することが困難である。
【0003】そこで、従来、重合時に高分子量のPPS
を得るために、上記方法を改善した各種のPPS製造方
法が提案されている。PPSの重合方法の改善手段とし
て、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳
香族化合物とを反応させるに際し、各種重合助剤を添加
する方法が知られている。例えば、重合助剤として、ア
ルカリ金属カルボン酸塩(特公昭52−12240
号)、芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属(特開昭5
9−219332号)、アルカリ金属ハライド(米国特
許第4,038,263号)、脂肪族カルボン酸のナト
リウム塩(特開平1−161022号)などを使用する
方法が提案されている。これらの方法によれば、線状で
高分子量のPPSを得ることができるけれども、比較的
多量の重合助剤を添加しなければならない。即ち、前記
特許文献には、重合助剤の添加量について、少量から多
量までの非常に幅広い範囲が開示されているが、充分に
高分子量のPPSを得るには、比較的多量の重合助剤の
添加が必要である。さらに、より高分子量のPPSを得
るためには、重合助剤の中でも高価な酢酸リチウムや安
息香酸ナトリウムを多量に使用することが必要になり、
PPSの製造コストの増大につながる。
【0004】一方、特公昭63−33775号には、有
機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化
合物とを反応させてPPSを得る方法において、特定の
二段階重合反応、即ち、(1)アルカリ金属硫化物1モ
ル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態で、1
80〜235℃で転化率50〜98モル%まで反応させ
た後、(2)アルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜
7.0モルの水が存在する状態となるように水を添加す
るとともに、245〜290℃の温度に昇温して、反応
を継続する二段階重合反応が提案されている。この方法
によれば、重合助剤を添加しなくても、高分子量かつ粒
状のPPSを得ることができる。しかしながら、この方
法では、重合の条件によっては、粒状ポリマーととも
に、粒子径の小さい微粉状のポリマーが比較的多く生成
し、その結果、粒状ポリマーの収率が下がり、後処理の
作業性も低下することがある。したがって、高分子量か
つ粒状のPPSを高収率で得る改善された方法が強く望
まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子量であって、しかも粒状のポリフェニレンスルフィド
を高収率で製造する方法を提供することにある。本発明
者らは、鋭意研究した結果、前記特公昭63−3377
5号に開示されているPPSの二段階重合法に準拠し、
少なくとも第二段階工程の比較的共存水の多い状態の下
で、限定されたごく少量のアルカリ金属カルボン酸塩を
存在させることにより、高分子量かつ粒状のPPSを収
率良く得ることができ、微粉体の生成を抑制できること
を見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成す
るに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳
香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを
製造する方法において、該反応を少なくとも下記の工程
(1)及び工程(2)の二段階工程で行うとともに、少
なくとも工程(2)において、仕込みアルカリ金属硫化
物1モル当たり0.001〜0.20モルのアルカリ金
属カルボン酸塩を存在させることを特徴とするポリフェ
ニレンスルフィドの製造方法が提供される。
【0007】(1)仕込みアルカリ金属硫化物1モル当
たり0.5〜2.4モルの水を含有する有機アミド溶媒
中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを1
70〜270℃の温度で反応させて、ジハロ芳香族化合
物の転化率を50〜98モル%とし、ポリフェニレンス
ルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び(2)
仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜10モ
ルの水が存在する状態となるように反応系に水を添加す
るとともに、245〜290℃の温度で、0.5〜20
時間反応を継続し、ジハロ芳香族化合物の転化率を上昇
させ、かつ、該プレポリマーを高分子量ポリフェニレン
スルフィドに転換する工程。
【0008】以下、本発明について詳述する。 (アルカリ金属硫化物)本発明で用いられるアルカリ金
属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫
化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれ
らの混合物等を好ましいものとして挙げることができ
る。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性
混合物として、あるいは無水物の形で用いることができ
る。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化
物から、反応系においてin situで調製されるア
ルカリ金属硫化物も用いることができる。
【0009】(ジハロ芳香族化合物)本発明で使用され
るジハロ芳香族化合物としては、pージクロロベンゼ
ン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなど
のジハロベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベ
ンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などハロゲン以外の
置換基を含む芳香族化合物も用いられる。なかでも、p
−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを
主成分とするものが好ましい。また、異なる2種以上の
ジハロ芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすること
も可能である。生成重合体の末端を形成させ、あるいは
重合反応ないし分子量を調節するなどのために、モノハ
ロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を併
用したり、分岐または架橋重合体を形成させるためにト
リハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物で
なくてもよい)を併用することも可能である。
【0010】(重合溶媒)本発明では、重合溶媒として
有機アミド溶媒を使用する。有機アミド溶媒としては、
例えば、N−メチル−2−ピロリドン等のN−アルキル
ピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノ
ン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸、トリア
ミド等に代表されるアプロチック有機アミド溶媒、及び
これらの混合物等が、反応の安定性が高いため好まし
い。これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン(以
下、NMPと略記)は、特に好ましい。本発明における
重合溶媒の使用量は、アルカリ金属硫化物1モル当たり
0.2〜1kgの範囲が好ましい。
【0011】(アルカリ金属カルボン酸塩)本発明で使
用アルカリ金属カルボン酸塩は、一般式R(COOM)
n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナ
トリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムから選
ばれるアルカリ金属である。nは、1〜3の整数であ
る。)により表される化合物である。アルカリ金属カル
ボン酸塩は、水和物または水溶液としても用いることが
できる。その場合には、重合反応系の共存水分量が規定
した範囲内になるように調節する必要があり、規定量を
越えるならば、例えば蒸留により過剰の水を除去しなけ
ればならない。
【0012】本発明で使用するアルカリ金属カルボン酸
塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草
酸リチウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、
フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム等、
及び混合物を挙げることができる。アルカリ金属カルボ
ン酸塩は、有機アミド溶媒中で、有機酸と、水酸化アル
カリ金属、炭酸アルカリ金属塩、及び重炭酸アルカリ金
属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほ
ぼ等化学当量づつ添加して、反応させることにより形成
させてもよい。アルカリ金属カルボン酸塩の中でも、安
価で入手し易いことから、特に、酢酸ナトリウムが好ま
しく用いられる。
【0013】(重合反応)本発明では、有機アミド溶媒
中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応
させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法におい
て、該反応を少なくとも前記の二段階工程で行う。これ
らの工程の前後または中間に補助的な工程を付加しても
よい。
【0014】第一段階工程(1) 第一段階工程(1)、即ち、前段重合では、仕込みアル
カリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの水を
含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジ
ハロ芳香族化合物とを170〜270℃、好ましくは1
80〜235℃の温度で反応させて、ジハロ芳香族化合
物の転化率を50〜98モル%とし、ポリフェニレンス
ルフィドのプレポリマーを生成させる。
【0015】工程(1)を開始するに際し、先ず、有機
アミド溶媒に、望ましくは不活性ガス雰囲気下で、常温
〜250℃の範囲でアルカリ金属硫化物及びジハロ芳香
族化合物を加える。アルカリ金属硫化物は、通常、水和
物の形で使用されるが、その含有水量が仕込みアルカリ
金属硫化物1モル当たり0.5モルより少ない場合に
は、必要量を添加補充する。アルカリ金属硫化物の含有
水量が多すぎる場合には、ジハロ芳香族化合物を添加す
る前に、有機アミド溶媒とアルカリ金属硫化物を含む混
合物を150℃から210℃程度まで昇温しながら、常
圧下に過剰量の水を系外に除去する。水を除去し過ぎた
場合には、不足分を添加する。
【0016】工程(1)における反応系の共存水量は、
仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4
モル、好ましくは1.0〜2.0モルの範囲である。共
存水量が0.5モル未満では、生成PPSの分解等の望
ましくない反応が起こり易く、逆に、2.4モルを超過
すると、重合速度が著しく小さくなったり、有機アミド
溶媒や生成PPSの分解が生じ易くなるので、いずれも
好ましくない。
【0017】前段重合は、170〜270℃、好ましく
は180〜235℃の温度範囲で行われる。この温度範
囲であれば、連続的または段階的に変温してもよい。温
度が低すぎると、重合速度が遅くなり過ぎ、270℃を
越えると生成PPSと有機アミド溶媒が分解を起こし易
く、生成するPPSの重合度は、極めて低くなる。特
に、前段重合中にアルカリ金属カルボン酸塩を含まない
場合は、235℃を越えない範囲が好ましい。
【0018】ジハロ芳香族化合物の使用量(仕込量)
は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.9〜
2.0モル、好ましくは0.95〜1.50モルの範囲
が、高分子量のPPSを得るのに好ましい。0.9モル
未満または2.0モルを超過する場合は、加工に適した
高粘度のPPSを得難いので好ましくない。
【0019】前段重合の終点である前段重合から第二段
階工程(2)、即ち、後段重合に切り換える時点は、系
内のジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98モル%に
達した時点である。転化率が50モル%未満では、後段
重合の際、分解等望ましくない反応が起こり、逆に、転
化率が98モル%を超過すると、後段重合を行っても高
重合度のPPSを得難い。転化率85〜95モル%程度
が、安定に高重合度のPPSが得られるので好ましい。
【0020】ここでジハロ芳香族化合物の転化率は、以
下の式で算出したものである。 (a)ジハロ芳香族化合物(DHAと略記)をアルカリ
金属硫化物よりモル比で過剰に添加した場合 (b)上記(a)以外の場合 工程(1)では、通常、溶融粘度(310℃、剪断速度
200/secで測定)が5〜300ポイズ程度の比較
的低分子量のPPSが得られる。そこで、この段階で得
られるPPSをプレポリマーと称する。
【0021】第二段階工程(2) 第二段階工程(2)、即ち、後段重合では、仕込みアル
カリ金属硫化物1モル当たり2.5〜10モルの水が存
在する状態となるように反応系に水を添加し、かつ、2
45〜290℃の温度で、0.5〜20時間反応を継続
し、ジハロ芳香族化合物の転化率を上昇させるととも
に、該プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィ
ドに転換する。本発明では、少なくとも後段重合時に、
反応系に、アルカリ金属カルボン酸塩を仕込みアルカリ
金属硫化物1モル当たり0.001〜0.20モルの限
定されたごく少量の割合で存在させる。
【0022】工程(2)において、反応系中の共存水量
が2.5モル未満または10モルを超過すると、生成P
PSの重合度が低下する。特に、共存水量が3.5〜
7.0モルの範囲で後段重合を行うと、高重合度のPP
Sを得易いので好ましい。工程(2)における重合温度
が245℃未満では、低重合度のPPSしか得られな
い。一方、290℃を越えると、生成PPSや有機アミ
ド溶媒が分解するおそれがある。特に、250〜270
℃の範囲が高重合度のPPSが得られ易いので好まし
い。本発明における後段重合段階は、前段重合で生成し
たPPSの単なる分別・造粒の工程ではなく、前段PP
S(プレポリマー)に重合度の上昇を起こさせるための
ものである。
【0023】工程(2)の重合時間は、0.5〜20時
間、好ましくは1〜15時間、より好ましくは3〜10
時間である。後段重合での重合時間が短過ぎると、低重
合度のPPSしか得られず、逆に、長過ぎても生成PP
Sや有機アミド溶媒の分解が起こり易くなる。前段重合
から後段重合への切り換えは、前段重合で得られたスラ
リーを別の反応容器に移して後段重合条件にして行って
もよいし、前段重合とを後段重合とを同一の反応容器中
で重合条件を変更することによって行ってもよい。水を
添加する時期は、前段重合後であって、反応系を後段重
合の温度にする直前でもよいし、あるいは後段重合の温
度にしてからでもよいが、その後0.5時間以上重合を
続けることが望まれる。
【0024】このような二段階工程による重合反応によ
り、10ポイズ以上、さらには1000ポイズ以上の溶
融粘度(310℃、剪断速度200/secで測定)を
有する高分子量PPSをも得ることができる。また、こ
のPPSは、通常0.10以上、好ましくは0.15以
上、より好ましくは0.20以上の固有粘度〔ηinh
1−クロルナフタレン溶液(濃度0.4g/100m
l)を用い、208℃で測定〕を有している。
【0025】(アルカリ金属カルボン酸塩)本発明で用
いるアルカリ金属カルボン酸塩、あるいは反応系でこれ
を生成させるための化合物は、少なくとも第二段階工程
における反応系に含有されていればよい。したがって、
その添加時期は、前段重合開始前の脱水工程の前、前段
重合開始時、後段重合開始時、あるいはこれらの任意の
組み合わせの時期でよい。後段重合開始時にアルカリ金
属カルボン酸塩を添加する場合には、追加の水とともに
反応系に仕込むことができる。本発明では、アルカリ金
属カルボン酸塩を、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当
たり0.001〜0.2モル、好ましくは0.01〜
0.15モル、より好ましくは0.03〜0.13モル
の限定された範囲で使用する。
【0026】本発明の方法によれば、粒状PPSの収率
を改善することができる。本発明の方法で得られた生成
物について、以下、目開き径150μm(100メッ
シュ)のスクリーンで捕集される(100メッシュ・オ
ン)ポリマーを粒状PPS、100メッシュを通過
し、目開き径38μm(390メッシュ)のスクリーン
で捕集される(100メッシュ・パス&390メッシュ
・オン)ポリマーを微粉体、390メッシュのスクリ
ーンを通過する(390メッシュ・パス)成分中で、大
量の水の添加により析出あるいは酸析により得られるも
のを超微粉体と呼び、説明する。
【0027】本発明の二段階工程によるPPSの重合法
において、前記範囲でアルカリ金属カルボン酸塩を使用
することにより、粒状PPSの収率が向上する。しか
し、アルカリ金属カルボン酸塩の添加量を増やすと、超
微粉体の生成量が増大する傾向が見られる。即ち、アル
カリ金属カルボン酸塩を前記範囲内で増大していくと、
粒状PPSの収率は増加し、微粉体の生成量は減少する
が、超微粉体の生成量が増大するため、アルカリ金属カ
ルボン酸塩の添加による粒状PPSの収率には、限界が
ある。換言すれば、前記二段階重合法において、アルカ
リ金属カルボン酸塩を添加して粒状PPSの収率を改善
する場合、アルカリ金属カルボン酸塩の添加量には、最
適の範囲がある。アルカリ金属カルボン酸塩を添加し、
かつ、反応系の攪拌速度を大きくすることにより、平均
粒子径を増大させることも可能である。しかし、この場
合も、アルカリ金属カルボン酸塩の添加による粒状PP
Sの収率向上効果には限度がある。
【0028】アルカリ金属カルボン酸塩の添加量が0.
001モル未満では、粒状PPSの収率向上効果が小さ
く、一方、0.20モルを越えると、超微粉体の生成量
が多くなり、いずれも粒状ポリマーの収率向上は得られ
ない。粒状PPSの収率を向上させ、かつ、超微粉体の
生成量を抑制するには、仕込みアルカリ金属硫化物1モ
ル当たり0.03〜0.13モルのアルカリ金属カルボ
ン酸塩を使用することが好ましい。仕込みアルカリ金属
硫化物1モル当たりアルカリ金属カルボン酸塩を0.2
0モルを越えて過剰に添加しても、粒状PPSの収率向
上効果に限度があるとともに、生成ポリマーの精製、重
合助剤使用によるコストアップ等の問題を生じる。ま
た、本発明の方法によれば、粒子径分布の分散度の小さ
な粒状PPSを得ることができるため、取扱性や成型加
工性等がより改善される。
【0029】(後処理)本発明の重合方法における後処
理は、常法によっておこなうことができる。すなわち後
段重合反応の終了後、冷却した生成物スラリーをそのま
ま、あるいは水分などで稀釈してから濾別し、水洗濾過
を繰り返して乾燥することにより、PPSを得ることが
できる。
【0030】(生成PPS)本発明方法により、平均粒
径150〜3000μmで、各種取り扱いや成形加工が
容易な粒状PPSが収率よく得られる。本発明の方法で
得られるPPSは、直鎖状に高分子量化されているの
で、射出成形のみならず、シート、フィルム、繊維、パ
イプ等の押出成形品に成型することができる。本発明の
方法により得られるPPSは、単独でも使用できるが、
所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹
脂等を配合して用いてもよい。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明につ
いてさらに具体的に説明する。なお、物性の測定法は、
次の通りである。
【0032】<粒状ポリマーの収率>重合反応終了後の
生成物は、次のように目開きの異なるスクリーンで篩別
し、分別した。目開き径150μm(100メッシュ)
のスクリーンで捕集したものを「粒状ポリマー」とし、
100メッシュを通過したが、目開き径38μm(39
0メッシュ)のスクリーンで捕集したものを「微粉体」
とした。粒状ポリマーと微粉体の収率は、脱水工程後の
オートクレーブ中のNa2Sが全てPPSに転化したと
仮定した重量(理論量)を基準とした。なお、100%
から粒状ポリマーと微粉体の収率の合計を差し引いたロ
ス分の大半は、390メッシュを通過した超微粉体であ
る。
【0033】<固有粘度>PPSの固有粘度(ηinh
は、PPSを1−クロルナフタレンに溶解させた溶液
(濃度0.4g/100ml)を用い、208℃で測定
した。
【0034】<平均粒子径、粒子径分布>PPSの平均
粒子径及び粒子径分布は、JIS K−0069(19
66)に規定されている乾式法に準じ、JIS Z−8
801(1982)に規定されているスクリーンを用い
て測定した。スクリーンの目の開きが異なる8種〔7メ
ッシュ(2800μm)、16メッシュ(1000μ
m)、24メッシュ(710μm)、32メッシュ(5
00μm)、60メッシュ(250μm)、100メッ
シュ(150μm)、150メッシュ(106μm)、
200メッシュ(75μm)〕のふるいを、目開きの小
さいものから大きいものへと順に、受け皿の上へに積み
重ね、最上部の7メッシュのふるいにポリマー試料5
0.0gと静電防止のためカーボンブラック0.3gを
混合したものを入れた。
【0035】電磁式ふるい震盪機A−3型(独国、フリ
ッチェ社製)を用い、3000回/分、振動2秒/中断
0.5秒で15分間振動した後、それぞれのふるいを離
す。各ふるいに残留した試料の重さを測り、重量百分率
を求めた。次に、対数正規確率紙に粒度分布曲線を作成
し、累積50重量%の粒子径を平均粒子径とした。ま
た、その粒度分布曲線において、累積5重量%と95重
量%の点を直線で結び、その傾きを粉体比表面積計算用
対数確率紙に目盛られている分散度log10σに合わせ
て読みとり、分散度とした。σは幾何標準偏差である。
【0036】[比較例1]20リットルのオートクレー
ブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を670
0gと、46.24重量%の硫化ナトリウム(Na
2S)を含む硫化ナトリウム・5水塩結晶を3800g
仕込み、窒素ガスで置換後、約4時間かけて撹拌しなが
ら、徐々に200℃まで昇温して、水1503g、NM
P1281g、及び0.52モルのH2Sを溜出させ
た。缶内の有効硫化ナトリウムは、21.99モルであ
る。
【0037】上記脱水工程の後、150℃まで冷却し、
p−ジクロロベンゼン(以下、p−DCBと略記)33
95g(1.05モル/硫化ナトリウム1モル)と、N
MP2828g、及び水73gを加え(缶内の合計水量
は1.5モル/硫化ナトリウム1モル)、撹拌機の回転
数300rpmで撹拌しながら220℃で4.5時間反
応させ前段重合を行った。前段重合終了後、スラリーを
少量サンプリングし残存p−DCB量をガスグロマトグ
ラフ法によって求め、前記の転化率を算出する式(a)
に従って転化率を求めたところ、94.7%であった。
【0038】次に、撹拌機の回転数を350rpmに上
げ、撹拌を続けながら水448gを圧入し(缶内の合計
水量は2.6モル/硫化ナトリウム1モル)、255℃
に昇温して、5時間反応させ、後段重合を行った。後段
重合終了時のp−DCBの転化率は、100%であっ
た。後段重合終了後、室温付近まで冷却してから、内容
物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマー
を篩別し、アセトン洗3回、水洗を7回行った。粒状ポ
リマーは、100℃で一昼夜乾燥した。かくして得られ
た粒状ポリマーは、平均粒子径390μm、分散度0.
26、収率79%、固有粘度0.23であった。また、
100メッシュ通過成分中、390メッシュのスクリー
ンで捕集した微粉体の収率は、12%であった。
【0039】[実施例1]比較例1と同様の処方で仕込
み、脱水工程を行ったところ、水1559g、NMP1
370g、及び0.52モルのH2Sが留出した。缶内
の有効硫化ナトリウムは、21.99モルである。さら
に、比較例1と同様にして、p−DCB3395g
(1.05モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP29
17g、及び水129gを加え(缶内の合計水量は1.
5モル/硫化ナトリウム1モル)、前段重合を行った。
前段重合終了時のp−DCBの転化率は、94.9%で
あった。
【0040】次に、撹拌を続けながら、酢酸ナトリウム
無水物(純度98.5%)183g(0.1モル/硫化
ナトリウム1モル)と水448gからなる混合液を圧入
し(缶内の合計水量は2.6モル/硫化ナトリウム1モ
ル)、後段重合を行った。後段重合終了時のp−DCB
の転化率は、100%であった。比較例1と同様に生成
物を処理し、平均粒子径380μm、分散度0.15、
固有粘度0.23の粒状ポリマーを収率90%で得た。
微粉体の収率は、3.3%であった。
【0041】[比較例2]比較例1と同様の処方で仕込
み、脱水工程を行ったところ、水1511g、NMP1
275g、及び0.54モルのH2Sが留出した。缶内
の有効硫化ナトリウムは、21.98モルである。次い
で、比較例1と同様にして、p−DCBを3360g
(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP28
18g、及び水82gを加え(缶内の合計水量は1.5
モル/硫化ナトリウム1モル)、前段重合を行った。前
段重合終了時のp−DCBの転化率は、94.5%であ
った。
【0042】次に、撹拌を続けながら、水448gを圧
入し(缶内の合計水量は2.7モル/硫化ナトリウム1
モル)、後段重合を行った。後段重合終了時のp−DC
Bの転化率は99.8%であった。比較例1と同様に生
成物を処理し、平均粒子径510μm、分散度0.2
7、固有粘度0.25の粒状ポリマーを、収率78%で
得た。微粉体の収率は、13%であった。
【0043】[実施例2]比較例1と同様の処方で仕込
み、脱水工程を行ったところ、水1555g、NMP1
318g、及び0.55モルのH2Sが溜出した。缶内
の有効硫化ナトリウムは、21.97モルである。さら
に、比較例2と同様にして、p−DCB3359g
(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP28
57g、及び水126gを加え(缶内の合計水量は1.
5モル/硫化ナトリウム1モル)、前段重合を行った。
前段重合終了時のp−DCBの転化率は、94.3%で
あった。
【0044】次に、酢酸ナトリウム無水物(純度98.
5%)91g(0.05モル/硫化ナトリウム)と水4
47gから成る混合液を圧入し(缶内の合計水量は2.
6モル/硫化ナトリウム1モル)、後段重合を行った。
後段重合終了時のp−DCBの転化率は、99.8%で
あった。比較例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径
390μm、分散度0.19、固有粘度0.25の粒状
ポリマーを、収率87%で得た。微粉体の収率は、7.
3%であった。
【0045】[実施例3]比較例1と同様の処方で仕込
み、ほぼ同じ条件で脱水工程を行ったところ、水152
8g、NMP1298g、及び0.53モルのH2Sが
溜出した。缶内の有効硫化ナトリウムは、21.99モ
ルである。さらに、比較例2と同様にして、p−DCB
3361g(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、
NMP2842g、及び水99gを加え(缶内の合計水
量は1.5モル/硫化ナトリウム1モル)、前段重合を
行った。前段重合終了時のp−DCBの転化率は、9
4.4%であった。
【0046】次に、酢酸ナトリウム無水物(純度98.
5%)183g(0.1モル/硫化ナトリウム1モル)
と水447gからなる混合液を圧入し(缶内の合計水量
は2.6モル/硫化ナトリウム1モル)、後段重合を行
った。後段重合終了時のp−DCBの転化率は、99.
8%であった。比較例1と同様に生成物を処理し、平均
粒子径460μm、分散度0.16、固有粘度0.26
の粒状ポリマーを収率90%で得た。微粉体の収率は、
3.3%であった。
【0047】[実施例4]20リットルのオートクレー
ブにNMP6700gと、純度46.24重量%のNa
Sを含む硫化ナトリウム・5水塩結晶3800g、
及び酢酸ナトリウム無水物(純度98.5%)187g
(0.1モル/硫化ナトリウム1モル)を仕込み、窒素
ガスで置換後、約4時間かけて撹拌しながら徐々に20
0℃まで昇温して、水1470g、NMP1398g、
及びH2S0.54モルを溜出させた。缶内の有効硫化
ナトリウムは、21.96モルである。上記脱水工程の
後、比較例2と同様にして、p−DCB3360g
(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP29
39g、及び水40gを加え(缶内の合計水量は1.5
モル/硫化ナトリウム1モル)を加え、撹拌しながら2
20℃で4.5時間反応させ前段重合をおこなった。p
−DCBの転化率は、95.1%であった。
【0048】次いで、撹拌を続けながら、水447gを
圧入し(缶内の合計水量は2.6モル/硫化ナトリウム
1モル)、255℃に昇温し、5時間後段重合を行っ
た。後段重合終了時のp−DCBの転化率は、99.8
%であった。比較例1と同様に生成物を処理し、平均粒
子径510μm、分散度0.16、固有粘度0.25の
粒状ポリマーを収率90%で得た。微粉体の収率は、
4.0%であった。
【0049】[実施例5]比較例1と同様の処方で仕込
み、脱水工程をおこなったところ、水1477g、NM
P1323g、及び0.56モルのH2Sが溜出した。
缶内の有効硫化ナトリウムは、21.96モルである。
さらに、比較例2と同様にして、p−DCB3357g
(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP28
64g、及び水48gを加え(缶内の合計水量は1.5
モル/硫化ナトリウム1モル)、前段重合をおこなっ
た。前段重合終了時のp−DCBの転化率は、94.5
%であった。
【0050】前段重合後、一度室温付近まで冷却し、開
缶して、酢酸ナトリウム無水物(純度98.5%)27
4g(0.15モル/硫化ナトリウム1モル)と水44
7gを加え(缶内の合計水量は2.6モル/硫化ナトリ
ウム1モル)、引き続き後段重合を行った。後段重合終
了時のp−DCBの転化率は、99.8%であった。比
較例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径1370μ
m、分散度0.14、固有粘度0.26の粒状ポリマー
を収率84%で得た。微粉体の収率は、0.6%であっ
た。
【0051】[比較例3]比較例1と同様の処方で仕込
み、脱水工程を行ったところ、水1526g、NMP1
349g、及びH2S0.56モルが溜出した。缶内の
有効硫化ナトリウムは、21.96モルである。さら
に、比較例1と同様にして、p−DCB3293g
(1.02モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP28
85g、水96gを加え(缶内の合計水量は1.5モル
/硫化ナトリウム1モル)、前段重合を行った。前段重
合終了時のp−DCBの転化率は、93.1%であっ
た。
【0052】次いで、水447gを圧入し(缶内の合計
水量は2.6モル/硫化ナトリウム1モル)、後段重合
を行なった。p−DCBの転化率は99.5%であっ
た。比較例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径45
0μm、分散度0.30、固有粘度0.33の粒状ポリ
マーを86%の収率で得た。微粉体の収率は、7.5%
であった。
【0053】[実施例6]比較例1と同様の処方で仕込
み、脱水工程を行ったところ、水1524g、NMP1
372g、及び0.54モルのH2Sが溜出した。缶内
の有効硫化ナトリウムは、21.98モルである。さら
に、比較例3と同様にして、p−DCB3296g
(1.02モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP29
14g、及び水95gを加え(缶内の合計水量は1.5
モル/硫化ナトリウム1モル)、前段重合を行った。前
段重合終了時のp−DCBの転化率は93.3%であっ
た。
【0054】次いで、酢酸ナトリウム無水物(純度9
8.5%)183g(0.1モル/硫化ナトリウム1モ
ル)と水448gから成る混合液を圧入し(缶内の合計
水量は2.6モル/硫化ナトリウム1モル)、後段重合
を行った。比較例1と同様に生成物を処理し、92%の
収率で粒状ポリマーを得た。この粒状ポリマーは、平均
粒子径が1700μm、粒径分散度が0.16、固有粘
度が0.34であった。微粉体の収率は、0.8%であ
った。
【0055】[実施例7]46.04%のNa2Sを含
む硫化ナトリウムを用いた以外は、比較例1と同様に仕
込み、脱水工程を行ったところ、水1438g、NMP
1380g、及び0.47モルのH2Sが溜出した。缶
内の有効硫化ナトリウムは、21.95モルである。比
較例2と同様にして、p−DCBを3355g(1.0
4モル/硫化ナトリウム1モル)とNMPを2909g
を加え、攪拌機の回転数350rpmで攪拌しながら前
段重合を行った。ここでは新たに水を添加しなかったた
め、この工程中の水量は、硫化ナトリウム1モルに対し
1.5モルである。前段重合終了時のp−DCBの転化
率は、94.1%であった。
【0056】続いて、攪拌機の回転数を400rpmに
上げ、攪拌を続けながら、酢酸ナトリウム無水物183
g(0.1モル/硫化ナトリウム)と水447gからな
る混合液を圧入し(缶内の合計水量は2.6/硫化ナト
リウム1モル)、後段重合を行なった。後段重合終了時
のp−DCBの転化率は、100%であった。後段重合
終了後は、室温まで冷却し、内容物の約750gを均一
にサンプリングし、これを比較例1と同様に処理して、
平均粒子径1070μm、分散度0.15、固有粘度
0.28の粒状ポリマーを収率93%で得た。微粉体の
収率は、0.2%であった。
【0057】[実施例8]46.06重量%のNa2
を含む硫化ナトリウム・5水塩結晶を用いた以外は、実
施例7と同様に仕込み、脱水工程を行ったところ、水1
429g、NMP1288g、及び0.50モルのH2
Sが溜出した。缶内の有効硫化ナトリウムは、21.9
3モルである。実施例7と同様にして、p−DCBを3
353g(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)とN
MPを2812gを加え、前段重合を行った。ここで
は、新たに水を添加しなかったため、この工程中の水量
は、硫化ナトリウム1モルに対し1.5モルである。前
段重合終了時のp−DCBの転化率は、94.5%であ
った。
【0058】前段重合終了後、一度室温付近まで冷却
し、酢酸ナトリウム無水物365g(0.2モル/硫化
ナトリウム1モル)と水447gを開缶して加え(缶内
の合計水量は2.6/硫化ナトリウム1モル)、引き続
き後段重合を行なった。後段重合終了時のp−DCBの
転化率は、100%であった。後段重合終了後の処理
は、実施例7と同様に行い、平均粒子径1390μm、
分散度0.18、固有粘度0.29の粒状ポリマーを収
率93%で得た。微粉体の収率は、0.7%であった。
以上の実施例及び比較例の仕込みモノマー比、重合条
件、生成ポリマーの性状を表1に示した。
【0059】
【表1】 (脚注) (*1)後段重合時に添加。 (*2)重合仕込み時に添加。 (*3)100メッシュ・オン成分。 (*4)100メッシュ・パスであって、390メッシ
ュ・オン成分。 (*5)390メッシュ・パス成分である。主に超微粉
体である。
【0060】モノマーの仕込比、即ち、p−DCB/N
2Sは、1に近い方が一般に分子量は大きく粒径も上
がる傾向にある。したがって、同じモノマー仕込み比で
比較すると、ほぼ同じ固有粘度のポリマー間の性状の差
異が分かる。撹拌条件が同じ場合で見ると、微粉体の生
成量は、アルカリ金属カルボン酸塩の添加量が増加する
に伴って減少する。しかし、390メッシュ・パスの超
微粉体の生成量は、増加する傾向を示すので、粒状ポリ
マーの収率は、アルカリ金属カルボン酸塩の添加量の増
大と単純な比例関係にはない。アルカリ金属カルボン酸
塩無添加の比較例2では、平均粒子径はある程度大きい
が、分散度は広く収率も低い。撹拌条件を変えて、撹拌
機の回転数を上げた実施例7及び実施例8では、粒状ポ
リマーの収率が向上し、また、平均粒子径も大きく、微
粉体の生成が少なくなっている。
【0061】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、高分子量で
あって、しかも粒状のポリフェニレンスルフィドを高収
率で製造することができる。具体的には、本発明によれ
ば、共存水量を重合前段と後段とで顕著に異ならせるP
PSの二段階重合法において、少なくとも後段重合時に
ごく少量のアルカリ金属カルボン酸塩を含有させること
により、経済的に粒状ポリマーを高収率で得ることがで
きる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物
    とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンス
    ルフィドを製造する方法において、該反応を少なくとも
    下記の工程(1)及び工程(2)の二段階工程で行うと
    ともに、少なくとも工程(2)において、仕込みアルカ
    リ金属硫化物1モル当たり0.001〜0.20モルの
    アルカリ金属カルボン酸塩を存在させることを特徴とす
    るポリフェニレンスルフィドの製造方法。 (1)仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜
    2.4モルの水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカ
    リ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270
    ℃の温度で反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率を
    50〜98モル%とし、ポリフェニレンスルフィドのプ
    レポリマーを生成させる工程、及び (2)仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜
    10モルの水が存在する状態となるように反応系に水を
    添加するとともに、245〜290℃の温度で、0.5
    〜20時間反応を継続し、ジハロ芳香族化合物の転化率
    を上昇させ、かつ、該プレポリマーを高分子量ポリフェ
    ニレンスルフィドに転換する工程。
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