コビトカバの赤ちゃんがインターネット上で旋風を巻き起こしている。夕食のときに大好きなプールから飼育員が出そうとしても全然出なかったのに、母親に見つめられたとたんについていったかわいすぎる動画が、世界のネットユーザーのハートをわしづかみにしているのだ。ソーシャルメディアの動画の再生数は累計で5000万回を超えた。
米国カンザス州のタンガニーカ野生生物公園で2025年6月に生まれたこの「マーズ」は、タイの動物園で2024年に生まれた「ムーデン」と同じ道をたどっている。コビトカバは野生に3000頭しか残されていないにもかかわらず、ネットで大人気だ。(参考記事:「動物の赤ちゃんをかわいいと感じ、求めてやまないのはなぜ?」)
となると、コビトカバとはいったいどんな生きものかと疑問に思う人もいるだろう。
コビトカバ(Choeropsis liberiensis)はカバ科の現生種2種の一つだ。もう一方は、科の名前にもなっているおなじみのカバ(Hippopotamus amphibius)だ。
カバとコビトカバは形も色も似ているが、並べてみると、違いはすぐにわかる。
「主な違いは大きさです」とコビトカバを飼育している米ピッツバーグ動物園水族館の哺乳類学芸員助手カレン・バッコ氏は話す。「コビトカバの大きさは、カバの10分の1です」
コビトカバは最大で体重約270キロまで成長する。かなり重いと思うかもしれないが、近縁種のカバは4.5トンに達することもある。
科学者たちはこの2種の厳密な違いを調べており、進化上の興味深い事実もいくつか発見されている。
似ているところも、違うところも
おおむね草食であることを考えると、カバとコビトカバの大きさは、どちらもかなり印象的だ。バッコ氏によれば、野生のコビトカバは主に草や水草を食べる。しかし、ムーデンをはじめとする動物園のコビトカバは、主に野菜と栄養価の高い「草食動物用ビスケット」を食べている。
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