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JP2003081117A - 自動車の電動パワーステアリング装置 - Google Patents

自動車の電動パワーステアリング装置

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Publication number
JP2003081117A
JP2003081117A JP2001279063A JP2001279063A JP2003081117A JP 2003081117 A JP2003081117 A JP 2003081117A JP 2001279063 A JP2001279063 A JP 2001279063A JP 2001279063 A JP2001279063 A JP 2001279063A JP 2003081117 A JP2003081117 A JP 2003081117A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
yaw rate
control amount
control
motor
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001279063A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Sakamoto
清 坂本
Shin Takehara
伸 竹原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2001279063A priority Critical patent/JP2003081117A/ja
Publication of JP2003081117A publication Critical patent/JP2003081117A/ja
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  • Power Steering Mechanism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動モータ22の制御によりハンドル操舵を
補助する自動車の電動パワーステアリング装置におい
て、 制御干渉を回避しつつ、運転者のハンドル操舵に
対する車両の挙動を常に所望の挙動にさせる。 【解決手段】 トルクセンサ41の検出値ξにゲインK
aを掛けて制御量とするアシスト制御部51と、ハンド
ル操舵トルクuから演算した目標ヨーレートと、実ヨー
レートψsとの偏差に基づいて制御量を決定するヨーレ
ートフィードバック制御部52と、各制御量を加算した
制御量で電動モータ22を制御するモータ制御部53と
を備える。モータ制御部53は、ハンドル11から車輪
32に伝達されるトルクが打ち消されるようにモータ制
御量の補正をする補正手段54を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータを備
え、該電動モータの制御によりハンドル操舵を補助する
自動車の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電動モータや油圧によってハ
ンドル操舵を補助するパワーステアリング装置が知られ
ており、このものでは、ハンドル操舵トルクやハンドル
操舵回転速度(ハンドル操舵角度の微分値)に応じて電
動モータの制御量又は油圧量の調整を行い、所定のアシ
スト特性を実現している。また、上記アシスト特性を、
例えば車速に応じて変更するものや、車速に加えて横加
速度及びヨーレートに応じて変更するもの(例えば、特
開平8−72734号公報参照)も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の電動
パワーステアリング装置、すなわち電動モータを用いた
パワーステアリング装置においては、通常、ハンドルと
車輪との間に設けられてハンドル操舵トルクを検出する
トルクセンサ(トーションバー)の検出値に、所定のゲ
イン(アシスト制御ゲイン)を掛けることによって電動
モータの制御量を決定している。そして、上記アシスト
制御ゲインの値は、所定の自動車でテストを行い所望の
アシスト特性となるように調整されている。
【0004】ところが、この電動パワーステアリング装
置においては、例えばイナーシャの大きさがばらついて
しまったり、電動モータ若しくはこの電動モータとステ
アリングシャフトとの間に設けられる減速ギヤ等におけ
るフリクションの大きさが部品毎にばらついてしまった
りすることによって、操舵力に対して発生する車両の挙
動(ヨーレート)がばらついてしまい、操舵力に対して
所望のヨーレートが車両に発生しない場合がある。この
ため、所望のヨーレートとなるように運転者が操舵力を
調整しなければならない場合があり、運転者の操舵フィ
ーリングの悪化や違和感を招き、ひいては運転者の疲労
を招いているという問題がある。
【0005】そこで、例えばトルクセンサの検出値に基
づいて第1制御量(アシスト制御量)を設定するのに加
え、トルクセンサの検出値に基づき目標ヨーレートを算
出すると共に、この目標ヨーレートと車両に実際に発生
しているヨーレートとの偏差に応じて上記電動モータの
第2制御量を設定し、この第1制御量と第2制御量とを
加算したモータ制御量でもって電動モータを制御するこ
とが考えられる。こうすることで、第1制御量だけの制
御では所望のヨーレートが発生しないときでも、目標ヨ
ーレートと実際のヨーレートとの偏差に基づく上記第2
制御量によって電動モータが制御されることで、所望の
ヨーレートが常に発生するようになると考えられる。
【0006】しかしながら、目標ヨーレートと実際のヨ
ーレートとの偏差に基づく第2制御量によって電動モー
タを制御すると、特に車両が外乱を受けたときに、運転
者によるハンドル操舵と第2制御量による制御とが干渉
してしまう虞がある。
【0007】すなわち、ハンドル操舵トルクから演算さ
れた目標ヨーレートと、実際のヨーレートとの偏差に基
づく第2制御量による制御によれば、運転者が加えたハ
ンドル操舵トルクを車輪側に伝達しなくても、そのハン
ドル操舵トルクに応じて電動モータが制御されるため、
車輪舵角が変更されて所望のヨーレートが車両に発生す
る。
【0008】ここで、例えば路面不正等によって車輪に
外乱が入力され、車両にヨーレートが発生したときを考
えると、上記車輪とハンドルとはトルクセンサ(トーシ
ョンバー)を介して互いに連結されているため、車輪に
入力された外乱はトルクセンサを介してハンドルまで伝
達される。
【0009】このとき、もし運転者がその外乱に対する
ハンドル操舵を行わなければ、ハンドル操舵トルクが発
生しないため目標ヨーレートは0(ゼロ)になり、これ
により、第2制御量によって、車両に発生したヨーレー
トを打ち消そうと車輪舵角が変更される。
【0010】しかしながら、車輪に入力された外乱が操
舵反力として運転者に伝わることで、通常、その運転者
は外乱に対するハンドル操舵を行うようになる。これに
よるハンドル操舵トルクはトルクセンサを介して車輪ま
で伝達されるため、車輪舵角を変更させる。こうして、
外乱に対して第2制御量による制御が行われるのと同時
に、運転者によるハンドル操舵が行われるようになるた
め、そのハンドル操舵と、第2制御量による制御とが干
渉してしまうことになる。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、電動モータの
制御によりハンドル操舵を補助する自動車の電動パワー
ステアリング装置において、制御干渉を回避しつつ、運
転者のハンドル操舵に対する車両の挙動を常に所望の挙
動にさせることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ハンドルと車輪との間でトルクセンサを
介して伝達されるトルクが打ち消されるように、電動モ
ータを制御するモータ制御量の補正を行うようにした。
【0013】具体的に、請求項1記載の発明は、電動モ
ータを有し、該電動モータの制御によりハンドル操舵を
補助する自動車の電動パワーステアリング装置を対象と
する。
【0014】そして、ハンドルと車輪との間に設けられ
てハンドル操舵トルクを検出するトルクセンサと、上記
トルクセンサの検出値が無くなるように上記電動モータ
の第1制御量を決定する第1の制御部と、上記トルクセ
ンサの検出値に基づいて目標ヨーレートを演算し、該目
標ヨーレートから実際に車両に発生しているヨーレート
を減算することによって上記電動モータの第2制御量を
決定する第2の制御部と、上記第1の制御部による第1
制御量と第2の制御部による第2制御量とを加算したモ
ータ制御量でもって上記電動モータを制御するモータ制
御部とを備えるようにし、上記モータ制御部を、上記ハ
ンドルと車輪との間で上記トルクセンサを介して伝達さ
れるトルクが打ち消されるように、上記モータ制御量の
補正をする補正手段を有することを特定事項とするもの
である。
【0015】請求項1記載の発明の場合、ハンドルを操
舵すると、ハンドルと車輪との間に設けられたトルクセ
ンサがハンドル操舵トルクを検出する。
【0016】第1の制御部は、上記トルクセンサの検出
値が無くなるように、すなわち、該トルクセンサの検出
値に所定のゲインを掛けて第1制御量を決定する。これ
は、従来のアシスト制御に対応する。
【0017】一方、第2の制御部は、上記トルクセンサ
の検出値から目標ヨーレートを演算し、該目標ヨーレー
トから実際に車両に発生しているヨーレートを減算する
ことによって第2制御量を決定する。ここで、目標ヨー
レートの演算は、例えばホイールベース等の車両諸元及
び車速等に基づいて予め設定した、ハンドル操舵トルク
に対するマップ(ゲイン)によって演算すればよい。
【0018】そして、モータ制御部は、上記第1制御量
と第2制御量とを加算した制御量でもって上記電動モー
タを制御する。
【0019】これにより、第1制御量でもって電動モー
タを制御しても所望の車両挙動(ヨーレート)とならな
いときには、トルクセンサの検出値に基づいて演算され
た目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差が生じて
いることになる。このため、この偏差によって決定され
た第2制御量でもって電動モータが制御されることによ
って、所望のヨーレートが車両に生じる。こうして、た
とえイナーシャの大きさや、電動パワーステアリング装
置を構成する部品のフリクションの大きさがばらついて
いても、運転者のハンドル操作(ハンドル操舵トルク)
に対して、常に所望のヨーレートが車両に生じるように
なる。
【0020】そして、上記モータ制御部は、ハンドルと
車輪との間で上記トルクセンサを介して伝達されるトル
クが打ち消されるように、モータ制御量を補正する補正
手段を有している。このモータ制御量の補正は、例えば
ハンドル操舵トルクに基づいて、ハンドルから車輪に伝
達されるトルク(推定トルク)を推定し、この推定トル
クを、上記モータ制御量から減ずる補正を行えばよい。
こうすることで、ハンドルから車輪に実際に伝達される
トルクと、上記モータ制御量から減じた推定トルクとが
相殺され、制御上は、ハンドルから車輪にトルクが伝達
されない、つまりトルクが打ち消されることになる。こ
れにより、運転者によるハンドル操舵と、第2の制御部
における制御とが干渉してしまうことを回避することが
でき、その結果、第2の制御部による制御の精度向上が
図られる。
【0021】この自動車の電動パワーステアリング装置
においては、操舵力特性及び車両安定性の観点から、第
1制御量の感度を、車速に応じて変更するように第1の
制御部を構成するのが好ましい。具体的には、低速走行
時(停車時を含む)には、第1制御量の感度を高めて電
動モータによる補助操舵力を大きくする一方、高速走行
時には、第1制御量の感度を低下させて電動モータによ
る補助操舵力を小さくするのが好ましい。
【0022】こうして、第1制御量の感度を、車速が高
い程下げる場合は、請求項2記載の如く、上記第1制御
量の感度が低いときにモータ制御量の補正を行うのが好
ましい。
【0023】すなわち、第1制御量の感度が低いとき
は、相対的に第2制御量の感度が高くなる。このため、
運転者によるハンドル操舵と、第2制御量による制御と
の干渉の問題が顕著になる。そこで、運転者によるハン
ドル操舵と、第2制御量による制御の干渉との干渉を回
避すべく、モータ制御量の補正を行うのが好ましい。
【0024】また、請求項3記載の如く、補正手段は、
車速が所定車速以下のときにはモータ制御量の補正を禁
止するように構成するのが好ましい。
【0025】車速が所定車速以下である、すなわち停車
時又は低速走行時には、車両にヨーレートが発生しな
い、又は発生し難い。このため、停車時又は低速走行時
には、目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差に基
づく第2制御量による制御は行わず、第1制御量による
制御を行うのが好ましい。
【0026】このように第2制御量による制御を行わな
いときは、この第2制御量による制御に対する干渉の問
題が生じないと共に、停車時又は低速走行時には、こう
した干渉の問題が生じる外乱の影響がない。また逆に、
第2制御量による制御を行わないときに補正手段による
モータ制御量の補正を行うと、ハンドルと車輪との間で
トルクセンサを介して伝達されるトルクを打ち消す制御
が行われることになるため、運転者によるハンドル操舵
トルクが車輪にまで伝わらず舵が切れなくなることにも
なる。
【0027】そこで、車速が所定車速以下であるときに
は、補正手段によるモータ制御量の補正を禁止するのが
好ましい。
【0028】また、第2制御量の感度を、所定の条件に
応じて、例えば車速等に応じて変更するように、第2の
制御部を構成することが好ましいが、こうしたときに
は、請求項4記載の如く、補正手段を、第2制御量が0
のときには、モータ制御量の補正を禁止するように構成
するのが好ましい。
【0029】上述したように、第2制御量が0のときに
は、この第2制御量による制御に対する干渉の問題が生
じないためである。
【0030】加えて、請求項5記載の如く、補正手段
を、ハンドル舵角が所定舵角以下のときにモータ制御量
の補正を行うように構成するのが好ましい。
【0031】すなわち、目標ヨーレートと実際のヨーレ
ートとの偏差に基づく第2制御量により電動モータの制
御を行うのは、フリクションの大きさが部品毎にばらつ
くことによって車両の挙動がばらつくことを防止するた
めである。こうした、フリクションによる車両の挙動の
ばらつきの問題は、ハンドル操舵に対する車両応答(ヨ
ーレート)が線形であるときに顕著であり、ハンドル舵
角が所定舵角よりも大きいような車両応答が非線形の領
域では、余り問題にならない。そこで、上述したよう
に、第2制御量に係る目標ヨーレートを予め設定したハ
ンドル操舵トルクに対するマップ(ゲイン)によって演
算すれば、制御が簡易になると共に、車両応答の線形領
域では第2制御量による制御が有効に働き、フリクショ
ンの大きさがばらついていても、常に所望のヨーレート
を発生させることができる。
【0032】そして、ハンドル舵角が所定舵角以下のと
きの、車両応答の線形領域では、モータ制御量の補正を
行うことで、運転者によるハンドル操舵と、第2の制御
部における制御とが干渉してしまうことを回避すること
ができ、その結果、第2の制御部による制御の精度向上
が図られる。
【0033】また、モータ制御量の補正を行うと、ハン
ドルから車輪に伝達するトルクが打ち消されるだけでな
く、車輪からハンドルに伝達するトルクも打ち消され
る。このため、第2制御量による制御が有効でない車両
応答の非線形領域では、モータ制御量の補正を禁止して
車輪からハンドルにトルクを伝達させることで、車輪等
の状態を操舵反力として運転者に伝えることが好まし
い。
【0034】また、請求項6記載の如く、補正手段を、
ハンドル舵角速度が高くなる程、所定舵角(モータ制御
量の補正に係る閾値)を小さくするように構成するのが
好ましい。
【0035】すなわち、ハンドル舵角速度が高くなる
程、車両応答の線形領域は狭くなる。このため、モータ
制御量の補正に係る閾値である所定舵角を小さくするこ
とにより、車両応答の線形領域に対応して、モータ制御
量の補正の実行・禁止の切り替えを的確に行うことがで
きる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における自
動車の電動パワーステアリング装置によれば、トルクセ
ンサの検出値に基づく第1制御量と、目標ヨーレートに
基づく第2制御量とでもって電動モータが制御されるた
め、フリクションやイナーシャの大きさに関わらず、ハ
ンドル操舵に対して常に所望の車両挙動を得ることがで
き、例えば製品間での性能差を無くすことができる。
【0037】これと共に、ハンドルと車輪との間でトル
クセンサを介して伝達されるトルクが打ち消されるよう
に、モータ制御量の補正をすることで、運転者によるハ
ンドル操舵と、第2制御量による電動モータの制御とが
干渉してしまうことを回避することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0039】図1及び図3は、自動車の電動パワーステ
アリング装置の構成を示していて、11はハンドル、1
2は上記ハンドル11に連結されてこのハンドル11の
回転力(操舵力)を伝達するステアリングシャフト、1
3は自在継ぎ手を介して上記ステアリングシャフト12
に連結された中間シャフト、21は上記中間シャフト1
3の下端に設けられたステアリングギヤボックス、31
はこのステアリングギヤボックス21の両側に配設され
たタイロッド、32はこのタイロッド31が連結される
タイヤ(前輪)である。
【0040】上記ステアリングギヤボックス21内に
は、ラック・ピニオン機構24が設けられていて、上記
ピニオンには、上記中間シャフト13の下端が連結され
ている。一方、上記ラックの両端部はタイロッド31を
介してタイヤ32に連結されている。
【0041】上記ステアリングギヤボックス21には、
減速ギヤ23を介してピニオン側に力を付与する電動モ
ータ22と、トルクセンサ41とが設けられていて、こ
のトルクセンサ41は上記中間シャフト13と減速ギア
23との間に配設されている。これにより、上記トルク
センサ41は、ハンドル11とタイヤ32との間に設け
られてハンドル操舵トルクを検出するものとなってい
る。
【0042】上記トルクセンサ41及び電動モータ22
は、それぞれコントローラ5に接続されていて、このコ
ントローラ5によって電動モータ22が制御される。
【0043】尚、図3は、車両を2輪モデルで示してい
て、33は後輪、Lfは前輪から車両の重心位置までの
距離、Lrは後輪から車両の重心位置までの距離をそれ
ぞれ示している。
【0044】図2は、上記コントローラ5の構成を示し
ていて、このコントローラ5には、上記トルクセンサ4
1、車両に生じたヨーレートを検出するヨーレートセン
サ42及び電動モータの回転速度を検出するモータ回転
速度センサ43の各センサの検出値が入力される。尚、
上記モータ回転速度センサ43は、電動モータ22の回
転速度ωを直接的に検出するものとしてもよいし、上記
電動モータ22に印加される電圧等から推定するものと
してもよい。
【0045】上記コントローラ5には、上記トルクセン
サ41の検出値が無くなるように第1制御量を決定する
第1の制御部としてのアシスト制御部51と、上記トル
クセンサ41の検出値から目標ヨーレートを演算し、こ
の目標ヨーレートから上記ヨーレートセンサ43が検出
した実際に車両に発生しているヨーレートを減算するこ
とによって第2制御量を決定する第2の制御部としての
ヨーレートフィードバック制御部52と、上記アシスト
制御部51及びヨーレートフィードバック制御部52の
各制御部における制御量を加算することによって電動モ
ータ22の制御量を決定し、この制御量でもって電動モ
ータ22を制御するモータ制御部53とを備えている。
【0046】上記アシスト制御部51は、トルクセンサ
41の検出値ξに対してアシスト制御ゲインKaを掛け
ることによって第1制御量(Ka・ξ)を決定するよう
に構成されている。
【0047】このアシスト制御ゲインKaは、車速V、
トルクセンサの検出値ξ及びこの検出値ξの微分値によ
って決定される変数であって、非負(正又は0)の変数
でありかつ車速Vに関して非増加の(車速が高いとき
(H)の方が、車速が低いとき(L)に比べて小さい)
変数とされている。
【0048】上記ヨーレートフィードバック制御部52
は、トルクセンサ41の検出値ξの位相遅れを補償する
伝達関数G1(s)を有している。この伝達関数G1(s)は、
図3に示すように、ハンドルイナーシャIh,トルクセ
ンサ(トーションバー)41の減衰係数Cb及びトーシ
ョンバー41のばね定数Kbとして式(1)で設定され
ている。
【0049】 G1(s)={ωh 2(Ih2+Cbs+Kb)}/{Kb(s2+2ηhωh+ωh 2)} …(1) ここで、sはラプラス演算子、ηh,ωhは調整パラメー
タである。
【0050】そして、上記伝達関数の出力(G1(s)・
ξ)によって運転者が実際にハンドルに付与したハンド
ル操舵トルクuを算出するようにされている。
【0051】また、上記ヨーレートフィードバック制御
部52は、ハンドル操舵トルクuに含ませるフリクショ
ン成分(フリクショントルクuF)を設定するためのフ
リクションゲインKFを有している。このように、ハン
ドル操舵トルクuにフリクショントルクuFを含ませる
のは、通常の自動車においては、図6に示すように、ハ
ンドル操舵トルクuとハンドル舵角θHとの間の特性が
ヒステリシスになるためである。
【0052】すなわち、このヒステリシス特性は、ステ
アリング系のフリクション等によって生じるものである
が、ヨーレートフィードバック制御部52による制御に
よって、そのフリクションの影響が低下、又は影響が全
くなくなってしまう。このため、同図の一点鎖線で示す
ように、操舵トルクuとハンドル舵角θHとの間のヒス
テリシス特性が失われる虞がある。このようにハンドル
操舵トルクuとハンドル舵角θHとの間の特性が通常の
自動車とは異なる特性となる結果、操舵感が損われるよ
うになる。
【0053】そこで、操舵感の向上を目的として、予め
設定した大きさのフリクショントルクuFを、目標ヨー
レートの演算に係るハンドル操舵トルクuから減ずる
(ハンドル操舵トルクuに、操舵速度方向とは逆向きに
フリクショントルクuFを加える)ことで、ハンドル操
舵トルクuとハンドル舵角θHとの間に、所定のヒステ
リシス特性が残るようにしている。
【0054】具体的には、上記フリクションゲインKF
は、図4に示すように、モータ回転速度ωの方向に応じ
てフリクショントルクuFの正負を設定するようになっ
ており、モータ回転速度ω(つまり、ハンドル操舵速
度)が正のときは、フリクショントルクを+uFとし、
モータ回転速度ω(つまり、ハンドル操舵速度)が負の
ときは、フリクショントルクを−uFとする。尚、モー
タ回転速度ωの0(ゼロ)点においてフリクショントル
クuFが不連続になることにより、運転者の違和感を招
く虞もあるため、例えば図5に示すように、モータ回転
速度ωの0点付近で、フリクショントルクuFが連続的
につながるように、フリクションゲインを設定してもよ
い。つまり、モータ回転速度ωの0点近傍で、フリクシ
ョントルクuFの絶対値を減少させてもよい。
【0055】尚、上記フリクショントルクuFの大きさ
を調整することで、上記ヒステリシスの幅を調整するこ
ともできる。これにより、操舵力特性(操舵感)を常に
設計どおりの特性にすることも可能になる。また、上記
フリクショントルクuFは、車速が高い程小さくしても
よい。こうすることで、高速走行時においては、ハンド
ル11の復元力が高まり、ハンドル11の戻り感を向上
させることができる。さらに、上記フリクショントルク
Fは、車輪舵角が大きい程小さくしてもよい。こうす
ることで、車輪舵角の大きい領域では車両の安定性が向
上し、車輪舵角の小さい領域では車両の応答性が向上す
るようになる。
【0056】上記ヨーレートフィードバック制御部52
は、上記ハンドル操舵トルクuからフリクショントルク
Fを減じた値(u−uF)から、目標ヨーレートを演算
する目標ゲインKyを有していて、この目標ゲインK
yは、ホイールベース等の車両諸元や車速等に基づいて
予め設定されたものとなっている。すなわち、このヨー
レートフィードバック制御部52による制御は、ハンド
ル操舵トルクに対する車両応答が線形である領域(車両
応答の線形領域)を対象としている。尚、この目標ゲイ
ンKyの詳細については後述する。
【0057】また、上記ヨーレートフィードバック制御
部52は、上記目標ヨーレートからヨーレートセンサ4
3が検出した実際のヨーレートψsを減算し(Ky(G
1(s)・ξ−uF)−ψs)、この偏差に対して制御ゲイン
C(s)を掛けて制御量(第2制御量)を決定するように
構成されている。上記制御ゲインC(s)は式(2)で設
定されている。
【0058】C(s)=ΣBmm/ΣAnn …(2) 尚、m=0,1,2,…,M、n=0,1,2,…,N
である。
【0059】このC(s)は、例えば目標ヨーレートと実
際のヨーレートとの偏差を0にするためのPID制御理
論の伝達関数としてもよく、PID制御の場合では、A
0=0,A1=1,B0=積分ゲイン,B1=比例ゲイン,
2=微分ゲインとすればよい。また、上記C(s)は、P
ID制御以外の制御理論を用いた伝達関数としてもよ
い。
【0060】ここで、このヨーレートフィードバック制
御部52の制御量の感度調整(目標ゲインKy又は制御
ゲインC(s)の調整)は次の〜のようにするのがよ
い。
【0061】車速Vが所定車速以下のときは、目標ゲ
インKyを0とするのがよい。これは次の理由によるも
のである。つまり、ハンドル11が操舵されることによ
りトルクセンサ41の検出値から目標ヨーレートが演算
されるが、例えば低速旋回時は車両にヨーレートが発生
し難い(又は発生しない)。このため、低速旋回時にお
いて上記目標ヨーレートとなるように電動モータ22を
制御しても、目標ヨーレートが達成されないという不具
合が生じる。従って、車速が所定車速以下のときは目標
ゲインKyを0として、上記ヨーレートフィードバック
制御部52における制御を行わないのがよい。これによ
り、車両が所定車速以下のときは、アシスト制御部51
による制御のみが行われる。
【0062】一方、車速が所定車速以上のときは、上記
アシスト制御部51のアシストゲインKaを0として、
ヨーレートフィードバック制御部52による制御のみを
行うようにするのがよい。これは、上記アシスト制御部
51と、ヨーレートフィードバック制御部52とで制御
干渉が起きる虞があるためである。
【0063】車速Vが高い程、制御ゲインC(s)を上
げるのがよい。これは、高速走行時の直進安定性を向上
させるためである。すなわち、例えば横風や路面不整等
によって車両に外乱が入力された場合には、運転者がハ
ンドル操舵をしていない、すなわち、ハンドル操舵トル
クが0であるにも関わらず、車両にヨーレートが生じる
ことになる。しかし、ヨーレートフィードバック制御部
52の制御は、ハンドル操舵トルクが0、すなわち目標
ヨーレートは0であれば、直進状態を維持しようとする
制御になるため、車速Vが高い程、制御ゲインC(s)を
高めると、高速走行時の直進安定性が向上する。尚、上
記制御ゲインC(s)の調整は、An,Bmを変更すること
によって行ってもよい(式(2)参照)。
【0064】車速Vが、さらに高くなれば(所定車速
以上になれば)、車速が高い程目標ゲインKyを下げる
のがよい。これは、高速走行時におけるハンドル操舵に
対する車両挙動を鈍くするためである。すなわち、中速
域では、ハンドル操舵に対して車両挙動(ヨーレート挙
動)が敏感に反応する方が、例えば回頭性が向上するこ
とになるため好ましいが、高速域では、ハンドル操舵に
対して、ヨーレート挙動が敏感に反応するのは、挙動が
不安定になってしまう虞があると共に、運転者に違和感
を与えてしまうことになる。そこで、車速Vがさらに高
くなれば、すなわち、高速走行時には目標ゲインKy
下げてハンドル操舵に対する車両挙動を鈍くするのが好
ましい。
【0065】従って、上記〜によると、上記低速域
では、ヨーレートフィードバック制御部52による制御
が行われない一方、中速域(M)では、上記ヨーレート
フィードバック制御部52による制御が積極的に行われ
る。そして、高速域(H)では、中速域に比べてヨーレ
ートフィードバック制御部52による制御が抑制される
こととなる。
【0066】路面μが低い程、目標ゲインKyを下げ
るのがよい。これは、路面μが低いときはタイヤ反力が
小さいため、トルクセンサ41が値を検出しない(又は
検出値が小さい)にも関わらず、車両にはヨーレートが
発生する。このため、目標ヨーレートと実際のヨーレー
トψsとが合わなくなってしまうことから、路面μが低
い程目標ゲインKyを下げて、目標ヨーレートの影響を
小さくするのが好ましい。
【0067】車輪舵角が小さい程、目標ゲインKy
上げるのがよい。これは、直進安定性のより一層の向上
を図るためである。
【0068】車輪舵角速度が大きい程、目標ゲインK
yを上げるのがよい。これは、車輪舵角速度が大きいと
きはイナーシャが大きくなってハンドル11の操舵に対
して車両挙動が遅れやすくなるため、電動モータ22に
大きなモータ推力を与えた方が好ましくなるためであ
る。
【0069】尚、上記,〜については、目標ゲイ
ンKyを調整しているが、制御ゲインC(s)を調整するよ
うにしてもよい。逆に、上記については、制御ゲイン
C(s)を調整しているが、目標ゲインKyを調整するよう
にしてもよい。
【0070】上記ヨーレートフィードバック制御部52
はまた、所定の仮想的なモデルにおいて、電動モータ2
2の出力と、トルクセンサ41を介してハンドル11か
ら車輪32に伝達されるトルクとの和に対するモータ回
転速度を算出するための伝達関数G4(s)を有していると
共に、上記所定の仮想的なモデルにおけるモータ回転速
度(舵角速度)と、実際のモータ回転速度ωとの偏差か
ら、ヨーレートフィードバック制御部52の制御量を補
正する補正量を算出するための伝達関数G5(s)を有して
いる。
【0071】上記伝達関数G4(s)は式(3)で設定され
ている。
【0072】G4(s)=ΣPkk/ΣQll …(3) 尚、k=0,1,2,…,K、l=0,1,2,…,L
である。また、Pk,Qlは車速に応じて変更してもよ
く、車速に応じて段階的に変更してもよい。このとき、
低車速ほどPk,Qlを細かく変更してもよい(低車速ほ
ど、車速の変化に対してPk,Qlを頻繁に変更してもよ
い)。
【0073】一方、上記伝達関数G5(s)は式(4)で設
定されている。
【0074】G5(s)=ωjw/(s+ωj) …(4) 尚、ωj,Kwは調整パラメータである。
【0075】これら伝達関数G4(s),G5(s)により、電
動モータ22にダンピングを与えて、安定性を高めるよ
うにしている。
【0076】このようにして、アシスト制御部51及び
ヨーレートフィードバック制御部52において各制御量
が決定されれば、モータ制御部53において、上記アシ
スト制御部51及びヨーレートフィードバック制御部5
2の制御量を加算して、電動モータ22を制御するため
のモータ制御量を決定する。
【0077】ここで、このモータ制御部53は、補正手
段54を有しており、この補正手段54は、ハンドル1
1と車輪32との間でトルクセンサ41を介して伝達さ
れるトルクが打ち消されるように、上記モータ制御量の
補正をするものである。
【0078】上記補正手段54は、車速Vに応じて設定
される第1ゲインK1と、ハンドル舵角θH及びハンドル
舵角速度θH´に応じて設定される第2ゲインK2と、ト
ルクセンサ41の検出値から上記ハンドル11と車輪3
2との間で上記トルクセンサ41を介して伝達されるト
ルク成分を演算するための伝達関数G3(s)とを備えてい
る。
【0079】上記第1ゲインK1は、図7に示すよう
に、車速が第1車速V1以下のときには、0であり、第
1車速V1よりも高いときには、車速Vの増加に応じて
増加し、さらに、第2車速V2以上のときには、車速に
拘わらず一定となるように設定されている。これによ
り、車両が停止しているとき又は低速走行時には、モー
タ制御量の補正が行われない。尚、第1車速V1と第2
車速V2との間において、第1ゲインK1を連続的に変化
させなくても、第1車速V1において不連続となるよう
に第1ゲインK1を設定してもよい。
【0080】一方、第2ゲインK2は、図8に示すよう
に、ハンドル舵角θHが第1舵角θ1以下のときには、舵
角θHに拘わらず一定値であり、上記第1舵角θ1よりも
大きいときには、舵角θHの増大に応じて減少し、さら
に、第2舵角θ2よりも大きいときには0になるように
設定されている。これにより、ハンドル舵角θHが第2
舵角θ2よりも大きいときには、モータ制御量の補正が
行われない。尚、第1舵角θ1と第2舵角θ2との間にお
いて、第2ゲインK2を連続的に変化させなくても、第
1舵角θ1において不連続となるように第2ゲインK2
設定してもよい。
【0081】また、上記第2舵角θ2は舵角速度θH′に
応じて設定され、舵角速度θH′が高くなる程、第2舵
角θ2が小さく設定される(同図の一点鎖線参照)。
【0082】また、上記伝達関数G3(s)は式(5)で設
定されている。
【0083】 G3(s)=ωi(Cbs+Kb)/{Kb(s+ηiωi)}…(5) ここで、ωi,ηiは調整パラメータである。
【0084】こうして第1ゲインK1、第2ゲインK2
及び伝達関数G3(s)によって、ハンドル11と車輪32
との間でトルクセンサ41を介して伝達されるトルク成
分を演算し、これをモータ制御量から減算する補正を行
う。
【0085】このように、本実施形態においては、トル
クセンサ41の値から目標となる目標ヨーレートを演算
し、この目標ヨーレートとなるように電動モータ22が
制御されることで、アシスト制御部51の制御量(Ka
・ξ)で電動モータ22を制御することによって、所望
のヨーレートが発生しない場合であっても、ヨーレート
フィードバック制御部52の制御によって、目標ヨーレ
ート(所望のヨーレート)が車両に生じる。
【0086】こうして目標ヨーレートとなるように電動
モータ22が制御されることで、たとえフリクションや
イナーシャの大きさが異なる場合であっても、運転者の
ハンドル操舵(ハンドル操舵トルク)に対して、常に所
望のヨーレートが車両に生じるようになる。これによ
り、操舵フィーリングの向上や違和感の軽減が図られ、
運転者の疲労を軽減することができる。
【0087】そして、上記モータ制御部53は、ハンド
ル11と車輪32との間でトルクセンサ41を介して伝
達されるトルク(推定トルク)を推定すると共に、この
推定トルクをモータ制御量から減算する補正手段54を
有している。この補正手段54によりモータ制御量が補
正されることで、ハンドル11から車輪32に実際に伝
達されるトルクと上記推定トルクとが相殺されることに
なり、制御上は、ハンドル11から車輪32にトルクが
伝達されないことになる。こうして、特に車両が外乱を
受けたときに、運転者によるハンドル操舵と、ヨーレー
トフィードバック制御部52における制御とが干渉して
しまうことを回避することができる。
【0088】また、上記補正手段54においては、第1
車速V1以下のときには第1ゲインK1を0としかつ、第
1車速V1よりも車速が高いときには車速に応じて第1
ゲインK1を高めることで、モータ制御量の補正の禁止
・実行を切り替えるように構成されている。こうするこ
とで、不必要なモータ制御量の補正を回避しつつ、制御
干渉を回避することができる。
【0089】つまり、第1車速V1以下のときの停車時
又は低速走行時には、車両にヨーレートが発生しない、
又は発生し難いため、上記コントローラ5においては、
目標ゲインKyを0としてヨーレートフィードバック制
御部52における制御を行わず、中速又は高速走行時に
目標ゲインKyを比較的高めるようにしている。一方、
アシスト制御ゲインKaは、図7の一点鎖線で示すよう
に、停車時又は低速走行時に高める一方、中速又は高速
走行時には低下させるようにしている。
【0090】ここで、ヨーレートフィードバック制御部
52による制御を行わないときは、このヨーレートフィ
ードバック制御部52制御に対する干渉の問題が生じな
いと共に、元々停車時又は低速走行時には、車両に対す
る外乱の影響自体がない。また逆に、ヨーレートフィー
ドバック制御部52による制御を行わないときに補正手
段54によるモータ制御量の補正を行うと、トルクセン
サ41を介して伝達されるトルクを打ち消す制御が行わ
れることになるため、運転者によるハンドル操舵トルク
が車輪にまで伝わらず舵が切れなくなることにもなる。
【0091】そこで、車速が第1車速V1以下であると
き、言い換えるとヨーレートフィードバック制御部52
の制御感度が0のときには、モータ制御量の補正を禁止
することで上記の不都合が回避される。一方、車速が第
1車速V1よりも高いときには、言い換えるとアシスト
制御部51の制御感度が低く、逆にヨーレートフィード
バック制御部52の制御感度が高いときには、モータ制
御量の補正を行うことで、制御干渉が回避される。
【0092】さらに、上記補正手段54においては、第
2舵角θ2を閾値としてモータ制御量の補正の禁止・実
行を切り替えるように構成されている。こうすること
で、制御干渉を回避しつつ、ヨーレートフィードバック
制御部52による制御が有効に行われない車両応答の非
線形領域では、車輪等の状態を操舵反力として運転者に
的確に伝えることができる。
【0093】すなわち、上述したように、ヨーレートフ
ィードバック制御部52は、車両応答の線形領域におけ
る制御を行うように構成されている。このため、ハンド
ル舵角θHが第2舵角θ2以下である車両応答の線形領域
では、モータ制御量の補正を行うことで、制御干渉を回
避することができる一方、第2制御量による制御が有効
でない車両応答の非線形領域(ハンドル舵角θHが第2
舵角θ2よりも大きいとき)では、モータ制御量の補正
を禁止することで車輪からハンドルにトルクを伝達さ
せ、これにより、車輪等の状態を操舵反力として運転者
に的確に伝えることができる。
【0094】また、補正手段54におけるモータ制御量
の補正の禁止・実行の閾値である第2舵角θ2を、ハン
ドル舵角速度θH´が高くなる程小さくすることで、車
両応答の線形領域が狭くなることに対応して、モータ制
御量の補正の禁止・実行の切り替えがなされ、車両応答
の線形領域では、制御干渉を回避しつつ、ヨーレートフ
ィードバック制御部52による制御によって所望のヨー
レートを発生させる一方、車両応答の非線形領域では、
車輪等の状態を操舵反力として運転者に的確に伝えるこ
とができるようになる。
【0095】尚、ドリフトアウトやスピンといったヨー
イング方向の姿勢を制御するための車両安定性制御装置
(DSC:Dynamic Stability Control)や、車輪のロ
ックを抑制するためのアンチロックブレーキシステム
(ABS:Antilock Brake System)といった挙動制御
装置を車両が備えているときには、これらの挙動制御装
置が作動するときには、ヨーレートフィードバック制御
部52の制御感度を低下させることが好ましい。
【0096】すなわち、車両のヨーイング方向の姿勢を
制御する挙動制御装置が作動しているときに、目標ヨー
レートと実ヨーレートとの偏差に基づくヨーレートフィ
ードバック制御部52を作動させてしまうと、その制御
によって車両挙動(ヨーレート)が変化するため制御干
渉が生じ、挙動制御装置による制御の性能(挙動制御効
果)が低下してしまう虞がある。また、上記ヨーレート
フィードバック制御部52は、タイヤがグリップしてい
る状態での制御を行うよう設定されていると共に、上述
したように、車両応答の線形領域における制御を目的と
している。一方、挙動制御装置が作動するのは、タイヤ
がスリップしているときや、車両応答の非線形領域であ
るときである。こうした挙動制御装置が作動するときに
ヨーレートフィードバック制御部52の制御を行って
も、その制御は有効ではなく、挙動制御装置による制御
の性能低下を招くだけである。
【0097】そこで、挙動制御装置による制御が行われ
ているときには、ヨーレートフィードバック制御部52
における制御を抑制する。具体的には図9のフローに従
い、先ず、ステップS1で挙動制御装置が作動している
か否かを判定し、作動していないときにはステップS2
で通常のヨーレートフィードバック制御部52の制御を
行う。一方、挙動制御装置が作動しているときには、ス
テップS3でヨーレートフィードバック制御部52の感
度を低下させる。尚、上記ステップS3では、ヨーレー
トフィードバック制御部52の制御を禁止してもよい。
【0098】<他の実施形態>尚、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を
包含するものである。すなわち、上記実施形態では、電
動モータ22がピニオン側に力を付与するように構成さ
れているが、ラック側に力を付与するように構成しても
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリン
グ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】電動パワーステアリング装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図4】フリクションゲインの一例を示す図である。
【図5】図4とは異なるフリクションゲインの一例を示
す図である。
【図6】ハンドル操舵トルクとハンドル舵角との関係を
示す図である。
【図7】補正手段における第1ゲインの特性を示す図で
ある。
【図8】補正手段における第2ゲインの特性を示す図で
ある。
【図9】挙動制御装置を備えたときのヨーレートフィー
ドバック制御部の制御フローチャートである。
【符号の説明】
11 ハンドル 22 電動モータ 32 車輪 41 トルクセンサ 51 アシスト制御部(第1の制御部) 52 ヨーレートフィードバック制御部(第2
の制御部) 53 モータ制御部 54 補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D032 CC08 CC14 DA15 DA33 DC07 EB11 EC22 3D033 CA03 CA16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータを有し、該電動モータの制御
    によりハンドル操舵を補助する自動車の電動パワーステ
    アリング装置であって、 ハンドルと車輪との間に設けられてハンドル操舵トルク
    を検出するトルクセンサと、 上記トルクセンサの検出値が無くなるように上記電動モ
    ータの第1制御量を決定する第1の制御部と、 上記トルクセンサの検出値に基づいて目標ヨーレートを
    演算し、該目標ヨーレートから実際に車両に発生してい
    るヨーレートを減算することによって上記電動モータの
    第2制御量を決定する第2の制御部と、 上記第1の制御部による第1制御量と第2の制御部によ
    る第2制御量とを加算したモータ制御量でもって上記電
    動モータを制御するモータ制御部とを備え、 上記モータ制御部は、上記ハンドルと車輪との間で上記
    トルクセンサを介して伝達されるトルクが打ち消される
    ように、上記モータ制御量の補正をする補正手段を有し
    ていることを特徴とする自動車の電動パワーステアリン
    グ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 第1の制御部は、第1制御量の感度を、車速が高い程下
    げるように構成され、 補正手段は、上記第1制御量の感度が低いときにモータ
    制御量の補正を行うように構成されていることを特徴と
    する自動車の電動パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 補正手段は、車速が所定車速以下のときにはモータ制御
    量の補正を禁止するように構成されていることを特徴と
    する自動車の電動パワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 第2の制御部は、第2制御量の感度を、所定の条件に応
    じて変更するように構成され、 補正手段は、上記第2制御量の感度が0のときにはモー
    タ制御量の補正を禁止するように構成されていることを
    特徴とする自動車の電動パワーステアリング装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 補正手段は、ハンドル舵角が所定舵角以下のときにモー
    タ制御量の補正を行うように構成されていることを特徴
    とする自動車の電動パワーステアリング装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 補正手段は、ハンドル舵角速度が高くなる程、所定舵角
    を小さくするように構成されていることを特徴とする自
    動車の電動パワーステアリング装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100695429B1 (ko) 2003-04-10 2007-03-15 주식회사 만도 이에스피를 이용한 스티어링 시스템의 조타력 제어방법
JP2009298261A (ja) * 2008-06-12 2009-12-24 Mitsubishi Electric Corp 電動パワーステアリングシステムの制御装置
US8073592B2 (en) 2007-03-27 2011-12-06 Honda Motor Co., Ltd. Steering system

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