JP2024107051A - カテーテル - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カテーテルに関する。
一般にカテーテルと称されるチューブ状の医療器具は、生体を大きく切開することなく必要な治療等を施すことが可能であり、また、患者や医師に対する負担も軽いことから、病院等の医療機関においては欠くことができない医療器具の一つとなっている。
このようなカテーテルは、血管を介するなどして生体内の所定の位置に挿入されて使用されるため、細径であり、折曲性を有し、かつ、優れた摺動性を有することが求められる。摺動性を向上させる方法としては、先端部に親水性コーティングを施し、親水層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、従来の親水性コーティングは、防汚性の観点からは最適とは言えない。一方、防汚性を持つ化学物質としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が知られており、防汚性をもつカテーテルを得る方法としては、先端をPTFEでコーティングする方法が挙げられる。しかしながら、PTFEコーティングは、バインダー(接着剤)を介して形成する必要があり、そのため、折曲性の低下、太径化の要因となる。また、PTFEコーティングは、焼付け工程を要し、製造効率の観点からも問題がある。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、優れた摺動性、折曲性を有しながら、細径であり、かつ、防汚性に優れるカテーテルを提供することにある。
本発明のカテーテルは、管状部材と、該管状部材の表面の少なくとも一部を覆う被覆層とを備え、該被覆層が、有機ポリシラザンを含む。
1つの実施形態においては、上記有機ポリシラザンが、一般式(1)で表される構成単位を含む。
式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基を表し、R1、R2、R3のいずれか1つは水素原子以外であり、nは正の整数である。
1つの実施形態においては、上記被覆層が形成された部分の長さが、0.1mm~100mmである。
1つの実施形態においては、上記被覆層の厚みが、50μm以下である。
1つの実施形態においては、上記被覆層が、上記管状部材に直接積層している。
1つの実施形態においては、上記管状部材の一部に上記被覆層が形成され、該被覆層が形成されていない部分において、親水層が形成されている。
1つの実施形態においては、上記有機ポリシラザンが、一般式(1)で表される構成単位を含む。
1つの実施形態においては、上記被覆層が形成された部分の長さが、0.1mm~100mmである。
1つの実施形態においては、上記被覆層の厚みが、50μm以下である。
1つの実施形態においては、上記被覆層が、上記管状部材に直接積層している。
1つの実施形態においては、上記管状部材の一部に上記被覆層が形成され、該被覆層が形成されていない部分において、親水層が形成されている。
本発明によれば、有機ポリシラザンを含む被覆層を形成することにより、優れた摺動性を有しながら、細径であり、かつ、折曲性に優れるカテーテルを提供することができる。また、本発明のカテーテルは、防汚性に優れる点、例えば、当該カテーテルから吐出される接着剤の付着が防止される点でも、有利である。
A.カテーテルの概要
図1は、本発明の1つの実施形態によるカテーテルの概略図である。また、図2は、本発明の1つの実施形態によるカテーテルのIIa線による概略断面図である。この実施形態によるカテーテル100は、管状部材10と、管状部材10の少なくとも一部を覆う被覆層20とを備える。一般に、管状部材は、細径で内部が空洞の長尺状である。被覆層20は、有機ポリシラザンを含む。
図1は、本発明の1つの実施形態によるカテーテルの概略図である。また、図2は、本発明の1つの実施形態によるカテーテルのIIa線による概略断面図である。この実施形態によるカテーテル100は、管状部材10と、管状部材10の少なくとも一部を覆う被覆層20とを備える。一般に、管状部材は、細径で内部が空洞の長尺状である。被覆層20は、有機ポリシラザンを含む。
管状部材10は、基端(近位端)11および先端(遠位端)12を有する。1つの実施形態においては、被覆層20は、管状部材10の先端部に形成される。なお、本明細書において、先端とは体腔内の治療領域に到達させる側の端部を意味し、基端とは先端とは反対側の端部を意味する。
被覆層20は、図示例のように管状部材10の外側表面に形成されていてもよく、管状部材の内側表面に形成されていてもよく、管状部材の外側表面および内側表面に形成されていてもよい。
本発明においては、有機ポリシラザンを含む被覆層を備えることにより、摺動性に優れるカテーテルを得ることができる。また、上記カテーテルの被覆層形成部分が、折曲性に優れる点でも有利である。
1つの実施形態においては、被覆層が、上記管状部材に直接積層している。有機ポリシラザンを含む被覆層は、バインダー(接着剤、プライマー層等)を介することなく、管状部材上に直接積層することができる。被覆層を直接形成することにより、径の細いカテーテルを得ることができる。また、剛性増加の原因となる層を省略することができるため、柔軟性に優れるカテーテルを得ることができる。
また、被覆層を形成することにより、防汚性に優れるカテーテルを得ることができる。例えば、カテーテル注入物が、カテーテル表面に付着することを防止することができる。特に、管状部材の先端に被覆層を形成した場合には、カテーテルからの吐出物が当該カテーテルに付着することが防止される。このような特徴を有する本発明のカテーテルは、接着剤を注入する際に、特に有用である。
1つの実施形態においては、管状部材表面の一部に上記被覆層が形成され、被覆層が形成されていない部分には、親水層が形成される。
上記カテーテルは、公知のその他の部材をさらに備え得る。例えば、各種ポート、各種コネクタ、操作用部材、マンドレル、ボールチップ、マーカー、バルーン等が備えられ得る。これらの部材は、当業界で周知の部材であるため、詳細な説明は省略する。
カテーテルとしては、特に限定されず、例えば、ガイディングカテーテル、造影用カテーテル、PTCA用、PTA用、IABP用等の各種バルーンカテーテル、超音波カテーテル、アテレクトミーカテーテル、内視鏡用カテーテル、留置カテーテル、薬液投与用カテーテル、マイクロカテーテル等が挙げられる。
B.管状部材
上記のとおり、管状部材は、細径で内部が空洞の長尺状である。管状部材は、分岐していてもよい。
上記のとおり、管状部材は、細径で内部が空洞の長尺状である。管状部材は、分岐していてもよい。
管状部材の長さは、用途に応じて、任意の適切な長さとされ得る。管状部材の長さは、例えば、20cm~200cmである。
管状部材の厚さは、用途に応じて、任意の適切な厚さとされ得る。管状部材の厚さは、例えば、0.01mm~0.8mmであり、好ましくは0.05mm~0.5mmである。
管状部材の断面形状は、任意の適切な形状であり得る。好ましくは、略円形状である。管状部材の内径は、用途に応じて、任意の適切な内径とされ得る。管状部材の内径は、例えば、0.3mm~4mmである。
管状部材10は、単層構成であってもよく(図2)、多層構成であってもよい。管状部材を構成する材料としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な材料が用いられ得る。1つの実施形態においては、管状部材は、高分子材料から構成される。高分子材料としては、可撓性を発現し得る材料が好ましい。高分子材料としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、トランスイソプレン系樹脂、フッ素ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。これらの高分子材料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。管状部材が多層構成である場合、当該管状部材は、それぞれ異なる高分子材料から形成された複数層を有していてもよく、それぞれ同じ高分子材料から形成された複数層を有していてもよい。また、長さ方向のセグメント毎に異なる高分子材料で管状部材を構成してもよい。1つの実施形態においては、被覆層との親和性の観点から、高分子材料として、ポリアミド系樹脂が用いられる。このような高分子材料を用いれば、密着性よく被覆層を形成することができる。
管状部材には、任意の適切な処理がなされていてもよい。例えば、管状部材には、金属細線による補強処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面改質処理、カップリング処理等がなされていてもよい。
C.被覆層
上記のとおり、被覆層は、有機ポリシラザンから構成される。有機ポリシラザンとは、-Si-N-を基本構造単位として有し、かつ、当該構造単位中に有機基を有するポリマーである。
上記のとおり、被覆層は、有機ポリシラザンから構成される。有機ポリシラザンとは、-Si-N-を基本構造単位として有し、かつ、当該構造単位中に有機基を有するポリマーである。
有機ポリシラザンとしては、例えば、一般式(1)で表される構成単位を含むポリマーが挙げられる。
式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、または無置換若しくは置換基を有するアルケニル基を表し、R1、R2、R3のいずれか一つは水素原子以外である。nは正の整数である。
無置換若しくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基等の炭素数2~10のアルケニル基が挙げられる。
アルキル基およびアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、グリシドキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等が挙げられる。
1つの実施形態においては、有機ポリシラザンは、一般式(2-1)で表される構成単位、(2-2)で表される構成単位および(2-3)で表される構成単位を含む。
式(2-1)中、R1-2は、無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。
式(2-2)中、R2-1およびR2-2はそれぞれ独立して、無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。
式(2-3)中、R3-1は、水素原子または無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。R3-2は、無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。R3-3は、無置換若しくは置換基を有するアルキル基であり、良好な密着性を得るために、置換基として-Si(OR)3で表されるアルコキシシリル基(Rは1~20)を含んでいてもよい。これらの官能基は、芯材を構成する金属材料に対応させて適宜選択することができる。
式(2-2)中、R2-1およびR2-2はそれぞれ独立して、無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。
式(2-3)中、R3-1は、水素原子または無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。R3-2は、無置換若しくは置換基を有するアルキル基である。R3-3は、無置換若しくは置換基を有するアルキル基であり、良好な密着性を得るために、置換基として-Si(OR)3で表されるアルコキシシリル基(Rは1~20)を含んでいてもよい。これらの官能基は、芯材を構成する金属材料に対応させて適宜選択することができる。
式(2-1)~(2-3)中、x、yおよびzは正の整数である。x、yおよびzの比は、(5~90):(5~90):(5~90)である。
上記有機ポリシラザンは、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
有機ポリシラザンの数平均分子量は、好ましくは500~4500である。このような範囲であれば、摺動性および折曲性に優れるカテーテルを得ることができる。
上記被覆層の厚みは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは1μm~10μmである。このような範囲であれば、被覆層による剛性増加が少なく、柔軟性および折曲性に優れるカテーテルを得ることができる。柔軟性および折曲性の観点からは、被覆層の厚みは薄いほど好ましい。
上記被覆層が形成された部分の長さは、好ましくは0.1mm~100mmであり、より好ましくは1mm~80mmである。このような範囲であれば、吐出接着剤の付着が好ましく防止されたカテーテルを得ることができる。なお、被覆層が形成された部分においては、管状部材の全周にわたり被覆層が形成されていることが好ましい。また、被覆層が形成されていない部分においては、被覆層の表面に親水層が形成されていてもよい。親水層の詳細は後述する。
上記被覆層は、任意の適切な方法により形成することができる。1つの実施形態においては、有機ポリシラザンを含む被覆層形成用組成物を、管状部材の所定の領域に塗工することにより、被覆層が形成される。上記被覆層形成用組成物は、有機ポリシラザンを所定の溶媒に溶解して調製され得る。
上記溶媒としては、有機ポリシラザンを溶解させ得る限り、任意の適切な溶媒が用いられる。当該溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2-メチルブタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン等が挙げられる。
上記被覆層形成用組成物における有機ポリシラザンの濃度は、好ましくは5重量%~40重量%であり、このような範囲であれば、均一性よく好ましい厚さの被覆層を形成することができる。
上記被覆層形成用組成物の粘度は、コーティング可能な粘度であれば特に限定されるものではない。被覆層形成用組成物の粘度を適切に調整することにより、良好な被覆層を形成することができる。
上記被覆層形成用組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用される。代表的には、ディップコート法、スプレーコート法や流し塗り法などが採用される。
好ましくは、被覆層形成用組成物を管状部材に塗布した後、加熱処理が行われる。加熱処理により、溶剤が揮発し、また、塗布層が硬化して、管状部材に密着した被覆層が形成される。
上記のようにして形成される被覆層は、例えば、管状部材のOH基と有機ポリシラザンのSiH基との脱水反応;管状部材のOH基と有機ポリシラザンのNH基との脱アンモニア反応;または有機ポリシラザンのSiN基が加水分解(例えば、雰囲気中の水分による加水分解)した後、管状部材のOH基と加水分解により生じたシラノール基との脱水反応;等の作用により、管状部材に密着し得る。
上記被覆層形成用組成物をSUS304板に塗工して塗工層を形成した際の該塗工層の純水に対する接触角は、好ましくは100°~120°であり、より好ましくは105°~115°である。このような塗工層を形成し得る被覆層形成用組成物を用いて被覆層を形成すれば、摺動性に優れるカテーテルを得ることができる。
上記被覆層形成用組成物をSUS304板に塗工して塗工層を形成した際の該塗工層の静摩擦係数は、好ましくは0.05~0.15である。このような塗工層を形成し得る被覆層形成用組成物を用いて被覆層を形成すれば、摺動性に優れるカテーテルを得ることができる。
上記被覆層形成用組成物をSUS304板に塗工して塗工層を形成した際の該塗工層の動摩擦係数は、好ましくは0.01~0.12である。このような塗工層を形成し得る被覆層形成用組成物を用いて被覆層を形成すれば、摺動性に優れるカテーテルを得ることができる。
D.親水層
1つの実施形態においては、上記のとおり、管状部材の被覆層が形成されていない部分(外側表面および/または内側表面)には、該芯材の表面に親水層が形成される。親水層を形成することにより、体腔内での摺動性に優れるカテーテルを得ることができる。
1つの実施形態においては、上記のとおり、管状部材の被覆層が形成されていない部分(外側表面および/または内側表面)には、該芯材の表面に親水層が形成される。親水層を形成することにより、体腔内での摺動性に優れるカテーテルを得ることができる。
親水層は、任意の適切な親水性材料を管状部材に塗工して形成することができる。親水性材料としては、例えば、セルロース系、ポリエチレンオキサイド系、無水マレイン酸系、アクリルアミド系等の高分子材料が挙げられる。
上記親水層が形成された部分の長さは、好ましくは100mm~1500mmであり、より好ましくは200mm~1200mmである。また、親水層が形成された部分の長さは、管状部材の長さに対して、好ましくは15%~92%であり、より好ましくは50%~90%であり、さらに好ましくは60%~85%である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
[実施例1]
ポリアミド系樹脂構成の管状部材(厚み:0.09mm、内径:0.4mm)の先端に、下記構造式(3-1)~(3-3)で表される構造単位を有する有機ポリシラザンを含む炭化水素系溶剤に溶解して調製された被覆層形成用組成物A(有機ポリシラザン濃度:約20重量%)に浸漬することにより、管状部材の表面(長さ:60mm)に被覆層形成用組成物Aを塗布した。その後、室温で72時間以上静置し、管状部材の表面(外側および内側)に厚さ2μm程度の被覆層を形成させて、カテーテルを想定した評価サンプル(1)を作製した。評価サンプル(1)について、下記の評価方法により、防汚性、抗接着剤耐性および折曲性を評価した。結果を表1に示す。
ポリアミド系樹脂構成の管状部材(厚み:0.09mm、内径:0.4mm)の先端に、下記構造式(3-1)~(3-3)で表される構造単位を有する有機ポリシラザンを含む炭化水素系溶剤に溶解して調製された被覆層形成用組成物A(有機ポリシラザン濃度:約20重量%)に浸漬することにより、管状部材の表面(長さ:60mm)に被覆層形成用組成物Aを塗布した。その後、室温で72時間以上静置し、管状部材の表面(外側および内側)に厚さ2μm程度の被覆層を形成させて、カテーテルを想定した評価サンプル(1)を作製した。評価サンプル(1)について、下記の評価方法により、防汚性、抗接着剤耐性および折曲性を評価した。結果を表1に示す。
<防汚性>
実施例1で得た評価サンプル(1)の被覆層の防汚性を下記の方法で評価した。
カテーテルを油性インク(シャチハタ社製 朱の油)へ浸漬後、インクの弾き性を確認した。弾き性については、油性インク浸漬5分後にインクが弾かれることによりカテーテル表面が露出したものを〇とし、カテーテル表面が露出しないものを×とした。
また、上記浸漬後ペーパータオル等(例えばKuraray製 クラクリーンワイパー)にてインクを拭き取り可能かを確認した。
<抗接着剤耐性>
実施例1で得られた評価サンプル(1)について、抗接着剤耐性を以下の方法で評価した。
接着剤(東亞合成製 アロンアルファ)と油性造影剤(ゲルベ・ジャパン製 リピオドール)を1:1に混合した液および疑似血液を、ABS樹脂等からなる長さ30mmの硬質樹脂パイプへ4:1の割合で注入した後、カテーテル先端30mmをパイプに挿入し、パイプ内の液を十分に混和後、カテーテルを挿入したまま硬化するまで静置した。硬化後、カテーテルのパイプに挿入されていない部分に所定の衝撃荷重をカテーテルがパイプから抜け出るまで繰り返し加え、カテーテルがパイプから抜け出るまでの衝撃荷重を加えた回数を確認した。
カテーテルがパイプから抜け出るまでの衝撃荷重を加えた回数の平均にて、抗接着剤耐性を評価した。
<折曲性>
実施例1で得られた評価サンプル(1)について、折曲性を以下の方法で評価した。
評価サンプル(1)を任意の一か所から折り曲げて、二つ折り状となるように、約180°に1回折り曲げた。折り曲げた状態で放置後、折り曲げた部位の被膜状態を市販のマイクロスコープで拡大して、被膜の割れや剥離の有無を目視により観察した。
実施例1で得た評価サンプル(1)の被覆層の防汚性を下記の方法で評価した。
カテーテルを油性インク(シャチハタ社製 朱の油)へ浸漬後、インクの弾き性を確認した。弾き性については、油性インク浸漬5分後にインクが弾かれることによりカテーテル表面が露出したものを〇とし、カテーテル表面が露出しないものを×とした。
また、上記浸漬後ペーパータオル等(例えばKuraray製 クラクリーンワイパー)にてインクを拭き取り可能かを確認した。
<抗接着剤耐性>
実施例1で得られた評価サンプル(1)について、抗接着剤耐性を以下の方法で評価した。
接着剤(東亞合成製 アロンアルファ)と油性造影剤(ゲルベ・ジャパン製 リピオドール)を1:1に混合した液および疑似血液を、ABS樹脂等からなる長さ30mmの硬質樹脂パイプへ4:1の割合で注入した後、カテーテル先端30mmをパイプに挿入し、パイプ内の液を十分に混和後、カテーテルを挿入したまま硬化するまで静置した。硬化後、カテーテルのパイプに挿入されていない部分に所定の衝撃荷重をカテーテルがパイプから抜け出るまで繰り返し加え、カテーテルがパイプから抜け出るまでの衝撃荷重を加えた回数を確認した。
カテーテルがパイプから抜け出るまでの衝撃荷重を加えた回数の平均にて、抗接着剤耐性を評価した。
<折曲性>
実施例1で得られた評価サンプル(1)について、折曲性を以下の方法で評価した。
評価サンプル(1)を任意の一か所から折り曲げて、二つ折り状となるように、約180°に1回折り曲げた。折り曲げた状態で放置後、折り曲げた部位の被膜状態を市販のマイクロスコープで拡大して、被膜の割れや剥離の有無を目視により観察した。
また、実施例1で用いた被覆層形成用組成物AをSUS板(市販品)に塗布して、評価サンプル(1)と同様の被膜形成を行い、評価サンプル(2)を得た。得られた評価サンプル(2)について、下記の評価方法により、接触角(純水)と摩擦係数とを測定した。結果を表2に示す。
<接触角(純水)>
協和界面科学社製の商品名「DropMaster500」を用いて、純水(液量2μL)の接触角を測定した。
<摩擦係数>
新東化学株式会社製の「表面性測定機トライボステーション TYPE:32」を用い、下記の条件にて、塗工層の静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
(摩擦係数測定条件)
荷重:100g
圧子:平面圧子(10mm×10mm)
移動速度:30mm/min(静摩擦係数)、600mm/min(動摩擦係数)
<接触角(純水)>
協和界面科学社製の商品名「DropMaster500」を用いて、純水(液量2μL)の接触角を測定した。
<摩擦係数>
新東化学株式会社製の「表面性測定機トライボステーション TYPE:32」を用い、下記の条件にて、塗工層の静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
(摩擦係数測定条件)
荷重:100g
圧子:平面圧子(10mm×10mm)
移動速度:30mm/min(静摩擦係数)、600mm/min(動摩擦係数)
[比較例1]
被覆層として親水層を備える市販のカテーテルを入手し、評価サンプル(1)と同様に、防汚性、抗接着剤耐性および折曲性の評価を行った。結果を表1に示す。
被覆層として親水層を備える市販のカテーテルを入手し、評価サンプル(1)と同様に、防汚性、抗接着剤耐性および折曲性の評価を行った。結果を表1に示す。
[結果]
実施例1で得られた評価サンプル(1)は表1に示すように、油性インク浸漬5分後、カテーテル表面が露出しており、インクを拭き取り可能で、防汚性が良好であり、カテーテルがパイプから抜け出すまでに入力した衝撃の回数は平均6.6回であり、優れた抗接着剤耐性が認められた。これに対して、比較例1は表1に示すように、油性インク浸漬5分後、カテーテル表面が露出せず、インクを拭き取り不可能であり、カテーテルがパイプから抜け出すまでに入力した衝撃の回数は平均21.2回であった。また、折曲性においては、実施例1、比較例1とも差はなく、実施例1で得られた評価サンプル(1)は、比較例1と同等の折曲性が認められた。
実施例1の被覆層形成用組成物Aについては、評価サンプル(2)について、接触角(純水)も108°と優れた撥水性を有し、静摩擦係数が0.095、動摩擦係数0.057と優れた摺動性を有していた。つまり、実施例1の被覆層形成用組成物Aより得られたカテーテルは、体腔内での挿入性に優れていることがわかる。
このような被覆層形成用組成物により被覆層を形成すれば、防汚性、抗接着剤耐性および折曲性に優れたカテーテルを得ることができる。本発明のカテーテルは、親水性コーティングにより被覆されたカテーテルと同等の摺動性、折曲性を有しながら、実施例1で示すように、防汚性、抗接着剤耐性に優れる点で有利である。
実施例1で得られた評価サンプル(1)は表1に示すように、油性インク浸漬5分後、カテーテル表面が露出しており、インクを拭き取り可能で、防汚性が良好であり、カテーテルがパイプから抜け出すまでに入力した衝撃の回数は平均6.6回であり、優れた抗接着剤耐性が認められた。これに対して、比較例1は表1に示すように、油性インク浸漬5分後、カテーテル表面が露出せず、インクを拭き取り不可能であり、カテーテルがパイプから抜け出すまでに入力した衝撃の回数は平均21.2回であった。また、折曲性においては、実施例1、比較例1とも差はなく、実施例1で得られた評価サンプル(1)は、比較例1と同等の折曲性が認められた。
実施例1の被覆層形成用組成物Aについては、評価サンプル(2)について、接触角(純水)も108°と優れた撥水性を有し、静摩擦係数が0.095、動摩擦係数0.057と優れた摺動性を有していた。つまり、実施例1の被覆層形成用組成物Aより得られたカテーテルは、体腔内での挿入性に優れていることがわかる。
このような被覆層形成用組成物により被覆層を形成すれば、防汚性、抗接着剤耐性および折曲性に優れたカテーテルを得ることができる。本発明のカテーテルは、親水性コーティングにより被覆されたカテーテルと同等の摺動性、折曲性を有しながら、実施例1で示すように、防汚性、抗接着剤耐性に優れる点で有利である。
10 管状部材
20 被覆層
100 カテーテル
20 被覆層
100 カテーテル
Claims (4)
- 管状部材と、該管状部材の表面の少なくとも一部を覆う被覆層とを備え、
該管状部材が、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂および塩素化ポリエチレン系樹脂からなる群からなる一種を含み、
該被覆層が、有機ポリシラザンを含む、
カテーテル。 - 前記被覆層が、前記管状部材の先端部に形成され、
接着剤を注入される際に用いられる、
請求項1または2に記載のカテーテル。 - 前記被覆層が形成された部分の長さが、0.1mm~100mmである、請求項1から3のいずれかに記載のカテーテル。
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2020
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-
2024
- 2024-06-04 JP JP2024090376A patent/JP2024107051A/ja active Pending
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