JP2004327769A - 観察装置、位置検出装置、露光装置、および露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、マークの特性に応じた適切な照明条件のもとでその位置を高精度に検出することのできる位置検出装置。
【解決手段】照明系(1〜14)は、物体(W)に照射される照明光の光量、物体に照射される照明光の波長域、および物体に照射される照明光の光路のうちの少なくとも1つに関する条件を切り換えるために、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子(4)を備えている。反射型空間変調素子は、照明光の光量の切り換えのために、反射光を照明光路に沿って導くための第1群の微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くための第2群の微小ミラーの数との比率を変化させる。
【選択図】 図2
【解決手段】照明系(1〜14)は、物体(W)に照射される照明光の光量、物体に照射される照明光の波長域、および物体に照射される照明光の光路のうちの少なくとも1つに関する条件を切り換えるために、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子(4)を備えている。反射型空間変調素子は、照明光の光量の切り換えのために、反射光を照明光路に沿って導くための第1群の微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くための第2群の微小ミラーの数との比率を変化させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察装置、位置検出装置、露光装置、および露光方法に関する。さらに詳細には、本発明は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスを製造するリソグラフィー工程で用いる露光装置に搭載される位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体素子等のデバイスの製造に際して、感光材料の塗布されたウェハ(またはガラスプレート等の基板)上に複数層の回路パターンを重ねて形成する。このため、回路パターンをウェハ上に露光するための露光装置には、マスクのパターンと既に回路パターンの形成されているウェハの各露光領域との相対位置合わせ(アライメント)を行うためのアライメント装置が備えられている。近年、回路パターンの線幅の微細化に伴い、高精度のアライメントが必要とされるようになってきている。
【0003】
従来、この種のアライメント装置として、特開平4−65603号公報、特開平4−273246号公報等に開示されているように、オフ・アクシス方式で且つ撮像方式のアライメント装置が知られている。この撮像方式のアライメント装置の検出系は、FIA(Field Image Alignment)系の位置検出装置とも呼ばれている。FIA系の位置検出装置では、ハロゲンランプ等の光源から射出される波長帯域幅の広い光で、ウェハ上のアライメントマーク(ウェハマーク)を照明する。そして、結像光学系を介してウェハマークの拡大像を撮像素子上に形成し、得られた撮像信号を画像処理することによりウェハマークの位置検出を行う。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−65603号公報
【特許文献2】
特開平4−273246号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ウェハマークの位置(ひいてはウェハWの位置)を高精度に検出するには、ウェハマークの特性に応じて適切な照明条件を実現することが必要である。具体的には、ウェハマークに対する照明光の光量、照明光の波長域、照明σなどに関する条件を、ウェハマークの特性に応じて適切に且つ迅速に切り換えることが必要である。しかしながら、従来技術にしたがう位置検出装置では、照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとでウェハマークの位置を高精度に検出することができないという不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、マークの特性に応じた適切な照明条件のもとでマークの位置を高精度に検出することのできる位置検出装置を提供することを目的とする。さらに、本発明の高精度な位置検出装置を用いて、たとえば投影光学系に対してマスクと感光性基板とを高精度に位置合わせして良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、観察すべき物体に照明光を照射するための照明系を備え、前記照明光により照明された前記物体からの光に基づいて前記物体を観察する観察装置において、
前記照明系は、前記物体に照射される照明光の光量、前記物体に照射される照明光の波長域、および前記物体に照射される照明光の光路のうちの少なくとも1つに関する条件を切り換えるために、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子を備えていることを特徴とする観察装置を提供する。
【0008】
第1形態の好ましい態様によれば、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光量の切り換えのために、反射光を照明光路に沿って導くための第1群の微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くための第2群の微小ミラーの数との比率を変化させる。あるいは、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光量の切り換えのために、前記複数の微小ミラーが反射光を照明光路に沿って導くON時間と、前記複数の微小ミラーが反射光を照明光路の外へ導くOFF時間との比率を変化させることが好ましい。
【0009】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記照明系は、光源からの光を第1波長域の照明光と第2波長域の照明光とに分割して前記第1波長域の照明光を第1照明光路に沿って導き且つ前記第2波長域の照明光を第2照明光路に沿って導くための光分割手段と、前記第1照明光路に沿って導かれた前記第1波長域の照明光と前記第2照明光路に沿って導かれた前記第2波長域の照明光とを合成するための光合成手段とをさらに備え、前記反射型空間変調素子は、前記第1照明光路の光路中に配置された第1空間変調素子と、前記第2照明光路の光路中に配置された第2空間変調素子とを有する。この場合、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の波長域の切り換えのために、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路に沿って導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路の外へ導く状態と、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路の外へ導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路に沿って導く状態との間で切り換えることが好ましい。
【0010】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記照明系は、第1の照明σに対応する第1照明光路と、第2の照明σに対応する第2照明光路とを有し、前記反射型空間変調素子は、前記第1照明光路の光路中に配置された第1空間変調素子と、前記第2照明光路の光路中に配置された第2空間変調素子とを有する。この場合、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光路の切り換えのために、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路に沿って導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路の外へ導く状態と、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路の外へ導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路に沿って導く状態との間で切り換えることが好ましい。
【0011】
本発明の第2形態では、位置検出すべき物体に形成されたマークに照明光を照射するための照明光学系と、前記照明光により照明された前記マークからの光に基づいて前記マークの像を形成するための結像光学系とを備え、前記結像光学系を介して形成された前記マークの像の位置情報に基づいて前記物体の位置を検出する位置検出装置において、
前記照明光学系の照明瞳面における光強度分布を切り換えるために、前記照明瞳面に配置されて入射光束の反射方向を独立に変更可能な複数の微小ミラーを有する第1の反射型空間変調素子と、
前記結像光学系の結像瞳面における光強度分布を切り換えるために、前記結像瞳面に配置されて入射光束の反射方向を独立に変更可能な複数の微小ミラーを有する第2の反射型空間変調素子とを備えていることを特徴とする位置検出装置を提供する。
【0012】
本発明の第3形態では、マスクを照明するための露光照明系と、前記マスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記マスクまたは前記感光性基板を観察するための第1形態の観察装置とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0013】
本発明の第4形態では、マスクを照明するための露光照明系と、前記マスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記マスクまたは前記感光性基板の位置を検出するための第2形態の位置検出装置とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0014】
本発明の第5形態では、マスクを照明し、前記マスクのパターン像を感光性基板上に露光する露光方法において、
第2形態の位置検出装置を用いて前記マスクまたは前記感光性基板の位置を検出する位置検出工程を含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の各実施形態にかかる位置検出装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図1では、投影光学系PLの光軸に対して平行にZ軸が、Z軸に垂直な平面内において図1の紙面に平行な方向にX軸が、Z軸に垂直な平面内において図1の紙面に垂直な方向にY軸がそれぞれ設定されている。各実施形態では、ウェハWに形成されたウェハマークを照明し、結像光学系を介して得られたウェハマーク像の位置情報に基づいてウェハWの位置を検出する位置検出装置に対して本発明を適用している。
【0016】
図示の露光装置は、適当な露光光でマスク(投影原版)としてのレチクルRを照明するための露光用照明系ILを備えている。レチクルRはレチクルステージRS上においてXY平面とほぼ平行に支持されており、そのパターン領域PAには転写すべき回路パターンが形成されている。露光用照明系ILで照明されてレチクルRを透過した光は、投影光学系PLを介してウェハWに達し、ウェハW上にはレチクルRのパターン像が形成される。
【0017】
なお、ウェハWは、ウェハホルダWHを介してZステージZS上においてXY平面とほぼ平行に支持されている。ZステージZSは、ステージ制御系SCによって、投影光学系PLの光軸に沿って駆動されるように構成されている。さらに、ZステージZSは、XYステージXY上に支持されている。XYステージXYは、同じくステージ制御系SCによって、投影光学系PLの光軸に対して垂直なXY平面内において二次元的に駆動されるように構成されている。
【0018】
なお、ステージ制御系SCは、主制御系MCによって制御されるように構成されている。前述したように、露光装置では、投影露光に先立って、投影光学系PLに対してウェハWの露光面を高精度に位置決めする必要がある。そこで、露光装置には、投影光学系PLに対するウェハWの相対位置(XY平面に沿った位置およびZ方向に沿った位置)を検出するための位置検出装置PDが搭載されている。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、第1実施形態にかかる位置検出装置PDは、ハロゲンランプのような光源1と、LED(発光ダイオード)のように赤外光(たとえば波長870nm)を供給するための赤外光源(不図示)とを備えている。光源1から供給された照明光は、リレーレンズ系2およびその光路中に配置された波長選択フィルター3を介して、DMD(Digital Micro−mirror Device)4に入射する。波長選択フィルター3は、光源1からの照明光から、たとえば波長530nm〜800nmの白色光だけを選択的に透過させる特性を有する。
【0020】
DMD4は、入射光束の反射方向を独立に変更することのできる多数の微小ミラー(マイクロミラー)を有する反射型空間変調素子である。換言すれば、DMD4は、碁盤の目状に配列された多数の微小ミラーからなる光変調素子であって、各微小ミラーの向きはそれぞれ個別に駆動制御されるように構成されている。DMD4では、各微小ミラーの向きをそれぞれ適宜駆動することにより、所望の光強度分布を形成することができる。なお、DMD4の第1実施形態における具体的な作用については後述する。
【0021】
DMD4で反射された照明光(白色光)は、リレーレンズ系5を介して、光ファイバーのようなライトガイド6に入射する。ライトガイド6の内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ7を介して、光ファイバーのようなライトガイド8の入射端をケーラー照明する。ライトガイド8の内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ9を介して、照明絞り10を照明する。
【0022】
照明絞り10は、被検物体であるウェハWの表面(物体面)と光学的に共役な位置またはその近傍に配置されている。そして、照明絞り10には、図3に示すように、ある程度正方形に近い矩形状の第1開口部(光透過部)10aと、Y方向に沿って細長く延びたスリット状(細長い矩形状)の第2開口部(光透過部)10bとがX方向に沿って隣接するように形成されている。後述するように、第1開口部10aはアライメント用開口部であり、第2開口部10bはフォーカス用開口部である。ここで、ライトガイド8の射出端面に相当する二次光源の均一性がそれほど問題にならない場合には、コンデンサーレンズ7およびライトガイド8を用いず、ライトガイド6をライトガイド8の射出端位置に直接取り付けてもかまわない。
【0023】
照明絞り10を通過した照明光は、リレーレンズ系11を介してハーフプリズム12で反射された後、第1対物レンズ13に入射する。第1対物レンズ13の第1群に入射した光束は、その光路中に配置されたミラー14で反射された後、第1対物レンズ13の第2群を介して、指標板15に入射する。一方、赤外光源からの赤外光は、図示を省略した所定光路を経た後に、第1対物レンズ13を介して指標板15に入射する。
【0024】
指標板15は、たとえば石英ガラスで形成された平行平面板状の光学部材であって、その上側面(第1対物レンズ13側の面)には指標マークが形成され、その下側面(ウェハW側の面)には赤外反射膜が形成されている。赤外反射膜は、赤外光源からの赤外光を反射し且つ光源1からの白色光(可視光)を透過させる特性を有し、たとえば誘電体多層膜で構成されている。したがって、光源1からの白色光は、指標板15を透過して、ウェハWの表面(露光面)を照明する。
【0025】
こうして、照明絞り10の第1開口部10aを介した照明光は、ウェハWの表面に形成されたアライメントマークとしてのウェハマーク(不図示)を照明する。一方、照明絞り10の第2開口部10bを介した照明光は、ウェハWの表面においてY方向に沿って細長く延びたスリット状の領域を斜めから照明する。照明されたウェハマークからのマーク反射光(回折光を含む)およびウェハWの表面で反射されたスリット状のフォーカス光束は、指標板15および第1対物レンズ13を介して、ハーフプリズム12に入射する。
【0026】
一方、指標板15に入射した赤外光は、指標板15の内部を伝搬し、赤外反射膜で反射され、指標板15の内部を伝搬した後、指標マークを照明する。そして、照明された指標マークからの反射光(回折光を含む)は、指標板15の内部を伝搬し、赤外反射膜で反射され、指標板15の内部を伝搬した後、第1対物レンズ13を介して、ハーフプリズム12に入射する。ハーフプリズム12を透過したマーク反射光、フォーカス光束および赤外光は、ミラー16および第2対物レンズ17を介して、視野絞り18に入射する。
【0027】
視野絞り18は、ウェハWの表面と光学的に共役な位置またはその近傍に配置され、照明絞り10に光学的に対応するように、矩形状の第1開口部とY方向に沿って細長く延びたスリット状の第2開口部とを有する。視野絞り18の第1開口部を通過したマーク反射光および赤外光は、第3対物レンズ19、開口絞り20、第4対物レンズ21、およびミラー22を介して、ダイクロイックミラー23に入射する。ダイクロイックミラー23は、白色光を反射し且つ赤外光を透過させる特性を有する。
【0028】
したがって、マーク反射光すなわちウェハマークからの白色光は、ダイクロイックミラー23で反射されてウェハマーク検出用CCD24に入射する。こうして、ウェハマーク検出用CCD24の撮像面には、ウェハマークの像が形成される。ウェハマーク検出用CCD24からの出力信号は、信号処理系25に供給される。一方、指標マークからの赤外光は、ダイクロイックミラー23を透過し、ミラー26で反射された後、指標マーク検出用CCD27に入射する。こうして、指標マーク検出用CCD27の撮像面には、指標マークの像が形成される。指標マーク検出用CCD27からの出力信号は、信号処理系25に供給される。
【0029】
信号処理系25では、ウェハマーク検出用CCD24からの出力信号および指標マーク検出用CCD27からの出力信号を信号処理(波形処理)することにより、指標マークを基準としたウェハマークの位置情報が得られる。信号処理系25で検出されたウェハマークの位置情報(すなわちウェハWの位置情報)は、主制御系MCに供給される。主制御系MCでは、信号処理系25から供給されたウェハWの位置情報に基づいて、XYステージXYを駆動させるための指令をステージ制御系SCに供給する。こうして、主制御系MCからの指令に基づいて作動するステージ制御系SCの作用により、レチクルR上のパターン領域PAとウェハW上の各露光領域とのアライメント(位置合わせ)が行われる。
【0030】
一方、視野絞り18の第2開口部を通過したフォーカス光束は、ミラー28およびリレーレンズ系29を介して、2つの反射面を有する瞳分割ミラー30に入射する。瞳分割ミラー30は、ウェハWの表面とフーリエ変換の関係にある瞳面位置またはその近傍に配置された瞳分割素子であり、2つの反射面の交線は光軸を通ってY方向に沿って延びるように設定されている。こうして、瞳分割ミラー30で反射されたフォーカス光束は、集光光学系としての結像レンズ31およびシリンドリカルレンズ32を介して、撮像素子(たとえばラインセンサ)33の撮像面(検出面)においてY方向に沿って長手方向を有する2つのスリット像を形成する。撮像素子33は、その撮像面に形成された2つのスリット像を光電検出し、検出信号を信号処理系25に供給する。
【0031】
信号処理系25では、2つのスリット像の中心間距離を計測し、計測した中心間距離に基づいて第1対物レンズ13の焦点位置に対するウェハWの表面の相対位置ずれ量を検出する。信号処理系25で検出されたウェハWの相対位置ずれ量に関する情報は、主制御系MCに供給される。主制御系MCでは、信号処理系25から供給された相対位置ずれ量に関する情報に基づいて、検出した相対位置ずれ量だけZステージZSを光軸AXに沿って駆動させるための指令をステージ制御系SCに供給する。こうして、主制御系MCからの指令に基づいて作動するステージ制御系SCの作用により、第1対物レンズ13の焦点位置に、ひいては投影光学系PLの結像面に、ウェハWの露光面が設定される。
【0032】
図4は、第1実施形態におけるDMDの動作を示す図である。図4において、矩形状の斜線部は反射光を照明光路の外へ導くためにOFF状態に設定された微小ミラーを示し、矩形状の白抜き部は反射光を照明光路に沿って導くためにON状態に設定された微小ミラーを示している。ここで、「反射光を照明光路の外へ導く」という表現は、反射光を照明光路に沿って光源側へ逆進させる場合も含む広い概念である。
【0033】
図4(a)に示す状態では、DMD4のすべての微小ミラーがON状態に設定されているので、すべての反射光が照明光路に沿って導かれ、100%の光量でウェハマークが照明される。一方、図4(b)に示す状態では、DMD4のすべての微小ミラーがOFF状態に設定されているので、すべての反射光が照明光路の外へ導かれ、いわゆる0%の光量でウェハマークが照明されることになる。DMD4では、反射光を照明光路に沿って導くためのON状態に設定された微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くためのOFF状態に設定された微小ミラーの数との比率を適宜変化させることにより、ウェハマークに対する照明光の光量を100%と0%との間で瞬時に切り換えることができる。
【0034】
具体的には、図4(c)に示す状態では、DMD4の1/2の微小ミラーがON状態に設定され、50%の光量でウェハマークが照明される。同様に、図4(d)に示す状態では3/4の微小ミラーがON状態に設定され75%の光量でウェハマークが照明され、図4(e)に示す状態では1/4の微小ミラーがON状態に設定され25%の光量でウェハマークが照明され、図4(f)に示す状態では7/8の微小ミラーがON状態に設定され87.5%の光量でウェハマークが照明され、図4(g)に示す状態では1/8の微小ミラーがON状態に設定され12.5%の光量でウェハマークが照明される。なお、上述の例では、照明光の光量を100%、75%、50%、25%、0%の間で切り換える態様としたが、この態様には限定されない。さらに、図4に示したDMD4における微小ミラーのON/OFFパターンにも限定されず、減光効果があるものであれば任意のON/OFFパターンでもかまわない。
【0035】
以上のように、第1実施形態の位置検出装置PDでは、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な多数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子としてのDMD4の作用により、反射光を照明光路に沿って導くためのON状態に設定された微小ミラー(第1群の微小ミラー)の数と、反射光を照明光路の外へ導くためのOFF状態に設定された微小ミラー(第2群の微小ミラー)の数との比率を適宜変化させて、ウェハマークに対する照明光の光量を100%と0%との間で瞬時に切り換えることができる。
【0036】
その結果、第1実施形態の位置検出装置PDでは、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。したがって、第1実施形態の露光装置では、高精度な位置検出装置PDを用いて、投影光学系PLに対してレチクルRとウェハWとを高精度に位置合わせして、すなわちレチクルR上のパターン領域PAとウェハW上の各露光領域とを高精度に位置合わせして良好な露光を行うことができる。
【0037】
なお、上述の第1実施形態では、ON状態の微小ミラーの数とOFF状態の微小ミラーの数との比率を適宜変化させて照明光の光量を切り換えている。しかしながら、これに限定されることなく、DMD4の作用により照明光をパルス光に変換し、パルス間隔を適宜制御することにより照明光の光量を切り換えることもできる。具体的には、たとえばDMD4のすべて(あるいは所定数)の微小ミラーが反射光を照明光路に沿って導くON時間と、すべて(あるいは所定数)の微小ミラーが反射光を照明光路の外へ導くOFF時間との比率を変化させて、ウェハマークに対する照明光の光量を切り換えることもできる。
【0038】
なお、上述の第1実施形態では、ライトガイド8の射出端においてほぼ均一な光強度分布が求められるが、コンデンサーレンズ7を介してライトガイド8の入射端をケーラー照明しているので、ライトガイド8として必ずしもランダム光ファイバーを用いる必要がない。すなわち、ライトガイド8として、多数の光ファイバー素線をランダムな配列で編み込んだランダム光ファイバーではなく、多数のファイバー素線が高密度に充填されたライトガイドを用いることができる。
【0039】
図5は、本発明の第2実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。第2実施形態の位置検出装置は第1実施形態と類似の構成を有するが、リレーレンズ系2とリレーレンズ系5との間の光路中の構成が第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して第2実施形態を説明する。なお、図5では図面の明瞭化のために信号処理系25の図示を省略しているが、この点は図6〜図8においても同様である。
【0040】
図5を参照すると、第2実施形態では、リレーレンズ系2を介した光源1からの照明光(530nm〜800nm)は、第1ダイクロイックミラー41に入射する。第1ダイクロイックミラー41は、530nm〜610nmの波長を有する光すなわち緑色光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する光分割手段である。したがって、第1ダイクロイックミラー41で反射された緑色光は、第1DMD42で反射された後、第2ダイクロイックミラー43に入射する。
【0041】
第2ダイクロイックミラー43は、第1ダイクロイックミラー41と同様に、緑色光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する。こうして、第1DMD42を介して第2ダイクロイックミラー43に入射した緑色光は、光合成手段としての第2ダイクロイックミラー43で反射された後、リレーレンズ系5を介してライドガイド6に入射する。一方、第1ダイクロイックミラー41を透過した光(610nm〜800nm)は、第3ダイクロイックミラー44に入射する。第3ダイクロイックミラー44は、610nm〜700nmの波長を有する光すなわちオレンジ光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する光分割手段である。
【0042】
したがって、第3ダイクロイックミラー44で反射されたオレンジ光は、第2DMD45で反射された後、第4ダイクロイックミラー46に入射する。第4ダイクロイックミラー46は、第3ダイクロイックミラー44と同様に、オレンジ光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する。こうして、第2DMD45を介して第4ダイクロイックミラー46に入射したオレンジ光は、光合成手段としての第4ダイクロイックミラー46で反射された後、リレーレンズ系5を介してライドガイド6に入射する。
【0043】
さらに、第3ダイクロイックミラー44を透過した光(700nm〜800nm)すなわち赤色光は、第3DMD47で反射された後、第4ダイクロイックミラー46に入射する。第4ダイクロイックミラー46に入射した赤色光は、第2ダイクロイックミラー43を透過した後、リレーレンズ系5を介してライドガイド6に入射する。ライドガイド6に入射した光、すなわち緑色光、オレンジ光および赤色光は、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。
【0044】
第2実施形態では、3つのDMD42、45および47のうち、任意の1つのDMDをON状態に設定することにより、緑色光、オレンジ光および赤色光から選択された1つの光でウェハマークを照明することができる。具体的には、第1DMD42をON状態に設定し且つ第2DMD45および第3DMD47をOFF状態に設定することにより、緑色光でウェハマークを照明することができる。同様に、第2DMD45をON状態に設定し且つ第1DMD42および第3DMD47をOFF状態に設定することによりオレンジ光で、第3DMD47をON状態に設定し且つ第1DMD42および第2DMD45をOFF状態に設定することにより赤色光で、ウェハマークを照明することができる。
【0045】
また、3つのDMD42、45および47のうち、任意の2つのDMDをON状態に設定することにより、緑色光、オレンジ光および赤色光から選択された2つの光を組み合わせた任意の波長域の光でウェハマークを照明することができる。もちろん、第1DMD42、第2DMD45および第3DMD47をON状態に設定することにより、白色光でウェハマークを照明することもできる。さらに、各DMDにおいて、ON状態の微小ミラーの数とOFF状態の微小ミラーの数との比率を適宜変化させたり、照明光をパルス光に変換して微小ミラーのON時間とOFF時間との比率を適宜変化させたりして、照明光の光量を切り換えることもできる。
【0046】
以上のように、第2実施形態の位置検出装置PDでは、3つのDMD42と45と47との協働作用により、ウェハマークに対する照明光の波長域の切り換えおよび光量の切り換えを瞬時に行うことができる。この場合、ウェハマークに対する照明光の波長域の切り換えや光量の切り換えに際して照明光をパルス光に変換し、撮像素子33における時分割により各波長域や各光量の照明光に対応するウェハマークの画像信号を順次迅速に得ることができる。例えば、CCDのような撮像素子を用いた場合、1/60秒毎に1枚の画像データを得ることができるものが多い。よって、CCDの画像形成タイミングと同期させて波長を切り換えていくと、次々と波長の異なる照明光を用いた画像データが得られる。また、光量を切り換えたデータも同様に逐次得られる。これらの画像データを順次画像処理し最も良好なものを自動的に選択し、位置計測に使用することもできる。こうして、第2実施形態の位置検出装置PDにおいても第1実施形態と同様に、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。
【0047】
図6は、本発明の第3実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。第3実施形態の位置検出装置は第1実施形態と類似の構成を有するが、光源1とリレーレンズ系11との間の光路中の構成が第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して第3実施形態を説明する。図6を参照すると、第2実施形態では、リレーレンズ系2を介した光源1からの照明光(530nm〜800nm)は、ライトガイド51に入射する。
【0048】
ライトガイド51は、1つの入射端と2つの射出端とを有する2分岐ライトガイドである。2分岐ライトガイド51の内部を伝搬し、その第1射出端51aから射出された光は第1照明光路へ導かれ、第2射出端51bから射出された光は第2照明光路へ導かれる。第1射出端51aから射出されて第1照明光路へ導かれた照明光は、リレーレンズ系52aを介して、第1DMD53aに入射する。第1DMD53aで反射された照明光は、コンデンサーレンズ54aを介して、ライトガイド55aの入射端をケーラー照明する。
【0049】
ライトガイド55aの内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ56aを介して、照明絞り57aを照明する。照明絞り57aを通過した光は、ハーフプリズム58で反射された後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。一方、第2射出端51bから射出されて第2照明光路へ導かれた照明光は、リレーレンズ系52bを介して、第2DMD53bに入射する。第2DMD53bで反射された照明光は、コンデンサーレンズ54bを介して、ライトガイド55bの入射端をケーラー照明する。
【0050】
ライトガイド55bの内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ56bを介して、照明絞り57bを照明する。照明絞り57bを通過した光は、ハーフプリズム58を透過した後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。照明絞り57aおよび照明絞り57bは、第1実施形態における照明絞り10と同様に、ウェハWの表面と光学的に共役な位置またはその近傍に配置され、矩形状の第1開口部とスリット状の第2開口部とを有する。
【0051】
第3実施形態では、第1照明光路(52a〜57a)が照明σ(シグマ)の比較的小さい小σ光路に対応し、第2照明光路(52b〜57b)が照明σ(シグマ)の比較的大きい大σ光路に対応している。ここで、照明σは、ウェハマークを照明する照明系の開口数/ウェハマークの像を形成する結像系の開口数で定義される。具体的には、コンデンサーレンズ56aの焦点距離とコンデンサーレンズ56bの焦点距離とが同じ場合には、ライトガイド55aの射出端面の方がライトガイド55bの射出端面よりも小さく設定されている。あるいは、ライトガイド55aの射出端面とライトガイド55bの射出端面とが同じ場合には、コンデンサーレンズ56aの焦点距離の方がコンデンサーレンズ56bの焦点距離よりも大きく設定されている。
【0052】
第3実施形態では、第1DMD53aをON状態に設定し且つ第2DMD53bをOFF状態に設定することにより、小σ状態でウェハマークを照明することができる。逆に、第2DMD53bをON状態に設定し且つ第1DMD53aをOFF状態に設定することにより、大σ状態でウェハマークを照明することができる。さらに、各DMDにおいて、ON状態の微小ミラーの数とOFF状態の微小ミラーの数との比率を適宜変化させたり、照明光をパルス光に変換して微小ミラーのON時間とOFF時間との比率を適宜変化させたりして、照明光の光量を切り換えることもできる。
【0053】
以上のように、第3実施形態の位置検出装置PDでは、比較的小さい照明σに対応した第1照明光路(52a〜57a)中に配置された第1DMD53aと比較的大きい照明σに対応した第2照明光路(52b〜57b)中に配置された第2DMD53との協働作用により、ウェハマークに対する照明光の光路(ひいては照明σ)の切り換えおよび光量の切り換えを瞬時に行うことができる。この場合、ウェハマークに対する照明光の光路の切り換えや光量の切り換えに際して照明光をパルス光に変換し、撮像素子33における時分割により各波長域または各光量の照明光に対応するウェハマークの画像信号を順次迅速に得ることができる。例えば、CCDのような撮像素子を用いた場合、1/60秒毎に1枚の画像データを得ることができるものが多い。よって、CCDの画像形成タイミングと同期させて照明光の光路ひいては照明σ条件を切り換えていくと、2種類の照明条件を用いた画像データが高速に得られる。また、更にそれぞれの条件で光量を切り換えたデータも同様に逐次得ることができる。これらの画像データを順次画像処理し最も良好なものを自動的に選択し、位置計測に使用することもできる。こうして、第3実施形態の位置検出装置PDにおいても第1実施形態と同様に、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。
【0054】
図7は、本発明の第3実施形態の変形例にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。図7の変形例の位置検出装置は第3実施形態と類似の構成を有するが、リレーレンズ系52およびDMD53に代えてシャッター部材59を用いている点が第3実施形態と相違している。以下、第3実施形態との相違点に着目して図7の変形例を説明する。
【0055】
図7を参照すると、第3実施形態の変形例では、2分岐ライトガイド51の第1射出端51aから射出されて第1照明光路へ導かれた照明光は、コンデンサーレンズ54aを介して、ライトガイド55aの入射端をケーラー照明する。一方、2分岐ライトガイド51の第2射出端51bから射出されて第2照明光路へ導かれた照明光は、コンデンサーレンズ54bを介して、ライトガイド55bの入射端をケーラー照明する。第1射出端51aとコンデンサーレンズ54aとの間には第1照明光路に対して挿脱自在に構成された第1シャッター部材59aが配置され、第2射出端51bとコンデンサーレンズ54bとの間には第2照明光路に対して挿脱自在に構成された第2シャッター部材59bが配置されている。
【0056】
したがって、第3実施形態の変形例では、第2シャッター部材59bを第2照明光路中に挿入し且つ第1シャッター部材59aを第1照明光路から退避させることにより、小σ状態でウェハマークを照明することができる。逆に、第1シャッター部材59aを第1照明光路中に挿入し且つ第2シャッター部材59bを第2照明光路から退避させることにより、大σ状態でウェハマークを照明することができる。ただし、第3実施形態の変形例では、第3実施形態とは異なり、照明光の光量を切り換えることはできない。
【0057】
図8は、本発明の第4実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。第4実施形態の位置検出装置は第1実施形態と類似の構成を有するが、ライトガイド8とコンデンサーレンズ9との間の光路中にリレーレンズ61および第1DMD62が付設されていること、および開口絞り20に代えて第2DMD63が配置されていることが第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して第4実施形態を説明する。なお、図8では、図面の明瞭化のために、信号処理系25だけでなく、光源1からライトガイド8までの構成の図示を省略している。
【0058】
第4実施形態では、ライトガイド8から射出された照明光が、リレーレンズ61を介して、第1DMD62に入射する。第1DMD62で反射された照明光は、コンデンサーレンズ9の集光作用を受けた後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。ここで、ライトガイド8の射出面は、リレーレンズ61を介して、第1DMD62の反射面と光学的にほぼ共役に配置されている。また、第1DMD62の反射面は、ウェハWの表面とフーリエ変換の関係にある瞳面位置またはその近傍に配置されている。換言すれば、第1DMD62の反射面は、照明瞳面(またはその近傍)に配置されている。
【0059】
また、第4実施形態では、視野絞り18を通過したマーク反射光が、第3対物レンズ19を介して、第2DMD63に入射する。第2DMD63で反射された照明光は、第4対物レンズ21の集光作用を受けた後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハマーク検出用CCD24に達する。ここで、第2DMD63の反射面も第1DMD62と同様に、ウェハWの表面とフーリエ変換の関係にある瞳面位置またはその近傍に配置されている。換言すれば、第2DMD63の反射面は、結像瞳面(またはその近傍)に配置されている。
【0060】
図9は、第4実施形態において照明瞳面に配置された第1DMDおよび結像瞳面に配置された第2DMDの動作を示す図である。図9において、斜線部は反射光を照明光路の外へ導くためにOFF状態に設定された微小ミラー領域を示し、白抜き部は反射光を照明光路に沿って導くためにON状態に設定された微小ミラー領域を示している。図9においては説明を容易にするために、光軸と平行な方向から第1および第2DMDを観察した際の形状、すなわち第1および第2DMDを光軸に垂直な面内に投影した際の微小ミラーの分布形状を示している。図8に示した配置では、第1および第2DMDが光軸に対して45度に近い角度に設置されているので、例えば図9に示す円形形状は、第1および第2DMDの面の法線方向から観察すると楕円形状となる。図9(a)に示す状態では、照明瞳面に配置された第1DMD62において、光軸を中心とする大きな円形状領域71の微小ミラーがON状態に設定されている。
【0061】
図9(b)に示す状態では、第1DMD62において、光軸を中心とする輪帯状領域72の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(c)に示す状態では、第1DMD62において、光軸を中心とする円形状領域であって図9(a)の円形状領域71よりも小さい円形状領域73の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(d)に示す状態では、第1DMD62において、光軸を中心とする円形状領域であって図9(c)の円形状領域73よりも小さい円形状領域74の微小ミラーがON状態に設定されている。
【0062】
図9(e)に示す状態では、結像瞳面に配置された第2DMD63において、光軸を中心とする大きな円形状領域75の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(f)に示す状態では、第2DMD63において、光軸を中心とする円形状領域であって図9(e)の円形状領域75よりも小さい円形状領域76の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(g)に示す状態では、第2DMD63において、光軸を中心とする輪帯状領域77の微小ミラーがON状態に設定されている。
【0063】
第4実施形態では、第1DMD62を図9(a)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、照明σの比較的大きい状態すなわち大σ状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(c)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、照明σが中程度に大きい状態すなわち中σ状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(d)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、照明σが比較的小さい状態すなわち小σ状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。
【0064】
さらに、第1DMD62を図9(b)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、いわゆる輪帯照明状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(b)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(f)に示す状態に設定することにより、いわゆる暗視野照明状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(d)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(g)に示す状態に設定することにより、いわゆる中心遮蔽の暗視野照明状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。
【0065】
以上のように、第4実施形態の位置検出装置PDでは、照明瞳面に配置された第1DMD62と結像瞳面に配置された第2DMD63との協働作用により、照明σや変形照明などに関する照明条件の切り換えを瞬時に行うことができる。こうして、第4実施形態の位置検出装置PDにおいても第1実施形態と同様に、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。
【0066】
さらにより能動的な使用方法として、ウェハマークが非常に観察しにくい場合に有効な手法を以下に説明する。たとえば、図8のウェハW上のウェハマークが非常に低段差でコントラストが無いマークの場合や、マーク表面が滑らかではなく荒れている場合等には、照明結像条件を任意に可変させてマークが良く見える状態を見つけ出し、その状態で検出することが可能となる。その場合、第1DMD62および第2DMD63によって形成される照明系内の瞳位置における反射光分布パターンと、結像系内の瞳位置における反射光分布パターンとは、図9に示すパターンには限られず、いかようなパターン分布であっても設定することができる。
【0067】
また、図9に示す円形状パターンの中心点をシフトさせたパターンを用いることにより、照明系、結像系の各瞳位置の反射光束を平行シフトさせることが可能となる。その結果、ウェハマークを斜め方向から照明したり、受光光束の中心線(受光光束の光量重心線)を倒したり(受光側のテレセントリック性を倒したり)といったことも可能となる。ウェハの平面度が悪い場合やウェハが傾いている場合等には、結像特性を向上させるための有効な補正手段となる。また、ウェハマーク形状誤差が大きい場合には、ウェハがデフォーカスした状態で計測すると位置がずれて計測されてしまうケースかあるが、このような誤差を減らす効果もある。
【0068】
このように、各DMDの反射パターンを適宜変え、光学系の照明結像特性をウェハマークに対して最適化することができる。また、そのような最適化は、予め最適化プログラムを装置制御系に設定しておけば、DMDの微細ミラー配置を高速に可変させ、画像処理を行うことで自動的に行うことも可能である。
【0069】
また、第4実施形態の構成を光学系の検査に用いると、ウェハWから撮像素子24に至る光路からなる結像光学系の収差を計測することも可能である。検査用のウェハマークとして、例えば暗視野のピンホール物体(ピンホール部分のみが強度分布を持つマーク)を用い、その像を撮像素子24で計測できるようにしておく。また、DMD62は図9(a)の状態とし、DMD63は図9(e)の状態とする。この状態では、照明NA(開口数)は受光NA(開口数)よりも大きく設定される。このような状態で、DMD63の図9(e)内のONとなっている円形領域部分を形成するミラーを、例えば一旦すべてOFFし、端から順に逐次一つずつONさせる動作を全ての前記領域内のミラーに対して行い、各状態でピンホール像を検出し更にピンホール位置を計測する。この際のピンホール位置のずれは、いわゆるハルトマン法による収差計測に相当し、微小ミラーにより反射された光束が十分小さければ、いわゆる光線追跡と同様の光線収差を表す。よって、通常の光線追跡のように、円形領域部分の中心にある微小ミラーによるピンホール像位置を基準に、その他の微小ミラーによるピンホール像横ずれ量を求めれば、いわゆる光線追跡を行ったと同様の疑似光線追跡が可能となる。物体ピンホール位置を視野内で適宜変えることにより、ディストーションや像面湾曲を含め、いわゆるザイデル5収差を疑似光線追跡結果として得ることができる。なお、この擬似光線追跡結果に基づいて、より高次の収差や、波面収差、波面収差のツェルニケ係数をも求めることが可能である。また、複数の波長ごとに計測を行えば色収差も得ることができる。
【0070】
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図10のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
先ず、図10のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0072】
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図11のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図11において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0073】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0074】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0075】
なお、上述の各実施形態では、ウェハWに形成されたウェハマークを照明し、結像光学系を介して得られたウェハマーク像の位置情報に基づいてウェハWの位置を検出する位置検出装置に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、物体に形成されたマークを照明し、結像光学系を介して形成されたマーク像の位置情報に基づいて物体の位置を検出する一般的な位置検出装置に対して本発明を適用することもできる。また、物体に照明光を照射し、照明された物体からの光に基づいて物体を観察する観察装置に対しても同様に、本発明を適用することができる。また、上述の各実施形態は、本実施例で示したDMDと同様の機能を持つ反射型位相変調素子に対して適用することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の位置検出装置または観察装置では、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な多数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子の作用により、照明光の光量、照明光の波長域、照明光の光路などに関する条件を瞬時に切り換えることができる。その結果、たとえばマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、マークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、マークの位置を高精度に検出することができる。
【0077】
したがって、本発明にしたがう高精度な位置検出装置または観察装置を用いる露光装置および露光方法では、たとえば投影光学系に対してマスクと感光性基板とを高精度に位置合わせして良好な露光を行うことができ、ひいては良好な露光により良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態にかかる位置検出装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】図2中の照明絞りの構成を概略的に示す図である。
【図4】第1実施形態におけるDMDの動作を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態の変形例にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図9】第4実施形態において照明瞳面に配置された第1DMDおよび結像瞳面に配置された第2DMDの動作を示す図である。
【図10】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図11】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
PD 位置検出装置
IL 露光用照明系
R レチクル
RS レチクルステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WH ウェハホルダ
ZS Zステージ
XY XYステージ
SC ステージ制御系
MC 主制御系
1 ハロゲンランプ
6,8 ライトガイド
13 第1対物レンズ
15 指標板
17 第2対物レンズ
23 ダイクロイックミラー
24,27 CCD
25 信号処理系
30 瞳分割ミラー
31 結像レンズ
32 シリンドリカルレンズ
33 撮像素子(ラインセンサ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察装置、位置検出装置、露光装置、および露光方法に関する。さらに詳細には、本発明は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスを製造するリソグラフィー工程で用いる露光装置に搭載される位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体素子等のデバイスの製造に際して、感光材料の塗布されたウェハ(またはガラスプレート等の基板)上に複数層の回路パターンを重ねて形成する。このため、回路パターンをウェハ上に露光するための露光装置には、マスクのパターンと既に回路パターンの形成されているウェハの各露光領域との相対位置合わせ(アライメント)を行うためのアライメント装置が備えられている。近年、回路パターンの線幅の微細化に伴い、高精度のアライメントが必要とされるようになってきている。
【0003】
従来、この種のアライメント装置として、特開平4−65603号公報、特開平4−273246号公報等に開示されているように、オフ・アクシス方式で且つ撮像方式のアライメント装置が知られている。この撮像方式のアライメント装置の検出系は、FIA(Field Image Alignment)系の位置検出装置とも呼ばれている。FIA系の位置検出装置では、ハロゲンランプ等の光源から射出される波長帯域幅の広い光で、ウェハ上のアライメントマーク(ウェハマーク)を照明する。そして、結像光学系を介してウェハマークの拡大像を撮像素子上に形成し、得られた撮像信号を画像処理することによりウェハマークの位置検出を行う。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−65603号公報
【特許文献2】
特開平4−273246号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ウェハマークの位置(ひいてはウェハWの位置)を高精度に検出するには、ウェハマークの特性に応じて適切な照明条件を実現することが必要である。具体的には、ウェハマークに対する照明光の光量、照明光の波長域、照明σなどに関する条件を、ウェハマークの特性に応じて適切に且つ迅速に切り換えることが必要である。しかしながら、従来技術にしたがう位置検出装置では、照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとでウェハマークの位置を高精度に検出することができないという不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、マークの特性に応じた適切な照明条件のもとでマークの位置を高精度に検出することのできる位置検出装置を提供することを目的とする。さらに、本発明の高精度な位置検出装置を用いて、たとえば投影光学系に対してマスクと感光性基板とを高精度に位置合わせして良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、観察すべき物体に照明光を照射するための照明系を備え、前記照明光により照明された前記物体からの光に基づいて前記物体を観察する観察装置において、
前記照明系は、前記物体に照射される照明光の光量、前記物体に照射される照明光の波長域、および前記物体に照射される照明光の光路のうちの少なくとも1つに関する条件を切り換えるために、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子を備えていることを特徴とする観察装置を提供する。
【0008】
第1形態の好ましい態様によれば、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光量の切り換えのために、反射光を照明光路に沿って導くための第1群の微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くための第2群の微小ミラーの数との比率を変化させる。あるいは、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光量の切り換えのために、前記複数の微小ミラーが反射光を照明光路に沿って導くON時間と、前記複数の微小ミラーが反射光を照明光路の外へ導くOFF時間との比率を変化させることが好ましい。
【0009】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記照明系は、光源からの光を第1波長域の照明光と第2波長域の照明光とに分割して前記第1波長域の照明光を第1照明光路に沿って導き且つ前記第2波長域の照明光を第2照明光路に沿って導くための光分割手段と、前記第1照明光路に沿って導かれた前記第1波長域の照明光と前記第2照明光路に沿って導かれた前記第2波長域の照明光とを合成するための光合成手段とをさらに備え、前記反射型空間変調素子は、前記第1照明光路の光路中に配置された第1空間変調素子と、前記第2照明光路の光路中に配置された第2空間変調素子とを有する。この場合、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の波長域の切り換えのために、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路に沿って導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路の外へ導く状態と、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路の外へ導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路に沿って導く状態との間で切り換えることが好ましい。
【0010】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記照明系は、第1の照明σに対応する第1照明光路と、第2の照明σに対応する第2照明光路とを有し、前記反射型空間変調素子は、前記第1照明光路の光路中に配置された第1空間変調素子と、前記第2照明光路の光路中に配置された第2空間変調素子とを有する。この場合、前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光路の切り換えのために、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路に沿って導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路の外へ導く状態と、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路の外へ導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路に沿って導く状態との間で切り換えることが好ましい。
【0011】
本発明の第2形態では、位置検出すべき物体に形成されたマークに照明光を照射するための照明光学系と、前記照明光により照明された前記マークからの光に基づいて前記マークの像を形成するための結像光学系とを備え、前記結像光学系を介して形成された前記マークの像の位置情報に基づいて前記物体の位置を検出する位置検出装置において、
前記照明光学系の照明瞳面における光強度分布を切り換えるために、前記照明瞳面に配置されて入射光束の反射方向を独立に変更可能な複数の微小ミラーを有する第1の反射型空間変調素子と、
前記結像光学系の結像瞳面における光強度分布を切り換えるために、前記結像瞳面に配置されて入射光束の反射方向を独立に変更可能な複数の微小ミラーを有する第2の反射型空間変調素子とを備えていることを特徴とする位置検出装置を提供する。
【0012】
本発明の第3形態では、マスクを照明するための露光照明系と、前記マスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記マスクまたは前記感光性基板を観察するための第1形態の観察装置とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0013】
本発明の第4形態では、マスクを照明するための露光照明系と、前記マスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記マスクまたは前記感光性基板の位置を検出するための第2形態の位置検出装置とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0014】
本発明の第5形態では、マスクを照明し、前記マスクのパターン像を感光性基板上に露光する露光方法において、
第2形態の位置検出装置を用いて前記マスクまたは前記感光性基板の位置を検出する位置検出工程を含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の各実施形態にかかる位置検出装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図1では、投影光学系PLの光軸に対して平行にZ軸が、Z軸に垂直な平面内において図1の紙面に平行な方向にX軸が、Z軸に垂直な平面内において図1の紙面に垂直な方向にY軸がそれぞれ設定されている。各実施形態では、ウェハWに形成されたウェハマークを照明し、結像光学系を介して得られたウェハマーク像の位置情報に基づいてウェハWの位置を検出する位置検出装置に対して本発明を適用している。
【0016】
図示の露光装置は、適当な露光光でマスク(投影原版)としてのレチクルRを照明するための露光用照明系ILを備えている。レチクルRはレチクルステージRS上においてXY平面とほぼ平行に支持されており、そのパターン領域PAには転写すべき回路パターンが形成されている。露光用照明系ILで照明されてレチクルRを透過した光は、投影光学系PLを介してウェハWに達し、ウェハW上にはレチクルRのパターン像が形成される。
【0017】
なお、ウェハWは、ウェハホルダWHを介してZステージZS上においてXY平面とほぼ平行に支持されている。ZステージZSは、ステージ制御系SCによって、投影光学系PLの光軸に沿って駆動されるように構成されている。さらに、ZステージZSは、XYステージXY上に支持されている。XYステージXYは、同じくステージ制御系SCによって、投影光学系PLの光軸に対して垂直なXY平面内において二次元的に駆動されるように構成されている。
【0018】
なお、ステージ制御系SCは、主制御系MCによって制御されるように構成されている。前述したように、露光装置では、投影露光に先立って、投影光学系PLに対してウェハWの露光面を高精度に位置決めする必要がある。そこで、露光装置には、投影光学系PLに対するウェハWの相対位置(XY平面に沿った位置およびZ方向に沿った位置)を検出するための位置検出装置PDが搭載されている。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、第1実施形態にかかる位置検出装置PDは、ハロゲンランプのような光源1と、LED(発光ダイオード)のように赤外光(たとえば波長870nm)を供給するための赤外光源(不図示)とを備えている。光源1から供給された照明光は、リレーレンズ系2およびその光路中に配置された波長選択フィルター3を介して、DMD(Digital Micro−mirror Device)4に入射する。波長選択フィルター3は、光源1からの照明光から、たとえば波長530nm〜800nmの白色光だけを選択的に透過させる特性を有する。
【0020】
DMD4は、入射光束の反射方向を独立に変更することのできる多数の微小ミラー(マイクロミラー)を有する反射型空間変調素子である。換言すれば、DMD4は、碁盤の目状に配列された多数の微小ミラーからなる光変調素子であって、各微小ミラーの向きはそれぞれ個別に駆動制御されるように構成されている。DMD4では、各微小ミラーの向きをそれぞれ適宜駆動することにより、所望の光強度分布を形成することができる。なお、DMD4の第1実施形態における具体的な作用については後述する。
【0021】
DMD4で反射された照明光(白色光)は、リレーレンズ系5を介して、光ファイバーのようなライトガイド6に入射する。ライトガイド6の内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ7を介して、光ファイバーのようなライトガイド8の入射端をケーラー照明する。ライトガイド8の内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ9を介して、照明絞り10を照明する。
【0022】
照明絞り10は、被検物体であるウェハWの表面(物体面)と光学的に共役な位置またはその近傍に配置されている。そして、照明絞り10には、図3に示すように、ある程度正方形に近い矩形状の第1開口部(光透過部)10aと、Y方向に沿って細長く延びたスリット状(細長い矩形状)の第2開口部(光透過部)10bとがX方向に沿って隣接するように形成されている。後述するように、第1開口部10aはアライメント用開口部であり、第2開口部10bはフォーカス用開口部である。ここで、ライトガイド8の射出端面に相当する二次光源の均一性がそれほど問題にならない場合には、コンデンサーレンズ7およびライトガイド8を用いず、ライトガイド6をライトガイド8の射出端位置に直接取り付けてもかまわない。
【0023】
照明絞り10を通過した照明光は、リレーレンズ系11を介してハーフプリズム12で反射された後、第1対物レンズ13に入射する。第1対物レンズ13の第1群に入射した光束は、その光路中に配置されたミラー14で反射された後、第1対物レンズ13の第2群を介して、指標板15に入射する。一方、赤外光源からの赤外光は、図示を省略した所定光路を経た後に、第1対物レンズ13を介して指標板15に入射する。
【0024】
指標板15は、たとえば石英ガラスで形成された平行平面板状の光学部材であって、その上側面(第1対物レンズ13側の面)には指標マークが形成され、その下側面(ウェハW側の面)には赤外反射膜が形成されている。赤外反射膜は、赤外光源からの赤外光を反射し且つ光源1からの白色光(可視光)を透過させる特性を有し、たとえば誘電体多層膜で構成されている。したがって、光源1からの白色光は、指標板15を透過して、ウェハWの表面(露光面)を照明する。
【0025】
こうして、照明絞り10の第1開口部10aを介した照明光は、ウェハWの表面に形成されたアライメントマークとしてのウェハマーク(不図示)を照明する。一方、照明絞り10の第2開口部10bを介した照明光は、ウェハWの表面においてY方向に沿って細長く延びたスリット状の領域を斜めから照明する。照明されたウェハマークからのマーク反射光(回折光を含む)およびウェハWの表面で反射されたスリット状のフォーカス光束は、指標板15および第1対物レンズ13を介して、ハーフプリズム12に入射する。
【0026】
一方、指標板15に入射した赤外光は、指標板15の内部を伝搬し、赤外反射膜で反射され、指標板15の内部を伝搬した後、指標マークを照明する。そして、照明された指標マークからの反射光(回折光を含む)は、指標板15の内部を伝搬し、赤外反射膜で反射され、指標板15の内部を伝搬した後、第1対物レンズ13を介して、ハーフプリズム12に入射する。ハーフプリズム12を透過したマーク反射光、フォーカス光束および赤外光は、ミラー16および第2対物レンズ17を介して、視野絞り18に入射する。
【0027】
視野絞り18は、ウェハWの表面と光学的に共役な位置またはその近傍に配置され、照明絞り10に光学的に対応するように、矩形状の第1開口部とY方向に沿って細長く延びたスリット状の第2開口部とを有する。視野絞り18の第1開口部を通過したマーク反射光および赤外光は、第3対物レンズ19、開口絞り20、第4対物レンズ21、およびミラー22を介して、ダイクロイックミラー23に入射する。ダイクロイックミラー23は、白色光を反射し且つ赤外光を透過させる特性を有する。
【0028】
したがって、マーク反射光すなわちウェハマークからの白色光は、ダイクロイックミラー23で反射されてウェハマーク検出用CCD24に入射する。こうして、ウェハマーク検出用CCD24の撮像面には、ウェハマークの像が形成される。ウェハマーク検出用CCD24からの出力信号は、信号処理系25に供給される。一方、指標マークからの赤外光は、ダイクロイックミラー23を透過し、ミラー26で反射された後、指標マーク検出用CCD27に入射する。こうして、指標マーク検出用CCD27の撮像面には、指標マークの像が形成される。指標マーク検出用CCD27からの出力信号は、信号処理系25に供給される。
【0029】
信号処理系25では、ウェハマーク検出用CCD24からの出力信号および指標マーク検出用CCD27からの出力信号を信号処理(波形処理)することにより、指標マークを基準としたウェハマークの位置情報が得られる。信号処理系25で検出されたウェハマークの位置情報(すなわちウェハWの位置情報)は、主制御系MCに供給される。主制御系MCでは、信号処理系25から供給されたウェハWの位置情報に基づいて、XYステージXYを駆動させるための指令をステージ制御系SCに供給する。こうして、主制御系MCからの指令に基づいて作動するステージ制御系SCの作用により、レチクルR上のパターン領域PAとウェハW上の各露光領域とのアライメント(位置合わせ)が行われる。
【0030】
一方、視野絞り18の第2開口部を通過したフォーカス光束は、ミラー28およびリレーレンズ系29を介して、2つの反射面を有する瞳分割ミラー30に入射する。瞳分割ミラー30は、ウェハWの表面とフーリエ変換の関係にある瞳面位置またはその近傍に配置された瞳分割素子であり、2つの反射面の交線は光軸を通ってY方向に沿って延びるように設定されている。こうして、瞳分割ミラー30で反射されたフォーカス光束は、集光光学系としての結像レンズ31およびシリンドリカルレンズ32を介して、撮像素子(たとえばラインセンサ)33の撮像面(検出面)においてY方向に沿って長手方向を有する2つのスリット像を形成する。撮像素子33は、その撮像面に形成された2つのスリット像を光電検出し、検出信号を信号処理系25に供給する。
【0031】
信号処理系25では、2つのスリット像の中心間距離を計測し、計測した中心間距離に基づいて第1対物レンズ13の焦点位置に対するウェハWの表面の相対位置ずれ量を検出する。信号処理系25で検出されたウェハWの相対位置ずれ量に関する情報は、主制御系MCに供給される。主制御系MCでは、信号処理系25から供給された相対位置ずれ量に関する情報に基づいて、検出した相対位置ずれ量だけZステージZSを光軸AXに沿って駆動させるための指令をステージ制御系SCに供給する。こうして、主制御系MCからの指令に基づいて作動するステージ制御系SCの作用により、第1対物レンズ13の焦点位置に、ひいては投影光学系PLの結像面に、ウェハWの露光面が設定される。
【0032】
図4は、第1実施形態におけるDMDの動作を示す図である。図4において、矩形状の斜線部は反射光を照明光路の外へ導くためにOFF状態に設定された微小ミラーを示し、矩形状の白抜き部は反射光を照明光路に沿って導くためにON状態に設定された微小ミラーを示している。ここで、「反射光を照明光路の外へ導く」という表現は、反射光を照明光路に沿って光源側へ逆進させる場合も含む広い概念である。
【0033】
図4(a)に示す状態では、DMD4のすべての微小ミラーがON状態に設定されているので、すべての反射光が照明光路に沿って導かれ、100%の光量でウェハマークが照明される。一方、図4(b)に示す状態では、DMD4のすべての微小ミラーがOFF状態に設定されているので、すべての反射光が照明光路の外へ導かれ、いわゆる0%の光量でウェハマークが照明されることになる。DMD4では、反射光を照明光路に沿って導くためのON状態に設定された微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くためのOFF状態に設定された微小ミラーの数との比率を適宜変化させることにより、ウェハマークに対する照明光の光量を100%と0%との間で瞬時に切り換えることができる。
【0034】
具体的には、図4(c)に示す状態では、DMD4の1/2の微小ミラーがON状態に設定され、50%の光量でウェハマークが照明される。同様に、図4(d)に示す状態では3/4の微小ミラーがON状態に設定され75%の光量でウェハマークが照明され、図4(e)に示す状態では1/4の微小ミラーがON状態に設定され25%の光量でウェハマークが照明され、図4(f)に示す状態では7/8の微小ミラーがON状態に設定され87.5%の光量でウェハマークが照明され、図4(g)に示す状態では1/8の微小ミラーがON状態に設定され12.5%の光量でウェハマークが照明される。なお、上述の例では、照明光の光量を100%、75%、50%、25%、0%の間で切り換える態様としたが、この態様には限定されない。さらに、図4に示したDMD4における微小ミラーのON/OFFパターンにも限定されず、減光効果があるものであれば任意のON/OFFパターンでもかまわない。
【0035】
以上のように、第1実施形態の位置検出装置PDでは、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な多数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子としてのDMD4の作用により、反射光を照明光路に沿って導くためのON状態に設定された微小ミラー(第1群の微小ミラー)の数と、反射光を照明光路の外へ導くためのOFF状態に設定された微小ミラー(第2群の微小ミラー)の数との比率を適宜変化させて、ウェハマークに対する照明光の光量を100%と0%との間で瞬時に切り換えることができる。
【0036】
その結果、第1実施形態の位置検出装置PDでは、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。したがって、第1実施形態の露光装置では、高精度な位置検出装置PDを用いて、投影光学系PLに対してレチクルRとウェハWとを高精度に位置合わせして、すなわちレチクルR上のパターン領域PAとウェハW上の各露光領域とを高精度に位置合わせして良好な露光を行うことができる。
【0037】
なお、上述の第1実施形態では、ON状態の微小ミラーの数とOFF状態の微小ミラーの数との比率を適宜変化させて照明光の光量を切り換えている。しかしながら、これに限定されることなく、DMD4の作用により照明光をパルス光に変換し、パルス間隔を適宜制御することにより照明光の光量を切り換えることもできる。具体的には、たとえばDMD4のすべて(あるいは所定数)の微小ミラーが反射光を照明光路に沿って導くON時間と、すべて(あるいは所定数)の微小ミラーが反射光を照明光路の外へ導くOFF時間との比率を変化させて、ウェハマークに対する照明光の光量を切り換えることもできる。
【0038】
なお、上述の第1実施形態では、ライトガイド8の射出端においてほぼ均一な光強度分布が求められるが、コンデンサーレンズ7を介してライトガイド8の入射端をケーラー照明しているので、ライトガイド8として必ずしもランダム光ファイバーを用いる必要がない。すなわち、ライトガイド8として、多数の光ファイバー素線をランダムな配列で編み込んだランダム光ファイバーではなく、多数のファイバー素線が高密度に充填されたライトガイドを用いることができる。
【0039】
図5は、本発明の第2実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。第2実施形態の位置検出装置は第1実施形態と類似の構成を有するが、リレーレンズ系2とリレーレンズ系5との間の光路中の構成が第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して第2実施形態を説明する。なお、図5では図面の明瞭化のために信号処理系25の図示を省略しているが、この点は図6〜図8においても同様である。
【0040】
図5を参照すると、第2実施形態では、リレーレンズ系2を介した光源1からの照明光(530nm〜800nm)は、第1ダイクロイックミラー41に入射する。第1ダイクロイックミラー41は、530nm〜610nmの波長を有する光すなわち緑色光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する光分割手段である。したがって、第1ダイクロイックミラー41で反射された緑色光は、第1DMD42で反射された後、第2ダイクロイックミラー43に入射する。
【0041】
第2ダイクロイックミラー43は、第1ダイクロイックミラー41と同様に、緑色光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する。こうして、第1DMD42を介して第2ダイクロイックミラー43に入射した緑色光は、光合成手段としての第2ダイクロイックミラー43で反射された後、リレーレンズ系5を介してライドガイド6に入射する。一方、第1ダイクロイックミラー41を透過した光(610nm〜800nm)は、第3ダイクロイックミラー44に入射する。第3ダイクロイックミラー44は、610nm〜700nmの波長を有する光すなわちオレンジ光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する光分割手段である。
【0042】
したがって、第3ダイクロイックミラー44で反射されたオレンジ光は、第2DMD45で反射された後、第4ダイクロイックミラー46に入射する。第4ダイクロイックミラー46は、第3ダイクロイックミラー44と同様に、オレンジ光を反射し且つ他の波長域の光を透過させる特性を有する。こうして、第2DMD45を介して第4ダイクロイックミラー46に入射したオレンジ光は、光合成手段としての第4ダイクロイックミラー46で反射された後、リレーレンズ系5を介してライドガイド6に入射する。
【0043】
さらに、第3ダイクロイックミラー44を透過した光(700nm〜800nm)すなわち赤色光は、第3DMD47で反射された後、第4ダイクロイックミラー46に入射する。第4ダイクロイックミラー46に入射した赤色光は、第2ダイクロイックミラー43を透過した後、リレーレンズ系5を介してライドガイド6に入射する。ライドガイド6に入射した光、すなわち緑色光、オレンジ光および赤色光は、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。
【0044】
第2実施形態では、3つのDMD42、45および47のうち、任意の1つのDMDをON状態に設定することにより、緑色光、オレンジ光および赤色光から選択された1つの光でウェハマークを照明することができる。具体的には、第1DMD42をON状態に設定し且つ第2DMD45および第3DMD47をOFF状態に設定することにより、緑色光でウェハマークを照明することができる。同様に、第2DMD45をON状態に設定し且つ第1DMD42および第3DMD47をOFF状態に設定することによりオレンジ光で、第3DMD47をON状態に設定し且つ第1DMD42および第2DMD45をOFF状態に設定することにより赤色光で、ウェハマークを照明することができる。
【0045】
また、3つのDMD42、45および47のうち、任意の2つのDMDをON状態に設定することにより、緑色光、オレンジ光および赤色光から選択された2つの光を組み合わせた任意の波長域の光でウェハマークを照明することができる。もちろん、第1DMD42、第2DMD45および第3DMD47をON状態に設定することにより、白色光でウェハマークを照明することもできる。さらに、各DMDにおいて、ON状態の微小ミラーの数とOFF状態の微小ミラーの数との比率を適宜変化させたり、照明光をパルス光に変換して微小ミラーのON時間とOFF時間との比率を適宜変化させたりして、照明光の光量を切り換えることもできる。
【0046】
以上のように、第2実施形態の位置検出装置PDでは、3つのDMD42と45と47との協働作用により、ウェハマークに対する照明光の波長域の切り換えおよび光量の切り換えを瞬時に行うことができる。この場合、ウェハマークに対する照明光の波長域の切り換えや光量の切り換えに際して照明光をパルス光に変換し、撮像素子33における時分割により各波長域や各光量の照明光に対応するウェハマークの画像信号を順次迅速に得ることができる。例えば、CCDのような撮像素子を用いた場合、1/60秒毎に1枚の画像データを得ることができるものが多い。よって、CCDの画像形成タイミングと同期させて波長を切り換えていくと、次々と波長の異なる照明光を用いた画像データが得られる。また、光量を切り換えたデータも同様に逐次得られる。これらの画像データを順次画像処理し最も良好なものを自動的に選択し、位置計測に使用することもできる。こうして、第2実施形態の位置検出装置PDにおいても第1実施形態と同様に、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。
【0047】
図6は、本発明の第3実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。第3実施形態の位置検出装置は第1実施形態と類似の構成を有するが、光源1とリレーレンズ系11との間の光路中の構成が第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して第3実施形態を説明する。図6を参照すると、第2実施形態では、リレーレンズ系2を介した光源1からの照明光(530nm〜800nm)は、ライトガイド51に入射する。
【0048】
ライトガイド51は、1つの入射端と2つの射出端とを有する2分岐ライトガイドである。2分岐ライトガイド51の内部を伝搬し、その第1射出端51aから射出された光は第1照明光路へ導かれ、第2射出端51bから射出された光は第2照明光路へ導かれる。第1射出端51aから射出されて第1照明光路へ導かれた照明光は、リレーレンズ系52aを介して、第1DMD53aに入射する。第1DMD53aで反射された照明光は、コンデンサーレンズ54aを介して、ライトガイド55aの入射端をケーラー照明する。
【0049】
ライトガイド55aの内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ56aを介して、照明絞り57aを照明する。照明絞り57aを通過した光は、ハーフプリズム58で反射された後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。一方、第2射出端51bから射出されて第2照明光路へ導かれた照明光は、リレーレンズ系52bを介して、第2DMD53bに入射する。第2DMD53bで反射された照明光は、コンデンサーレンズ54bを介して、ライトガイド55bの入射端をケーラー照明する。
【0050】
ライトガイド55bの内部を伝搬した照明光は、その射出端から射出された後、コンデンサーレンズ56bを介して、照明絞り57bを照明する。照明絞り57bを通過した光は、ハーフプリズム58を透過した後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。照明絞り57aおよび照明絞り57bは、第1実施形態における照明絞り10と同様に、ウェハWの表面と光学的に共役な位置またはその近傍に配置され、矩形状の第1開口部とスリット状の第2開口部とを有する。
【0051】
第3実施形態では、第1照明光路(52a〜57a)が照明σ(シグマ)の比較的小さい小σ光路に対応し、第2照明光路(52b〜57b)が照明σ(シグマ)の比較的大きい大σ光路に対応している。ここで、照明σは、ウェハマークを照明する照明系の開口数/ウェハマークの像を形成する結像系の開口数で定義される。具体的には、コンデンサーレンズ56aの焦点距離とコンデンサーレンズ56bの焦点距離とが同じ場合には、ライトガイド55aの射出端面の方がライトガイド55bの射出端面よりも小さく設定されている。あるいは、ライトガイド55aの射出端面とライトガイド55bの射出端面とが同じ場合には、コンデンサーレンズ56aの焦点距離の方がコンデンサーレンズ56bの焦点距離よりも大きく設定されている。
【0052】
第3実施形態では、第1DMD53aをON状態に設定し且つ第2DMD53bをOFF状態に設定することにより、小σ状態でウェハマークを照明することができる。逆に、第2DMD53bをON状態に設定し且つ第1DMD53aをOFF状態に設定することにより、大σ状態でウェハマークを照明することができる。さらに、各DMDにおいて、ON状態の微小ミラーの数とOFF状態の微小ミラーの数との比率を適宜変化させたり、照明光をパルス光に変換して微小ミラーのON時間とOFF時間との比率を適宜変化させたりして、照明光の光量を切り換えることもできる。
【0053】
以上のように、第3実施形態の位置検出装置PDでは、比較的小さい照明σに対応した第1照明光路(52a〜57a)中に配置された第1DMD53aと比較的大きい照明σに対応した第2照明光路(52b〜57b)中に配置された第2DMD53との協働作用により、ウェハマークに対する照明光の光路(ひいては照明σ)の切り換えおよび光量の切り換えを瞬時に行うことができる。この場合、ウェハマークに対する照明光の光路の切り換えや光量の切り換えに際して照明光をパルス光に変換し、撮像素子33における時分割により各波長域または各光量の照明光に対応するウェハマークの画像信号を順次迅速に得ることができる。例えば、CCDのような撮像素子を用いた場合、1/60秒毎に1枚の画像データを得ることができるものが多い。よって、CCDの画像形成タイミングと同期させて照明光の光路ひいては照明σ条件を切り換えていくと、2種類の照明条件を用いた画像データが高速に得られる。また、更にそれぞれの条件で光量を切り換えたデータも同様に逐次得ることができる。これらの画像データを順次画像処理し最も良好なものを自動的に選択し、位置計測に使用することもできる。こうして、第3実施形態の位置検出装置PDにおいても第1実施形態と同様に、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。
【0054】
図7は、本発明の第3実施形態の変形例にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。図7の変形例の位置検出装置は第3実施形態と類似の構成を有するが、リレーレンズ系52およびDMD53に代えてシャッター部材59を用いている点が第3実施形態と相違している。以下、第3実施形態との相違点に着目して図7の変形例を説明する。
【0055】
図7を参照すると、第3実施形態の変形例では、2分岐ライトガイド51の第1射出端51aから射出されて第1照明光路へ導かれた照明光は、コンデンサーレンズ54aを介して、ライトガイド55aの入射端をケーラー照明する。一方、2分岐ライトガイド51の第2射出端51bから射出されて第2照明光路へ導かれた照明光は、コンデンサーレンズ54bを介して、ライトガイド55bの入射端をケーラー照明する。第1射出端51aとコンデンサーレンズ54aとの間には第1照明光路に対して挿脱自在に構成された第1シャッター部材59aが配置され、第2射出端51bとコンデンサーレンズ54bとの間には第2照明光路に対して挿脱自在に構成された第2シャッター部材59bが配置されている。
【0056】
したがって、第3実施形態の変形例では、第2シャッター部材59bを第2照明光路中に挿入し且つ第1シャッター部材59aを第1照明光路から退避させることにより、小σ状態でウェハマークを照明することができる。逆に、第1シャッター部材59aを第1照明光路中に挿入し且つ第2シャッター部材59bを第2照明光路から退避させることにより、大σ状態でウェハマークを照明することができる。ただし、第3実施形態の変形例では、第3実施形態とは異なり、照明光の光量を切り換えることはできない。
【0057】
図8は、本発明の第4実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。第4実施形態の位置検出装置は第1実施形態と類似の構成を有するが、ライトガイド8とコンデンサーレンズ9との間の光路中にリレーレンズ61および第1DMD62が付設されていること、および開口絞り20に代えて第2DMD63が配置されていることが第1実施形態と相違している。以下、第1実施形態との相違点に着目して第4実施形態を説明する。なお、図8では、図面の明瞭化のために、信号処理系25だけでなく、光源1からライトガイド8までの構成の図示を省略している。
【0058】
第4実施形態では、ライトガイド8から射出された照明光が、リレーレンズ61を介して、第1DMD62に入射する。第1DMD62で反射された照明光は、コンデンサーレンズ9の集光作用を受けた後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハWの表面に形成されたウェハマークを照明する。ここで、ライトガイド8の射出面は、リレーレンズ61を介して、第1DMD62の反射面と光学的にほぼ共役に配置されている。また、第1DMD62の反射面は、ウェハWの表面とフーリエ変換の関係にある瞳面位置またはその近傍に配置されている。換言すれば、第1DMD62の反射面は、照明瞳面(またはその近傍)に配置されている。
【0059】
また、第4実施形態では、視野絞り18を通過したマーク反射光が、第3対物レンズ19を介して、第2DMD63に入射する。第2DMD63で反射された照明光は、第4対物レンズ21の集光作用を受けた後、第1実施形態と同様の光路を介して、ウェハマーク検出用CCD24に達する。ここで、第2DMD63の反射面も第1DMD62と同様に、ウェハWの表面とフーリエ変換の関係にある瞳面位置またはその近傍に配置されている。換言すれば、第2DMD63の反射面は、結像瞳面(またはその近傍)に配置されている。
【0060】
図9は、第4実施形態において照明瞳面に配置された第1DMDおよび結像瞳面に配置された第2DMDの動作を示す図である。図9において、斜線部は反射光を照明光路の外へ導くためにOFF状態に設定された微小ミラー領域を示し、白抜き部は反射光を照明光路に沿って導くためにON状態に設定された微小ミラー領域を示している。図9においては説明を容易にするために、光軸と平行な方向から第1および第2DMDを観察した際の形状、すなわち第1および第2DMDを光軸に垂直な面内に投影した際の微小ミラーの分布形状を示している。図8に示した配置では、第1および第2DMDが光軸に対して45度に近い角度に設置されているので、例えば図9に示す円形形状は、第1および第2DMDの面の法線方向から観察すると楕円形状となる。図9(a)に示す状態では、照明瞳面に配置された第1DMD62において、光軸を中心とする大きな円形状領域71の微小ミラーがON状態に設定されている。
【0061】
図9(b)に示す状態では、第1DMD62において、光軸を中心とする輪帯状領域72の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(c)に示す状態では、第1DMD62において、光軸を中心とする円形状領域であって図9(a)の円形状領域71よりも小さい円形状領域73の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(d)に示す状態では、第1DMD62において、光軸を中心とする円形状領域であって図9(c)の円形状領域73よりも小さい円形状領域74の微小ミラーがON状態に設定されている。
【0062】
図9(e)に示す状態では、結像瞳面に配置された第2DMD63において、光軸を中心とする大きな円形状領域75の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(f)に示す状態では、第2DMD63において、光軸を中心とする円形状領域であって図9(e)の円形状領域75よりも小さい円形状領域76の微小ミラーがON状態に設定されている。図9(g)に示す状態では、第2DMD63において、光軸を中心とする輪帯状領域77の微小ミラーがON状態に設定されている。
【0063】
第4実施形態では、第1DMD62を図9(a)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、照明σの比較的大きい状態すなわち大σ状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(c)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、照明σが中程度に大きい状態すなわち中σ状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(d)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、照明σが比較的小さい状態すなわち小σ状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。
【0064】
さらに、第1DMD62を図9(b)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(e)に示す状態に設定することにより、いわゆる輪帯照明状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(b)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(f)に示す状態に設定することにより、いわゆる暗視野照明状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。また、第1DMD62を図9(d)に示す状態に設定し且つ第2DMD63を図9(g)に示す状態に設定することにより、いわゆる中心遮蔽の暗視野照明状態でウェハマークの照明および位置検出を行うことができる。
【0065】
以上のように、第4実施形態の位置検出装置PDでは、照明瞳面に配置された第1DMD62と結像瞳面に配置された第2DMD63との協働作用により、照明σや変形照明などに関する照明条件の切り換えを瞬時に行うことができる。こうして、第4実施形態の位置検出装置PDにおいても第1実施形態と同様に、ウェハマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、ウェハマークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、ウェハマークの位置ひいてはウェハWの位置を高精度に検出することができる。
【0066】
さらにより能動的な使用方法として、ウェハマークが非常に観察しにくい場合に有効な手法を以下に説明する。たとえば、図8のウェハW上のウェハマークが非常に低段差でコントラストが無いマークの場合や、マーク表面が滑らかではなく荒れている場合等には、照明結像条件を任意に可変させてマークが良く見える状態を見つけ出し、その状態で検出することが可能となる。その場合、第1DMD62および第2DMD63によって形成される照明系内の瞳位置における反射光分布パターンと、結像系内の瞳位置における反射光分布パターンとは、図9に示すパターンには限られず、いかようなパターン分布であっても設定することができる。
【0067】
また、図9に示す円形状パターンの中心点をシフトさせたパターンを用いることにより、照明系、結像系の各瞳位置の反射光束を平行シフトさせることが可能となる。その結果、ウェハマークを斜め方向から照明したり、受光光束の中心線(受光光束の光量重心線)を倒したり(受光側のテレセントリック性を倒したり)といったことも可能となる。ウェハの平面度が悪い場合やウェハが傾いている場合等には、結像特性を向上させるための有効な補正手段となる。また、ウェハマーク形状誤差が大きい場合には、ウェハがデフォーカスした状態で計測すると位置がずれて計測されてしまうケースかあるが、このような誤差を減らす効果もある。
【0068】
このように、各DMDの反射パターンを適宜変え、光学系の照明結像特性をウェハマークに対して最適化することができる。また、そのような最適化は、予め最適化プログラムを装置制御系に設定しておけば、DMDの微細ミラー配置を高速に可変させ、画像処理を行うことで自動的に行うことも可能である。
【0069】
また、第4実施形態の構成を光学系の検査に用いると、ウェハWから撮像素子24に至る光路からなる結像光学系の収差を計測することも可能である。検査用のウェハマークとして、例えば暗視野のピンホール物体(ピンホール部分のみが強度分布を持つマーク)を用い、その像を撮像素子24で計測できるようにしておく。また、DMD62は図9(a)の状態とし、DMD63は図9(e)の状態とする。この状態では、照明NA(開口数)は受光NA(開口数)よりも大きく設定される。このような状態で、DMD63の図9(e)内のONとなっている円形領域部分を形成するミラーを、例えば一旦すべてOFFし、端から順に逐次一つずつONさせる動作を全ての前記領域内のミラーに対して行い、各状態でピンホール像を検出し更にピンホール位置を計測する。この際のピンホール位置のずれは、いわゆるハルトマン法による収差計測に相当し、微小ミラーにより反射された光束が十分小さければ、いわゆる光線追跡と同様の光線収差を表す。よって、通常の光線追跡のように、円形領域部分の中心にある微小ミラーによるピンホール像位置を基準に、その他の微小ミラーによるピンホール像横ずれ量を求めれば、いわゆる光線追跡を行ったと同様の疑似光線追跡が可能となる。物体ピンホール位置を視野内で適宜変えることにより、ディストーションや像面湾曲を含め、いわゆるザイデル5収差を疑似光線追跡結果として得ることができる。なお、この擬似光線追跡結果に基づいて、より高次の収差や、波面収差、波面収差のツェルニケ係数をも求めることが可能である。また、複数の波長ごとに計測を行えば色収差も得ることができる。
【0070】
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図10のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
先ず、図10のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0072】
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図11のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図11において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0073】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0074】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0075】
なお、上述の各実施形態では、ウェハWに形成されたウェハマークを照明し、結像光学系を介して得られたウェハマーク像の位置情報に基づいてウェハWの位置を検出する位置検出装置に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、物体に形成されたマークを照明し、結像光学系を介して形成されたマーク像の位置情報に基づいて物体の位置を検出する一般的な位置検出装置に対して本発明を適用することもできる。また、物体に照明光を照射し、照明された物体からの光に基づいて物体を観察する観察装置に対しても同様に、本発明を適用することができる。また、上述の各実施形態は、本実施例で示したDMDと同様の機能を持つ反射型位相変調素子に対して適用することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の位置検出装置または観察装置では、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な多数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子の作用により、照明光の光量、照明光の波長域、照明光の光路などに関する条件を瞬時に切り換えることができる。その結果、たとえばマークに対する照明条件を迅速に且つ多様に切り換えて、マークの特性に応じた適切な照明条件のもとで、マークの位置を高精度に検出することができる。
【0077】
したがって、本発明にしたがう高精度な位置検出装置または観察装置を用いる露光装置および露光方法では、たとえば投影光学系に対してマスクと感光性基板とを高精度に位置合わせして良好な露光を行うことができ、ひいては良好な露光により良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態にかかる位置検出装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】図2中の照明絞りの構成を概略的に示す図である。
【図4】第1実施形態におけるDMDの動作を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態の変形例にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかる位置検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図9】第4実施形態において照明瞳面に配置された第1DMDおよび結像瞳面に配置された第2DMDの動作を示す図である。
【図10】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図11】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
PD 位置検出装置
IL 露光用照明系
R レチクル
RS レチクルステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WH ウェハホルダ
ZS Zステージ
XY XYステージ
SC ステージ制御系
MC 主制御系
1 ハロゲンランプ
6,8 ライトガイド
13 第1対物レンズ
15 指標板
17 第2対物レンズ
23 ダイクロイックミラー
24,27 CCD
25 信号処理系
30 瞳分割ミラー
31 結像レンズ
32 シリンドリカルレンズ
33 撮像素子(ラインセンサ)
Claims (11)
- 観察すべき物体に照明光を照射するための照明系を備え、前記照明光により照明された前記物体からの光に基づいて前記物体を観察する観察装置において、
前記照明系は、前記物体に照射される照明光の光量、前記物体に照射される照明光の波長域、および前記物体に照射される照明光の光路のうちの少なくとも1つに関する条件を切り換えるために、入射光束の反射方向を独立的に変更可能な複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子を備えていることを特徴とする観察装置。 - 前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光量の切り換えのために、反射光を照明光路に沿って導くための第1群の微小ミラーの数と、反射光を照明光路の外へ導くための第2群の微小ミラーの数との比率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
- 前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光量の切り換えのために、前記複数の微小ミラーが反射光を照明光路に沿って導くON時間と、前記複数の微小ミラーが反射光を照明光路の外へ導くOFF時間との比率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
- 前記照明系は、光源からの光を第1波長域の照明光と第2波長域の照明光とに分割して前記第1波長域の照明光を第1照明光路に沿って導き且つ前記第2波長域の照明光を第2照明光路に沿って導くための光分割手段と、前記第1照明光路に沿って導かれた前記第1波長域の照明光と前記第2照明光路に沿って導かれた前記第2波長域の照明光とを合成するための光合成手段とをさらに備え、
前記反射型空間変調素子は、前記第1照明光路の光路中に配置された第1空間変調素子と、前記第2照明光路の光路中に配置された第2空間変調素子とを有することを特徴とする請求項1に記載の観察装置。 - 前記反射型空間変調素子は、前記照明光の波長域の切り換えのために、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路に沿って導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路の外へ導く状態と、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路の外へ導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路に沿って導く状態との間で切り換えることを特徴とする請求項4に記載の観察装置。
- 前記照明系は、第1の照明σに対応する第1照明光路と、第2の照明σに対応する第2照明光路とを有し、
前記反射型空間変調素子は、前記第1照明光路の光路中に配置された第1空間変調素子と、前記第2照明光路の光路中に配置された第2空間変調素子とを有することを特徴とする請求項1に記載の観察装置。 - 前記反射型空間変調素子は、前記照明光の光路の切り換えのために、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路に沿って導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路の外へ導く状態と、前記第1空間変調素子が反射光を前記第1照明光路の外へ導き且つ前記第2空間変調素子が反射光を前記第2照明光路に沿って導く状態との間で切り換えることを特徴とする請求項6に記載の観察装置。
- 位置検出すべき物体に形成されたマークに照明光を照射するための照明光学系と、前記照明光により照明された前記マークからの光に基づいて前記マークの像を形成するための結像光学系とを備え、前記結像光学系を介して形成された前記マークの像の位置情報に基づいて前記物体の位置を検出する位置検出装置において、
前記照明光学系の照明瞳面における光強度分布を切り換えるために、前記照明瞳面に配置されて入射光束の反射方向を独立に変更可能な複数の微小ミラーを有する第1の反射型空間変調素子と、
前記結像光学系の結像瞳面における光強度分布を切り換えるために、前記結像瞳面に配置されて入射光束の反射方向を独立に変更可能な複数の微小ミラーを有する第2の反射型空間変調素子とを備えていることを特徴とする位置検出装置。 - マスクを照明するための露光照明系と、前記マスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記マスクまたは前記感光性基板を観察するための請求項1乃至7のいずれか1項に記載の観察装置とを備えていることを特徴とする露光装置。
- マスクを照明するための露光照明系と、前記マスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記マスクまたは前記感光性基板の位置を検出するための請求項8に記載の位置検出装置とを備えていることを特徴とする露光装置。
- マスクを照明し、前記マスクのパターン像を感光性基板上に露光する露光方法において、
請求項8に記載の位置検出装置を用いて前記マスクまたは前記感光性基板の位置を検出する位置検出工程を含むことを特徴とする露光方法。
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