【発明の詳細な説明】
コレステリック薄片発明の分野
本発明はカイラル重合性メソゲン材料から得られるコレステリックポリマー薄
片に関する。本発明はまた、このようなコレステリック薄片の製造方法に関する
。
本発明はさらにまた、1個または2個以上の末端重合性基を有する或る種のカ
イラルおよび非カイラル重合性化合物をこのような薄片の製造に使用することに
関する。
本発明はさらにまた、各種用途、特に自動車用途、化粧品および保全用途用の
噴霧型インキ、印刷型インキあるいは着色プラスティック製品における有効顔料
として、このようなコレステリック薄片を使用することに関する。発明の背景
コレステリック液晶はラセン状ねじれ分子配向を示し、これにより特別の光学
的性質が得られる。コレステリック液晶に未分極光が照射されると、選択された
波長の入射光とラセン構造との相互作用によって、その強度の50%が一定の旋回
方向で円形状に分極された光(ラセンの旋回方向に従い右旋回または左旋回)と
して反射され、他方残りの50%は反対の方向で円形状に分極された光として透過
される。この最大反射の波長λは、下記方程式に従いラセンのピッチpおよびコ
レステリック液晶材料の平均屈折率nに依存して変わる:
λ=n・p
コレステリック光学材料の彩色効果は選択的光反射に基づいており、常用の染
料または顔料におけるように吸収に依存しないことから、格別の彩色性、例えば
、より大きい色飽和度、より広い彩色範囲および真珠光沢の外観などが得られる
。入射光がラセン軸の方向に対して或る角度でコレステリック液晶を通って透過
された場合、これらの材料は独特の反射パターンを示す。
しかしながら、インキまたは塗料に使用する場合、良好な彩色性を得るために
は、ラセン軸の配向が視覚方向に対して平行であるコレステリック液晶の均一配
向が要求される。さらにまた、小型カプセルまたは小滴の形状を有する場合、大
部分の用途では低モル質量のコレステリック液晶は液体状態で使用することが最
良である。この場合、反射された光の温度依存性がもう一つの問題点になる。他
方で、ポリマー状コレステリック液晶を固形状態で使用すると、配向をそれぞれ
高温を必要とするそれらのガラス転移温度または融解温度以上で行わなければな
らない。従って、これらの両因子は製造を困難にし、かつまたそれらの用途を制
限する。
予め配向されたコレステリックポリマーの薄片または小板を形成することによ
って、数種の従来技術の問題点を解消することができる。このような薄片を製造
するためには、コレステリックポリマー材料を基体上に塗布し、次いで配向させ
、表面に対して平行のラセン軸の均一配向を得る。この薄膜を次いで、硬化させ
、粉砕し、例えばインキまたは塗料に使用される透明な結合材料中に分散させる
ことができる小型で平坦な薄片を生成する。これらのインキは、追加の配向処理
を要することなく、室温で使用することができる。従来技術
このようなポリマー薄片はすでに開示されている。米国特許第5,364,557号に
は、コレステリック液晶ポリシロキサンを基材とする薄片が開示されている。し
かしながら、この特許に記載されている液晶ポリマーの配向は達成が困難であり
、かつまたガラス転移温度以上で行わなければならず、このためには高温(120〜
150℃)および電場または磁場などの任意の補助的配向手段が必要である。
特許出願WO94/22976は、高温で配向し、場合により交差結合させ、次いで一
緒に積層されているか、または基体ポリマー板の相違する側面上に被覆されてい
る2枚の分離したコレステリック液晶ポリシロキサン薄膜を付着させることによ
って形成される薄片を開示している。別法として、高融点を有する低モル質量の
コレステリック液晶材料が開示されているが、この液晶材料は配向したガラスを
得るために、配向後に迅速に冷却させなければならない。しかしながら、これら
の方法は大きい温度変化を必要とし、その用途をコレステリック材料のラミネー
トに制限しても、かなり多くの後続の工程を伴う複雑な製造方法であると見做さ
れる。
さらにまた、これらの刊行物は両方ともに、予備調製されたコレステリック液
晶側鎖ポリシロキサンの使用が好適である旨、開示している。当業者に知られて
いるように、このようなポリマーは通常、ポリマー類似付加反応で、予め重合さ
れているポリシロキサン幹鎖にメソゲン側鎖を付加することによって合成される
。このポリマー薄片の光学的性質、すなわち色外観は、メソゲン側鎖の化学構造
および比率に主として依存することから、これらの性質は薄片製造以前にポリマ
ーの段階ですでに決定される。他方で、この薄片の機械的性質はポリマーの鎖長
および交差結合度により重大な影響を受け、この性質はポリシロキサン幹鎖の合
成中および(または)薄片の製造中に固定される。従って、この方法で得られる
薄片状顔料の物理的性質および機械的性質の全部を制御することは困難である。
ドイツ国出願DE4,419,239には、三次元構造のカイラルポリマーネットワーク
から形成されており、交差結合剤としてコレステロール側鎖およびメタアクリレ
ート基を有するポリシロキサンを含有するコレステリック薄片状顔料が記載され
ている。しかしながら、コレステロール以外に、別種のカイラル基は開示されて
いない。さらにまた上記したように、このポリマー材料はまた、2回の引き続く
重合工程で製造しなければならない。発明の要旨
従って、本発明の課題は、生成物の光学的性質および機械的性質を容易に、か
つまた直接的に制御することができる非常に簡単な方法で製造することができる
顔料として使用されるコレステリック薄片を提供することにある。
この課題が、本発明による或る種の重合性メソゲン材料および方法を用いるこ
とによって達成できることがここに見出された。
請求の範囲および本発明の説明の全体を通して使用されているものとして、「
薄片」(flakes)の用語は、1μm〜2mmの寸法を有する小型粒子を包含する
。例えば、これらの粒子は、対称または非対称形状の顆粒あるいはその厚さより
も数倍長い平均横幅寸法を有する小板、あるいは小板と顆粒との両方の混合物で
あることができる。
本発明の目的の一つは、下記工程を包含する方法によってカイラル重合性メソ
ゲン材料から得られるコレステリック薄片にある:
(a)上記材料を基体上に塗布し、次いで場合により、第二の基体により被覆し
、
(b)この被覆した材料をプレーナー配向に配向させ、
(c)この配向した材料をポリマー薄膜に硬化させ、
(d)このポリマー薄膜を基体から分離し、次いで
(e)このポリマー薄膜を、場合により冷却しながら、粉砕する。
本発明の好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は、場合によりスペ
ーサー基を経て、メソゲン中心核に結合しており、下記式から選択される少なく
とも1個の末端重合性基を有する少なくとも二つの重合性メソゲン化合物を含有
する:
各式中、WはH、CH3またはClを表わし、そしてnは0または1である。
本発明のもう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は、少な
くとも二種の重合性メソゲン化合物を含有し、これらの化合物はそれぞれ、少な
くとも相互に相違しており、式I1〜I4で表わされる重合性基を有する。
本発明のもう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は、少な
くとも1種の非カイラル重合性メソゲン化合物および少なくとも1種のカイラル
重合性メソゲン化合物を含有し、これらの化合物の少なくとも一方は、2個また
は3個以上の重合性基を有する。
本発明のもう一つの好適態様において、少なくとも1種の重合性メソゲン化合
物はフマレート化合物である。
もう一つの好適態様において、非カイラル重合性メソゲン化合物は、2個また
は3個以上の重合性基を有する。
もう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン化合物は、2個または
3個以上の重合性基を有する。
もう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は、少なくとも1
種
の光開始剤を含有する。
もう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は、1個または2
個以上の重合性基を有する非メソゲン化合物を含有する。
もう一つの好適態様において、工程(a)における基体はポリエステル薄膜で
ある。
さらにもう一つの好適態様において、工程(c)で得られる薄膜は4〜10μm
の厚さを有する。
本発明のもう一つの目的は、上記コレステリック薄片を印刷インキ、噴霧塗料
、自動車用途、化粧品または着色プラスティックに有効顔料として使用すること
にある。
本発明のさらにもう一つの目的は、上記コレステリック薄片を能動的および受
動的光学素子に、あるいは保全用途用のインキおよび塗料の顔料として使用する
ことにある。
本発明のその他の目的は、下記の詳細な説明から当業者にとって自明である。図面の説明
図1は本発明の例1による薄片状顔料をJeol 6300F走査電子顕微鏡により1000
倍率で撮影した写真である。
図2は本発明の例4による薄片状顔料をJeol 6300F走査電子顕微鏡により100
倍率で撮影した写真である。発明の詳細な説明
非カイラルおよびカイラル重合性メソゲン化合物は下記式IIに従い選択すると
好ましい:
P−(SP)n−MG−R II
式中、
Pは、式I1〜I4から選択される重合性基であり、
Spは、炭素原子1〜20個を有するスペーサー基であり、
Rは、H、ハロゲンまたはシアノであるか、あるいはカイラルまたは非カイラ
ル有機基であり、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができ、あるいは1
個よりも多くの重合性基を有する化合物において、Rはまた、P−(Sp)n−につ
いて示
されている意味を有し、
nは、0または1であり、そして
MGは、メソゲン基またはメソゲン性支持基であり、この基は好ましくはエステ
ルまたはエーテル基により、あるいは単結合によりスペーサー基Spおよび有機基
Rに結合している。
式IIで表わされる化合物において、Pは好ましくは、ビニル基、アクリレート
基、メタアクリレート基、スチレン基またはエポキシ基である。特に好適なPは
アクリレート基またはメタアクリレート基である。
式IIで表わされる特に好適な化合物は、
MGが、好ましくは下記式IIIに従い選択されるメソゲン基またはメソゲン性支
持基であり:
−(A1−Z)m−A2−Z2−A3− III
(式中、
A1、A2およびA3は相互に独立して、1,4−フェニレン基であり、この基中に存
在する1個または2個以上のCH基はNにより置き換えられていてもよく、あるい
は1,4−シクロヘキシレン基であり、この基中に存在する1個のCH2基または隣接
していない2個のCH2基はOおよび(または)Sにより置き換えられていてもよ
く、あるいは1,4−シクロヘキセニレン基またはナフタレン−2,6−ジイル基であ
り、これらの基は全部が未置換であるか、または1個または2個以上のハロゲン
、シアノまたはニトロ基により、あるいは炭素原子1〜7個を有するアルキル基
、アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく、これらの基
中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく、
Z1およびZ2はそれそれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−OCH2−、
−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−COO−、−OCO−CH=CH−または
単結合であり、そして
mは0、1または2である、そして
Rは、25個までの炭素原子を有するアルキル基であり、この基は未置換である
か、あるいは1個または2個以上のCNまたはハロゲンにより置換されており、こ
の基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はそれぞ
れ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない様相で、−O−、−S−、
−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−
、−CO−S−または−C≡C−により置き換えられていてもよく、あるいはRは
また、ハロゲン、シアノであるか、あるいは独立して、P−(Sp)n−について示
されている意味の一つを有する)、
化合物である。
少なくとも2種の重合性メソゲン化合物を含有し、その少なくとも1種が式II
で表わされる化合物であるカイラル重合性メソゲン材料は特に好適である。
本発明のもう一つの好適態様において、重合性メソゲン化合物は、そのRが上
記P−(SP)n−の意味の一つを有する式Iに従い選択される。
二環状および三環状化合物は好適である。
式Iで表わされる化合物の中で、そのRがF、Clまたはシアノであるか、ある
いはハロゲン化されていてもよいアルキルまたはアルコキシであるか、あるいは
P−(SP)n−について示されている意味を有し、そしてMGが式IIIにおいて、Z1お
よびZ2が、−COO−、−OCO−、−CH2−CH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH
−または単結合である基である化合物は特に好適である。
式IIIで表わされる好適メソゲン性基の小さい群を下記に挙げる。簡潔にする
ために、これらの基において、Pheは1,4−フェニレンであり、PheLは少なくとも
1個の基Lで置換されており、LはF、ClまたはCNあるいは炭素原子1〜4個を
有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシまたはアルカノイル基で
ある1,4−フェニレンであり、そしてCycは1,4−シクロヘキシレンである。
これらの好適群において、Z1およびZ2は上記式Iについて示されている意味を
有する。Z1およびZ2は好ましくは、−COO−、−OCO−、−CH2CCH2−、−CH=CH
−COO−または単結合である。
Lは好ましくは、F、Cl、CN、NO2、CH3、C2H5、OCH3、OC2H5、COCH3、COC2H5
、CF3、OCF3、OCHF2、OC2F5、特にF、Cl、CN、CH3、C2H5、OCH3、COCH3およびO
CF3、最も好ましくは、F、CH3、OCH3およびCOCH3である。
MGが下記式から選択される化合物は特に好適である: これらの式において、Lは上記の意味を有し、そしてrは0、1または2である
。これらの好適式中に存在する基:
を表わし、これらの基において、Lはそれぞれ独立して、上記意味の一つを有す
る。
これらの好適化合物中に存在するRは特に好ましくは、CN、F、ClまたはOCF3
であるか、あるいは炭素原子1〜12個を有するアルキルまたはアルコキシ基であ
るか、あるいはP−(SP)n−について示されている意味の一つを有する。
式I中に存在するRがアルキル基またはアルコキシ基、すなわちその末端CH2基
が−O−により置き換えられている基である場合、この基は直鎖状または分枝鎖
状であることができる。この基は好ましくは、直鎖状であって、2個、3個、4
個、5個、6個、7個または8個の炭素原子を有し、従って好ましくは、例えは
エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシまたはオクト
キシであり、さらにまたメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリ
デシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデ
コキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシであることができる。
オキサアルキル基、すなわちこの基中に存在する1個のCH2基が−O−により
置き換えられている基は好ましくは、例えば直鎖状の2−オキサプロピル(=メ
トキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メ
トキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−また
は5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2
−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5
−、6−、7−または8−オキサノニルあるいは2−、3−、4−、5−、6−
、7−、8−または9−オキサデシルである。
式IIで表わされる重合性メソゲン化合物において、Rは非カイラル基またはカ
イラル基であることができる。カイラル基である場合、この基は好ましくは、下
記式IVに従い選択される:
式中、
X1は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−または単結合で
あり、
Q1は、炭素原子1〜10個を有するアルキレン基またはアルキレン−オキシ基あ
るいは単結合であり、
Q2は、炭素原子1〜10個を有するアルキル基またはアルコキシ基であり、この
基は未置換であるか、または置換基として、1個または2個以上のハロゲンまた
はCNを有していてもよく、この基中に存在する1個のCH2基または隣接していな
い2個以上のCH2基はまた、それぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結
合しないものとして、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、
−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−により
置き換えられていてもよく、あるいはQ2はP−Sp−について示されている意味を
有し、
Q3は、ハロゲンまたはシアノ基であるか、あるいはQ2とは相違する炭素原子1
〜4個を有するアルキル基またはアルコキシ基である。
好適カイラル基Rは、例えば2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチ
ルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2
−プロピルペンチル、2−オクチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキ
シ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1
−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3
−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ノニル、2−デシル
、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチル
オクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリ
ルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−
クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロ
ロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−
メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシ
プロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプ
ロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチ
ルオキシ、2−フルオロデシルオキシである。
さらにまた、非カイラル分枝鎖状基Rを含有する式IIで表わされるメソゲン化
合物は、例えば減少した結晶化傾向を有することから、場合により重要である。
この種の分枝鎖状基は一般に、多くて一つの鎖分岐を有する。好適非カイラル分
枝鎖状基には、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(
=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシおよび3−メチ
ルブトキシがある。
本発明のもう一つの好適態様において、式II中に存在するRは、下記の基から
選択されるカイラル基を表わす:
エチレングリコール誘導体
(式中、RCは炭素原子1〜12個を有するアルキル基である)
あるいはシトロネロールを基本構造とする基:
本発明のもう一つの好適態様において、式IIで表わされる化合物は、少なくと
も1個のカイラリティ中心を有するメソゲン基またはメソゲン性支持基MGを有す
る。これらの化合物において、MGは好ましくは、下記式IIIaに従い選択される:
−(A1−Z1)i−G IIIa
式中、A1およびZ1は式IIIについて示されている意味を有し、
iは0、1または2であり、
Gは、例えばコレステリル基: 2,3−ジヒドロベンゾピラン基:
(式中、RdはC1〜C12アルキルまたはアルコキシ基であり、そしてZは−COO−
または−O−CO−である)、
あるいは例えばメントールなどのテルペノイド基:
である。
式II中にスペーサー基Spが存在する場合、この目的に対して当業者に知られて
いる全部の基を使用することかできる。
式II中のSpは好ましくは、式S−Xで表わされる基であり、この式において、
Xはメソゲン基への架橋基であり、そしてMGは、−O−、−S−、−CO−、−CO
O−、−OCO−、−OCOO−または単結合を表わし、そしてSは炭素原子1〜20個、
特に炭素原子1〜12個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であり、この
基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまた、−O
−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O
−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−CH(CN)−、−CH
=CH−または−C≡C−により置き換えられていてもよい。
代表的基Sには、例えば−(CH2)o−、−(CH2CH2O)r−CH2CH2−、−CH2CH2-S-C
H2CH2−または−CH2CH2−NH−CH2CH2−(これらの基において、oは2〜12の整
数であり、そしてrは1〜3の整数である)である。
好適基Sは、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレ
ン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン
、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレ
ン−チオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレンおよび1−メチルアル
キレ
ンである。
本発明の好適態様において、式IIで表わされる重合性メソゲン化合物は、式S
−Xで表わされるスペーサー基を有し、この式において、Sは下記式Vで表わさ
れるカイラル基である:
式中、
Q1およびQ3は、式IVについて示されている意味を有し、そして
Q4はQ1と相違しており、炭素原子1〜10個を有するアルキレン基またはアルキ
レン−オキシ基または単結合である。
式IIにおいて、nが1である化合物は特に好適である。
Rが式P−Sp−で表わされる基である場合、メソゲン性中心核の各側鎖に存在
するスペーサー基は同一あっても、または相違していてもよい。
もう一つの好適態様において、本発明による補償板は、式IIにおいて、nが0
である化合物および式IIにおいて、nが1である化合物を含有する混合物を共重
合させることによって得られる。
カイラル化合物の場合、基Spおよび(または)MGおよび(または)Rは、これ
らの基がカイラル炭素原子を含有しているように選択するか、あるいは別様には
、例えば限定された旋回方向を有するビナフタレン基などの分子に不斉中心を生
じさせる基から、カイラリティが誘発されるように選択する。
式Iで表わされるカイラルおよび非カイラル重合性メソゲン化合物を代表する
典型的例は、WO93/22397;EPO,261,712;DE195,04,224;DE4,408,171またはDE4,
405,316に見出すことができる。しかしながら、これらの刊行物に記載されてい
る化合物は単なる例として認識されるべきであり、本発明の範囲を制限するもの
ではない。
さらにまた、カイラルおよび非カイラル重合性メソゲン化合物を代表する典型
的例を、下記一覧に示す。しかしながら、これらは例示するものとして理解され
るべきであり、本発明の範囲を制限するものではない: これらの化合物において、xおよびyはそれぞれ独立して、1〜12であり、A
は1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基であり、R1はハロゲンまた
はシアノ、あるいは炭素原子1〜12個を有し、ハロゲン化されていてもよいアル
キル基またはアルコキシ基であり、そしてL1およびL2はそれぞれ独立して、H、
F、ClまたはCNであるか、あるいは炭素原子1〜7個を有し、ハロゲン化されて
いてもよいアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基である。
前記および後記の反応性メソゲン化合物は、それ自体公知であって、上記刊行
物および例えば有機化学の標準的学術書、例えばHouben−WeylによるMethoden d
er organischen Chemie、Thieme−Verlag出版社、Stuttgart
などに記載の方法により製造することができる。さらにまた、詳細な製造方法は
、例えばD.J.Broer等によるMakromol.Chem.,190,2255(1989)または特許出願WO
22/3397またはDE195,04,224に見出すことができる。
カイラル重合性メソゲン材料中にコレステリック相様相を誘発させるためには
、例えば非カイラルネマティック重合性化合物およびカイラルネマティック重合
性化合物を含有する混合物を使用することができる。カイラルネマティック化合
物はラセン状ねじれのコレステリック相構造をもたらす。このコレステリックラ
センのピッチはカイラル化合物の濃度および化学構造に依存することから、カイ
ラルネマティック化合物の種類および比率を変えることによって、最大反射波長
およびそれによる当該薄片の彩色物性を製造プロセス中にその場で直接に制御す
ることができる。このようにして、所望の色を有する特製の薄片状顔料を製造す
ることができる。
上記成分以外に、混合物は1種または2種以上の別の適当な成分、例えば触媒
、光−または温度−感受性開始剤、安定剤、共反応性モノマーまたは界面活性化
合物を含有することができる。別法として、生成物の光学的性質を適合させるた
めに、非重合性液晶成分を20重量%までの量で添加することもできる。1個また
は2個以上の重合官能性基を有する非メソゲン化合物を20%までの量で添加して
、交差結合を増大させることもできる。
本発明の好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は下記の成分を含有
する:
A2)2個の重合官能性基を有する非カイラル重合性メソゲン化合物、
B)1個の重合官能性基を有するカイラル重合性メソゲン化合物、
C)光開始剤、
D)任意に、2個または3個以上の重合官能性基を有する非メソゲン重合性化
合物。
この好適態様に従うカイラル重合性メソゲン材料は特に好ましくは、下記成分
を含有する:
a)10〜85重量%、好ましくは20〜75重量%の成分A2、
b)10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の成分B、
c)0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%の成分C、
d)0〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の成分D。
もう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料は下記の成分を含
有する:
A1)1個の重合官能性基を有する少なくとも1種の非カイラル重合性メソゲン
化合物、
A2)2個の重合官能性基を有する非カイラル重合性メソゲン化合物、
B)1個の重合官能性基を有するカイラル重合性メソゲン化合物、
C)光開始剤。
この好適態様に従うカイラル重合性メソゲン材料において、成分A1が、1個の
重合官能性基を有する1〜6種の非カイラル重合性メソゲン化合物、好ましくは
1〜3種の非カイラル重合性メソゲン化合物を含有するカイラル重合性メソゲン
材料は特に好ましい。
この好適態様に従うカイラル重合性メソゲン材料はまた好ましくは、下記の成
分を含有する:
a1)15〜85重量%、好ましくは20〜75重量%の成分A1、
a2)5〜80重量%、好ましくは10〜65重量%の成分A2、
b)5〜80重量%、好ましくは15〜70重量%の成分B、
c)0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%の成分C。
上記の成分A1およびC、および任意に成分A2、BおよびDを、2個の重合官
能性基を有する少なくとも1種のカイラル重合性メソゲン化合物とともに含有す
るカイラル重合性メソゲン材料はまた好ましい。
ネマティックホスト中で或るピッチのラセン状ねじれを有するコレステリック
構造を誘発させるカイラル化合物の能力は、そのラセン状ねじり力(helicaltwi
sting power)(HTP)と称される。大きいHTP値を有する材料を使用する場合、
可視部光の反射を得るには少量のみで充分である。この場合、純粋なカイラル化
合物は液晶相を示す必要はない。非カイラルメソゲン化合物を含有する混合物で
のみ、液晶相が得られなければならない。
非カイラル重合性メソゲン化合物とカイラル重合性メソゲン化合物との混合物
は、基体上に塗布し、配向させ、次いでポリマー薄膜に硬化させる。基体として
は、例えばポリエステル(PET)薄膜を使用することができる。プレーナ配向、
すなわち塗布混合物の表面に対して垂直のラセン軸配向を有する均一配向を得る
ためには、例えばこの薄膜をドクター刃を用いて剪断することができる。もう一
つの好適態様において、第二のPET層をこの塗布材料の上部表面上に積層するこ
ともできる。この場合、2枚の基体を一緒に配置することによって生じる剪断力
は良好な配向を得るのに充分である。
配向はメソゲン化合物の混合物のコレステリック相で重合前に行う。従って、
非重合性材料の低粘度による従来技術に記載の塗布ポリマー薄膜の場合に比較し
て、高品質の配向を格別に容易に得ることができる。電場または磁場の使用は不
必要である。
さらにまた、重合性メソゲンモノマーの混合物は正常では、比較的低い融点を
有するコレステリック中間相範囲または広いネマティック相範囲を示すことから
、この薄膜は100℃以下の温度、好ましくは30〜80℃で配向させ、硬化させるこ
とができる。
コレステリックのピッチの温度依存性によって、種々の硬化温度が相違する最
大反射を備えた薄片を導き、従ってカイラル重合性メソゲン化合物と非カイラル
重合性メソゲン化合物との比率を変えることに加えて、当該薄片の彩色物性を制
御するためのもう一つの方法が得られる。
硬化処理において、配向させた材料の重合性基を反応させ、交差結合したポリ
マー薄膜を形成させる。重合が進行すると、この材料はガラス状になり、ラセン
状配向がそこに凍結される。重合は、例えば照射下に分解して重合反応を開始さ
せるフリーラディカルを発生する光開始剤の補助の下に、UV光に露光することに
よって行うことができる。もう一つの好適態様において、フリーラディカルの代
わりにカチオンにより光硬化させるカチオン光開始剤を使用することもできる。
重合はまた、或る温度以上に加熱すると分解する開始剤により開始させることも
できる。
フリーラディカル重合を抑制する酸素を排除するために、第二のPET層をこの
塗布材料の上部表面上に積層することもでき、あるいは別法として、硬化は窒素
雰囲気下に行うこともできる。後者の場合、コレステリック相の充分の配向を生
じさせるためには、重合前にメソゲン材料を剪断することが必要である。カチオ
ン光開始剤を用いる場合、酸素の排除は不必要であるか、水分は排除しなければ
ならない。
しかしながら、これらの方法は例として理解されるべきであり、本発明の範囲
を制限するものと理解されるべきではない。当業者は、重合を行う適当な方法を
容易に見出すことができる。
混合物は1個の重合性基を有する(一官能性)重合性成分および2個または3
個以上の重合性基を有する(多官能性)重合性成分の両方を含有していてもよい
ことから、重合および交差結合は、同一操作で行うことができる。このことは、
別工程で任意に交差結合させることができるコレステリック液晶ポリマーを使用
するか、あるいは非重合性の低分子量コレステリック液晶を使用することが指示
されている従来技術と対照的であり、しかも従来技術は多重合官能性化合物の使
用は示唆していない。
多官能性メソゲン成分または非メソゲン成分の濃度を変えることによって、交
差結合密度およびこれによる生成物の性質、例えば光学的性質の温度依存性にと
ってまた重要であるガラス転移温度、熱および機械的安定性あるいは溶剤耐性を
容易に変えることができる。意図する用途に応じて、柔軟な薄膜または砕け易い
薄膜を製造することができる。ポリマー薄膜を引き続いて小薄片に粉砕する場合
、砕け易いことが特に望まれる。
2個以上の重合性基を有する化合物を使用することによって、高度の砕け易さ
を得ることができ、このような化合物はメソゲン化合物または非メソゲン化合物
であることができる。2個以上の重合性基を有する非メソゲンモノマーの代表例
には、トリメチルプロパントリメタアクリレートまたはペンタエリスリトールテ
トラアクリレートがある。
薄片は、硬化したポリマー薄膜を、例えば乳棒およびモーターを用いてまたは
機械化した粉砕機またはミルを用いて粉砕することによって形成することができ
る。0℃以下の温度にさらに冷却することによって、ポリマーの砕け易さは増大
され、粉砕はさらに容易になる。生成する粉末を次いで、篩分し、所望の大きさ
の
薄片状顔料を得る。
100μmよりも小さい寸法を有する球形形状の薄片を生成させる好適方法は、
手動で乳棒およびモーターを用いる粉砕あるいは機械化した粉砕ミルを用いる粉
砕である。
多少球状の形状を有する薄片を生成させるもう一つの方法では、ポリマー薄膜
をボールミル中で微粉砕する。このボールの寸法および重量に応じて、100μm
よりも小さい、特に5〜10μmの平均寸法を有する粒子を得ることができる。
もう一つの好適方法は、羽根式ミル中で冷却しながらポリマー薄膜を粉砕する
方法である。この方法によって、数百ミクロンから1〜2mmまでの横幅寸法を有
する小板形態の薄片が生成される。これらの薄片を引き続いて、モーター内でさ
らに粉砕することによって、100μmよりも小さい横幅寸法を有する小板を得る
ことができる。
粉砕または微粉砕操作中の試料の冷却は、例えば二酸化炭素/アセトン浴を用
いて実施することができる。もう一つの好適冷却方法は、試料中に粉末状ドライ
アイスまたは液体窒素を添加する方法である。
或る種の用途に対しては、粒子の凝集を回避するために、ポリマー材料の粉砕
時に帯電防止剤を添加すると好ましい。
上記方法とは別に、本発明に従うカイラルポリマー薄膜の好適生成方法がまた
ある。
すなわち、もう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料を基体
上に塗布することによって薄片を製造する。この基体は10〜100μm、好ましく
は20〜50μmの径および3〜20μm、好ましくは4〜10μmの厚みを有する浅い
くぼみを有する。この場合、塗布行為が均一配向を付与するのに充分な剪断力を
もたらす。材料の配向品質を増加させるために、ドクター刃を用いて、または上
記したように、塗布材料の上部表面上に第二の基体を適用することによってさら
に剪断することもできる。
さらにもう一つの好適態様において、カイラル重合性メソゲン材料を、例えば
ポリエステルウエブなどの基体上に、グラビア印刷板を用いて小滴形態にグラビ
ア印刷し、3〜20μm、好ましくは4〜10μmの厚さおよび10〜100μm、好ま
しくは20〜50μmの径を有する小滴を得る。この印刷行為は均一配向を付与する
のに充分な剪断力をもたらすが、この場合にはまた、例えばドクター刃を用いる
ことにより、または小滴の上部表面上に第二の基体を適用することにより剪断す
ることによってさらに配向させることができる。
コレステリック薄片を形成するためのもう一つの好適方法は、カイラル重合性
メソゲン材料をN2雰囲気中に噴霧し、10〜100μmの径を有する小滴を生成させ
、次いで強力なUV光を照射することによって硬化させることからなる。この硬化
した小滴を引き続いて、粉砕し、さらに小さい薄片を得ることもできる。
もう一つの好適方法では、カイラル重合性メソゲン材料を回転するドラム上に
塗布し、ナイフ縁端により配向させ、UV光照射によって硬化させ、次いで硬化し
たポリマーを剥離し、小型薄片を形成する。
もう一つの好適方法では、カイラル重合性メソゲン材料を、2〜20μm、好ま
しくは3〜10μmの深さおよび10〜100μm、好ましくは20〜50μmの径を有す
るくぼみを備えた回転ドラム上に塗布し、UV光照射によって硬化させ、次いでド
ラムから剥離する。
もう一つの好適方法では、カイラル重合性メソゲン材料を、2〜20μm、好ま
しくは3〜10μmの深さおよび10〜100μm、好ましくは20〜50μmの横幅を有
するストライプを備えた回転ドラム上に塗布し、配向させ、次いで上記のとおり
に硬化させる。この後、このストライプを所望の寸法の断片に粉砕する。
もう一つの好適方法では、不混和性液体中のカイラル重合性メソゲン材料のエ
マルジョンを生成し、その小滴を加熱により、またはUV照射により重合させる。
もう一つの好適方法では、カイラル重合性メソゲン材料に界面活性剤を添加し
、ここに気体状N2を吹き込み泡状体を生成させ、次いで重合させ、剥離し、次い
で粉砕する。
もう一つの好適方法では、カイラル重合性メソゲン材料の溶液中に分散されて
いる固形粒子、好ましくはカーボンブラックまたはグラファイトと2種の溶剤と
を使用する。溶剤1はカイラル重合性メソゲン材料が溶解しないものであり、そ
して溶剤2はカイラル重合性メソゲン材料が溶解するものである。溶剤2を蒸発
させ、カーボン粒子上に沈殿するカイラル重合性メソゲン材料のコーティングを
形成し、
次いで重合させる。この方法によって、特に光り輝く薄片を得られる。さらにも
う一つの好適方法では、カイラル重合性メソゲン材料を、2〜20μm、好ましく
は3〜10μmの幅を有する1個または2個以上のスロットに通して加圧下に押出
す。これによって良好な均一配向を生じさせる剪断力が得られる。この薄膜はN2
雰囲気下に硬化させる。
上記方法によって得られる薄片は、数ミクロンの大きさを有する。しかしなが
ら、操作パラメーターを選択することもでき、これによって500μmから1.5mmま
での横幅寸法を有する薄片を得ることができる。これらの薄片は特に魅力的な彩
色効果を示し、かつまた或る種の用途に好適である。
インキおよび塗料に使用する場合、このコレステリック薄片状顔料は用途に応
じて、透明な結合剤または液体中に分散させることができ、あるいはプラスティ
ック中に配合することができる。
或る種の用途に対しては、相違する最大反射を有する薄片の混合物を使用する
と好ましい。用途
コレステリックポリマー薄片は、噴霧または印刷インキあるいは塗料に、ある
いは例えば化粧品などの装飾用の着色プラスティックに、有効顔料として使用す
ることができる。その他の重要な用途分野には、自動車用途、能動的または受動
的光学素子、例えば偏光板または補償板などの光学薄膜、および例えばIDカード
、クレジットカードまたは切符などの不正防止保全ラベルにおける保全セクター
がある。
上記で詳細に説明したように、本発明の格別の利点は、薄片状顔料の光学的お
よび機械的性質の全部を、カイラルおよび非カイラル、一官能性および多官能性
メソゲン重合性化合物の種類および濃度を変えることによって一回の同一操作で
簡単に制御することができる点にある。従って、この薄片状顔料は、所望の用途
に応じて適するように特別に形成することができる。
本明細書全体で列挙されている全部の出願書、特許および刊行物の全記載を引
用して本明細書に組み入れる。
追加の労力を要することなく、当業者は、前記説明を用いて本発明をその完全
な程度にまで利用することができるものと信じる。従って、下記の例は単に説明
のためのものであり、上記記載の残りの部分をいかなる点でも制限するものでは
ない。
前記および後記の例において、温度は全部が未補正であって、摂氏度で示され
ており、かつまた別段の記載がないかぎり、部およびパーセンテージは全部が重
量によるものである。化合物の液晶相挙動を示すために下記の略号を使用する:
C=結晶;N=ネマティック;S=スメクティック;Ch=コレステリック;I
=アイソトロピック。これらの記号間の数値は相転移温度を摂氏度で示すもので
ある。
例例1
下記成分からなる混合物を組成する:
50%の化合物A、
49%の化合物Bおよび
1%の市販光開始剤イルガキュア(Irgacure)651(これはCiba Geigy AG.,Bas
el,スイス国により販売されている)。
化合物A
化合物B この混合物は、C44〜47 Ch 53 Iの中間相挙動を示し、かつまた40℃で542nm
の反射波長を示す。
この混合物をポリエステルウエブ上に、40℃で塗布する。この上部表面上に、
第二のポリエステルウエブを積層し、コレステリック相の配向を生じさせ、酸素
を
排除する。この2枚のポリエステルウエブ間の配向した混合物を次いで、5mW/
cm2の強度のUV光を用いて硬化させ、6〜8μm厚みの緑色ポリマー薄膜を得る
。このポリマー薄膜を基体表面から剥離し、さらに処理する。
このポリマー薄膜5gを粉末状ドライアイス500gと混合し、次いで乳棒およびモ
ーターを用いて小型薄片に粉砕する。100μmの篩を用いて篩分けした後に、こ
の篩を通過した薄片を集め、次いで黒色金属基体上に噴霧し、コーティングを生
成する。このコーティングは垂直入射光の下で輝く非退色性の緑色を示し、入射
視射角で青色光を反射する。
図1は、例1の薄片状顔料をJeol 6300F電子顕微鏡により20kVの加速電圧で撮
影した1000倍率のSEM写真を示している。この薄片は約3μm〜約20μmの範囲
にわたる径を有する小球形状を有する。例2
下記成分からなる混合物を組成する:
54%の化合物A、
45%の化合物Bおよび
1%のイルガキュア(Irgacure)651。
この混合物は、赤色光を反射し、かつまたC51 Ch 57 iの中間相挙動を示す。
この混合物を、例1に記載のとおりに、塗布し、硬化させ、次いで乳棒および
モーターを用いて粉砕し、λ=606nmの反射波長を有する赤色ポリマー薄片を得
る。例3
下記成分からなる混合物を組成する:
47%の化合物A、
48%の化合物B、
4%のトリメチルプロパントリメタアクリレート(非メソゲン交差結合剤とし
て)および
1%のイルガキュア(Irgacure)651。
この混合物は、緑色光を反射し、かつまたC41〜56(Ch 36 i)の中間相挙動
を伴いアイソトロピック相から冷却されると、モノトロピックコレステリック相
を有する。
この混合物を、例1に記載のとおりに、塗布し、硬化させ、次いで乳棒および
モーターを用いて粉砕し、λ=522nmの反射波長を有する緑色薄片を得る。例4
例1に記載のとおりに製造したポリマー薄膜を、Ikaからの羽根型ミルで微粉
砕する。生成する粉末をドライアイスと混合し、モーターで粉砕し、次いで100
μmの篩に通して篩分する。生成する薄片を分散させ、次いで上記のとおりに黒
色基体上に噴霧し、コーティングを形成する。このコーティングは垂直入射光の
下で輝く非退色性の緑色を示し、かつまた入射視射角で青色光を反射する。
図2は、例4の薄片をJeol 6300F電子顕微鏡により5kVの加速電圧で、25mmの
距離から撮影した100倍率のSEM写真を示している。この薄片は、約10μmの平均
厚さおよび約100μm〜約200μmの横径を有する小板形状を有する。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C09D 11/02 C09D 11/02
(72)発明者 ゴールディング,マーク
イギリス国 ビーエッチ14 8ティーピ
ー、ドーセット、プール、ロウアー パー
クストーン、デューラント アール ディ
ー.20、フラット 3
(72)発明者 メイ,アリソン
イギリス国 ビーエッチ21 3エックスエ
フ、ドーセット、ウインボーン、コーフ
ミューレン、ハドリアン ウェイ 10