詳細な説明
本発明の実施は、それとは反対のことが特に指示されていなければ、当業者の技能範囲内で、分子生物学、組換えDNA技法、タンパク質発現およびタンパク質/ペプチド/炭水化物化学の従来方法を用いることになるであろうが、これらの多くについては、説明目的で後述する。斯かる技法は、文献中で十分に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第3版、2000年);DNA Cloning: A Practical Approach、第I&II巻(D. Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N. Gait編、1984年);Oligonucleotide Synthesis: Methods and Applications(P. Herdewijn編、2004年);Nucleic Acid Hybridization(B. HamesおよびS. Higgins編、1985年);Nucleic Acid Hybridization: Modern Applications(BuzdinおよびLukyanov編、2009年);Transcription and Translation(B. HamesおよびS. Higgins編、1984年);Animal Cell Culture(R. Freshney編、1986年);Freshney, R.I.(2005年)Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique、第5版、Hoboken NJ, John Wiley & Sons;B. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(第3版、2010年);Farrell, R.、RNA Methodologies: A Laboratory Guide for Isolation and Characterization(第3版、2005年)を参照されたい。上に記述されている刊行物は、本願の出願日に先立つそれらの開示のために単に提供されている。本明細書におけるいかなる記述も、本発明が、先行発明のために斯かる開示に先行する権利がないことの承認として解釈するべきではない。
定義および略語
他に定義されていなければ、本明細書で使用されているあらゆる技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意義を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されている場合、それとは反対のことが指定されていない限り、次の用語は、示されている意義を有する。本明細書に関して、本明細書で定義されている用語の定義が、取り込まれた参考文献においてこの同じ用語に与えられている定義とは異なる場合は常に、本明細書で明確に定義されている定義が、その用語の正確な定義である。
単語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、特に注意されていなければ、1つまたは複数を表示する。
「約」とは、参照分量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%ほど変動する分量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さを意味する。用語「約」と併せて使用されている数値の文脈で記述されるいずれかの実施形態では、約という用語が省略され得ることが特に企図される。
「組成物」は、活性な薬剤および担体、不活性または活性な、例えば、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、用いられている投与量または濃度において、無菌である、エンドトキシンを実質的に含まない、またはレシピエントにとって無毒性である。
文脈がそれ以外のことを要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「を含む(comprise)」、ならびに「を含み(comprises)」および「を含んでいる(comprising)」等のその変化形は、オープンかつ包括的な意味合いで、すなわち、「が挙げられるがこれらに限定されない」として解釈するべきである。
「からなる」とは、語句「からなる」の前に来るものが何であれ、「を含みこれらに限定される」を意味する。よって、語句「からなる」は、列挙されている要素が、必要または必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、この語句の前に列挙されているいずれかの要素を含むことを意味し、列挙されている要素について本開示に指定されている働きまたは作用に干渉も寄与もしない他の要素に限定される。よって、語句「から本質的になる」は、列挙されている要素が、要求されるまたは強制的であるが、他の要素は、必要に応じたものであり、列挙されている要素の働きまたは作用に影響を与えるか否かに応じて存在しても存在しなくてもよいことを示す。
「生物学的活性」または「生物活性」の本明細書を通じた参照は、本明細書で企図されるいずれかの化合物、薬剤、ポリペプチド、コンジュゲート、医薬組成物の投与の結果として、in vitroアッセイにおいてまたは細胞、組織、臓器もしくは生物(例えば、動物または哺乳動物またはヒト)において誘導されるいずれかの応答を指す。生物学的活性は、アゴニスト作用またはアンタゴニスト作用を指すことができる。生物学的活性は、有益な効果となることができる;または生物学的活性は、有益でない、すなわち、毒性となり得る。一部の実施形態では、生物学的活性は、生きている被験体、例えば、ヒト等の哺乳動物における、薬物または医薬組成物が有するプラスまたはマイナスの効果を指すであろう。したがって、用語「生物学的に活性」は、本明細書に記載されている通り、生物学的活性を保有するいずれかの化合物を記載することを意味する。生物学的活性は、当業者にとって現在公知のいずれか適切な手段によって評価することができる。斯かるアッセイは、定性的または定量的となることができる。当業者であれば、異なるポリペプチドの活性を評価するために異なるアッセイを用いることの必要を容易に認めるであろう;平均的な研究者にとって慣例的な課題である。斯かるアッセイは多くの場合、最適化を殆ど要求することなく実験室設定において簡単に実行され、大抵の場合、多くの実験室に共通している様々な技術を使用して、広範囲のポリペプチドの生物学的活性の単純で、信頼でき、かつ再現性がある読み取りを提供する商業的キットを利用できる。斯かるキットが利用できない場合、通常技能を有する研究者であれば、過度の実験法を用いずに、標的ポリペプチドのための組織内の生物活性アッセイを簡単に設計および最適化することができる;その理由として、これが科学的プロセスの慣例的な側面であることが挙げられる。
用語「例えば」の参照は、「例えば、次のものが挙げられるがこれらに限定されない」を意味するように意図されるため、その後に続くものが何であれ、特定の実施形態の単なる例であることを理解するべきであるが、決して、限定的な例として解釈するべきではない。他に断りがなければ、「例えば」の使用は、他の実施形態が企図されており、これが本発明によって包含されることを明確に示すように意図される。
「実施形態」または「一実施形態」または「ある実施形態」または「一部の実施形態」または「ある特定の実施形態」の本明細書を通じた参照は、実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造または特徴が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通じた様々な箇所における語句「一実施形態では」または「ある実施形態では」または「ある特定の実施形態では」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指す訳ではない。さらに、特定の特色、構造または特徴は、1または複数の実施形態においていずれか適した様式で組み合わせることができる。
「増加された」または「増強された」量は典型的に、「統計的に有意な」量であり、本明細書に記載されている量またはレベルの1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40もしくは50倍またはそれよりも多い(例えば、100、500、1000倍)(その間の1より大きいあらゆる整数および小数点、例えば、2.1、2.2、2.3、2.4等を含む)増加を含むことができる。同様に、「減少された」または「低下された」または「より少ない」量は典型的に、「統計的に有意な」量であり、本明細書に記載されている量またはレベルの約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40もしくは50分の1またはそれよりも少ない(例えば、100、500、1000分の1)(その間の1より大きいあらゆる整数および小数点、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8等を含む)減少を含むことができる。
用語「in vitro」、「ex vivo」および「in vivo」は、それらの通常の科学的意義を有するように本明細書で意図される。したがって、例えば、「in vitro」は、例えば、適切な基質、酵素、ドナーおよび必要に応じてバッファー/補因子を使用して試験管内で行われる酵素反応等、単離された細胞構成成分により起こる実験または反応を指すことを意味する。「ex vivo」は、生物から摘出されたまたは生物とは独立して繁殖された機能的な臓器または細胞を使用して実行される実験または反応を指すことを意味する。「in vivo」は、その正常でインタクトな状態で、生きている生物内で起こる実験または反応を指すことを意味する。
「哺乳動物」は、ヒトと、実験動物および家庭用ペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマおよびウサギ)等の飼育動物、ならびに野生生物その他等の非飼育動物の両方とを含む。
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載される事象または状況が、起こっても起こらなくてもよいこと、また、その記載が、前記事象または状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。
「医薬組成物」は、化合物(例えば、治療上有用なポリペプチド)、および動物、例えば、ヒトへの化合物の送達のために本技術分野で一般に許容される媒体の製剤を指す。斯かる媒体は、したがって、いずれか薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含むことができる。
「薬学的に有効な賦形剤」および「薬学的に有効な担体」は、当業者にとって周知であり、それらの調製のための方法もまた、当業者には容易に明らかである。斯かる組成物およびその調製のための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995年、本明細書に組み込む)に見出すことができる。
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」および「核酸」は、互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはこれらのアナログのいずれかである、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、いずれかの三次元構造を有することができ、公知または未知のいずれかの機能を行うことができる。次に、ポリヌクレオチドの非限定例を挙げる:遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座(単数または複数)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離されたDNA、いずれかの配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ等、修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在するのであれば、ポリマーのアセンブリの前または後に、ヌクレオチド構造に対する改変を与えることができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分を含むことができる。ポリヌクレオチドは、標識構成成分とのコンジュゲーションによる等、重合後にさらに改変することができる。
「被験体」は、本明細書において、本発明の薬剤で処置することができる、疾患もしくは症状を示すまたは疾患もしくは症状を示すリスクがあるいずれかの動物を含む。適した被験体は、実験動物(マウス、ラット、ウサギまたはモルモット等)、家畜および飼育動物またはペット(ネコまたはイヌ等)を含む。非ヒト霊長類および好ましくはヒト患者が含まれる。
「実質的に」または「本質的に」は、豊富なまたは相当な量、分量、サイズ;殆ど全体的にまたは完全に;例えば、ある所与の分量の95%またはそれよりも多いことを意味する。
「治療剤」は、被験体(例えば、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒト)に治療有効量で投与されると、下に定義される疾患または状態の処置をもたらすことができる、いずれかの化合物を指す。
「治療有効量」または「治療有効用量」は、被験体(例えば、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒト)に投与されると、動物における疾患または状態の、下に定義される通りの処置をもたらすのに十分な、本発明の化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、化合物、状態およびその重症度、投与様式、ならびに処置されるべき動物の年齢に応じて変動するであろうが、当業者が自身の知識および本開示を考慮に入れることによって慣例的に決定することができる。
「処置すること」または「処置」は、本明細書において、目的の疾患または状態を有する被験体、好ましくは、ヒトにおける目的の疾患または状態の処置を網羅し、(i)特に、被験体が、状態に対する素因を有するが、当該状態であると未だ診断されていない場合、被験体における疾患もしくは状態が起こることを予防もしくは阻害すること;(ii)疾患もしくは状態を阻害すること、すなわち、その発症を抑止すること;(iii)疾患もしくは状態を軽減すること、すなわち、疾患もしくは状態の退縮を引き起こすこと;または(iv)疾患もしくは状態に起因する症状を軽減することを含む。本明細書において、用語「疾患」、「障害」および「状態」は、互換的に使用することができる、または特定の疾病、傷害または状態は、公知の原因となる病原体を持たない場合がある(病因が未だ解明されていないように)という点で異なる場合があり、したがって、これは、傷害または疾患として未だ認識されていないが、単に望ましくない状態または症候群として認識されており、その場合、症状の特異性がより高いまたは低いセットが臨床医によって同定されている。
概要
本発明は、とりわけ、フォリスタチンを産生するための核酸の導入により変更された、自家および/または同種異系B細胞に関し、また、(例えば、疾患、障害、または状態、例えば、筋ジストロフィーなどの筋障害を処置するための)改変B細胞を投与する方法に関する。一部の実施形態では、用語「操作B細胞」、「遺伝子操作B細胞」、「改変B細胞」および「遺伝子改変B細胞」は、フォリスタチンを産生するための1種または複数種の核酸(例えば、導入遺伝子)(例えば、治療用フォリスタチンポリペプチド等、フォリスタチンポリペプチドの発現を可能にする導入遺伝子)を含むように変更されたB細胞を指すように本明細書で互換的に使用されている。具体的には、改変B細胞は、単回投与量または複数回投与量として投与することができる。
したがって、本明細書に記載されている改変B細胞組成物を投与するための方法は、フォリスタチンの長期in vivo送達および発現に有用である。本開示は、全般的に、産物の安全性を確実にしつつ、フォリスタチンを産生する細胞の十分な濃縮および数、ならびにin vivoでのフォリスタチンの十分なレベルを達成するための方法に関する。
本明細書において、語句「長期in vivo生存」および「長期生存」は、被験体における投与後10日間またはそれよりも長い、本明細書に記載されている改変B細胞の生存を指す。長期生存は、日、週またはさらには年単位で測定することができる。一実施形態では、改変B細胞の大部分は、投与後10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50日間またはそれよりも長く、in vivoで生存する。一実施形態では、改変B細胞の大部分は、投与後2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52週間またはそれよりも長く、in vivoで生存する。別の実施形態では、改変B細胞は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30年間またはそれよりも長く、in vivoで生存する。その上、本明細書に記載されている改変B細胞は、10日間またはそれよりも長くin vivoで生存することができるが、改変B細胞の大部分が、投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9日間またはそれよりも長くin vivoで生存することが理解される。したがって、本明細書に記載されている改変B細胞が、短期処置(例えば、4日間)および長期処置(例えば、30日間またはそれよりも長い)方法に有用であることが企図される。
B細胞
骨髄から離れた後に、B細胞は、抗原提示細胞(APC)として作用し、抗原を内部移行させる。抗原は、受容体媒介性エンドサイトーシスを介してB細胞によって取り入れられ、プロセシングされる。抗原は、抗原ペプチドへとプロセシングされ、MHC II分子上に負荷され、CD4+Tヘルパー細胞に対してB細胞の細胞外表面に提示される。このようなT細胞は、MHC ll/抗原分子に結合し、B細胞の活性化を引き起こす。T細胞による刺激後に、活性化されたB細胞は、より特殊化された細胞へと分化し始める。胚中心B細胞は、長寿命のメモリーB細胞または形質細胞へと分化することができる。さらに、二次免疫刺激は、追加的な形質細胞を生じるメモリーB細胞をもたらすことができる。メモリーまたは非メモリーB細胞のいずれかからの形質細胞の形成に先行して、大量の抗体を産生する形質細胞へと最終的に分化する前駆体形質芽球の形成が行われる(例えば、Trends Immunol.2009年6月;30巻(6号):277〜285頁;Nature Reviews、2005年、5巻:231〜242頁を参照)。形質芽球は、B細胞よりも多いが、形質細胞よりも少ない抗体を分泌する。これは、急速に分裂し、抗原を内部移行させ、T細胞に対して抗原を提示し続ける。形質芽球は、ケモカイン産生部位(例えば、骨髄内)へと遊走する能力を有し、それによって、長寿命の形質細胞へと分化することができる。最終的に、形質芽球は、形質芽球として数日間残った後に死ぬか、成熟し完全に分化した形質細胞へと変更不能に分化することができる。具体的には、形質細胞生存ニッチを含有する組織(例えば、骨髄内)へとホーミングすることができる形質芽球は、高レベルのタンパク質を数年間分泌し続けることができる、長寿命の形質細胞になるために、常在性形質細胞を置き換えることができる。
本明細書に記載されている方法において使用されるB細胞(例えば、フォリスタチンを発現するための)は、汎B細胞、メモリーB細胞、形質芽球、および/または形質細胞を含む。一実施形態では、改変B細胞は、メモリーB細胞(例えば、フォリスタチンを発現するために改変されている)である。一実施形態では、改変B細胞は、形質芽球(例えば、フォリスタチンを発現するために改変されている)である。一実施形態では、改変B細胞は、形質細胞(例えば、フォリスタチンを発現するために改変されている)である。
終末分化した形質細胞は典型的に、CD19およびCD20等、共通汎B細胞マーカーを発現せず、比較的少ない表面抗原を発現する。形質細胞は、CD38、CD78、CD138およびインターロイキン−6受容体(IL−6R)を発現し、CD45の発現を欠くことから、例えばフローサイトメトリーによってこれらのマーカーを使用して、形質細胞を同定することができる。ナイーブB細胞はCD27−であり、メモリーB細胞はCD27+であり、形質細胞はCD27++であるため、CD27もまた、形質細胞の優れたマーカーである。メモリーB細胞サブセットが、表面IgG、IgMおよびIgDを発現することもできる一方、形質細胞は、細胞表面にこれらのマーカーを発現しない。CD38およびCD138は、形質細胞に高レベルで発現される(Wikipedia、The Free Encyclopedia.「Plasma cell」ページバージョンID:404969441;最新改訂の日付:2010年12月30日、09:54 UTC、2011年1月4日検索を参照;Jourdanら、Blood.2009年12月10日;114巻(25号):5173〜81頁;Trends Immunol.2009年6月;30巻(6号):277〜285頁;Nature Reviews、2005年、5巻:231〜242頁;Nature Med.2010年、16巻:123〜129頁;Neuberger, M. S.; Honjo, T.; Alt, Frederick W.(2004年).Molecular biology of B cells. Amsterdam: Elsevier、189〜191頁;Bertil Glader; Greer, John G.; John Foerster; Rodgers, George G.; Paraskevas, Frixos(2008年).Wintrobe’s Clinical Hematology、第2巻、Set. Hagerstwon, MD:Lippincott Williams & Wilkins.、347頁;Walport, Mark; Murphy, Kenneth; Janeway, Charles; Travers, Paul J.(2008年).Janeway’s immunobiology. New York: Garland Science、387〜388頁;Rawstron AC(2006年5月)「Immunophenotyping of plasma cells」Curr Protoc Cytomも参照)。
「静止状態の」は、本明細書において、細胞が活性に増殖していない細胞状態を指す。
「活性化された」は、本明細書において、細胞が活性に増殖している、および/または刺激に応答してサイトカインを産生している細胞状態を指す。
用語「分化する」および「分化した」は、本明細書において、ある細胞型または状態から別の細胞型または状態への、細胞の表現型の変化を指す。例えば、形質細胞へと移行するメモリーB細胞は、分化している。
用語「被験体」は、適応免疫応答を誘発することができる、生きている生物を含むように意図される(例えば、哺乳動物)。被験体の例として、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびこれらのトランスジェニック種が挙げられる。一実施形態では、被験体は、ヒトである。B細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、感染部位由来の組織、脾臓組織および腫瘍を含む、多数の供給源から得ることができる。好ましい実施形態では、B細胞の供給源は、PBMCである。本開示のある特定の実施形態では、本技術分野で利用できるいずれかの数のB細胞株を使用することができる。
本明細書に記載されている方法のある特定の実施形態では、B細胞は、FICOLL(商標)(高密度溶液の調製に使用することができる、スクロースおよびエピクロロヒドリンのコポリマー)分離等、当業者に公知のいずれかの数の技法を使用して、被験体から採取された血液の単位から得ることができる。好まれる一実施形態では、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって、個体の循環血由来の細胞が得られる。アフェレーシス産物は典型的に、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球細胞を含むリンパ球、赤血球細胞および血小板を含有する。一実施形態では、アフェレーシスによって採取された細胞を洗浄して、血漿画分を除去し、その後の加工ステップのために適切なバッファーまたは培地中に細胞を置くことができる。本明細書に記載されている方法の一実施形態では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。代替の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠くことができる、または全てではないにしても多くの二価カチオンを欠くことができる。当業者であれば容易に認めるであろうが、洗浄ステップは、製造業者の指示に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ)を使用することによる等、当業者にとって公知の方法によって達成することができる。洗浄後に、細胞は、例えばPBS等、種々の生体適合性バッファーに再懸濁することができる。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない構成成分を除去し、細胞を培養培地に直接的に再懸濁することができる。
B細胞は、本技術分野で公知の技法を使用して、末梢血または白血球アフェレーシスから単離することができる。例えば、PBMCは、FICOLL(商標)(Sigma−Aldrich、St Louis、MO)を使用して単離することができ、CD19+B細胞は、Rosette四量体複合体システム(StemCell Technologies、Vancouver、Canada)またはMACS(商標)MicroBead Technology(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)等、本技術分野で公知の種々の抗体のいずれかを使用した負のまたは正の選択によって精製することができる。ある特定の実施形態では、メモリーB細胞は、Jourdanら(Blood.2009年12月10日;114巻(25号):5173〜81頁)によって記載されている通りに単離される。例えば、抗CD2磁気ビーズを使用したCD2+細胞の除去後に、CD19+CD27+メモリーB細胞をFACSによって選別することができる。骨髄形質細胞(BMPC)は、抗CD138磁気マイクロビーズ選別または他の同様の方法および試薬を使用して精製することができる。ヒトB細胞は、例えば、CD19 MicroBead、ヒト(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)を使用して単離することができる。ヒトメモリーB細胞は、例えば、メモリーB細胞単離キット、ヒト(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)を使用して単離することができる。
R&D SystemsのMagCellectヒトB細胞単離キット(Minneapolis、MN)等、他の単離キットが市販されている。ある特定の実施形態では、休止B細胞は、(Defrancoら(1982年)J. Exp. Med.155巻:1523頁)に記載されている通り、不連続パーコール勾配における沈降によって調製することができる。
一実施形態では、PBMCは、勾配に基づく精製(例えば、FICOLL(商標))を使用して、血液試料から得られる。別の実施形態では、PBMCは、アフェレーシスに基づく採取から得られる。一実施形態では、B細胞は、汎B細胞を単離することによりPBMCから単離される。単離ステップは、正のおよび/または負の選択を利用することができる。一実施形態では、負の選択は、抗CD3コンジュゲートマイクロビーズを使用したT細胞の枯渇を含み、これにより、T細胞枯渇画分を提供する。さらなる実施形態では、メモリーB細胞は、CD27に対する正の選択によって、汎B細胞またはT細胞枯渇画分から単離される。
特定の一実施形態では、メモリーB細胞は、望まれない細胞の枯渇、およびCD27 MicroBeadによるその後の正の選択によって単離される。望まれない細胞、例えば、T細胞、NK細胞、単球、樹状細胞、顆粒球、血小板および赤血球系細胞は、CD2、CD14、CD16、CD36、CD43およびCD235a(グリコホリンA)に対するビオチン化抗体のカクテルならびに抗ビオチンMicroBeadを使用して枯渇させることができる。
一実施形態では、スイッチしたメモリーB細胞が得られる。「スイッチしたメモリーB細胞」または「スイッチしたB細胞」は、本明細書において、アイソタイプクラススイッチングを起こしたB細胞を指す。一実施形態では、スイッチしたメモリーB細胞は、IgGに対して正に選択される。別の実施形態では、スイッチしたメモリーB細胞は、IgDおよびIgM発現細胞を枯渇させることにより得られる。スイッチしたメモリーB細胞は、例えば、スイッチしたメモリーB細胞キット、ヒト(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)を使用して単離することができる。
例えば、特定の一実施形態では、非標的細胞は、ビオチン化CD2、CD14、CD16、CD36、CD43、CD235a(グリコホリンA)、抗IgMおよび抗IgD抗体のカクテルで標識することができる。このような細胞はその後に、抗ビオチンMicroBeadで磁気標識することができる。高度に純粋なスイッチしたメモリーB細胞は、磁気標識された細胞の枯渇によって得ることができる。
さらなる実施形態では、例えば、CD27遺伝子(またはメモリーB細胞に特異的であり、ナイーブB細胞において発現されない他の遺伝子)等、メモリーB細胞に特有の遺伝子由来のプロモーター配列が、例えば、メトトレキセートの存在下でメモリーB細胞の正の選択を可能にする変異したジヒドロ葉酸レダクターゼ等、選択可能マーカーの発現の駆動に使用される。別の実施形態では、例えば、CD19遺伝子等、汎B細胞遺伝子由来のプロモーター配列が、例えば、メトトレキセートの存在下でメモリーB細胞の正の選択を可能にする変異したジヒドロ葉酸レダクターゼ等、選択可能マーカーの発現の駆動に使用される。別の実施形態では、T細胞は、CD3を使用して、またはシクロスポリンの添加により枯渇される。別の実施形態では、CD138+細胞は、正の選択によって汎B細胞から単離される。さらに別の実施形態では、CD138+細胞は、正の選択によってPBMCから単離される。別の実施形態では、CD38+細胞は、正の選択によって汎B細胞から単離される。さらに別の実施形態では、CD38+細胞は、正の選択によってPBMCから単離される。一実施形態では、CD27+細胞は、正の選択によってPBMCから単離される。別の実施形態では、メモリーB細胞および/または形質細胞は、本技術分野で利用できるin vitro培養方法を使用して、PBMCから選択的に拡大増殖される。
in vitroにおけるB細胞の培養
メモリーB細胞等、B細胞は、B細胞を活性化し、形質細胞もしくは形質芽球またはその両方へと分化させるためのin vitro方法を使用して培養することができる。当業者によって認識されるであろうが、形質細胞は、標準フローサイトメトリー方法を使用して、細胞表面タンパク質発現パターンによって同定することができる。例えば、終末分化した形質細胞は、比較的少ない表面抗原を発現し、CD19およびCD20等、共通汎B細胞マーカーを発現しない。その代わりに、形質細胞は、CD38、CD78、CD138およびIL−6Rの発現、ならびにCD45の発現欠如によって同定することができる。ナイーブB細胞はCD27−であり、メモリーB細胞はCD27+であり、形質細胞はCD27++であるため、CD27を、形質細胞の同定に使用することもできる。形質細胞は、高レベルのCD38およびCD138を発現する。
一実施形態では、B細胞は、CD138−メモリーB細胞である。一実施形態では、B細胞は、CD138+形質細胞である。一実施形態では、B細胞は、活性化され、CD138−、CD27+の細胞表面表現型を有する。
一実施形態では、B細胞は、CD20−、CD138−メモリーB細胞である。一実施形態では、B細胞は、CD20−、CD138+形質細胞である。一実施形態では、B細胞は、活性化され、CD20−、CD138−、CD27+の細胞表面表現型を有する。
一実施形態では、B細胞は、CD20−、CD38−、CD138−メモリーB細胞である。一実施形態では、B細胞は、CD20−、CD38+、CD138+形質細胞である。一実施形態では、B細胞は、活性化され、CD20−、CD38−、CD138−、CD27+の細胞表面表現型を有する。
一実施形態では、B細胞は、1種または複数種のB細胞活性化因子、例えば、B細胞を活性化および/または分化させることが公知の種々のサイトカイン、増殖因子または細胞株のいずれかと接触される(例えば、Fluckigerら、Blood 1998年、92巻:4509〜4520頁;Luoら、Blood 2009年、1 13巻:1422〜1431頁を参照)。斯かる因子は、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34およびIL−35、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、IFN−δ、C型ケモカインXCL1およびXCL2、C−C型ケモカイン(現在まで、CCL1〜CCL28を含む)およびCXC型ケモカイン(現在まで、CXCL1〜CXCL17を含む)、ならびにTNFスーパーファミリーのメンバー(例えば、TNF−α、4−1 BBリガンド、B細胞活性化因子(BLyS)、FASリガンド、sCD40L(sCD40Lの多量体バージョンを含む;例えば、複数のsCD40L分子を一緒にグループ化するための、抗ポリ−ヒスチジンmAbと組み合わせた、ヒスチジンタグ付き可溶性組換えCD40L)、リンホトキシン、OX40L、RANKL、TRAIL)、CpG、ならびに他のtoll様受容体アゴニスト(例えば、CpG)からなる群より選択することができるが、これらに限定されない。
B細胞活性化因子は、様々な濃度でin vitro細胞培養物に添加して、所望の成果(例えば、拡大増殖または分化)を達成することができる。一実施形態では、B細胞活性化因子は、培養下のB細胞の拡大増殖において利用される。一実施形態では、B細胞活性化因子は、培養下のB細胞の分化において利用される。別の実施形態では、B細胞活性化因子は、培養下のB細胞の拡大増殖および分化の両方において利用される。一実施形態では、B細胞活性化因子は、拡大増殖および分化のために同じ濃度で提供される。別の実施形態では、B細胞活性化因子は、拡大増殖のために第1の濃度で、また、分化のために第2の濃度で提供される。B細胞活性化因子を、1)B細胞の拡大増殖において利用し、B細胞の分化においては利用しないことができる、2)B細胞の分化において利用し、B細胞の拡大増殖においては利用しないことができる、または3)B細胞の拡大増殖および分化において利用することができることが企図される。
例えば、一部の実施形態では、B細胞は、B細胞の拡大増殖のために、CD40L、IL−2、IL−4およびIL−10から選択される1種または複数種のB細胞活性化因子を含むB細胞培養培地と共に培養される。一実施形態では、B細胞は、0.25〜5.0μg/ml CD40Lと共に培養される。一実施形態では、CD40Lの濃度は、0.5μg/mlである。一実施形態では、架橋剤(HISタグ付きCD40Lと組み合わせた抗HIS抗体等)が、CD40Lの多量体の作製に使用される。一実施形態では、CD40Lの分子は、タンパク質多量体化ドメイン(例えば、IgGのFc領域またはロイシンジッパードメイン)を使用して、共有結合により連結される、または一体に保持される。一実施形態では、CD40Lは、ビーズにコンジュゲートされる。一実施形態では、CD40Lは、フィーダー細胞から発現される。一実施形態では、B細胞は、1〜10ng/ml IL−2と共に培養される。一実施形態では、IL−2の濃度は、5ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、1〜10ng/ml IL−4と共に培養される。一実施形態では、IL−4の濃度は、2ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、10〜100ng/ml IL−10と共に培養される。一実施形態では、IL−10の濃度は、40ng/mlである。
一実施形態では、B細胞は、B細胞の拡大増殖のために、CD40L、IL−2、IL−4、IL−10、IL−15およびIL−21から選択される1種または複数種のB細胞活性化因子を含むB細胞培養培地と共に培養される。一実施形態では、B細胞は、0.25〜5.0μg/ml CD40Lと共に培養される。一実施形態では、CD40Lの濃度は、0.5μg/mlである。一実施形態では、架橋剤(HISタグ付きCD40Lと組み合わせた抗HIS抗体等)が、CD40Lの多量体の作製に使用される。一実施形態では、CD40Lの分子は、タンパク質多量体化ドメイン(例えば、IgGのFc領域またはロイシンジッパードメイン)を使用して、共有結合により連結される、または一体に保持される。一実施形態では、CD40Lは、ビーズにコンジュゲートされる。一実施形態では、CD40Lは、フィーダー細胞から発現される。一実施形態では、B細胞は、1〜10ng/ml IL−2と共に培養される。一実施形態では、IL−2の濃度は、5ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、1〜10ng/ml IL−4と共に培養される。一実施形態では、IL−4の濃度は、2ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、10〜100ng/ml IL−10と共に培養される。一実施形態では、IL−10の濃度は、40ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、50〜150ng/ml IL−15と共に培養される。一実施形態では、IL−15の濃度は、100ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、50〜150ng/ml IL−21と共に培養される。一実施形態では、IL−21の濃度は、100ng/mlである。特定の実施形態では、B細胞は、B細胞の拡大増殖のために、CD40L、IL−2、IL−4、IL−10、IL−15およびIL−21を含むB細胞培養培地と共に培養される。
例えば、一実施形態では、B細胞は、B細胞の拡大増殖のために、B細胞活性化因子CD40L、IL−2、IL−4、IL−10、IL−15およびIL−21を含むB細胞培養培地と共に培養され、CD40Lは、架橋剤により架橋されて、CD40Lの多量体を作製する。斯かる培養系は、培養期間全体(例えば、7日間の培養期間)にわたって維持することができ、B細胞は、目的の導入遺伝子(例えば、例えば、FST等、外因的ポリペプチド)を発現するようにトランスフェクトまたは他の仕方で操作されている。導入遺伝子は、B細胞に組み込むことができる(例えば、ウイルスまたは非ウイルスベクターにより)。導入遺伝子は、トランスポゾンの使用により、B細胞において発現させることができる。導入遺伝子は、B細胞のゲノムへの導入遺伝子の標的化組込みのために、B細胞において発現させることができる。標的化組込みは、相同組換えによるものとなることができる。相同組換えは、ヌクレアーゼによって誘導された二本鎖切断の際に起こることができる。ヌクレアーゼは、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALE−ヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ(例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼ)となることができる、またはCRISPR/CAS9−ヌクレアーゼ系によるものとなることができる。
別の例では、一部の実施形態では、B細胞は、B細胞の分化のために、CD40L、IFN−α、IL−2、IL−6、IL−10、IL−15、IL−21およびP−クラスCpGオリゴデオキシヌクレオチド(p−ODN)から選択される1種または複数種のB細胞活性化因子を含むB細胞培養培地と共に培養される。一実施形態では、B細胞は、25〜75ng/ml CD40Lと共に培養される。一実施形態では、CD40Lの濃度は、50ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、250〜750U/ml IFN−αと共に培養される。一実施形態では、IFN−αの濃度は、500U/mlである。一実施形態では、B細胞は、5〜50U/ml IL−2と共に培養される。一実施形態では、IL−2の濃度は、20U/mlである。一実施形態では、B細胞は、25〜75ng/ml IL−6と共に培養される。一実施形態では、IL−6の濃度は、50ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、10〜100ng/ml IL−10と共に培養される。一実施形態では、IL−10の濃度は、50ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、1〜20ng/ml IL−15と共に培養される。一実施形態では、IL−15の濃度は、10ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、10〜100ng/ml IL−21と共に培養される。一実施形態では、IL−21の濃度は、50ng/mlである。一実施形態では、B細胞は、1〜50μg/ml p−ODNと共に培養される。一実施形態では、p−ODNの濃度は、10μg/mlである。
一実施形態では、B細胞は、フィーダー細胞の上で接触または培養される。一実施形態では、フィーダー細胞は、ストロマ細胞株、例えば、マウスストロマ細胞株S17またはMS5である。別の実施形態では、単離されたCD19+細胞は、CD40−リガンド(CD40L、CD154)を発現する線維芽細胞の存在下で、IL−10およびIL−4等、1種または複数種のB細胞活性化因子サイトカインと共に培養される。一実施形態では、CD40Lは、組織培養プレートまたはビーズ等の表面に結合された状態で提供される。別の実施形態では、精製されたB細胞は、フィーダー細胞の存在または非存在下で、CD40L、ならびにIL−10、IL−4、IL−7、p−ODN、CpG DNA、IL−2、IL−15、IL6およびIFN−αから選択される1種または複数種のサイトカインまたは因子と共に培養される。
別の実施形態では、B細胞活性化因子は、B細胞または他のフィーダー細胞へのトランスフェクションによって提供される。この文脈において、B細胞から抗体分泌細胞への分化を促進する1種もしくは複数の因子、および/または抗体産生細胞の長寿命を促進する1種もしくは複数の因子を使用することができる。斯かる因子は、例えば、Blimp−1、TRF4、Bcl−xlもしくはBcl5のような抗アポトーシス因子、またはCD40受容体の構成的に活性な変異体を含む。さらに、TNF受容体関連因子(TRAF)等、下流シグナル伝達分子の発現を促進する因子を、B細胞の活性化/分化において使用することもできる。この点に関して、TNF受容体スーパーファミリーの細胞活性化、細胞生存および抗アポトーシス機能は、大部分は、TRAF1〜6によって媒介される(例えば、R.H. Archら、Genes Dev.12巻(1998年)2821〜2830頁を参照)。TRAFシグナル伝達の下流エフェクターは、細胞および免疫機能の様々な側面に関与する遺伝子をオンにすることができる、NF−κBおよびAP−1ファミリーにおける転写因子を含む。さらに、NF−κBおよびAP−1の活性化は、抗アポトーシス遺伝子の転写により、アポトーシスからの細胞保護をもたらすことが示された。
別の実施形態では、エプスタイン・バーウイルス(EBV)由来のタンパク質が、B細胞の活性化および/または分化のために、または抗体産生細胞の長寿命を促進するために使用される。EBV由来のタンパク質として、EBNA−1、EBNA−2、EBNA−3、LMP−1、LMP−2、EBER、miRNA、EBV−EA、EBV−MA、EBV−VCAおよびEBV−ANが挙げられるがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されている方法を使用したB細胞の活性化因子とB細胞との接触は、とりわけ、細胞増殖(すなわち、拡大増殖)、活性化された成熟B細胞と一貫した表現型へのlgM+細胞表面表現型のモジュレーション、Igの分泌、およびアイソタイプスイッチングをもたらす。CD19+B細胞は、MiniMACS(商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotech、Bergisch Gladbach、Germany)等、公知かつ市販の細胞分離キットを使用して単離することができる。ある特定の実施形態では、CD40L線維芽細胞は、本明細書に記載されている方法における使用前に照射される。一実施形態では、B細胞は、IL−3、IL−7、Flt3リガンド、トロンボポエチン、SCF、IL−2、IL−10、G−CSFおよびCpGのうち1種または複数種の存在下で培養される。ある特定の実施形態では、本方法は、低レベルの繋留されたCD40Lおよび/またはプレートもしくはビーズに結合されたCD40Lを提供する形質転換ストロマ細胞(例えば、MS5)と併せて、上述の因子のうち1種または複数種の存在下でB細胞を培養するステップを含む。
上に記述されている通り、B細胞活性化因子は、B細胞の拡大増殖、増殖または分化を誘導する。したがって、B細胞は、上に列挙されている1種または複数種のB細胞活性化因子と接触されて、拡大増殖された細胞集団を得る。細胞集団は、トランスフェクションの前に拡大増殖することができる。それに代えてまたはその上、細胞集団は、トランスフェクションの後に拡大増殖することができる。一実施形態では、B細胞集団の拡大増殖は、IL−2、IL−4、IL−10およびCD40Lと共に細胞を培養することを含む(例えば、Neronら、PLoS ONE、2012年、7巻(12号):e51946頁を参照)。一実施形態では、B細胞集団の拡大増殖は、IL−2、IL−10、CpGおよびCD40Lと共に細胞を培養することを含む。一実施形態では、B細胞集団の拡大増殖は、IL−2、IL−4、IL−10、IL−15、IL−21およびCD40Lと共に細胞を培養することを含む。一実施形態では、B細胞集団の拡大増殖は、IL−2、IL−4、IL−10、IL−15、IL−21および多量体化されたCD40Lと共に細胞を培養することを含む。
別の実施形態では、B細胞集団の拡大増殖は、B細胞へと導入された導入遺伝子によって誘導および/または増強される。例えば、そのリガンド(例えば、可溶性リガンドまたは細胞表面発現リガンド)と結合した際に細胞シグナル伝達経路(例えば、CD40の下流のシグナル伝達)を誘導する組換え受容体または操作された受容体を含有するB細胞。一実施形態では、B細胞は、CD40導入遺伝子の発現のため、CD40を過剰発現する。別の実施形態では、B細胞は、例えば、組換えにより操作された抗体を含む、操作された受容体を発現する。一実施形態では、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)と同様であり、scFvおよびB細胞受容体(例えば、CD40)の細胞内シグナル伝達部分の融合タンパク質を含む。
一実施形態では、B細胞集団の拡大増殖は、細胞培養物に添加された小分子化合物によって誘導および/または増強される。例えば、CD40に結合しこれを二量体化する化合物を使用して、CD40シグナル伝達経路を誘発することができる。
当業者に公知の通り、本方法において種々の培養培地のいずれかを使用することができる(例えば、Current Protocols in Cell Culture、2000〜2009年、John Wiley & Sons, Inc.よりを参照)。一実施形態では、本明細書に記載されている方法における使用のための培地として、イスコフ改変ダルベッコ培地(ウシ胎仔または他の適切な血清を含有するまたは含有しない)が挙げられるがこれに限定されない。例示的な培地として、IMDM、RPMI 1640、AIM−V、DMEM、MEM、a−MEM、F−12、X−Vivo 15およびX−Vivo 20も挙げられるがこれらに限定されない。さらなる実施形態では、培地は、界面活性剤、抗体、プラスマネート(plasmanate)または還元剤(例えば、N−アセチル−システイン、2−メルカプトエタノール)、1種または複数種の抗生物質、および/またはインスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウムおよびシクロスポリン等の添加物を含むことができる。一部の実施形態では、IL−6、可溶性CD40Lおよび架橋増強物質を使用することもできる。
B細胞は、所望の分化および/または活性化を達成するための条件下および十分な期間培養される。ある特定の実施形態では、B細胞は、B細胞の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはさらには100%が、所望の通りに分化および/または活性化されるような条件下および十分な期間培養される。一実施形態では、B細胞は、活性化され、形質芽球および形質細胞の混合集団へと分化される。当業者によって認識されるであろうが、形質芽球および形質細胞は、CD38、CD78、IL−6R、CD27highおよびCD138のうち1種もしくは複数の発現、および/またはCD19、CD20およびCD45のうち1種もしくは複数の発現の欠如もしくは低下等、本明細書の他の箇所に記載されている通りに標準フローサイトメトリー方法を使用して、細胞表面タンパク質発現パターンによって同定することができる。当業者によって理解されるであろうが、メモリーB細胞は一般に、CD20+、CD19+、CD27+、CD38−であるが、初期形質芽球は、CD20−、CD19+、CD27++、CD38++である。一実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して培養された細胞は、CD20−、CD38+、CD138−である。別の実施形態では、細胞は、CD20−、CD38+、CD138+の表現型を有する。ある特定の実施形態では、細胞は、1〜7日間培養される。さらなる実施形態では、細胞は、7、14、21日間またはそれよりも長く培養される。よって、細胞は、適切な条件下で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29日間またはそれよりも長く培養することができる。細胞は再播種され、本技術分野で公知の技法を使用して、必要に応じて培地およびサプリメントを添加または交換することができる。
ある特定の実施形態では、B細胞は、細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%が、分化および活性化されて、Igを産生する、および/または導入遺伝子を発現するような、条件下および十分な期間培養される。
B細胞活性化の誘導は、RNAへの3H−ウリジン取り込み(B細胞が分化するにつれて、RNA合成は増加する)等の技法によって、または細胞増殖に伴うDNA合成を測定する3H−チミジン取り込みによって、測定することができる。一実施形態では、インターロイキン−4(IL−4)を、B細胞増殖の増強に適切な濃度(例えば、約10ng/ml)で培養培地に添加することができる。
あるいは、B細胞活性化は、免疫グロブリン分泌の関数として測定される。例えば、CD40Lが、IL−4(例えば、10ng/ml)およびIL−5(例えば、5ng/ml)、またはB細胞を活性化する他のサイトカインと共に、休止B細胞に添加される。活性化されたB細胞に典型的な細胞表面マーカーを測定するために、フローサイトメトリーを使用することもできる。例えば、Civin CI, Loken MR、Int’l J. Cell Cloning 987;5巻:1〜16頁;Loken, MRら、Flow Cytometry Characterization of Erythroid, Lymphoid and Monomyeloid Lineages in Normal Human Bone Marrow, in Flow Cytometry in Hematology、Laerum OD, Bjerksnes R.編、Academic Press、New York 1992年;31〜42頁;およびLeBein TWら、Leukemia 1990年;4巻:354〜358頁を参照されたい。
例えば2、3、4、5、6、7、8、9日間またはそれよりも長くから、一般に、3日間前後等、適切な期間にわたる培養後に、追加的な容量の培養培地を添加することができる。個々の培養物由来の上清を、培養における様々な時点で収集し、Noelleら(1991年)J. Immunol.146巻:1118〜1124頁に記載されている通りにIgMおよびIgG1に関して定量化することができる。一実施形態では、培養物は、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ELISPOTまたは本技術分野で公知の他のアッセイを使用して、目的の導入遺伝子の発現に関して収集および測定される。
別の実施形態では、ELISAが、抗体アイソタイプ産生、例えば、IgM、または目的の導入遺伝子の産物の測定に使用される。ある特定の実施形態では、捕捉抗体としてヤギ抗ヒトIgG等、市販の抗体を使用して、IgG決定が為され、続いて、ビオチン化ヤギ抗ヒトIg、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼおよび基質等、種々の適切な検出試薬のいずれかを使用して検出が為される。
ある特定の実施形態では、B細胞は、細胞の数が、培養開始時のB細胞の数の、1、10、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000倍またはそれよりも多くなるような、条件下および十分な期間培養される。一実施形態では、細胞の数は、培養開始時のB細胞の数の10〜1000倍(その中の連続した整数を含む)である。例えば、拡大増殖されたB細胞集団は、初期単離B細胞集団の少なくとも10倍である。別の実施形態では、拡大増殖されたB細胞集団は、初期単離B細胞集団の少なくとも100倍である。一実施形態では、拡大増殖されたB細胞集団は、初期単離B細胞集団の少なくとも500倍である。
B細胞の操作
様々な実施形態では、本開示は、B細胞をトランスフェクトするか、B細胞に感染するか、または導入遺伝子がB細胞において発現されるように、他の仕方で導入遺伝子(例えば、フォリスタチン導入遺伝子)をB細胞中に取り込む方法を提供する。本明細書に記載されているかまたは当技術分野で公知の組込み方法のいずれかは、一部の実施形態では、B細胞においてフォリスタチンを発現するために利用することができる。
一実施形態では、遺伝子改変B細胞は、導入遺伝子をトランスフェクトされる。特定の実施形態では、遺伝子改変B細胞は、フォリスタチン導入遺伝子を伴う。
細胞をトランスフェクトするための例示的な方法は、WO2014/152832およびWO2016/100932に提供されており、これらは両者共に、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。B細胞のトランスフェクションは、B細胞へとDNAまたはRNAを導入するための本技術分野で利用できる種々の方法のいずれかを使用して達成することができる。適した技法は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、圧力媒介性トランスフェクションまたは「細胞圧搾(cell squeezing)」(例えば、CellSqueezeマイクロ流体システム、SQZ Biotechnologies)、ナノ粒子媒介性もしくはリポソーム媒介性トランスフェクション、およびレトロウイルスもしくは他のウイルス、例えば、ワクシニアを使用した形質導入を含むことができる。例えば、Grahamら、1973年、Virology 52巻:456頁;Sambrookら、2001年、Molecular Cloning, a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratories;Davisら、1986年、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier;Chuら、1981年、Gene 13巻:197頁;US5,124,259;US5,297,983;US5,283,185;US5,661,018;US6,878,548;US7,799,555;US8,551,780;およびUS8,633,029を参照されたい。B細胞に適した市販のエレクトロポレーション技法の一例は、Nucleofector(商標)トランスフェクション技術である。
トランスフェクションは、上述の1種または複数種の活性化および/または分化因子の存在下、単離されたB細胞のin vitro培養の前にまたはその間に行うことができる。例えば、細胞は、in vitro培養の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38または39日目にトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1、2または3日目にトランスフェクトされる。特定の実施形態では、細胞は、2日目にトランスフェクトされる。例えば、細胞は、例えば、プラスミド、トランスポゾン、ミニサークルまたは自己複製RNAの送達のため、in vitro培養の2日目にエレクトロポレーションされる。別の実施形態では、細胞は、in vitro培養の4、5、6または7日目にトランスフェクトされる。特定の実施形態では、細胞は、in vitro培養の6日目にトランスフェクトされる。別の実施形態では、細胞は、in vitro培養の5日目にトランスフェクトされる。
一実施形態では、細胞は、活性化の前に、トランスフェクトまたは他の仕方で操作される(例えば、フォリスタチン導入遺伝子の標的化組込みにより)。別の実施形態では、細胞は、活性化の間に、トランスフェクトまたは他の仕方で操作される(例えばフォリスタチン導入遺伝子の標的化組込みにより)。一実施形態では、細胞は、活性化の後に、トランスフェクトまたは他の仕方で操作される(例えば、フォリスタチン導入遺伝子の標的化組込みにより)。一実施形態では、細胞は、分化の前に、トランスフェクトまたは他の仕方で操作される(例えば、フォリスタチン導入遺伝子の標的化組込みにより)。別の実施形態では、細胞は、分化の間に、トランスフェクトまたは他の仕方で操作される(例えば、フォリスタチン導入遺伝子の標的化組込みにより)。一実施形態では、細胞は、分化の後に、トランスフェクトまたは他の仕方で操作される(例えば、フォリスタチン導入遺伝子の標的化組込みにより)。
一実施形態では、非ウイルスベクターが、メモリーB細胞および/または形質細胞へのDNAまたはRNA(例えば、フォリスタチンポリペプチドをコードする配列を含むDNAまたはRNA)の送達に使用される。例えば、ウイルス組込み系の必要なしに、メモリーB細胞および/または形質細胞のトランスフェクションを容易にすることができる系は、トランスポゾン(例えば、スリーピングビューティーまたはPiggybacなどの他のトランスポゾン系)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、メガヌクレアーゼ、ミニサークル、レプリコン、人工染色体(例えば、細菌人工染色体、哺乳動物人工染色体、および酵母人工染色体)、プラスミド、コスミド、およびバクテリオファージを限定することなく含む。
一部の実施形態では、斯かる非ウイルス依存性ベクター系は、本技術分野で公知のまたは後述するウイルスベクターにより送達することもできる。例えば、一部の実施形態では、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス)は、1種または複数種の非ウイルスベクター(例えば、上述のジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)メガヌクレアーゼのうち1種または複数種等)、または標的化組込みを容易にすることができる他のいずれかの酵素/補完的ベクター、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの送達に利用される。したがって、一部の実施形態では、細胞(例えば、メモリーB細胞および/または形質細胞等、B細胞)は、標的化組込み方法により、外因的配列(例えば、フォリスタチンポリペプチドをコードする配列)を発現するように操作することができる。斯かる方法は、本技術分野で公知であり、1種または複数種のヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、CRISPR/Cas、メガヌクレアーゼ)を使用して、細胞における内在性遺伝子座を切断するステップと、内在性遺伝子座に組み込まれ、細胞内で発現されるように、フォリスタチン導入遺伝子を細胞に投与するステップとを含むことができる。フォリスタチン導入遺伝子は、ヌクレアーゼによる切断ポイントにまたはその付近において宿主細胞のDNAに組み込まれるドナー配列に含まれていてよい。
外因的配列(例えば、フォリスタチンポリペプチドをコードする配列)の組込みは、組換えにより起こることができる。当業者には明らかであろうが、「組換え」は、非相同末端結合(NHEJ)によるドナー捕捉および相同組換えが挙げられるがこれらに限定されない、2本のポリヌクレオチドの間での遺伝情報の交換のプロセスを指す。組換えは、相同組換えとなることができる。本開示の目的のため、「相同組換え(HR)」は、例えば、相同性指向性修復機構により細胞における二本鎖切断の修復の際に行われる、斯かる交換の特殊化された形態を指す。このプロセスは、ヌクレオチド配列相同性を利用し、それによって、「ドナー」分子(例えば、ドナーポリヌクレオチド配列または斯かる配列を含むドナーベクター)は、「標的」分子(すなわち、二本鎖切断を経験した分子)を修復するための鋳型として、細胞のDNA修復の仕組みによって利用され、これらの手段は、ドナーから標的への遺伝情報の移入を引き起こす。HR指向性組込みの一部の実施形態では、ドナー分子は、ゲノムに対する相同性の少なくとも2個の領域を含有することができる(「相同性アーム」)。一部の実施形態では、相同性アームは、例えば、少なくとも50〜100塩基対の長さとなることができる。相同性アームは、標的化組込みが起こるべき、切断部位に隣接するゲノムDNAの領域に対する実質的DNA相同性を有することができる。ドナー分子の相同性アームは、標的ゲノムまたは標的DNA遺伝子座に組み込まれるべき(例えば、フォリスタチンをコードするDNAを含む)DNAに隣接することができる。染色体の切断と、それに続く鋳型としてプラスミドDNAの相同領域を使用した修復は、相同性アームによって隣接される介在する導入遺伝子のゲノムへの移入をもたらすことができる。例えば、Kollerら(1989年)Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 86巻(22号):8927〜8931頁;Thomasら(1986年)Cell 44巻(3号):419〜428頁を参照されたい。この種類の相同性指向性標的化組込みの頻度は、標的領域の近傍での二本鎖切断の計画的作製によって最大105倍増加され得る(Hockemeyerら(2009年)Nature Biotech.27巻(9号):851〜857頁;Lombardoら(2007年)Nature Biotech.25巻(11号):1298〜1306頁;Moehleら(2007年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 104巻(9号):3055〜3060頁;Rouetら(1994年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 91巻(13号):6064〜6068頁。
導入遺伝子(例えば、フォリスタチン導入遺伝子)が標的細胞のゲノムに組み込まれ得るような(例えば、HR等、組換えによる)、ゲノム遺伝子座の標的化切断を媒介することができるいずれかのヌクレアーゼは、本開示に従った細胞(例えば、メモリーB細胞または形質芽球)の操作において利用することができる。
二本鎖切断(DSB)またはニックは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクタードメインヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ等の部位特異的ヌクレアーゼによって、または特異的切断をガイドするための操作されたcrRNA/tract RNA(シングルガイドRNA)によるCRISPR/Cas9系を使用して作製することができる。例えば、あらゆる目的のためそれらの開示全体を参照により本明細書に組み込む、Burgess(2013年)Nature Reviews Genetics 14巻:80〜81頁、Urnovら(2010年)Nature 435巻(7042号):646〜51頁;米国特許出願公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20050064474号;同第20060188987号;同第20090263900号;同第20090117617号;同第20100047805号;同第20110207221号;同第20110301073号および国際公開WO2007/014275を参照されたい。
一部の実施形態では、細胞(例えば、メモリーB細胞または形質芽球)は、ドナー構築物(例えば、フォリスタチンドナー構築物)のジンクフィンガーヌクレアーゼ媒介性標的化組込みにより操作される。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、1または複数のジンクフィンガー、およびヌクレアーゼ酵素を介して配列特異的様式でDNAに結合する「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(ZFP)(または結合ドメイン)のカップリングによる特異性で、標的ヌクレオチド配列を認識および切断することができる酵素である。ZFNは、ZFP DNA結合ドメインに操作可能に連結されたいずれか適した切断ドメイン(例えば、ヌクレアーゼ酵素)を含んで、標的DNA配列の部位特異的切断を容易にすることができる操作されたZFNを形成することができる(例えば、Kimら(1996年)Proc Natl Acad Sci USA 93巻(3号):1156〜1160頁を参照)。例えば、ZFNは、FOK1酵素またはFOK1酵素の部分に連結された標的特異的ZFPを含むことができる。一部の実施形態では、ZFN媒介性標的化組込みアプローチにおいて使用されるZFNは、ZFPにそれぞれ結合されたFOK1酵素のサブユニットをそれぞれ含む2種の別々の分子を利用し、各ZFPは、標的切断部位に隣接するDNA配列に対する特異性を有し、この2種のZFPが、それぞれの標的DNA部位に結合するとき、FOK1酵素サブユニットは、互いに近接させられ、一体に結合し、標的切断部位を切断するヌクレアーゼ活性を活性化する。ZFNは、種々の生物におけるゲノム改変に使用されてきた(例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、米国特許出願公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20050064474号;同第20060188987号;同第20060063231号;および国際公開WO07/014,275)。カスタムZFPおよびZFNは、例えば、Sigma Aldrich(St.Louis、MO)から市販されており、斯かるカスタムZFNを使用して、DNAの任意の位置を慣例的に標的化および切断することもできる。
一部の実施形態では、細胞(例えば、メモリーB細胞または形質芽球)は、ドナー構築物(例えば、フォリスタチンドナー構築物)のCRISPR/Cas(例えば、CRISPR Cas9)ヌクレアーゼ媒介性組込みにより操作される。CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)/Cas(CRISPR関連)ヌクレアーゼ系は、ゲノム操作に使用され得る細菌系に基づく操作されたヌクレアーゼ系である。これは、多くの細菌および古細菌の適応免疫応答の一部に基づく。ウイルスまたはプラスミドが、細菌に侵入するとき、侵入者のDNAのセグメントは、「免疫」応答によってCRISPR RNA(crRNA)に変換される。次いで、このcrRNAは、部分的相補性の領域を介して、tracrRNAと呼ばれる別の種類のRNAと会合して、「プロトスペーサー」と呼ばれる標的DNAにおけるcrRNAと相同の領域にCas9ヌクレアーゼをガイドする。Cas9は、DNAを切断して、crRNA転写物内に含有される20ヌクレオチドガイド配列によって指定された部位におけるDSBに平滑断端を生成する。Cas9は、部位特異的DNA認識および切断のために、crRNAおよびtracrRNAの両方を要求する。この系は現在、crRNAおよびtracrRNAを1分子(「シングルガイドRNA」)へと組み合わせることができるように操作されており、シングルガイドRNAのcrRNAに相当する部分は、任意の所望の配列を標的化するようCas9ヌクレアーゼをガイドするように操作することができる(Jinekら(2012年)Science 337巻、816〜821頁、Jinekら(2013年)eLife 2巻:e00471頁およびDavid Segal(2013年)eLife 2巻:e00563頁を参照)。よって、CRISPR/Cas系は、ゲノムにおける所望の標的にDSBを作製するように操作することができ、DSBの修復は、誤りがちな修復の増加の原因となる修復阻害剤の使用によって影響され得る。当業者にとって明らかであるように、Cas9に加えて、他のCRISPRヌクレアーゼが公知であり、本発明において使用するのに好適である。
一部の実施形態では、CRISPR/Casヌクレアーゼ媒介性組込みは、II型CRISPRを利用する。II型CRISPRは、最もよく特徴付けされた系の1つであり、標的化DNA二本鎖切断を4つの逐次的なステップで実行する。第1に、2種の非コードRNAであるプレcrRNAアレイおよびtracrRNAが、CRISPR遺伝子座から転写される。第2に、tracrRNAは、プレcrRNAの反復領域にハイブリダイズし、プレcrRNAのプロセシングを媒介して、個々のスペーサー配列を含有する成熟crRNAにする。第3に、成熟crRNA:tracrRNA複合体は、標的認識のための追加的な要件である、crRNAにおけるスペーサーおよびプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の隣の標的DNAにおけるプロトスペーサーの間のワトソン・クリック塩基対形成により、標的DNAへとCas9を方向付ける。第4に、Cas9は、標的DNAの切断を媒介して、プロトスペーサー内に二本鎖切断を作製する。
Cas9関連のCRISPR/Cas系は、2種のRNA非コード構成成分:tracrRNA、および同一の直列反復(DR)を散りばめたヌクレアーゼガイド配列(スペーサー)を含有するプレcrRNAアレイを含む。CRISPR/Cas系を使用して、ゲノム操作を達成するために、これらのRNAの両方の機能が存在していなければならない(Congら(2013年)Sciencexpress 1/10.1126/science 1231143を参照)。一部の実施形態では、tracrRNAおよびプレcrRNAは、別々の発現構築物によりまたは別々のRNAとして供給される。他の実施形態では、キメラRNAが構築され、それによると、操作された成熟crRNA(標的特異性を付与)が、tracrRNA(Cas9との相互作用を供給)に融合されて、キメラcr−RNA−tracrRNAハイブリッドを作製する(シングルガイドRNAとも命名される)。(Jinek、前記箇所およびCong、前記箇所を参照)。
一部の実施形態では、crRNAおよびtracrRNAの両方を含有するシングルガイドRNAは、任意の所望の配列を標的化するようにCas9ヌクレアーゼをガイドするように操作することができる(例えば、Jinekら(2012年)Science 337巻、816〜821頁、Jinekら(2013年)eLife 2巻:e00471頁、David Segal(2013年)eLife 2巻:e00563頁)。よって、CRISPR/Cas系は、ゲノムにおける所望の標的にDSBを作製するように操作することができる。
カスタムCRISPR/Cas系は、例えば、Dharmacon(Lafayette、CO)から市販されており、斯かるカスタムシングルガイドRNA配列を使用して、DNAの任意の位置を慣例的に標的化および切断することもできる。組換えのための一本鎖DNA鋳型は、合成することができる(例えば、本技術分野で公知のおよび市販のオリゴヌクレオチド合成方法により)、またはベクター、例えば、AAV等のウイルスベクター中に提供することができる。
一部の実施形態では、細胞(例えば、メモリーB細胞または形質芽球)は、ドナー構築物(例えば、フォリスタチンドナー構築物)のTALE−ヌクレアーゼ(TALEN)媒介性標的化組込みにより操作される。「TALE DNA結合ドメイン」または「TALE」は、1または複数のTALE反復ドメイン/単位を含むポリペプチドである。反復ドメインは、その同族標的DNA配列へのTALEの結合に関与する。単一「反復単位」(「反復」とも称される)は典型的に、33〜35アミノ酸の長さであり、天然に存在するTALEタンパク質内の他のTALE反復配列と少なくともある程度の配列相同性を示す。TAL−エフェクターは、タンデム反復の核局在化配列、酸性転写活性化ドメインおよび中央集中ドメインを含有することができ、各反復は、このようなタンパク質のDNA結合特異性の鍵となるおよそ34アミノ酸を含有する。(例えば、Schornack S,ら(2006年)J Plant Physiol 163巻(3号):256〜272頁)。TALエフェクターは、およそ102bpを含むタンデム反復に見出される配列に依存し、反復は典型的に、互いに91〜100%相同である(例えば、Bonasら(1989年)MoI Gen Genet 218巻:127〜136頁)。このようなDNA結合反復を操作して、新たな組み合わせおよび数の反復をタンパク質に入れて、新たな配列と相互作用し、非内在性レポーター遺伝子の発現を活性化することができる人工転写因子を作製することができる(例えば、Bonasら(1989年)MoI Gen Genet 218巻:127〜136頁)。操作されたTALタンパク質は、FokI切断ハーフドメインに連結させて、標的特異的DNA配列を切断するためのTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合体(TALEN)を得ることができる(例えば、Christianら(2010年)Genetics、epub 10.1534/genetics.110.120717)。
カスタムTALENは、例えば、Thermo Fisher Scientific(Waltham、MA)から市販されており、DNAの任意の位置を慣例的に標的化および切断することもできる。
一部の実施形態では、細胞(例えば、メモリーB細胞または形質芽球)は、ドナー構築物(例えば、フォリスタチンドナー構築物)のメガヌクレアーゼ媒介性標的化組込みにより操作される。メガヌクレアーゼ(または「ホーミングエンドヌクレアーゼ」)は、12塩基対を超える認識配列において二本鎖DNAに結合しこれを切断するエンドヌクレアーゼである。天然に存在するメガヌクレアーゼは、単量体(例えば、I−SceI)または二量体(例えば、I−CreI)となることができる。天然に存在するメガヌクレアーゼは、15〜40塩基対切断部位を認識し、一般的に、4つのファミリー:LAGLIDADGファミリー、GIY−YIGファミリー、His−CystボックスファミリーおよびHNHファミリーへとグループ化される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼは、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevIIおよびI−TevIIIを含む。これらの認識配列は公知である。米国特許第5,420,032号;米国特許第6,833,252号;Belfortら(1997年)Nucleic Acids Res.25巻:3379〜3388頁;Dujonら(1989年)Gene 82巻:115〜118頁;Perlerら(1994年)Nucleic Acids Res.22巻、1125〜1127頁;Jasin(1996年)Trends Genet.12巻:224〜228頁;Gimbleら(1996年)J. Mol. Biol.263巻:163〜180頁;Argastら(1998年)J. Mol. Biol.280巻:345〜353頁およびNew England Biolabsカタログも参照されたい。用語「メガヌクレアーゼ」は、単量体メガヌクレアーゼ、二量体メガヌクレアーゼ、および会合して二量体メガヌクレアーゼを形成する単量体を含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法および組成物は、操作された(天然に存在しない)ホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)を含むヌクレアーゼを活用する。I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevIIおよびI−TevIII等、ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼの認識配列が公知である。米国特許第5,420,032号;米国特許第6,833,252号;Belfortら(1997年)Nucleic Acids Res.25巻:3379〜3388頁;Dujonら(1989年)Gene 82巻:115〜118頁;Perlerら(1994年)Nucleic Acids Res.22巻、1125〜1127頁;Jasin(1996年)Trends Genet.12巻:224〜228頁;Gimbleら(1996年)J. Mol. Biol.263巻:163〜180頁;Argastら(1998年)J. Mol. Biol.280巻:345〜353頁およびNew England Biolabsカタログも参照されたい。加えて、ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合特異性は、非天然標的部位に結合するように操作することができる。例えば、Chevalierら(2002年)Molec. Cell 10巻:895〜905頁;Epinatら(2003年)Nucleic Acids Res.31巻:2952〜2962頁;Ashworthら(2006年)Nature 441巻:656〜659頁;Paquesら(2007年)Current Gene Therapy 7巻:49〜66頁;米国特許出願公開第20070117128号を参照されたい。ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、ヌクレアーゼ全体としての文脈において(すなわち、ヌクレアーゼが、同族切断ドメインを含むように)変更することができる、または異種切断ドメインに融合することができる。カスタムメガヌクレアーゼは、例えば、New England Biolabs(Ipswich、MA)から市販されており、DNAの任意の位置を慣例的に標的化および切断することもできる。
B細胞の操作は、例えば、コードされたヌクレアーゼを含むベクターがB細胞によって取り入れられるような、ヌクレアーゼをコードする1種または複数種のベクターによる、B細胞への1種または複数種のヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、CRISPR/Cas、メガヌクレアーゼ)の投与を含むことができる。ベクターは、ウイルスベクターであり得る。
一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、細胞(例えば、メモリーB細胞または形質細胞)における特異的内在性遺伝子座(例えば、目的のセーフハーバー遺伝子または遺伝子座)を切断し、1種または複数種の外因的(ドナー)配列(例えば、導入遺伝子)が投与される(例えば、これらの外因的配列を含む1種または複数種のベクター)。斯かる実施形態では、ドナー配列は、フォリスタチン(例えば、フォリスタチン導入遺伝子)をコードし得る。ヌクレアーゼは、標的DNAにおける二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック)を誘導することができる。一部の実施形態では、ドナー導入遺伝子(例えば、フォリスタチンドナー導入遺伝子)の標的化挿入は、細胞のゲノムへの導入遺伝子(例えば、フォリスタチン導入遺伝子)の組込み部位における、相同組換え修復(HDR)、非相同修復機構(例えば、NHEJ媒介性末端捕捉)、またはヌクレオチド(例えば、内在性配列)の挿入および/もしくは欠失により行うことができる。一実施形態では、B細胞をトランスフェクトする方法は、ベクターとB細胞との接触に先立つB細胞のエレクトロポレーションを含む。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1日目から12日目までの範囲の日にエレクトロポレーションされる。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1、2、3、4、5、6、7、8、または9日目にエレクトロポレーションされる。一実施形態では、細胞は、プラスミドの送達のために、in vitro培養の2日目にエレクトロポレーションされる。
一実施形態では、細胞は、トランスポゾンを使用してトランスフェクトされる。本明細書において、用語「トランスポゾン化」は、一部の実施形態では、トランスポゾンを用いてトランスフェクトされるような細胞を指し得る。多数のトランスポゾン系が当技術分野で公知であり、本発明において使用するのに好適である。例えば、スリーピングビューティートランスポゾン系およびPiggybacトランスポゾン系は、当技術分野で周知であり、本発明において使用するのに好適である。例えば、これらのそれぞれが、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、Hackett P.B., et al., Evaluating Risks of Insertional Mutagenesis by DNA Transposons in Gene Therapy, Transl Res. 2013 April ; 161(4): 265-283;Hudecek M, et al., Going non-viral: the Sleeping Beauty transposon system breaks on through to the clinical side, Crit Rev Biochem Mol Biol. 2017 Aug;52(4):355-380を参照されたい。一部の実施形態では、細胞は、スリーピングビューティートランスポゾンを使用してトランスフェクトされる。スリーピングビューティートランスポゾンは、一部の実施形態では、T2スリーピングビューティートランスポゾンまたはT4スリーピングビューティートランスポゾンであってもよい。一部の実施形態では、スリーピングビューティートランスポゾン系の利用は、B細胞を、トランスポゾン系の機構をコードするDNA構築物およびフォリスタチンポリペプチドをコードするDNA構築物を用いてトランスフェクトすることを(例えば、エレクトロポレーションにより)含み得る。一部の実施形態では、トランスポゾン系機構をコードするDNA構築物は、pCMV−SB100xであってもよい。一部の実施形態では、スリーピングビューティートランスポゾン系の利用は、B細胞を、フォリスタチンポリペプチドをコードするDNA構築物でトランスフェクトすること(例えば、エレクトロポレーションによる)、さらに、B細胞を、トランスポゾン系機構をコードするmRNAを用いてトランスフェクトすることを含む。一部の実施形態では、トランスポゾン系機構をコードするmRNAは、SB100×トランスポサーゼをコードする。一部の実施形態では、細胞は、Piggybacトランスポゾンを使用してトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1日目から12日目までの範囲の日に、トランスポゾン(例えば、T2もしくはT4スリーピングビューティートランスポゾンまたはPiggybacトランスポゾン)を使用してトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1、2、3、4、5、6、7、8、または9日目に、トランスポゾン(例えば、T2もしくはT4スリーピングビューティートランスポゾンまたはPiggybacトランスポゾン)を使用してトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1日目から12日目までの範囲の日に、ミニサークルを使用してトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1、2、3、4、5、6、7、8、または9日目に、ミニサークルを使用してトランスフェクトされる。
一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1日目から12日目までの範囲の日に、スリーピングビューティートランスポゾン(例えば、T2またはT4スリーピングビューティートランスポゾン)を使用してトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の2日目に、スリーピングビューティートランスポゾン系(例えば、T2またはT4スリーピングビューティートランスポゾン)を使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の5日目に、スリーピングビューティートランスポゾン系(例えば、T2またはT4スリーピングビューティートランスポゾン)を使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の8日目に、スリーピングビューティートランスポゾン系(例えば、T2またはT4スリーピングビューティートランスポゾン)を使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の11日目に、スリーピングビューティートランスポゾン(例えば、T2またはT4スリーピングビューティートランスポゾン)系を使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の14日目に、スリーピングビューティートランスポゾン(例えば、T2またはT4スリーピングビューティートランスポゾン)系を使用して形質導入される。
一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1日目から12日目までの範囲の日に、Piggybacトランスポゾンを使用してトランスフェクトされる。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の2日目に、Piggybacトランスポゾンを使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の5日目に、Piggybacトランスポゾンを使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の8日目に、Piggybacトランスポゾンを使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の11日目に、Piggybacトランスポゾンを使用して形質導入される。一実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションによって、in vitro培養の14日目に、Piggybacトランスポゾンを使用して形質導入される。
一実施形態では、B細胞は、B細胞の少なくとも部分をトランスフェクトするのに十分な条件下、プロモーターに作動可能に連結した目的の核酸を含むベクターと接触される。一実施形態では、B細胞は、B細胞の少なくとも5%をトランスフェクトするのに十分な条件下、プロモーターに作動可能に連結した目的の核酸を含むベクターと接触される。さらなる実施形態では、B細胞は、B細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはさらには100%をトランスフェクトするのに十分な条件下、ベクターと接触される。特定の一実施形態では、本明細書に記載されている通りにin vitroで培養されたB細胞がトランスフェクトされ、この場合、培養されたB細胞は、B細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはさらには100%をトランスフェクトするのに十分な条件下、本明細書に記載されているベクターと接触される。
ウイルスベクターを用いて、メモリーB細胞および/または形質細胞を形質導入することができる。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスに基づくベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクター、レトロウイルスベクター、レトロウイルスアデノウイルスベクター、ならびにアンプリコンベクターを含む単純ヘルペスウイルス(HSV)、複製欠損HSVおよび弱毒化HSVに由来するベクターを限定することなく含む(例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Krisky、Gene Ther.5巻:1517〜30頁、1998年;Pfeifer、Annu. Rev. Genomics Hum. Genet.2巻:177〜211頁、2001年を参照)。
一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1、2、3、4、5、6、7、8または9日目に、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)により形質導入される。特定の実施形態では、細胞は、in vitro培養の5日目に、ウイルスベクターにより形質導入される。一実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスである。一実施形態では、細胞は、in vitro培養の1日目に、麻疹ウイルスシュードタイプ化レンチウイルスにより形質導入される。
一実施形態では、B細胞は、本技術分野における種々の公知技法のいずれかを使用して、レトロウイルスベクターにより形質導入される(例えば、Science、1996年4月12日、272巻:263〜267頁;Blood 2007年、99巻:2342〜2350頁;Blood 2009年、1 13巻:1422〜1431頁;Blood 2009年10月8日;1 14巻(15号):3173〜80頁;Blood.2003年;101巻(6号):2167〜2174頁;Current Protocols in Molecular BiologyまたはCurrent Protocols in Immunology、John Wiley & Sons、New York、N.Y.(2009年)を参照)。B細胞のウイルス形質導入に関する追加的な記載は、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2011/085247およびWO2014/152832に見出すことができる。
例えば、ドナー由来のPBMC、BまたはTリンパ球、およびB−CLL等の他のB細胞がん細胞を単離し、IMDM培地もしくはRPMI 1640(GibcoBRL Invitrogen、Auckland、New Zealand)、または本明細書に記載されている他の適した培地において、無血清で、または血清(例えば、5〜10%FCS、ヒトAB血清および血清代替物)およびペニシリン/ストレプトマイシン、および/またはトランスフェリンおよび/またはインスリン等の他の適したサプリメントを補充して培養することができる。一実施形態では、細胞は、48ウェルプレートにおける1×105個の細胞で播種され、濃縮されたベクターは、慣例的な方法論を使用した当業者によって慣例的に最適化され得る様々な用量で添加される。一実施形態では、B細胞は、10%AB血清、5%FCS、50ng/ml rhSCF、10ng/ml rhlL−15および5ng/ml rhlL−2を補充したRPMIにおいてMS5細胞単層に移入され、培地は必要に応じて定期的に新しくする。当業者によって認識されるであろうが、他の適した培地およびサプリメントを所望の通りに使用することができる。
ある特定の実施形態は、レトロウイルスベクター、またはレトロウイルスに由来するベクターの使用に関する。「レトロウイルス」は、動物細胞に感染することができ、感染初期段階で逆転写酵素を利用して、自身のRNAゲノムからDNAコピーを生成し、次いでこれが典型的に宿主ゲノムに組み込まれる、エンベロープ型RNAウイルスである。レトロウイルスベクターの例として、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクター、造血前駆体細胞およびその分化した後代等の標的細胞における長期安定的発現をもたらすマウス幹細胞ウイルスに基づくレトロウイルスベクター(例えば、Hawleyら、PNAS USA 93巻:10297〜10302頁、1996年;Kellerら、Blood 92巻:877〜887頁、1998年を参照)、ハイブリッドベクター(例えば、Choiら、Stem Cells 19巻:236〜246頁、2001年を参照)、ならびにレンチウイルスベクター等の複合レトロウイルス由来ベクターが挙げられる。
一実施形態では、B細胞は、B細胞の少なくとも部分を形質導入するのに十分な条件下、プロモーターに作動可能に連結した目的の核酸を含むレトロウイルスベクターと接触される。一実施形態では、B細胞は、B細胞の少なくとも2%を形質導入するのに十分な条件下、プロモーターに作動可能に連結した目的の核酸を含むレトロウイルスベクターと接触される。さらなる実施形態では、B細胞は、休止B細胞の少なくとも2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはさらには100%を形質導入するのに十分な条件下、ベクターと接触される。特定の一実施形態では、本明細書に記載されている通りにin vitroで培養された、分化および活性化されたB細胞が形質導入され、この場合、培養された分化/活性化されたB細胞は、分化および活性化されたB細胞の少なくとも2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはさらには100%を形質導入するのに十分な条件下、本明細書に記載されているベクターと接触される。
ある特定の実施形態では、形質導入の前に、細胞は、当業者に公知で慣例的に最適化される適切な濃度のStaphylococcus Aureus Cowan(SAC;Calbiochem、San Diego、CA)および/またはIL−2で予め刺激される。当業者に公知で本明細書に記載されている通り、他のB細胞活性化因子(例えば、PMA)を使用することができる。
上に記す通り、ある特定の実施形態は、レンチウイルスベクターを用いる。用語「レンチウイルス」は、分裂および非分裂細胞の両方に感染することができる、複合レトロウイルスの属を指す。レンチウイルスの例として、HIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIV 1型およびHIV 2型を含む)、ビスナ・マエディ、ヤギ関節炎・脳炎ウイルス、ウマ感染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)が挙げられる。レンチウイルスベクターは、これらのレンチウイルスのうちいずれか1種または複数種に由来することができる(例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Evansら、Hum Gene Ther.10巻:1479〜1489頁、1999年;Caseら、PNAS USA 96巻:2988〜2993頁、1999年;Uchidaら、PNAS USA 95巻:1 1939〜1 1944頁、1998年;Miyoshiら、Science 283巻:682〜686頁、1999年;Suttonら、J Virol 72巻:5781〜5788頁、1998年;およびFrechaら、Blood.1 12巻:4843〜52頁、2008年を参照)。
休止TおよびB細胞を、HIVアクセサリータンパク質(vif、vpr、vpuおよびnef)の大部分を保有するVSVGコートLVによって形質導入することができることが記録された(例えば、Frechaら、2010年、Mol. Therapy 18巻:1748頁を参照)。ある特定の実施形態では、レトロウイルスベクターは、HIVゲノムまたはSIVゲノム等、レンチウイルスゲノム由来のある特定の最小配列を含む。レンチウイルスのゲノムは典型的に、5’末端反復配列(LTR)領域、gag遺伝子、pol遺伝子、env遺伝子、アクセサリー遺伝子(例えば、nef、vif、vpr、vpu、tat、rev)および3’LTR領域へと組織化される。ウイルスLTRは、U3、R(反復)およびU5と称される3つの領域へと分けられる。U3領域は、エンハンサーおよびプロモーターエレメントを含有し、U5領域は、ポリアデニル化シグナルを含有し、R領域は、U3およびU5領域を分離する。R領域の転写された配列は、ウイルスRNAの5’および3’末端の両方に現れる(例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、「RNA Viruses: A Practical Approach」(Alan J. Cann編、Oxford University Press、2000年);O Narayan、J. Gen. Virology.70巻:1617〜1639頁、1989年;Fieldsら、Fundamental Virology Raven Press.、1990年;Miyoshiら、J Virol.72巻:8150〜7頁、1998年;および米国特許第6,013,516号を参照)。レンチウイルスベクターは、レンチウイルスゲノムのこれらのエレメントのうちいずれか1種もしくは複数を含んで、所望の通りにベクターの活性を調節することができる、またはこれらのエレメントのうち1種または複数に欠失、挿入、置換もしくは変異を含有して、例えば、レンチウイルス複製の病理学的効果を低下させる、もしくは単一ラウンドの感染にレンチウイルスベクターを限定することができる。
典型的に、最小レトロウイルスベクターは、ある特定の5’LTRおよび3’LTR配列、1種または複数種の目的の遺伝子(標的細胞において発現されるべき)、1種または複数種のプロモーター、ならびにRNAのパッケージングのためのシス作用性配列を含む。本明細書に記載され、本技術分野で公知の通り、他の調節配列が含まれていてもよい。ウイルスベクターは典型的に、真核細胞(例えば、293−HEK)等のパッケージング細胞株にトランスフェクトされ得るプラスミドにクローニングされ、また、典型的に、細菌におけるプラスミドの複製に有用な配列を含む。
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルス等、レトロウイルスの5’および/または3’LTR由来の配列を含む。LTR配列は、いずれかの種由来のいずれかのレンチウイルス由来のLTR配列となることができる。例えば、LTR配列は、HIV、SIV、FIVまたはBIV由来のLTR配列となることができる。好ましくは、LTR配列は、HIV LTR配列である。
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスの5’LTR由来のRおよびU5配列、ならびにレンチウイルス由来の不活性化されたまたは「自己不活性化型」3’LTRを含む。「自己不活性化型3’LTR」は、LTR配列が下流遺伝子の発現を駆動するのを防止する変異、置換または欠失を含有する3’末端反復配列(LTR)である。3’LTR由来のU3領域のコピーは、組み込まれたプロウイルスにおける両方のLTRの生成のための鋳型として作用する。よって、不活性化型欠失または変異を有する3’LTRが、プロウイルスの5’LTRとして組み込む場合、5’LTRからの転写は不可能である。このことは、ウイルスエンハンサー/プロモーターおよびいずれかの内部エンハンサー/プロモーターの間の競合を排除する。自己不活性化型3’LTRは、例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Zuffereyら、J Virol.72巻:9873〜9880頁、1998年;Miyoshiら、J Virol.72巻:8150〜8157頁、1998年;およびIwakumaら、J Virology 261巻:120〜132頁、1999年に記載されている。自己不活性化型3’LTRは、本技術分野で公知のいずれかの方法によって生成することができる。ある特定の実施形態では、3’LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、好ましくは、TATAボックス、Splおよび/またはNF−カッパーB部位に欠失を有する。自己不活性化型3’LTRの結果として、宿主細胞ゲノムに組み込まれたプロウイルスは、不活性化された5’LTRを含むであろう。
本明細書に提供されているベクターは典型的に、1または複数の標的細胞において望ましく発現されるタンパク質、例えば、フォリスタチンをコードする遺伝子を含む。しかし、本明細書に提供されているベクターは、1または複数の標的細胞において望ましく発現される他の分子(例えば、siRNAなど)をコードする遺伝子も含む。一部の実施形態では、ウイルスベクター中で、目的の(例えば、フォリスタチン)遺伝子は、好ましくは、5’LTRおよび3’LTR配列の間に位置する。さらに、一部の実施形態では、目的の(例えば、フォリスタチン)遺伝子は、好ましくは、他の遺伝的エレメント、例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー等、転写調節配列と機能的関係性にあって、一度標的細胞に遺伝子が取り込まれると、特定の様式で目的の(例えば、フォリスタチン)遺伝子の発現を調節する。ある特定の実施形態では、有用な転写調節配列は、時間的および空間的の両方で、活性に関して高度に調節される配列である。
ある特定の実施形態では、1種または複数種の追加的な遺伝子は、安全対策として取り込んで、例えば、ヒト患者内等、不均一集団内のトランスフェクトされた標的細胞の選択的殺滅または枯渇を可能にすることができる。非限定的な例示的な一実施形態では、遺伝子は、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)であり、その発現は、標的細胞を、薬物ガンシクロビルの作用に対して感受性にする。一部の実施形態では、追加の遺伝子は、細胞表面タンパク質のタグである。一部の実施形態では、遺伝子は、自殺遺伝子である。一部の実施形態では、自殺遺伝子は、二量体化薬によって活性化されるカスパーゼ9自殺遺伝子である(例えば、Tey et al., Biology of Blood and Marrow Transplantation 13:913-924, 2007を参照されたい)。
ある特定の実施形態では、マーカータンパク質をコードする1種または複数種の追加的な遺伝子を、ウイルスまたは非ウイルスベクターにおける一次遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)の前または後に配置して、所望のタンパク質(例えば、フォリスタチン)を発現している細胞の同定および/または選択を可能にすることができる。ある特定の実施形態は、所望のタンパク質(例えば、フォリスタチン)を発現している細胞の同定および/または選択を容易にし得る追加的な細胞表面タンパク質を取り込む。ある特定の実施形態は、目的の一次遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)と共に、緑色蛍光タンパク質(GFP)または赤色蛍光タンパク質(RFP)等、蛍光マーカータンパク質を取り込む。1種または複数種の追加的なレポーター遺伝子が含まれる場合、レポーター遺伝子および/または他のいずれかの目的の遺伝子から目的の一次遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)を分離する、IRES配列または2Aエレメントも含まれていてよい。
ある特定の実施形態は、1種または複数種の選択可能マーカーをコードする遺伝子を用いることができる。例として、選択的培養培地において育成されている形質転換された宿主細胞の生存または成長に必要な因子をコードする薬物耐性のための遺伝子等、真核細胞または原核細胞において有効な選択可能マーカーを挙げることができる。例示的な選択遺伝子は、抗生物質または他の毒素、例えば、G418、ハイグロマイシンB、ピューロマイシン、ゼオシン(zeocin)、ウアバイン、ブラストサイジン、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートもしくはテトラサイクリンに対する耐性を付与するか、栄養要求性欠損を補完するか、または補給するタンパク質をコードし、これらは別々のプラスミドに存在し、ウイルスベクターとのコトランスフェクションによって導入することができる。一実施形態では、遺伝子は、メトトレキセート耐性を付与する変異体ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードする。ある特定の他の実施形態は、トランスフェクトされた細胞のタグ付けおよび検出または精製に使用することができる1種または複数種の細胞表面受容体(例えば、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR))、または形質導入タグ系として有用な他の斯かる受容体をコードする遺伝子を用いることができる。例えば、Lauerら、Cancer Gene Ther.2000年3月;7巻(3号):430〜7頁を参照されたい。
レトロウイルスベクター等、ある特定のウイルスベクターは、1種または複数種の異種プロモーター、エンハンサー、またはその両方を用いる。ある特定の実施形態では、レトロウイルスまたはレンチウイルス5’LTR由来のU3配列は、ウイルス構築物におけるプロモーターまたはエンハンサー配列と置き換えることができる。ある特定の実施形態は、ウイルスベクターの5’LTRおよび3’LTR配列の間に位置し、目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)に作動可能に連結した、「内部」プロモーター/エンハンサーを用いる。
「機能的関係性」および「作動可能に連結された」は、プロモーターおよび/またはエンハンサーが、適切な調節分子と接触されると、遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)の発現が影響されることになるように、遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)が、プロモーターおよび/またはエンハンサーに関して正確な位置および配向性にあることを限定することなく意味する。パッケージング細胞株におけるウイルスRNAゲノムの発現を調節する(例えば、増加させる、減少させる)、感染した標的細胞における選択された目的の遺伝子の発現を調節する、またはその両方を行う、いかなるエンハンサー/プロモーターの組み合わせも使用することもできる。
プロモーターは、ポリメラーゼ結合および転写が起こることを可能にするDNA配列によって形成される発現制御エレメントである。プロモーターは、選択された目的の遺伝子の開始コドンの上流(5’)に位置し(典型的に、約100〜1000bp以内)、それが作動可能に連結されたコードポリヌクレオチド配列の転写および翻訳を制御する、非翻訳配列である。プロモーターは、誘導性または構成的となることができる。誘導性プロモーターは、その制御下で、温度変化等、培養条件の何らかの変化に応答して、DNAからの増加したレベルの転写を開始する。プロモーターは、一方向性または双方向性となることができる。双方向性プロモーターを使用して、2種の遺伝子、例えば、フォリスタチンなどの目的の遺伝子および選択マーカーを同時発現させることができる。あるいは、同じベクターにおいて反対の配向性で、異なる遺伝子の発現をそれぞれ制御する2個のプロモーターを含む双方向性プロモーター構成を利用することができる。
ポリヌクレオチドコード配列にプロモーターを作動可能に連結するための方法と同様に、種々のプロモーターが本技術分野で公知である。ネイティブプロモーター配列および多くの異種プロモーターの両方を使用して、選択された目的の遺伝子の発現を方向付けることができる。ある特定の実施形態は、一般に、ネイティブプロモーターと比較して、所望のタンパク質のより優れた転写およびより高い収量を可能にすることから、異種プロモーターを用いる。
ある特定の実施形態は、異種ウイルスプロモーターを用いることができる。斯かるプロモーターの例として、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびサルウイルス40(SV40)等、ウイルスのゲノムから得られるプロモーターが挙げられる。ある特定の実施形態は、アクチンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーター、または目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)のネイティブ配列に関連したプロモーター等、異種哺乳動物プロモーターを用いることができる。典型的に、プロモーターは、活性化されたBリンパ球、形質B細胞、メモリーB細胞または他のリンパ球標的細胞等、標的細胞と適合性である。
ある特定の実施形態は、RNAポリメラーゼIIおよびIIIプロモーターのうち1種または複数種を用いることができる。RNAポリメラーゼIIIプロモーターの適した選択は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、PauleおよびWhite.、Nucleic Acids Research.、28巻、1283〜1298頁、2000年に見出すことができる。RNAポリメラーゼIIおよびIIIプロモーターは、その下流RNAコード配列を転写するようにそれぞれRNAポリメラーゼIIまたはIIIを方向付けることができる、いずれかの合成または操作されたDNA断片も含む。さらに、ウイルスベクターの一部として使用されるRNAポリメラーゼIIまたはIII(Pol IIまたはIII)プロモーター(単数または複数)は、誘導性となることができる。いずれか適した誘導性Pol IIまたはIIIプロモーターを、本明細書に記載されている方法と共に使用することができる。例示的なPol IIまたはIIIプロモーターは、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、OhkawaおよびTaira、Human Gene Therapy、11巻、577〜585頁、2000年;ならびにMeissnerら、Nucleic Acids Research、29巻、1672〜1682頁、2001年に提供されている、テトラサイクリン応答性プロモーターを含む。
使用することができる構成的プロモーターの非限定例として、ユビキチンのプロモーター、CMVプロモーター(例えば、Karasuyamaら、J. Exp. Med.169巻:13頁、1989年を参照)、β−アクチン(例えば、Gunningら、PNAS USA 84巻:4831〜4835頁、1987年を参照)、伸長因子−1アルファ(EF−1アルファ)プロモーター、CAGプロモーターおよびpgkプロモーター(例えば、これらのそれぞれを参照により本明細書に組み込む、Adraら、Gene 60巻:65〜74頁、1987年);Singer−Samら、Gene 32巻:409〜417頁、1984年;およびDobsonら、Nucleic Acids Res.10巻:2635〜2637頁、1982年を参照)が挙げられる。組織特異的プロモーターの非限定例として、lckプロモーター(例えば、Garvinら、Mol. Cell Biol.8巻:3058〜3064頁、1988年;およびTakaderaら、Mol. Cell Biol.9巻:2173〜2180頁、1989年を参照)、ミオゲニンプロモーター(Yeeら、Genes and Development 7巻:1277〜1289頁、1993年)およびthylプロモーター(例えば、Gundersenら、Gene 1 13巻:207〜214頁、1992年を参照)が挙げられる。
プロモーターの追加的な例として、Bリンパ球において機能的である、ユビキチン−Cプロモーター、ヒトμ重鎖プロモーターまたはIg重鎖プロモーター(例えば、MH)、およびヒトκ軽鎖プロモーターまたはIg軽鎖プロモーター(例えば、EEK)が挙げられる。MHプロモーターは、マトリクス会合領域が隣接するiEμエンハンサーが先行する、ヒトμ重鎖プロモーターを含有し、EEKプロモーターは、イントロンエンハンサー(iEκ)、マトリクス会合性領域および3’エンハンサー(3Eκ)が先行する、κ軽鎖プロモーターを含有する(例えば、Luoら、Blood.1 13巻:1422〜1431頁、2009年および米国特許出願公開第2010/0203630号を参照)。したがって、ある特定の実施形態は、これらのプロモーターまたはエンハンサーエレメントのうち1種または複数種を用いることができる。
一実施形態では、ある1つのプロモーターは、選択可能マーカーの発現を駆動し、第2のプロモーターは、目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)の発現を駆動する。例えば、一実施形態では、EF−1アルファプロモーターは、選択マーカー(例えば、DHFR)の産生を駆動し、ミニチュアCAGプロモーター(例えば、Fanら、Human Gene Therapy 10巻:2273〜2285頁、1999年を参照)は、目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン)の発現を駆動する。
上に記す通り、ある特定の実施形態は、内部エンハンサー等、エンハンサーエレメントを用いて、目的の遺伝子の発現を増加させる。エンハンサーは、その転写を増加させるようにプロモーターに作用する、通常約10〜300bpの長さのDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサー配列は、ιεμエンハンサー、ιεκイントロンエンハンサーおよび3’εκエンハンサー等、哺乳動物遺伝子(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、インスリン)に由来することができる。複製起点の後側におけるSV40エンハンサー(bp 100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側におけるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含む、真核生物ウイルス由来のエンハンサーも含まれる。エンハンサーは、抗原特異的ポリヌクレオチド配列に対する位置5’または3’においてベクターへとスプライスすることができるが、好ましくは、プロモーターから5’の部位に位置する。当業者であれば、所望の発現パターンに基づき適切なエンハンサーを選択するであろう。
ある特定の実施形態では、プロモーターは、目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)の誘導性発現を可能にするように選択される。テトラサイクリン応答性系およびlacオペレーター・リプレッサー系を含む、誘導性発現のための多数の系が、本技術分野で公知である。プロモーターの組み合わせを使用して、目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)の所望の発現を得ることができることも企図される。当業者であれば、目的の生物および/または標的細胞における遺伝子の所望の発現パターンに基づきプロモーターを選択することができるであろう。
ある特定のウイルスベクターは、ウイルス粒子へのゲノムウイルスRNAの取り込みを促進するためのシス作用性パッケージング配列を含有する。例として、psi−配列が挙げられる。斯かるシス作用性配列は、本技術分野で公知である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されているウイルスベクターは、2種またはそれよりも多い遺伝子を発現することができ、これは、例えば、配列内リボソーム進入配列(internal ribosomal entry sequence)(IRES)エレメント(参照により本明細書に組み込む米国特許第4,937,190号)もしくは2Aエレメントまたはその両方等、同時発現を容易にするエレメントを取り込むことにより、第1の遺伝子を越えて別々の遺伝子のそれぞれに作動可能に連結した内部プロモーターを取り込むことにより達成することができる。単に説明として、単一のベクターが、所望の特異性を有する免疫グロブリン分子の各鎖をコードする配列を含む場合、IRESまたは2Aエレメントを使用することができる。例えば、第1のコード領域(重鎖または軽鎖のいずれかをコード)は、プロモーターからすぐ下流に位置することができ、第2のコード領域(他方の鎖をコード)は、第1のコード領域から下流に位置することができ、IRESまたは2Aエレメントは、第1および第2のコード領域の間に、好ましくは、第2のコード領域に直接先行して位置する。他の実施形態では、IRESまたは2Aエレメントは、レポーター遺伝子、選択可能マーカー、細胞表面タンパク質、または免疫機能を増強する遺伝子等、無関係の遺伝子の同時発現に使用される。使用することができるIRES配列の例は、脳脊髄炎ウイルス(EMCV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)、ヒトライノウイルス(HRV)、コクサッキーウイルス(CSV)、ポリオウイルス(POLIO)、A型肝炎ウイルス(HAV)、C型肝炎ウイルス(HCV)およびペスチウイルス(例えば、豚コレラウイルス(HOCV)およびウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV))のIRESエレメントを限定することなく含む(例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Leら、Virus Genes 12巻:135〜147頁、1996年;およびLeら、Nuc. Acids Res.25巻:362〜369頁、1997年を参照)。2Aエレメントの一例として、口蹄疫ウイルス由来のF2A配列が挙げられる。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されているベクターは、所望の結果を達成するための追加的な遺伝的エレメントも含有する。例えば、ある特定のウイルスベクターは、HIV−1 flapシグナル等、標的細胞におけるウイルスゲノムの核侵入を容易にするシグナルを含むことができる。さらに別の例として、ある特定のウイルスベクターは、tRNAアンバーサプレッサー配列等、標的細胞におけるプロウイルス組込み部位の特徴付けを容易にするエレメントを含むことができる。ある特定のウイルスベクターは、目的の遺伝子(例えば、フォリスタチン遺伝子)の発現を増強するように設計された1種または複数種の遺伝的エレメントを含有することができる。例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス応答性エレメント(WRE)を構築物中に配置することができる(例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Zuffereyら、J. Virol.74巻:3668〜3681頁、1999年;およびDeglonら、Hum. Gene Ther.11巻:179〜190頁、2000年を参照)。別の例として、ニワトリβ−グロビンインスレーターが、構築物中に含まれていてもよい。このエレメントは、メチル化およびヘテロクロマチン化効果による標的細胞における組み込まれたDNAのサイレンシングの確率を低下させることが示されてきた。加えて、インスレーターは、染色体上の組込み部位における周囲のDNA由来のプラスのまたはマイナスの位置的効果から内部エンハンサー、プロモーターおよび外因的遺伝子を遮蔽することができる。ある特定の実施形態は、これらの遺伝的エレメントのそれぞれを用いる。別の実施形態では、本明細書に提供されているウイルスベクターは、発現を増加させるための遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を含有することもできる(例えば、Zhang Fら、Molecular Therapy:The journal of the American Society of Gene Therapy 2010年9月;18巻(9号):1640〜9頁を参照)。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されているウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス)は、主に、選択された細胞型を標的化するために、1種または複数種の選択されたウイルス糖タンパク質またはエンベロープタンパク質により「シュードタイプ化」されている。シュードタイプ化は、一般に、細胞表面ウイルス粒子上への1種または複数種の異種ウイルス糖タンパク質の取り込みを指し、これは多くの場合、ウイルス粒子を、その通常の標的細胞とは異なる選択された細胞に感染させることができる。「異種」エレメントは、ウイルスベクターのRNAゲノムが由来するウイルス以外のウイルスに由来する。典型的に、ウイルスベクターの糖タンパク質コード領域は、それ自身の糖タンパク質の発現を防止するための欠失による等、遺伝的に変更されている。単に説明として、HIV由来レンチウイルスベクター由来のエンベロープ糖タンパク質gp41および/またはgp120は典型的に、異種ウイルス糖タンパク質によるシュードタイプ化の前に欠失されている。
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、Bリンパ球を標的化する異種ウイルス糖タンパク質によりシュードタイプ化される。ある特定の実施形態では、ウイルス糖タンパク質は、休止または静止状態Bリンパ球の選択的感染または形質導入を可能にする。ある特定の実施形態では、ウイルス糖タンパク質は、Bリンパ球形質細胞、形質芽球および活性化されたB細胞の選択的感染を可能にする。ある特定の実施形態では、ウイルス糖タンパク質は、静止状態Bリンパ球、形質芽球、形質細胞および活性化されたB細胞の感染または形質導入を可能にする。ある特定の実施形態では、ウイルス糖タンパク質は、B細胞慢性リンパ球白血病細胞の感染を可能にする。一実施形態では、ウイルスベクターは、VSV−Gによりシュードタイプ化される。別の実施形態では、異種ウイルス糖タンパク質は、Edmonton麻疹ウイルス等の麻疹ウイルスの糖タンパク質に由来する。ある特定の実施形態は、麻疹ウイルス糖タンパク質ヘマグルチニン(H)、融合タンパク質(F)またはその両方をシュードタイプ化する(例えば、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む、Frechaら、Blood.1 12巻:4843〜52頁、2008年;およびFrechaら、Blood.1 14巻:3173〜80頁、2009年を参照)。一実施形態では、ウイルスベクターは、テナガザル白血病ウイルス(GALV)によりシュードタイプ化される。一実施形態では、ウイルスベクターは、ネコ内在性レトロウイルス(RD114)によりシュードタイプ化される。一実施形態では、ウイルスベクターは、ヒヒ内在性レトロウイルス(BaEV)によりシュードタイプ化される。一実施形態では、ウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)によりシュードタイプ化される。一実施形態では、ウイルスベクターは、テナガザル白血病ウイルス(GALV)によりシュードタイプ化される。さらなる実施形態では、ウイルスベクターは、特定の細胞型へとベクターを標的化するように機能する1個または複数種の可変領域(例えば、重鎖および軽鎖可変領域)等、埋伏された抗体結合ドメインを含む。
ウイルスベクターの生成は、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.(1989年))、Coffinら(Retroviruses. Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.(1997年))および「RNA Viruses: A Practical Approach」(Alan J. Cann編、Oxford University Press(2000年))に記載されている通り、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、PCR増幅およびDNA配列決定の標準技法を限定することなく含む、本技術分野で公知のいずれか適した遺伝子操作技法を使用して達成することができる。
本技術分野で公知のいずれか種々の方法を使用して、そのゲノムがウイルスベクターのRNAコピーを含む、適したレトロウイルス粒子を産生することができる。一方法として、ウイルスベクターは、所望の標的細胞特異性で、ウイルス粒子へのウイルスベクターに基づき、ウイルスゲノムRNAをパッケージするパッケージング細胞株に導入することができる。パッケージング細胞株は典型的に、トランスで、構造gagタンパク質、酵素polタンパク質およびエンベロープ糖タンパク質を含む、ウイルス粒子へのウイルスゲノムRNAのパッケージングおよび標的細胞の感染に要求されるウイルスタンパク質をもたらす。
ある特定の実施形態では、パッケージング細胞株は、ある特定の必要なまたは所望のウイルスタンパク質(例えば、gag、pol)を安定に発現する(例えば、参照により本明細書に組み込む、米国特許第6,218,181号を参照)。ある特定の実施形態では、パッケージング細胞株は、本明細書に記載されている麻疹ウイルス糖タンパク質配列を含む、必要なまたは所望のウイルスタンパク質(例えば、gag、pol、糖タンパク質)のある特定のものをコードするプラスミドを一過性にトランスフェクトされる。例示的な一実施形態では、パッケージング細胞株は、gagおよびpol配列を安定に発現し、次いでこの細胞株は、ウイルスベクターをコードするプラスミドおよび糖タンパク質をコードするプラスミドをトランスフェクトされる。所望のプラスミドの導入後に、ウイルス粒子は、採取され、超遠心分離による等、それに見合うように加工されて、ウイルス粒子の濃縮ストックを達成する。例示的なパッケージング細胞株は、293(ATCC CCL X)、HeLa(ATCC CCL 2)、D17(ATCC CCL 183)、MDCK(ATCC CCL 34)、BHK(ATCC CCL−10)およびCf2Th(ATCC CRL 1430)細胞株を含む。
治療剤
本明細書において、「目的の遺伝子」または「遺伝子」または「目的の核酸」は、標的トランスフェクト細胞において発現されるべき導入遺伝子を指す。特定の実施形態では、遺伝子は、フォリスタチン遺伝子である。用語「遺伝子」を使用することができるが、この用語は、ゲノムDNAに見出される遺伝子であることを含意するものではなく、用語「核酸」と互換的に使用される。一般に、目的の核酸は、治療剤(例えば、フォリスタチン)のコードに適した核酸を提供し、cDNAまたはDNAを含むことができ、イントロンを含んでも含まなくてもよいが、一般に、イントロンを含まない。他の箇所に記されている通り、目的の核酸は、標的細胞において目的のタンパク質を有効に発現させるための発現制御配列に作動可能に連結される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されているベクターは、1種または複数種の目的の遺伝子を含むことができ、例えば、本明細書に記載されている内部プロモーターを使用して組織化され得る免疫グロブリンの重鎖および軽鎖等、2、3、4もしくは5種またはそれよりも多い目的の遺伝子を含むことができる。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」の言及は、本明細書において、mRNA、RNA、cRNA、cDNAまたはDNAを指定する。この用語は典型的に、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチド、またはどちらかの型のヌクレオチドの改変された形態である、少なくとも10塩基の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。この用語は、DNAおよびRNAの一本および二本鎖形態を含む。目的の核酸または遺伝子は、目的のタンパク質をコードするいずれかの核酸となることができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている実施形態のいずれか1つは、フォリスタチンタンパク質である目的の遺伝子を利用することができる。フォリスタチンタンパク質は、一部の実施形態では、配列番号1〜4に示されるフォリスタチンタンパク質のうちのいずれか1つであってもよい。よって、一部の実施形態では、本明細書に記載されているように、遺伝子改変B細胞に送達される治療剤は、フォリスタチンタンパク質であってもよい。
フォリスタチン
様々な態様では、本開示は、フォリスタチン(例えば、1または複数のフォリスタチンペプチド)を発現するように操作されたB細胞に関する。本明細書において、用語「フォリスタチン」は、フォリスタチン(FST)タンパク質のファミリーおよび任意の種に由来するフォリスタチン関連タンパク質を指す。フォリスタチンは、高等動物のほとんど全ての組織で発現される自己分泌糖タンパク質である。フォリスタチンは、最初に、卵胞液から単離され、下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を阻害するタンパク質画分として同定され、したがって、FSH抑制タンパク質(FSP)として設計された。次に、その主要な機能は、例えば、アクチビン、下垂体前葉においてFSHの分泌を増強するパラクリンホルモンを含むTGF−βスーパーファミリーのメンバーの結合および中和であることが決定された。
一部の実施形態では、用語「フォリスタチンポリペプチド」または「フォリスタチン」は、フォリスタチンファミリーの任意の天然に存在するポリペプチドおよび例えば、リガンド結合(例えば、ミオスタチン、GDF−11、アクチビンA、アクチビンB)またはヘパリン結合を含む、有用な活性を保持する、それらの任意のバリアント(変異体、断片、融合体、およびペプチド模倣形態)を含むポリペプチドを指すために使用される。例えば、一部の実施形態では、フォリスタチンポリペプチドは、フォリスタチンポリペプチドの配列に対して少なくとも約80%同一である配列、好ましくは、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%またはそれより高い割合の同一性を有する、任意の公知のフォリスタチンの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含んでもよい。
フォリスタチンは、mRNAの選択的スプライシングおよびタンパク質の可変グリコシル化に基づいて、31〜49kDaの分子量の範囲を有する単鎖ポリペプチドである。フォリスタチン(FST)をコードするヒト遺伝子は、染色体5q11.2上に5329bpにわたって6つのエクソンを有し、2つの主な転写物:転写物バリアントFST344(1122bp)および転写物FST317(1386bp)を生じる。FSTにおけるエクソン1は、フォリスタチンシグナルペプチドをコードし、エクソン2は、フォリスタチンN末端ドメインをコードし、エクソン3〜5のそれぞれは、フォリスタチンモジュールをコードする。選択的スプライシングによって、エクソン6A(FST344における酸性領域をコードする)またはエクソン6B(FST317のストップコドンの2つの塩基を含有する)のいずれか1つを利用する(Shimasaki, S. et al., 1988)。
このような選択的にスプライシングされたmRNA(FST344およびFST317)によって、29個のアミノ酸シグナルペプチドの除去後に、それぞれ315個のアミノ酸(すなわち、FST315)および288個のアミノ酸(すなわち、FST288)の2つのフォリスタチンタンパク質が産生され、フォリスタチン315は、タンパク質分解によってフォリスタチン303(FST303)へとさらに分解され得る。アミノ酸配列の分析によって、ネイティブのヒトフォリスタチンポリペプチドが、5つのドメイン(N末端側から):シグナル配列ペプチド(配列番号1のアミノ酸1〜29)、N末端ドメイン(FSN)(配列番号1のアミノ酸30〜94)、フォリスタチンドメインI(FSDI)(配列番号1のアミノ酸95〜164)、フォリスタチンドメインII(FSDII)(配列番号1のアミノ酸168〜239)、およびフォリスタチンドメインIII(FSDIII)(配列番号1のアミノ酸245〜316)を含むことが明らかになった。PNAS, U.S.A., 1988, Vol. 85, No 12, pp 4218-4222を参照されたい。
ヒトフォリスタチン−288(FST288)前駆体(すなわち、FST317)は、以下のアミノ酸配列を有し、シグナルペプチドを太字で示し、N末端ドメイン(FSN)を一重下線で示し、かつフォリスタチンドメインI〜III(FSI、FSII、FSIII)を二重下線で示す。
プロセシングした(成熟した)ヒトフォリスタチンバリアント(FST288)は、以下のアミノ酸配列を有し、N末端ドメインを一重下線で示し、フォリスタチンドメインI〜IIIを二重下線で示す。さらに、第1のシステインの前の最初のアミノ酸GまたはNのいずれかを、結果の如何にかかわらず、プロセシングすることによって除去するかまたは意図的に排除することができ、斯かる僅かにより小さいポリペプチドを含むポリペプチドがさらに含まれることが認識される。
ヒトフォリスタチン−315(FST315)前駆体(すなわち、FST344)は、以下のアミノ酸配列を有し、シグナルペプチドを太字で示し、N末端ドメイン(FSN)を一重下線で示し、フォリスタチンドメインI〜III(FSI、FSII、FSIII)を二重下線で示す(NCBI受託番号AAH04107.1;344個のアミノ酸)。
プロセシングした(成熟した)ヒトFST315は、以下のアミノ酸配列を有し、N末端ドメインを一重下線で示し、フォリスタチンドメインI〜IIIを二重下線で示す。さらに、第1のシステインの前の最初のアミノ酸GまたはNのいずれかを、結果の如何にかかわらず、プロセシングすることによって除去するかまたは意図的に排除することができ、斯かる僅かにより小さいポリペプチドを含むポリペプチドがさらに含まれることが認識される。
本開示のフォリスタチンポリペプチドは、フォリスタチンタンパク質の任意の天然に存在するドメインおよび有用な活性を保持するそのバリアント(例えば、変異体、断片、およびペプチド模倣形態)を含んでもよい。例えば、FST315およびFST288が、両方のアクチビン(アクチビンAおよびアクチビンB)およびミオスタチン(および密接にかかわるGDF11)に対して高い親和性を有し、フォリスタチンドメイン(例えば、FSNおよびFSDI〜III)が斯かるTGF−βリガンドの結合に関与すると考えられることは周知である。しかし、このような3つのドメインはそれぞれ、このようなTGF−βリガンドに対する異なる親和性を有する場合があると考えられる。例えば、ある研究は、唯一のN末端ドメイン(FSN)と2つのFSDIドメインをタンデムに含むポリペプチド構築物が、ミオスタチンに対する高い親和性を保持することを実証し、遺伝子発現によってマウスへと導入された場合に、アクチビンに対する親和性をほとんど保持しないかまたは親和性を保持せず、全身の筋肉の成長を促進したことを実証した(Nakatani et al., The FASEB Journal, Vol. 22477-487 (2008))。
したがって、本開示は、部分的に、天然に存在するFSTタンパク質(例えば、ミオスタチンに対する高親和性を維持する一方で、アクチビンに対する親和性が有意に低減した)に対する所与のTGF−βリガンドの選択的結合および/または阻害を実証するバリアントフォリスタチンタンパク質を包含する。
よって、この開示は、B細胞を遺伝子改変するための本開示の治療剤(例えば、フォリスタチン)をコードするポリヌクレオチド(単離されたかまたは精製されたかまたは純粋なポリヌクレオチド)、斯かるポリヌクレオチドを含むベクター(クローニングベクターおよび発現ベクターを含む)、および本開示に従って、ポリヌクレオチドまたはベクターで形質転換されたかトランスフェクトされた細胞(例えば、宿主細胞)を提供する。ある特定の実施形態では、本開示に開示されている実施形態のいずれか1つは、配列番号1〜4のフォリスタチンポリペプチドから選択されるフォリスタチン(例えば、B細胞において発現するための)を利用し得る。ある特定の実施形態では、本開示に開示されている実施形態のいずれか1つは、ヒトフォリスタチンFST344スプライス部位バリアントであるフォリスタチン(例えば、B細胞において発現するための)を利用し得る。ある特定の実施形態では、本開示の目的のタンパク質(例えば、フォリスタチン)をコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)が企図される。目的のタンパク質をコードする発現カセットも本発明において企図される。
本開示はまた、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターに関し、特に、組換え発現構築物に関する。一実施形態では、本開示は、本開示のタンパク質(例えば、フォリスタチン)をコードするポリヌクレオチドを、斯かるタンパク質コード配列の転写、翻訳およびプロセシングを引き起こすまたは容易にする他のポリヌクレオチド配列と共に含むベクターを企図する。原核生物および真核生物宿主による使用に適切なクローニングおよび発現ベクターは、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY(1989年)に記載されている。例示的なクローニング/発現ベクターは、その中に含有されているポリヌクレオチドの増幅、移入および/または発現に適した、本技術分野で公知のプラスミド、ファージミド、ファスミド(phasmid)、コスミド、ウイルス、人工染色体またはいずれかの核酸ビヒクルに基づくことができる、クローニングベクター、シャトルベクターおよび発現構築物を含む。
本明細書において、ウイルスベクターに関して他のことが記載されていない限り、「ベクター」は、それに連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。例示的なベクターは、プラスミド、ミニサークル、トランスポゾン(例えば、スリーピングビューティートランスポゾン)、酵母人工染色体、自己複製RNAおよびウイルスゲノムを含む。ある特定のベクターは、宿主細胞において自律的に複製することができる一方、他のベクターは、宿主細胞のゲノムに組み込み、これにより、宿主ゲノムと共に複製されることができる。加えて、ある特定のベクターは、本明細書において、発現制御配列に操作可能に連結された核酸配列を含有する(したがって、発現制御配列は、このような配列の発現を方向付けることができる)、「組換え発現ベクター」(または単純に、「発現ベクター」)と称される。ある特定の実施形態では、発現構築物は、プラスミドベクターに由来する。説明のための構築物は、アンピシリン耐性遺伝子、ポリアデニル化シグナルおよびT7プロモーター部位をコードする核酸配列を有する、改変pNASSベクター(Clontech、Palo Alto、CA);CHEF1プロモーターを有するpDEF38およびpNEF38(CMC ICOS Biologies,Inc.);ならびにCMVプロモーターを有するpD18(Lonza)を含む。他の適した哺乳動物発現ベクターが周知である(例えば、Ausubelら、1995年;Sambrookら、上記参照を参照;例えば、Invitrogen、San Diego、CA;Novagen、Madison、Wl;Pharmacia、Piscataway、NJのカタログも参照されたい)。
融合タンパク質の増強された産生レベルの促進に適した調節制御下でジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)コード配列を含む、有用な構築物を調製することができ、そのようなレベルは、適切な選択薬剤(例えば、メトトレキセート)の適用後の遺伝子増幅に起因する。一実施形態では、転位に成功したB細胞を濃縮するための、メトトレキセート(MTX)におけるインキュベーションと組み合わせた、薬物耐性DHFRと共に治療用遺伝子(例えば、FST)をコードする二機能性トランスポゾンの使用は、より強力な産物を生成する。
一般に、組換え発現ベクターは、上述の通り、宿主細胞の形質転換を可能にする複製起点および選択可能マーカー、ならびに下流構造配列の転写を方向付けるための高度に発現される遺伝子に由来するプロモーターを含むであろう。本開示に係るポリヌクレオチドと作動可能に連結されたベクターは、クローニングまたは発現構築物を生じる。例示的なクローニング/発現構築物は、本開示のポリヌクレオチドに作動可能に連結した、少なくとも1個の発現制御エレメント、例えば、プロモーターを含有する。エンハンサー、因子特異的結合部位、ターミネーターおよびリボソーム結合部位等、追加的な発現制御エレメントも、本開示に係るベクターおよびクローニング/発現構築物において企図されている。本開示に係るポリヌクレオチドの異種構造配列は、翻訳開始および終止配列と適切な位相でアセンブルされる。よって、例えば、本明細書に提供されているコード核酸は、宿主細胞において斯かるタンパク質を発現するための組換え発現構築物として、種々の発現ベクター構築物(例えば、ミニサークル)のいずれか1種に含まれていてよい。
適切なDNA配列(複数可)は、例えば、種々の手順によってベクターに挿入することができる。一般に、DNA配列は、本技術分野で公知の手順によって適切な制限エンドヌクレアーゼ切断部位(複数可)に挿入される。DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼその他が関与する酵素反応のための、クローニング、DNA単離、増幅および精製のための標準技法、ならびに様々な分離技法が企図されている。多数の標準技法が、例えば、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publ. Assoc. Inc. & John Wiley & Sons, Inc.、Boston, MA、1993年);Sambrookら(Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Plainview、NY、1989年);Maniatisら(Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Laboratory、Plainview、NY、1982年);Glover(編)(DNA Cloning第IおよびII巻、IRL Press、Oxford、UK、1985年);HamesおよびHiggins(編)(Nucleic Acid Hybridization、IRL Press、Oxford、UK、1985年);他に記載されている。
発現ベクターにおけるDNA配列は、mRNA合成を方向付けるための少なくとも1個の適切な発現制御配列(例えば、構成的プロモーターまたは調節型プロモーター)に操作可能に連結される。斯かる発現制御配列の代表例として、上述の通り、真核細胞またはそのウイルスのプロモーターが挙げられる。プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクター、カナマイシンベクター、または選択可能マーカーを有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子から選択することができる。真核生物プロモーターは、CMV最初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、ならびにマウスメタロチオネイン−lを含む。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者の技能水準内にあり、本開示に係るタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結した少なくとも1個のプロモーターまたは調節型プロモーターを含むある特定の特に好まれる組換え発現構築物の調製は、本明細書に記載されている。
本開示のポリヌクレオチドのバリアントも企図されている。バリアントポリヌクレオチドは、本明細書に記載されている定義された配列のポリヌクレオチドの1種と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは、95%、96%、97%、98%、99%もしくは99.9%同一である、または約65〜68℃における0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムもしくは約42℃における0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、定義された配列の当該ポリヌクレオチドの1種とハイブリダイズする。ポリヌクレオチドバリアントは、本明細書に記載されている機能性を有する結合ドメインまたはその融合タンパク質をコード
する能力を保持する。
用語「ストリンジェント」は、本技術分野で一般的にストリンジェントとして理解されている条件を指すように使用されている。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは主に、温度、イオン強度、およびホルムアミド等の変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄のためのストリンジェントな条件の例は、約65〜68℃における0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、または約42℃における0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドである(Sambrookら(et ai)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年を参照)。よりストリンジェントな条件(より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミドまたは他の変性剤等)を使用することもできる;しかし、ハイブリダイゼーションの速度が影響されるであろう。デオキシオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが関係する場合、追加的な例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、37℃(14塩基オリゴヌクレオチドのため)、48℃(17塩基オリゴヌクレオチドのため)、55℃(20塩基オリゴヌクレオチドのため)および60℃(23塩基オリゴヌクレオチドのため)での、6×SSC、0.05%ピロリン酸ナトリウムにおける洗浄を含む。
本開示のさらなる態様は、本開示のポリヌクレオチドまたはベクター/発現構築物(例えば、フォリスタチンポリヌクレオチドまたはベクター/発現構築物)のいずれかで形質転換もしくはトランスフェクトされたまたは他の仕方でこれを含有する、宿主細胞を提供する。本開示のポリヌクレオチドまたはクローニング/発現構築物は、形質転換、トランスフェクションおよび形質導入を含む、本技術分野で公知のいずれかの方法(例えば、本明細書中に開示される方法のうちのいずれかのもの)を使用して、適した細胞に導入される。宿主細胞は、例えば、ex vivo遺伝子療法を含むex vivo細胞療法を受ける被験体の細胞を含む。本開示に係るポリヌクレオチド、ベクターまたはタンパク質を有する場合の本開示の態様として企図されている真核生物宿主細胞は、被験体自身の細胞(例えば、ヒト患者自身の細胞)に加えて、VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(発現される多価結合分子のグリコシル化パターンを改変することができる改変CHO細胞を含む、米国特許出願公開第2003/0115614号を参照)、COS細胞(COS−7等)、W138、BHK、HepG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562、HEK293細胞、HepG2細胞、N細胞、3T3細胞、Spodoptera frugiperda細胞(例えば、Sf9細胞)、Saccharomyces cerevisiae細胞、ならびに本開示に係るタンパク質またはペプチドの発現および必要に応じて単離において有用であることが本技術分野で公知の他のいずれかの真核細胞を含む。Escherichia coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、Streptomyces、または本開示に係るタンパク質またはペプチドの発現および必要に応じて単離に適することが本技術分野で公知のいずれかの原核細胞を含む原核細胞も企図されている。原核細胞からのタンパク質またはペプチドの単離において、特に、封入体からタンパク質を抽出するための本技術分野で公知の技法を使用することができることが企図されている。適切な宿主の選択は、本明細書における教示から、当業者の技能範囲内にある。本開示の融合タンパク質をグリコシル化する宿主細胞が企図されている。
用語「組換え宿主細胞」(または単純に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターを含有する細胞を指す。斯かる用語が、特定の対象細胞のみならず、斯かる細胞の後代も指すように意図されることを理解されたい。ある特定の改変が、変異または環境的影響のいずれかにより後継世代において起こり得るため、斯かる後代は、実際には、親細胞と同一でない場合があるが、依然として、本明細書における用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。組換え宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択または特定の遺伝子の増幅に適切であるように改変された従来の栄養培地において培養することができる。温度、pHその他等、発現に選択された特定の宿主細胞のための培養条件は、当業者には容易に明らかとなるであろう。様々な哺乳動物細胞培養系を用いて、組換えタンパク質を発現させることもできる。哺乳動物発現系の例として、Gluzman(1981年)Cell 23巻:175頁によって記載されているサル腎臓線維芽細胞のCOS−7株、ならびに適合性ベクターを発現することができる他の細胞株、例えば、C127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞株が挙げられる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適したプロモーターおよび必要に応じてエンハンサーを、また、いずれか必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終止配列、ならびに5’隣接非転写配列、例えば、多価結合タンパク質発現構築物の調製を考慮して本明細書に記載されているものも含むであろう。SV40スプライスおよびポリアデニル化部位に由来するDNA配列を使用して、要求される非転写遺伝的エレメントを提供することができる。宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクションまたはエレクトロポレーションを含む、当業者には馴染みがあるであろう種々の方法によってもたらすことができる(Davisら(1986年)Basic Methods in Molecular Biology)。
細胞および組成物
一実施形態では、本明細書に記載されている改変B細胞は、in vitroで活性化/分化され、本明細書に記載されている治療剤(例えば、フォリスタチン)を発現するようにトランスフェクトされた。一実施形態では、本明細書に記載されている改変B細胞は、in vitroで活性化/分化され、本明細書に記載されている治療剤(例えば、フォリスタチン)を発現するように操作された(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼまたはCRISPR/CAS9媒介性導入遺伝子組込み等、標的化導入遺伝子組込みアプローチを使用して)。一実施形態では、組成物は、形質B細胞へと分化しており、トランスフェクトまたは他の仕方で操作されており、1種または複数種の目的のタンパク質(例えば、フォリスタチン)を発現する、B細胞を含む。本開示のトランスフェクトまたは他の仕方で操作され活性化されたB細胞集団等、標的細胞集団は、単独で、または希釈剤および/またはサイトカインもしくは細胞集団等の他の構成成分と組み合わせた医薬組成物として投与することができる。
一実施形態では、1種または複数種の目的のタンパク質(例えば、フォリスタチン)を発現するように操作された改変B細胞は、in vitroでの活性化/分化後に、改変B細胞が特定の化学誘引物質に対して最適な遊走能を有する時点で、培養物から収集される。一部の実施形態では、最適な遊走能は、B細胞培養の7日目、8日目または9日目となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、トランスフェクションまたは操作後のB細胞培養の5日目、6日目または7日目となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、トランスフェクションもしくは操作後のB細胞培養の8日目、またはトランスフェクションもしくは操作後の培養における8日目よりも後となることができる(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日目にまたは20日目よりも後に)。一部の実施形態では、最適な遊走能は、B細胞培養の10日目より前となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、トランスフェクションまたは操作後のB細胞培養の8日目より前となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、B細胞培養の6日目または7日目となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、トランスフェクションまたは操作後のB細胞培養の4日目または5日目となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、B細胞培養の9日目より前となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、トランスフェクションまたは操作後のB細胞培養の7日目より前となることができる。一部の実施形態では、最適な遊走能は、CXCL12への改変B細胞ホーミングに最適である。一部の実施形態では、最適な遊走能は、改変B細胞の1回または複数回の投与を受けている被験体の骨髄への改変B細胞ホーミングに最適である。一部の実施形態では、B細胞は、培養における約7日目〜約9日目に、CXCL12および/または被験体の骨髄への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、B細胞は、トランスフェクションまたは操作後の培養における約5日目〜約7日目に、CXCL12および/または被験体の骨髄への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、B細胞は、培養における約10日目より前に、CXCL12および/または被験体の骨髄への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、B細胞は、トランスフェクションまたは操作後の培養における約8日目より前に、CXCL12および/または被験体の骨髄への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、最適な遊走能は、CXCL13への改変B細胞ホーミングに最適である。一部の実施形態では、最適な遊走能は、改変B細胞の1回または複数回の投与を受けている被験体における炎症部位への改変B細胞ホーミングに最適である。一部の実施形態では、B細胞は、培養における約6日目または約7日目に、CXCL13および/または被験体における炎症部位への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、B細胞は、トランスフェクションまたは操作後の培養における約4日目または約5日目に、CXCL13および/または被験体における炎症部位への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、B細胞は、培養における約10日目より前に、CXCL13および/または炎症部位への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。一部の実施形態では、B細胞は、トランスフェクションまたは操作後の培養における約8日目より前に、CXCL13および/または炎症部位への最適な遊走能で、被験体への投与のために収集される。
一部の実施形態では、最適な遊走能は、CXCL12およびCXCL13の両方への改変B細胞ホーミングに最適である。一部の実施形態では、B細胞は、B細胞培養の7日目に、CXCL12およびCXCL13の両方へのホーミングに最適な遊走能で、収集される。一部の実施形態では、B細胞は、トランスフェクションまたは操作後のB細胞培養の5日目に、CXCL12およびCXCL13の両方へのホーミングに最適な遊走能で、収集される。
一部の実施形態では、B細胞の少なくとも約20%が、走化性アッセイにおいて、特定の化学誘引物質へと遊走するときに、操作されたB細胞が収集される。例えばであって、例に限定されるべきではないが、B細胞の少なくとも約20%が、走化性アッセイにおいて、CXCL12へと遊走するときに、操作されたB細胞(例えば、FSTを産生する)を収集することができる。または、別の非限定例では、B細胞の少なくとも約20%が、走化性アッセイにおいて、CXCL13へと遊走するときに、操作されたB細胞(例えば、FSTを産生する)を収集することができる。さらに、B細胞の少なくとも約30%が、走化性アッセイにおいて、特定の化学誘引物質(例えば、CXCL12またはCXCL13)へと遊走するときに、またはB細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%もしくは少なくとも約70%が、走化性アッセイにおいて、特定の化学誘引物質(例えば、CXCL12またはCXCL13)へと遊走するときに、操作されたB細胞(例えば、FSTを産生する)を収集することができる。さらに、B細胞の70%超が、走化性アッセイにおいて遊走するときに、操作されたB細胞(例えば、FSTを産生する)を収集することができる。斯かる走化性アッセイは、本技術分野で公知である。
簡潔に説明すると、本開示の細胞組成物は、トランスフェクトされており、本明細書に記載されている治療剤(例えば、フォリスタチン)を発現している、分化および活性化されたB細胞集団を、1種または複数種の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含むことができる。斯かる組成物は、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水、乳酸リンゲル溶液その他等のバッファー;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール等の炭水化物;タンパク質;ポリペプチド、またはグリシン等のアミノ酸;抗酸化剤;EDTAまたはグルタチオン等のキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および保存料を含むことができる。本開示の組成物は、好ましくは、静脈内または皮下投与のために製剤化される。
一実施形態では、細胞組成物は、投与の前に純度に関して評価される。別の実施形態では、細胞組成物は、治療剤産生の頑強性に関して検査される。一実施形態では、細胞組成物は、無菌性に関して検査される。別の実施形態では、細胞組成物は、レシピエント被験体に適合することを確認するためにスクリーニングされる。
一実施形態では、操作されたB細胞集団は、被験体への投与の前に、ポリクロナリティーに関して評価される。一部の実施形態では、最終細胞産物のポリクロナリティーを確実にすることは、重要な安全性パラメータである。具体的には、優勢なクローンの出現は、in vivo腫瘍発生または自己免疫性疾患に潜在的に寄与するものとして考慮され得る。ポリクロナリティーは、本技術分野で公知のまたは本明細書に記載されているいずれかの手段によって評価することができる。例えば、一部の実施形態では、ポリクロナリティーは、操作されたB細胞集団において発現されるB細胞受容体の配列決定(例えば、ディープシークエンシング)によって評価される。B細胞受容体は、B細胞発生において変化を起こして、B細胞の間で特有のものとなるため、本方法は、どの程度の数の細胞が同じB細胞受容体配列を共有するか(これらがクローナルであることを意味する)を定量化することを可能にする。よって、一部の実施形態では、同じB細胞受容体配列を発現する操作されたB細胞集団におけるB細胞が多くなるにつれて、集団のクロナリティーが高くなり、したがって、被験体への投与に対する集団の安全性が低くなる。逆に、一部の実施形態では、同じB細胞受容体配列を発現する操作されたB細胞集団におけるB細胞が少なくなるにつれて、集団のクロナリティーは低くなり(すなわち、ポリクロナリティーが高くなり)、よって、被験体への投与に対する集団の安全性が高くなる。
一部の実施形態では、操作されたB細胞は、十分にポリクローナルであることが決定された後に、被験体に投与される。例えば、最終集団における特定のB細胞クローンが、総B細胞集団の約0.2%超を構成しないことが決定された後に、操作されたB細胞を被験体に投与することができる。最終集団における特定のB細胞クローンが、総B細胞集団の約0.1%超、または総B細胞集団の約0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%もしくは約0.04%超を構成しないことが決定された後に、操作されたB細胞を被験体に投与することができる。特定の実施形態では、最終集団における特定のB細胞クローンが、総B細胞集団の約0.03%超を構成しないことが決定された後に、操作されたB細胞(例えば、(フォリスタチン)を産生する)が被験体に投与される。
一実施形態では、細胞組成物は、4℃で貯蔵および/または発送される。別の実施形態では、細胞組成物は、貯蔵および/または発送のために凍結される。細胞組成物は、例えば、−20℃または−80℃で凍結することができる。一実施形態では、細胞組成物を凍結するステップは、液体窒素を含む。一実施形態では、細胞組成物は、速度制御フリーザーを使用して凍結される。したがって、本明細書に記載されている方法は、解凍ステップをさらに含むことができる。
使用方法
本発明の一態様は、治療剤(例えば、フォリスタチン)を発現するように操作された改変B細胞の送達による治療剤(例えば、フォリスタチン)のin vivo送達に関する。特定の実施形態では、フォリスタチンを発現するように改変されたB細胞を、慢性疾患および障害を処置および/もしくは予防する方法においてならびに/または患者の筋肉のサイズもしくは強度を増加させる方法において使用する。
本明細書に記載されている改変B細胞は、処置または予防されるべき疾患または障害に適切な様式で投与することができる。
投与の分量および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の種類および重症度等の因子によって決定されるであろうが、適切な投与量は、臨床治験によって決定することができる。
一実施形態では、単回用量の改変B細胞が、被験体に投与される。一実施形態では、2またはそれよりも多い用量の改変B細胞が、被験体に逐次投与される。一実施形態では、3用量の改変B細胞が、被験体に逐次投与される。一実施形態では、ある用量の改変B細胞が、被験体に毎週、隔週、毎月、隔月、年四回、半年毎に、毎年または隔年投与される。一実施形態では、改変B細胞によって産生される治療剤の量が減少する場合、第2のまたはその後の用量の改変B細胞が、被験体に投与される。
一実施形態では、所望の量(例えば、有効量)の治療剤(例えば、フォリスタチン)が被験体において検出されるまで、ある用量の改変B細胞が、ある特定の頻度(例えば、毎週、隔週、毎月、隔月または年四回)で被験体に投与される。一実施形態では、治療剤(例えば、フォリスタチン)の量は、被験体においてモニターされる。一実施形態では、改変B細胞によって産生される治療剤の量が、所望の量を下回って減少する場合、その後の用量の改変B細胞が、被験体に投与される。一実施形態では、所望の量は、所望の効果を生じる範囲である。例えば、筋ジストロフィー(例えば、ベッカー型筋ジストロフィー)を処置するための方法において、フォリスタチンの所望の量は、改変B細胞を受ける被験体の血漿中の量であり得る。一部の実施形態では、所望の量は、被験体によってある特定レベルの体重増加が得られるフォリスタチンの量であり得る。一部の実施形態では、所望の量は、被験体によってある特定レベルの強度の増加が得られるフォリスタチンの量であり得る。一部の実施形態では、所望の量は、ある特定レベルの被験体の体重の増加が得られるフォリスタチンの量であり得る。
「有効量」または「治療量」が示されている場合、投与されるべき本開示の組成物の正確な量は、医師によって、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の程度、および患者(被験体)の状態の個体差を考慮しつつ決定することができる。B細胞組成物は、適切な投与量(複数可)で複数回投与することもできる。細胞は、免疫療法において一般的に公知の注入技法を使用することにより投与することができる(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988を参照されたい)。
特定の患者に最適な投与量および処置レジメンは、疾患の徴候に関して患者をモニターし、それに従って処置を調整することにより、医学技術分野の当業者によって決定することができる。処置は、生物学的試料(例えば、血漿などの体液または組織試料)における治療剤(例えば、フォリスタチン)のレベルの測定後に調整することもでき、処置有効性の評価に使用することもでき、処置は、それに従って、増加または減少するように調整することができる。
本開示の一部の態様では、多用量レジメンのための改変B細胞の最適な投与量は、被験体のためのB細胞の最適な単回用量濃度を先ず決定し、最適な単回用量濃度に存在するB細胞の数を減少させて、改変B細胞の最適に満たない単回用量濃度をもたらし、改変B細胞の最適に満たない単回用量濃度の2またはそれよりも多い投与量をこの被験体に投与することにより決定することができる。一部の態様では、改変B細胞の最適に満たない単回用量濃度の2、3またはそれよりも多い投与量が、被験体に投与される。一部の態様では、被験体への改変B細胞の最適に満たない単回用量濃度の2、3またはそれよりも多い投与量の投与は、改変B細胞が発現するように操作される治療用ポリペプチドの相乗的in vivo産生をもたらす。一部の態様では、最適に満たない単回用量濃度は、最適な単回用量濃度の1/2、または3、4、5、6、7、8、9、10分の1または10分の1未満を含む。一部の態様では、治療用ポリペプチドは、フォリスタチンである。
本開示の一部の態様では、106個/キログラム(患者あたり106〜1011個)の範囲内の、より少ない数の本開示のトランスフェクトされたB細胞を投与することができる。ある特定の実施形態では、B細胞は、1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011または1×1012個の細胞が被験体に投与される。B細胞組成物は、これらの範囲内の投与量で複数回投与することができる。細胞は、治療法を受ける患者に対して自家または異種(例えば、同種異系)であってよい。所望に応じて、処置は、免疫応答の誘導および注入されたB細胞の生着を増強するために、本明細書に記載されているマイトジェン(例えば、PHA)またはリンホカイン、サイトカイン、および/またはケモカイン(例えば、GM−CSF、IL−4、IL−6、IL−13、IL−21、Flt3−L、RANTES、MIP1α、BAFF等)の投与を含むこともできる。
対象組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、経口摂取、輸注、植え込みまたは移植によるものを含む、いずれか簡便な様式で実行することができる。本明細書に記載されている組成物は、皮下に、皮内に、腫瘍内に、結節内に(intranodally)、髄内に、髄腔内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射により、または腹腔内に、患者に投与することができる。本明細書に記載されている組成物は、神経系へと直接的に、患者に投与することができる。一実施形態では、本開示のB細胞組成物は、皮内または皮下注射によって患者に投与される。別の実施形態では、本明細書に記載されているB細胞組成物は、好ましくは、i.v.注射によって投与される。B細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節、骨髄または感染部位へと直接的に注射することができる。
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、制御放出系において送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer、1990年、Science 249巻:1527〜1533頁;Sefton、1987年、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng.14巻:201頁;Buchwaldら、1980年;Surgery 88巻:507頁;Saudekら、1989年、N. Engl. J. Med.321巻:574頁を参照)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release、1974年、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.;Controlled Drug
Bioavailability, Drug Product Design and Performance、1984年、SmolenおよびBall(編)、Wiley、New York;RangerおよびPeppas、1983年;J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem.23巻:61頁を参照;Levyら、1985年、Science 228巻:190頁;Duringら、1989年、Ann. Neurol.25巻:351頁;Howardら、1989年、J. Neurosurg.71巻:105頁も参照されたい)。さらに別の実施形態では、制御放出系は、治療標的に近接して配置することができ、これにより、全身性用量の一部のみを要求する(例えば、Medical Applications of Controlled Release、1984年、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.、第2巻、115〜138頁を参照)。
本開示のB細胞組成物は、いずれかの数のマトリクスを使用して投与することもできる。マトリクスは、組織工学の文脈内で長年利用されてきた(例えば、Principles of Tissue Engineering(Lanza、LangerおよびChick(編))、1997年を参照)。本開示は、B細胞を支持および維持するための人工リンパ系臓器として作用するという新規文脈内で斯かるマトリクスを利用する。したがって、本開示は、組織工学における有用性を実証したマトリクス組成物および製剤を利用することができる。したがって、本開示の組成物、デバイスおよび方法において使用することができるマトリクスの種類は、実質的に無制限であり、生物学的および合成マトリクスの両方を含むことができる。特定の一例では、米国特許第5,980,889号;同第5,913,998号;同第5,902,745号;同第5,843,069号;同第5,787,900号;または同第5,626,561号によって表記されている組成物およびデバイスが利用される。マトリクスは、哺乳動物宿主に投与される場合、生体適合性であることに一般的に関連する特色を含む。マトリクスは、天然および/または合成材料から形成され得る。マトリクスは、インプラント等、動物の身体内に永続的な構造もしくは取り外し可能な構造を残すことが望ましい場合、非生分解性となることができる;または生分解性となることができる。マトリクスは、スポンジ、インプラント、チューブ、テルファ(telfa)パッド、繊維、中空繊維、凍結乾燥された構成成分、ゲル、粉末、多孔性組成物またはナノ粒子の形態を取ることができる。加えて、マトリクスは、徐放の播種細胞または産生サイトカインまたは他の活性薬剤を可能にするように設計することができる。ある特定の実施形態では、本開示のマトリクスは、可撓性かつ弾性であり、無機塩、水性の流体、および酸素を含む溶解したガス状作用物質等の物質に対して透過性である半固体足場として記載することができる。
マトリクスは、本明細書において、生体適合性物質の一例として使用されている。しかし、本開示は、マトリクスに限定されず、よって、マトリクス(単数または複数)という用語が現れる場合は常に、このような用語は、細胞の保持または細胞の横断を可能にし、生体適合性であり、物質それ自体が半透膜であるようにこの物質を通って直接的にまたは特定の半透性物質と併せて使用されて、巨大分子の横断を許すことができるデバイスおよび他の物質を含むものと解読されるべきである。
本開示のある特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法または本技術分野で公知の他の方法を使用してトランスフェクトおよび活性化されたB細胞は、抗ウイルス剤等の薬剤、化学療法、照射、シクロスポリン、ビスルフィン(bisulfin)、ボルテゾミブ、アザチオプリン、メトトレキセート、ミコフェノール酸塩およびFK506等の免疫抑制剤、抗体、またはキャンパス、抗CD3抗体または他の抗体療法等の他の免疫除去剤(immunoablative agent)、サイトキシン(cytoxin)、フルダラビン(fludaribine)、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、ならびに照射による処置が挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの数の関連する処置モダリティと併せて(例えば、その前に、それと同時にまたはその後に)患者に投与される。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)、プロテアソーム(ボルテゾミブ)のいずれかを阻害する、または増殖因子誘導性シグナル伝達に重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Liuら、Cell 66巻:807〜815頁、1991年;Hendersonら、Immun.73巻:316〜321頁、1991年;Biererら、Curr. Opin. Immun.5巻:763〜773頁、1993年;Isoniemi(上記参照))。さらなる実施形態では、本開示の細胞組成物は、骨髄移植、フルダラビン、外照射療法(XRT)、シクロホスファミド等の化学療法剤、またはOKT3もしくはキャンパス等の抗体のいずれかを使用したT細胞除去療法と併せて(例えば、その前に、それと同時にまたはその後に)患者に投与される。一実施形態では、本開示の細胞組成物は、CD20と反応する薬剤、例えば、Rituxan(登録商標)等、B細胞除去療法の後に投与される。一実施形態では、本開示の細胞組成物は、ボルテゾミブ等の薬剤を使用したB細胞除去療法の後に投与される。例えば、一実施形態では、被験体は、高用量化学療法による標準処置に続いて、末梢血幹細胞移植を受けることができる。ある特定の実施形態では、移植後に、被験体は、本開示の拡大増殖された免疫細胞の注入を受ける。追加的な実施形態では、拡大増殖された細胞は、外科手術の前または後に投与される。
患者に投与されるべき上述の処置の投与量は、処置されている状態および処置のレシピエントの正確な性質と共に変動するであろう。ヒト投与のための投与量のスケーリングは、本技術分野で許容される実施に従って行うことができる。
改変B細胞は、様々な疾患および障害の処置または予防において使用することができる。特定の実施形態では、フォリスタチンを発現するように改変されたB細胞は、患者の筋肉のサイズまたは強度を増加させる方法において使用される。例えば、本開示は、被験体の筋肉のサイズまたは強度を増加させる方法であって、フォリスタチンポリペプチドを発現するB細胞の有効量を投与するステップを含む方法を提供する。筋肉のサイズまたは強度の増加は、一般的に、被験体全体を通して生じ得るか、または標的化された筋肉において生じ得る。筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、エメリドレフュス型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、脊椎硬直症候群、ウルリッヒ症候群、福山型筋ジストロフィー、ウォーカーワールブルク症候群、筋−眼−脳病、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)、先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー(スタイナート病)、非ジストロフィー性ミオトニー、周期性麻痺 脊髄性筋萎縮症、家族性筋萎縮性側索硬化症、遺伝性運動感覚性ニューロパチー、シャルコーマリートゥース病、慢性炎症性ニューロパチー、遠位型ミオパチー、筋細管/中心核ミオパチー、ネマリンミオパチー、ミニコア病、中心コア病、デスミノパチー、封入体筋炎、ミトコンドリアミオパチー、先天性筋無力症候群、ポリオ後筋機能障害、ならびにEmery (2002) The Lancet, 359:687-695およびKhurana et al. (2003) Nat. Rev. Drug Disc., 2:379-386に記載されている障害、炎症性筋障害(例えば、封入体筋炎)、筋損傷または筋外傷、筋廃用(長期の床上安静または四肢固定の後に起こり得る)ならびに加齢、がんまたは様々な種類の慢性疾患の結果としての筋萎縮または筋衰弱を含む種々の筋障害の場合にあり得るように、標的化された筋肉は、損傷するか、筋衰弱するかまたは欠損し得る。例えば、一部の例では、筋肉は、筋肉減少症により、損傷するか、筋衰弱するか、または欠損し得る。一部の例では、筋肉は、脊髄性筋萎縮症(SMA)により、損傷するか、筋衰弱するか、または欠損し得る。一部の例では、筋肉は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)により、損傷するか、筋衰弱するか、または欠損し得る。一部の例では、筋肉は、ポンペ病により、損傷するか、筋衰弱するか、または欠損し得る。本方法は、健康である筋肉において、筋肉のサイズまたは強度を増加させることもできる。
一部の実施形態では、本開示は、個体における疾患または障害を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、個体における筋障害を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、斯かる筋障害を有する、またはこれを有すると疑われる被験体に投与するステップを含み、筋障害が筋ジストロフィーである方法を提供する。一部の実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、エメリドレフュス型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、脊椎硬直症候群、ウルリッヒ症候群、福山型筋ジストロフィー、ウォーカーワールブルク症候群、筋−眼−脳病、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー(スタイナート病)、非ジストロフィー性ミオトニー、周期性麻痺 脊髄性筋萎縮症、家族性筋萎縮性側索硬化症、遺伝性運動感覚性ニューロパチー、シャルコーマリートゥース病、慢性炎症性ニューロパチー、遠位型ミオパチー、筋細管/中心核ミオパチー、ネマリンミオパチー、ミニコア病、中心コア病、デスミノパチー、封入体筋炎、ミトコンドリアミオパチー、先天性筋無力症候群、ポリオ後筋機能障害、ならびにEmery (2002) The Lancet, 359:687-695およびKhurana et al. (2003) Nat. Rev. Drug Disc., 2:379-386に記載されている障害から選択される。
一部の実施形態では、本開示は、個体における筋障害を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、斯かる筋障害を有する、またはこれを有すると疑われる被験体に投与するステップを含み、筋障害が炎症性筋障害である方法を提供する。一部の実施形態では、炎症性筋障害は、封入体筋炎である。
一部の実施形態では、本開示は、個体における筋障害を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、斯かる筋障害を有する、またはこれを有すると疑われる被験体に投与するステップを含み、筋障害が筋損傷または筋外傷である方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、個体における筋障害を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、斯かる筋障害を有する、またはこれを有すると疑われる被験体に投与するステップを含み、筋障害が筋廃用(例えば、長期の床上安静または四肢固定の後に起こり得る)である方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、個体における筋障害を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、斯かる筋障害を有する、またはこれを有すると疑われる被験体に投与するステップを含み、筋障害が加齢、がんまたは様々な種類の慢性疾患の結果としての筋萎縮または筋衰弱から選択される方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、軽度、中程度または重度の筋衰弱、筋消耗、および/または独立歩行への効果を示す個体を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、軽度、中程度もしくは重度の筋脆弱性、筋肥大、筋偽性肥大、関節拘縮、骨格変形、心筋症、嚥下障害、腸および膀胱の機能障害、筋虚血、認知障害、行動機能障害、社会化機能障害、脊柱側弯症、ならびに/または呼吸機能の障害を示す個体を処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
特定の実施形態では、本開示は、個体における筋ジストロフィーを処置するための方法であって、フォリスタチンを発現するように遺伝子改変されたB細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を、ベッカー型筋ジストロフィーを有する、またはこれを有することが疑われる被験体に投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、単回の最大有効用量のフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)が、被験体に投与される。一部の実施形態では、2またはそれよりも多い用量のフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)が、被験体に投与され、これにより、生着したフォリスタチン+B細胞の量を最大化する。一部の実施形態では、被験体に投与される2またはそれよりも多い用量のフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)は、単回の最大有効用量のフォリスタチン+B細胞よりも少ないフォリスタチン+B細胞を含む。一部の実施形態では、2またはそれよりも多い用量のフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)が、最大有効単回用量のフォリスタチン+B細胞を下回るフォリスタチン+B細胞の投与量で被験体に投与される場合、その結果としてのフォリスタチン産生の相乗的増加が起こる。一実施形態では、被験体へフォリスタチン+B細胞を投与するステップは、健康な対照被験体に見られる正常レベルのフォリスタチンをもたらす。一実施形態では、被験体へフォリスタチン+B細胞を投与するステップは、被験体における正常レベルを超えるフォリスタチンをもたらす。一実施形態では、被験体へフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を投与するステップは、対象の強度を増加させる。一実施形態では、被験体へフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を投与するステップは、正常レベルと比較して、被験体の強度を増加させる。一実施形態では、被験体へフォリスタチン+B細胞(例えば、フォリスタチン+FST344転写物バリアントを発現するB細胞)を投与するステップは、被験体の強度の損失を防止する。
(実施例1)
フォリスタチンを発現するB細胞の生成
ヒトフォリスタチン(FST)の転位および発現のためのスリーピングビューティートランスポゾンおよびトランスポサーゼ構築物を生成した。B細胞におけるFST遺伝子組込みおよび発現を達成するためにトランスポゾンをアセンブルした。本発明者らは、B細胞における高レベル発現を達成するために、ヒト免疫グロブリン遺伝子由来のプロモーターおよびエンハンサーエレメントからなるEEKプロモーター、ならびに以前に記載された他の調節エレメントを使用した。FST転位および発現に関して検査するために、2名の別々のドナーからヒトB細胞を単離し、B細胞培養培地における培養において拡大増殖させ、5%のCO2を有する37℃のインキュベーターでインキュベートし、3日目に、pKT2/EEK−FST344プラスSB100xトランスポサーゼをコードするmRNAをエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの2、5、8、および11日後に調製された(すなわち、培養の5、7、11、および14日目)細胞ライセートは、野生型のトランスフェクトされていない細胞よりも有意に増加したFSTを含有し、このことは、拡大増殖させたヒトB細胞における高レベルFST発現を達成するためのSBトランスポゾン系の有効性を実証した(図5A)。注目すべきことに、FST発現は、5日目からやや低下した後(初期のエピソームFST発現によるものと考えられる)、7〜14日目から持続し、このことは、構築物のB細胞への安定した組込みを示唆した。実際に、RT−PCRにより、B細胞ゲノムへのFST挿入の安定な組込みが確認された(図5B)。このようなFST発現B細胞は、以下の実施例においてFST+B細胞と称される。
(実施例2)
FSTのin vivo産生
本開示に従って操作されたB細胞がFST産生のin vivoでの増加を促進することができるかどうかを決定するために、本発明者らは、実施例1で生成したFST+B細胞を野生型マウスに注射した。
具体的には、4匹のマウスは、0日目に、ビヒクル(500μlのリン酸緩衝食塩水(PBS))または500μlまでビヒクル(PBS)中で希釈された2×106個のヒトFST+B細胞の静脈内(尾静脈)注射を受けた。さらに、−7日目に、CD4+T細胞に関して富化した3×106個の一次自家末梢血細胞を、マウスの腹腔内に(i.p.)注入して、pKT2/EEK−FSTプラスSB100xトランスポサーゼをコードするmRNA転位B細胞に関するサポートを提供した。本発明者らは、FST+B細胞で処置したマウスの血漿中でヒトFSTの2倍の増加を観察し、ヒトB細胞養子移入成功の強力な証拠を示した(図1)。FSTレベルは、注入後およそ28日目にピークとなり、35日目までにほぼ正常レベルまで下降した。FST欠損動物において実行されなかったが、にもかかわらず、本実験の結果は、wtマウスへの高度に強力なFST+B細胞集団の導入後に達成することができるヒトFSTのレベルの例を提供する。本発明者らは、FSTの血漿中レベルが、ヒトIgGの血漿中レベルと相関することを見出し、よって、FST+B細胞の養子移入および生着の証拠を示した(図2A〜2D)。
FST+B細胞が、処置したマウスに何らかの効果を有するかどうかを決定するために、本発明者らは、注入の35日後に、対照マウスおよびFST+B細胞で処置したマウスの体重をモニターした。図3に示されているように、FST+B細胞は、ビヒクル対照で処置したマウスより、平均4.1%(0.9グラム)多く成長した。さらに、体重増加は、前肢グリップ試験(ビヒクル対照と比較して、FST+B細胞で処置したマウスで16%の改善)(図4A);四肢グリップ試験(ビヒクル対照と比較して、FST+B細胞で処置したマウスで23%の改善)(図4B);およびハンギング試験(ビヒクル対照と比較して、FST+B細胞で処置したマウスで23%の改善)(図4C)における著しい強度の改善に対応する。
よって、このようなデータによって、B細胞を本明細書に開示されている方法において使用し、FSTを発現させて被験体に送達し、体重増加および強度の改善を誘導することができることが実証される。
上述の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で参照されているおよび/または出願データシートに列挙されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は全て、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。さらに別の実施形態を提供するために様々な特許、出願および刊行物の概念を用いることが必要であれば、実施形態の態様を改変することができる。
上述の詳細な説明を踏まえて、実施形態に上述および他の変化を為すことができる。一般に、次の特許請求の範囲において、使用されている用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示されている特異的な実施形態に限定するものと解釈するべきではないが、斯かる特許請求の範囲が権利を有する均等の全範囲と共にあらゆる可能な実施形態を含むものと解釈するべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。