JP2004141630A - 生体材料 - Google Patents
生体材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004141630A JP2004141630A JP2003184848A JP2003184848A JP2004141630A JP 2004141630 A JP2004141630 A JP 2004141630A JP 2003184848 A JP2003184848 A JP 2003184848A JP 2003184848 A JP2003184848 A JP 2003184848A JP 2004141630 A JP2004141630 A JP 2004141630A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- apatite
- film
- biomaterial
- forming ability
- coating liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L27/00—Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
- A61L27/28—Materials for coating prostheses
- A61L27/34—Macromolecular materials
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L27/00—Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
- A61L27/50—Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Dermatology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
- Transplantation (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Prostheses (AREA)
- Dental Prosthetics (AREA)
Abstract
【課題】表面にアパタイトが良好に生成し、優れた生体親和性を発揮する生体材料およびこの生体材料を構成するアパタイト形成能を有する膜ならびにこのアパタイト形成能を有する膜を得るためのコーティング液を得ることにあり、このアパタイト形成能を有する膜を簡便な操作で、かつ高価な設備を用いなくても形成できるようにする
【解決手段】金属、セラミックなどからなる基材1上に、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むコーティング液を塗布、加熱してアパタイト形成能を有する膜2を設けて生体材料とする。また、アパタイト形成能を有する膜2が形成された生体材料を疑似体液に浸漬して、この膜2上にアパタイト層を形成しておいてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】金属、セラミックなどからなる基材1上に、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むコーティング液を塗布、加熱してアパタイト形成能を有する膜2を設けて生体材料とする。また、アパタイト形成能を有する膜2が形成された生体材料を疑似体液に浸漬して、この膜2上にアパタイト層を形成しておいてもよい。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工骨、人工歯根、人工関節などに用いられる生体材料、この生体材料の表面を被覆するアパタイト形成能を有する膜およびこの膜を形成することのできるコーティング液に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工骨、人工歯根、人工関節などの表面は、生体内で使用されることから、異物として拒絶されない生体親和性が要求される。
アパタイト、例えばハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]は、その結晶構造が骨や歯をなす生体組織の結晶構造と非常に似ており、生体内で生体組織と一体化する生体親和性を有することが認められている。
【0003】
この特性を生かし、ハイドロキシアパタイトは、従来より、人工骨、人工歯根、人工関節などの生体材料の基材として使用されるステンレス鋼、チタン合金などの金属やジルコニアなどのセラミックの表面を被覆し、生体親和性を付与する表面層として利用されている。
【0004】
このハイドロキシアパタイトからなる表面層の基材への形成法としては、多くの方法が提案されている。
第1の方法として、特開昭62−34559号公報には、ハイドロキシアパタイトを直接基材にプラズマ溶射して基材上にコーティングする方法が開示されている。
【0005】
第2の方法として、特公平2−13580号公報には、生体用端子の製造において焼結法が開示されている。
また、第3の方法としてチタンからなる基材表面へカルシウムイオンを注入した後、擬似体液に浸漬させる方法が提案されている。さらに、第4の方法としてチタンからなる基材を高濃度のアルカリ水溶液で処理した後、さらに600℃で加熱処理し、その後、擬似体液に浸漬させる方法も提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−34559号公報
【特許文献2】
特公平2−13580号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1のプラズマ溶射法では、高温で熱処理する際に、原料のハイドロキシアパタイトが一旦溶融することになり、異なる種類のハイドロキシアパタイトができ、生体との親和性の点で好ましくない。さらに、ハイドロキシアパタイト自体の緻密な膜生成が困難なこと、基材とハイドロキシアパタイトとの密着性が悪く歩留りが著しく低いこと、さらに高価な装置を必要とすることという問題があった。
【0008】
第2の焼結法では、高温で熱処理する際に原料のハイドロキシアパタイトが一旦溶融することになり、異なる種類のアパタイトができ、生体との親和性の点で好ましくない。また、第3の方法においては、カルシウムイオンをイオン注入するための高価な装置を必要とし、また、コーティングされた基材の表面が歪み、欠陥を生じるという問題があった。さらに、第4の方法では、高濃度のアリカリ水溶液処理と高温処理が必要であるため、手間がかかり、コスト高という問題があった。
【0009】
よって、本発明における課題は、上記従来の技術の欠点を克服しようとするものであり、表面にハイドロキシアパタイトなどのアパタイトが良好に生成し、優れた生体親和性を発揮する生体材料およびこの生体材料を構成するアパタイト形成能を有する膜ならびにこのアパタイト形成能を有する膜を得るためのコーティング液を得ることにあり、このアパタイト形成能を有する膜を簡便な操作で、かつ高価な設備を用いなくても形成できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、アパタイト形成能を有する膜を得ることのできるコーティング液であって、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むことを特徴とするコーティング液である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、カルシウム化合物がステアロイル乳酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載のコーティング液である。
請求項3にかかる発明は、さらに酸化チタン微粒子を含むことを特徴とする請求項1記載のコーティング液である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、さらに薬剤を含むことを特徴とする請求項1記載のコーティング液である。
請求項5にかかる発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を塗布して得られ、アパタイト形成能を有することを特徴とする膜である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、基材と、この基材上に設けられたアパタイト形成能を有する膜とを有する生体材料であって、この膜が請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を基材に塗布して得られたものであることを特徴とする生体材料である。
【0014】
請求項7にかかる発明は、基材と、この基材上に設けられたアパタイト形成能を有する膜と、この膜上に形成されたアパタイト層とを有する生体材料であって、この膜が請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を基材に塗布して得られたものであり、パタイト層がこの膜を疑似体液に接触させて形成されたものであることを特徴とする生体材料である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明のコーティング液について説明する。
本発明のコーティング液は、これを塗布して得られた膜がアパタイト形成能を有するものとなるコーティング液であって、ポリシラザンとカルシウム化合物を必須成分として含む溶液または分散液である。
【0016】
ここで使用されるポリシラザンとしては、鎖状ポリシラザン、環状ポリシラザン等が挙げられる。鎖状ポリシラザンとしては、ペルヒドロポリシラザン、ポリメチルヒドロシラザン、ポリN―メチルシラザン、ポリN―(トリエチルシリル)アリルシラザン、ポリN―(ジメチルアミノ)シクロヘキシルシラザン、フェニルポリシラザン等が挙げられる。いずれも使用することができ、また、これらに限定されるものではない。また、更に使用するポリシラザンは1種又は2種以上の混合物であっても良い。このポリシラザンの具体的なものとしては、「東燃ポリシラザン」(商品名、東燃株式会社製)などを使用することができる。
【0017】
このポリシラザンは、溶液として使用され、その溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類等があげられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン等が挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0018】
ハロゲン化炭化水素としては、ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等が挙げられ、より具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン等が挙げられる。エーテル類としては、ハロゲン化エーテル、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等が挙げられ、より、具体的には、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。また、これらに限定されるもではない。これらの溶媒は、1種又は2種以上の混合物でも良い。
そして、ポリシラザンの溶液中での濃度は、0.05〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲とされる。
【0019】
また、コーティング液の他の必須成分としてのカルシウム化合物としては、有機及び無機のカルシウム化合物等が挙げられる。有機カルシウム化合物としては、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸カルシウム、ジエチルカルシウム、シュウ酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。また、無機カルシウム化合物としては、リン酸三カルシウム、アパタイト、炭酸カルシウム等が挙げられる。好ましくは、ステアロイル乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイトであり、特に好ましくはポリシラザンの溶媒に溶解し、かつ食品添加物として認定されているステアロイル乳酸カルシウムである。
【0020】
また、カルシウム化合物は種々の溶媒に溶解して溶液として使用されるか、または、溶解しない懸濁状の分散液で使用される。溶媒に溶解しないカルシウム化合物では、分散状態を安定化するため、粒子径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の微細な粒子として用いることが好ましい。
このカルシウム化合物の配合量は、特に制限はないが、好ましくはポリシラザン100重量部に対して、0.1〜90重量部、特に好ましくは1〜50重量部とされる。
【0021】
さらに、このコーティング液には、ポリシラザンとカルシウム化合物以外に他の添加剤を添加することができる。
他の添加剤としては、各種フィラーを使用することができる。各種フィラーとしては、アルミナ、シリカ、チタンまたはその合金、酸化チタン等のチタン化合物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ガラス若しくはセラミック、タルク、マイカ、カオリン、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素樹脂パウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエステルパウダー、シリコン樹脂パウダー、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス等を適宜選択することができる。これらのフィラーのなかでも、粒子径5〜500nmの酸化チタン微粒子が好ましく、この酸化チタン微粒子を用いることで、アパタイト形成能が向上する。
【0022】
また、これ以外の添加剤として、骨形成タンパク質などの骨誘発剤、メルファランなどの抗ガン剤、サイトカインなどの薬剤を添加することもでき、得られる生体材料に高い骨形成機能や抗ガン性などの生理活性を付与することができる。
【0023】
本発明のコーティング液は、上記ポリシラザンの有機溶媒溶液に、上記カルシウム化合物を添加してこれを溶解した溶液、もしくはカルシウム化合物を分散した分散液として用いられる他、カルシウム化合物を溶解または分散した溶液または分散液をポリシラザン溶液に混合して用いることができる。また、フィラーなどの添加剤は、ポリシラザン溶液に添加するか、カルシウム化合物の溶液または分散液に添加するか、もしくはポリシラザン溶液とカルシウム化合物の溶液または分散液の混合液に添加してもよい。
【0024】
次に、本発明のパタイト形成能を有する膜について説明する。
この膜は、上述のコーティング液を塗布し、乾燥または焼成もしくは紫外線照射して固化して得られた膜である。コーティング液が塗布される被塗布物としては、後述する生体材料をなす基材以外に、ガラス板、金属板、プラスチックシート、セラミック板なども用いられる。これら生体材料をなす基材以外の被塗布物を使用する場合には、被塗布物上で成膜された膜を剥離して、これをそのまま種々の機能膜として使用できるほか、これを生体材料をなす基材やこれ以外の各種素材に貼付して使用することができる。
【0025】
コーティング液を塗布する方法としては、スピンコート法、流し塗り法、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。塗布した後の乾燥温度としては、溶媒が蒸発して乾燥すればよく、使用される溶媒、被塗布物及び塗布目的に合わせ適宜選択することができる。塗布した後は乾燥するだけでもよいが、乾燥なしであるいは乾燥後に加熱したり、紫外線を照射してもよい。
【0026】
加熱条件としては、使用される溶媒、被塗布物及び塗布目的に合わせ、適宜選択することができるが、室温〜900℃の温度で、0.1〜6時間加熱することが好ましく、90〜600℃の温度で、0.5〜4時間加熱することがより好ましい。
このようにして得られた膜の厚さは、0.01〜20μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲とされるが、この範囲に限定されるものではない。
【0027】
この膜にあっては、コーティング液の塗布後の乾燥または加熱時に、ポリシラザンが大気中の水分、酸素と反応して、≡SiOH基と−SiO2−基を有するシリカに変化し、このシリカ分子中にカルシウムイオンが取り込まれた状態のものとなる。そして、シリカ中の≡SiOH基とカルシウムイオンがハイドロキシアパタイトなどのアパタイトの成長開始点(成長核)として機能し、高いアパタイト形成能を有する膜となる。また、酸化チタン微粒子などのフィラーも膜中に微分散し、これもアパタイトの成長開始点となる。
【0028】
次に、本発明の生体材料について説明する。
本発明の生体材料の第1の例は、図1(a)に示すように、基材1上にアパタイト形成能を有する膜2が形成されたものである。
上記基材1としては、ステンレス鋼、チタン合金、コバルト・クロム・モリブテン合金などの金属及びその合金、ジルコニア、アルミナなどのセラミック、超高分子量ポリエチレンなどのプラスチック等が挙げられる。特に限定されるものではないが、生体親和性が要求される分野に使用されるものが好適に選択され、特に、人工骨、人工歯根、骨欠損充填材、人工関節、血液濾過材及びカテーテル等に使用される金属及び合金、セラミック、プラスチックが好適に選択される。
【0029】
また、基材1の形状としては、板状、球状、円柱状、円筒状、繊維状、多孔質状等が挙げられる。血液濾過材には繊維状、多孔質状等の形状が、カテーテルには円筒状が挙げられる。さらに、人工骨、人工歯根、骨欠損、人工関節等にはそれらに適した形状をとり得ることができる。なお、この形状としては、上記アパタイト形成能を有する膜が形成された基材の使用用途、目的に合せて適宜種々の形状をとることができることはもちろんである。
【0030】
また、この基材1上の膜2としては、上述のコーティング液を基材1上に塗布して得られたアパタイト形成能を有するものである。コーティング液の塗布方法、固化方法および膜2の厚さなどは、先のアパタイト形成能を有する膜において説明した通りである。
【0031】
また、この第1の例の変形例として、基材1と、アパタイト形成能を有する膜2との間に、両者の接合力を高めるための中間層を設けてもよい。この中間層としては、基材1上に上述のコーティング液と同じ種類や異なる種類のポリシラザン溶液を塗布し、加熱した厚さ0.01〜2μm程度の膜が用いられる。中間層は、用途に応じて単層でも複数層でもよい。
【0032】
この第1の例の生体材料にあっては、その表面に高いアパタイト形成能を有する膜2が設けられているので、この生体材料を人工骨、人工歯根、人工関節等として生体内に補填(インプラント)した際に、生体内において、膜2が体液と接触して、膜2のアパタイト成長開始点からハイドロキシアパタイトなどのアパタイトが生成、生長し、膜2表面にアパタイト層が速やかに形成され、良好な生体親和性を示すものとなる。
【0033】
本発明の生体材料の第2の例は、図1(b)に示すように、基材1上にアパタイト形成能を有する膜2が設けられ、この膜2上にアパタイトからなる層3が形成されたものである。また、先の例のように、必要に応じて基材1と膜2との間に中間層が設けられていてもよい。
基材1およびアパタイト形成能を有する膜2は、先の第1の例で説明したものと同様であり、その説明を省略する。
【0034】
上記アパタイト形成能を有する膜2上のアパタイトからなる層3の形成は、まず第1の例に示した形態の生体材料を作製し、このものを疑似体液中に浸漬するなどの方法で疑似体液に接触させることで行われる。疑似体液としては、人体の体液に含まれる無機イオンを含み、その無機イオン濃度が体液のそれとほぼ等しいものが用いられ、具体的には後述する実施例で使用された無機イオン組成の疑似体液などが使用される。
【0035】
疑似体液との接触条件は、温度35〜38℃、時間1時間〜30日の範囲とされ、膜2の表面全面をほぼ完全にアパタイトで覆い尽くす程度まで、疑似体液と接触させることが好ましい。膜2上に形成されるアパタイトからなる層3は、肉眼で確認できる程度に形成されていればよい。
【0036】
この第2の例の生体材料にあっては、既にその表面にアパタイトからなる層3が形成されているので、この生体材料を生体内に補填(インプラント)した場合に、即座に良好な生体親和性が発現され、速やかに生体組織と一体化するものとなる。
【0037】
(実施例)
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
基材となるステンレス金属板(SUS304、20×20×0.1mm)の上に、5%ペルヒドロポリシラザン溶液を、流し塗り法にて塗布し、30分間乾燥後、300℃で1時間加熱して中間層を形成した。
一方、5%ペルヒドロポリシラザン溶液2ccに、ステアロイル乳酸カルシウム0.03gを溶解させたキシレン溶液を加えて混合し、コーティング液を調製した。
【0039】
ついで、このコーティング液を、上記中間層を形成した基材上に2層目として、流し塗り法で塗布し、室温30℃で30分間乾燥したのち、300℃で1時間加熱し、室温にて自然冷却し、アパタイト形成能を有する膜を形成して生体材料となる試験片を得た。
この試験片を下記組成の擬似体液50ml中に浸漬し、36.5℃に保った恒温槽中で10日間静置し、試験片表面の膜上にアパタイト層の形成を試みた。
【0040】
浸漬後の試験片を擬似体液から取り出し、蒸留水で洗浄後、室温で乾燥させた。上記流し塗り法は、溶液全てが基材に塗布されるものではなく、適量が基材表面に塗布される方法である。
【0041】
実施例2
実施例1において、ステアロイル乳酸カルシウムを溶解する代わりに、リン酸三カルシウムを混合、分散した以外は、実施例1と同様に操作した。
【0042】
実施例3
実施例1において、ステアロイル乳酸カルシウムを溶解する代わりに、ハイドロキシアパタイト粉末を混合、分散した以外は、実施例1と同様に操作した。
【0043】
比較例1〜3
実施例1〜3でのカルシウム化合物を添加しない以外は、実施例1〜3と同様に操作した。
【0044】
<擬似体液の調整>
人体の体液にほぼ等しい無機イオン濃度(Na+:142.0mM、K+:5.0mM、Mg2+:1.5mM、Ca2+:2.5mM、Cl−:147.8mM、HCO3 −:4.2mM、HPO4 2−:1.0mM、SO4 2−:0.5mM)を有する擬似体液を次のように調整した。
所定濃度になるように、NaCl、NaHCO3、KCl、K2HPO4・3H2O、MgCl2・6H2O、CaCl2、Na2SO4の試薬を36.5℃に保たれた超純水に所定の順序で溶解させた。最終的にトリスヒドロキシメチルアミノメタン((CH2OH)3CNH2)及び1M−HClを用いて、pH7.40になるようにpHメーターを用いて調整した。
【0045】
<目視による試験片表面評価>
試験片の擬似体液浸漬後のアパタイト析出状態レベルを目視により観察、評価した。
○:全面に析出
△:部分的に析出
×:析出なし
それぞれの結果を以下の表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むコーティング液を塗布して得られた膜を備えた試験片では、この膜の表面にアパタイトが良好に析出しており、この膜が高いアパタイト形成能を有するものであることが確認された。
【0048】
本発明のアパタイト形成能を有する膜は、医療用材料、歯科用材料、化粧品材料、食品添加物材料、酵素・蛋白・DNA等の固定化材料、ガス吸着材料、バイオリアクター材料等の各種材料や燃料電池の電解膜、隔膜、防汚剤、コンタクトレンズの表面材、ピアス、イヤリングなどの人体に接する装飾品の表面膜等に使用され得るものである。また、このアパタイト形成能を有する膜が表面に形成された材料は、医療用材料、歯科用材料、化粧品材料、食品添加物材料、酵素・蛋白・DNA・バイオチップ等の固定化材料、ガス吸着材料、バイオリアクター材料等に使用できるものである。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表面にアパタイトが良好に生成し、優れた生体親和性を発揮する生体材料およびこの生体材料を構成するアパタイト形成能を有する膜ならびにこのアパタイト形成能を有する膜を得るためのコーティング液を得ることができる。また、このアパタイト形成能を有する膜を簡便な操作で、かつ高価な設備を用いなくても形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生体材料の第1及び第2の例を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・基材、2・・・アパタイト形成能を有する膜、3・・・アパタイト層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工骨、人工歯根、人工関節などに用いられる生体材料、この生体材料の表面を被覆するアパタイト形成能を有する膜およびこの膜を形成することのできるコーティング液に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工骨、人工歯根、人工関節などの表面は、生体内で使用されることから、異物として拒絶されない生体親和性が要求される。
アパタイト、例えばハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]は、その結晶構造が骨や歯をなす生体組織の結晶構造と非常に似ており、生体内で生体組織と一体化する生体親和性を有することが認められている。
【0003】
この特性を生かし、ハイドロキシアパタイトは、従来より、人工骨、人工歯根、人工関節などの生体材料の基材として使用されるステンレス鋼、チタン合金などの金属やジルコニアなどのセラミックの表面を被覆し、生体親和性を付与する表面層として利用されている。
【0004】
このハイドロキシアパタイトからなる表面層の基材への形成法としては、多くの方法が提案されている。
第1の方法として、特開昭62−34559号公報には、ハイドロキシアパタイトを直接基材にプラズマ溶射して基材上にコーティングする方法が開示されている。
【0005】
第2の方法として、特公平2−13580号公報には、生体用端子の製造において焼結法が開示されている。
また、第3の方法としてチタンからなる基材表面へカルシウムイオンを注入した後、擬似体液に浸漬させる方法が提案されている。さらに、第4の方法としてチタンからなる基材を高濃度のアルカリ水溶液で処理した後、さらに600℃で加熱処理し、その後、擬似体液に浸漬させる方法も提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−34559号公報
【特許文献2】
特公平2−13580号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1のプラズマ溶射法では、高温で熱処理する際に、原料のハイドロキシアパタイトが一旦溶融することになり、異なる種類のハイドロキシアパタイトができ、生体との親和性の点で好ましくない。さらに、ハイドロキシアパタイト自体の緻密な膜生成が困難なこと、基材とハイドロキシアパタイトとの密着性が悪く歩留りが著しく低いこと、さらに高価な装置を必要とすることという問題があった。
【0008】
第2の焼結法では、高温で熱処理する際に原料のハイドロキシアパタイトが一旦溶融することになり、異なる種類のアパタイトができ、生体との親和性の点で好ましくない。また、第3の方法においては、カルシウムイオンをイオン注入するための高価な装置を必要とし、また、コーティングされた基材の表面が歪み、欠陥を生じるという問題があった。さらに、第4の方法では、高濃度のアリカリ水溶液処理と高温処理が必要であるため、手間がかかり、コスト高という問題があった。
【0009】
よって、本発明における課題は、上記従来の技術の欠点を克服しようとするものであり、表面にハイドロキシアパタイトなどのアパタイトが良好に生成し、優れた生体親和性を発揮する生体材料およびこの生体材料を構成するアパタイト形成能を有する膜ならびにこのアパタイト形成能を有する膜を得るためのコーティング液を得ることにあり、このアパタイト形成能を有する膜を簡便な操作で、かつ高価な設備を用いなくても形成できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、アパタイト形成能を有する膜を得ることのできるコーティング液であって、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むことを特徴とするコーティング液である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、カルシウム化合物がステアロイル乳酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載のコーティング液である。
請求項3にかかる発明は、さらに酸化チタン微粒子を含むことを特徴とする請求項1記載のコーティング液である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、さらに薬剤を含むことを特徴とする請求項1記載のコーティング液である。
請求項5にかかる発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を塗布して得られ、アパタイト形成能を有することを特徴とする膜である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、基材と、この基材上に設けられたアパタイト形成能を有する膜とを有する生体材料であって、この膜が請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を基材に塗布して得られたものであることを特徴とする生体材料である。
【0014】
請求項7にかかる発明は、基材と、この基材上に設けられたアパタイト形成能を有する膜と、この膜上に形成されたアパタイト層とを有する生体材料であって、この膜が請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を基材に塗布して得られたものであり、パタイト層がこの膜を疑似体液に接触させて形成されたものであることを特徴とする生体材料である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明のコーティング液について説明する。
本発明のコーティング液は、これを塗布して得られた膜がアパタイト形成能を有するものとなるコーティング液であって、ポリシラザンとカルシウム化合物を必須成分として含む溶液または分散液である。
【0016】
ここで使用されるポリシラザンとしては、鎖状ポリシラザン、環状ポリシラザン等が挙げられる。鎖状ポリシラザンとしては、ペルヒドロポリシラザン、ポリメチルヒドロシラザン、ポリN―メチルシラザン、ポリN―(トリエチルシリル)アリルシラザン、ポリN―(ジメチルアミノ)シクロヘキシルシラザン、フェニルポリシラザン等が挙げられる。いずれも使用することができ、また、これらに限定されるものではない。また、更に使用するポリシラザンは1種又は2種以上の混合物であっても良い。このポリシラザンの具体的なものとしては、「東燃ポリシラザン」(商品名、東燃株式会社製)などを使用することができる。
【0017】
このポリシラザンは、溶液として使用され、その溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類等があげられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン等が挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0018】
ハロゲン化炭化水素としては、ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等が挙げられ、より具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン等が挙げられる。エーテル類としては、ハロゲン化エーテル、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等が挙げられ、より、具体的には、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。また、これらに限定されるもではない。これらの溶媒は、1種又は2種以上の混合物でも良い。
そして、ポリシラザンの溶液中での濃度は、0.05〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲とされる。
【0019】
また、コーティング液の他の必須成分としてのカルシウム化合物としては、有機及び無機のカルシウム化合物等が挙げられる。有機カルシウム化合物としては、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸カルシウム、ジエチルカルシウム、シュウ酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。また、無機カルシウム化合物としては、リン酸三カルシウム、アパタイト、炭酸カルシウム等が挙げられる。好ましくは、ステアロイル乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイトであり、特に好ましくはポリシラザンの溶媒に溶解し、かつ食品添加物として認定されているステアロイル乳酸カルシウムである。
【0020】
また、カルシウム化合物は種々の溶媒に溶解して溶液として使用されるか、または、溶解しない懸濁状の分散液で使用される。溶媒に溶解しないカルシウム化合物では、分散状態を安定化するため、粒子径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の微細な粒子として用いることが好ましい。
このカルシウム化合物の配合量は、特に制限はないが、好ましくはポリシラザン100重量部に対して、0.1〜90重量部、特に好ましくは1〜50重量部とされる。
【0021】
さらに、このコーティング液には、ポリシラザンとカルシウム化合物以外に他の添加剤を添加することができる。
他の添加剤としては、各種フィラーを使用することができる。各種フィラーとしては、アルミナ、シリカ、チタンまたはその合金、酸化チタン等のチタン化合物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ガラス若しくはセラミック、タルク、マイカ、カオリン、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素樹脂パウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエステルパウダー、シリコン樹脂パウダー、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス等を適宜選択することができる。これらのフィラーのなかでも、粒子径5〜500nmの酸化チタン微粒子が好ましく、この酸化チタン微粒子を用いることで、アパタイト形成能が向上する。
【0022】
また、これ以外の添加剤として、骨形成タンパク質などの骨誘発剤、メルファランなどの抗ガン剤、サイトカインなどの薬剤を添加することもでき、得られる生体材料に高い骨形成機能や抗ガン性などの生理活性を付与することができる。
【0023】
本発明のコーティング液は、上記ポリシラザンの有機溶媒溶液に、上記カルシウム化合物を添加してこれを溶解した溶液、もしくはカルシウム化合物を分散した分散液として用いられる他、カルシウム化合物を溶解または分散した溶液または分散液をポリシラザン溶液に混合して用いることができる。また、フィラーなどの添加剤は、ポリシラザン溶液に添加するか、カルシウム化合物の溶液または分散液に添加するか、もしくはポリシラザン溶液とカルシウム化合物の溶液または分散液の混合液に添加してもよい。
【0024】
次に、本発明のパタイト形成能を有する膜について説明する。
この膜は、上述のコーティング液を塗布し、乾燥または焼成もしくは紫外線照射して固化して得られた膜である。コーティング液が塗布される被塗布物としては、後述する生体材料をなす基材以外に、ガラス板、金属板、プラスチックシート、セラミック板なども用いられる。これら生体材料をなす基材以外の被塗布物を使用する場合には、被塗布物上で成膜された膜を剥離して、これをそのまま種々の機能膜として使用できるほか、これを生体材料をなす基材やこれ以外の各種素材に貼付して使用することができる。
【0025】
コーティング液を塗布する方法としては、スピンコート法、流し塗り法、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。塗布した後の乾燥温度としては、溶媒が蒸発して乾燥すればよく、使用される溶媒、被塗布物及び塗布目的に合わせ適宜選択することができる。塗布した後は乾燥するだけでもよいが、乾燥なしであるいは乾燥後に加熱したり、紫外線を照射してもよい。
【0026】
加熱条件としては、使用される溶媒、被塗布物及び塗布目的に合わせ、適宜選択することができるが、室温〜900℃の温度で、0.1〜6時間加熱することが好ましく、90〜600℃の温度で、0.5〜4時間加熱することがより好ましい。
このようにして得られた膜の厚さは、0.01〜20μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲とされるが、この範囲に限定されるものではない。
【0027】
この膜にあっては、コーティング液の塗布後の乾燥または加熱時に、ポリシラザンが大気中の水分、酸素と反応して、≡SiOH基と−SiO2−基を有するシリカに変化し、このシリカ分子中にカルシウムイオンが取り込まれた状態のものとなる。そして、シリカ中の≡SiOH基とカルシウムイオンがハイドロキシアパタイトなどのアパタイトの成長開始点(成長核)として機能し、高いアパタイト形成能を有する膜となる。また、酸化チタン微粒子などのフィラーも膜中に微分散し、これもアパタイトの成長開始点となる。
【0028】
次に、本発明の生体材料について説明する。
本発明の生体材料の第1の例は、図1(a)に示すように、基材1上にアパタイト形成能を有する膜2が形成されたものである。
上記基材1としては、ステンレス鋼、チタン合金、コバルト・クロム・モリブテン合金などの金属及びその合金、ジルコニア、アルミナなどのセラミック、超高分子量ポリエチレンなどのプラスチック等が挙げられる。特に限定されるものではないが、生体親和性が要求される分野に使用されるものが好適に選択され、特に、人工骨、人工歯根、骨欠損充填材、人工関節、血液濾過材及びカテーテル等に使用される金属及び合金、セラミック、プラスチックが好適に選択される。
【0029】
また、基材1の形状としては、板状、球状、円柱状、円筒状、繊維状、多孔質状等が挙げられる。血液濾過材には繊維状、多孔質状等の形状が、カテーテルには円筒状が挙げられる。さらに、人工骨、人工歯根、骨欠損、人工関節等にはそれらに適した形状をとり得ることができる。なお、この形状としては、上記アパタイト形成能を有する膜が形成された基材の使用用途、目的に合せて適宜種々の形状をとることができることはもちろんである。
【0030】
また、この基材1上の膜2としては、上述のコーティング液を基材1上に塗布して得られたアパタイト形成能を有するものである。コーティング液の塗布方法、固化方法および膜2の厚さなどは、先のアパタイト形成能を有する膜において説明した通りである。
【0031】
また、この第1の例の変形例として、基材1と、アパタイト形成能を有する膜2との間に、両者の接合力を高めるための中間層を設けてもよい。この中間層としては、基材1上に上述のコーティング液と同じ種類や異なる種類のポリシラザン溶液を塗布し、加熱した厚さ0.01〜2μm程度の膜が用いられる。中間層は、用途に応じて単層でも複数層でもよい。
【0032】
この第1の例の生体材料にあっては、その表面に高いアパタイト形成能を有する膜2が設けられているので、この生体材料を人工骨、人工歯根、人工関節等として生体内に補填(インプラント)した際に、生体内において、膜2が体液と接触して、膜2のアパタイト成長開始点からハイドロキシアパタイトなどのアパタイトが生成、生長し、膜2表面にアパタイト層が速やかに形成され、良好な生体親和性を示すものとなる。
【0033】
本発明の生体材料の第2の例は、図1(b)に示すように、基材1上にアパタイト形成能を有する膜2が設けられ、この膜2上にアパタイトからなる層3が形成されたものである。また、先の例のように、必要に応じて基材1と膜2との間に中間層が設けられていてもよい。
基材1およびアパタイト形成能を有する膜2は、先の第1の例で説明したものと同様であり、その説明を省略する。
【0034】
上記アパタイト形成能を有する膜2上のアパタイトからなる層3の形成は、まず第1の例に示した形態の生体材料を作製し、このものを疑似体液中に浸漬するなどの方法で疑似体液に接触させることで行われる。疑似体液としては、人体の体液に含まれる無機イオンを含み、その無機イオン濃度が体液のそれとほぼ等しいものが用いられ、具体的には後述する実施例で使用された無機イオン組成の疑似体液などが使用される。
【0035】
疑似体液との接触条件は、温度35〜38℃、時間1時間〜30日の範囲とされ、膜2の表面全面をほぼ完全にアパタイトで覆い尽くす程度まで、疑似体液と接触させることが好ましい。膜2上に形成されるアパタイトからなる層3は、肉眼で確認できる程度に形成されていればよい。
【0036】
この第2の例の生体材料にあっては、既にその表面にアパタイトからなる層3が形成されているので、この生体材料を生体内に補填(インプラント)した場合に、即座に良好な生体親和性が発現され、速やかに生体組織と一体化するものとなる。
【0037】
(実施例)
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
基材となるステンレス金属板(SUS304、20×20×0.1mm)の上に、5%ペルヒドロポリシラザン溶液を、流し塗り法にて塗布し、30分間乾燥後、300℃で1時間加熱して中間層を形成した。
一方、5%ペルヒドロポリシラザン溶液2ccに、ステアロイル乳酸カルシウム0.03gを溶解させたキシレン溶液を加えて混合し、コーティング液を調製した。
【0039】
ついで、このコーティング液を、上記中間層を形成した基材上に2層目として、流し塗り法で塗布し、室温30℃で30分間乾燥したのち、300℃で1時間加熱し、室温にて自然冷却し、アパタイト形成能を有する膜を形成して生体材料となる試験片を得た。
この試験片を下記組成の擬似体液50ml中に浸漬し、36.5℃に保った恒温槽中で10日間静置し、試験片表面の膜上にアパタイト層の形成を試みた。
【0040】
浸漬後の試験片を擬似体液から取り出し、蒸留水で洗浄後、室温で乾燥させた。上記流し塗り法は、溶液全てが基材に塗布されるものではなく、適量が基材表面に塗布される方法である。
【0041】
実施例2
実施例1において、ステアロイル乳酸カルシウムを溶解する代わりに、リン酸三カルシウムを混合、分散した以外は、実施例1と同様に操作した。
【0042】
実施例3
実施例1において、ステアロイル乳酸カルシウムを溶解する代わりに、ハイドロキシアパタイト粉末を混合、分散した以外は、実施例1と同様に操作した。
【0043】
比較例1〜3
実施例1〜3でのカルシウム化合物を添加しない以外は、実施例1〜3と同様に操作した。
【0044】
<擬似体液の調整>
人体の体液にほぼ等しい無機イオン濃度(Na+:142.0mM、K+:5.0mM、Mg2+:1.5mM、Ca2+:2.5mM、Cl−:147.8mM、HCO3 −:4.2mM、HPO4 2−:1.0mM、SO4 2−:0.5mM)を有する擬似体液を次のように調整した。
所定濃度になるように、NaCl、NaHCO3、KCl、K2HPO4・3H2O、MgCl2・6H2O、CaCl2、Na2SO4の試薬を36.5℃に保たれた超純水に所定の順序で溶解させた。最終的にトリスヒドロキシメチルアミノメタン((CH2OH)3CNH2)及び1M−HClを用いて、pH7.40になるようにpHメーターを用いて調整した。
【0045】
<目視による試験片表面評価>
試験片の擬似体液浸漬後のアパタイト析出状態レベルを目視により観察、評価した。
○:全面に析出
△:部分的に析出
×:析出なし
それぞれの結果を以下の表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むコーティング液を塗布して得られた膜を備えた試験片では、この膜の表面にアパタイトが良好に析出しており、この膜が高いアパタイト形成能を有するものであることが確認された。
【0048】
本発明のアパタイト形成能を有する膜は、医療用材料、歯科用材料、化粧品材料、食品添加物材料、酵素・蛋白・DNA等の固定化材料、ガス吸着材料、バイオリアクター材料等の各種材料や燃料電池の電解膜、隔膜、防汚剤、コンタクトレンズの表面材、ピアス、イヤリングなどの人体に接する装飾品の表面膜等に使用され得るものである。また、このアパタイト形成能を有する膜が表面に形成された材料は、医療用材料、歯科用材料、化粧品材料、食品添加物材料、酵素・蛋白・DNA・バイオチップ等の固定化材料、ガス吸着材料、バイオリアクター材料等に使用できるものである。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表面にアパタイトが良好に生成し、優れた生体親和性を発揮する生体材料およびこの生体材料を構成するアパタイト形成能を有する膜ならびにこのアパタイト形成能を有する膜を得るためのコーティング液を得ることができる。また、このアパタイト形成能を有する膜を簡便な操作で、かつ高価な設備を用いなくても形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生体材料の第1及び第2の例を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・基材、2・・・アパタイト形成能を有する膜、3・・・アパタイト層。
Claims (7)
- アパタイト形成能を有する膜を得ることのできるコーティング液であって、ポリシラザンとカルシウム化合物を含むことを特徴とするコーティング液。
- カルシウム化合物がステアロイル乳酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載のコーティング液。
- さらに酸化チタン微粒子を含むことを特徴とする請求項1記載のコーティング液。
- さらに薬剤を含むことを特徴とする請求項1記載のコーティング液。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を塗布して得られ、アパタイト形成能を有することを特徴とする膜。
- 基材と、この基材上に設けられたアパタイト形成能を有する膜とを有する生体材料であって、この膜が請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を基材に塗布して得られたものであることを特徴とする生体材料。
- 基材と、この基材上に設けられたアパタイト形成能を有する膜と、この膜上に形成されたアパタイト層とを有する生体材料であって、この膜が請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング液を基材に塗布して得られたものであり、アパタイト層がこの膜を疑似体液に接触させて形成されたものであることを特徴とする生体材料。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003184848A JP2004141630A (ja) | 2002-08-27 | 2003-06-27 | 生体材料 |
| US10/645,073 US7780975B2 (en) | 2002-08-27 | 2003-08-21 | Biomaterial having apatite forming ability |
Applications Claiming Priority (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002246678 | 2002-08-27 | ||
| JP2003184848A JP2004141630A (ja) | 2002-08-27 | 2003-06-27 | 生体材料 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004141630A true JP2004141630A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32472690
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003184848A Pending JP2004141630A (ja) | 2002-08-27 | 2003-06-27 | 生体材料 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US7780975B2 (ja) |
| JP (1) | JP2004141630A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007312833A (ja) * | 2006-05-23 | 2007-12-06 | Contamination Control Service:Kk | シリカ膜、該シリカ膜を有する生体活性材料及びその形成方法 |
| WO2008041747A1 (fr) * | 2006-10-04 | 2008-04-10 | Contamination Control Services | Élément destiné à un usage dentaire et procédé de production de celui-ci |
| JP2018510743A (ja) * | 2015-03-03 | 2018-04-19 | ティッシュ リジェネレーション システムズ インコーポレイテッド | コーティングスキャフォールド |
| JP2020157062A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | 医療用長尺体 |
| WO2020196502A1 (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | カテーテル |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8309237B2 (en) * | 2007-08-28 | 2012-11-13 | Alcoa Inc. | Corrosion resistant aluminum alloy substrates and methods of producing the same |
| US7732068B2 (en) * | 2007-08-28 | 2010-06-08 | Alcoa Inc. | Corrosion resistant aluminum alloy substrates and methods of producing the same |
| US20090162544A1 (en) * | 2007-12-20 | 2009-06-25 | Garesche Carl E | Method of surface coating to enhance durability of aesthetics and substrate component fatigue |
Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0397466A (ja) * | 1989-09-08 | 1991-04-23 | Murata Mfg Co Ltd | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 |
| JPH0435668A (ja) * | 1990-06-01 | 1992-02-06 | Tonen Corp | 複合インプラント材及びその製造方法 |
| JPH09157528A (ja) * | 1995-12-11 | 1997-06-17 | Tonen Corp | ポリシラザン組成物、ポリシラザン溶液の調製方法、該組成物を用いたコーティング用組成物及び該コーティング用組成物を用いて得られるセラミックス被膜付プラスチック |
| JPH09157594A (ja) * | 1995-12-07 | 1997-06-17 | Tonen Corp | ポリシラザン塗布液 |
| JPH09183665A (ja) * | 1995-12-28 | 1997-07-15 | Tonen Corp | 光学装置用コーティング組成物 |
| JP2002114858A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-16 | Toyobo Co Ltd | リン酸カルシウム系化合物をコーティングした複合材料およびその製造法 |
| JP2002114859A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-16 | Toyobo Co Ltd | リン酸カルシウム系化合物をコーティングした複合材料およびその製造法 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6234559A (ja) | 1985-08-08 | 1987-02-14 | 住友化学工業株式会社 | 骨内インプラントの製造方法 |
| JP2633629B2 (ja) | 1988-06-30 | 1997-07-23 | 株式会社リコー | 原稿循環型複写装置 |
| JP5291275B2 (ja) | 2000-07-27 | 2013-09-18 | 有限会社コンタミネーション・コントロール・サービス | コーティング膜が施された部材及びコーティング膜の製造方法 |
| JP4017836B2 (ja) | 2001-05-02 | 2007-12-05 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 人工骨などに適した酸化チタン有機高分子複合体 |
| SI1570014T1 (sl) * | 2002-11-01 | 2013-06-28 | Az Electronic Materials Usa Corp., | Premazna raztopina, ki vsebuje polisilazan |
-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003184848A patent/JP2004141630A/ja active Pending
- 2003-08-21 US US10/645,073 patent/US7780975B2/en not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0397466A (ja) * | 1989-09-08 | 1991-04-23 | Murata Mfg Co Ltd | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 |
| JPH0435668A (ja) * | 1990-06-01 | 1992-02-06 | Tonen Corp | 複合インプラント材及びその製造方法 |
| JPH09157594A (ja) * | 1995-12-07 | 1997-06-17 | Tonen Corp | ポリシラザン塗布液 |
| JPH09157528A (ja) * | 1995-12-11 | 1997-06-17 | Tonen Corp | ポリシラザン組成物、ポリシラザン溶液の調製方法、該組成物を用いたコーティング用組成物及び該コーティング用組成物を用いて得られるセラミックス被膜付プラスチック |
| JPH09183665A (ja) * | 1995-12-28 | 1997-07-15 | Tonen Corp | 光学装置用コーティング組成物 |
| JP2002114858A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-16 | Toyobo Co Ltd | リン酸カルシウム系化合物をコーティングした複合材料およびその製造法 |
| JP2002114859A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-16 | Toyobo Co Ltd | リン酸カルシウム系化合物をコーティングした複合材料およびその製造法 |
Cited By (12)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007312833A (ja) * | 2006-05-23 | 2007-12-06 | Contamination Control Service:Kk | シリカ膜、該シリカ膜を有する生体活性材料及びその形成方法 |
| WO2008041747A1 (fr) * | 2006-10-04 | 2008-04-10 | Contamination Control Services | Élément destiné à un usage dentaire et procédé de production de celui-ci |
| JP5154428B2 (ja) * | 2006-10-04 | 2013-02-27 | 敏夫 寺中 | 歯科用部材およびその製造方法 |
| JP2018510743A (ja) * | 2015-03-03 | 2018-04-19 | ティッシュ リジェネレーション システムズ インコーポレイテッド | コーティングスキャフォールド |
| JP2021079116A (ja) * | 2015-03-03 | 2021-05-27 | ティーアールエス ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー | コーティングスキャフォールド |
| US11491261B2 (en) | 2015-03-03 | 2022-11-08 | Warsaw Orthopedic, Inc. | Coating scaffolds |
| JP2020157062A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | 医療用長尺体 |
| WO2020196503A1 (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | 医療用長尺体 |
| JP2020157061A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | カテーテル |
| WO2020196502A1 (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | カテーテル |
| JP7471119B2 (ja) | 2019-03-25 | 2024-04-19 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | 医療用長尺体 |
| JP2024107051A (ja) * | 2019-03-25 | 2024-08-08 | 株式会社ハイレックスコーポレーション | カテーテル |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| US20040131652A1 (en) | 2004-07-08 |
| US7780975B2 (en) | 2010-08-24 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CA2563299C (en) | Coated implants and methods of coating | |
| Paterlini et al. | The role played by modified bioinspired surfaces in interfacial properties of biomaterials | |
| Yun et al. | Biomimetic component coating on 3D scaffolds using high bioactivity of mesoporous bioactive ceramics | |
| CN101511399B (zh) | 生物植入物 | |
| JPH08299429A (ja) | チタン系インプラントの表面処理方法及び生体親和性チタン系インプラント | |
| EP1551470A2 (en) | Calcium phosphate coated implantable medical devices and processes for making same | |
| Shuai et al. | Processing and characterization of laser sintered hydroxyapatite scaffold for tissue engineering | |
| Pisarek et al. | Effect of two-step functionalization of Ti by chemical processes on protein adsorption | |
| US20220241055A1 (en) | Dental implant with antibacterial/ antimicrobial property having metal-organic framework (mof) structure and production method thereof | |
| Edgerton et al. | Biocompatibility: its future in prosthodontic research | |
| JP2004141630A (ja) | 生体材料 | |
| EP2214732B1 (en) | Multifunctional titanium surfaces for bone integration | |
| US20140342000A1 (en) | Porous scaffold with carbon-based nanoparticles | |
| Oyane | Development of apatite-based composites by a biomimetic process for biomedical applications | |
| JP5234743B2 (ja) | 生体分子を表面に固定したアパタイト被覆生体インプラント及び細胞培養担体 | |
| JPH10108905A (ja) | 医用インプラント材の表面処理方法及び生体親和性インプラント | |
| Liu et al. | In-vitro forming of calcium phosphate layer on sol–gel hydroxyapatite-coated metal substrates | |
| JPH06285151A (ja) | 非晶質リン酸カルシウムをコートした医療用具 | |
| Soe et al. | A material-based core–shell bioactive compound of mixed oxide phases with TiC on carbon black particles for bone augmentation in oral and maxillofacial surgery | |
| KR100675573B1 (ko) | 다공성 칼슘포스페이트 박막 형성을 통한 표면 개질방법 | |
| PEÑAFLOR | Study on Preparation of hydroxyapatite nanoparticle films and their cytocompatibility evaluation for biomedical applications | |
| SUZUKI et al. | Study of apatite deposition in a simulated body fluid immersion experiment | |
| JP2010202475A (ja) | 3次元の空隙形状を有する構造体上にリン酸カルシウム化合物を被覆する処理方法と該構造体の製造方法 | |
| Arora et al. | Sol-Gel-Based Bioceramics: From Materials to Medicine | |
| Tsuru et al. | Medical Applications of Hybrid Materials |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060508 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091124 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100106 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100202 |